● 虹色半透明のなめらかな胴体。 美しい鏡面の巻貝様殻。 ぬめぬめ、ぬめぬめとカタツムリが動き回ると、ぬるぬるとした跡が残る。 跡は、明確に文字の形をしている。 『……が、耳元で囁いた。今こそ目覚める時だと!』 ● ふぎゃーっと悲鳴を上げたリベリスタがいたが、『リンク・カレイド』真白イヴは、華麗にスルー。 いつも通りに、モニターに資料を表示している。 モニターの中には、こっぱずかしい妄想文章をぬめぬめコンクリートの壁に虹色プリントしていくカタツムリが延々と映し出されている。 「という訳で、三高平市防疫強化施策。略して【三防強】の一環。夏だし、いらいらするものはお盆が来る前に片付けて、気持ちよくご先祖を迎えたいと思うのが人の常。」 言いたいことは分かりますが、あなたの口から出ると違和感がすごくあります。 この班は、カタツムリ担当とイヴは言う。 「ちなみにこのカタツムリ、紙を食べてその内容を殻に蓄積。分泌液をインク、体をプリンタヘッドと化し、インクジェットプリンタの要領で、大きな壁面の上を這いずり回って、分泌物を排出、ぶっちゃけ印刷しまくりたい欲望に駆られている」 なんですか、そのはた迷惑なカタツムリ。 「目的は、排除とカタツムリが汚した壁掃除」 え~。と、リベリスタからブーイングの嵐。 壁掃除とかは、別動班の人がいつもやってくれるじゃ~ん 「みんなが三高平に引っ越してきた時、それなりにごみが出たんじゃないかと思う」 唐突にそんなことを言い出したイヴは無表情。 「そのとき意を決して、何か捨てた人もいたんじゃないかと思う」 ぎく。 「で、めんどくさいから、ごみの分別を適当にした人もいると思う」 ぎくぎく。 「今回、カタツムリが最初に確認されたのは、燃えないごみの集積所」 ぎくぎくぎく。 「今、カタツムリがそれなりにあちこちの壁面にいろいろ印刷してるんだけど、誰が書いたのか特定出来る程度に個人情報が流出しているのがあって……」 もう心当たりがありすぎて、心臓の鼓動が激しくなる一方。 「なんていうか、この班の選抜基準は、ある意味温情……?」 空調が効いているブリーフィングルームで、背中に冷や汗がどばー。 「壁の清掃、別動班の人に頼む?」 「いえ、自分らが責任をもってやらせて戴きますっ!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月04日(木)22:09 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● リベリスタ達は、空に飛び上がり、虚空に意識を飛ばし、地面を駆け、かつての自分の痕跡を探して回るため、三高平中に分散した。 願わくば、誰の目にも触れませんよーに! ● 「デパートの東壁面に、君の名前入りの答案が……ぷぷぷっ」 努めて冷静に伝えようとしていた『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003) は、我慢しきれず噴き出した。 咳払いしても後の祭りだ。 「それはともかくとしてだ! 写メ、読み上げ、口外は絶対に禁止にしよう! 魔王! 早速読もうとするな!」 ぎゃーっ!! 『鉄腕ガキ大将』鯨塚 モヨタ(BNE000872)は、デパートに向かってダッシュした。 AFを切ると、雷音は、クラスと名前だけは先に掃除してやることにした。 気持ちいいほどみっしり0点。 丸つけるべきとこに☆とか書いてたら、バツだから。 飛行しながら、カタツムリとその副産物を探していたのだが、第一号がモヨタの赤点答案用紙だったのだ。 (やべ、一学期の赤点テスト、全部こっそり隠してたんだよ……母ちゃんに見つかったら残りの夏休み中、学習ドリル漬けにされちまう!! なんとしても証拠隠滅しなくちゃ!) 絵に描いたようなオベンキョ嫌い小学生、この掃除に残りの夏休みが掛かっていた。 (掃除などは本来余のするに相応しい仕事ではないが、特別に手伝ってくれるわ) ごしごしとモップで壁をこすってたりする、『どんとこい黒歴史』大魔王 グランヘイト(BNE002593)陛下。 