●誰にでも出来る簡単なお仕事です。 「仕事としては、すごく簡単。だけど、多分すごくつらい」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、しばらく目を閉じていた。 これからリベリスタが受ける苦しみを、わずかでもわが身に受けようと天に祈るかのように。 これからリベリスタを過酷な現場に送り出す自分に罰を請うように。 やがて、ゆっくり目を開けると、ぺこりと頭を下げた。 「お願い。あなた達にしか頼めない」 苦しそうに訴える幼女、マジエンジェル。 だが、断る。なんて、言えるわけがなかった。 ●お仕事はブレイクゲートです。 「先週、とあるアザーバイド、識別名ヒツジアリ討伐案件があって、それは何の支障もなく成功したのだけど……」 モニターに、ヒツジとアリがつぎはぎされた生き物が谷底を埋め尽くしてリベリスタと交戦中の様子が映し出される。 「ずうっと、巻き戻すね。ここ。よく見ておいて」 スローモーション。 それよりもずっと前の時点の映像。 谷を進軍してくるヒツジアリの奥。 チラッと、何か映った様な気がしないでもない。 「調べたら、この奥にD・ホールが開放された状態だということがわかった」 え、それってまずくない? 「この間は、2班体制で作戦を展開した。原因を放置しておくことは出来ない。そういう訳だから、ブレイクゲートしてきて」 新たにモニターにゲート地点と前回の作戦地点が表示される。 「ここまでは車で。あとは徒歩で」 静まり返るブリーフィングルーム。 「映像を見てもらえれば分かるとおり、この辺りの植生が非常に大きな被害を受けた。まだ知られていないけれど、ここに調査とかにこられると非常にまずい。未知の生物の死体がちょこっとなら世間もスルーだろうけど、今回は桁が二つ違う。至急、緑が復活するように土壌改良剤を撒くことにしたんだけど」 モニターに中継の文字。 ガスマスクをつけたアークの一般職員がガスマスクをつけている。 カメラに向かって大きなバツ。 「酸を大量に吐かれて、リベリスタ以外には無理な環境。ブレイクゲートついでに、土壌改良剤撒きながら行って。ああ、リアカーは使えるから」 どっちかというと、ブレイクゲートの方がついでなんじゃ……。 「このまま放置できない。すでに周囲の植生に影響が出ている。この間の作戦は幸運な要素が複数重なって成功した。次回もそうなるとは限らない。余計なリスクは排除すべき」 そのためのあなた達と、イヴは言う。 「みんなには、ハイカーとしてここに入ってもらう。天気予報では、これから数日間は快晴。紫外線情報、非常に強い。不快指数は低いけど、熱中症警報マックス」 野外作業は危険。 「ついでに、谷底中に異世界の酸が絶賛蒸発中。じきに無害になるみたいだけど、タオルとかで口をふさいでいった方がいいかも」 ぶっちゃけ、楽しいハイキング、川をさかのぼること50キロ踏破してブレイクゲートするまで帰れません。 逆に言えば、それさえ済ませてしまえば、万事めでたしめでたしなのだ。 「戦闘にはならない。ばかばかしいと思うのもわかる。ストレスがたまると思う。でも大事な仕事」 イヴは、もう一度頭を下げた。 「お願い」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年07月31日(日)23:00 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● 「倒すべき敵がいないだと……くっ、やるからには全力を尽くす!」 『紅蓮の意思』焔 優希(BNE002561)、顔にスカーフ、麦藁帽子をかぶりながら。 「ぴよこは預けておこう。もし俺が帰って来れなかったら、悠里にかわいがってもらうんだぞ?」 『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)、アーク別働班に本体を預けながら。 ● 陽炎が揺らめいております、人跡未踏の渓谷。 