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リベリスタさん、こっちです!


 静岡県、三高平。
 此処は多くのリベリスタ達や、その関係者のための施設が多くあり、そのひとつに三高平公園というものがある。広い敷地で、多種多彩なレクリエーションのためのもの。
 其処で何かイベントができないものか。リベリスタさんが羽を伸ばせるような。
 『未来日記』牧野 杏里(nBNE000211)はそう考えていた。

 杏里も三高平のリベリスタに救出されて此処に来て、早数ヶ月。
 あまり外へ赴かない彼女は、ブリーフィングルームでしかリベリスタに接触する機会が無かった。
 しかし、杏里は大のリベリスタ好き。
 どれくらい好きかと言うと、土足で踏まれてもニヤニヤできるくらい好き。セルフ痛覚遮断。
(リベリスタさんと遊びたいな、でも杏里は体力無いからな)
 そう考えつつ、ふと雑誌を見た。書いてあったのは、BBQ!
「あっ、これだぁ!」
 思い立った彼女は、珍しく感情的に走り出し、ブリーフィングルームを後にする。
 まあ、その雑誌。夏物だったんだけどね。


 街に出て、繁華街。
 あらゆるコーポが立ち並ぶ中でリベリスタを見つける。
「リベリスタさーんっ! 発見です!」
 くるくる回りながらやってきた杏里に、リベリスタが驚く。
 杏里、感情が高ぶると何するかわからない。
「あのですね、依頼です! お願いです!
 休日にバーベキューしますよ、よろしければ、お暇であれば! 是非是非っ!」
 ぴょんぴょん跳ねながら、リベリスタに紙を渡す。ちらりと見える手の傷が痛々しいが、顔を見れば満面の笑み。
 因みに、紙には詳細が書いてあった。
 そしてまた次のリベリスタを見つけ、捕まえ、渡し。
 最後はいつも通りに、宜しくお願いしますと頭を下げた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:夕影  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年02月18日(土)22:04
 夕影です
 皆さん宜しければ、遊びましょう!

●成功条件:楽しくふれあいタイム!

●日時:二月休日

●場所:三高平公園

●やること:バーベキュー
・他にリベリスタさんでやりたい事があればご自由にどうぞ!
 食って良し、料理して良し、遊んで良し、踊って良し、歌って良し!
 戦闘は……まあ迷惑にならない程度で、フェイト飛ばない程度で良し!
 【調理班】はあると嬉しいです!
・バーベキュー用の道具や食べ物は全て此方が用意します
 広く答えるので、何か必要なものがあればどうぞ。ただし常識の範囲内で
 夕影はバーベキューについては一般レベルでしかしらないので、検索して出てくる範囲で
・ゴミは持ち帰りましょう
 三高平公園の自然は大切に!

●注意
・このシナリオはイベントシナリオです
*参加は50LPです。
*イベントシナリオでは全員の描写が行われない場合もあります
*報酬はVery Easy相当です
 行動はやりたことを絞ってプレイングを書く事をお薦めします
 また、倫理規定違反や他人の迷惑になる行為、そして白紙は全て描写外とします
 特定のPCと一緒に行動する場合は名前(ID)を書いてください
(例:牧野 杏里(nBNE000211))
 団体で行動する場合は、【団体名】を分かりやすく書いて下さると嬉しいです
(例:【調理班】)
 NPC牧野杏里に話しかけたい場合は、名前(ID)は不要なので、牧野や杏里とあれば大丈夫です

●杏里
・リベリスタに囲まれて幸せに浸っています。話かけたりはお好きにどうぞ

それではご参加、お待ちしております!
参加NPC
牧野 杏里 (nBNE000211)
 


■メイン参加者 63人■
デュランダル
十凪・創太(BNE000002)
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
ホーリーメイガス
霧島 俊介(BNE000082)
覇界闘士
アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
マグメイガス
アリス・ショコラ・ヴィクトリカ(BNE000128)
クロスイージス
ミルフィ・リア・ラヴィット(BNE000132)
デュランダル
宮部乃宮 朱子(BNE000136)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
クロスイージス
ソウル・ゴッド・ローゼス(BNE000220)
ソードミラージュ
司馬 鷲祐(BNE000288)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ホーリーメイガス
カルナ・ラレンティーナ(BNE000562)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)

