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あの奇跡をもう一度


 それは、割とこっそりと掲示されていた。
「お手伝い募集・黙って夢を見るだけ。 *依頼ではありません。あくまで希望者のみ参加」
 リベリスタに対する依頼一覧から外れるようにして、短い文。
 後になって思えば、「希望者」の部分だけ、やけに念入りに太字だった。
 なんで、あんなものみつけちゃったんだろう。
 

「VTSの特殊負荷実験」
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、無表情だ。
 というか、何かこみ上げてくるものを我慢しているようにも見える。
「以前にもみんなに手伝ってもらったあれ。まあ、起動自体には問題ないみたいだから、その辺は安心してほしい」
 まだアークが本格始動する前。
 経験不足を補うために使われた、ヴァーチャル・トレーニング・システム。
 うん、支障はなかったね。
「今回は、多くの人間に特殊な異常事態が一度に発生したらどうなるかを試す。この先しゃれにならない能力を持った相手が出ないとも限らないし」
 ふんふん。そういうのに対処する方法を探る上でも大事だよね。
「みんなにはその実験台になってほしい」
 うわぁ、もう少しオブラートに包んでほしかった。
「例によって、今回も以前発生した事件の追体験をしてもらう。ちゃんと解決した案件だから。人数も大量に投入するから問題ない。発生した敵は一定時間経つと瓦解するから元に戻ることは確定済み」
 なんか、きな臭い感じがする……。
 今すぐこの背後のドアを開けて出て行った方がいいんじゃないかな、いいんじゃないかな。
「ちなみに、今回使う案件は、E・ゴーレム。識別名『とりかへばや……」
 脳に走る冷たい感触。
『とりかへばやの鏡』
 怪しい光線を照射し、対象の性別を反転。
 本体を破壊しない限り、戦闘終了後五日間そのままという強効果。
 その容姿は、本人の願望・恐れ等々を体現させ、外見年齢すら超越させる。
 心に住まう人物に似通ってしまう事例まであり、あなたの心のひだお見通しになってしまうのだ。
 現物は既に破壊されているが、そういうモンまで再現しましたか。
 誰か、あの自称天才室長、死なない程度にシメてこい。
 ろくでもない効果という点では、満場一致だ。
 更に、体に傷がつくわけではない。
 効果範囲も広い。
 確かに実験にはもってこいだが。
 心の傷はどうしてくれるの。
 ここまで、リベリスタ的脳内処理。
「『……の鏡』の案件」
 失礼しまっす!
 背後にダッシュ。
 ドアに手をかけるが、開かない。
 何これ、電子ロック!?
「実験台になってもらう」
 無表情に言い切る幼女、お父さん思いのマジエンジェル。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:田奈アガサ  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年09月18日(日)07:49
 田奈です。
 覚悟完了が必要なイベシナ、お待ち。
 大丈夫、大丈夫。現実じゃないから。
 コスプレ気分で。
 ただ、あれだよ。
 みんなと記憶共有してるから、今後のリベリスタ人生に影響しても田奈は知らないよ。
 自己責任、自己責任。
 大事なことなので、二度言いました。
 どうなっちゃうか詳しくは、拙作「今はなき~」二作をご覧下さい。

 E・ゴーレム「とりかへばやの鏡」
 *本体は、掌サイズの柄鏡です。
 *外見は姫君の姿を模しています。落城時の娘武者姿です。その顔面がひび割れた鏡です。
 *今回は、特殊負荷実験ですので、攻撃能力は削られています。安心!
 *ワンターンキルされると実験データが取れなくなって困るので困るので、HP無限大。
  データが採り終わると、自動的に瓦解します。
 *「とりかへばや」:神遠全・ダメージ無・命中率きわめて高し
   性別が変わります。BS解除スキル・WP判定では回復しません。

 現場:城跡公園・崖下
 *時間は深夜。足元は乾いています。足元良好。
 *今は晴れています。戦闘中雨が降る心配はありません。
 *広さは、半径20メートル半円。
   鏡は、最奥中央にいます。

 イベントシナリオのルール
 *参加料金は50LPです。
 *予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
 *イベントシナリオでは全員のキャラクター描写が行なわれない可能性があります。
 *獲得リソースは難易度Very Easy相当(Normalの獲得ベース経験値・GPの25%)です。

 但し書き
 *今回は、イベントです。
  性別変換は回復不可BSの一種と考えてください。
  外見の変化、行動に影響が生じることが確認されました。
 *「とりかへばや」を受けたときの外見・口調・行動は必ずプレイングに盛り込んで下さい。
   田奈のハートをがっちりキャッチなうひょーなプレイングほど描写量が増えます。
   ない場合、描写量が減ります。
   白紙プレイングは、描写なしです。
 *今回は自動的に「とりかへばやの鏡」は瓦解しますので戦闘行為は不要です。
  フレーバーとして、何かをたたきつけたい方はどうぞ。
 *『覚悟完了』と書いていただけると、田奈が神妙な顔をして頷きます。
 *単独、グループ関わらず、他PCさんと絡めて描写します。
  絡みNGの方は、「絡みNG」とご記入下さい。
 *誰かと一緒にやるときは、共通チーム名【****】とつけて下さい。
  コンビなら、相手のお名前とIDを書いて下さい。