先日、12人×2チームが、「踏み潰されて死ぬかも~」というプレッシャーと、「俺らのせいで死ぬかも~」というプレッシャーをはねのけて、アザーバイド500匹を殲滅した戦場。 麦藁帽子にマスク、首にタオル、サングラスのにーちゃんねーちゃんもといリベリスタ12人が終結……おっと、集結した。 ガスの届かない緩衝地帯に、アーク特製土壌改良剤とスコップ、簡易酸素ボンベ。 別動班心づくしのスポーツドリンクに塩飴の差し入れを乗せたリアカーが置かれている。 「せんせー、持病の鮫肌軟骨病の発作が酷いので、僕は此処でりたいあします」 『人間失格』紅涙・りりす(BNE001018)に言われた、ヘリの操縦手は笑顔で言った。 「うん、無理」 だって、谷底以外に降りられる場所ないんだもん。 りりすも谷底に下ろして、空の向こうに小さくなっていく送迎ヘリコプター。 帰還予定時間に迎えに来るって。 脱落者はリアカーに乗せて帰って来てね! と、笑顔で言われて手を振られちゃったよ。 ビーチチェアとパラソルを準備したりりすは、その場に残るんだって。 (要所要所で頑張る皆が心くじけないよう、励ます事にしよう) 12人のリベリスタ、一人がそこに残って11人になった。 「よし、何処からどう見ても不審人物だ。でも、身を守るためには四の五の言ってられねぇよ」 『消失者』阿野 弐升(BNE001158)、マスク着用。眼鏡をはずして、サングラス。 確かに不審者です。 でもまあ、ましな方ではある。 ガスマスク、三人。一人は自前だし。 「俺は派遣リベリスタ、ランディだ。今日の現場も過酷だぜ。だが訓練されたバイトの俺様には問題ない」 『悪夢の忘れ物』ランディ・益母(BNE001403)さん、そのガスマスク、使い込まれてて怖いです。 まずはこの戦場跡をどうにかしないとしゃれにならない。 ヒツジやらアリやらが中途半端に炭になって半生タイプ。 スコップでさわさわと改良剤撒きながら、ジリジリと進むのだ。 勢いに任せてダッシュできない分、非常に体力がそがれる。 50キロという距離は、肉体が強化されたリベリスタにとって、さほどたいした距離ではない。 ただ、このジリジリ感が心を削っていくのだ。 ● 「えー? たかが50キロ位だろ? その為の機械の体さ。お、スタッフさんよう! そのかっくいいガスマスクを俺にも貸してくれよー。いいだろー」 『男たちのバンカーバスター』関 狄龍(BNE002760)、笑顔でガスマスクを押し付けられながら。 「辛いのは当然だろう。音をあげたくなるのも仕方ない。しかし、そんな状況だからこそ平常を保ち続ける人間も必要だ。最後まで音を上げず檄を飛ばし続ける。それが私の仕事だ」 『鋼鉄の信念』シャルローネ・アクリアノーツ・メイフィールド(BNE002710) ● (駆け出しだもんな。団体行動にも少しは慣れておかないとなー) 狄龍。20歳。 香港黒社会出身なのに、転校生って感じだ。 「空気がおいしーなー、ヤッホーってなモンだ。前を行く姉ちゃんのケツで色んな意味で眺めも良いし、楽しいねえ」 明るい口調が、谷底に響いて消えた。 空気には酸が充満してるし、後半がセクハラ全開でフォロー至難! あのね。狄龍君は、まだ三高平に慣れてないから。 怒んないでね、シャルローネさん。許してあげてね!? 「土台が脆ければ、何を積み立てようとすぐに崩れてしまう」 口元にスカーフを巻いたシャルローネが振り返った。 「強敵との死闘で新たな境地を見出し飛躍的に成長するのは魅力的だが、その為にも今回のような任務で基礎を鍛え上げておくことが重要だろう」 超意訳すると、『これから活躍するために、地道なとこからがんばろうね!』 こうして、参加者名簿の前後で決定したバディ関係成立した。 ● 「人跡未踏の渓谷。未知のガス。なんて冒険心を擽られる言葉。古代の秘密遺跡とか化石とか見つかりませんかねー? 見つかったらいいなー? おっと目的を忘れるところでした」 『無謀な洞窟探検者』今尾 依季瑠(BNE002391)、いきなり崖を掘り返し始めたのを注意されて。 