● 自室の作業机に座り、古い一眼レフカメラを前に『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)は真剣に何か考え事をしていた。 「さて、どうしたもんか……」 このカメラはアークの情報部から払い下げられたもの。新しい備品が入ることになり、不要になったものが廻り回って守生の元にやって来たのだ。 カメラに興味がある訳でも無かったが、手に入れたとなると何かを撮ってみたい衝動に駆られるものだ。元がデジタルカメラで育った世代、アナログカメラが珍しいというのもある。 「やってみなきゃ始まらない、だな」 小一時間悩んだ末に、守生はいよいよ決断を下した。 ● 「で、だ。紅葉を撮りに行かないか?」 例によって、2~3個段階をすっ飛ばして話に入る守生。 普段のブリーフィングルームの姿は何処へやら、だ。 つっかえつっかえ話す彼の話の要点をまとめるとこうなる。 三高平近郊の山で、これから紅葉が見頃を迎える場所がある。そこへ守生は風景写真を撮りに行くのだが、付き合わないかということだ。カメラの心得が無いので、いきなり1人で始めるのが恐いのだろう。 カメラの心得があるものがいれば、教えてあげるのも良いかも知れない。 それを抜きにしても、守生が出かけようとしている日はよく晴れているとのことだピクニックと思って付いて行くのも悪くない。なんだったら、自分で写真を撮っても良いだろう。 「という感じだ。よろしく頼む」 そう言ってギクシャク去って行く守生。 ブリーフィングなどならともかく、気軽に人に話しかけるスキルはまだまだ低い。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年11月25日(日)22:36 |
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■メイン参加者 20人■ | |||||
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● 「やっふー! おにゅーのスマホ買っちゃったー♪」 穏やかな日が木々を照らす。 風は冷たいが、むしろ心地良いと言える。 そして、程良く冷え込んだお陰で、紅葉の色付きは鮮やか。燃えるような、という表現がふさわしい。秋から冬に移るほんのわずかな間だけ、大地を灯す炎そのものだ。 そんな三高平近郊の野原を、舞姫はミュージカルの主人公のように足取り軽く駆け抜ける。 手に握られているのは、買い換えたばかりのスマートホン。小遣いを溜めて購入したものだ。新品を手にすれば、誰だって心は躍る。彼女のように文字通り踊り出す人間は少ないだろうが。 「撮った写真をブログとかSNSにアップして、有名人になっちゃったら、どうしよ? きゃー、期待の新星☆天才美少女カメラマンだわ!」 心は既に有名人。 勢いのままインタビューの予行演習などを始めてしまう。まだ一枚も撮っていないのに。 その横で、同じように新しく手にしたカメラを構えながら、守生はガチガチに固まっていた。何かブツブツ言っている。初めて戦場に出た新兵だって、もう少しリラックスしているだろう。 「被写体を収めて、ピントを合わせたら、シャッターを切るだけ。被写体を収めて、ピントを合わせたら、シャッターを切るだけ……」 ゲリラの潜む村に潜入した兵士のように、カメラをあちこちに向けている。 のんびりと紅葉をカメラに収めていた終の視界に、そんな守生の姿が映る。 「あ、モリゾー君だ。カメラの構え方とかシャッター切る手が超ぎこちないね」 最初は微笑ましく見ていたが、突然、終の口元が悪戯っぽく歪む。ひょっとしたら、電球が光るエフェクトを目にする者もいたかもしれない。 