●狩人は潜む 「お、おお?! でっけぇぞこれは!」 日が昇るか昇らないかという朝方の時間帯――とある湖において、二人の男性の声が響く。 「なんだいカーくん! 大物かい!?」 「スケさんや、大物だぞこれは! ワシの大物記録を更新するかもしれんぞい!」 「カーくんカーくん! 君と一緒に釣りをして十年になるけど、君が大物釣った所なんて見たこと無いんだけど?」 「釣ったわい! この前、そう――脳内で!」 「カーくんカーくん! 脳内ソースはノーカウントだよこの野郎!」 言い争いなのかコントなのかよく分からないやり取りをしながらも、カーくんと呼ばれた年配気味の男性は竿を引き続ける。 竿が大きくしなりを得ているその様子が、かかっている魚の大きさを物語っている。男性は勿論のこと必死だ。 ――だからこそ気付いていない。自分たちの直ぐ近くに狩人が潜んでいることなど。 「ぬぐぉおお……逃さんぞ、ワシの獲物……ワシの朝飯――!」 「カーくんカーくん! 釣った獲物を朝飯にする予定は無いよ!? リリースする予定だよ――」 その時だった。 突如、元気の良かった二人の男性の声が途切れる。そして同時に辺りに響く激しい着水音。 その音が成り止む頃には二人の男性の姿は消えていた。――水の中へと、だが。 何が起こったのか。あまりに一瞬の事に二人は恐らく訳が分かっていないだろう。 それはそうだ。一体誰なら予測して、なおかつ理解まで出来ると言うのだろうか。 この湖に大型のワニが生息しており、自分達を今まさに水中に引きずり込んでいるなど。 ●狩人を狩れ 「知ってるかい? ワニってのは生態ピラミッドの中でも上位にいる生物なんだぜ?」 呼び出されたリベリスタ達にそう告げるのは、『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)。 何の事だ――という表情を浮かべる者達に対して、伸暁は言葉を続ける。 「万華鏡が予測した。朝方に釣りを楽しんでる御老人方を襲撃するワニ野郎がいるらしい。……しかも、三体もだ」 「え、日本にワニ?」 思わずこぼれた疑問の言葉。しかし、当然ともいえる。 基本的にワニは日本には生息していない。もっと暖かい気候の場所に住んでいるのが普通のはずだが。 「さて、ねぇ? なんでワニが三体も居るのかなんて俺は知らないよ。……ま、どっかの家から逃げ出しか、それとも捨てられたかのどっちかじゃないかね」 伸暁はともあれ――と、続けて。 「呼び出された時点で見当はついてるだろうが、こいつらはエリューションだ。しかも一体はフェーズ2。……厄介だとは思うが、犠牲者を防ぐ意味も込めて宜しく頼むぜ?」 そこまで言って、伸暁は資料を置いて退出しようと……した所で一旦、リベリスタ達の方向に向けて振り返る。 「ああ、そうそう間違っても水の中で戦いを挑もうなんて思うなよ? 最初に言ったよな。ワニは、生態ピラミッドの中でも上位に位置する――って。なるべく水際から離れて戦うのを強くお勧めしとくぜ?」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年04月22日(金)23:21 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●爺さんズ 「スケさんや! 絶好の釣り日和じゃの!」 「カーくんカーくん! まだ日も昇って無いよ! 釣り日和かどうかなんて分かんないよ! 遠まわしに言うけど――ボケてんの!?」 「お、思いっきりストレートじゃの君は!?」 早朝の山の中、二人の老人の声が響く。