「皆が厭う任務に志願して、ひたすらに歩んでいく人々の姿は……なんと侵しがたく、輝いていることでしょう……」 『水底乃蒼石』汐崎・沙希(BNE001579)、後日、谷底で発見されたメモ。 ● 「任せてください。これでも過酷な環境には慣れてるんですよ」 考古学教室の今尾教授は、水着をお召しです。 どうしてって聞いてもいいですか? 「頼もしいな、宜しく頼む」 (自身の楽しみに正直な生き方が出来れば、日々も楽しいのだろうな) 敵性エリューションの殲滅を第一に考えている優希には、好きなことに邁進する依季留の生き方は、少し羨ましい。 「……」 返事がない。横を見る。いない。 先生、二メートル後方で昏倒。 「すみません、体が弱いもので……、ゴフッ」 喀血した! 衛生兵ー!? 「天使の歌や天使の息で肉体疲労を多少回復できますかね?」 この人が衛生兵だ。 血で真っ赤な口で呪文詠唱-っ!? 「大丈夫か?慌てずにゆっくりいこう?」 「わ、私の事は構わず先に行ってください……」 「!?」 そう呟くと、急に動かなくなる依季留。 「い、生きろ! 俺達の戦いはこれからだ! 死なせはせんぞ! うおおおお!」 冷却材を押し当てて、依季留を背中に担ぐと、優希、明日へのダッシュ。 そんなに急いで行くと……。 止める間もなく、姿は小さくなって見えなくなった。 「これも修行! 我々の業界ではご褒美です!」 程なく、聞こえてくるカーンカーンとスコップで何かを砕く音。 背中に依季留を背負ったまま、目玉ぐるぐるさせた優希がスコップ振り回している。 ガス一気に吸い込んじゃったみたいだね。 「ハリネズミがこんなに……ゲートに戻さなければ。優しく包むぞお兄ちゃんが守ってみせる」 それは、ヒツジアリの死骸よー!? 君の心にはまだハリネズミが住んでいるのか!? 「……やめてよ兄さん。また僕を罠に嵌めてどっかで笑いながら見てんだろ! 出て来いよぉ!」」 目の焦点が合ってない。 衛生兵~! 衛生兵~! 「あぢー……きついーつかれたー汗がー……。ううううううううううう、作業環境の改善を要求するー、って改善するの俺達ですー」 『飛刀三幻色』桜場・モレノ(BNE001915)は、ふらふらしつつ改良剤をスコップでぶちまけている。 「よ、予想以上にきっついですねこれ……」 三時間前、 (とりあえず、エリューションとかそういうの無しにしても、これは放っておけない!) と、立ち上がったのが遥か過去のことに思えるまだ昼前のこと。 『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BNE000313) は、ふらふらと歩き出した。 「うふ……ふあっははは!!」 たがが外れた笑いに、みんな一気に背筋が冷たくなる。 「あ! 素敵なおじさま発見! え? 『一緒にあっちへ行こう』? うん。いいよー!」 お嬢ちゃん、非実在ナイスミドルに惑わされちゃ駄目だから! 「おじさま待ってー!……きゃ? ……おじさまのお胸、広いなぁ……」 つまづいて転んで、そのまま、酸の立ち上る地面をゴロゴロゴロ……。 地面に頬ずりする君を、僕達は見ていられない! 11人のリベリスタ、一人がおじさまに目がくらんで10人になった。 ● 「死に損ない? ……『死に損い』、なんてひどい言葉なんだ。命は尊いものなのに、こんな言葉を必要にしたのは人間だ。人間が憎い、人間が……!」 アウラール、累々と転がるヒツジアリの死骸を見て。(ガスの影響が疑われるとの所見あり) 「全ては万華鏡(カレイド・システム)の選択のままに、エル・プs……」 弐升、宣誓のポーズを取りながら。(ガスの影響が疑われるとの所見あり) ● 「うぁぁぁぁぁぁ、ああもう、汗で前が見えないっ……! や、や……やってらんねー!」 モレノが、汗がしみた目をこすりながら、かんかん照りの晴天に向かって絶叫した。 「……あー、うん。