●衆生を遂げ 真っ黒に塗られた門。それはアーティファクトであり、それはリンクチャンネルでもあった。 世界と世界を繋げる扉。それがただそれだけの物であるなら、リベリスタ達にとっては新たな可能性ですらあっただろう。 けれど、その門が繋げるのは唯一つの世界。潜りし者は輪廻は六道、修羅の獄へと過たず到る。 門を潜り、戻って来る事が出来なければ門は開き続けるが、唯の1人でも戻る事が出来れば閉ざす事も適おう。 彼のアーティファクト、名をば羅生門。己が衆生で以って武を臨み、羅刹へと到った者が辿り付く最後にして約束の大地。 門の先に死は存在せず、ただ戦いと、戦いと、戦いの為の戦いのみが在ると言う。 ●羅生を潜りて 「潜って戻れば一瞬で強くなれる……そんな都合の良い場所があったら、どう思う?」 モニターへ向かっていた『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)がリベリスタ達を一瞥し、ぽつりと呟く。 まるで何かの漫画の様な話だが、画面に映ったミニチュアの黒い門。 羅生門と呼ばれるそのアーティファクトは、要約すると“そういう物”らしい。 「……門の向こう側は時間の流れがこちらとは違う世界。こっちでの1時間が、大体10時間に相当する。 更にその世界には死の概念が無くて……例え死んでも幾らでも戦い続けることが出来る」 門を潜って力をつけ、戻ってこればあっと言う間に成長出来る。自己鍛錬にはこれ以上無い最良の環境。一見、そう見える。 「……ただ、向こうで一度でも死んだら、戻れない」 死の概念が無い。それは死が無いと同義ではない。原理は不明ながら、門の向こう側で死んだ人間は漏れなくエリューション化する。 エリューション・アンデッドとして門の向こうを彷徨い続け、訪問者を待ち続ける。何の為、勿論戦う為だ。 死すまで戦い死んでも戦う、それ以外に何も出来ず、何をする事も認められない世界。それが罰でなく何だと言うのか。 正しく、仏教に曰く修羅界そのもの。扉を潜れば無数のアンデッドの住まう戦鬼の巣窟である。 「このアーティファクトを封印したい……でも、今のままだと門を閉ざす事が出来ない」 誰かが使い、帰れなかったのだろう。門が開きっ放しになっている。だからこそ万華鏡に引っ掛かったのだと言う事も出来るだろうが。 となれば結論は容易である。門を潜り修羅界へ向かい、門を潜って戻ってくれば良い。簡単な話だ。 「……うん。簡単な話」 簡単な話……であれば、これだけのリベリスタを集めたりはしない。その当たり前の話を前にイヴは無表情に頷く。 ●修羅へと至る 潜るは易し、戻るは難し。羅生門を抜けた猛者には唯1つ、達成すべき枷が掛けられる。 それは呪い。それは制約。それはリターンに対する相応のリスク。力を得んと試みる者はその欲故に違う事能わず。 汝、己が生を以って羅刹である事を証明せよ。連ねるべき勝利は百と八つ。108の首を門に捧げ修羅界より還れ。 さすれば汝は正しく戦鬼。その身は既に人に非ず、化生の物也。羅生門が汝の地獄を証明しよう。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:弓月 蒼 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月31日(火)23:32 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●嵐の幕開け 門を潜ればそこは無辺の荒野。見渡す限り広がる地平に血の様な赤い空。求道の最果て、修羅の獄。 “――武人じゃ” “――羅刹じゃ” “――命知らずじゃ” “――集えよ集え” 手に手に持つは太刀に槍、小太刀に打刀、野太刀に弓に弩に到るまで。 武の業を修め、武の道を歩み、武の頂点を臨み、武の極地へと到らんとした者達。その数は無尽、その意は不変。 即ち――闘争を。狂乱を。死合を。暴虐を。血闘を。そして絶える事無き戦いを。 「歪崎、此処は一つ勝負といこう。どちらが多く奴らを狩るか、どうだ?」 軽快な口調でそう告げると『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)が双剣を抜く。 「構わないデスヨ。より多く刻み尽くすなら競ったほうが効率的デスカラネ」 にたり、と言った暗い笑いと共に『飛常識』歪崎 行方(BNE001422)が応じて二枚の肉切り包丁を構える。 門を潜った以上は彼らとて歴戦の兵である。心の準備等既に出来ている。それを見て取り死せぬ武人達が歓喜に震える。 「強くなりたくば戦わねばならぬ。至極道理なればこそ」 武家に生まれ武家に育った『永御前』一条・永(BNE000821)にとってはそれは日常の延長線上にある当然の事実。 凛とした表情に澄み切った仕草で薙刀を構え、周囲を応と睥睨する。 「一条永、参ります」 「順番にかかってくるデス。正々堂々、潰し合いと行くデスヨ!」 「一騎撃ちにて相対する、存分に参られよ!」 “――意気や由、良くぞ宣うた!” 掛け合う様に詠うは間近に在った三体の羅刹。其々が其々へと相対し、高く高く朱天へと金属の音が響き渡る。 一方、門を中心に円陣を組む彼らは武で以って身を立てる者ばかりではない。 冷たい剣戟の協奏を眺め『破門魔術師』依々子・ツア・ミューレン(BNE002094)は愉しげな面持ちで淡く笑む。 元よりノリの良さでは人後に落ちない性質。周囲の空気が告げている――やっちゃって良し、と。 「これ本当は儀式用の短剣なんだけど、斬れちゃう物ね。怖いわ~」 あらあらと言った仕草で倒れた羅刹の首を駆る。返り血が頬に飛び、拭いながらも嫣然と微笑む彼女の方が遥かに怖い。 「か、かるたさんこっち来てる来てる!」 別所で声を上げる『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)もまた近接戦は大の不得意。 服装からして防御を無視していると言って良い。近付いて来た羅刹の一体に恐れ交じりの声を上げるも、 「はい、それでは存分に、剣で以って語り合いましょう」 丁寧な中に芯の強さを秘めた言でこれを阻むは蘭堂・かるた(BNE001675)黒髪も鮮やかに打刀を振るい唾を競り合う。 「さてこっちも始めるか。押して参る! ……何てな」 気負う事無くマイペースに、弓を持つ羅刹へ駆けるのは『終極粉砕/レイジングギア』富永・喜平(BNE000939) チェーンソーの重苦しい音とは反比例した軽快な動きで新たに現れた二体の羅刹を切りつける。 「生きて、やれる事があるなら、僕はそれをするだけだ」 もう一度死ぬ訳にはいかないと、アシーニ・フェイス(BNE002412)は仕込み杖を抜き放ち伏せった羅刹の首を狩る。 しかして数分。羅刹の襲撃は散漫であり、リベリスタ達は順調に門前へと首を積み上げていく。その数既に15。 人を超えた力を持つ彼らにとって羅刹一体一体はさしたる脅威ではなく、目標の一割強を容易く斬り伏せる。 「これで、4!」 「む、こっちだって3デスヨ」 続いて二体、競り合う二人に止めを刺される。その数が凡そ2割弱に及んだその時――足音が聞こえた。 ●屍山血河 「ちょ、えっ」 気付いたのは後衛に位置していたウェスティア。