●魔眼軍人の誕生 その男は、かつての大戦の中で戦ったドイツの軍人であった。 ただ銃を持ち、己が信じる政党のために戦い……散っていく。 だが、彼は生き延びた。既に敵軍の機関砲に顔を撃ちぬかれていたが、顔が千切れていく瞬間に革醒したからである。その時に得た超人的な身体能力と、運命を掴み取る力によって彼は生まれ変わり、致命傷から奇跡的にも回復したのである! ……だが、その時の傷は深かった。革醒するのが少し遅かったため、顔へのダメージ……特に目へのダメージは深刻で、何かを見ることが困難だったのだ。 そんな彼は、同じアーリア人であり、ベルリン空襲時に革醒していたリヒャルトによって拾われる。そのまま彼の組織した『親衛隊』に籍を置き、後方支援を始めた。 ……それから、数十年。 転機が訪れたのは、作戦行動中の『親衛隊』がとあるアーティファクトを手に入れたからである。それは、義眼のアーティファクトであり、装着者に氷の力を操る力を与えるという神秘的なアイテムだった。 ただ、装着者の力を吸い取り、枯れるまで酷使するといういわくつきの品でもある。 だが、それでも……、“彼”は『親衛隊』の仲間を助けるため、不甲斐ない自分を拾ってくれたリヒャルトの為に、その呪いの品を使うことにした。 ――その呪いの品が、彼の体を焼き尽くすような激痛を発しても、それは些細な事だった。 「俺は……この力で世界に変革を起こしてみせる……! 何があろうとも!」 こうして生まれたのが、『親衛隊』指揮官の一人の魔眼のサラマンダーである。 彼は、他の『親衛隊』と共に行動を開始し、夜の街で部下と共に作戦を企て始めた……。 ●倉庫街での戦い 街の外れにある倉庫街にあるコンテナの群れを映しながら、『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)は指揮棒を手に解説を始めた。 「ここでアークのリベリスタと『親衛隊』が戦いを始めているわ。……原因は不明。敵の襲撃があったのよ」 モニターに、灯りが燈された倉庫街が映る。 「『親衛隊』はここ最近に現れた新しい敵ね。まだ良くわかっていないけど……なぜ、移動中のリベリスタたちを襲ったのかは不明ね」 所属しているフィクサードの動きを見るに実戦的な部隊であり、決して油断するようなことはないらしい。 「待ち伏せされちゃったのね。任務帰りのところを襲われたわ。そして、そのまま強襲を受けてこちらの部隊は既に半壊状態……。だから、あなたたちの出番ってわけ」 モニターには、『相良に咲く乙女』相良 雪花(nBNE000019)の姿も映る。彼女が中心になって抵抗したようだが……かなり劣勢のようだ。 「戦いは劣勢ね。相手の指揮官はアーティファクトも持っている上に実力者みたい。人望もあって、指揮能力も高いわよ」 次に、モニターは指揮をしているアサルトライフルを持った義眼の軍人を映す。彼は指揮官として働きながら、氷の力を目から放つという。 「敵は先の指揮官こと魔眼のサラマンダーと、その部下5名。部下はみんな士気が高いし、指揮官は見たことないアサルトライフルも持っているから厄介ね。……何が厄介かというと、解析の結果、このアサルトライフルは自爆機能が付いているらしいの」 自爆すらも厭わない、ということらしい。持っているのは指揮官だけだが、それでも鬱陶しい。 「今戦っているリベリスタだけじゃ、残念だけど負けは見えているわ。何とかして助けに行ってあげて」 モニターには、汗を額に浮かべて焦っている雪花の姿が見える。彼女を助けることができるのは、この場のリベリスタだけだろう。 「頼んだわよ」 乃亜はぎゅっとリベリスタたちの手を握り、真摯な目で見つめてきた。雪花とも仲がいい乃亜は、どうか助けて欲しい、ということを目で訴えたのだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月28日(火)23:37 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●防衛! 脱出! 