● 「ディープパープルなエッグプラントとライトグリーンのキューカンバがレテを乗り越え、現世にカミングバックだ」 『駆ける黒猫』将門 伸暁(nBNE000006)は、今日も絶好調だ。 「それがメニメニメニ。おまえらにはサウザンスラッシュアンドドウザンホールド、ライスブランとソルトとメタルでのソウルピュリティファイイニシエーションに勤しんでもらう」 うん、何言われてんのかわかんない。 しかし、アークのリベリスタたる者、NOBUとのコミュニケーションとれずして、どうしてアザーバイドと相対せようか。 諦めちゃいけない。 やつはとりあえず同じ人類発祥のはずだ。 古来より死体がアンデッドとなるのを防ぐため、死体の口に塩や金貨を置くしきたりがある。 日本でも、死体の上に懐剣の鯉口を切っておく。 つまりあれだな。そういうことをすればいいんだな。 ブリーフィングルームには、巨大なプラスチックの桶。巨大な石の重し。 食塩1キロ袋多数。ぴかぴかの鉄釘。そして、糠床。 「ソドムとゴモラの罰を与えるんだ。おっと、ラスティネイルじゃビビットカラーは望めない。さび付いてないおニューを使うんだぜ?」 なんだろう、この違和感。 リベリスタ達は、念のため、糠をAFで翻訳してみた。 ライスブラン。 「――おい。具体的にどうすればいいか言ってくれないか」 「まずムーブしまくるエッグプラントとキューカンバをホールドし――」 「動き回るナスときゅうりをふん捕まえて――」 「ソルトとピュアアイアンのネイルでピュリティファイしたライスブランの海に――」 「塩馴れさせて、新品の釘入れていい感じにした糠床に――」 「ソフトにソルトアタックした後、一晩バリー――埋葬するのさ」 「軽く塩もみして、漬け込むんだな」 「その後、スラッシュして、リベリスタの腹にリアルバリーだ」 「薄切りにして、食って始末つけろと」 サムズアップ。 「おまえら、完璧だ」 よぉし。フォーチュナ控え室に差し入れしてやる。 食えよ。おまえも、ジャパニーズピクルスをエンジョイしろよ!? 安心しろ。かばんが必要ないように、タッパーは風呂敷包みにしてくれる! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月13日(月)22:25 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
■サポート参加者 4人■ | |||||
|
|
||||
|
|
● リベリスタが見たのは、紫と緑の絨毯だった。 食堂のリノリウムの上、紫で丸っこい奴と緑の細長いやつが芋虫よろしくうごめいている。 『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283) が素っ頓狂な声を上げた。 「わ~☆ ほんとにうごうごしてる~☆ 面白い☆」 これからこれを全部塩もみして、中に沈める作業が始まるお。 「ソウルぴゅりてぃふぁいいにしえーしょんいぇー!! 浄化作業を完遂する! よ!」 先日大々的に映画館に黒歴史映画ポスター掲示されちゃった『紺碧』月野木・晴(BNE003873)、NOBUワードを嬉々としてシャウト。 来年当たり、身もだえするほど恥ずかしくなると大予想。 (なんでもかんでも横文字にすればよいというものではないと存じます。せっかく男前で将門さんなんて武士らしいお名前なのに) 『永御前』一条・永(BNE000821) は、幻想纏いの鏡面にスマートフォンよろしく指をなぞらせる。 メンナク系は永のハートは撃たないらしい。 「茄子に胡瓜……まさに夏の醍醐味でございますね……」 『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)が、おっとり呟く。 (私は今回過重労働じゃありませんし、アーク厚生班の皆様は私を強制回収出来ない……ふふ……嬉しゅうございます♪) シエルは、連続勤務72時間とかザラで、厚生班に強制休養を命じられたりします。 