やっぱマスクしながらとか無理です」 つられるように、弐升もマスクに手をかける。 「「俺はマスクを外すぞ、ぉぉー……っ!!」」 誰かに話しかけるような声を出しながら、二人は、ぱあっとマスクを脱ぎ捨てた。 あ、頬に風が当たってる。何、この爽快感。 「……ふぅ、さっさと外しておけばきっとすっきり……ぅぁっ?」 モレノが、変な声を出して硬直した。 弐升が、ものも言わずにひっくり返った。 「羊いっぱい……皆死んでる。弐升まで! なぜこんなことに……っ!?」 落ちているヒツジをうつろに数えていた口元のスカーフずれ気味のバディのアウラール、絶叫。 死んでないよ、弐升死んでない。 むくりと起き、いきなり崖の岩陰に身を潜め、非実在の携帯電話に向かって小声で怒鳴り始める。 「……俺だ。機関の奴らは、まだ追ってこない。この隙に、先に行かせてもらおう。 っ! 何を馬鹿な! 致し方ない、その場で待機だ」 「機関」って何? 空気が動かない所は余計にガスがたまりやすいから危険……。 「うっきゃーっっ!!」 モレノが奇声を上げた。 高速で展開される二種類の結界。 「あわきゃーっっ!!」 崖につっこんでいく紙製の鴉。 更に軽やかな足取りで岩を蹴り、崖を蹴り、無駄に華麗な高速空中だーいせーつざーん! 華麗に着地。 「……ふぅ……すっきり?」 モレノ君? 魂抜け落ちた全開の笑顔が怖いかなって……。 モレノの攻撃によって崩落した石が、割れ目を伝って、架空の電話と交渉を続けている弐升の上に降り注ぐ。 弐升、超カッコイイ宣誓の途中で、昏倒。 そのまま、ずるずると自力で匍匐前進。隊列に復帰。 「やっべ、なんか別の意味でやばかった。ガスマジ怖い。ちゃんとマスクしましょう」 二升、正気に戻ったのね! うん、はずさない。マスク、絶対はずさないよ! 「し、汐崎さーんっ!!」 まだガス吸いまくりのモレノ、混乱のあまり、大ダーイヴ! 年上のお姉さんにがばっと抱きつ……助けを求めただけだって!? 審議中。 そのとき、ふわぁっと柔らかい風が吹いた。 ――大丈夫ですか? 無理をするなとは言いません。無理し過ぎないでください―― 柔らかな声が頭の中に響く。 目の前の汐崎さんはニコニコしている。 マジ癒しの女神。 音声会話が苦手な彼女が、さっとノートを出した。 『大丈夫、残りはたったの42.195km……かなり良いペースです』 ……吹き抜ける爽やかな風。 ううん、心を吹き抜ける冷たい隙間風じゃないよ。 ちょっと空気が凍てついたけど? 「……すいませんすいません」 とりあえず、モレノは正気づいた。 脳内が凍てついたショックじゃないよ。 普通に意志の力だよっ!? 超赤面でコメツキバッタみたいにぺこぺこ。 途中でハタと思いついて、ガスマスク再装着。 10人のリベリスタ、二人がくるくるしたけど「機関」の暗躍で、そのまま10人。 大量の炭の山がある。 配布された参考資料によると、この辺りに女王アリがいたのだという。 ヒツジアリの残骸がぼろぼろと崩れてきているのに、改良剤をまいて行く。 アーク特製土壌改良剤は、炭の山を瞬く間に崩して行く。 ねえ、なに入ってるの、これ。ほんとに撒いて大丈夫なの? 「この世界は愛に満ち溢れているわ! なんて素敵なんでしょう。ハレルヤ!」 『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)が、超博愛精神に目覚めた。 半ば蒸し焼き状態のヒツジアリを背中にかばう。 「やめて! この子は悪くないの!!」 がぷってかぢられた。びしゅって酸かけられた。 舞姫、すっげー笑顔。 「大丈夫。怖くない」 上半身だけ生きている羊の頭をきゅっと抱きしめる。 「ああ、愛が世界を救う!」 救わない。とりあえずこの瞬間君の命を脅かしてる! リベリスタ、ヒツジアリ瞬殺。舞姫、保護。 10人のリベリスタ。一人が生焼けのヒツジにかじられて9人になった。 ● 「午後5時15分25秒をお送りします」 ボソッとヒューマンメトロノーム持ちのアウラールが呟いた。 