雪白 凍夜(BNE000889)
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
ソードミラージュ
上沢 翔太(BNE000943)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
デュランダル
四門 零二(BNE001044)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
デュランダル
ランディ・益母(BNE001403)
クロスイージス
アウラール・オーバル(BNE001406)
ホーリーメイガス
神谷 小夜(BNE001462)
デュランダル
蘭・羽音(BNE001477)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
覇界闘士
付喪 モノマ(BNE001658)
プロアデプト
如月・達哉(BNE001662)
覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)
ナイトクリーク
クリス・ハーシェル(BNE001882)
ホーリーメイガス
エアウ・ディール・ウィンディード(BNE001916)
マグメイガス
イーゼリット・イシュター(BNE001996)
デュランダル
降魔 刃紅郎(BNE002093)
スターサジタリー
立花・英美(BNE002207)
デュランダル
ジース・ホワイト(BNE002417)
ホーリーメイガス
ゼルマ・フォン・ハルトマン(BNE002425)
マグメイガス
百舌鳥 付喪(BNE002443)
プロアデプト
ロッテ・バックハウス(BNE002454)
覇界闘士
葛木 猛(BNE002455)
ソードミラージュ
リセリア・フォルン(BNE002511)
デュランダル
マリー・ゴールド(BNE002518)
覇界闘士
焔 優希(BNE002561)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
ソードミラージュ
イセリア・イシュター(BNE002683)
ホーリーメイガス
エルヴィン・ガーネット(BNE002792)
ソードミラージュ
津布理 瞑(BNE003104)
インヤンマスター
冷泉・咲夜(BNE003164)
覇界闘士
霧谷 燕(BNE003278)
ソードミラージュ
ポルカ・ポレチュカ(BNE003296)
覇界闘士
クルト・ノイン(BNE003299)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
プロアデプト
プレインフェザー・オッフェンバッハ・ベルジュラック(BNE003341)
クロスイージス
日野原 M 祥子(BNE003389)
ダークナイト
ユーキ・R・ブランド(BNE003416)
ダークナイト
アルトリア・ロード・バルトロメイ(BNE003425)
ダークナイト
ウィンヘヴン・ビューハート(BNE003432)
ダークナイト
蓬莱 惟(BNE003468)
ダークナイト
熾喜多 葬識(BNE003492)
ソードミラージュ
ルーク・J・シューマッハ(BNE003542)
   


「リベリスタさーん! こっちですー!」
 そんな杏里の声が三高平公園に響いている。今日の三高平は平和です。
 多分。

 魅せつけろ、アメリカナイズなBBQ!
 調理班として立つソウルは熟成させた肉を大量に持ってきた。
 それを刃物で大きめにカット。やはりアメリカンは大きさも自重してはいけない。
「西海岸じゃ、BBQで焼くのは男の仕事だからな!」
 それを近くで杏里が見ていた。
 お手伝いすることは無いかと、包丁を片手に待機していたが。
「ここは任せて、牧野の嬢ちゃんも皆と遊んできな」
「は、はい……っ!」
 出る幕はどうやら無さそう!
 此処はソウルに任せて杏里は歩き出す。

「串か。これを使って肉を焼くと……」
 惟が肉を見つめ、どんどん串にサイコロ状の肉を刺していく。
 綺麗に刺せば、なんだか形も良くて綺麗に見える。
(バーベキュー。肉をよく焼く為に廻していたような覚えが――)
 なるほど。
 ♪たたたたーたーたーたったたー『ドネルケバブ を てにいれた !』
 それも立派な串刺し肉料理だ!
「……あら、凄いわね」
 そこへ自身の調理を終えて物物交換に歩いていたエナーシアが来た。
 ドネルケバブと自身の作った肉と野菜が刺さった串を見せて交換。
「うん。やっぱり主食が欲しいな……」
 惟はエナーシアからもらったものを食べつつ、そう思った。

「正直まだ肌寒い季節ではあるが……逆にその分、バーベキューが引き立つね」
 零二が肉や野菜や魚を串に刺していた。その肉と野菜のバランスも良く!
 零二は目を瞑り、精神を研ぎ澄まして耳に集中する。
 音だ。
 肉が、野菜が、魚が焼けていく。まだ……まだ此処ではない。

 こ こ だ ! (カッ)

 覚醒した零二が勢いよく火から肉を取り、それを物物交換しに来ていたエナーシアの前に差し出す。
「フ……ナイスバーベキュー。さぁ、食べたまえ!」
「あら、良いにおいね」
 エナーシアが一口、肉を口に運ぶとあら不思議。
 肉汁から肉の柔らかさから、絶妙な火の通りまで素晴らしい一品。
「この文句無しの一品、私の焼いた肉の交換しましょう?」
「ああ、いいとも。君のも美味しそうだ」
 交渉成立!

