● どうして? どうして、誰もモフモフしてくれないの? ぐれてやる。 ずっと、ここに隠れててやるんだからぁ。 ● 「隠れてるにゃんこを引っ張り出して、にゃんこが満足するまでモフモフする仕事」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が、いい仕事と言った。 嘘だ! と叫びたくなる衝動をこらえる。 そんな、幸せな仕事が回ってくるもんか。 リベリスタは、電子ロックがかかる音を覚悟した。 が、そんな気配はない。 「この猫、アザーバイドなんだけど、それはもう存在感が薄い。すごく薄い。向こう側が透けて見えるほど薄い」 イヴは、どんなろくでもないことを言い出すか恐々としているリベリスタの様子を気にするでもなく、淡々と説明を続ける。 「モフモフされたいのに、誰もしてくれないからすねて、隠れちゃった」 いつまでも居座られては、崩界の危機だ。 「根性でみつけだして、ぐりんぐりんにしてきて」 住宅地図が出される。 「がんばった。ここの範囲のどこかにはいるはず」 半径100メートル範囲。 「ほんとにそれだけ?」 リベリスタがそう聞くと、イヴは怪訝そうな顔をしてこくこくと頷いた。 「よろこんで、いかせていただきます」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月25日(日)00:16 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 桜ヶ丘ニュータウン一丁目界隈。 ありふれた住宅地の一角を見慣れない八人の老若男女がうろうろしていた。 地域住民は、首をかしげる。 一体、どこの誰? 何しにここにやってきたの? ● ゴスロリだけど花粉マスクと伊達めがねで異貌をごまかすお嬢ちゃん。 『禍蛇の仔』ルーチェ・ルートルード(BNE003649)、 幻視に回す気があったら、猫探す。 その意気やよし。 金髪ふわふわ甘ロリおじいちゃま、『蒙昧主義のケファ』エレオノーラ・カムィシンスキー(BNE002203)は、表情をとろけさせた。 「アークは妙な仕事が多いけれど、こういう仕事もあるのがいいわね」 にぼしや、ぎりぎり猫が入るかあやうい大きさの段ボール箱を用意。 さすが猫好き。猫がきゅっと圧迫してくるくらいの大きさの箱が好きというのをよくご存知。 (ねこをモフモフしていいなんて、アーク入ってやっぱりよかったわね! 普段はお嬢さんな動物は触れない主義だけれど、崩界に関わる事ならそうも言ってられないわよね! ね!) もちろんです。 それを望んでいるお嬢さんです。遠慮なさらず。 「カリカリって、ほんのり塩味で意外に美味しいわよね。ブリングスとは気が合いそうだわ」 エレオノーラのドライフードを見て、ルーチェが脳裏に『ほんのり塩味』を再生させる。 食べたことあるね。このくいしんぼさんめ。 エレオノーラは、首を横に振って、そんなの食べちゃだめよ。 と、釘をさした。 カリカリを買ったのは、『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)もである。 日当たりのいい所に、ガイドブックを広げ、その上にカリカリを適量。 人家や、人通りの多いところは避けた。 (何箇所かに分けて設置できるといいんだが) 車のボンネットに、スクーターの座席。 ガイドブックを広げたのも、猫という生き物は、温まった紙の上を愛しているからだ。 「同じところ探すんじゃ効率悪いし、手分けしようぜ。こっからこの辺のひなたは俺がカリカリ置いた」 AFで連絡を入れている途中、そのカリカリをご近所のにゃんこが、ふんふんふんふん、カリカリカリカリ……。 