そして依々子であった。 大攻勢である。周囲を取り囲む羅刹が瞬く間に増えて行く。その数は八、否、十七、否、否、僅か半分にて二十と三。 けれど彼らにとって最大の誤算は、何より弓を使う羅刹と、弩を使う羅刹が思いの外多く出現した事だろう。 降り注ぐ矢の嵐によって、この時点までほぼ無傷だった“ペア”で行動している二組に諸に被害が出る。 「鬼さん此方!Iam首切りマイスター!!」 体に幾つも鏃による刺し傷を作りながら喜平が声を上げる。羅刹の殆どは過去の人間、意味は分からずとも視線は向かう。 「それだけの数が居るのなら、たった二人の人くらい直ぐに倒せるんだろう?」 一騎打ちの相手を斬り捨て、返す刃で拓真が吼える。それは分かり易い挑発。けれど侮られ臆せば武人に非ず。 2桁を悠に超える羅刹達が押し寄せる。それは既に波だ。武と言う妄執に憑かれた、暴力的な程の屍人の波。 「――下がって! 行くよ!」 間をとって先ず放たれたのはウェスティアの魔炎、フレアバースト。炎の舌が羅刹の群れを嘗め尽くし道を開く。 一定範囲を炎で包む魔術は波の一角を削り取る。けれど足りない。数に対し規模が足りない。決定打にはなり得ない。 「燃やしつくすには火力が足りないかしらね~」 眺めていた依々子がのんびりと声を上げる。彼らにとっての不運は専門的な癒し手が居なかった事。 そこに否やはない。間違ってはいない。けれどそれは絶対の悪条件などでは、ない。 「だったら、これならどうかしら」 笑い混じりに重ねられる、依々子の爆炎、紡がれる第二の焔。被せられたフレアバーストが波に2つ目の穴を開ける。 巻き込まれた羅刹は焼け落ち、燃え尽き、一気に数を減らす。その穴を行方、かるたが広げ、アシーニが止めを刺す。 そう、癒し手が居ないと言う事は、逆を返せばこう言う事も出来る。 「数を頼りに迫るなど武人の名折れ。羅刹を名乗るなら、己が武を以って罷り通るがいい!」 永の薙刀が翻り、ざんと砂の大地に突き立てられる。切った見得は遠く響き、羅刹らを以ってすら粋を呑む。 つまりは――彼らほど、単純な“武”に恵まれた集団も、また居ない。 焼けた羅刹達が再び起き上がる前にと傷付きながらも喜平のチェーンソーが猛威を振るい、拓真の双剣が斬光を返す。 「皆、後半分だ! 気合入れて行こう!」 自身も数多の攻撃を受けながら、檄を飛ばすは自身への激励も兼ねてか。 疲労を滲ませつつも、リベリスタ達はじりじりと羅刹達を削り、磨り潰し、刎ね、斬り崩していく。 「はい、終わりデス。ほら、次は誰デスカ?アハハハハ!」 血によって切れ味の悪くなった肉切り包丁を、引き上げた剛力で振り回しながら虚ろな眼差しで少女が笑う。 積み上がり往くは屍山血河。地は正しく獄。修羅界の殺気に当てられてか、ウェスティアが無言で口元を押さえる。 「この上蘇えって貰っては困る」 「ん~、首を切るのは気持ちいいものじゃないわね~」 アシーニと依々子が大分手馴れた素振りでざっくりと狩った首を積む。数は合わせて61。 修羅の彼岸は未だ遠く。流れる血に果ては無い。 ●地獄巡り 大攻勢に続く第二波、計十八の団体を裁き切り空いたのは奇妙な間だった。羅刹は絶えず散発的に襲い来るもその数僅か。 倒しそびれていた四体を仕留め、襲い来る羅刹をすぐさま喰らい尽くす。吐いた息にすら血臭が混ざる。 「……皆、大丈夫か」 満身創痍までは行かなくとも、体力気力共に削られた拓真が声を上げると、方々で疲労交じりの声が上がる。 門を囲むような円陣にも徐々に綻びが生まれていた。その内で最も重傷なのが喜平である。 「いや……これはきついわ。そっちはどんな感じだ」 目線が途中度々羅刹に噛み付き息を継いでいた、かるたへ向かう。 