● 「あ~、そ~なんだ。落っこちたんだぁ、どぶがわにぃ。よりにもよって好きな人の目の前で頭ッからパンツ全開でぇ。で、救急車呼ばれて緊急入院、出席日数足りなくてだぶりぃ!?」 そこまでいわんでも、えーやんか。 ● 「求む。ナイロンザイルの神経、なんなら鉄血でも、鉄面皮でも構わない」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、真顔でそう言った。 「E・エレメント。そんなに強くないというか、すごく弱い。でも、倒すに至るにはこっちが強くなくちゃダメ」 なんでしょう。なんか、すごくわけの分からないこと言われた気がする。 「昔からいるんだけど……。見た目は猿みたいな子供みたいな植物みたいな……。妖怪で言うところの『サトリ』。黒歴史を読んで心をごっそりえぐってくる。えぐられた方は、無力感に取り付かれ、心身崩壊、完全虚脱」 戦闘で使い物にならなくなるのね、はいはい。 「何がつらいって、それを大音声で、耳をふさいでも聞こえる大きさで怒鳴り散らして、近隣の山にこだまが返ったりして。人の口に戸は立てられないし」 あ~。いつもどおり、チーム組むんですね。組まされるんですね。ということは、心の中のデリケートなところバレバレですね。 「それをこっちの攻撃届かない遠くから。射程に納めて口塞いでやりたいけど、虚脱して足がさっぱり前に進まないという蟻地獄状態に……」 それはつらいわ。 「笑い事ではない。みんなに行ってもらう」 リベリスタ達の行動は迅速だった。 椅子を蹴倒し、殺到する入り口、扉。 開かない。 電子ロック。 「日中、山の中の草原だけど、枯れてるから足元に問題はない。人目もない。リベリスタのハートの強さ、見せ付けてやって」 だって、いつでも命がけで鍛えられてるから。 多少の悪口じゃへこたれないでしょ? と、イヴは言う。 「妖怪になんて負けないで」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年02月28日(火)23:32 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 枯野の真ん中の切り株の上にそれは座っていた。 草を踏む音に、それは首をもたげる。 見開かれて、点になった瞳孔がリベリスタの心の中を読む。 今のうちに少しでもそれとの距離を詰めておかねばと、リベリスタ達は荒野を走る。 「消し飛べぇー!」 『暗黒魔法少女ブラック☆レイン』神埼・礼子(BNE003458)の黒い光が、サトリの足元の地面をえぐる。 「あぶねえなぁ」 サトリは、耳まで避けた口を開いた。 ● 「あれは、一年とちょっと前。平成二十二年十月十七日。北海道札幌市の一条さんちで起きました~!」 『永御前』一条・永(BNE000821)の眉が、わずかに動いた。 「永司君は見ちゃいました。もうすぐ喜寿のひいおばーちゃんが……っ!」 三高平に旅立つことをしめやかに告げる席に向かうため。 活気と混沌に満ちた戦後復興期の最中、運命を得た時の決意を忘れぬ為に、戦装束と定めた姿を整えている最中に。 ふと、障子の後ろに隠れる曾孫と目が合った。 『どうしたの』 声をかけようとした瞬間。 「永司君は目を疑いました。曾おばあちゃん、いくら見た目が若いからって。昭和なせえらあ服に、三つ編? 今どきそんな女子高生いないから。それって。それって」 サトリは大きく息を吸い込んで、遠くの峰にまで響き渡れと叫んだ。 『おとうさ~ん、おかあさ~ん! ひいおばあちゃんが大人のお店ごっこしてる~!』 る~。る~。る~。 響くこだま。 永の表情は凍り付いている。 「曾孫にコスプレ扱いされるってどんな気持ち!? 孫の嫁から怯えた目で五体投地されるってどんな気持ち!? 還暦近い息子から、生温かい目で見られるのってどんな気持ち~!?」 