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写真展にて・2012冬


 必要最低限からほんのちょっとものが増えた部屋。
 現像した写真の整理を終えた彼女は呟いた。
「……くばんなきゃ、ねえ……」


「市役所で、また写真展やるから」
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、無料整理券を配りだした。
「ぼちぼち手伝いも始めたけど、七緒が撮った写真、またまた結構たまったんだって」
『スキン・コレクター』曽田 七緒(nBNE000201)は、元フィクサードである。
 無料奉仕だった市の広報の下請けが、趣味に変わっている。
 そういや、相変わらずあちこちうろついてるなぁ。と、リベリスタ達は首肯する。
「市政だよりとかで使わなかった分も結構あって、今回はそれの貼り出し」
 なるほど、なるほど。
「ここんとこ少なくなったからこっちも油断してた。先日連絡取れなくなったので踏み込んだら、大量の写真の真ん中で力尽きてる七緒が……。取った写真を個別に配ろうとしてたらしいんだけど、能力が追いつかなかった」
 あ~。そこは学習しろよ。
「段取りできなくて、途方にくれてたらしい」
 これだから、ナンニモデキネーゼは。
「こないだは見かねた職員がどんどんスタッフと化していく不思議現象が起きたんだけど、今、岡山の鬼の対策でスタッフそっちにまわせない」
 そういえば、目ぇ血走らせたスタッフがファイル抱えて走り回ってるもんなぁ。
 なんか、目に浮かぶようだ。 
「で。みんなも忙しいと思うけど、気分転換に七緒の写真の展示の手伝い行ってくれると嬉しい」
 それに、と、イヴはぼそりと言う。
「握りつぶすなら、展示される前がいいと思う」
 びくっと反射的に反応を示したリベリスタ、数名。
「七緒、ここのところ栄養状態いいから、結構あちこちうろうろしてる。みんなの目に付かないところで、ろくでもない瞬間撮ってる可能性もある」
 ああ、それなりにご飯食べてるんだ。と胸をなでおろすリベリスタ、数名。
「もしくは、自分の写真引き伸ばして展示するよう工作するなら今のうち。ついでに、人前で焼き増し頼めないあの子の写真ゲットできる可能性がない訳ではない」
 なるほど。さらされる前に自分で色々すればいいのか。
「クリスマスとか正月とかバレンタインとかで撮って歩いたのとか、三高平のあちこちの日常のスナップとかあるよ。みんな意外と写ってるから」
 さっきデータを一足先に見てきたというイヴはちょっと目をそらして、ぷぷぷと発声し、無表情のまま口元を手で隠した。
「現在七緒のやる気は、写真撮るのだけに注がれている。たまたま見かけて面白がって撮ったのもあるみたい。……自分で確認した方がいいかもね」
 イヴは無表情。ちょっと口元がむずむずさんだったけど。
「ね、七緒」
 ブリーフィングルームの隅。
 ここしばらくの徹夜で生ける屍と化した七緒がにやぁっと笑って、片手だけ挙げた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:田奈アガサ  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年02月29日(水)23:31
 田奈です。
 七緒、ずっと現像してたんだって。
 行動選択肢は、以下の通り。どれか「一つ」選んでね。
 複数にまたがった場合は、田奈に白紙委任と受け取ります。

【1】クリスマスの写真の仕分けを手伝う。
【2】正月の写真の仕分けを手伝う。
【3】バレンタインの写真の仕分けを手伝う。
【4】日常スナップ写真の仕分けを手伝う。
【5】写真を握りつぶそうとしているのを阻止する。 
 イベントでお会いした方以外にも、七緒は通りすがりのあなたを写真を撮っているかもしれません。
 リベリスタさんの言ったもん勝ちです。
 どんな写真を撮られたか、自己申告してください。
 素敵な写真、うっかり黒歴史。
 いろいろ無差別に掲示されています。
【6】七緒に接触
 感想聞きたくてうずうずしています。
 が、準備で根性を使い果たし、会場の隅でぐだ~っとしています。
 