下々の苦悩も飲み込んで自らの力となさったりする一環なのだ。 親切心とかじゃないんだからね!? ほっかむりしてゴム手袋して、裾をからげた着物着たにゃんこが、ぶくぶくと泡をあわ立てて壁をごしごししている。 しかも、ジャパニーズボブテイルキジ色系三毛オス、お目目緑の超レア。フォルムはまん丸なのだ。 はしごの上の『千歳のギヤマン』花屋敷 留吉(BNE001325) さん、下には子供たちが集まっている。 ここ、デパートだし。着ぐるみだと思われてるみたい。 で、お掃除しながら、次のカタツムリも探すのだ。 「ふふふ。余の目から逃れることはできぬ。『お前を困らせるとも思ったけど。恋の天使が耳元で囁いた、今こそ目覚めるときだと! 性別なんか関係ない、俺と付き合ってくれ!』? ふむ? そちら方面に目覚めるという文脈とはおもわなんだな」 あらぬ方向を見上げつつ、棒読みする陛下。 ふんぎゃーっ!と、猫が踏み潰されたような悲鳴が上がった。 『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)だった。 ● 『ミラクルナイチンゲールのカッコ見たのがきっかけだけど、普通のカッコのお前を見ても……』 陛下の朗読は、現場に移動するため掃除道具を載せた大八車ひきながら、続いている。 智夫はめそめそしながら、大八車を押している。 普段だったらとっくに脱走を試みているが、今回ばかりは逃げる訳には行かない。 自分で消さなきゃ。 『2次元インワンダーランド』羽柴 壱也(BNE002639)は、生なネタに触れて上機嫌だ。 男子が出したラブレターの受け取った相手もまた男子。 我々の業界では、至宝ですっ! その熱をはらんだ視線も痛い。 (出来心で、『オーバルさんが捨てたゴミに紛れ込ませれば判らない』と思ったせいでっ) 「あそこだぁ。あれ? なんか、人がいっぱい……?」 マンションの壁面いっぱい、 魔法の看護婦・ミラクルナイチンゲールは、三年位前爆発的にはやった魔女っこアニメ。 「なかなかかわゆすな」 「実写プロモーションとは。新アイテム発売ですかな?」 白に水色のピンストライプのふわふわワンピースにフリルのエプロンにナースキャップ。赤い十字のアクセント。 足元は純白のナースサンダルに、白いオーバーニーソックスが絶対領域を形成。 両手に注射器形ロケットランチャーを抱え、決めっポーズをしているのは。 「……あのお姉ちゃん……。このお兄ちゃんの……! ……え? え? マジ!?」 『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット (BNE000313)ちゃん、そんな大声で。 「拙者、消えてしまいたいでござる……」 大八車の下にもぐりこもうとしている智夫君、当時14歳のお写真。 リアル中二の頃にやったことだから! というか、君が消えるんじゃなくて、あれを消そうね。 「普通にかわいいよね! あれ撮っちゃだめ? だめ?」 留吉さん、許してあげて。 人ごみは途切れず、結界張っても効かず、強結界張ってやっと半減して。 後は 力づくってみました。 ミラクルナイチンゲール(実写版)、大人気~。 ● 「見つけたぞ。作文だ。ただ、名前に該当者がいない。急いで掃除したい人もいるだろうから、ちょっとだけ読んでもいいかな」 お掃除は他の人に任せて、空から捜索中の雷音から発見情報。 「竜魔神ドラゴフェノメノンとか」 (くくく、やつも大した強敵ではあったが余の力の前では無力であったわ) 「勇者ディングとか」 (余の闇のオーラを剥がすところまではよく健闘した) ほくそ笑む大魔王陛下。すべて彼の前にひれ伏した者達だ。 「え、グランへイトのなのか? あとは、なんというか、とても心温かくなる内容なのだが……」 ホギャアアアアアアアア!!! 大魔王、猛ダッシュ。 読み上げない約束のため、大変ぼかされた感想ありがとう。 「それと、小学校の壁にも複数ある。