● まずい。 忘れてた訳ではないんだ、ほんとだよ。 ただ、あれだ。 いろいろ忙しかったから。 だから、不可抗力だよ。ね、ね、ね! ● 「――なんて言わせない。今年のアークもやる気です」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、モニターにカレンダーを映し出す。 ああ、夏休み。 休み、苦いか、しょっぱいか。 「いろいろ楽しい夏休み。七月はもう無理だけど、せめて皆にこう言ってもらいたい」 固唾を呑むリベリスタ(宿題持ち) 「『宿題? 盆前に済ませた』」 やだなぁ、イヴちゃん。 そんな台詞、都市伝説、二次元だけの話だよ? 「去年は先生方に好評だった。いいことは恒例にしよう。そんなアーク本部」 壮大な野望だなぁ。 「宿題、出たでしょ?」 聞こえません。 というか、あんなものは九月上旬あたりまでにうやむやのうちにしてしまえばいい代物ですよ? リベリスタのかたくなな態度に、イヴはわずかの時間目を伏せる。 「いろいろみんなに働いてもらって時間を使わせてしまったアークとしても、みんなにきちんと学校の課題を済ませてもらいたい。ぜひフォローをさせてほしい。去年結果がでている。それは――」 それは? 「時間薬!」 言い切った! 「今年は、まだ余裕がある内に。出来るところからコツコツと!」 なんか気迫が違う。 「会議室を開放。みんなの宿題消化のお手伝いをする。白紙で提出とかだめ、絶対」 モニターには、端が見えないほど広い部屋に整然と並べられた机と椅子。 学年および主要科目ごとまとめられた参考書。 壁に貼られた星の運行やら、歴史年表やらが、宿題やらせるぞ~という意欲を感じさせる。 うわぁお。 「工作、図画の材料、素材も準備した。絵日記用のお天気記録も確実更新。ゲリラ豪雨もばっちりフォロー!」 うわぁ。 やらせる気満々だよ。 ここに入れられたら最後、持ち込んだ宿題終るまで出してもらえないんだ。そうなんだ。 空気が、簡単な仕事とおんなじだもん。 「みんなでやれば、楽しくできる。目指せ、リベリスタと社会性の両立」 うわ~い、現実はきびしーやー。 「ちなみに、素材とかの提供は、三高平市商工会議所」 いつも、お世話になってます。 「それから、それぞれの所属校に連絡を取って、出された宿題の全貌は把握済み」 なんですと。 「大丈夫。アークは、みんなを見捨てたりしない。みんなあってのアーク。一蓮托生」 でも、代わりに宿題やってくれる方向では、助けてくれないんだよね。わかります。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月15日(木)22:43 |
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■メイン参加者 24人■ | |||||
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● 大会議室は、程よく空調が効いている。 御龍とすでに宿題は済ませた湊がガチャガチャ作り始めた。 「と言うわけで、「自由研究」として【ピタゴラ装置】の作成をします。大きな物にしたいので、壁の四方全面を使います。持ち出せないから録画して提出するよ」 壮大なからくり装置になりそうだ。 「……よっちゃん、チェックよろしく!」 設計図を差し出された四門は、二三チェックして、これで大丈夫と太鼓判を押した。 「こういうのはディテールにこだわらないとねぇ。工作なら任せろぉー。いつもプラモデル作ってるからねぇ。 こういうのは得意なのだぁ」 得意はプラモデルの御龍は乗り気だ。 「ちょい暑さが尋常じゃねぇんで立ち寄ったんだが、何だ? 面白そうだな」 通りすがりの火車が顔をのぞかせる。 