<よい子のお約束> 
 いかに黒歴史だろうと、写真を握りつぶしたら、廊下に正座して石抱いてもらいます。

 ●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・イベントシナリオでは全員のキャラクター描写が行なわれない可能性があります。
・獲得リソースは難易度Very Easy相当(Normalの獲得ベース経験値・GPの25%)です。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織 (nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。(このタグでくくっている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCを構いたい場合も同じですが、IDとフルネームは必要ありません。名前でOKです。
・内容は絞った方が描写が良くなると思います。
参加NPC
曽田 七緒 (nBNE000201)
 


■メイン参加者 30人■
インヤンマスター
朱鷺島・雷音(BNE000003)
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
クロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
ホーリーメイガス
来栖・小夜香(BNE000038)
ナイトクリーク
犬束・うさぎ(BNE000189)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)

源兵島 こじり(BNE000630)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)
ソードミラージュ
仁科 孝平(BNE000933)
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
ソードミラージュ
ルア・ホワイト(BNE001372)
デュランダル
ランディ・益母(BNE001403)
ホーリーメイガス
ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
インヤンマスター
神宮寺・美雪(BNE001984)
スターサジタリー
神宮寺・遥香(BNE001988)
ホーリーメイガス
救慈 冥真(BNE002380)
ホーリーメイガス
エリス・トワイニング(BNE002382)
デュランダル
ジース・ホワイト(BNE002417)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)
インヤンマスター
九曜 計都(BNE003026)
ソードミラージュ
津布理 瞑(BNE003104)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
プロアデプト
プレインフェザー・オッフェンバッハ・ベルジュラック(BNE003341)
ダークナイト
フランシスカ・バーナード・ヘリックス(BNE003537)
ダークナイト
アルトゥル・ティー・ルーヴェンドルフ(BNE003569)


「待望の……と言っていいだろう。曽田七緒二度目の「三高平市」である。今までの徹底的に人体を物体として取り扱ってきた曽田が、クリスマス、正月、バレンタインデーといったイベント、それ以上に大量の日常の人の営みを撮る。今回もたくさんに市民ボランティアが会場の運営を支えたとのことだ……」


 フランシスカ、七緒に元気に挨拶。
「初めまして! なんだか大変そうなのでお手伝いに来たよ!」
「アルは、アルトゥルは、アルトゥル・ティー・ルーヴェンドルフともうします!」
「曽田七緒ぉ。んじゃ、頼むねぇ」
 新人さんは、明るい。ダークナイトだけど。
 資質と人となりは関係ないのよ。
 桃色の人を見れば、分かるでしょ?
(ってうわぁ……これ仕分けるのかぁ、大変そうだなぁ)
 とにかく始めないと進まないもんね。
(えーと、これはこうで……へぇ…みんなここでこんな生活してるんだぁ。まだ来たばっかりでよく分からないけど、なんだか楽しそうだなぁ)
 フランシスカが、時折写真をしげしげと見つめてなんだか頷いてたりするのが初々しい。
(私も色々思い出作っていきたいな)
 うん! できればやばい写真握りつぶしたりしないですむリベリスタになってほしい。
(まだまだひよっこリベリスタなので、写っていないと思うますが……まあ、あったら嬉しいなってことで。で。整理しつつ、探してみましょう!)
 ここに写っている顔が、そこにある不思議。
(せんぱいリベリスタのみなさま、笑顔きらきら。とってもとっても、すてき!アルもいつか、すてきなリベリスタになるのです。よ)
 うん。出来れば(以下略)
「……あれ?ここの隅っこに写りこんでるの、アルじゃない、ですか? わわ、アルですよね!うれしいうれしい!ちっちゃいけれど、ちゃんと写ってる!」
「持って帰るぅ? 焼き増しするよぉ?」
「もって帰るますです、とうさまとかあさまに、みせるの。ふふ」
(次の写真展までにアルの写る写真も増えますよーに!)