周囲は薄暗い――いや、日が昇る前であるため、薄明るいというのが正確か。ともあれ、二人の周囲は淡い日の色が支配している。 手には大きめのバックを抱えており、恐らく釣りの道具が入っているのだろう。大事そうに抱えながら湖に続く山道を歩き続けている――のだが、 「失礼、少し宜しいだろうか?」 そんな二人の前に『負けフラグの具現者』ツヴァイフロント・V・シュリーフェン(ID:BNE000883)が脇道から現れ、声を掛ける。 「ん? なんじゃアンタは?」 「私はフリーの情報屋だ。今日はちょっとここに、用事があってね」 用事? という表情を見せる爺さんズに対し、ツヴァイフロントは言葉を続ける。 「実は、密輸組織がこの付近に狂暴な鰐を逃がしてしまったらしくてな……そのスクープの証拠写真を撮りに来たんだ」 「わ、鰐じゃと?! 本当かそれは!?」 「本当ですよ」 鰐と聞いて狼狽する老人二人に今度は『血に目覚めた者』陽渡・守夜(ID:BNE001348)が言葉を紡ぐ。 守夜の服装はいつもの彼の服装では無い。害獣駆除業者の服……まぁ簡単に言うと作業着だが、とにかく今の彼の服装は“その道の職業人”と言った感じだった。 そしてその守夜に続いて『Blessoffirearm』エナーシア・ガトリング(ID:BNE000422)も姿を現した。守夜は一度エナーシアに視線を送り、 「この先の湖に出るようですので、猟友会の方にも来てもらっていますし」 「湖に!? む、むぅ……ワシら、そこに釣りに行きたいんじゃが」 「駄目よ、危険だわ。……これから駆除を行うから、また今度来てちょうだい」 エナーシアの言葉に嘘は無い。鰐が出るのは事実であるし、“駆除”をこれから行うのも事実である。 まぁ全ての事情を話している訳ではないが――それは話せるべく無い事だ。 「むぅ、どうするスケさんや?」 「……仕方ないねカーくん。今日は出直そう」 暫く悩んでいた爺さんズだったが、鰐が出るのでは仕方ないと――帰る決心をしたらしい。 しかし数秒後には忘れたかのように元気になると、足取りも軽く来た道を戻っていく。そして――彼ら二人の姿が見えなくなった頃に、 「早朝の山は空気が綺麗ですねぇ~」 錆びない心《ステンレス》鈴懸 躑躅子(ID:BNE000133)がそう呟いた。躑躅子は陽気な口調で言葉を告げながら、人払い用の結界を張る事を忘れない。 「お爺さん達も帰られたみたいですし、後は……」 「ああ――件の鰐だけだ」 ツヴァイフロントの視線が湖に向く。あの地には、今もいるのだ。 狩人を逆に狩ろうとしている悪魔が。 「鰐か、倒したら食いたいっすね」 「……私は遠慮しておくわ。臭い抜きしないと臭かったりするし」 しかしここにもいる事を忘れてはならない。 その悪魔を狩ろうとしている狩人達が居る事を。 ●我らこそが狩人 「ふむぅ、この木は使えそうですな」 時を同じくして『怪人Q』百舌鳥 九十九(ID:BNE001407)は、湖から少し離れた木の幹に手を当てる。 見た感じは少々年老いた感のある木だが、触った感触は違う。どっしりとした感触が手から伝わってくる。これは、まだまだ良い木だ。 「こっちでも良いのを見つけましたよ。探せば結構ある物ですね」 「周囲も比較的戦いやすそうな場所のようだ。当たりだな」 九十九に応える形で『カムパネルラ』堡刀・得伍(ID:BNE002087)が言葉を繋ぎ、『山猫ヒーロー』ジョン・リンクス(ID:BNE002128)は木を見上げながら呟いた。 彼らが捜していたのは三m以上の高さを持ち、そして衝撃になるべく耐えられそうな木だ。