●狂気たゆたう浜辺に カモメの鳴き声が波の音と共に流れてくる、その静かな浜辺には、その場に似つかわしくない、ミリタリー的な施設が幾つも造られていた。土壌やコンクリートで作られた厚い壁と天板に、覗き穴がくり抜かれた防塁である。そして防塁の数は十を超え、覗き穴の先には海があった。海の向こうからやってくる何かと戦うための施設なのだろう。 厳つい防塁は海岸線に沿って作られており、静かな浜辺の雰囲気をぶち壊しにしていた。ミスマッチな光景は、海水浴場というより戦争映画のセットのようにも見える。 ただ、これは戦争中に作られたものではなかった。近年、「いつか、海の向こうから奴らが攻めてくる!」と考えた老人が、狂気に取りつかれたように一人で完成させたものなのだ。 おかげでこの浜辺は海水浴場としての機能をほとんど失ってしまい、後には奇妙な海岸が残るだけになった。偶にそんな光景を見ようと、外の人間がやって来ていたが、やがて忘れ去られて、町の人間にも興味を持たれなくなった。 そしてこの拠点防衛地点めいた場所を作り上げた老人は死に、老人が言った「いつか」はまだ来ない。防塁はただ風化されていくのを待つだけになった。 そんな場所に、エリューション・ゴーレムが出現してしまったのは、悲劇と言うべきだろう。 普段ならば奇妙なだけで終わったその場所は、エリューション・ゴーレムという名の砲台を複数手に入れることによって攻撃性を持ち、町や海を無茶苦茶に砲撃し始めるに至ったのだ。 砲台のエリューション・ゴーレムの基となったのは、老人が設置していた砲台のイミテーションだ。老人の狂気はエリューション化という手段を得てしまった。これも悲劇と言えるだろう。 そして、リベリスタたちにとっても悲劇である。何故ならば、そこは強固な守りを持つ攻め難い場所で、現れた敵は範囲攻撃を得意とする砲台だ。 予感するのは、苦戦。 ●砲台陣地と海 ふぅ、と息をゆっくりと吐いてから、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は語り始めた。 「今回の作戦目標は防塁に設置された砲台の破壊です。幾つもの防塁を設置したこの海岸は見晴らしも良く、砲台が歩兵を食い止める場所としては絶好の場所でしょう。この砲台陣地の構築はオマハ・ビーチを思わせますね。かなり詳しい人物が造ったようです。このタイプの砲台陣地はかつて――」 しばし、語る。しかも専門用語を交えて。 「……ということですので、気を付けてください」 和泉が満足げな表情で集められたリベリスタたちを見渡すと、何やら疲れた顔をしている。作戦行動前に疲れるなんて、何かあったのかと和泉は心配するが、すぐに思い当たる。思わず語り過ぎてしまったのだ。 「と、ともかく。砲台とコンクリートで整備された陣地の組み合わせは厄介です。砲台は射程のある範囲攻撃をしてくるようですし、距離を置いて設置されていることから、こちらの範囲攻撃は単体しか与えられないでしょう」 こほん。と喉を鳴らして、和泉はリベリスタたちに資料を配っていく。このエリューション・ゴーレムの情報を一通り纏めて、多種多様で個性的なリベリスタたちにも分かりやすいように書かれている資料だ。語る前に、先にこっちを渡せばよかったのに、と言ってはいけない。 その資料によれば、どうやら先に和泉が言った特徴の他に、防御力と命中率が優れているようだ。やはり苦戦の予感がした。 それとは別に、リベリスタたちにはもうひとつの予感があった。この戦いが終わったのなら――。 「海ですか? ええ、海水浴に使うには問題ないはずです」 つまり。戦い終わった後は、海で遊べるのだ。 少しだけ厳つい場所かもしれないが、海であり浜辺であることには変わりない。プライベートビーチ的に使えるだろう。リベリスタたちは、これに喜んだ。この依頼、泥臭い戦いばかりではないのだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年07月12日(火)22:52 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●うみっ 照りつける夏の太陽が肌を焼き、海は波打ち安らかな音を奏でる。そんな場所に設置された不似合いな砲台が、砲弾を轟音と共に放つ。放たれた砲弾は砂浜は穿ち、海が割れた。結界の力がなければ大騒ぎになっていたところである。 「水着も浮き輪もばっちりだよ! 戦闘の準備……? あー、うん、結界でも張っとけばいいよね」 そんな結界をいい加減に張っていた『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)は、羽を使って飛行しながら、浮き輪と水着というスタイルでそんな戦場めいた海を眺めている。