「折角の新鮮野菜なのに全部漬けちゃうのも、もったいないかも。活きの良いのをモロキュウでバリッと躍り食いなんてのも、イケルんじゃないッスか?」 いろんな味で楽しまないとッスよね♪ とか言いながら、『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026) が手近なきゅうりをつかんで味噌掬い取りーの、きゅうり口に入れーの。 即座に飛び上がる。 「ほごぅっ!? か、噛まれたッス! 舌噛んだじゃなくて、舌噛まれたッスよ、ガッデム!」 歯とか真っ赤だ、スプラッター!! がっぷりやられたよ? しゃべれる程度に長さは残ってますがね? 「あばばばば、胃の中で暴れてるぅぅうう。Rストマックが無ければ、お腹からキシャーってやられるとこだったッス……」 並みのリベリスタならば、横隔膜から折れたきゅうり爆誕となっただろう。 「ちょっと擦りむく程度だろ? あ、オートキュアーいる?」 計都は、涙ぐみながら頷いた。 『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)のノリが軽い。 いつになく軽い。 「ぬか漬けを食べるのは初めてだ、日本の料理だから美味しいんだろうな。あー、楽しみ……なんて言ってられるのは、今だけデスヨネー、わかってる!!」 いつものお嘆き台詞も語尾が軽やか。 何しろ今日は、たった一人の人以外はどーでもいいのだ。 『ミス・パーフェクト(大学1年)』立花・英美(BNE002207)だけが大事なのだ。 EX・二人の世界と書いて、ヌカップルと読む。 何それ漬かってんの熟成されてくの外界に触れさせないと腐るの二人の世界だから? それはね、積み上げられた物量から全力で目を逸らすためだよ。 「勝手に動き回ったり攻撃したりしてくるそうだから、エイミーは俺のそばにいろよ?」 「はいっ」 「将来は、家に糠床作って、こうして毎日自家製の漬物作るのもいいよな」 「はいっ!」 これはプロポーズね? ヤンデレがそう認定しちゃってもおかしくない罪な台詞です、アウラールさん。 責任とってね! ● 「塩! 塩! 塩!」 『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)は、 リズム付で塩をまぶしつけている。 「美味しいなれ、美味しいなれ、美味しくなれ」 こうやって作ると美味しくなるのですよ。と、穏やかに微笑む凛子。 ちょっぴりイントネーションがお国言葉なのが色っぽいです。 ああ、日本の夏。 永遠なれ、大和撫子。 ナスやきゅうりをむんずとつかみ、あんぐりと割れ目が開いたところを見計らって、握った塩を喉の奥にねじ込むイメージで投入、はみ出た分を払い落とす。 リベリスタが要領をつかむまで、それほど時間はかからなかった。 (ふっふーなんたって俺はリベリスタ!ナスとキュウリがちょろっとムーブする程度どってことな……痛!) 脳天に突きぬける鋭い痛みに、晴はまじまじとナスを見る。 ぱっくりとした亀裂に、うっすら晴れの血。 (口!? ナスに口が痛! キュウリもかよ痛い! 観念して大人しくソルトアタックを食ら……噛まれたとこ塩しみる! くっそこの逃げるんじゃね……ぎゃー! 確かに逃げるなとは言ったけどだからって! 攻撃しろとは言ってなぎゃー! 目が!目がァァ!) 隙を見せると複数のナスとキュウリがリベリスタに襲い掛かってくるぜ、デンジャラス。 野菜が逃げないように、見張りとか立ててなかったし。 ベジタブルイズフリーダム。 「…怒った!俺は怒ったぞこのうわあああ」 この、元死神、どじっこにつき。 床の水で滑ってつるとすべり、悲鳴を上げながらスライディング後壁に激突など、なかなか見られる芸じゃない。 「とにかくまずは捕まえて塩揉みしなきゃ話にならないよね、お兄ちゃん」 声出てます。『猟奇的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)さん。 