傷癒術による治癒によって戦線を維持するも、一対一では悪効率は否めない。自身すら身体的には拓真と良い勝負。 しかしむしろ著しいのは精神的な疲労である。相手は倒しても倒しても首を落とねば起き上がる死人。 組み付き、噛み付いての吸血は、それらの残滓を身に取り入れるに等しい。例え理性が必要と理解していようと、本能が軋む。 「いえ、私は……」 大丈夫です、と言いながらも、返り血に酔ったか。見るからに表情が青い。 だが彼女はまだマシな方だ。精神的に、と言う点で言えば限界ギリギリまで参っていたのはウェスティアである。 見た目から相手を人間と解釈してしまっていた彼女にとって、周囲は既に完全な地獄である。見渡す限りの死体、死体、死体。 内何人かの首をワイヤーで絞め切った感触が手にこびり付いて離れない。込み上げた不快感に改めて口元を覆う。 「う~ん……このペースで最後まで持つかしら~」 魔術がそろそろ弾切れな依々子にとってはむしろ消耗の方が心配だ。残弾撃ててフレアバースト2発。それで打ち止め。 最初の大攻勢の様な数が来たらこれを食い止められるかはかなりの博打となる。 「でも、待ってはくれないようデスネ」 しゃりん、と両手の肉切り包丁が鳴る。彼らの中で心身共に最も被害の少ない行方の視界に羅刹の影が浮かぶ。 修羅界は戦いの地獄。砂の荒野は無尽の戦場。休む事など許されない。彼らの敵は世界その物なのだから。 「修羅も世界も武人も羅刹も全て等しく、刻んで刻んで終わりとするデス。アハ」 その声に応える様に修羅界が震える。始まるは最後の宴。偶然か必然か、襲い来るは地獄に次ぐ地獄である。 ――九体、五体。ここまではまだ何とかなっていた。鼓舞の声を上げながら拓真、永、行方が駆ける。 必要に迫られアシーニも攻撃に回り、ウェティアと連携して羅刹の集団を食い止める。 ――更に八体、ここで戦線が崩れ始める。依々子とウェティアのフレアバーストが猛威を振るうも、先ず喜平が膝を付く。 運命の加護を受け立ち上がり、チェーンソーを振り回す。しかし数が多い。掃討し切れない。数体の首が落とせない。 ――そして更に、八体。再度のフレアバースト。依々子の手札が切れる。吸血の為の接近の間隙を突かれ遂にかるたが崩折れる。 傷癒術、吸血、そして傷癒術。後半戦に於いてかるたは戦線維持に徹していた。しかし彼女の立ち位置はあくまで前衛。 数が増えるに従い自分への手が回り切らなくなって行く。そして彼女が倒れた事で――此処まで至り遂に、崩壊が始まる。 「お二方とも一旦後退を。私が入ります!」 永がかるたの穴を埋め、もう倒れる訳にはいかない喜平がそれでも尚前へと立つ。 気を失ったかるたを魔術が尽きた依々子が背負い、一時後退。ウェスティアに至ってはフレアバーストを放ち続ける。 「こ、っの――!」 巻き込まれ倒れる羅刹達。けれど首を断つ人間が決定的に足りない。 喜平の残影剣により二体が倒れ、拓真と行方がそれぞれ二刀を華麗に操り見事二体を仕留めるもそこまで。 ――そして、五体。減らした以上の数の羅刹が追加される。その光景は地獄と言うより、悪夢である。 「あと、何体だ!」 喜平が歯軋りして問い掛ける。すぐさま後方に下がった依々子が声を上げる。 「あと9体よ~」 捧げた首、実に99。場に集った羅刹、残十七体。当然門に108を捧げ切らない限りは更に増える。 彼らは決断する必要があった。時間を経れば経る程にジリ貧。 そして運命は二度微笑まない。現状ままの戦術では例え生還しようと犠牲者が出る。そうならざるを得ない。 「歪崎、やれるか」 「余裕デス」 けれど考えを変えればこうも言える。