「なんていっても焼くならやっぱりお肉だよね!」
 ウィンヘヴン。肉をじゃんじゃん串へ刺していく。
「野菜も一緒に焼かないといけませんよっ」
 その横で苦笑しながら小夜が肉だらけの棒に野菜も付け足す。
 そしてできたのから順に焼いていく。
「美味しそう!」
「ふふっ、そうですね。肉と野菜は足りてるかな」
 ウィンヘヴンは良い香りのしてきた肉にそわそわ。
 小夜は律儀に足りない物は無いかと、目を配りながら肉を焼く。
 しばらくして肉は焼ける。すると。
「特製ブレンド激辛ソース!」
 ウィンヘヴンが取り出したのは、食べた瞬間全身の毛穴が開きそうなほどに赤いソース。
 それを肉にどぼどぼかけ、美味しそうに食べていた。それに釣られて小夜も一口だけそのソースを着けて食べてみたものの、瞬時にあまりの辛さにリタイア。
「こ、こんなの食べれるんですかっ」
「うん! 美味しいぞ!」
 どんどん口に運んでいくウィンヘヴンを見つつ、小夜は苦笑混じりに肉を焼いていく。
 後々、焼いてばかりで食べ損ねたのに小夜は気づく。

 クルトはフランクフルトを。
 少し寒いが、エリューション絡みでは無いので安心して調理!
 フランクフルトの他にも、アルミに包まれたジャガイモは直火で。火傷には注意!
 すると杏里が通りかかり、クルトは呼びかけた。
「杏里も一つどうだい?」
「わあ! じゃあフランクフルトをもらいますね!」
 そう言いつつ杏里はフランクフルトを一つ手に入れた!
「クルトさんは食べないんです?」
「ああ、大丈夫だよ。焼けたら食べるさ」
 そんな会話をしつつ、シャガイモも段々いい感じに焼けてきて良いにおいを放つ。
 その横でこれまたエナーシアがひとつ頂戴と、フランクフルトを掴んだ。

 ▽エナーシアはフランクフルト、ドネルケバブ、肉、を手に入れた!
 まだまだ搾り取れる!

 公園でバーベキューをやってると聞いて、馳走になろうと燕は足を運んできていた。
「霧谷燕だ。燕さんって呼んでくれよな。よろしく!」
「フォーチュナをやっています。こちらこそ宜しくお願いします!」
 可愛い子を見つけたと燕は杏里に話しかけた。それに杏里は深々を頭を下げる。
「おーしっ、可愛い美少女の為に燕さんが何か焼いてきてやるぜ、何が良い?」
「そうですね、やっぱりバーベキューらしくお肉でしょうか!」
 杏里もこう見えてもお肉は好き。
 聞いた燕がすぐに腕まくりをして、肉を焼いていく。

「そういや、リセリアは好き嫌いとかあるのか?」
 猛は肉や野菜を交互に串へ刺しつつリセリアに話かけた。
 彼女に偏食のイメージは無かったが、もしあったらまずいからとの気遣い。
「特に好き嫌いは……無い訳では無いですけど、大丈夫です」
 それを聞いて猛はほっと息を吐く。リセリアは同じ質問を聞き返した。
「俺はまあ、大概は? あ、でもあれだ。ピーマンだけはダメだわ」
 咄嗟にリセリア、串に刺さっているピーマンを抜く。
 しばらくして、肉を焼き始めた。
 見た目的にいける! と思った猛が火から一本取り出し、それを口に運んだ。が!
「……半生だ、これ」
 自分で作って食べるというのはなんて難しいものか!
 そんな猛を見ながらリセリアはふふっと苦笑した。
「ちょっと早かったみたいですね……もう少し火を通せば」
 リセリアがフォローをいれつつ、今度はリセリアが焼いたのを一本取り出した。
「一口、どうですか?」
 そう言われ、猛はそれをもらった。少し生焼けでないか、恐る恐る食べた一口だったが。
「――うん、ばっちり美味い!」
 こちらはきちんと焼けていて上手くできていた。猛は手元の自分のを、そっと火の中へ戻す。