「「なんか最近、このあたりで、いるはずなのにいないっつーか、見えないのに誰かいるような雰囲気がしないかい? まるで、見えない猫でもいるような」 探しあぐねて猫に向かって独り言を言っているようなさわやか笑顔の青年が、「本当に」猫に聞いているとは、通りすがりのご近所さんには理解しえぬことだった。 ● 『永御前』一条・永(BNE000821)は、しとやかに頭を下げていた。 捜索範囲にある縁側や庭。塀や門柱の上などを見て回る。 絶滅危惧種的セーラー服の礼儀正しいお嬢さんに、庭仕事していた家人も鼻白む。 「失礼かと存じますが、少々お邪魔させていただいてもよろしいでしょうか? 迷い猫を探しておりまして。この辺りにいるのは確認したのですが、かくれんぼが好きな子で……」 弱りました。という永に、問われた家人は首をかしげる。 「美人さんの三毛ちゃんなのですが。ひなたぼっことドライフードが好きでして」 ちなみに美人の三毛猫は、永の希望である。 見ないわねえ。 の声に、永はまた歩き出した。 『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)は、ジーっと茂みの向こうに目を凝らしていた。 (ぬこのぬくぬくのこのぬくぬく――) 景色の向こうに潜む生き物の温かみを見極めんと、路上にしゃがみこむパンクファッションの外人青年に、道ゆくご近所さん、若干引き気味。 自治会長さん、呼んでこようか? 「はっ! 決して怪しい者では……そう、ぬこを探してるんですっ!!」 あ、日本語出来るんだ、よかった。 と、あからさまにほっとするご近所さん。でも。 「ぬこ?」 「あ、ねこです、ねこ!」 手に持ったドライフードが全てを物語っている。 「ああ、日本語、難しいもんねえ」 ネット俗語も、外人さんだからスルーしてもらえた。 「この辺、結構多いんだけどねえ。逆にいっぱいいるから、どの子が野良でどの子が飼われてる子かもよくわかんないんだよねえ。通いの子もいるみたいだしねえ」 「はあ……」 「なんか、猫探しの人多いみたいだけど……皆、同じ猫探してるの?」 「ええ、まあ……」 「がんばってねぇ」 (猫は真に恐ろしい魔物でござる。人の目を釘付けにする仕草は強力な魅了スキルに違いないでござる) 『おとこの娘くのいち』北条 真(BNE003646)は、キリリ。として見せた。表情は。 (今回のような任務であればよいのでござるが……普通の任務の最中に遭遇してしまうことを考えると恐ろしい……) でぶりんとした猫が、屋根の上でちあわせ~っと腹上にして伸びをしていたら。 (任務を忘れて猫に見入ってしまうなど忍びとしてあってはならないこと!!) でもやってしまいそうで怖い! (今回の任務で猫分を十分に補給し、今後の任務に備えるでござる) 猫貯めだよ。 そんな真は、じっと耳を澄ませていた。 真はもちろんリベリスタがあちこちに置いたカリカリを、猫が食べる音。 その中に異質なものがあれば、それがブリングスだ。 複数ではなく、単独で。 忍者としての捜索方法だった。 ● 『BlackBlackFist』付喪 モノマ(BNE001658)は、手をワキワキさせていた。 「もふもふしたいもふもふしたいもふもふしたい」 (徹夜してでもにゃんこもふる。もふってもふってもふりたおす。もふられなくて拗ねてるとか可愛いけれどほっとけないな) 今日、この拳は握らない。 お前と同じさ。開いたこの手は可愛いにゃんこをもふるため。 「友達の可愛い猫を探してるから、ちょっと邪魔するぜ」 カリカリ握った見慣れない学生さんに門扉越しに声をかけられて、ギクッとする。 にじみ出る威風が、猫好きの風格を漂わせる。 本気と書いて、まじと読むって感じだ。口実というわけではないらしい。 