「もしかして紅葉を写真に撮るより、写真を撮るモリゾー君を写真に収めた方が面白い?」 こうなったら、もう止まらない。 面白いと思ったことは、やりたいと思ったことは、すぐさま試してみるのが一番だ。 ● 「行きますよ、魅零さんっ!」 流は魅零の手を取ると、翼をはためかせる。一番大きな木の元へと一目散だ。 これも神秘を受け入れたリベリスタならではの光景ではある。連行される魅零の顔は、感心しているのやら呆れているのやら、そんな表情だ。 2人が降り立った木は立派な枝ぶり。木の下にやって来た2人は、周囲を取り囲む多くの木々のせいもあって、世界が鮮やかな赤に染まってしまったような錯覚を受ける。 「紅葉がとても綺麗ね、落ち着けそうよ」 しばらくぼうっとしていたが、魅零はようやく口を開く。ここ最近の戦いは肉体よりも精神を疲弊させるものばかりだった。そして、ここの紅葉はそんな疲れた心にいくばくかの癒しを与えてくれた。 彼女の心中を察してか、流は明るく手作りの弁当を差し出す。 「いけない、紅葉に夢中で忘れるとこでした。お弁当にしましょう?」 「そうね。それじゃ……」 魅零はひょいと卵焼きを口に運ぶ。少々焦げているのはご愛嬌……と思っていたが。 「流の手料理は、なんだか奇異的な味がするのね」 「えぇっ!? そんなはずは……んん、甘っ!?」 慌てて自分もお弁当を口に運ぶ流。 すると、甘いおにぎり、しょっぱい煮物。 どうやら、調味料を間違えてしまったようだ。 「ご、ごめんなさいっ、お茶どうぞー!」 「大丈夫よ、食えないことはないわ」 お茶を差し出す流に、フォローにならないフォローをする魅零。 そのままもくもく食事を口に運ぶ。 「……ありがとう」 申し訳なさそうな流にそっと呟くお礼の言葉。 気持ちだけで、もうお腹は一杯なのだから。 狩りという言葉は、普通『動物を捕えること(そして多くの場合、獲物を殺す)』を指す。しかして、紅葉狩りという言葉にも、『狩り』と含まれている。このことに疑問を持つ者は多かろう。 由来こそ不明だが、実の所『狩り』という言葉は『草花を愛でる』という意味も含んでいる。つまり、紅葉狩りとは『紅葉を愛でる』という意味なのである。 「だけど、『動物を捕えること』の方が、狩りとしては正しいと思うんだよね、俺様ちゃん」 「ふーん」 「こうやって落ち葉切っても殺してる実感無いしさ」 「あぁ」 「紅葉の代わりに霧島ちゃんの首狩っていい?」 2人して紅葉の舞う道を歩いていた葬識と俊介。 落ち葉を鋏で切っていた葬識は、気の無い返事をしていた俊介に、物騒なことを言う。 しかし、俊介も慣れたもの。 「俺の最期の時に出直して来い、な!」 「はいはい、冗談、今はね」 「首を洗って待ってるよ、俺の死に場所サン! ……む! くわしゃんの臭いがする!」 突然きょろきょろ周囲を見渡した俊介は、赤い紅葉の中、のんびり寝ころぶ火車を発見。 「ここで会ったが云十年! 大魔道の一撃を見せてやる!」 ばきばき 「……少し静かにできねぇのか? ワンコロかテメェは。……ん? アンタは?」 数十秒後、そこにはボコボコにされた俊介の姿があった。 そして、不機嫌そうにまた寝ようとする火車に手を振る葬識。 「こんにちは、意外と風流なんだね、宮部乃宮ちゃん。君は『赤』が好きなの?」 唐突な質問をする葬識を変な奴だと思いながら、火車はつい真面目に考えてしまう。 嫌いではないが、ことさら語る程のものではないような気もする。 そう思っていたのだが、ふと思い至る。 「まぁ、そうだな……好きだね、『赤』は。んで? アンタ誰だ?」 「ああ、自己紹介がまだだったね。殺人鬼だよ、よろしくね」 「それ名前かぁ……? で、この玩具どうする?」 葬識の物騒な名乗りを流すと、横に倒れている俊介を指差す。 目覚める気配は、まだ無い。 「霧島ちゃんはまあ、その内起きるでしょ? それよりあっちが楽しそうじゃない?」 