湖周辺に到着した頃からその条件に見合う木を探していた彼らの苦労は今実を結び、 「俺も釣る準備は出来たぞ。後は、爺さん達の相手してる皆が戻ってくるのを待つだけだな」 そして丁度良く『やる気のない男』上沢 翔太(ID:BNE000943)の準備も完了したようだ。片手に簡易的な竿を持ち、何時でも鰐を“釣れる”ようにしている。もっとも、釣ると言っても囮的な意味でだが。 「と、噂をすればなんとやらみたいですね」 得伍が視線を向けた先、そこには先程老人達の説得を行っていた面々の姿があった。彼らが帰ってきたという事は、説得は成功したと言う事。 つまりこれで、準備は本当の意味で整ったことになる。 「こっちは終わりました。そちらも……大丈夫みたいですね」 「ああ、戦闘場所のチェックも終わった。準備は万全だ」 守夜の言にジョンが返せば皆の空気が変わる。――戦闘の、空気に。 「じゃ、今から釣ってくるわ。20mはここいら辺だから……準備宜しくな」 翔太が静かに告げれば、彼の脚は湖へと向かう。片手には釣りの道具、そしてもう片方には自らの位置を知らせるためのライトを持ちながら。 太陽は昇り始めており周囲は段々と明るくなり始めている。しかし、湖は暗い。とても――暗い。 これでは湖に狩人が潜んでいても気付ける者は少ないだろう。ただそれは、何も知らない者ならの話であるが。 「よっ――」 湖の一歩手前まで来た翔太は一度ライトを空に照らし、後方の仲間達に存在を伝える。湖を照らして狩人に気付かれないように注意しながら彼は、 「とっ!」 思いっきり竿を振るう。餌として事前に手に入れていた小動物を括りつけており、竿の軌道は大きく弧を描いた。 そして湖に大きな着水音が――鳴るよりも早く、 「!? うぉ! これはまずい!」 翔太が竿から手を離す。そして駆ける。先程まで自分がいた地点、想定戦闘場所へと。 次いで、一瞬遅れて湖から水の大きく跳ねる音が響く。ただしそれは一つでは無い。――三つだ。一つは餌の落下地点付近で、二つは湖の岸付近から。 「――カァッ!!」 音と同時に獣が啼き、潜んでいた狩人の存在を露鰐する。 二つの影が地上へとまずは上がり、そして翔太が投げ入れた餌を竿ごと喰い破った大きな影も上がる。 釣り場の悪魔たる彼らは、今地上へと姿を現したのだ。 「――ァァア!」 最も大きな体格を持つ鰐が一際甲高い声を鳴らす。それは一種の主張である。 人の言葉で表すのならこう言ったのだろう。 ――獲物はどこだ―― と。 ●リベリスタVSハンター 「来たかっ……!」 大きな水飛沫を確認したツヴァイフロントは幻想纏いより出現させたバス停を障害物に見立て、自身の武器を構える。 狙うはこちらに向かって走ってくる翔太の後ろ、三体の鰐だ。 「さて、それじゃあ――始めましょうか!」 エナーシアがショットガンを構え、続けざまに引き金が絞られる。 四発――いや、計五発の散弾が浴びせられる形で鰐に振るわれ、彼らの足を僅かに停止させた。 次いでそこに、 「動きを止めます!」 木の上に陣取った得伍が小さな型の鰐の一体に気の糸を流し込んだ。 丁度停止した一瞬のタイミングと重なったその攻撃は、見事に鰐の動きを封じ込める事に成功する。が、まだ動きを封じただけであり、自由な二体も残っている。 「カァッ、ォ!」 ともすれば早速だ。銃撃により一瞬怯んだ鰐達だったが、即座に体勢を立て直すと自由な二体が後衛陣に向けて同時突進を開始する。 勢いを付けて向かう獣が二体。 そしてその突進の前に立ち塞がる人影も二つ。 「そう簡単に突破させない!」 「あなたの相手は――私です!」 守夜と躑躅子の両名だ。