 はっちゃけ大歓迎ですが、小さなお友達も読んでいい全年齢対象ゲームですので、田奈の「そういうのいけないと思います」カウンターに抵触した場合、マスタリング対象になります。
 
 それでは、楽しい変身体験を。
参加NPC
 


■メイン参加者 0人■
■サポート参加者 56人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
ホーリーメイガス
ナハト・オルクス(BNE000031)
覇界闘士
ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)
デュランダル
雪白 桐(BNE000185)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
インヤンマスター
アンデッタ・ヴェールダンス(BNE000309)
ナイトクリーク
斬風 糾華(BNE000390)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ナイトクリーク
源 カイ(BNE000446)
プロアデプト
氷雨・那雪(BNE000463)
ソードミラージュ
天月・光(BNE000490)
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
デュランダル
源兵島 こじり(BNE000630)
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
プロアデプト
リスキー・ブラウン(BNE000746)
プロアデプト
彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
覇界闘士
宮藤・玲(BNE001008)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
クロスイージス
中村 夢乃(BNE001189)
スターサジタリー
桐月院・七海(BNE001250)
ソードミラージュ
ルア・ホワイト(BNE001372)
スターサジタリー
百舌鳥 九十九(BNE001407)
デュランダル
楠神 風斗(BNE001434)
デュランダル
蘭・羽音(BNE001477)
クロスイージス
内薙・智夫(BNE001581)
覇界闘士
付喪 モノマ(BNE001658)
プロアデプト
如月・達哉(BNE001662)
クロスイージス
ステイシー・スペイシー(BNE001776)
ホーリーメイガス
クロリス・フーベルタ(BNE002092)
デュランダル
降魔 刃紅郎(BNE002093)
覇界闘士
阿部・高和(BNE002103)

レイライン・エレアニック(BNE002137)
デュランダル
イーシェ・ルー(BNE002142)
ナイトクリーク
レン・カークランド(BNE002194)
ソードミラージュ
エレオノーラ・カムィシンスキー(BNE002203)
クロスイージス
セリオ・ヴァイスハイト(BNE002266)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
ホーリーメイガス
月杜・とら(BNE002285)
デュランダル
宵咲 美散(BNE002324)
マグメイガス
宵咲 氷璃(BNE002401)
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
プロアデプト
ロッテ・バックハウス(BNE002454)
デュランダル
神守 零六(BNE002500)
クロスイージス
姫宮・心(BNE002595)
マグメイガス
来栖 奏音(BNE002598)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
覇界闘士
三島・五月(BNE002662)
クロスイージス
ヴァージニア・ガウェイン(BNE002682)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クリミナルスタア
関 狄龍(BNE002760)
スターサジタリー
雑賀 龍治(BNE002797)

● 
『深夜の城跡公園。
 君たちの多くは、先ほど怪しい光に巻き込まれ、魔女っこ変身バンクシーンの最中だ。
 君たちは、とりかへばやの鏡を攻撃してもいいし、城跡公園を散策してもいい。
 他の被験者に干渉するのも自由だ。
 普段の自分ですらない状況で、君は何を選択する?』

●確認作業ゾーン
 データをいじって作ったらしい、もともとはなかった簡易テントの山。
 中には姿見。
 その中では、早くも悲喜こもごも起こっていた。
 狄龍はいろいろごそごそしていた。
(ふーむ…性別不詳な俺だが。まあ、見た目からは分からないってだけだから。服の下では、きっと……)
うん、願望反映。マグナム。
 ヴァージニアは、へ~と鏡を覗き込んだ。
(身体がゴツゴツ堅くなった感じ……背もちょっと伸びたかな? 顔はあんまり変わんないや)
「あ、でも……ス、スカート穿いてるのは恥ずかしいかも。替えの服持ってくれば良かったよ」
(……なんか他のみんなのリアクションとか見てると、いつもと大して変わんなくて平然としてるボクがすごく場違いに見えてくるね)
「ははは」 
 笑うしかない。
 40台半ばのこれと言って特徴のない、四年前全てを捨てざるを得なかったダンという男。
(愛した家族には世界の真実と私の現在を。信じた仲間には私の過去を、故意に隠匿していた)
「ははは」
 失ったものと得たものを天秤にかけることは出来ないけれど。
「ははははは」
 智夫、ナース服。
 くるんとターン。
(髪の色と形がミラクルナイチンゲールな感じ、だけど、あんまり変わってない、みたい。)
 君の場合、あんまり変わらなくても十分だから。
 終、パンク調の洋服で膝上のプリーツスカート。
「超美脚☆ ボクの生足は見るだけならただ☆ ボクってば超かわいい♪ 超のりのり☆」
 うっわ~。完全に順応しているよ。
 写真撮影にも笑顔で応じてます。
「テテっち……超ショタ☆」
「ぅぅ~、なんだかおちつかないよぉ……」
 テテロ、なんか内股。 
「えっと……えっと……ぁぅぁ……」
 おずおずとうるうるおめめで上目づかい。
「……ボク、へんじゃないかなぁ?」
 一部の人のハート、がっちりキャッチ。
 こんなに可愛い子が女の子の訳が以下略。
 イーシェはノリノリだった。
「いえーい! やったるッスよ! 男になると力とか強くなれるか確かめてみせるッス!」
 心もノリノリだった。
「ということでー! 憧れの騎士になれるのデスよ! きっと! 夢にまで見た騎士なのデス!」
 ただいま、姿見で確認中。
「騎士でなくとも、剣のみで身を立てる。そのような生き方をするためにここへ来た」
 褐色の肌。キリッとした顔立ち。鎧が男物。金髪の長髪。
 口調物腰、理知的かつ爽やか。
「ふん、なるほど。こういうふうになるわけか」
(赤毛でワイルドな感じの騎士がいますよ! ほらここに!)
 心、わくわく。円卓囲んでもおかしくない偉丈夫っぷり。
 乙女の妄想、ここにきわまれり。
 いざ行かん、戦場へ!