そんな彼女の表情は苦笑い。だけど、ここは海だ。 「うみっ。プライベートビーチみたいに使えるって凄くない? 貸切だよ貸切」 あほ毛が揺れて、にっこり笑顔に変わる。だけど、その隣を砲弾が掠めて……。はぁ、とため息をひとつ。表情も「めんどうー」という気持ちを隠そうとはしないものに変化する。 「さあ、さっさと終わらせて日焼けするわよ!」 ウェスティアと同じく、『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)も水着姿で結界を張っている。その水着は大体にもV字型のものであり、彼女自身の巨乳と合わせて動けば何かがはみ出てしまいそうな雰囲気を醸し出している。そのスタイルの良さ故に、布地が悲鳴を挙げているからだ。 だから、掠めた砲弾が衝撃を発すると、布地で押さえつけられていた胸は揺れて、大事な部分が見えそうにもなった。 「いやん」 ちなみに、彼女を大胆にしているのは夏のせい……。ではなく、それを伝えたい人がいるからのようだ。 「夏じゃ! 泳ぐに邪魔な砲台をぶっつぶして一足先に遊泳開始なのじゃ」 海で泳ぎたいリベリスタはまだまだ居る。メアリ・ラングストン(BNE000075)もまた、双眼鏡で砲台の群れを眺めながら、そんなことを言った。 「ふむ。これは長期戦かのー。しんどいが気合いれてくぞよー」 メアリはそうなることを予感しつつ、双眼鏡を仕舞ってサングラスを付ける。夏の太陽は眩しくて、肌と目をじりじりと痛めてくる。海に来たのだと、肌で感じさせる。 「青い空、白い雲、そして海」 そんな中、迷彩服で挑む女が一人。それは、『毒絶彼女』源兵島 こじり(BNE000630)だ。 「まさに格好のサバゲー日和ね。……何でよ」 セルフ突っ込みを噛ましつつ、すらりとした体を伸ばして、遠方にある活きのいい砲台とそれを乗せた防塁を覗く。今はまだ距離があるから、相手もけん制に砲弾を撃っているだけだ。しかし、攻め込むとしたら本格的に砲弾の雨を受けなければならないだろう。 「日焼けでもしたらどうしてくれると言うのよ。白魚の肌が小麦になんて冗談にもなりやしないわ」 悪態をつきながら、長期戦になることを考えてため息が出る。戦闘だけでも日焼けするだろう。 「虚仮の一念岩をも通すと申しますが。これをお一人で作られたとは、流石の執念と申しましょうか」 古めかしいセーラー服に身を包んだ『永御前』一条・永(BNE000821)は、普段の柔和な表情を浮かべながら、この奇妙な場所を作ったという老人に思いを馳せる。大和撫子である彼女の声はとても優しげなものであった。 「されど、今の世には無用の長物。この一戦をもって成仏していただきましょう」 しかし、一変して武士のように凛々しい言葉へと変わる。それに合わせて表情を引き締め、薙刀も向けた。 ぶぉん、と空に振られた薙刀の穂先が太陽に照らされ、光を反射する。反射した光は永のみつ編みと、セーラー服越しに透けて見えるスタイルのよさを映し出した後、彼女の覚悟も照らし出す。 「諸行無常が刻に在り。一条・永、参ります」 これから起こるのは、局地的な戦争だ。柄を握り締め、覚悟を決める。 ●りくっ 海側のリベリスタが動く少し前。海とは反対方向……つまりは陸側に集っていたリベリスタたちは、携帯やトランシーバーを使って、海側のリベリスタと連絡を取り合っていた。 しかし、やっぱり砲弾は飛び交っていて、陸側も油断を許さないような状況になっている。 「いよいよ始まる海開きに備えて海や浜辺の下見に来たのですけど、何だか見慣れない仰々しい物が浜辺に設置されてます。しかもエリューション・ゴーレム化してるみたいで」 結界を張りながら、『童話のヴァンパイアプリンセス』アリス・ショコラ・ヴィクトリカ(BNE000128)は、エリューション・ゴーレムである砲台が発したそれを見た。それは砲弾であり、彼女の近くに着弾する。危うかった爆風は彼女のサマードレスのスカートが揺らす。 「折角浜辺の下見に来たのに、あんなものが設置してあるなんて。とにかく、破壊しないといけないみたいですね」 それにも動じないアリスは、くるりくるりと日傘を回しながら防塁が並べられたビーチを改めて眺めた。砲撃もあって、かなり物々しい。 「照りつける太陽、波の音……。依頼のついでに海で遊べるということですが、あくまで依頼が主です」 そんな防塁に合わせたのか、森林迷彩柄の水着を纏っている『贖罪の修道女』クライア・エクルース(BNE002407)は、上空からの偵察を終えながら、胸のロザリオに手を添えた。奇しくもにじりと同じ、服装の発想である。しかし、にじりと違うのは彼女が置いた手の先……胸の辺りだろうか。脱いでいるのですごいのである。