「最早懐かしさすら憶えるねぇ。宿題!……した時ねぇなぁ! 如何にやらずに済ませるか考える為に出されてんだろ? あれって」 別方向に研鑽を積んだんですね、分かります。 「イメは知らぬ事が多いですゆえ、お勉強しに来たとです」 イメンティは、世界中の姉妹では年かさで、勉強熱心な方だ。 「何が得意かは分からぬですが、語学と、この地の生命の成り立ちに大変興味があるとです」 その余波で、どこぞの方言が定着したのだろうか。そもそもなまってたのが日本語に変換されているのだろうか。その辺り、微妙である。 「れっつすたでぃ。ところで何から勉強するのがよいとですかね」 そう尋ねられても。 「得意なんは……『暴力 ケンカ 侮辱』 だ」 「荒野の赤き兄弟?」 意味するところはバイデン。 「ちげーよ」 「この世界の理はイメ達の世界と大分違うとですねー。同じにんげんさんでもらんげーじが全然違うのも摩訶不思議」 火車は捕まった! そして、そのまま閉じ込められた! 「なにぃ!?」 「あ、完成して最後まで作動させないと扉開かないんで。装置が完璧に動いたら扉が開くって設計なんで。つまり……みんなカンヅメってことだね☆」 おトイレには行けます。そんな隔離会議仕様。 「みんな終わらせたら作動するからね。装置完成までに終わらせてね」 無邪気な湊に火車は、コメカミ梅干を送るくらいで勘弁してやった。 ● 義光は、他の宿題はとうに終わっている。カイチョーであるがゆえに。 (読書感想文……これだけは! 毎年ワシを悩ませるッ!) 「ヴオオッ! タケシ!」 読み返すこと10回以上、すでに感動した箇所に張った付箋で膨らみ、本は扇のように開きかけだ。 押し寄せる感動、ほとばしる歓呼の声。振り返る民衆、空を斬るシー!の声。 「ハッ!? すまん……」 着席。 (ワシは……毎度感情移入が過ぎて想いすべてを書き入れ枚数が多大なことになってしまう……今年こそ! 読み易い読書感想文!) 詩文の女神よ、今こそ義光に霊感を! 「いざ――ッ」 鉛筆が折れた。芯ではなく、鉛筆が折れた。 義光、力を抜け。 「……~~~ッ……そこの君、鉛筆を貸してくれない、か……?」 「え?」 ティーチボランティア・レポートは置いてきたでござるよ・智夫。 「これでよければでござるYO。数学? 英語?」 「現代国語――読書感想文なのだが」 「公式やパターンを覚えると楽でござるYO?」 追い詰められていない智夫は、普通に教えてくれるのである。 しかし、注意して欲しい。今日の智夫は口調が「ござる」だ。つまり、何か心に後ろ暗いことがあるのだ。 (リベリスタ軍学のレポートをやってる人は拙者が写……教えてあげるでござるYO) 彼は、思考の迷路から脱走できそうにない。 そんなニッチな講座履修してる人間は、ごく限られていることを。 で、その限られた人もうめいている。 「あーもー、今までだったらとっくに終わってるのにー」 授業ノートと資料にうずもれて、未明がうめく。 「小中高の宿題とは全然違うわ。レポートなんて、ちょい練習しただけなのに」 「文系はあまり助力できない」 理系のオーウェンは涼しい顔だ。 「リアル先生的にはどういう論文がいいなーって思うの?」 若干の見詰め合い。 「書き出しとか展開とか締め方とか、全体の形だけでも分かれば。あ、添削もよ!」 ただ座って見ているだけでは退屈じゃないかしら? 的、未明の笑顔にさすがのプロフェッサーも色々考えなくはない。 「――例えば、この文はそのまま読めば理解されない。『何故こうなるのか』と言うのが分からないからだ。……ならば、理由を追加してくっつけてしまえばよい」 若干スパルタ気味の添削に食らいついている未明とそれをほほえましく見ているオーウェンは知る由もない。 