 歪夜の使徒を一人倒したリベリスタ組織だ。
 ぴりぴりと緊張感のある戦闘集団かと思いきやそうでもない。
 ルークが黙々と調理作業に手を貸しながら感じていた。
「……いいもんだね」
 こういう温かいのは久しぶり。
「いいもんですねぇ!」
 そこにひょっこり杏里は現れる。ルークは驚き、少し体が揺れた。
 すぐに冷静になり、荒ぶる鼓動を平常へと戻す。それから火の中の肉の串を一つ取り出し、杏里に渡した。
「……これ、焼けてるぜ」
「あ、本当ですか!」
 わーいいと喜ぶ杏里を見て、ルークも小さく笑う。そして。
「今日は誘ってくれて有難う」
 その言葉に杏里はにっこり笑った。

 またふらふらと歩いていた杏里をポルカが呼び止め自己紹介をしあった。
 ポルカは肉を焼くのを少し止め、杏里の隣に座って話を始める。
「アークはいつも賑やかでいいわね。ひとりでいても、寂しくないし」
「はい! ポルカさんにもお会いできましたし!」
 ポルカがそれまでどのような生活をしていたのか杏里の頭では検討もつかない。
 無邪気な笑顔で杏里は微笑み、それにつられてポルカもにこりと笑う。
「ぼくは、まだまだ未熟だから、お力添えよろしくお願いします、なの」
「とんでもない! 杏里こそ、フォーチュナとして皆さんをサポートは全力でしますよ!
 今日みたいな平和な日が続いて、楽しい事もこうやってできるといいとポルカは続ける。
 それには杏里も同感だ。今はこの楽しさを思い出として残しておければ、と。
「素敵な企画、ありがとうね」
 その言葉に杏里は少し頬を赤らめて笑った。

 しばらく歩くと、杏里はりりすに手を引かれた。
「さささ。可愛いまっきーは野菜をお食べなさい。お肉もお食べなさい。たくさん食べて大きくなりなさい」
 太ったら出荷されそうだ!
「はいっ、ありがとうございます!」
 凛子が網の上で串をぐるぐると回しながらドルネケバブを温めつつ、私が作ったものですけど、と苦笑。
「初めてなので味はどうなるかわかりませんが」
 そう言いつつも、香りはこおばしく、杏里の食欲を刺激した。
 他にも料理の種類はあり、野菜からBBQらしい肉までなんでもござれ。
 できたドルネケバブもナンに挟んでヨーグルト等と一緒に食べれば――。
「美味しいですよ! 素晴らしいです!」
 杏里は一口食べ、美味しさに目を輝かせた。
 それを見ていたりりすは満足。まっきー可愛い、らぶりー。けれど趣味は、うんそうだね。彼女の腐りは悪化してきたね。
 そっと踏みにじりたい衝動になったりりすだが、静かに抑える。やはり一番は嫌われたくないという感情が働いた。
「氷河くんが沢山作ってくれるから、むさぼり食うとイイよ。イイよ」
「はい! ありがとうございます!」
「ああ、此方の肉も焼けましたね。今食べやすい様に切ります」
 氷河の気配りは、とても優しいものだった。

 一角では……。
「計都、もやしばっか食ってるから貧乳になるんだぜ。
 巨乳になりたかったら肉食え、肉! うちの肉が食えないっていうの? しょうがねーなー!
 食わせてやるから、あーんってしな! か、勘違いしないでよね! 別にアンタの事好きってわけじゃないんだからねっ!
 計都が貧乳だとみじめで切なくて、生きる憐憫悲壮泣き物語って感じで同情肉なんだからねっ!!
 これ食って栄養つけな! あと今度家に遊びに来いって母ちゃんが言ってたんで来れば!?
 ちょっと食卓で貧乳バイト女の話ししたら来いって言っただけだけど、来れば!?
 まあうちぺちゃぱいもやしの事なんかなんとも思って無いけどな!!」
 そこまで瞑は息継ぎ無しでエア計都。
「……好きなんですか?」
「好きじゃないわよ!」
 杏里がつい聞いたが、その返事でだいたい分かる。