また連絡する」 小学校の壁には、数種類。 『……えない』というのが読めた瞬間、壱也は喉で声を殺した。 ”言えない、男の子と男の子がくんずほぐれつしている様が見たくて男子校に忍び込んだなんて。 言えるわけない、警備員に捕まったなんて。 言っちゃいけない、そこまでして収穫ゼロだなんて!” から始まる日記。 男子校に侵入し、体育館やグラウンドで仲睦まじい男子を堪能し、教室で手をとるでもなくとらぬでもなく、まもなくくんづほぐれつですねわかりますな男子二人を発見したところ、不審者女学生御用。 収穫ゼロという点が黒歴史ですね、わかります。 写真の一枚。音声データ、せめて決定的瞬間を網膜に焼き付けてきたかった! (全部全部消してやる……っ!) アーク特製洗剤をスポンジにぶちまけると、驚きの速さで虹色を覆いつくすように泡まみれにする。 カタツムリをつまみ上げると、笑顔で握りつぶした。 振り返ると、どうやって接したらいいの、俺わかんないと当惑した様子の智夫と『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406) 。 二人組、何気に仲いいね。 ごみだし一緒にするくらい仲いいんだよね、ね、ね? なんか腐女子心そそられるよね。 逃げるな、待て~! 話を聞かせて、出会いから現在に至るまで事細かく微にいり細にいり~。 ● モヨタの幼稚園連絡帳、『お漏らししたので予備のパンツをはかせました』をみーちゃったみーちゃった! と、はやしたてる小学生とモヨタのおっかけっこをフォローしている間に、続々とカタツムリ発見報告が入る。 『BlessOfFireArms』エナーシア・ガトリング(BNE000422)は、困惑していた。 (……11歳の頃の日記ね。昔は一々葬った奴を記録してたのよね) 誰のあれをあれしてどうしたこうしたという詳細な殺人日記が、小学校の壁に数百。 ラテン語混じりの英語の上に癖字の筆記体なので、暗号に近い。 そこに、小学生がたかっていた。 「かっけー!」 「呪文だ、呪文ー! えるえろひむとか書いてあるぞー」 「何で読めんのー」 「まほうつかいのこども、なめんなー!?」 三高平は神秘の都市。 先祖代々魔術師さんも住んでいる。 ラテン語とか基本だね。マルチリンガル。 「お掃除したいんだけど……」 呪文じゃないと中身を説明することもできず、スポンジ片手にこまったちゃんなエナーシアさんだった。 『トリレーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)は、ピンポイントでカタツムリをつぶした。 民家の壁に、”失踪してごめんなさい。事情があって会えないけれど私は元気です ”と、時々したためている手紙の反故にしたものが、切々と転写されている。 「歌詞のようねぇ。『愛してる』とか、『会えないくてさびしい』とか」 その家の主、老婦人はにこにこしながら庭の中に招き入れてくれた。 三高平は、運命のいたずらで元の場所にとどまることができなかった人が集まる町。 そうですね、としか相槌が打てない。 「いつかおうちに帰れるといいわねぇ。応援したくなるようなな中身ねぇ」 ええ、いつか。ほんとうに。 歌詞というなら、『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)の前には虹色ポップ字体で、魔女っこアニメED的ポエムが展開中だった。 恋はレモンの香りで小鳥さんに王子様に白い翼で迎えにきてと伝言したわ星空デートで胸きゅん夢見るお姫様ラブマジック……な内容を一瞥するやいなや。 追いかけないで、剣戟はミラージュ、乙女なポエム、お空の彼方へ、ついでにブロック塀も一緒にグッバイ。 「こっちは終わり。塀の中まで浸透してたから、残念だけど。修理代、お給料から引いといて!」 (これ、人に見られてたらフィクサードに堕ちてます、わたし……) かつてプリンセス☆ MAIだった一人のリベリスタの心が救われた! 