「七緒さん、ご飯ちゃんと食べてるです? 差入れでレンジでチンして食べれるおかずセットを持ってきたのです」
 そあらは、七緒に死なれちゃ困るのだ。
(クリスマスはイヴにさおりんと公園でデートして、ダンスホールでロマンチックな夜を過ごしたのです。七緒さんならきっとどこかできっと写真に収めてくれているはずなのです)
「あ~、クリスマスのダンスホールの写真はその束ぁ……」 
(さおりんと素敵に楽しくダンスを踊ったり、抱きしめられたり、ちゅーしてもらったり写真があったら焼き増しをお願いするのです)
「でも実際見ると恥ずかしいのです」
 ごろんごろんと転がるそあらさんのおかげで、そのあたり一畳分、やけに床がきれいになった。
 アラストールは、クールだ。
「……おや、この写真は――殿の……?」
 というたび、誰かが悲鳴を上げて飛んでくる。
(まぁ、握りつぶされてもネガがあればきっと再生可能です。握りつぶされた写真の再現像とか)
 実際は、それは七緒の仕事なので、どれがやられたか報告するのがお仕事になったのだが。
「アラストールにも写真あげたいんだけど、こんなんばっかなんだよね」
 七緒のフォルダ検索結果。
 三高平の各地で食べてる姿と食べてる姿と食べてる姿と食べてる姿と食べてる姿と食べてる姿。
 本人単体は言うに及ばず、あちこちの写真の片隅で見切れている。
「買い食いばっかしてんだね」
小夜香の心は、すでに友達に会いに行くとかそういうものではない。
(ちょっと様子を見に行くわ。熱心なのはいいけど……寝食ぐらいは倒れない程度にちゃんとして貰いたいわね)
 おかんである。
「頑張ってるみたいね。でもちゃんと食べなきゃダメよ。倒れたら撮影も現像も出来ないわよ?」
 差し入れのサンドイッチ食べるのをそれを眺めつつお茶とか出したりして世話を焼く姿は、おかんである。
「ね、これもらっていい?」
 先日一緒に行った依頼の打ち上げのときの写真だった。
「いい、いい。持って行くといい」
「ありがと。大切にする事を約束するわ」
 普段はツンツンヘアーの髪の毛を、今回はぴっちり横わけにして、服もいつものとは変えスタッフを装う。ステルスも使用。
(俺は謎のスタッフの山田君)
 そんな竜一。
(俺は変装し、マイエンジェル・真白イヴたんの写真を手に入れにきた!)
 スタッフの振り子いて、イヴの写真束ポッポナイナイする気なのだ。
「結城、なにやってんの?」
 が、目の前に立ったとたんばれた。
「つか、そのふざけた右手の包帯、見りゃわかんでしょお?」
 だって!
 これ外したら、アイデンティティ崩壊するし。
 エナーシアは、割と追い込まれていた。
(バレンタインスレでの大失敗、音源だけではなく写真まで残っているとなると三高平から旅に出なければならなくなるのだわ)
 桃子さんの術中にはめられたのだ。
(……やはりあったわね、出待ちの写真。チョコ渡すところも)
 無駄に連写だ。枚数、結構ある。
 周りの状況を超直観で観察してタイミングを測り、AFのノートにさり気なく挟んだ上で幻想纏に収納
何食わぬ顔で仕分けを続けるのだわ。
「それを外してもネガがあるのでまた展示されますよ。」
 凛子が背後にしゃがみこんでいる。
「下手にそういうことをすると、多く焼き回しされるかもしれませんよ?」
「うぎぎ、益体もないのです><」
 そう言って、写真束を元に戻した。
「これでもどうぞ」
 凛子から雛あられと緑茶のおすそ分け。
 内心ほくそ笑む。
 エナーシアが戻したのは、出待ちの方のみ。
 よりやばい手渡し写真はポッポナイナイしたのだ。
 これで、エナーシアさんの三高平残留が決定した。バンザーイ。
 ちなみに、退出時のAFチェックで石抱きの刑になったのは言うまでもない。