 そう、このあたりはまだ非常に理性的。
 こうしている間にもテントの薄い生地を抜けて、色々聞こえてくるのだ。

 ナハトは高をくくっていた。
(性別が変わるくらいどぉーって事ないわ。そもそも私性別超越してるしー?)
 現実は、非情である。
「金髪ゆるふわロング緑眼122cm少女? です?」
 理想、具現。身長まで完璧だ!
(やだ可愛い結婚しろ。いややっぱ止めとく。あっそうだ、つい……ってそれは確認しない方が幸せだろうな)
 心に描く姿をそのままに。
(僕はただ金髪少女が大好きなだけで金髪少女になりたいわけじゃないんですよお! こういうの日本語でどう言ったらいい? 教えて )
 身から出た錆とか? 
 九十九も高をくくっていた。
(今回も残念な結果にしかならん気がしますのう。モノマちゃん位だと、脱げてしまうでしょうがな~。HAHAHA)
 現実は非情である。
 黒ロングのちみっ子。
 モノマちゃんの呪いだよ。
(服装を帯で締めるタイプにしておいて良かった。包帯も色々隠すのに大活躍です、は~、やれやれ……)
「ですぞ……ですぞですぞですぞ?」
(何故か言葉が「ですぞ」しか喋れない!?)
 ロリ同単語連呼系とは、ニッチなところをついてきますな。
マントと、やたら長い髪を引きずって、右往左往。
「ですぞですぞですぞ~」
 エレオノーラ・カムィシンスキーは、燃え尽きていた。
 雪辱を果たそうにも、VTSは勝手に自滅しちゃうのだ。
 実験終わるまで、帰れない。
「はうぅ……やっぱり妙な感じですぅ。エレーナはこんなナリでも中身はリッパな男であるからしてぇ……今は女の子ですけどぉ……」
 地面にのの字のの字。
 誰か。このロリババアだかジジイだか年齢移行してマジ幼女なのかわからない方に護衛を!
「! 女の子だったら雌のにゃんこをもふもふしても合法じゃないですか! エレーナあったまいいですぅ」
 すっくと立ち上がり、藪の中に。
 え? にゃんこって? 猫のビーストハーフのことだよね。マジで猫!?
 セリオは、世の非情さを知った。
(あぁくそ……だまされた。姉貴にだまされた。桃子嬢や梅子嬢に会えると聞いてきたのに)
 君のお姉さん、悪ふざけ好きだから。
(いつものスーツなんだが……くっ、胸がきつい。こうなればヤケ。女性を演じてやろうじゃないの)
 当主様のご命令でぐるぐる巻きエントリー。
 美散は 簀巻きから脱出した。
 女性化してサイズが小さくなり色々ゆるくなったのだ。
 ベルトを締めなおし、あちこち捲り上げながら、思考する。
(――如何してこうなった。何でオレの胸に谷間があるんだ!?あ、柔らかい……)
 ぽゆうん。
 うわぁ。
(いやいやいやいや、ちくしょー! あのロリババアーズ謀りやがったな!? ぜってー何時か謀反起こしてやる!!)
 綺麗な紫色の長い髪、ピジョンブラッドの紅い瞳、透き通った雪のような白い肌。
 一族の血は争えない。
 だが頑張れ、新世代。
 光は、ラフなランニングにハーフパンツ。
 桐は小学校一年生くらい。
 元着ていたぶかぶかになった服を引きずりつつ。
 近くの人に、あまあまよじよじぺたぺた。
 いけない。誰かの理性が切れたら大変だ!
 というか、そのずり落ちた肩とか、一部の人には鼻血モンだから!
「柔らかい! それに服装に違和感ない! というか、男の時からスカートだよ!」
ぶつぶつ言いつつ、光、「桐ぽん」を半ズボンに着替えさせる。
「おにーさんはなにをしてるの?」
「特 に 意 味 は な い !」
 うん、ありがと、光。この場の危険度は低下した。 
 りりすを見て、光はなんと言ったらいいものか言いよどんだ。
 どこがどう変わったか全然わからないのだが、激しい違和感でむずむずする。
「どっちにしてもニートであることは代わらない。この駄鮫めっ!」
 とりあえず罵っておく。
 それもりりすには馬耳東風。
(まぁ、取りあえず事が済んだら、「実験」って事は結果が残るんだろうし? 画像データーとして保存ができないか、ちょいと智親くんと交渉を)
 室長を納得させられるだけの土産が用意できればの話だが。