それが、ごく平凡なその辺のおばちゃんにも用意に知れる脳内だだ漏れっぷりだ。 「ねこ?」 神妙な顔をして、重々しく頷くモノマ。 (これから友達になるから、嘘はついてないのだ) 友達の(所有する)可愛い猫ではない。 友達の可愛い(種族が)猫だ。 日本語、難しい! 「このあたりはねえ、猫、嫌いな人がいるから。ほら、あちこちに水入りペットボトル置いてあるでしょう? あんまり見ないわねえ」 「たすかります。ありがとうございます」 まじめな猫好きは義理堅いのだ。 AFに、この辺りでの可能性薄と入力。 アウラールが番地ごとに区分した捜索地図は、着々と捜索済みの場所が増えていっていた。 ● 塀の上には、猫が団子のように横並びになって、日向ぼっこをしている。 たらんとたらされた尻尾が、何本もゆらゆらと拍子を取っている。 めまいを起こしてしまうほど、魅惑の情景である。 「ごめんね普通の猫さん達……今日のあたしはお目当ての子がいるの」 エレオノーラは塀を見上げて、くくうっと切なげな声を上げる。 (さみしがりやの猫さんなんて放っておけないじゃない!) あたしが行ってあげなくちゃ! 腹の底から、使命感に燃えている。 「対人関係で拗ねちゃってるわけだし、ぼっち気分に沈み込める場所ね」 ルーチェは、つらつらと考えをめぐらせていた。 すでに、仲間が該当区域の中のぱっと見て分かるあたりの捜索は終えている。 それでいまだ見つかっていないということは、分かりにくいところにいるということだ。 「エレオノーラさん、土管の中とか、公園のトンネル遊具なんかどうかしら」 まだ、春休み前だし。この時間なら、うるさい子供もいないだろうとルーチェは言う。 「そうね。いってみましょうか」 公園を捜索する二人。 「ところで……、どんな仔かしら?」 言わずと知れた、ブリングスのことである。 何しろ、どんな猫か、『万華鏡』を持ってしても見通せなかったのだ。期待が否応なく膨らむ。 「わたくしは長毛種が良いわ。グルーミングする時、胸元のふわふわをびろーんって舐めて仰け反った姿が好きなの。整えたとこを撫でてくしゃくしゃにして、「もーっ」って感じで整え直されたら最高だわ」 身振り手振りつきのルーチェに、なかなか語るわね。と、エレオノーラの目がキラン。 「ジャパニーズボブテイルも愛らしいわね」 ジャパニーズボブテイル、ぶっちゃけ日本猫は短毛種である。 エレオノーラとルーチェは、顔を見合わせ、にこりと笑う。 並び立たず。 (猫の好みは違うけど、エレオノーラさんの、彼女の熱感知が頼りよ) ルーチェが、三高平市民の「三高平にきて、びっくりしたことはなんですか?」のベストテンに入る現実に気がつくのは、この案件解決後になる。 ● (我らは、全力を持って寂しがり屋なもふもふにゃんこを見つけて、もふも……じゃなくて、満足してもらう必要がある! 世界の危機に動くのは、正義のリベリスタとして当然であ~る!) 心の中で高らかに正義を叫ぶ『黒太子』カイン・ブラッドストーン(BNE003445) は、鍋を抱えていた。 比喩ではない。 本気で、調理器具の鍋だ。 「あのぉ……?」 住宅街に、鍋抱えた金髪外人黒装束のスレンダーイケメンが立ってたら、TVかなんかだと思う。 そんなイケメンが、そっと暖かな陽だまりに鍋を置く。 なに、それ。鍋のCM? カメラとかいる? この道とおってもいいの? 怒られるのいやなんですけど。 「ねこはそういうところに入ると聞くのでな」 あ、そういえば。さっき、スーパーで、猫探してる人たちがうろうろしてる。外人さんもいるらしいって小耳に挟んだ。 「猫、探してる人ですか? 他にも探してる人がいる?」 「いかにも」 よく見ると、このお兄さん、猫ストラップとか猫キーホルダーをぶら下げている。 猫好き? 「夜まで長引かせるのは、こちらの不利。