「それもそうだな」 そして、倒れた吸血鬼をそのままに、火車は殺人鬼と紅葉狩りを再開するのだった。 ● 「よし、次は体育座りしてみて! 木の根元で! 切なげに!」 「まったく注文が多いな?」 「よーしよし! いいねいいね! じゃあ、今度は横になってみて! アンニュイな表情で! いいよいいよー! かわいいよー!」 はしゃぎながらユーヌを激写する竜一。彼女の表情はほとんど変わっていないように見えるが、恋人にはめまぐるしく変わっているように見えているのかも知れない。 (予想してたから付き合うが、別にファインダー越しに見なくても、目に焼き付ければいいのにな) あるいは別の用途に用いるのかと年不相応な感想を抱くユーヌ。あり得る話だ。 そんな彼女の心中も知らずに、一通り写真を撮って満足した竜一は恋人へと近寄り、抱き締める。 「やれやれ、もう満足したか?」 「可愛いユーヌたんはどれだけ撮っても足りないけどね。ああ、もうユーヌたんは可愛いなあ。寒かったろう、俺の腕の中であったまるといいよ」 人目も憚らずに抱き合う2人。 企画が街中でなくて本当に良かった。 「なら、もう少し顔寄せろ」 抱き付く竜一の顔を片手で動かし、照準を合わせる。 「1人の写真が増えても仕方ないだろう?」 ユーヌは携帯電話に付いているカメラのスイッチを入れた。 カシャリ さて、そんなプロじみた連中がいる一方で、相変わらず守生は一枚も写真が撮れないでいた。 一番最初に撮る写真には良い被写体を選びたいという、初心者にありがちなアレである。 パシャ その時、シャッター音が聞こえる。先にいるのはカメラを構えた終。 「良い表情だったよ、もーらい!」 「え!? って、いつの間に!」 「あはは、それじゃーねー」 慌てて追いかけようとする守生だが、それは無理というもの。あっと言う間に、終は姿を消してしまう。 そして、逃げられて肩で息をする守生に、エナーシアがクスクス笑いながら声を掛ける。 「苦労しているみたいね、素人写真家さん」 「あぁ……ま、まぁな。何を撮ればいいのか、選べなくて……」 守生の言葉を聞いて、内心微笑ましく思ってしまうエナーシア。 その気持ちも分からないではない。自分も形からとカメラを始めた人間だからだ。だけど、この1年半で様々な思い出をファインダーに収めてきた。今ではすっかり手に馴染み、胸を張って趣味と言えるものになっている。 だから、先輩としてアドバイスを送ることにした。 「楽しんで参りましょう? 慣れないで写真を撮るときの戸惑いや緊張も含めて後から見返せるのが撮ることの良い所なのだから」 「そ、そう言うもんなのか? ……分かった、やってみる」 意を決してレンズを覗き込み、紅葉の森をファインダーに収める。 パシャリ 意を決してシャッターを切ると、思いの外簡単に撮れた。 「モリゾーさーん!」 その時、風景に1人の少女が割り込んでくる。 もう1人の新人カメラマン、舞姫だ。 彼女が強引に守生を誘い写真に収めようとすると、守生もようやく緊張から解き放たれたせいか、つい従ってしまう。 「風景ばっかじゃなくて、自分撮りしましょーよ。モリゾーさんも、笑って―。いえーい♪」 「い……いえーい」 棒読みで応える守生に対して、スイッチを入れる舞姫。 しかし、シャッター音は鳴らなかった。 「ん、あれ? スマホさん、息してない……偽物だよ、ガッデム!!」 明らかに間違ったロゴ、そして、切れている電池。 戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫、脱落。 そんな写真仲間の姿を、一言入れてからカメラに収めるエルヴィン。 「綺麗な紅葉を写すのもいいが、やはり、楽しそうにしているヒトを写すのも悪くないな」 手の中にあるカメラは、本来とある少女が多くの幸せを写すはずだったものだ。