永の脳裏に否応なく、あのときの微妙な空気の大座敷の情景、フラッシュバック。 「ああ、今時の子って耳年増なのねと申しますか。確かに年甲斐も無いと謗られても仕方が無い事……」 大奥様、どうぞしっかり遊ばして。 不覚にも折れる膝。 リベリスタ、一名、orz。 ● サトリの目が次の獲物を映し出した。 「結城・ハマリエル・虎美って、何にはまってんだ。兄貴にか~!?」 『猟奇的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216) は、きたか。と、覚悟を決めた。 (なんと言う恐ろしい相手……きっちり始末するよ。誰でも若い時の過ちってあるよね。辛い過去を振り返る覚悟は完了だよ) 「小さい時に子供故の好奇心から一緒にお風呂に入ったお兄ちゃんのアレでつい遊んじゃってギュッとしたら悶絶させちゃったんだ~」 大丈夫。そのくらい世間の妹のある程度はやらかしてる。 「何気なく『お父さんより小さい』とか言ってマジ凹みさせっちゃったのぉ?」 まだ、大丈夫だ。 「お兄ちゃんのPCのロリフォルダを消したらお兄ちゃんがガン泣きさせちゃったんだぁ。お兄ちゃん、その時いくつだったのかなぁ?」 それもまれに良くある! 「お兄ちゃんがはまってたゲームのツンデレキャラを真似して蹴り入れたら、変なとこにクリーンヒットして崩れ落ちちゃった事とかぁ?」 アレ、そろそろ門戸が狭まってきた。 「スタンガンでつい重傷にさせちゃったりとか。お兄ちゃん、まだ使い物になるのかなぁ? そんな妹、いらねんじゃね? 兄ちゃん、彼女いるんだろ?」 おまえなんか、妹じゃない! ただの猟奇女だ~!! 「うわあああああああああっ!!」 妹、魂の底からの絶叫。 「まだまだ色々あった気がするけどお兄ちゃんごめんなさい! 嫌わないで。嫌いにならないでぇ……」 目から抜けるハイライト。 リベリスタ、二人目、orz。 ● 「期末テストでいっとうしょー。『ちょっと予習復習してただけだよ』 質問で~ス。ちょっとの予習復習って、試験の一月も前から真夜中までやるもんなんですかあ? どんだけ勉強好きなのってゆー」 『日常の中の非日常』杉原・友哉(BNE002761)は、リアクションするのもめんどくさい。 (黒歴史……よく覚えてないな。あったようななかったような……) うん、記憶に封印して、容易に思い出せないから黒歴史だね。 (とりあえずめんどくさいからさっさと終わらせよう…) 無抵抗主義。 「『全国目指してがんばろうぜ!』 バスケの練習に明け暮れてみたり?」 ああ、そんなこともありましたっけね。 「『革醒して得た力を、悪事なんかに使うなんて許せないーッ!!』 頑張ってフィクサードと戦ってみたり。フェイトは投げ捨てるものだったり」 そんな何事にも一生懸命頑張ってやる気出してた頃の俺。 (……なんで俺あんなに頑張ってたんだろうなぁ……ホント、あの時の俺をぶん殴ってやりたい。なんてめんどくさい事をしていたんだ俺……) いや、でも。殴るのも、もはやめんどくさい。 「十五になったばっかりでしょお? こういうの黒歴史とか考えてるって、人としてどおなの? 『がんばるのって恥ずかしい』 とか、ポーズとっちゃうお年頃!?」 うっわ、年齢超越年上目線。 「何か転機になるようなつらいことでもあったの? 努力が報われなかったから、燃え尽きちゃった系~!?」 リベリスタ三人目、orz。 ● 「『目が覚めると異世界にいたぁ? なんで俺がこんな世界で勇者やらにゃいけないんだっつかいきなり魔界プリンスが俺に迫って大ピンチ。仲間の執事と騎士と魔法使いと一緒に戦うぜ!』 『第一話・俺が勇者で、魔王が婚約者(フィアンセ)!?』」 来週からの新番組にご期待ください。的口調でわめきだすサトリに、『つぶつぶ』津布理 瞑(BNE003104) は、固まった。 「「ジェノサイドブレイカァァー!!」 