躑躅子は大型の鰐の突進をその身を呈して止めに掛る。腕を畳み、真正面から攻撃を受ける形だ。しかし、覚悟を持って挑んだ防御は簡単には崩れない。――鰐の突進を完全に受け止めていた。 守夜は逆だ。防御によって止めるのではなく、攻撃を行って鰐の行動を阻害した。右拳に炎を纏い、鰐の頭部――特に目を殴りつける形で無理やり進行を止めさせた。 しかし、 「グォォオッ!!」 ダメージが少ない。強靭な鱗を持つが故にだ。雄叫びを挙げる余裕が、未だに残っているのがその証拠と言える。 「なら弱ってる方から片付けるか」 ジョンは声とほぼ同時に、手に持つショットガンから銃弾を放つ。狙ったのは、動きの鈍っている小型の鰐だ。 しかもこの攻撃はただの銃攻撃ではなく―― 「ゴ、ガァ!?」 魔力を込め、貫通力を高めた特別な攻撃だ。 自慢の鱗を僅かにだが貫通したその事実に、鰐は困惑する。 「綺麗な風穴だな。モンスター」 「――ガァァ!!」 「ついでにもう一つどうぞ」 馬鹿にされた事に怒りを露わした鰐が、口を開いた瞬間。それを九十九は見逃さなかった。 大きな口の中にこれまたショットガンの狙いを定め、冷静に引き金を絞る。 銃声と同時、一つの命がこの世から去った。 「まずは一体か……!」 後方で体勢を立て直した翔太が現状を整理するように言葉を放つ。残りは二体、守夜と躑躅子が必死に止めてくれている。 「ならば、早々に他二体も片付けるとしようか」 ツヴァイフロントが身を伏せながら小鰐の頭を狙い、攻撃する。何回か強固な鱗に弾かれはするものの、それは確実にダメージを蓄積し始めていた。このまま行けば小鰐は容易に倒せるだろう。 だが、大鰐の方は事情が違った。 「――くっ!」 躑躅子から息を飲む声が聞こえる。大鰐の攻撃は流石に耐えるにしても厳しいようだ。 機械化している左腕からも軋む音が。 「まずい……あの大鰐、突進しかしない……!」 小鰐に集中的に攻撃を加えているエナーシアが焦りの表情を。 元々、鰐の鱗部分が硬い事は分かっていた。だからこそ鱗の無い部分が見える攻撃の時にこちらも攻撃を仕掛けるのが上策だ。 しかし、その部分をなるべく見せない攻撃ばかり仕掛けてくるとなれば話は別だ。攻撃がとにかく通りにくくなる。 「この小鰐もさっきから……!」 「ええ、そいつは防御に徹しています!」 既に疲労困憊気味の小鰐だったが、その小鰐は攻撃を捨て、防御に徹していた。 それに真っ先に気付いたのは、直接相対している守夜と木の上からトラップネストを放ち続けている得伍の二人である。小鰐は、大鰐の援護をしているのだろう。自分が攻撃を耐えることによって、大鰐へ攻撃が集中するのを防いでいるのだ。 「このまま時間を掛けられるのはまずい……ならば」 「ああ、面倒なのは早めに終わらせるべきだな」 翔太とジョンが互いに顔を合わせ、小鰐の両脇に回り込む。正面に守夜、左に翔太、右にジョンという組み合わせになり、 「わりぃが早く寝たいんだ、倒れてくれな!」 吠えるように言葉を吐く。と、同時に三者の動きが同じモノとなった。 ――攻撃の構えだ。 一人は己が炎の拳を振るい、一人は己が剣を僅かに開いている小鰐の口に向け、一人は己が膂力を爆発させ―― 「――クァ!?」 小鰐の体に三つの攻撃がまさに“浴びせられた”。 三方から襲い来る衝撃は、如何に硬い鱗を持つ者と言えど耐えきれるものではなく、その意識は一瞬の後に二度と戻らぬ暗い闇の底へと落ちて行く。 「後一体……!」 小鰐の最期を見届けた得伍の視線が大鰐へと即座にシフトする。するとそこには、 「援護しますぞ躑躅子さん!」 躑躅子と大鰐の間に割って入るのは、九十九だ。