隣のテーブルで智夫と義光が拝聴して、それぞれがりがり書き始めたことなど。 ● 先生ー。宿題だっつってんのに、それ以外を持ち込む人がいますー。 まあ、人生の宿題といえば言えなくもない。 快の目の前にエントリーシートの束――この場合、新卒採用書類選考用紙だ。当然各社とも内容が違う。 筆跡も見る会社もあるらしいぜ? 「これが結構大変でさ」 誰に聞かれたわけでもないのにしゃべり出だすのは切羽詰ってる証拠です。 アメリカンのように肩をすくめて笑いたくなるぜ、ジョージ。 「いや、アークへの就職も考えたんだけど。ここって事務職員も歩合給だって話なんだよね。それに転職するときの職歴的にも微妙だしね」 一度神秘界隈に足突っ込んだら、そう簡単に脚抜けは出来ぬよ。 「だから金融とか商社とかを受けようと思ってるんだ。時村銀行に時村商事。逆凪グループもエントリーしてみるかな……」 あ。そこ、革醒者には辛い企業環境よ? ● 「女子小学生とか女子中学生とかの宿題の面倒をみちゃうぞー!」 問題です。これは、誰。 一年以上アークの水を飲んでいるリベリスタの98%が正解しました。 「隣で密着して頬ずりスキンシップしながら宿題ですよ!俺はそのために、ちゃんと自分の大学の課題は済ませてきたんだ!! 前回のように忘れてる課題もない!」 学習能力と狡猾さには定評があります。 「さあ! 小中学生女子よ! お兄ちゃんの元へ! 元へ……」 シーン。 「……あれ? 幼女少なくね……? しかも、教える人多くね?」 やっと見つけた女子中学生グループに突進! 「宿題の面倒……」 「竜一」 最愛の彼女様です。 「宿題が終わったら構ってやるから、いい子にしてろ」 教えさせてくれません。 「……う、うおおおおおおおお!」 壁に激突。そのまま、体育すわり。 「楽しい夏休みなのに宿題めぇぇぇ…。普段戦ってるんだから、ちょっとは免除してくれていいのに」 アリステアはぐすぐすいっている。 普段戦ってるんだから、余裕があるうちに学習してね。 「英語なんて喋れなくても生きていけるし、数学なんて大人になって何に使うのって思ったらやる気でないんだもーん」 英語や数学も出来ない子が、将来社会で何に使えるって言うのかなー? 中学一年の数学は、プラスマイナスと文字式と四則計算と方程式。 安心しろ、この先一生使うぞー。 「洋楽の歌詞の意味まで知ったり――」 苦手克服のため、現代文の『主人公の心情を答えよ系ばかりを集中して解いていたユーヌが顔を上げる。 「普通の少女」が普通の人の心情が読めぬようではいかんだろう。 悪魔のような苛烈さだけでなく、悪魔のような狡猾さも身につけろという神の思し召しかもしれない。 姉がキリギリスなら、妹はアリ。 (宿題なんて、毎日こつこつやってたら最終日には終わるけど。まぁ、戦いで怪我してできなくなる可能性も無きにしも非ずだし。さっさと片づけてしまいましょ) シュスタイナはお利口さんだねぇ。あめちゃん食べる? 今日、爪の垢、アリステアの夕食のスープに入れるといい。 「みっともないから起きなさい。あーもー。どこが分からないのよ! 見せなさい! はぁ……」 「ニホンの学生はたいへんそうだな……ワタシに出来ることがあれば手伝うとしよう」 セッツァーの美声にアリステアががばっと起き上がる。 「素敵なおじさまっ!?」 人間、条件反射はそうそう変わらない。大丈夫。じきにその回路も廃れるよ。 「あれ? 壱和ちゃ――」 ゴロンとかわいいワンコな友達が動かなくなっているのに三人が血相を変えるまで後五秒。 この陽気に長ラン来てさらし巻いてるからだよ。 ● (そういえばアーク事務所と自宅の公園と戦場の往復で) 大学生であることを思い出して、学校行ったらプリントというなの宿題いっぱいもらっちゃった琥珀。 