何がすごいかと言えば、普段は禁欲的な修道服で隠されている、盛られた肉体だろうか。 「砲台との戦闘とは面白いじゃねぇか。どんなに厄介な防御力を持っていても、俺には関係ねぇ。主人公ってのはな、壁がどんなに強固であっても、突き崩す物なんだ!」 さて、そんな華やかな女性のリベリスタたちに混じって黒一点……『人間魚雷』神守 零六(BNE002500)は手を強く握った。主人公を自称する彼にとって、砲台と防塁のような障害は強ければ強いほど燃えるものだ。それに……戦闘後には今よりも多くの眼福が発生するだろう。その光景のためにも、彼は燃えた。 「ヒャーッヒャッヒャッ!」 燃えすぎて、少しだけチンピラな地が出たが。 「砲台からの攻撃……、痛そう……。誠心誠意……治療させて頂きます」 「見えない敵と戦った挙句、こんな物を残して……困った物ね。この世界は私達が守る。だから、貴方達はお役御免よ!」 そんな陸側の三人をサポートするように、後方に『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)と『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)が待機する。 そんな彼女たちの額には、既に玉のような汗が浮かんでいる。足が機械化されたミュゼーヌも、厚い着物に身を包んでいるシエルにも、この照りつける太陽は残酷すぎた。 しかし、暑さぐらいでどうこう言っている隙もなければ、暇もない。それに、戦いが終われば海で遊べるのだ。 「行くぜ! 主人公の力って奴を、その身に刻み込んでやるよ!」 だから、リベリスタたちは突っ込んだ。砲台と防塁を要する、奇妙な砂浜に。 ●傷だらけの戦場 挟み撃ちの格好で開始された戦いは、予測されていた通りの長期戦と、苦戦をリベリスタたちにもたらしていた。というのも、相手は挟み撃ちというものに対して動揺もしない機械的な存在であり、単純な防御力の高い砲台は別れたリベリスタたちの攻撃では、中々落とせないからだ。 そして、町まで届く砲弾の射程の長さが、ここに来て大きな威力を発揮した。砲台を落とせない間、次々に飛んできた砲弾がダメージを蓄積させてしまうのである。 「いつまでもこんなの受けてられないわね。さっさと潰すわよ」 とはいえ、落とせないわけではない。傷を抱えながらも放ったこじりのメガクラッシュによって、砲台の一つは轟音を立てながら潰れた。 「やっぱり砲台って良いわよねえ、浪漫の塊って言うか、鉄塊って言うか」 力を込めたアームキャノンが叩き込まれたことで文字通り鉄塊へと変わっていた。それを見て、こじりはにやりと笑う。彼女なりに思うところがあるのだろう。 しかし、一体潰したところで休む暇はない。他の砲台はまだ健在で、砲撃は止まないからだ。 「まったく、友愛のバーゲンセールじゃのう」 何度目かになる天使の歌を奏でながら、メアリは嘆く。 「まったく、大したサバイバルゲームだわ」 この奇妙な浜辺を呪うように、こじりは大きなため息を吐いた。 さて、陸側。こちらも何とか砲台を一体破壊できていた。クライアの功績であり、決め手はダブルアクションからのメガクラッシュの連打だ。 「行きます。……私の力を、少しでも皆様の助けにするために」 力強く叩きつけられたサーベルの一撃が爆風と共に砲台を撒き散らし、クライアとロザリオと胸元を照らす。照らされた深い谷間に、汗が浮かんでいるのが分かった。……この暑さも、長期戦では辛いものだ。 クライアは胸元のロザリオに手を添えながら、ちらりとシエルに視線を送る。それに対してシエルは頷いて、控えめな胸に手を置いてから、天使の歌を奏でた。 「すぐに癒しますね」 被害は大きい、故に回復の手は必要だろう。シエルは大忙しであった。 メアリ、ウェスティア、シエル。回復の手は幾つもあった。それでも、及ばぬ時がある。 「主人公がな……。こんな所で倒れるわけには行かねぇんだよッ!」 だから、限界以上の攻撃を受けて倒された零六はフェイトを使って立ち上がった。そのまま地震を焼いた砲火の中へ、ブースターを使って飛び込んでいく。 「うぉぉぉ!!」目の前に飛んできた砲弾をパイルバンカーでたたき落とし、そのまま砲台まで突っ込んでパイルバンカーを突きつける。砲弾を落とした杭が筒まで戻るまで、わずかに沈黙が流れる。 「傷は与えておくわよ。後は任せたわ、主人公さん」 「吸血姫として、まだまだ幼い私ですけど……立派に戦えます!」 ミュゼーヌの1$シュートとアリスのマジックミサイルが砲台にダメージを蓄積させる。連続攻撃を受ければ、いくら硬い相手でもひとたまりもないだろう。 「お前の命は後僅か。死へのカウントダウンだ!」 杭は戻り、薬莢をセット。 