●ここを通り過ぎる者、漏れなくお砂糖が口からあふれるので注意。
「三度m(中略)ぶっ潰してやらぁっ!」
 もっとも、とりかへばや食らっている男、モノマ。
 ちみっこくなっていた。
「ふっ、しかしそんな事は読んでいた! 服もばっちりだし、現実じゃねぇから性格まで変化する訳がな……」
 説明しよう! 過去の影響で深層意識の中に幼女の別人格が生まれていた。
 そして、再び同様の経験をする事により、その人格が彼を支配したのだ。神秘ってすごい!
「えへっ、三度参上だよ!」
 にぱっと笑顔でVサイン、モノマちゃん! 
「お、おお……! 腹筋すげー!」
 壱也ん。パーカーにジーンズって誰かのいつものかっこやん。
 体とか触ってみて感触を確かめる。それとなく割れてるじゃん!
 ますます誰かみたいだ!
(そんなことよりすぐさま先輩を確認っ! 幼女モノマちゃん先輩っ!)
「モノマ先輩、覚悟完了できてますよねっ!これ着て下さい!」
 ふりふりのスカートを渡し、髪にリボンをつける。
「あれれ、壱也なんか可愛い服持ってるね。壱也の頼みだもんっ、私サービスしちゃうよ!」
「先輩…すごい幼女っぷりです…可愛いですー!」
 感極まって思わずお姫様抱っこ。
「わわわわわっ、抱っこされちゃった! えへへっ、ぎゅぅしちゃえ!」
「今回は逆ですね! 今日は、ぼくがエスコートです!」
(ケーケン済みだけど…まこはそんな変わんなかったんだよね。少しだけいつもの服がは、恥ずかしいくらい……)
 というわけで恥らいながら、いつもの格好。
(杏はどうなるのかな? スマートでアーティスト風のカッコいいお兄さんとか? ドキドキしちゃうかも、どぉしよっ)
 いつもとあんまり変わらない?
 素肌にジャージとジーパン、靴はスニーカーになっている。
 でもよく見ると開けられた胸元から、よく鍛えられた細マッチョな体が露になっている
「真独楽」
 いつもより低い声。いつもはまこにゃんて言うのに。
「可愛いぜ。大好きだ。性別が変わっても愛してる」
 キモオタとかになってたらどうしようとか言う心配、霧散。
 頭をなでてた手が頬をすべり、ちょっとあごを上に押し上げて……。
「……お膝にのっけて、優しく撫でて欲しいなっ?」
 普段より少し恥ずかしがり屋に、いざという時は大胆なおませガール。
芽生えた乙女心は、複雑なのだ!
 静と玲の外見は、あんまりかわらなかった。
 目立つ変化はお互い髪がロングになっただけ。
 玲の姿を見て静の顔を真っ赤。
(女の子になってもこんなに可愛くなっちゃうのか!?)
 繰り返しますが、顔の造作は変わってません。
「静さん可愛い! 髪もほわほわさらさら! そのままでも可愛いけど、折角だからお着替えしよう!」
 静のお姫様は押しが強かった。
 自分は、ティアラきらきらロンググローブ着用のお姫さまドレス。
 静に軍服アレンジ&短パン&ブーツのアクティブかつフェミニンな衣装を着せる。
 雰囲気に流されてお姫様抱っこ。ポーズをバッチリ決めて、神出鬼没のリスキーに写真を撮ってもらう。
「今夜は寝かさないぜ……夜が明けるまで、今度は玲を着せ替えごっこだ!」
癖になったら、どうしよう!?
 ロッテ、クールな王子様。
(これが殿方の視界……!)
 王子様服に深紅マントは、もちろんフリル満点。
 頭に白い羽を生やした帽子をかぶって……。
「フフ、完璧な王子だ……どうどう? 五月様、わたしイケメ……」
「……なんでちっちゃくなっているんですか私」
 メイド服のスカートは引き摺り、袖から手は出ない。ブーツはサイズ合わない。
「ふわぁ~! 五月様かわいいですぅ!! 写真、写真ですぅ……!!」
「こけますー! 写真撮らないでくださいー!」
 ロッテ、キリリ。口説くぜ。
「麗しきプリンセス、君のハートをトラップネストしたい。恋という名の猛毒と、愛という名の麻痺で、君を痺れさせよう……」
「ロッテ様、その口説き文句は、イケメンぷりが逆に激しく駄目王子っぽいです。てか私メイドです」
 毒舌メイドキタコレ!
「……今ので落ち込んだりしたら傍によって慰めます。メイドだからです……多分」
 デレキタコレ!
「つい……王子の本能がうずうずしちゃったよ……」
 あ、めげてない。
 黒髪ポニーテール、背は低め。
 夏栖斗は、ホラーゲームのヒロインと化していた。
「やばい。マジやばい襲われる!」
 誰に。今やイケメン彼氏と化したこじりさんにだ。
 深夜の城跡公園。
 売店。
 逃げ込む従業員用のロッカールーム。
 クスクスと余裕の笑いを浮かべながらわざわざ端から開けられている気配。
「さて、僕の可愛いDivaは何処でかくれんぼしているのかな」
 こじりは、さらりと言ってのけた。
「見つけたよ、僕のメロウ」
 夏栖斗ちゃん、プルプル。
 身長差があるので、涙目上目遣い。
「こじりさんすごい嗅覚だね。うん犬のビスハだっけ? 洗いたての犬の匂いするよ」
 この間言われたことをまるまるお返し。声、震えてます。
(やばい、面白くなってきた。と言うより女の時の僕より胸がでかいじゃないか)
「イケナイ子だ、お仕置きしてやるぜ?」
 ロッカーに入り込み、退路遮断。
「本気すぎない?こじりさん」
「良い声で啼いてくれよ?じゃないと面白くない、だろう?」
 顔が、顔が近いよ!
「あのさ、こじりさん、そいうの、僕が男のときにやりたいんだけど」
「ああ、キスはしない。大事だからね、取っておこう」
 バッターン!
 ロッカーのドアが閉まりました。
 しばらく近づかないであげてください。
 竜一は、真夏の奇跡によりクラスチェンジした。
(リア充となった俺は無敵。心に住むは恋人の! ユーヌたんのみ! ちゅっちゅしたい! ぺろぺろしたい! うひょおおおおおおおーーー!)
 恋人たん付けか。習性か。
 どう見ても構成要素ユーヌたんです。
「うん、可愛いな、竜一」
 ユーヌの方は縦横伸びただけ。ほとんど外見的変化なし。
 それでも、ちっこくなった竜一のほっぺにちゅうするには腰をかがめなくちゃいけない。
「むー。こまるー」
 屈折した非リア人生による、優しくされたい願望発動!
(ふむ、竜一と思うと物凄く愛おしい、何か胸の奥からわき上がってくるな)
 物言いはクール、行動はパッショネート。
「すりすりしたくなる気持ちも解るな」
 お姫様だっこされれば、ぎゅっと抱きつき返し、嬉しげな竜一ちゃん。
「見惚れてしまうな。私だけのお姫様?」
「私の王子様ー! もうはなさないー!」
 どうして、こうなった。
 この夏最大のミステリーにたまたま視界に二人が入ったもの達は、どざーっと砂糖をはかざるを得ない。 