 快は、幸せだった。多分。
「2月14日(火)の平日に河原で石投げてる写真、七緒さんが撮ってくれたんだね。なんか変な賞を受賞しちゃったよ」
「あ~」
 七緒的に、もうなんて言ったらいいかわからない。
「何が申し訳ないって、この後アーク本部に行ったら結構チョコもらったんだよね。和泉さんからだったり、エフィカさんからだったり、いろんな人から合計28個。うん、俺リア充!」
 なんだろう、この痛々しさ。
「名古屋さんから酢昆布もらったり、蝮原さんからチ■ルチョコもらったり、某いい男からバレンタインチョコ(ガチ)もらったりもしたけどね……」
「お返し、大変だねぇ……」
 七緒の何気ない一言に、遠い目をした守護神の目が更に遠くに焦点を飛ばしてしまったのを、写真家は見逃さなかった。
 新城は、俺は一人でゆっくりと会場を回った後…。
「……前回もそうだったが、やはり今回も案の定なのか」
と、ペットボトルのお茶を渡した。
「以前も、参加させて貰ったが…変わらず…いや、以前よりも良い写真が多かったように思う……あぁやって、想い出などが形に残るのは、良い物だな」
 残るものがあるというのは、命を散らす仕事をしている者にとっては安心できることで。
「……また良かったら、こういった場所をぜひ開いて欲しい。日常を確認しないと……稀に、不安になるからな」
 七緒の手が伸びて拓真の鼻をつまみあげた。
「しゃっきりしろぉ、彼女持ちぃ。こんなんがよすがになるなら、何度だってやってやるわよぉ」
 孝平も七緒のところに感想を言いに来た。
「ごく普通のスナップというのは、僕個人としては集合写真や風景写真より却って難しいものだと思います。何せ、相手は一瞬足りとも同じ場所で同じ状態で居ませんから。その一瞬の風景を切り取り、一枚の写真の中に封じ込めるわけですから、それは難しいものでしょう。こっちの都合はお構いなし。特に動物相手では、ね」
 講釈垂れてた表情が、なんか相好が崩れていく。
「ああ、この子猫の写真も良いですね。中々、こういう可愛らしい表情を捉えるのは難しいでしょう。楽しめそうな写真ばかりで良いものですよ」
「……あんた。動物好き?」