愛用の獲物を構えながら『相良に咲く乙女』相良 雪花(nBNE000019)は、焦燥した表情を見せていた。その顔は焦りと汗に包まれており、その身に降り掛かっている危機を見たものに感じさせるだろう。 「……はぁ……はぁ。ここまで、追い込まれましたか……」 息も荒く、その白い手は震えている。周囲を見渡せば、倒れた仲間たちと銃痕が残る壁だけが見える。 やられた。奴らは最初から、依頼で消耗した自分たちを狙っていたのだ。 雪花はそう頭の中で確認しながらも、仲間を守るために必死になって戦おうとしていた。愛用の和服は既にボロボロで、流れるような綺麗な黒髪はその影も見えないほど煤けている……。 「いたぞ、こっちだ!」 声が聞こえてくる。今、雪花が相対している敵の声だ。銃声も続いて聞こえてきているから、撃ってくるのは間違いないだろう。 「……もはや、これまで! ならば!」 決死の覚悟で行けば、一人ぐらいは救えるかもしれない。だから、この命尽きるまで戦いを――、 大きなエンジン音。タイヤが擦れる音。 雪花の覚悟は、突然の乱入者によって乱された。 「雪花さん、また助けに来たよ!」 そして、飛び込んできたトラックから飛び出てきた『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)はそのまま転がり込んで雪花の前に立ち、両手を広げて銃弾から雪花をかばってみせた。 「もっと広く、手が届けばいい。もっと広く、手を伸ばせればいい。……砂蛇の時以来かな」 雪花に向けてにこやかに笑って見せながらも、自身は数百発の銃弾を受け止めていく。 「俺達が攻撃を引き受ける! 雪花さんは皆と要救助者の退避!」 「は、はいっ!」 味方に向かって駆け出す雪花に向けて銃口が向けられる。だけれども、それに対して自信満々に快はこう応えた。 「俺達が相手だ、駄犬ども!」 その自信の理由は同じくトラックから飛び降りてきた男! ツァイン・ウォーレス(BNE001520)だ! 「弾幕気にすんな、今のうちに走り抜けろ!」 彼は仲間たちと共に飛び出て、雪花を庇いながら既に倒れてしまっているリベリスタたちを救うために動き出した。あくまでも強気で、男らしく歯を見せて笑うその姿は、見ている者に勇気を与えるものであった。 「来たなナチ公、しかも結構骨の有りそうなのが。劣等とか優良種とかわめき散らすキチガイより遥かにマシだ!」 剣を構え、盾を構える。騎士風の格好は、このアサルトライフルの銃弾が飛び交う戦場に置いてはちょっと浮いているが、それがかえって目立つし、自分に攻撃が飛んでくるならそれはそれでよし。という思考を持ってツァインは攻撃を受け続けている。 「私のやるべき事は快さんやツァインさんと協力し、私に注意を引き付けて、倒れた者達に攻撃がこれ以上向かわないようにする事です」 そして、その後にゆっくりと降り立った『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)は、スカートを手で掴んで優雅に広げて挨拶を始める。敵であろうともまずは淑女のように、大人のように振る舞うのである。 「――御機嫌よう、魔眼の指揮官。申し訳ありませんが此処から先は貴方達の好きにはさせません。私達は、私は……変革など望みません。貴方が望むと言うのなら、私はソレを何があろうと否定するだけなのですから」 演奏の指揮者のように、見えないタクトを振るように、少女のような小さな腕を動かして、ミリィは動き出す。 「任務開始。さぁ、戦場を奏でましょう」 戦場を動かし、ミリィはアッパーユアハートを奏で始める。それによって敵の軍勢は知らず知らずのうちにミリィを狙い……、 「まだまだ!」 「こっちも忘れるなよ!」 それをかばう快とツァインたちに阻まれる。 「彼らも自分に課せられた使命の為に戦っているのでしょうが。それは私達とは相容れないもの。防がせて貰いましょう」 そうして三人が敵の攻撃を防いでいる間に、雪白 桐は淡々と負傷者をトラックへと運んでいく。