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ドイツ第三帝国の魔術結社ヴリル協会の残党。一族に連綿と受け継がれてきた魔術の力を得てはいたが、光射さぬ魔道との関わりを生理的に厭い『神秘を得たとしても関わらなければ何も起こらない。危険な出来事は全て自分を取り巻く人生の蚊帳の外で起こり行く物』と考え、祖国を離れ極東の地に移り住み、ささやかなれど平穏な暮らしを得、神秘の力から目を背けて静かに生きてきた彼を待っていた物は、1999年のナイトメア・ダウンにて、死に瀕した愛する家族をただの一人さえも救うことが出来ずに、己だけ生き存えるという残酷な運命であった。全てを失い抜け殻となった老人は、慙愧の念を胸に、再び自らの意志で闇より昏き魔道の深淵を目指す。
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