「お兄ちゃんの頭を洗うように優しく丁寧に揉むよお兄ちゃんもみもみうふふ、気持ちいい?」 愛情深い手つきです。 他になんと言ったらいいの。 「ふふ、怖くないですよー」 『幸せの青い鳥』天風・亘(BNE001105)は、 噛まれてもふわりときゃっち。 無駄にあるテクニックと野菜の声を聞き感じつつ優しくすっすと塩撫で。 「気持ちいいですか。痒い所はないですか?」 持ち前の器用さで、ナスとキュウリのがぶがぶを回避していく。 『愛の一文字』一万吉・愛音(BNE003975)は、ゲシュタルト崩壊の勢いで、アーク食堂で愛を叫ぶ。 「愛を持って塩もみでございます! 愛に包まれ美味しくなるので……痛い! ちょ、噛まないで……痛っ! だからっ痛……!」 今宵のナスは血に飢えておる。 「やめろ! 人の嫌がることはやめろ! どっちが目上か、その身に教えてやるでございます!」 愛あるしつけです! と、噛まれては噛み返ししている内に、生ナスは水分が抜けてしおしおに。 愛音の口もしぶくなってしまった。 このなすも漬けるんだよね。すごく噛み付いちゃったけど、やっぱ自分で食べなきゃだめだよね。気まずい。 ふと周りを見渡す。 「そこなヌカップル、愛の調子はどうでございますか?」 エイミーの「EX:二人ノ邪魔ハ許サナイ/妨害には制裁を」、発動。 エイミーが脊髄反射で何かをつかんで振り上げた。 「え……?」 迫ってくる、直方体。 脳を揺らす激しい衝撃。欠けて飛んでいく破片。 「 ぬかッ!?」 愛音の薄れていく意識、最後に見たのはなぜかそこにあったレンガ。 「おイタはいけませんよ? 美味しくして差し上げますので今暫し御辛抱を……」 シエルさん優しい手つきでナスの危険な亀裂の中にお塩すりすり。 (でも、野菜に話しかけながら作業とか……。リベリスタでなかったら……世間では「君、疲れているの?」とか優しく声をかけられてしまいそう……はぅ) 大丈夫。生産者さんは話しかけてるよ、普通普通。 「はいはい、落ち着いて。そして思い出してごらんなさい。貴方達を育てた農家の苦労と愛情を」 永さん、アンデッドなので思い出したりしません。 そんな悲しいエリューションです。せめてきっちり塩擦り込んで引導を渡してやってください。 プロアルバイター・計都の目がきらりと光った。 (単純作業を延々続けることになるから、シンクロで家事上手な人の真似を) 仕事をきちんとし困れるわけではないバイト現場でより確実にポイントを稼ぐなら先輩から技を盗むしかない。 そんな生活の中で計都がシンクロ能力を手に入れたのは、もはや宿業。 (計都よ、マシーンだ! 脆弱な人の心など捨て、ぬか漬けマシーンになるのだ!!) 永の動きにシンクロ。せっせ、せっせ。 指先に染みてくる塩で指はジンジン痛み出し、j断末魔でのたうちまわるますきゅうりはぐっぷり噛み付いてくる。 でもシンクロしてるから、動きを止めるとずれちゃう。 (……シンクロって、真似は出来るけど、勝手に身体が動いて楽ちんってワケじゃ ないッスね……) オートマチックモーションキャプチャー機能はないね。 合わせようとする意志が大事だ。 (ううう、拷問のような強制労働には変わりなかったッス……) では、心の方を操作するとどうなるのだろう。 『必要悪』ヤマ・ヤガ(BNE003943) は、大きく息をついた。 如何にも和風然とした見目のヤガであるが……漬け物を弄るのは数十年ぶり。 だって、海外生活長かったんだもん。 (……お、おお……単純作業過ぎて速くも気が遠くなってきよった……) 気が抜けるとナスやキュウリにがぷがぷされてしまう。 (こういう時はあれだ……ペルソナおん。単純作業が苦にならぬ熟練工の人格を召喚だ。人格の分裂がこんな所で役に立つとは世の中わから……ん……) 完全自律型ペルソナ、起動。 基本人格は、乖離モードに移行します。 「さぁさぁどんどんすりこんで埋めちゃおうねー」 どのくらい時間が経っただろう。 