「あの攻撃を食らって、まだ立ってるだとぉ!」 「くっ、こちらにはもう戦う力は残ってはいません…」 「いや。奴は、立ったまま、気絶している」』……ふー、執筆活動後のキャラメルマキアートは最高だぜ。同意だ。なあ! 朗読の後の微妙な空気も最高だぜ!」 超激痛い横罫ノートに横書きで書き連ねちゃったりする厨二小説。 誰に頼まれた訳でもないのに、誰に見せる訳でもないのに、清書してどこかに投稿する訳でもないのに。 何かがほとばしって、書いちゃうよね、書いちゃうのだ。 「しまいにゃ、イメージキャラボイスとか言って声優さん割り振ってみたり、アニメ化ならキャラデザは誰それさんとか裏表紙に書き込み始めたりしたりしてな!?」 流石の瞑、ここまでの黒歴史を暴かれたってのにまだ立っている。 いや。 立ったまま、気絶していた。 リベリスタ四人目、orzじゃなくて、I! ● 礼子さんは、えひゃっえひゃっと引きつった笑いを繰り返していた。 (ひいぃ…なんて恐ろしいエリューションなのじゃ…!? 若気の至りとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてないレベル。現在進行形で黒歴史生成中のわしとかどうすればいいのじゃ……いい年してそんなことしてんじゃねぇぞっていう天啓!? よいではないか、見た目は美少女なのじゃから) 礼子さん、顔色が赤くなったり、青くなったり。 そんな急速に血流量かえると体に悪いよ。 「昨日はハミング、おとといはスター。今日無事におうちに帰れたら、フェリシア見ようとか思ってんだろ! キメポーズの原型はやっぱピン魔法少女か!? 空き地で練習はご近所の目があるからやめた方がいいんぞぉ!?」 「うぉおー!?」 礼子さん、絶叫。 「やめっ、やめるのぢゃ! それ以上ばらしたら……ちょ、お主らも聞くでない!」 大丈夫。半分はorzだし。今は無事な人もじきに自分のことで精一杯になるよ。 「毎週、魔法少女のアニメは欠かさず録画。暇なときは魔法少女のアニメDVDをエンドレスリプレイ! 挙句の果てにその魔法少女の恰好でコスプレイベント? ばーちゃん、新幹線使って首都圏の会場入りしてんの? アレだよな、子供料金で乗ってんだよな? 敬老パス使うよりはマシだけどよおぉ!?」 「やめろ! お、おねがっ……やめぇ……やめてくださいぃ……」 リベリスタ五人目、orz。 ● 「智夫く~ん。何でわざわざナース服にお着替えして来たの~ぉ? その機械から今出すってのではダメなの~お?」 『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)は、秘策があった。 (黒歴史って人に言えない位恥ずかしい秘密の事だよね。つまり皆が知ってれば成立しない!) 強引だが一理ある。 「中学の時に男子からラブレターを貰った事、ミラクルナイチンゲールのコスプレ、etcetc……僕のは全てバレてるから黒歴史たりえない!」 智夫君のあれであれな黒歴史の詳細については、アーク資料室で! 「これぞ黒歴史破り!」 ある意味、サトリにとっては一番天敵である。 だがしかしかし、だがしかし。 サトリもさるもの引っかくもの。 「ドア開いた後駆け込んだんだよな、おトイレ行きたかった智夫く~ん! 間に合った? ねえ、間にあったぁ!?」 電子ロックは、依頼から何度も逃走を試みる脱走王の智夫君のためになかなか開いてはくれませんでした。 どんなにかわいくても、アークの男に対する扱いはぞんざいだよな。 「ぱんつ、みせろよ、ぱんつ~。そのみっじけースカートの下、何はいてんだよぉ?」 そ、そんなの、いろんな意味で見せられませんっ! 「拙者、黙秘権を行使シマス……」 六人目のリベリスタ、orz……っちゃダメだ! 立て、智夫! そのスカート丈でorzったら、そもそもはいてるのかどうか分からないシュレディンガーのぱんつが観測可能になってしまう! ● (人には触れられたくない事の一つや二つあるだろう。