なんかうきうきしてきた。夏休みって感じだ! 筆記式の解答欄を早々に埋めた。 そして、手の中にサイコロを具現化する。大丈夫、爆発しない。多分。 (戦場で共にしているダイス、きっと気合いに応えてくれる!) 「サイコロとか――」 冷たい麦茶配ってくれてたそあらさんが、めっ。をしにきましたよ。 「写すだけじゃ実力がつかないのです。少しは自分で問題を解かないといけないのです。勉強してるふりして遊ばないのですっ」 琥珀、なんかジーンと聞いてる。俺、今、学生気分を満喫している。 「ちゃんと最後まで付き合うから、がんばるのです」 きれいなお姉さんは好きですか。ちなみに、そあらさんにお姉さんはいない。 (四門も学校行ってるのかなぁ? やっぱ楽しい?) 琥珀の視界の向こうの四門は、割とピンチだった。 「もういいや、シモン。俺と一緒に、ペッキ年表でも作ろうぜ」 竜一は、マイペースに作ったサンプルの仕分けをしていた四門に小学生の自由研究的なにかを要求する。 「え、俺、もう自由研究とかしなくていい――」 「ペッキの前身らしい、ペリッツは、シモン的にはどうなの? あれにチョコをつける感じで生み出されたらしいけども」 四門のつたない抗議などスルーだ。 「サラダ味とかは好きだけど、チーズはちょっと……」 「あれはあれで、御当地ものとか多いよね」 「ほら、そこ、シモンくんかな? お菓子ばっかり食べてちゃ駄目だよ? 宿題は進んだ?」 理数は苦手だが、助けてオーラを垂れ流している四門を見かねて、ロアン先生登場。 「コーヒーはおかわり自由だけど、お菓子はテキスト2ページ毎にひとつまでね」 だから。 「宿題やらせてあげてね」 もうすぐ三十路のロアン先生、若い子の味方。 大丈夫。平均寿命が延びた分、今時の三十は七掛けで、昔の二十歳くらいに相当するのよ。 急いで大人にならなくていいよ。 翔護は、小学生の自由研究を手伝っていた。お昼に配られるお弁当が目当てである。 「SHOGO、こう見えても社会が得意なのさ。さぁ、白地図の色塗りから始めようぜ! 農業が盛んな市は緑、工業は青だよ。……緑の中に一箇所青があるって? お か ね を は ら う と み ど り に な る よ 」 小首をかしげる小学生。 「今度は盛んな産業が見つからない? お か ね を は ら え ば あ お に な る よ 」 納得のいかない顔の男子小学生。 「こうして関東中の白地図をしっかり色分けすれば、キミも立派な道路ぞ――」 キャッシュからのパニッシュメント☆ という名の、お盆アタック(物理) 「何してくれてんですか、この人は」 今日はお手伝いに徹するうさぎが容赦なく突っ込む。 「お弁当食べてきて下さい。これ、全部」 押し付けた量は、意外と小食の坊ちゃんバラのSHOGOにはきついのを、共に油揚げに立ち向かったうさぎは知っている。 「食べ切れな――」 「いいから」 SHOGOを追い払うと、何が起こったか目を白黒させていた小学男子の前に座った。 「こういうのなら、お手伝いできます。よろしくお願いします」 すごく真摯な無表情。 アークのリベリスタは、某フォーチュナのおかげで無表情の中になる感情を読むのが得意だ。 「よろしくお願いします」 その子は、丁寧に頭を下げた。 「しゅくだい! ――はなつやすみのさいしゅーびにまとめてやるの~っ。だからしゅくだいはちょっぴりやってるうふりをしながら、おかしをたべるだいさくせん!」 ミーノの考えることなどリュミエールにはお見通しなのだ。そこに愛があるのかい。 すでにミーノが持ってきたお菓子はリュミエールが没収している。 「ほら、チャントヤルンダ 赤点だって回避したし、進級ダッテ教エリャ出来たんだから、宿題位デキルダロ」 すでに自分の宿題は片付けたリュミエールの夏は、ミーノの宿題が終わったところから始まるのだ。 