運命の加護に頼るのであれば1度は地に伏しても生還出来るのだと。 「一騎打ちにて」「尋常に勝負デス!」 それが一騎討ちである以上ウェスティアの援護は期待出来ない。けれど単騎駆けは彼らの戦場である。 数を問わぬ九人斬り、これを果たすには一対一を積み重ねるしかない。当然戦線を離れれば乱戦に巻き込まれるだろう。 けれど“一騎打ちをしている限りは割り込まない”これは武に生きる者達の最低限のルール。保つかは未知数。しかし他に手段が無い。 「いや、あそこまでやられたらここは退けないな」 「ここより先は一条永が預かり受ける!」 であれば2人の退路を敷くは残された者の責務。全力防御で場を固める喜平と未だ動ける永が残りの羅刹と相対し、 「必ず戻る。こんな所で、死んでやれるか」 「大丈夫、絶対なんとかなるよ!」 ウェスティアとアシー二がその背を守る。総力戦――いや、修羅とは死と同義。であればこれこそが修羅道である。 喜平に槍が突き刺さり、永の黒い御髪に太刀傷が入る。 ウェスティアの魔炎も時間稼ぎ以上の意味はなく、肌に突き立つ幾筋もの刃、アシーニの身にも幾多鏃が潜り込む。 その間も双剣は舞い踊る度に血飛沫を上げ、肉斬り包丁が繊維を裂くと共に都市伝説の少女が哄笑を上げる。 僅か30秒。その場に地獄は顕現した。死闘であり血みどろである。悲鳴と苦痛と鮮血と狂気の四重奏。 誰も彼もが狂った様に相争う人ならざる者達の戦場。行くも地獄、帰るも地獄。 ●修羅の果て 「108……! 皆、門が開くわ~!」 依々子の呼び掛けに声すら上がらない。九体仕留める間に増えた羅刹は十二体。 門が開けど窮地は変わらず、特に前衛で攻勢を耐え続けた喜平と永は九死に一生を地で行く有様。 一騎打ちより脱した2人の内、拓真に到っては無理が祟り地に一敗塗れている。 首を落とされなかったのは文字通りの僥倖と言えよう。視線を上げた6人の濁った視界に開いていく黒門が眩い。 そうして最後に聞こえたのは重々しい何者かの声である。これだけの苦労と苦難と苦痛を越え、報いるはその一語のみ。 “――見事。その身は正しく人に非ず。汝ら全て人界の修羅也” 思わず込み上げるのは笑いだ。誰も彼も全身くまなく血で汚し、無事な人間など一人も居ない。 殺して殺して殺して殺して殺し尽くした。僅かな一時にどんな連続殺人犯よりも遥かに多くの人間を。 それを死人だからと片付けられるなら栓は無い。ただ笑う。こんな物が武の極地である物か。 これはただの死だ。手に染み付いた物を殺すという実感。それを修羅と言うのであれば―― 「修羅道など、こんなモノ無くても踏み込むのは容易なのデス」 ばきり、と。何かが壊れる音が聞こえた。 目を醒ますとリベリスタ達が居るのはブリーフィングルーム。眼前には罅割れ折れた黒い門のミニチュア。 どれだけ見回しても後から後から迫ってくる羅刹の影は見えない。意識のある七人が深く息を吐く。 それは生。修羅界に在っては意味すらなく、けれど人間にとっては必要不可欠の物。 身に沈殿した血臭と死臭に、今更ながらに体中から力が抜け依々子以外がフローリングの床に倒れ伏す。 「……21」 「19デス」 死線をこれでもかと潜り、それでもリベリスタ達は帰還する。果て無き闘争の地獄門から。 ブリーフィングルームの扉の向こう。ぱたぱたと言った軽快なイヴの足音を耳にしながら、 彼らは今はただひたすらに、疲れた様に笑っていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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