叫びながら、本日数度目の引き金を絞り上げる動作を。狙うのはやはり鱗に覆われていない目で。 「――ギャッ!」 「ふっふっふ、目まで鱗には覆われてませんでしょう」 正確な射撃が功を奏した。慣れぬ痛みに、大鰐の体が揺らぐ。 「畳みかけましょう! 今なら……!」 全力で防御していたとは言え、ダメージの残る躑躅子が声を張り上げる。 彼女の言う通りだ。残るは一体。そしてその一体は今、怯んでいる。 そんなチャンスを―― 「見逃す訳無いじゃない!」 エナーシアは見逃さない。連射音が鳴り響けば、精密な狙いを持った銃弾が鱗に覆われていない部分へと吸い込まれていく。 「もう一息、追撃するぞ!」 叫ぶツヴァイフロントが大鰐へと高速の動きを伴って接近する。その姿が、残像を作りだす勢いとなった頃に武器を構えて乱射。空になった薬莢が地面へと転がれば、 「ゴォォオァァ!」 大鰐が暴れ出す。尻尾を振り回し、体をよじらせて全力で抵抗を試みている。 大鰐は理解が出来ていない。自分達は、狩人だ。自分達は、狩る側だ。 なのに、何故自分達は今こんな状況に成っているのだ――そういう思考が脳を駆け廻っている。 「さっきまでのお返しです……!」 躑躅子が言葉を呟く。 悪あがきをする大鰐を見据えて、剣を構え、全身の力を一点に集中させて―― 「っはぁ!」 ――勢い良く、大鰐の口に剣を突き刺した。 しばらく痙攣を繰り返した後、大鰐はその動きをゆっくりと止めていく。 「……ミッションクリア。作戦終了だな」 まさしくその通り。ジョンの一言は、戦いの終わりを告げていた。 悪魔は今、消えたのだ。 ●悪魔の行方 「流石に疲れたな……ちょっと寝るわ」 戦いが終わって数刻。翔太は湖のほとりで横に成っていた。 ――のだが、そのさらに横では、 「エリューションって食えんのか?」 「……焼けば大丈夫じゃないですかね。多分」 焚き火をしていた。正確に言うと、肉を焼いていたのだ。 何の肉? そんなのは決まっている。 「とりあえず、喰いますか?」 九十九がジョンと守夜の二人に焼いた肉――先程の鰐の肉を差し出す。 鰐は旨いらしいが、果たしてエリューションの肉は大丈夫なのか。 一抹の不安を抱えながら肉に噛みついてみれば、 「だ、大丈夫ですか……?」 「……ん、ああ。大丈夫みたいだな。ちょいと硬いが――喰えん事は無い」 得伍の疑問の声に、ジョンが軽い調子で言葉を返す。 どうやら大丈夫ではあるようだ。美味では無いようだが…… 「あ、そういえば」 戦闘の時とは違い穏やかな雰囲気に戻った躑躅子が、左腕を押さえながら思い出した様に言葉を紡ぐ。 「中国の龍は鰐のイメージが原形という説があるようですけれど、ひょっとしたら今回の鰐も、フェーズが進めば龍になって雨を降らせたりするようになったかもしれませんね」 「と言う事はだ。彼らは今、龍の元を食べている訳でもあるのか……中々貴重な体験だな」 ツヴァイフロントが武器の手入れをしながら躑躅子の言に頷く。 「……ワニねぇ。フロリダの湿原以来だけどまさか日本で倒す事になるとはね……」 そしてエナーシアが焚き火を遠目に眺めながら、誰にでも無く小さく呟く。 と、同時。朝日が完全に出てきたようだ。湖が照らされ、光が満ちる。 湖に潜む悪魔の影はもう無い。 狩られた者の行先は、ただ一つ。 「……硬いですなーこの肉……」 ――狩人の胃袋の中だけだ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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