『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)は、苦笑していた。 ”きょうわ、おにいちゃんと、とめるときもまずしきときもおして、ちゅーしました。もうちゅーしたので、しょおらいはおにいちゃんとけっこんおします” から始まる、おにいちゃん大好き日記帳。 (一応今も嫌いという訳ではないのですけれど、その、ね?) よく付き合ってくれたものですと、兄に感謝しつつも洗剤ぶくぶく。 すでに通り過ぎた淡い思い出は、そっと胸にしまうものなのだ。 ● 現在進行形のビビットな想いは、時が来るまでひた隠しにするものなのだ。 なぜなら、まだ少女だから! (あんなのが世にでたらボクはイノチを断つしかなくなる) 将来の夫と公言してはばからない養父のことだ。 あんなものが周知になれば、頭にこの世の春が来っぱなしになるに違いない。 勘を頼りに三高平中を飛び回るが、さっぱり見つけられない。 正直涙目だ。 ふと、心騒ぐ気配を信じて、裏路地に入り込む。 ぬめぬめと壁を這うカタツムリ。 ”わたしが好きな人はわたしのお父さんです” から始まる小学生の作文は、文章もきちんとしていて非常にほほえましい。 ”けっこんするならおとうさんです” しかし、ほんの数年先に現実味を帯びてきた昨今。 これは手元に残すには危険すぎると廃棄したのだが、分別に抜かりがあろうとは。 ”だれよりもいちばんたいせつでだいすきです” 一文を消すのにちょっと躊躇したが、こんな路地裏に残すような想いじゃない。 雷音は壁をきれいに洗い、ついでに手の届く範囲の窓も掃除した。 もちろんカタツムリをつぶすことも忘れない。 「皆さん、首尾はいかがでしょうか?暑い中ですが、熱中症には気をつけてくださいね。こちらは1体倒しました……」 メールを送信しながら、再び空に飛び立った。 ● (いーやーっ!!! こんなにデカデカとー!!) アリステア、声なき絶叫。 「(判読不能)くn、すさてお。T=卜1〒」 で始まる、5歳のラブレター。日本語難しいよね! 耳にこだまするのは、 「おまえ字ヘタクソだなー! 先生に【もうすこしがんばりましょう】 のハンコもらってきてやるよ!」 と、笑いながら意中の男の子が走り去っていく足音。 (その後、半べそかいた私を優しく慰めてくれたのは園長先生。私のおじさま好きはここから) ビルの壁面にカラープリントされた園長先生は、確かに男前さんである。 こうして一人の女の子が茨の道に突き進み始めたのだった。 (大きくなったらお嫁さんにして! ってお願いしたのに、次の年に結婚しちゃったんだよね……) それ待ってたら、結婚、還暦に近くなるから。 そもそも、真に受けたら、人としてやばいから。 「他の人には内緒だからねっ!」 そう言うアリステアに、一同ニコニコしながらうなずいた。 内緒も何も。 あまりにも字があれで、なんて書いてあるのかわかんないから、大丈夫! ● それまで、「僕もあったよ、そんな時期!」とかモヨタやアリステアを慰めながら、お掃除していた留吉さん、とある民家の前で、顔面蒼白。 (ここに来るのが遅すぎた……!) すでに大作完成、カタツムリ満足げに隅でグネグネ。ちゃんとプチってしました。 「おともだちそーかんず」 自由帳にクレヨンでの殴り書きが、オールカラー完全復元拡大版。 壁一面に、こんにちはヘヴン。 (僕は、死んだ……っ!) がっくりうなだれる留吉さん。 横丁の黒ちゃん、裏のミーナ、三軒先のロッキー、筋向いのベル。 洗剤ぶくぶくさせつつ、一同に自然とわきあがる疑問。これ全部ご近所のペットじゃないか? あの、人間のお友達は? 声にならない疑問の思考波に、留吉さん、ぼそぼそと画面の隅を指差す。 「人だってほらここにあるじゃないか! おじいちゃんの名前だけど……」 ……そういや、肝心の留吉さんは? 真ん中にでっかいトラが書いてあるけど、これも近所で飼われてたの? 「これ、僕。自画像」 偽りありすぎだろ、そんな名前まで変わって! 