 ニニギアはとっさにその写真を隠した。
「んー? ニニ、その写真は?」
 マンガ肉にかぶりついてるとこですなんて言えない。
「うん、やっぱり美味しそうに食ってんな。こういう笑顔も大好きだ」
「ランディ発見! わー暴れてる。何の時かな」
「え? 俺の写真? 変な写真は撮られてない筈だ」
「あれ。これは……」
 ニニギアのまなざしが柔らかくなる。
「あー。楽しかったよね。そうか、ランディこの時こんな顔してこっち見ててくれたんだ……」
「これは、ああ、こないだ一緒に出かけた時のか。そりゃあ笑いもする、俺にとって一番大事な時間だからな」
 そう素直に言えるまで少し時間がかかった。
 繋いだ手を解いたことも合った。
 それでも、覚悟と確信をもって改めて繋げている手が嬉しい。
「七緒さんありがと。この一枚が見られただけで今日は本当に来てよかった。この写真ほしいな……写メだと照れて、こんな素直な笑顔撮らせてくれないし!」
「じゃ、公認で隠し撮りに勤しむわぁ」
 雷音は、虎鐵と一緒に日常のスナップを整理するのを手伝っていた。
(このそあらはかわいいな。あとでもらおう……なんだこれは、必要以上に虎徹と一緒の写真がおおくないか?)
 それは、雷音が「必要以上」に、虎鐵とくっついているからであるということを本人が気づいていないだけだ。
(なんだ!あーんをしてるときなんていつとったのだ)
 あなたのシャッターチャンスに七緒さん。
「うわ、こ、このボクが気が抜けてるときの顔が! 寝顔まで! 虎鐵ステイ! ステイ!それはダメだ! だめだぞ」
「すまぬ……雷音……そのステイは聞けないでござるよ!」
 虎鐵は、せっせと写真をアルバムに入れている。
 後で焼き増しを頼むのだ。
 それでも雷音は、あーん写真だけは確保した。
(これは隠しておくのだ。虎鐵と夏栖斗が仲良くしてるようにみえる写真はなんとなく微笑ましい。うん、これはもらっておこう)
「ちゃんとわかりやすいようにまとめておくのだ」
 その几帳面さが裏目に出て、はみちょになったあーん写真が妙に目立ってしまうことを、この時点の雷音は知らない。
 ルーメリアが野球好きなのは秘密である。お嬢様だし。
(な、こ、これは…なんでルメがこっそり黙々と素振りしてる写真があるの!? いやー、自分で見ててもほれぼれするの。たまたま一番いい構えの時に取ってもらったのかな……さすがなの)
 引き延ばして、サインとか書いてみると…おぉ、さらになんかプロ選手っぽく!
(これ欲しいなぁ……あ、でも公開されるのは困るなぁ……)
 これからは、変装を考えなくてはいけないかも。
 とりあえず、焼き増し引き伸ばしをお願いすることにした。
 アンナは、ちょっと進化していた。
「塩むすびと鳥の唐揚げとたくあんもって応援に来たわよ! というわけでまずは食べるんだ。いいから」
「すご~い。揚げ物できるようになってるぅ」
 いただきまーすと、七緒はほおばった。
 アンナは会場を見回した。
「しかし、季節柄バレンタイン関連のが多いわねえ……阿鼻叫喚な写真もあるけど。ていうかいつのまにとったって写真多いわね。………私のはないけど。くそう、もうちょいなんか流行に乗るべきなのかなあ……」
 七緒はこれこれと指差した。
「凧揚げのときの差し入れ。進化の過程」
 唐揚げ、ぱしゃり。
 美雪は温かい紅茶、一口サイズのホットサンドを差し入れ。
「お写真が汚れないよう、召し上がったら手を綺麗にしてくださいね」
 暖かいおしぼり、幸せだね。
「あ、こんな写真まで…いつの間に?」
 遊園地のヒーローショーの裏方で、着ぐるみの暑さにやられた「中の人」を必死で扇いでる私。
(いいのかしら?子供達にはあまり見せたくないような……)
遥香は正月写真の仕分けの手伝いだ。
「早いねー、もう2ヶ月前だよ…あ、あたしだー」
 神社で弓道の初射会やったときの写真。
(えへへ、凛々しく撮ってもらってる♪ ……こらー、誰!? 『弦で弾くほど無いんだから、胸当て要らないんじゃ?』 ってボソッとつぶやいたの!)
 殴っていいぞ。許す。
「あのさ、ところで……この写真……」
 長い黒髪で顔の隠れた白い着物の女性が、ありえない位置にダラリと映りこんでいる。
「気にしないのぉ。まれに良くあるからぁ」
 七緒は動じず、「研究部行き」の袋に詰めた。