一区切りといては差し出されるお菓子を幸せそうにほおばりながら、ミーノは自分の考えどおりにことが進んでいることに満足している。 しかし、差し出されているお菓子が自分が持参したものではなく、リュミエールが持ってきたお菓子であることにまったく気がついていない。気がついていても、もちろんそのまま食べるだろうが。 「しゅくだいもなんとなくおわりそうになったし、きょうはこれでしゅーりょうっ!」 おなかいっぱいになったからとミーノは思っているが、腹にたまらないお菓子をえさに延々とリュミエールが満足する量の宿題をやらされたことにまったく気がついていない。 「ゆーいぎないちにちだったの~」 「まだ夏は終わってないチャント終わらせて遊ぼうナ」 そう。宿題を終わらせられてしまったのだ。 ● 「美人のお姉さんの先生におしえてもらいたいなー。こう、ブラウスの隙間からチラ見せブラとかあったら僕やる気でるよ! 七緒ちゃーん! 教えてー」 夏栖斗がいくら叫ぼうが、この炎天下、七緒が朝から起きてブラウスにタイトスカートはいて出張してくれると思うかね。無理。 ブラチラ七緒っぱいはスバラシイだろうが、それは青春の幻影――。 ごきぃっ。 「何してくれてんだよ!?」 「閉じ込められたんだよ。しょうがねえからはしゃいでる奴だの遊んでる奴ぶん殴って勉強させようとしたら止められたから、それでもお前はとりあえずなぐらねえと」 「とりあえずの意味がわかんないよ!?」 「勉強は出来んだよな……不思議なモンだ」 ぶつぶつ言いながらも進んでいる宿題ノートを見て火車が首をかしげる。 「僕、普通に賢いよ!」 「殴ろう」 覇界闘士の拳は、素で凶器。 しかし、そこに敢然と立ち向かった男がいた。 (ボクが教えられる範囲で宿題に手間取っている方たちの手伝いをしたいと思います) すぐそこで、朝顔の花の絞り汁でハンカチを染める自由研究の手伝いをしていた三郎太が、そろそろと火車に近づいていった。 (みんなで頑張ればあとは楽しいだけの夏休みが待ってます! だから、いつ頑張るんです?) さっきまで小学生にいい、今時分に言う流行フレーズ。今年――2013でしか使えない。 「今でしょ!」 ドン! 「麦茶、どうぞ!」 闘争の空気が、一気に郷愁の夏に変わる恐ろしいアイテムだ。 夏栖斗と火車の視線が三郎太に集中する。 「…………………え、えと熱いので、皆さんに、つめたい飲み物でも用意しますねっ」 脱兎。 熱いのは、室温ではなく、三郎たのほっぺたである。 火車は、麦茶を一気にあおり、転寝を決め込んだ。 「転寝に 筆の音蝉の音 夏の音 ……なんて な」 じきに寝息が聞こえ始めた。 ● 日が傾く頃にはピタゴラ装置は完成し、広い会議室をぐるりと回って、無事会議室の鍵を開錠した。 騒々しかった学生たちが出て行けば、後はお掃除妖精さんの時間である。 アークのお掃除妖精さんは、スターサジタリーだが。 「進学しない人間の高3の夏はそもそもやる宿題自体がないのです……」 エナーシアは皆勤である。お掃除屋さん的意味で。 (恒例の祭りの始末の時間なのだわ!) 勤労意欲がうずくのだわ。 「うわぁ、壁に神秘的な染みが……」 あ、それ、某邪気眼の人が。 こうして、盆前の陣は幕を閉じた。しかし、本番はこれから。 「今年もまた登ることになるのね……この果てしなく長い清掃活動をさ……」 エナーシアの呟きが、ごみと忘れ物と名状しがたき染みが散乱する大会議室に響いた。 まあ、予行練習と思って。よろしくね! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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