基本人格は激しい圧迫感に襲われた。 気がつけば、手は、なすとキュウリにかまれそこに塩が擦り込まれの無限ループで、まっかっかだ。 痛覚まで丸投げしていたのが、ペルソナからの逆襲の一因だろう。 (うぬぐぐぐ、余り頼っても詮無いか。是非も無し、地道に続けるとしよう) 結局やるのは、自分ですよ。ということ。 単調な作業が続くと、だんだん頭が煮えてくる。 計都はその欲望を抑えることが出来なかった。 やおら立ち上がり、セルフサービスバーの割り箸を二膳手にすると、ばきりとへし折った。 震える手でのた打ち回るいきのいいナスにぶすぶすぶすぶす! 残酷にも、貫通させようとはせず、半ばうずもれるにとどめる非道っぷり。 なすは、天井に跳ね返りそうな勢いで跳躍する。 「うひぃっ、すんごいホラーな精霊馬がっ!? いやー、これに乗って帰ってくるご先祖ちゃんは、ノーセンキューッスね。お盆が終わってあの世に戻るついでに、引きずり込まれそうッス」 バチアタリィィィッ!? というか、そのなす馬捕まえろぉぉぉぉ! ――この後、リベリスタという名のスタッフが無事捕獲しました。 時折、空調以外の涼やかな風が吹く。 「夏場でございますし、お怪我が化膿しては大変ですもの……まあ、リベリスタが化膿するというのもちょっと可笑しな話かもしれませんが、力乏しきとはいえ一体一体がエリューション……用心に越したことはございません」 シエルによる癒しの召喚。 リベリスタの真っ赤になった手が、今までの痒みも痛みも嘘のように退いていく。 ほっとするひと時、噛み付くナス、浸透してくる塩。 無限ループ。 癒されても戦いは終わらない。 全ての跳ね回る野菜に塩を擦り込まなければ、この作業は終わらない。 リベリスタ、ガンバ! ● 「――母からいただいたものは本家にあるので、これは三高平に来てから作ったもの。ちょうどよく手入れしたばかりであとは野菜を入れるだけ」 糠床は、昭和の主婦のステイタスです。 一家言持ってこそ家刀自と呼ばれる条件の一つです。 永の話が止まらない。 「我が家の味は薄味ですが、その分だしには気を遣っているのです。利尻昆布、おいしいですよね」 否といわせない迫力。 郷土愛。 「道産子を侮っていただいては困ります。北海道は天下の食料庫なのです」 背中に、北の大地と流氷が接岸する大海原が見えた。 (糠漬けとかした事無いけど、そこは経験豊富そうな一条のやり方を見たり教わったりでなんとかなるかな?) 虎美、永に弟子入り。 お兄ちゃん美味しい糠漬けの漬け方覚えて帰るよ完璧な妹妻への階段を上ってるよ虎美この漬物美味しいねお嫁さんって感じだってふふふ当たり前だよ虎美は生まれたときからおにいちゃんのお嫁さんだよ今日も明日も未来永劫ずっとそうでおにいちゃんは虎美の旦那さんなんだようふふあはは。 「家で使ってるものを準備しました。」 凛子も笑顔。 「京都の実家で使用しているものです」 坪庭、格子戸、打ち水、よしず。 和服に割烹着がまぶしい。 奥さんって感じだ。 「皆様、美味しく漬けたり、美味しく頂く為に色々創意工夫をされるご様子……」 シエルもせっせと糠になすとキュウリを埋めていく。 「単純作業って良いですよね……大好きです……」 しみじみと呟く様子に、シンコペーデッド・ワーカホリックの片鱗を見る。 「さぁ、美味しい一夜漬けのためにがんばりましょう」 思いは一つ。 明朝の、おいしい日本の朝ごはん! ● 幸い、塩で清められ、脱水したナスときゅうりは底なし沼のごとき糠床に次々埋葬されていく。 終が「這い寄るナスごっこ~」とかする余裕もある。 全てのナスときゅうりがライスブランの墓地に埋葬されたとき、すでに日付は変わっていた。 さらに、その上に封印としてメガリスと言う名の漬物石が載せられる。 「後は、ここから這い出て来ないように見張り続けるのです」 凛子が厳かに言った。 明日の朝には、いい感じに漬かっているはずだ。 「一晩泊まりこみになるのですね~……泊まり?」 英美がふと、黙り込んだ。 