 畜生、お前ら……。
 まとめて祝ってやるから、覚悟しやがれ!















●倒せなくても挑まなければならない相手がいる!
「是非も無し! 幾千世界の無数のワタシ、その中に男のワタシもいる……! れっつ! とりかへばや!」
 黒スト白石、意気軒昂。
 濃緑のブレザーにチェックのスラックス。焦げ茶の短髪に日焼けした肌。
 どう見ても体育会系。爽やかな笑顔はそのままで。
 うわ、もてる。超もてる。バレンタインの靴箱チョコで埋まる。
(中村とか楠神とかどうなってんだろ……)
 周囲を見回してみれば。
「へえ…これがオレねえ?なかなか男前じゃねえか」
 舌なめずり。着物の上半身を諸肌脱ぎ。
 誰、この色男。
 夢野さん!? 何もかも吹っ切れちゃって!
「一流の戦士たろうとするこのオレが、何故こんな辱めを受けねばならんのだぁぁぁっ!!」
 だめ。大和撫子がオレとか言っちゃ。
 触れたら泣いてしまいそうな儚げかつ楚々とした可憐さ。
 拳骨握り締めて空に絶叫とかありえないし、絶叫になってないから。
 ポソポソってしか聞こえない。
「なんだよ風子チャン、若白髪は消えてねえのか。お肌つやっつやだなあ?」
 にーやにーや。
 白石くーん! 夢野クンが楠神さんにテンプレなセクハラしてるよ~。
「うわあ、誰だお前。気安く見るなこっちくんなぁ!」
 ああ、語尾が消え入りそうに儚い。
「ま、いいや、さあ行くぜ。刃紅郎と阿部サン見に行かないとか嘘だろ」
「て、ちょっとまて! そもそもお前は誰なんだ!?」
 夢野のお目当ては割りとすぐ見つかった。
 銀髪ぱっつん貧乳八重歯ようじょ。
「ひっさつぅ! みらくる☆らいがーすらーっしゅ!」
 え、そんな、まさか。
 いつものお洋服、色々ずり落ちておられます。
「げひたしせんでわれをみるなら……そのめをくりぬいて、いぬにぱくーん!」
 だれか! 皇女殿下に新しい甲冑を!
「ふんさい、じゅうりん、せいふくですぅ!」
 うわ~。発言の殺伐度、あ~っぷ。
「……狼狽えてはいけないわ。戦場では命取りよ 」
 きりっ。
「……体が軽いわね、男の時よりも動きやすいかもしれないわ」
 零六は、クール女子にジョブチェンジ!
 格好良さと美しさが上がった!
 三下臭が消滅した!
 冗談が通じなくなった!
 ……ずっと、そのままでいて下さい。
「ねーね-きさまら、われのためにここでたたかってしんでくれる?」
「ゴォオウォオオー!! ぶるぁ!!」
 答える雄叫び、ほとんどバーバリアン。
 泣くね。LKK団の人達、まじ泣くね。
 リンシードだもん。
「これが……私……? フハ……ヌフハハハハ! なじむ、実になじむぞぉ!」
 うん。素敵にごりマッチョ。
「ゆけ、みなのもの! てきぜんとうぼうは、いちぞくろうとう、うちくびだ!」
 長い金髪に紫眼、華奢。
 ワイシャツ一枚の下に半ズボンみたいになっちゃったボクサーパンツのみというアレな格好。
 ヘルマン、涙目で突撃。
「どうしてわたく……俺がこんな目にいいいい」
「このおおぉぉ!」
 涙目美少女が雷の剣振り回してると思ったら、美散だよ。
 七海は、流し目の似合う迫力系クールビューティ。
 弓を引いて矢を放っ……て、あなたそんな胸当てなしでって……。
 ばいん。
 しゃがみこんだ。
 どこがどうしてどうなったとか、聞かないでね。聞かないであげてね!?