日の照っている間に勝負を決めたいところだ」 きりっ。 「はあ」 「日向ぼっこ好きで、きれい好きで、他の猫が嫌いらしい」 きりり。 「……みつかると、いいですね」 「うむ」 カインは失礼と言って立ち上がると、透視であちこちの物陰に目を配りながら去っていった。 (真っ白な、もふもふっと毛のもふっとしたでっぷりしたネコがよいなあ。両手で抱えるほどのでっぷりした感じだと、なおよい) 「お兄さん、鍋、お忘れですよ」 「その鍋には、猫の安息の地となってほしいのである」 そんなことを本気の目で言う金髪イケメンに文句をたれることができるか。いや、できない。 あとには、鍋が残されていた。 ● さほど広い範囲ではない。 AF越し、あるいは直接打ち合わせしながらリベリスタ達は範囲を狭めていく。 いつの間にか、「お友達が飼っている猫を必死になって探している、今どき感心な若い人たち」に、見かねたというか、異常な情熱にほだされたご近所さんたちからぽつぽつと情報が寄せられるようになり、空き家になっている軒下にターゲットを絞った。 リベリスタ再集結。 古式ゆかしい縁側には、ほんのりと日の名残。 更に丸っこい温みがつい今しがたまでそこにあったと、エレオノーラは見て取る。 この距離でリベリスタが見逃したということは、この辺にブリングスがいる。 抜け駆けは許されない。 とにかくブリングスを呼び寄せるのだ。それからみんなでもふるのだ。 「あー、猫もふりたいなー、やさしくもふりたいなー。おやつもあるから、食べさせながらもふりたいなー」 フツは、分かりやすいお誘いを。 更に、猫語でも言ってみる。 ごそ。 「縁の下。十一時の方向、何か動いたでござる!」 真の声に、熱感知を持った者達がそちらに熱源を発見。 カインは、草陰で動く揺らぐ影を見つける。 そこに永が懐中電灯を放り出し、亀の甲より年の功。超直感という名の経験則の集大成を見せ、縁の下にもぐりこんだ。 リベリスタ達は固唾を呑んで見守る。 程なく、頭に蜘蛛の巣をつけた永が、むっちり福々しくぽゆんぽゆんの三毛猫を抱っこして、縁の下から這い出てきた。 「ジャパニーズボブテイル!!」 エレオノーラは感極まったように声を上げる。 「でっぷりである!」 カインも歓喜の声を上げ、衆目を集める。 ブリングス。 しっかりとおしりを支えるようにして永に抱かれた猫は、向こう側が透けている。 今にも消えてしまいそうなほど、存在感が薄い。 ずっしり重いが。 (「もふられないなら、もふられに行けばいいじゃねぇか」というつもりだったが、これじゃ言えねえ!) モノマは自分の認識の甘さから、ブリングスを傷つけるところだった自分を深く恥じた。 どう見ても、実体がある猫の幽霊。 まず、気づいてもらえん。 しかし、今、俺達が、俺が、お前の存在に気づいた。 ならば、するべきことはただ一つ。 「俺は動物好きなのだ。戦闘≧動物≧昼寝くらいの順で好きだ。場合によっては動物を優先する事もあるぜ。つまり、猫も大好きなのだ」 わきわきしている手から、猫もふりたい欲望が気糸のようにあふれ出ている。 永は、モノマにそっとブリングスを渡した。 もふ。 もふもふもふもふもふもふっ。 もふり倒しながら、モノマじりじりと庭のほうに移動。 「こんなに可愛いんだから、もふられに来てもふらない訳があるか? いや、ない」 ブリングス、うっとりと目を細めている。 その目も輪郭がかろうじて分かるような状態。いと、はかなし。 「はうわぁ! ねこー! ねこー! ぼくに撫でさせてー! もふもふさせてー!」 真、必死のアピール。 おねこ様の前では、忍者もただのお子様。 指先に感じるこの極上の毛並みは本物だ。 見えにくいくらいで、ちょっといるのが分かりづらいくらいで。 