それを無理矢理暴こうとするなど無粋の極み) 『ナイトオブファンタズマ』蓬莱 惟(BNE003468)は、前方で匍匐前進でじりじり進むすでに餌食となった六人のリベリスタの姿を見、膝をたたいてげたげた笑うサトリに目をやる。 (これは騎士なので、黒歴史など無いが) 「緑のお豆は食べられまちぇんか、騎士のこれタン ミックスベジタブル、赤い人参と黄色いコーンは食べますが、お豆は端っこに避けます。 シュウマイのてっぺんは始めに外します。 『だからお前は何時まで経ってもコレなのだ』 師の言葉が頭に去来する。 「んでも、まだ序の口だよな。ほんとにほんとに知られたくないのは……」 人の秘密を暴くのが楽しくて仕方ない。 「おまえの中身はからっぽっぽで、騎士以外の何にもねえってことだよなぁ。そんな奴に『黒歴史』なんかねえよなぁ! 『騎士であるならこう動く』ってことだけなぞってる、パパとママが作った生体ロボットみたいなもんだもんなあ! グリーンピースが食えねえのはバグ? バグなの? 存在、うっすいんじゃねーのぉ!?」 確かに両親は立派な騎士であった、確かに騎士になるという誓いを立てた。 だが、そこに至るきっかけを何一つとして知らない。 それ以外の可能性など、生まれた当初から想定されていない。 これは、最初から騎士の役割を持った人格であった。 だから、それ以外ではありえないのだ。 七人目のリベリスタ、orz。 ● 「恵梨香ちゃんはぎゃあぎゃあ泣くばっかりで何にも出来ないお子ちゃまでちゅねえ。せめて、自分で逃げることもできなかったのぉ? もっとお利口さんなら、お母さんくらいは命が助かったかもしれないのにねぇ。 チョコは作れたのにねぇ。残念だったねぇ~?」 『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)の表情は変わらない。 変わらないが、自然に手が上がって、その耳をふさぐ。 背中に隠した二つのチョコレートの包み。 二人連れ立って帰ってきたおにいちゃんとお父さんは、踊りこんできたフィクサードに滅多切りにされた。 血が。 血が。血が。血が。 一生懸命作ったチョコレートの包みにたくさんかかって、なにが起こったのかわからなくて、いや分かりたくなくて。 あのときも恐怖と悲しみに支配されて、逃げるなんてそもそも思いつきもしなかった。 『あの晩』 「うあああああああああああああっ!!」 心が砕け散る音が声になったら、きっとこんなだ。 サトリにとっては至福の響き。 膝が折れる。 あの日、玄関ホールにたまった血の上にへたり込んだように。 蹂躙され、死を待つだけの無力な存在のように。 八人目のリベリスタ、orz。 ● 矢継ぎ早にリベリスタ達がしゃがみこむ。 革醒者として以前。 人として心をへし折られたリベリスタの様子にほくそ笑み、サトリはそそくさと逃げ支度を始める。 その足元に、かかっと矢が突き刺さった。 「そこまで歩いていくのもめんどくさい」 友哉は、匍匐前進の体勢から矢を撃ったのだ。 ぐうたらしたい。これからは心の底から本気出さないで生きていきたい。 「黒歴史で落ち込んでるのもめんどくさい。これからは本気出さないで生きてくからどうでもいい」 あるがままを受け入れるといえば美しいが、根本にあるのはぐうたらというなの思考停止だ。 (うち……死ぬのかな……もう疲れた……いいんだもう楽になってもいいよね。十分働いたよね?) 瞑の脳内に声が響く。 『おい、つぶつぶ、もう諦めるッスか?』 (え?この声って……) ハートの奥に住む誰かさん!? 以下、大事に思っていたり思ってなかったりする人たちの叱咤激励が続き。 『つぶつぶ! 今回まだ何にもしてないだろ! 働けッス!』 そんなハートの奥に鎮座まします方のぞんざいな口調が、瞑の硬直解除。 「ああ、みんな……、うん、うち頑張る!」 