 夏栖斗の願いはささやかなものだ。
 バレンタインで照れてたこじりさんの写真を集めて、こじりさん写真集をつくる。
「ねね、このこじりさん超可愛い!やばいこのこじりさんも可愛いっていうかこじりさんはどれもこれもかわいいなあ!」
「御厨。あんた、全然選べてなぁい。その束の場所は二枚分なのぉ。わかるぅ?」
「なんだかんだで七緒ちゃんわかってるよね。こじりさんがどんなふうにかわいいのかとか」
「あらぁ、褒められたよぉ、源平島ぁ」  
 七緒が挑発しても、こじり、終始無言。
その手元に夏栖斗のちょっとキャ。な写真が集められていたことを、七緒は武士の情けで見逃した。
「……飯食ってるか?」
 冥真が神妙な顔して来た。
「体力消耗してるだろうから、甘いものでもどうだろう。手作りだから味は保証しないが」
 なに、その乙女のフィニッシュブロー的差し入れ。
 場にいた、料理苦手系女子がどよめいた。
「クッキーだ。何の変哲もないクッキー。応用したら失敗する系の。七緒さんに」
「誰がつくったって?」
「俺が」
 どよどよ。
 しっかり包装とか済んだ系のものを冥真が意を決したように差し出した。
「こっちはお知り合いの分だ。三高平に居るかは知らんが」
 とたんに、七緒がへ~っと顔をにやつかせた。
「……これ、ゆ――」
「何も言うな。言うんじゃない。包装以外変わらんから」
「あ、そー。手作りぃ。伝えとくからぁ。よろこぶわぁ」
 エリスは黙々と未整理写真を整理している。
 人物写真から整理されるので、それ以外が山になりがち。
(親子連れの……野良猫に……お弁当の……焼鮭を……分けた時……みたい)
 エリスの無表情がわずかに崩れ、口角が上がる。
 親子2匹で仲良く分けて食べていたのが可愛かった。
 あの時の子猫も、今では随分と体が大きくなった。
 懐かしそうに、じっと写真を見ているエリスの 背後から視線。
 孝平が立っていた。
「……なに……」
「いや、かわいい猫だな、と」
「大きくなった」
「そうですか」
ジースは、驚愕していた。
「え、杏里さんのBBQ、七緒さん、居たの?」
「杏里が、肉食べて下さいって言うから」
(俺が杏里に花束渡してる所じゃねーか!?何でこんなものあるんだよ?!)
 そんなの、七緒が逃す訳ないじゃないですかやだー。
「うわああ! や、やめろお! こんなもの貼り付けるなよ?! 絶対だからな?!」
「はいはい」
 にたぁと笑う七緒を信用してはいけないことを、ジースはこれから学習することになる。
(しかし、この杏里の笑顔の写真可愛すぎる)
「七緒さん、あのさ、これ、焼き増ししてほしいん……」
 ……。
「……うあ、や、やっぱり、何でもない!!!」
七緒の視線に恥ずかしさ爆発。写真もそのままに逃走。
(チクショウ! 恥ずかしいっ!)
思春期大爆発のジースの姉、ルアはそういう段階をとっくに解脱している。
(これは、学校の様子かしら? きちんと授業を受けている後姿、カッコいい……。見ているだけで胸がドキドキしちゃう)
 彼氏の写真チェックに余念がない。幸せな時間。いつまでも見ていたい。
「これ、全部焼き増ししてください! 一番良い写真を自分の部屋の写真たてに飾るの♪」
 どっちゃあ。
 スケキヨが写っているすべての写真を七緒の前に積み上げた。
「じゃ、これ、あんたの弟に」
 さっき言い掛けた杏里の写真、焼き増し済み。
 陽菜は青ざめていた。
 ガスマスクをして、ドリアンの絞り汁でゼリーを作っている写真。
 どうやらバレンタインの数日前の写真のようだ。
 近くには【16】と書かれた箱が置いてあるのが見える。
「七緒さんの写真展は油断も隙もないからなぁ~……って、やっぱり撮られてるし!?」
 以前の反省を踏まえて、辺りを警戒しながら。
「右よし左よし……闇の世界展開! 暗視良好。今度こそ無かったことにしてみせる!」
 うん。口に出てるから!
「それいけ、守護神~ん」
「え? 俺、今日は休み……」
「いいから働け。天原とか高原とかの写真……」
「うん、写真を隠匿するのはいけないよね」
 陽菜、石抱き決定。
 計都は、勤労に燃えていた。
「つぶつぶは、このままじゃ自宅警備員人生まっしぐら……プロフリーターのあたしが、労働の喜びを身体に教えてやるッス!」
 プロフリーター。アルバイト以外の職に就いたことがないこと。
「チッ、うっせーな。母親みたいな事いいやがってよー。いつもそんなだから、うちは、お前の事が……」
 ツンデレワードを言いながら、瞑、写真束の整理。
(計都? へー、綺麗に取れてんじゃねーか。ふーん、これくらいの報酬はあってもいいよね)
 クスッっと笑った声を聞きつけて、背中合わせで仕事していた計都がグルンと振り返る。
「つぶつぶ、いま写真ガメたな? 正座で石抱かせて、危険な快楽に目覚めさせてやるから、覚悟しろ……って、あたしの写真じゃないッスか!?」
 少女マンガ的展開。バックに点描要り用かい?
「つぶつぶ……、あたしのことを、まさか……」
(って早速バレた。オワタ)
「なーんて言うと思ったか。アヤシイ呪いにでも使う気だったんだろ、このエロニート! 中二病こじらせて、ネットで魔術とか調べてたの知ってるッスよ!」
 うっわ~。ぱっきりフラグが折れる音がする。
 何だろう、この安堵感と脱力感とがっかり具合。
「え、呪い? ……そーに決まってんじゃん。PCに画像取り込んで胸大きくしてやるって言ってんだよ、言わせんな恥ずかしい! この覚醒の時に胸だけ成長が止まったぺちゃぱい!! 」
 涙、こみ上げてきちゃった。
 プレインフェザーは、模擬戦や戦闘訓練などの写真の仕分けをしていた。
「……おお、すげえ。この写真カッコいいじゃん」
 その写ってるのがその辺ひょこひょこ歩いてたりする。
 ふと、別の束に目が行く。
(……あ)
 引きのアングルで、山とレトロなコテージ群、それを前にして面倒くさそうに立つ自分が小さく写っている写真を見つけた。
「いつの間に撮ってたんだ。すげーこっちに来たばっかりのヤツじゃん」
「あ~。少しは出歩けって言われたからさまよってたら、道に迷ってぇ。助け呼ぶときに現在地って撮ったぁ」
 七緒は、周囲からのなにやってんだ的じと目に首をすくめる。
(この時は、こんなボロいモーテルどーすりゃイイんだって、すげえ面倒くさかったな。今は人も、少しだけど来てくれて……それなりに、楽しいし? ま、結構悪くないぜ)
「風景写真ぽくてなんかイイな、コレ。部屋に飾りたいかも。貰ってっちゃダメか?」
「いいよぉ。焼き増ししとくぅ」