炭がゴロゴロの戦場跡を横切り、徐々に上りになっていく川の上流。 それまで、どえりゃーっと、足場の邪魔になる岩を鉄槌で砕きつつ、リタイヤ者を乗せたリアカーを引っ張ってくれていたランディが呟いた。 「そろそろ定時だから上がるわ。乙」 いそいそと、AFに鉄槌をお仕舞いになる。 ちなみに、派遣リベリスタの就業時間は三鷹平市市役所の窓口業務に準じております。 「リアカーと脱落した奴はこのまま出発地点まで持っていくから、後はがんばれ」 「行かないで、ランディさん!」 「プロアルバイターは時間に厳しいのだ」 次の仕事が待っている。 プロアルバイターは、リアカーひきつつクールに去るぜ。 9人のリベリスタ、一人が定時で上がって8人になった。 うぃーす。お疲れ様でーす。 ● 「手が止まってるぞ!!そんなんじゃいつまでたっても終わらんぞ!!」 「どう考えても、こういう事に使うスキルじゃない~!!」 「落ち着こう、水分摂ろう。って、まだ凍ってる~」 (今回みたいに魅力的な皆さんとの出会いがあるからアークは面白い。もう少し此処に居るのも悪くないかも?) 「物思いにふけらないで~! 力尽きそうです~!」 「ちくしょー、今なら腕で目玉が焼けるぜ!?」 「この程度の事で弱音を吐くなど・・・貴様、それでも男か!!」 「怪我人じゃねー。符はいらねー!」 「おお! こんなところに古墳ですかねー。あははははー」 「だめだ、こんなとこで新発見しちゃ! みなかったことにして~!?」 「りりす、生ビールの画像よこしやがった! 『頑張るみんなに愛をこめて』!?」 「あれ……何で眠くなってきてるの……? おじいちゃんが呼んでるぜー……」 「よじ登ったほうが早いかもって、崩落事故~!?」 「この程度の事で弱音を吐くなど……貴様、それでも男か!!」 「俺、先生を命に代えても守るよ。だって、先生は妹にちょっと似ているような気がしないこともないような……」 「幻覚だ~!」 「どうぞ先に行ってください……。先生のこと忘れないで……」 「女とは言えリベリスタだろう? しゃきっとしないか!!」 「りりすさん、今度はカキ氷の画像よこした!?」 「は。ダメだ、俺頑張れ! 今回これなかった癒し系クロスイージスや、ブラコン少女や、泣き虫ヴァンパイア達のためにも、俺がやらなきゃならないんだ!」 「後、100メートルです」 ほんとにっ!? ● 日もとっぷり暮れている。 二升、アウラール、優希に続き、沙希が竹簡で左手で4回叩き、アリヒツジの世界と繋がっていたD・ホールは完膚なきまでに破壊された。 「よくやった。今回の任務は良い経験となるだろう」 ねぎらいの言葉とともに、目の前に積まれる適温のスポーツドリンク。 シャルローネさん、鬼教官のデレ、我々の業界ではご褒美です。 「激しい労働の後にはしっかりと休息を取ることも必要だ」 そうですね。休もう。もう俺たち歩かなくていいんだ! 「迷惑かけっぱなしの足手まといで……教育者として恥ずかしいです……ごめんなさい……」 一同の靴擦れだの、軽い火傷と化した日焼けだのを癒している61歳の依季留に、優しい目を向ける15歳。 「無事生き残ることが出来たのは、きっと先生の博識のお陰だったのだろうな……」 ちなみに、泣きながら、アハハウフフと発掘に向かおうとする先生にすがり付いて止めてたのは忘却の彼方だ。 「ふ、ふ……、今回も『簡単な仕事』だったぜ」 『簡単な仕事』の意味が体にしみているアウラールが、ふと言った。 「で、素朴な疑問なんだけど、帰りも歩きですか?」 ……帰り? 『帰りもここに迎えに来るからね~』 パイロットさんが言ってた「ここ」ってどこ? 正解は50キロ戻った先の谷底。 明日の朝までに帰れるといいね。 熊。 熊に気をつけてね! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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