●通りすがりでシンデレラ
 快は、不幸だった。
 ドアを叩くのに忙しくって、服に気をつけろ! という先達のアドバイスを聞き漏らしたのだ。
 結果。
 肩までのセミロング、おとなしげな彼女は頬を真っ赤に染めて涙を浮かべている。
 ずり落ちそうなズボンを必死に持ち上げ、胸元をホールド。
 ジャケット一つでマイクロミニって開き直っちゃった方がエッチくないんだけど、煮えてる頭でそんなことは思い浮かばない。
「率直な感想を聞かせて欲しいんだけど? 体に違和感とかあるでしょ?」
「困りますっ! 写真とかやめて下さいっ!」
 この状況ではセクハラだと思います、リスキーさん。
 というか、貴女タイトスカートお似合いですね。
「オッパイだ! のーぶらオッパイだ!」
 通りすがりの男子ですこんばんは!
(ジブンヲ トキハナツ!)
 そんなマインドで、舞姫、ほとばしるパッションの中三男子にチェンジ!
「おおお……、オレの中から湧き上がるヒートでビートな情熱……なあ、オマエらも元は男なんだから、わかるだろう?」
 わからなくはないが、その対象が自分のオッパイなのはいかがなものか。
「オッパイは、浪漫だ! 本能の赴くままに、ナイスオッパイを堪能するぜ!! ひゃっはー!!」
 そっか~。女子にはこういう風に見えてるんだ~と客観的思考。
 それとは逆に顔に上がってくる血液、なんだろうこの泣きそうになってる気分。
「は、早く鏡を壊さないと……!」
 でも、一歩も動けないの。
「これを着て。サイズは大丈夫♪」
 世の中捨てたモンじゃない。
 先達者のカイがサイズぴったりの女物をシンデレラの魔女みたいにくれたから。
 これで舞踏会にいけるわ。 
 ……あれ?
 いつもどおり。なんでとりかえばやってないんですか?
「どんなに犠牲を払っても、この地獄から生還してみせるっ。攻撃が無意味であるなら『とりかへばや』を防ぐ手段は只一つ……誰かを盾にする♪」
 それで無事なのかよ。さすが第一陣でギリギリまで逃げ惑い続けた男!
「という訳で、守って、守護神!」
 すぐそこにまで、鏡の魔の手が迫っているの! 
「え~」
 今、ズボン上げてる最中ですし。
 ぴっかー。
 遅かった。
 なんか胸が重力に引かれるよ。
 カイったら、またナイスバディだよ。暴走するぞ、ごるぁ!?
「その艶姿をコレ程そそられるとは考えませなんだ」
 顔色悪くてにやけ気味美青年、ステイシー登場。
「おや? 何を否定なされます? 貴方様の一面から生まれた肉衣装で御座居ますぞ。今宵どうか非日常を謳歌なさいませ」
 怒りで打ち震えるその顔もお美しいとか言いそうだ。
「貴方様はお美しい……壊したい程に」
 ひぎー!!
 カイ、暴走。
「メイド服似合いそうとか言うなー!!」
 ステイシーの方が壊されそう。 
 あっけに取られているが、服は何とかなった快の服を誰かが引っ張った。
「少しの間なんだから、楽しめば? それに……笑顔の方が可愛いよ」
 だぶだぶの服に眼鏡をかけた10歳くらいの少年、那雪。
 ナンパサレタ。
 地面にがっくりひざをついて涙の池を作ってもいいですか。
「大丈夫。これは夢、ですよ」
 にこ。
 ミラクルナイチンゲールです、ごきげんよう。
 つうか、一緒に同じ鍋のカレー食った仲だろ。
 どうやったら、そこまで順応できるのか教えて。
「え? わたしは、皆さんに癒しをお届けするのが、お仕事、です」
 なりきっとる~!!
「写真一枚いいですか!」
 まだいたのか美人記者、リスキー!
「綺麗に撮っていただけると嬉しい、です」
 カルテボードと体温計を手に、きめっ☆