鼻声で叫び、瞑は前進を開始した。 アークで一番ブレイン・イン・ラヴァーがうまく使えると巷で噂の虎美の再起動ルーチンは愛という名の妄想に比例しているのでやや長めだ。 (それぐらいで嫌いにならないよ虎美愛してるってありがとうお兄ちゃんけど人前でそこまで言われると嬉しいけどちょっと恥ずかしいよでもいいよね私も超愛してるし思わずぎゅっとしてぺろぺろしたいぐらいっていつもの事だよねえへへこいつ蜂の巣にしたらすぐ帰るからね今日の晩御飯は八宝菜だよ好きだよねお兄ちゃんいつも美味しいって言ってくれるしえ私が食べたいってそんな恥ずかしいでもお兄ちゃんなら良いよ待ってて速攻で帰るからねお兄ちゃん!) 「……という訳で、蜂の巣になれ! スーパーのタイムセールが待ってるんだよっ!」 膝も折れない辛さの中、智夫の心は別方向にシフトした。 「誰でも失敗など人に言えない秘密を抱えています。失敗したから、次はそうならないよう努力します」 智夫の限界を救うためにやってくるセルフ・サポート・パーソナリティ。 「つまり失敗が……黒歴史があればこそ、高みを目指す事が出来るのです」 ミラクル☆ナイチンゲール、降臨! 「ゆえにサトリさんには感謝を。前に進む勇気をありがとうございます」 ぺこりんしても、ぱんつは見えないんだぜ。 「そして始末させていただきます」 ナイチンゲール☆フラッシュ!(非殺) 更に続く、暗黒魔法少女ブラック☆レイン。 「ふふっ……全部知られちゃったら、しょうがないよねぇ……」 暗黒だから、笑みが悪いよ!? 口調が変わっているのは、仕様です! 「去ね」 振り下ろされた大鎌が、サトリの体をばっさりと切り下ろす。 永が、足を踏ん張り、立ち上がる。 「年齢詐称が怖くて、リベリスタは務まらないのですよ……! 肉体が若い事には好都合と同時に不都合もございます。歳相応に振る舞う為、どれ程迄に苦労した事か!」 実の息子の結婚式。 黒留袖が似合わなくて、振袖着ざるを得なかった母の悲しみを知れい! 内孫の宮参り。 絵的におかしいからと、向こうの「お婆ちゃん」に役目を譲らざるを得なかった祖母の悲しみを知れぃ! 「始末致します」 渾身の雷撃斬りぃ! 惟も立ち上がる。 (これは、幻想であり妄想でもある騎士は理想を目指しているのではなかったか。何時かの誰かはこれが正しいと信じたのではなかったか) そうあらんと志し、そうであると認識されて、人はそれとなる。 (自衛の為ならリベリスタをする必要も無い。人は他者との繋がりで自己を認識する、これが騎士である事は、これ以外の誰かが肯定してくれるだろう) やがて、人が言ってくれる。 「惟こそ騎士だ」と。 そして、そうなった者がここにいる。 「彼女こそが、リベリスタだ」と、そう志し、今そう呼ばれる存在になろうとしている者がいる。 恵梨香が、すっと立ち上がった。 「だけど今のアタシは泣き叫ぶしかできなかったあの時とは違う」 プロトアークのリベリスタに救われ、自らの素質を知ってからは、血の滲む様な過酷な訓練を続け、 その末に戦う力を身に付けた戦士。こんな所で潰れるわけにはいかない。 「アタシは『ネメシスの熾火』。この命の燃え尽きる時までアタシは戦う。全ての敵を打ち滅ぼす事がアタシの使命。敵は確実に追い詰め、容赦なく」 詠唱される四種の複合詠唱。練り上げられた旋律がサトリを襲う。 「始末する!」 八つの明確な意志が、そのエリューションを粉砕した。 ● 時には血の涙を流し、時には布団の中で身悶える夜もあるだろう。 しかし、それが生きるということだ。 今日、またリベリスタは一つ強くなれたのだ。 そういうことにしておくのだ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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