桐は華奢で中性的な体であるが、普段から巨大な剣であるまんぼう君を持っているためか、負傷者の体を抱えて運ぶのも手慣れた様子だ。彼らが狙われないように、自分を矢面に立たせても居る。 「んー、多少は時間がかかりそうですが、このまま行けば大丈夫そうですね」 自身の薄い唇に人差し指をそっと置きながら、桐はミニスカートを靡かせながらジャンプをして、トラックに負傷者を投げ入れる。 「しっかり治してきてください」 桐の表情は変わらないが、その言葉からは心配が汲み取れた。 「今だ! くらえ!!」 そんな桐に向かって、ミリィの誘導に引っかからなかった男の銃弾が飛んでいく。 「そのセリフ、まるでB級映画の悪役ですわよ!」 その銃弾を横から割り込んだ『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(BNE000609)が受け止めつつ、余裕の証としてウインクをしてみせた。 「それにしても、噂の親衛隊ですか。先の楽団のゾンビ軍団もそうでしたけど、まるでB級映画の悪役のような光景ですね」 時代錯誤の軍服を着た集団が銃を片手に突撃してくるという、やはり時代錯誤な図を見て呆れながらも、彩花は挑発するように自分の長い黒髪を撫でてニヤリと笑う。 王者の余裕、とも取れるその挑発に軍服の男達は少しだけ尻込みをしたが、それでもサラマンダーの指揮の元で攻撃を再開する。 「なかなかやる相手のようですわね。ですが、こちらの指揮官はもっとすごいですわよ」 「……私は、私なりに精一杯やるだけです」 あら? と言いたげな視線をミリィに向けてから、彩花は改めて構え直す。まだ、勝負どころは続いている。 「勇者到着です! さあ、ボクは今から癒しの勇者になりますよ!」 だからこそ、『勇者を目指す少女』真雁 光(BNE002532)の聖神の息吹による回復はありがたい。そして、その自信と強気に溢れた表情も心を強く持つことの大切さを教えてくれる。 「仕事ですから。助けますよ。助けますともさ」 その一方で『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)は負傷者たちを抱え込んでトラックに投げ入れていた。年齢の割にあばたも少女のような身長であり、投げ入れるには苦労する……ように錯覚するが、スーツ越しをよく見るとその体格はかなり筋肉質だ。 「その後どうなるかはわたしの知ったことではありません」 そんな彼女はあくまでもドライに、無表情にリベリスタを運んでいく。後ろに銃弾が飛び交っても、淡々と進めていくという安定感がある。怖いことも言っているが、あばたはそういう性格なのだ。 「狐&狐の速い方リュミエールです。はやくのりやがれー」 同じく淡々と負傷者をトラックに乗せているのは、『瞬神光狐』リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)である。素早い行動で、効率よく負傷者を運ぶのは、速さを自負しているリュミエールならではと言えるだろう。その狐の耳はピコピコと忙しなく動いていた。 「雪花さんがピンチと聞いて! いや、うち雪花さんとは挨拶程度で、そこまで頻繁には会ってへんけど……名代さんにはいつも仲良くさせてもらっとるからなぁ。此処で助けんかったら、蝮さんに会わす顔があらへんわ」 そして、そんな負傷者たちが狙われないように忙しなく動くのは『レッドシグナル』依代 椿(BNE000728)も同じだ。夏用に短く揃えた和ロリを振り回しながら、口で色々な言葉を急いで紡ぎながら動き回っている。 「どぉも、お久しぶりやねぇ。これで仁蝮組に貸し一つ……冗談やよ?」 そして、雪花の近くにやってきた椿は、その肩を軽く叩きながらにっこりと笑った。冗談を交えて。 「はい! この御恩は忘れません!」 「……あれ? う、うちはチンピラ違うからな! 普通の女子大生や!!」 「もちろん、わかっていますよ。ただのチンピラではありませんよね?」 あかん。そう思った椿だったが、今は忙しく動かねばならない時だったので、その話はまた今度ということにして、負傷者を運び込んでいた。 