しかし、それは最早叶わないこと。 だから、彼女の代わりに自分が撮ろう。 その時に刻んだ決意を忘れない為に……。 「さて、次は何を写そうかな」 ● ニニギアとランディは見事に紅葉が並んだ遊歩道を歩いていた。 ニニギアは年下の恋人のたくましい腕をぎゅっと掴んで、子供のようにはしゃいでいる。 「わぁ、見て、すごく鮮やかな紅葉!」 「おいおい、のんびり行こうぜ、ニニ。そろそろ秋も見納めなんだし、滑ると危ないぞ」 「大丈夫、よそ見して落ち葉で滑ってもランディが支えてくれるよね」 悪戯っぽく笑うニニギアの言葉に、困ってしまうランディ。 しばらく進んだ所で、ちょうど良さそうな開けた場所が見える。 ご飯の時間だ。 「沢山作ってきたからな。そしたら、またはりきって行こう」 「しあわせ! ありがと、らんでぃ!」 お弁当を広げると、梅昆布、鮭、しそと山菜のおむすびが所狭しと並んでいる。 これを作った男が、普段アークの戦鬼と畏れられているなどと、誰が信じられようか。 抱き付いたニニギアも、お茶やデザートのりんごを取り出す。 並んで座って、一緒にお弁当をもぐもぐ。 幸せな時間はしばらく続くのだった。 雷音とカルラの前に並ぶのは、きのこご飯の握り飯に、唐揚げと卵焼き。そして、サンドイッチにポテトサラダ。和洋揃っており、まさしくこれぞピクニックのお弁当だ。デザートとしてフルーツサンドイッチも入っている。 「俺も色々練習してるんだぜ! その、なんだ。喜んでもらえたらって思うと、やる気出るっつーか。食べてみてくれるか?」 「うん、季節の味で美味しいぞ」 元気良く言った後でカルラは少し照れ臭そうだ。 雷音も偉そうに言った一方で、顔に嬉しさが滲み出ている。 こうした季節ごとの味を楽しめるのは、この国ならではだ。 そして、お腹が膨れたら散策開始だ。 カルラは落ち葉を1枚手に取る。つい、その色から、戦いの時に流れるアレを連想してしまい、慌てて首を振る。いや、これも普段守っているものの1つ。だからこそ、今はのんびりしよう。 「紅葉って言っても色々だよな……朱鷺島はこういうのも詳しいか?」 「うむ、モミジとは紅葉した時で木の種類としてはカエデなのだぞ」 そして、雷音の口からつらつらと紅葉についての解説が流れてくる。 とっても、楽しそうだ。 カルラもそんな彼女の様子につられて笑ってしまう。 「それじゃさ、これを押し葉にして、コースターや栞に、とか。どうだろ?」 「なんとも風流だ。良いと思うのだ」 自然の世界は優しく、思い出をプレゼントしてくれるもの。 それも、いろんな形で。 これもその1つだろう。 ● 「彼氏、もっと彼女に密着してくれるかなー。そうそう、腰に手を回したりして……そう! 彼女の表情スゴクイイ!」 再び散策に戻ったランディとニニギアの前に現れたフツは、ベテランカメラマンも顔負けの名調子で声掛けしながら写真を撮る。学んだ説法も一助になっているのだろうか? 「照れちゃダメ、なんてことないの! 照れていいの! 自然なんだから! そう、ここは自然でしょ? それなら、アナタタチも、自然にならなきゃ」 そうして、パシャリ。 手を振って別れると、カメラの容量を確認。 気付けば随分と写真が貯まっている。 「ウウン、いいわ、最高の一枚になった! これはお天道様も見逃さないわね!」 フツは満足げに頷く。 さて、撮り残した奴はまだいなかっただろうか? 「こんにちは、守生さん」 「あ、あぁ」 秋空と紅葉を題材に撮影をしていた七花は、守生を見つけて挨拶をする。 守生としては以前の事件の兼ね合いで、ちょっと気まずい所だ。 リベリスタに期待が無かったわけではない。ただ、形の上でリベリスタ達に殴られても文句を言われても仕方ない依頼を行ったのは事実だからだ。 