今までもふってもらえなかったなんて、かわいそうに~!!! 「うにゃん! かわいいにゃん!」 男らしさにあこがれているけれど、身に染み付いたロリロリが吹き上がってきてるぜ。 「ルーチェちゃんも抱っこしてらっしゃい。あたしは大人だから、後でいいから」 幼態だが齢80を越えているエレオノーラは、うずうずしているルーチェに言った。 大人の貫禄である。 お兄さんを自負するアウラールも頷いた。 お言葉に甘えて、と、真に変わってもらって、おでこごっちん。 顎の下を中心に、顔中ぐりんぐりん撫で回す。 うなぁん。と、甘い声。 額をくんかくんかする。 (あ、思った通り。お日様の良い匂いがするわ……) 可愛い前足が、毛づくろいを始める。 「ああ、毛並みが……」 膝の上に抱っこすると、んべんべと自分の胸から腹の毛をなめて整えている。 一生懸命の表情が。表情がっ! すちゃ。 モノマの手にブラシ。 カインの手にもブラシ。 「お嬢さんにゃんこであれば、オシャレにも気遣いが必要であるはず」 「分かってるな、お前……」 互いを認めある猫好きスピリッツ。 さあ、すくぜ。毛並みがぴかぴかになるまですくぜ。 お嬢様、お手を、いや、おみ足をどうぞ。 ● 「可愛いお嬢さん、モフモフされるのはお好き?」 満を持して、エレオノーラが、ブリングスを抱き上げて撫でて始めた。 「尻尾は短くて体は長めだけど丸っこい体格も愛らしいわね、もうぎゅーっとしてもふもふもふもふしてあげる!」 何物にも変えがたい魅力あふれるこのひと時。 「貴方がモフモフされなかったのは、こうやって透けちゃうから見えなかったからね」 金のふわふわ巻き毛を結い上げていたリボンを解いて、ブリングスの首に巻きつけた。 「よければあたしのリボンをあげる、首に巻けば皆気付くかな?」 にあん。 リボンが嬉しいらしい。 「満足したら、おうちに帰りましょう?」 うにゅん。 まだ、満足していないようだ。 よかろう。ならば、更なるもふもふだ。 二巡目、突入~。 ブリングスが自重で苦しまないよう、しっかり体重を支えて抱きかかえ、アゴから頬のところをもっふり、すりすり。 鼻から額、肩甲骨の間にかけてかりかりしながら、アウラールはふと疑問を口にした。 「でもこんな立派なぬこなのに、どうしてわざわざこっちまでモフモフされに来たんだろう?」 発想を転換させるんだ。 猫をもふるのは、この次元の人間特有の行動だからかもしれないよ? ● 夜が明けた。 ブリングスは、嬉しそうにぐるるんぐるるんと喉を鳴らしている。 リベリスタは、夜を徹して、かわるがわるブリングスをもふり続けていた。 ブリングスのすけるおめめが、キラキラ輝いている。 「もっと、もふれ?」 と、言っている。 フツは、優しくぐりんぐりんしながら、仲間に提案。 「崩界の危機もあるっつーけど、ゲートがないんだろ」 資料には、ブリングスは満足すれば、自力で次元移動する。と、書いてある。 「んじゃ、とりあえずアークに連れて帰ろうぜ。イヴとかも、ぐりんぐりんしたいだろ」 それだ。 朝、新聞を取りに表に出ると、昨日猫を探していた外人さんやらが歩いていた。 「猫、みつかりました?」 「はい。お騒がせしました。カリカリとか片付けましたんで」 頭を下げていく様子に、こちらもつられて笑顔になる。 猫そのものはよく見えなかったが、男の人の腕の中に納まったリボンがちらりと見えたのでよかったなと思って、家に入った。 その日、桜ヶ丘ニュータウン一丁目界隈は、猫探し集団と、その成功の話題でで持ちきりになった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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