「相良さん、ご無事ですか! 援軍にございますぞ!」 そして、次に雪花に声をかけたのは『闇夜の老魔導師』レオポルト・フォン・ミュンヒハウゼン(BNE004096)だ。彼も負傷者に肩を貸しながら、トラックへと導いている。 「大丈夫ですかな。傷は浅いですぞ」 その紳士的で優しげな声に励まされた負傷者たちは、精神的にも安定してゆっくりとトラックへと向かっていく。中には、その渋さに憧れを抱いた者もいたようだ。 そうやって負傷者を運び込んでいく途中で、ミリィに蓄積されたダメージが限界を迎えた。特に大きかったのは、敵の指揮官であるサラマンダーによる氷攻撃だ。 ――目が光ったと思ったら、次の瞬間私の体は氷に包まれていた。 ミリィは後にそう語ったという。 「……大丈夫。私は、まだ大丈夫」 そう言い聞かせるように自分を鼓舞しながら、ミリィはフェイトの力を使って立ち上がる。ゆらり、ゆらりとふらつきながらも、また立ち上がって指揮を続けた。 「さて、これで大体片付いたようやね」 「任務はひとまず完了」 さて、そうしている内にすべての負傷者が運び込まれて、トラックの出発の準備は完了する。 「運転、よろしくおねがいします」 「よろしゅーなー」 「よろしくお願いしますわね」 「……えっ」 そこで、白羽の矢が立ったのは雪花だ。レオポルトたちに言われて、きょとんとしたがすぐに役目を理解し、トラックに乗り込む! 「でも、操縦法が……」 「運転? 大丈夫、アクセル踏めばまっすぐ進む!」 「……は、はい!!」 そうして、雪花は負傷者を連れたトラックと共に離脱を開始した。 そのトラックを見逃すまいと、アサルトライフルの銃弾が襲う! 「そんじゃまっ、こっから逆転といきますかぁ!」 「さて、斬り合いましょうか」 にやりと笑ったツァインと桐によって、その銃弾は防がれる。 そして、ここから本格的に二軍がぶつかり合うこととなった! ●氷結! 爆発! 戦場は氷に包まれていた。というのも、敵の指揮官であるサラマンダーの仕業だ。目のアーティファクトの力を引き出し、氷の力を暴走直前まで高めていったのである! 「これより我がフィールドによって貴様らを包囲殲滅する! 全隊、殲滅戦へ移行せよ!」 「ヤー!!」 そして、構え直した敵部隊は軍歌を鼻歌交じりに突撃して来る。目標はもちろん、リベリスタたちの命だ! 死すら恐れない彼らが、アサルトライフルの銃弾と共に迫ってくる! 「故国の同胞よ! かのヒューラー亡き後、何を以ってその旗を掲げると仰せか? 人が意思にて制御できる程度には戦火も落ち着き、望めば安寧を得ることも易いこの時代に、過去の怨念に取り憑かれたが如く、再びいずこやに第三帝国を……屍山血河を土台として打ち建てるおつもりか?」 その突撃に対して、問を重ねたのはレオポルトである。彼は自身の過去を照らし合わせながら、ドイツ語を使って同胞たる彼らの意志を確認したいのである。 「……同胞か。ならばこちらから問おう! 貴様、アークを裏切り我らに付けい!」 その問いに対し、強い口調でドイツ語が帰ってくる。その誘いにレオポルトは……。 「……宜しい。では只今をもってヴリルの末裔、このミュンヒハウゼンは、誇り高きアーリア人として貴公らと敵対することをここに宣言するッ!」 構えを取り、魔導の力を開放する! 葬操曲・黒によって敵を巻き込んでいくのだ! 「これしきの攻撃……怯むな! 突撃せよ! 勝機はまだ我らにある!」 しかし、敵も恐れを知らない親衛隊! アサルトライフルの銃弾が、あばたに突き刺さる! あばたは倒れながらも、フェイトの力を使って復活するほどまでに追い込まれた! 「……あなた達は一つ勘違いをしています」 しかし、そんな突撃陣形に対して一言口を挟むのはミリィだ。あくまでも冷静を表情に保たせたまま、ゆっくりと腕を振り上げる。 「殲滅戦に入るのはこちらです。……準備は整いました。さぁ、反撃の時間です。私達の仲間を傷つけたことを後悔させてあげましょう」 ミリィは呼吸を一度置いて、神気閃光で敵を包む。それは反撃の狼煙だ。 