「3、2、1……ゼロだ! 破壊しろ! デスペラード!」 パイルバンカーが火を吹いて、砲台を貫く。これによって、残りの砲台の数は1となる。つまりは、放火もかなり収まったということだ そうすれば後は、流れで撃破していくだけだ。相手の勢いが削がれ、味方の回復さえ怠らなければ、それまでのようなダメージの蓄積も大きな驚異とは成り得ない。 「今日のアタシはいつもと違う~。なぜなら雷を撃たないから~♪」 傷を癒し、いつもの調子を取り戻した杏が魔曲・四重奏を放って、砲台を守る防塁ごと砲台を崩し始める。 「うん。なんとかなったね!」 更にウェスティアのマジックミサイルが、砲台に対してダメージを与えていく。自分たちがされたように、相手にもダメージが蓄積させていくのだ。 「おやすみなさい。侵略者を退けるものが、侵略者になってはなりません」 そこに永が飛び込み、足場を崩して傾いている砲台に向かって、力強い一閃を薙いだ。メガクラッシュだ。 それにより、砲台は爆散。これによって、戦争めいた奇妙なエリューション・ゴーレムとの戦いは終わり、静かな海は取り戻された。 ●たのしいっ 平和が戻ったとはいえ、相変わらず奇妙な砂浜であることには変わりない。故に、この海水浴シーズンであっても人が集まるということはなく、この場に集まったリベリスタたちにとってはプライベートビーチのようなものであった。 「ふー、極楽眼福」 そんな穏やかな砂浜の、穏やかな波を受けながら、海の上に浮かぶゴムボート。そこに寝転がりながら、零六は双眼鏡を覗いていた。零六は体全体が重いうえに金槌であるのだが、それでもやりたいことを優先した。 何故ならば、今の海岸は彼が言ったように天国のような様相を呈していた。仲間の女性たちが水着に着替えて、遊んでいるからである。これをパラダイスと呼ばずして何と呼ぶか。 「フリルのついた色気なさそうな水着しかないのでな……。いろいろ残念じゃったのう!」 その近くで、同じくゴムボートの上に乗っているメアリは零六の視線を受けてかっかっかっ、と笑った。しかし、フリルのついた色気なさそうな水着、と彼女は言うが、彼女自身の体系とツインテールもあってかなり似合っている。 「きゃっ☆ 冷たい、気持ち良いです~♪ あ、たこさん、一緒に泳ぎましょう♪」 更衣室でフリルチューブトップビキニとフリルの水着に着替えてきたアリスは小さなタコを見つけてじゃれあっている。10歳相当の小さな体は、そうした幼さがよく映える。 「ゆらー、ゆらゆらー」 浮輪で海の波を受け、ゆらゆらと揺れるウェスティアが言う。ちゃぷちゃぷと、適当に水を弾いて遊んでいる彼女は、「おー」と声をあげながら、アホ毛をぴこぴことさせている。表情は喜と楽を繰り返しているのだから、海を楽しんでいるだろう。 「綺麗に焼きたいけど、焼きすぎるのはゴメンだから日焼け止めも必須ね」 持参したサマーベットの上に倒れこんで水着の紐を外し、いざ日焼けオイル! と、取り出した杏はそこで手が止まった。 「……あれ? 日焼け止めしたら日焼けしないじゃない? ……まあいいわ、サマーベットで寝転がっているのに意味があるのよ!」 まあいいや! と、サマーベットで寝転がった。これも海を楽しむ一つの形なのだろう。たぶん。 「潮風が気持ち良いです」 「そうね。ふふっ……海は人を大胆にさせるって、ほんとね」 潮風を受けながら、海辺を散歩するシエルとミュゼーヌ。品のあるお嬢様なふたりはどちらも水着に着替えていた。特にミュゼーヌは青のビキニと、開放的な格好で海を歩いていた。普段からは考えられないほどに、大胆である。 「こんなに若い子達ばかりと一緒に海というのも何時以来でしょう」 そんな中、古めかしいスクール水着を着て、海で汗を流している永もまた、別の意味で大胆だ。スタイルの良さも相まって、いろいろな意味で危うさを感じさせる。 「……ふぅ」 海の中に浸かってから、水飛沫をあげてクライアが水面に飛び出る。金の髪は濡れながらも太陽光を受け、キラキラと輝いた。まるで一枚の絵画のような光景である。 「今年の夏は、苛烈な暑さになりそうね」 パラソルの中でアイスを食べながら、こじりはそんな海の様子を眺めていた。 今年の夏はきっと、アークにとってもリベリスタたちにとっても激動の一年になるだろう。だけど、きっとここで遊んだ記憶も決して色褪せることはないと、こじりたちは確信する。 例え嫌なことがあっても、辛いことがあっても……。楽しいことだって確かにある。それを、海は教えてくれたから。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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