 うさぎが大荷物でやってきた。
「最近の市役所ならバリアフリーは完璧の筈。そして役所の備品には台車は必須。そんな訳で事情を話して大き目の台車を借りてきました」
「いや。意味わかんない」 
 敷布団を下に敷いて、掛け布団を持ち手に巻いて背もたれに。
 なに、この簡易座椅子。
「で、曽田さんをこの上に乗せます」
 問答無用で抱え上げて上に乗せようとする。
「わぁ、お姫さまだっこぉ。じゃないわよぉ。なにすんのよ、犬束ぁ」
「感想、聞きたいんでしょ? 言いに来るのを待つより、直接聞きに行きましょう」
 ガラガラと押して会場を回ろうとする。
「ね-。なに、この罰ゲームテイスト」
「……まあ、私も押して回るついでに感想言うかもです」
「あ、それは聞きたいわ。逐一ぃ」


「……会場内を台車で回るパフォーマンスは、市民からの提案だという。曽田七緒という写真家の変化を通俗化、大衆化と解釈するものもいるだろう。しかし、日常に根ざした一瞬を切り取る力は格段に上がっている。まったく違和感を感じさせない画像処理。曽田七緒の根本は変わっていない。ただ、被写体を突き放さなくなったという印象を受ける。三度目の三高平市に訪れるのが、今から楽しみである」

「だからぁ、画像処理はしてな……」 
「黙れ、いいから」

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 リベリスタの皆さん、お手伝いありがとうございました。
 今回も七緒は色々撮っていたようですね。
 人間模様も色々替わってきて、写真っていいもんですねぇ。
 あなたの死角に、カメラ構えた曽田七緒。
 ……ステルス?

 楽しんでいただけましたでしょうか。
 ゆっくり休んでいただけましたら、次のお仕事がんばってくださいね。