「これは前世からのあれでそれでエヘヘヘヘ」 いたたまれない空気。 「ばかーーーー!」 留吉さん、ぶくぶくスポンジほおり投げて、明日へダッシュ! だめだよ、みんなかわいーって写メ撮ってるよ! 主に、走っていく留吉さんを! ● 待てど暮らせど陛下が帰って来ない。 ついてくるでない! とか言って走ってったから無理に追いかけなかったけど、このままスルーってわけにも行かないよね。 雷音と合流して現場に向かうと、はしごの最上部から懸命に背伸びして、柄を継ぎ足したデッキブラシでごしごししている背中に、僕達は涙を禁じえない。 よかった。せめて、名前のとこだけは消せたみたいでよかった。 ”ぼくのおとうさんは、にほんのためにはたらくえらい……” 高いところに転写された作文は、下二文字が消えている。 下の方ぴかぴかだから、返り討ち日記は消せたんだね。 ”そんなおとうさんとおかあさんをぼくはだいすき……” でしめくくられる作文は、雷音とアリステアがお空飛びながら消してくれました。 「これはこれは……ああ、いや、見てないぞ」 (おわり。(余のイメージが)) こころなしか、がっくりこんとしている陛下に、先程似たようなものを消した雷音は同情を禁じえない。 「これは、死にたくなるだろうな」 「なに、貴様ほどのことではないわ」 そう。大魔王は千里眼をお持ち。すなわち、雷音の壁掃除もお見通しなのだ。 誰にも見られてないと思ってたのに! 雷音、涙目。 「案ずるな。掃除の礼に黙っていないこともない」 後で利用しようとか思ってるんだからね。親切心とかじゃ絶対ないんだから、誤解しないでよね!? ● アウラール君の黒歴史印刷してるカタツムリが、みつからない。 初心に帰って、ゴミ捨てた集積所に戻ってみる。 (言えない……資源ゴミの日(水)と(木)を間違えた、だなんて……) とりあえず、噛み千切られたのだろうゴミ袋の残骸はっけーん、ってあれ。 (あれ? これ……飼ってた犬と小さい頃の俺の写真?) 湿気ってるけど、汚れていない。 (見つからないと思ったら、ゴミに紛れてたのか!) ごめんな、うっかり尻尾踏んで。 ごめんな、時々ブラッシングさぼって。 ごめんな、エリューション事件に巻き込んで……。 今はもういない犬の写真を見て、背中丸めてちょっと鼻なんかすすってみたり。 (教えてくれてありがとう。イヴさんマジエンジェル) 「アウラール。模様だと思ってたんだけど、今着てる服って無地?」 黒のレザー一色ですが? はっと気がつく、心当たり。 日本語の書き取り……。練習したのです。そりゃもう、山のように。 漢字もさることながら、ひらがな。 「を」のゲシュタルト崩壊は日常茶飯事で。 「ぬ」や「る」は、最後突き抜けるべきなのか否か、毎度判断に苦しむ。 連なってりゃ、模様に見えないこともない。 背中に転写されてたよ、あはははは。 「判じ絵模様なんておしゃれだと思ったんだ~」 留吉さん、アウラールは日本のことよくわからない外国人2号です。 じゃ、個人情報の件は? (そう言えば来たばっかりの頃。日本では名前は全部、漢字表記するんだと思い込んでて……) 夕映えにてらてら光るアスファルト。 それよりきらきら輝く、ばかでっかく印刷された「亜裏有瑠(あうらある)」 やり遂げた風情のカタツムリ。みんな、壁ばかり見てたから気がつかなかった! 最後は、みんなでアスファルトに洗剤ぶちまけてこすりました。 ● かくして。 カタツムリ駆除班は、日暮れ前に無事お仕事を終えたのだ。 残念ながら、某小学生は、テスト隠してたのと学校で派手なおっかけっこしたことの連絡受けたママが角出しながらニコニコとお迎えに来たので、打ち上げにこられなかったことを付け加えておく。 彼の今後の夏休みがどうなるかに関して、アーク当局は一切関知しないからそのつもりで。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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