 終は後に語った。
「女の子は可憐な姿のけだものです☆ 内側に飢えたエロ親父の如き野生を飼っているようです……」

 ルア、肩だし長袖クモの巣柄。やっぱり小さい。
 ホットパンツ。もちろんニーソ。
 とら、すけすけネグリジェおぱんてぃ男子高校生。
 いつものカッコのまま男子になりました。
 体格変わってるから、ぱっつんぱっつん。
 たっぷりした生地だったから破れてはいないものの、警察に捕まるレベルです。 
「やっだも~、レンちゃんたら、かっわいぃー☆」
 声が太いよ! ニューハーフみたいだよ!
「フフフ、一段と可愛いね」
 金髪おさげを手にとって、キス。
 ルアより更に低い身長。
(身長が更に低くなっている、だと……!? 身長を返せ!)
 眼鏡の奥で見開かれるおめめ。
 制服だし、前髪ぱっつんだし、委員長って感じだ!
「く、来るなぁ!人違いだ!」
 ダッシュ!
「この僕から逃げられると思ってるのかい?」
(ジーニアス最速は伊達じゃないぜ!)
 レンも必死。何されるかわかんないし!
(なんだかスカートがすーすーして気持ち悪い……! 女子はこんなに頼りないものを普段はいているのか!)
「ルアたん回り込んで!捕まえるよー」
 とらは空から追撃。
 ぱんつは見ちゃダメよ? 見えてるよ!
「可愛い子猫ちゃん、つっかまえたっ!」
「フフフ、もう逃がさないよ」
「もぉ、照れなくてもいいのにぃ~♪」
ルアととら、左右から、レンをぎゅーっ。
「うわああああ!は、は、離せえええ」
 いつもの感触と違ってごつい感じに鳥肌。
「僕達、ずっと友達だよね?w」 」
「もう許してくれぇええ」
 物陰から終が涙をぬぐっていた。
「レンきゅん……強く、生きるのよ……」
 達哉、年齢詐称。
 ちっちゃい体に裸Tシャツと人は言う。
 胸元を大きく押し上げる生意気ボディは妹そっくり。
 突き出す生アンヨは犯罪的な眺めだ。
 長い髪はツインテール。
 やかんアンプ踏みつけながらショルダーキーボードで演奏。
「あたしの歌をきけぇーっ!! New☆World!!」
 乙女の夢いっぱいのキラキラ歌詞。
 ぜひ普段の状態かつ振りつきで歌っていただきたい代物だ。
「きゃ~、たつ姉、マジエンジェル☆」
 気を取り直した終は、ラメうちわ振り回し熱狂中。
「KISARA☆ って呼んでー!!」
 城跡公園野外ステージから愛をこめての投げキッス!
「みんなー聞いてくれてありがとー♪ キラッ☆」
 舞姫がひらりと舞台に上がった。 
「巨乳も貧乳も、ょぅι゛ょも熟女も、等しく愛す。オッパイに貴賤無しッ!」
 舞台ジャックだ!
「それがオレのアガペー!! これが世界のジャスティスッ!!」
 通りすがりの元女子、ご唱和下さい。
「「「( °∀°)o彡°おっぱい! おっぱい!!」」」
(この場限りの泡沫のオッパイたち……。幻なんかで終わらせねぇ、オレがこの魂に刻みつけるぜ!
フォーエバーおっぱい!!)

 かつてイケメンこじりさんに翻弄されまくった糾華ちゃんも、
「まあ、二度目となると気分は楽よね。VTSでしょ。うん、楽勝楽勝!」
 五日間も男子だった経験は、人間を成長させるんだぜ。
 切れ長の目に銀の長髪を後ろにまとめて、細身の黒のスーツ。
 スーツの下には赤いドレスシャツ。
 手は黒地の手袋
 胸元には蝶を止まらせて。
 耽美系美少年の出来上がり。
「ああ、やっぱり慣れないなぁ」
「糾華はどうだ? ちゃんと着れてるか? 変なとこは直してやるよ」
 黒のスーツ。鷲のように鋭い目をした危険な香りの青年。
 手を伸ばして、襟を少し直してやる。
 腐れた女子が周囲にいないのが不思議です。
「はのさんも似合ってるし、背も伸びてるし、かっこいいし、ずっるいなぁ」
 そう。普段おっとりぽつぽつしゃべりの羽音なのだ。
「お、格好いいってか?へへ、有難うな。糾華もスーツ姿、似合ってるぞ。イケメンだなっ!」
 なんとなく口調が恋人の影響を受けてる気がしないでもない。
 年上の分、かっこよさ倍盛りだけど。
「似合ってる? ああ、そう? うん、可愛い可愛い……なんて、ね」
 生意気な口を利く糾華の頭を、羽音はにかっと笑ってくしゃくしゃとかき回した。
「そこの元おねーさん。そっちの元お嬢さんとくっついて。ホラ早く。もと女性のあなたたちなら抱き合ったりするのにも抵抗ないでしょ?」
 敏腕女流記者リスキー、華麗に撮影。