「回復は回復勇者のボクがします! 皆さん、がんばってください!」 光はその狼煙と共に聖神の息吹を使い、味方を助けていく。 「ええ、私を傷つけた責任も取ってもらいますわよ!」 そして、ミリィの神気閃光に怯んだ部下一人を選び、彩花が懐に飛び込む! 「氷結は、あなただけの技ではありませんのよ!」 体重を乗せたアッパーカットと共に、氷結の拳を叩きこむ! すると、その部下はたちまち凍りついてしまった! 「制圧の時間です。仕事ですから」 凍りついた部下を、あばたがB-SSによって撃ち貫く。これで、部下の一人は無効化された。 「あなたも倒されてもらいますよ?」 「乱暴だよな―」 葬操曲・黒によって体中に毒が回っている相手を目ざとく見つけたリュミエールが閃光のようなスピードでアル・シャンパーニュを放ち、更にダメージを受けたところに桐のデッドオアアライブが炸裂する! 「二人目ですよ?」 「おのれぇ……! だが、まだだ!」 このタイミングで、サラマンダーが動き出した! 氷の魔眼を放って来たのだ! 「おっと、凍らせないよ」 それに対して、快はブレイクイービルによって冷静に対処し、被害を最小限に抑える。 「なぜだ。なぜ、こうも……」 「……ま。不幸の星が降りてきたってことやな」 コンテナを力任せに叩くサラマンダーを見て、自身がひっそりと撃った陰陽・星儀の効果を感じながら、椿はくすりと笑っていた。 戦いは終局へと近づいていた。リベリスタたちの活躍によって部下をすべて失いながらも、サラマンダーが再び放った氷結の力は前衛で攻撃を受け続けていたツァインを穿つ! (死にぞこなって、ズタボロになっても諦めないで、チャンスを見つければどんなリスクも関係無い……アンタみたいな奴、かなり好きだけどな) しかし、ツァインは倒れない。それどころか、聖骸凱歌によってダメージを回復し始めた。 「all lives……aspire!」 「そろそろ、近いようですね。焦りが見えて来ました」 その一方でミリィはアブソリュート・ゼロを放ちつつ、距離を取りながら通信を味方へと飛ばす。例の自爆が近付いていることを感じ取ったのだ。 「運びますよ」 故に、まずは桐がメガクラッシュでサラマンダーを吹き飛ばす! 「自爆なんて最悪の責任逃れだろうに。何が優良種か!」 次に、ラグビーのタックルの要領で突撃した快が組み付く! 「一秒でも早く、沈黙してもらう」 そして、組み付かれてもがいているサラマンダーをあばたが狙い撃つ! 「我紡ぎしは秘匿の粋、エーテルの魔弾ッ!」 そして、トドメの一撃はレオポルトである。仲間のため、思いを込めた魔の矢がサラマンダーの目を貫いた! その瞬間、閃光が戦場を走る。サラマンダーの持っているアサルトライフルが、急激な爆発を始めたのだ! 「大丈夫、こう見えてしぶとさには少しだけ自信がありますから」 その閃光に向かって立ち向かったのは、彩花だ。体力が失われていたミリィをかばい、その爆発を身に受ける! やがて爆発は広がりを見せて、リベリスタたち全員を飲み込んだ――。 爆発の後、和ロリに付いた煤を払いながら椿は笑う。爆発の影響で一度倒れたものの、フェイトの力でこうして再び立ち上がったのだ。 「あー……結構しんどい爆発やね」 それから、同じように武具に張り付いた煤を払いながらツァインは空に向かって言った。 「覚悟お見事。じゃあな、魔眼のサラマンダー……」 犬死とは言えない。彼は彼なりに自分の任務を全うしたと思えるから。 「当時の事を私は知らない。それでも彼らの戦いが今の私達に結びついている事は知っている。それでも、今を生きているのは私達です。彼らの妄執に、私達の今を奪わせない。―絶対に」 祈るように、同じく空に向かってミリィは呟いていた。 例えどんな相手であろうとも、これから先どんな作戦を仕掛けてきた所でも、アークは負けない。 きっと。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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