すでに手のあいたリベリスタから、手を洗い、不寝番の順番を決めている。 「エイミー、夜更かしは体に悪いし、まだまだ時間がかかりそうだから、少し休むといいよ。その分は俺がやっとくから」 アウラールがぽふぽふ布団6点セットを叩く。 ここで英美が寝ること決定みたいな。 「いやぁ!」 やおらきびすを返す英美。 「アウラさんに寝顔を見られるとか恥ずか死ぬ!」 ダッシュで撤収。ドアが開いてたぜ! ヤンデレパワーでうち破った訳じゃないぜ! 勝手に開いたんだぜ。 「チッ! 逃げられた」 (かわいい寝顔を見て、癒されようと思ったのに) 舌打ちしたアウラールが低く呟いた。 聞いたものは、なんかそくりと背筋に冷たいものを感じた。 結構ヤンデレの素質はありかもしれない。 「――帰れなくてごめんねお兄ちゃんの事は忘れてないよでもお兄ちゃんに美味しいものを食べてもらいたいからちょっと我慢しててねみんなから漬物のコツを聞いて漬物マスターになって帰るよ仮眠の時は一緒に寝ようねお兄ちゃんぺろぺろぎゅー」 虎美さん脳みその中漏れてます。 おかげで怖くて眠くなったりしませんでした。 「そうか!!ここは動物園だったんだ!! わぁーかわいいなぁアハハ野菜が踊ってるよウフフメルヘーン」 ――メルヘンな夢見てる晴はいますが。 ● 辺りが白々と明るくなり始める頃。 ご飯の炊けるいい匂いがする。 更に七輪とかまで持ち込まれ、目の下に隈をこしらえた不寝番もゾンビのごとく動き出す。 晴は、せっせとなすとキュウリを薄切りしている。 ダンシングリッパーでやろうとして拳骨見舞われたのはいい思い出だ。 無差別攻撃、だめ、絶対。 「もうなんかいっそ丸齧りでも……」 永、凛子、シエルが、無言でにっこり微笑んだ。 「ダメか……」 お行儀よくね。 更に鯵の開き、お味噌汁、卵焼き、納豆は何かが勃発しそうなので回避された。 今日の主役はお漬物。 「無理なく無駄なく食すとしようぞ。消化するまでが仕事、とな」 ヤマが、手と手を合わせていただきますしたのを皮切りにリベリスタたちは漬物に箸を伸ばす。 それぞれの食べ比べなどで、和気藹々。 計都は朝っぱらから冷酒用意しているが、一応成年なので止めようがない。 「くっはー、労働後の一杯は五臓六腑に染み渡るッス! うひー、冷やの日本酒に合うねー。よくぞ日本人に生まれけり!」 「土鍋ご飯つやつや、おこげも美味しい! ぬか漬けが進む。お味噌汁もうまうま☆」 「だしが命ですよ」 あ、利尻昆布。 「後は食べるだけだもんねー余裕余裕! 飽きたら蜂蜜掛けて食べるから大丈夫! 甘い物は別腹♪ 漬物の2kgや3kgぺろっとたいらげて……」 そういう晴の様子に、アウラールの目にふっと影が差す。 ワタシ、そういう新人リベリスタ、沢山見てきました。 なぜか、片言。 「この糠漬けならご飯何杯でもいけるよ。美味しいから食べて食べて。はい、お兄ちゃんあーん…えっ、お返し? 皆の前で恥ずかしいけど…いいよ、お兄ちゃんならきゃっ☆ ちゃんと糠床持って帰るからね、これから毎日美味しいお漬物だよ!」 でもそこにいて漬物噛んでるの、虎美だけなんだ。 しばらく、平和な日本の朝ごはん風景が展開されたのだが。 「じゃ、そろそろ……」 と、リベリスタたちは立ち上がる。 「フォーチュナ控え室に乗り込むかぁ」 NOBUのいるフォーチュナ控え室に、タッパー持ってゴー! 「喉を痛めないように、味は薄めにしておいた。たんまり喰らえっ!」 アウラールが床を蹴った。 俺達のお漬物はまだまだ在庫十分だぜ! リベリスタがたっぷり時間をかけて、全ての漬物を腹に収めて撤収しかけたとき。 「まだ終わりではございませんよ」 と、永は言った。 「毎日欠かさず糠床の手入れをいたしましょう。糠床は味噌汁に並ぶ家庭の秘伝。まさか、腐らせるような真似はなさいませんよね? 」 もちろんです、昭和のお母様。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|