●ここから肉食系ゾーン
 ここは公園。ベンチがある。
 そしてベンチには阿部さんが座っていなければならない。
 いい男がいい女になるだけで、なにも変わらない風景というものがある。
 服装はいつもどおりツナギ。
 AFのベンチにすわり元男を誘惑。
 世界の真理である。
「やらないか」
 胸回りと尻周りのボリューム大な40代熟女。
 服は男のままなので、胸元のボタンが飛んでいる。
 髪は伸び放題といった感じのロング。
 龍治、いい女のビーストな視線独り占め。
「分かった、ついていけばいいんだろう!?」
 受は、何もかも受け入れちゃうから受なのである。
「良かったのかい?」
「べ、別にこういう趣味という訳じゃないぜ。本当だ!」
 涙目の龍治に、阿部さんいい女スマイル。
 ガチムチ系百合って、需要のあるのか教えてえらい人。
 宵咲 氷璃はノリノリだった。
(とりかへばやの鏡――アレを試す絶好の機会ね楽しみだわ。ふふっ……)
 見た目は20代後半、身長高め。無邪気そうな雰囲気の紳士風イケメン
 服装はシルクハット、燕尾服、モノクル。
(早速……沙織の十八番、ナンパと洒落込もう前々から興味はあったんだけれど、色々と都合が悪いのさ)
「Bonsoir. 浮かない顔だけれど、この状況を楽しまなければ損だよ?」
 積極的に動いてない元女性な男性をターゲットに声を掛けようとしていたセリオに声をかける。
 だって、消極的な人、いなかったんだもん。
 みんなノリノリだったもん。
 泣いてるの、女の子……みんな元男だけだったもん。
「ふふ……浮かない顔なのはお互い様だわ」
 (せめて、色っぽく! ここはやりとげる!)
「どういうつもりかって?ふふっ、勿論――遊びだよ。でも、遊びから始まるロマンスもあるんじゃないかな?」
まぁ、からかって遊んでるだけなんだけどね
レイチェル・スノウフィールドもノリノリだった。
髪は短く、赤系のシャツに白のタキシード。さっぱりとした印象を与える美青年。
 グレコローマンな水着を着た奏音に声をかける。
「僕の名は……いや、必要ないか。一夜限りの幻想さ。けれどそれでは、君は僕を呼ぶのに困るよね」
空を見上げ、こう言った。
「今夜は月が綺麗だ。だから、この幻想的なまでの月明かりにちなんで、こう呼んでほしい。Mr.フェアリーライト、と」
(好奇心の赴くままに~♪)
 奏音は、Mr.フェアリーライトの手をとった。
「おいで、踊ろう!」
 しばし、ちょいと粋なステップで Up Side Down。
 ぼんやりと光をまとう奏音は、妖精の灯火を名乗る男のパートナーにふさわしい。
「ねぇ、今夜、予定はあるのかい? なければ僕と…いや、やましい気持ちなんかじゃないんだ! ただ……君と一緒にいたくて」
 
 その時。
 遠くで何かが割れる音が聞こえた。
 
●とりかへばやの最後
 性別が判らないほどよぼよぼな老人。
 黒いロープ羽織った悪い魔法使いのよう。
 アンデッタ、どうしてそうなった。
「ククク、こうなれば全員道連れぢゃ……ものども! 鏡を守れい!」
 は~い。と、ノリが軽いクロリス。
 大体予想通り、いつもはしてない部分まできっちり女の子仕様で来たのが無駄にならなくて、ご満悦。
(カオスは長いと楽しい)
 とりかへばやの鏡が攻撃受けてたら、そっと回復。
 鏡よ、鏡よ、鏡さん。元気になぁれ。
「ここは私が食い止めよう。君はあの回復手を止めるんだ」
 心、キリ。
(とか言うデス! キャー!! もうキャーーー!!!)
 赤毛の青年が振るプレートガチャガチャ鳴らして、ぴょんこぴょんこ跳ねてるぜ。
 その金属音をものともせず、イーシェ、突貫!
「やめろーッ!それが貴公らアークのやり方かーッ!?」
 騎士イーシェ、わりこみ!
「気分の問題です!」
「ぐふっ!」
 強くなってないですよ?
「な、なぜ……男の体になったから強くなっているはずなのに……とりかへばやとは一体……うごごご」
 肉体の性別差なんて、誤差の範囲ですよ?

 とりかへばやの鏡が自壊する。
 ぼろぼろとこぼれていく鏡の破片。
 鏡を庇って周りの攻撃を受け倒れ伏せるアンデッタ。
「ク、ククク……私が倒れても第二第三の実験は行われる……その時を楽しみにしておくのぢゃな……!」
 それは魔法使いの今わの際の呪いにも似て……。
 
『……お疲れ様でした。覚醒シークエンスを開始します……。バイタルチェックもしますので、お楽にしてお待ち下さい……』


 ドアにかけられた電子ロックが外れた。
 彩歌がいの一番にVTSルームを出ていく。
(有給取らないと。家に帰るのよ。正面から向き合ってくる)
 総合カウンターに突進していく。
「「「黒歴史……」」」
 呟きながら、ふらふらとアンデッドのように部屋を出て行く者もいる。
 悲鳴と「申し訳ございませんでした~!!」と地べたに五体投地する音も聞こえてくる。
 楽しそうな笑い声、虚脱した笑い声。
 ああ、人とはかくも豊かな感情表現を持ち合わせているのだと、モニタールームで見ていたイヴは、おすそ分けをもらったような気がして、ほんのわずか楽しそうな笑みを浮かべた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 リベリスタの皆さん、お疲れ様でした。
 女子、こええ。
 でも、あれが女子だね。
 女子が女子のノリを男子の体力でやると、すげえ怖い。 

 色々すんげえ変身ぷりを見せていただきました。
 それにしても、お砂糖ゾーン、ほんとに砂糖はき続けたよ。
 ゆっくり休んで、次の仕事頑張って下さいね。
 またの実験の参加お待ちしております。