しかし、七花は守生に笑顔を送る。 「貴方は任され、私たちはやり遂げたぞ♪」 「殴られた方がよっぽど気が楽なんだが……」 「ぶん殴るとかは私の性分ではありませんし、高城さんの判断もアークとして当然。それに見捨てろとはいいませんでしたし。ほら、あっちの木も映しましょう? 時間が経ったら、青空も消えちゃいますから」 そう言って、七花は野原を駆け出す。 守生もいつもの調子を取り戻して、追いかけて行った。 「ふぅ、随分と撮ったものだ」 使い切ったフィルムを交換して、コーディは軽く微笑む。 コーディ・N・アンドヴァラモフには記憶が無い。記録としては存在するが、思い出として存在しないのだ。 だから、写真を撮る。 このデジタルのご時世でも、アナログのカメラは使われている。 理由は簡単だ。アナログの写真は簡単に色褪せない。そして、何よりも誰かの手で改ざんされることも無い。 (願わくば、写真のように長きにわたって記憶がなくならないように……) そして、戦場に出たばかりのニュービーが、次第にいっぱしの顔をするようになってきた頃、亘がやって来た。手には近くの売店で買ったホットドッグを2つ持っている。 「ふふ、こんにちは守生さん。良い写真は取れてますか?」 「ボチボチ、かな。このカメラだと出来が分からなくて、不安が残るぜ」 「たしかに、そうですね。あ、これ差し入れです」 守生が返事するよりも、先にぐぅと鳴ったお腹が答える。気付けば、昼飯を抜いていたのだ。 照れ臭そうな顔をする守生に、亘は笑いながらホットドッグを手渡す。 そこから休憩がてらと会話が弾む。普段のリベリスタとフォーチュナという関係でなければ、同年代の少年同士。マイペースな少年と気難しい少年、というだけだ。 「あぁ、例のペン、使い心地良いぜ。結構助かってる」 「えっと、貴方に使って頂けてとても嬉しいです」 普段、フォーチュナ業に徹しているが、守生も話したいことは結構多い。亘もあれこれ話す機会を探していたので、ついつい長引いてしまう。 「おっと、お邪魔だったかな? いや、どんな写真を撮ったのか気になってさ」 そんな所へひょっこり現れたのは快だ。 「あぁ、基本風景だな。みんな、紅葉の傍にいたから、何のかんので入っちゃったけど」 仲良く紅葉の前ではしゃぐ友達同士、紅葉を眺める恋人達。色んなものを撮った気がする。 中には小遣いをはたいた成果が一瞬で消え去った女の子や、ボコボコにされ紅葉の中で死んだように眠る吸血鬼とかもあるけれど。 話を聞いて、快は1つのアイデアを思いつく。 「折角だから自分の写真も1枚くらい撮っといたら?」 「いや、別にいいだろ、そういうの」 「俺がシャッター押すから、さ」 「折角ですからね、良いと思いますよ」 言うが早いが、素早く守生からカメラを撮り、構える。 そして、快の不意打ちはここで終わらなかった。 「おーい! モリゾーと写真撮りたい人集合ー! 卒業写真の欠席者になりたくなかったら、みんなもっと寄ってー!」 「え? なになに?」 「混ぜて混ぜてー」 「おい、ちょっと待て! それと、モリゾーじゃねぇぇぇぇぇぇ!」 守生の抵抗虚しく集まってくる、リベリスタ達。 「はい、チーズ!」 快の音頭に合わせて、シャッターが切られる。 紅葉を背にリベリスタ達が集まった集合写真。 後に仏頂面の守生からリベリスタ達に配られる訳だが……それはまた、別のお話である。 写真は良いものであるよな。 その時の一瞬一瞬を切り取り、画として長きにわたって保存される。 ――――『境界性自我変性体』コーディ・N・アンドヴァラモフ |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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