●司馬家 in 公園
 きゃっきゃうふふと、女の子二人が愛しの人のために調理の最中。
「アナスタシアさんと司馬さんは、大人なカップルって感じだよね! わたしも見習う~!」
「はふぁ!? お、大人だなんてそんな!」
 壱也が隣のアナスタシアへ話しかけた。
 アナスタシアはその言葉に少し動揺しつつ、頬を赤らめる。 
「ふふ~、壱也殿たちならスグに大人なカップルになれるよぅ! だからこの初々しさを今の内に目一杯楽しもうねぃ♪」
「す、すぐ!? うん、今も楽しいよっ!」
 壱也が頭の中で大人なカップルを想像したのか、手元の大根をゴリッとまっぷたつに折った。大幅に力任せな照れ隠し。
 一方、その彼氏達はというと。

「嫁以外とやるのは久しぶりだ。行くぞモノマッ!」
「はっ、上等! 吠え面かかせてやるぜっ! こいやっ司馬っ!」
 戦闘は危なくない程度にね!
 鷲祐。三高平最速の速度を活かしてモノマの眼前へ。
 その早さはモノマも知っていたものの、いざ近寄られると驚いた様に身体を揺らす。
 鷲祐から速度の流れるままに拳が放たれ、モノマへと!
「はん! そんなもの!」
 モノマがすかさず態勢を横にずらして片頬を掠る。すぐその後に、モノマの拳が鷲祐の胴へ。
「フッ、やるな」
 咄嗟に獣人の鷲祐の尻尾が動かそうとしたが、それは無粋と止め、長い足でモノマの片腹を叩く。
 怯まず鷲祐の攻撃は続く。モノマもすぐに拳を前へと突き出す――。

 しばらくして。
「ふう、いい運動だった」
 ある程度剣と拳を交えた後で鷲祐が止まる。
「やるねぇ。ガチで戦りたくなっちまう所だったぜ」
 モノマは服についた砂埃を払い、背伸び。良い運動になったか、顔は晴れ晴れとしていた。
「あ、おかえりなさい先輩! タオルどうぞっ。ご飯もできてますよ~」
「ただいま。丁度、腹減ってたんだ」
 壱也は焼きたての肉や野菜を丁寧に皿に盛り付け、手渡す。
 女の子二人が一生懸命作った料理だ。美味しくない訳が無いよ!
「遊んでる間に彼女に飯作って貰うとか浪漫だよなぁ、こりゃ、贅沢しすぎたかもな」
「ぜ、贅沢だなんて……! ふふ、いっぱい食べてくださいね!」
 タオルで汗を拭き、その後受け取った料理を口に運ぶ。隠し味は愛情と見た。

「はいっ、鷲祐。良い感じに焼けたよぅ!」
 同じくアナスタシアも綺麗に盛り付けた料理を鷲祐へ。
 それを鷲祐が受け取った瞬間、驚くべきスピードで口の中へ運んで、すぐにおかわり。
 ブラックホールな胃袋をアナスタシアは理解しているようで、大量に用意してある肉や野菜を焼きつつ、鷲祐へ料理を盛ってそれを渡す。
 そしてすぐに空になる。
 その姿をアナスタシアは満面の笑みで見ていた。お腹も心も満足で、いっぱい。
 因みに、三高平公園内にもいくつかコーポがある。司馬鷲祐のコーポ兼自宅もこの公園の中にあるのだ。

●燃えやすい人達
「……たまにはこんなのもいいよな」
 ランディがそんな事を呟きつつ、隣のニニギアを見る、そこに。
「素敵! ランディ! 美味しいものが食べたいの!」
 ニニギアは目を輝かせてランディを見た。
「肉くわせろ!」
 俊介平常運転。煽り騒ぐ。
 皆のお腹は空っぽ。このBBQのためにすかして来たと言っても過言では無い。
「俺が作るのかよ!」
 そして、ランディの作る料理への信頼は厚い。
 包丁を握り、てきぱきと動き始めたランディ。その横でニニギアがつまみぐいと、ひょいぱく。
「私も……手伝うよ。ランディ」
 気の効いた羽音がランディの横に立ち、包丁を持つ。
「皆で料理して食べるのって楽しい……よね」
 そう言いつつも放し飼いの彼をちら見しつつ、包丁をシュッシュ。

「ふ、ふははは……っ! 良いぞ……ドンドン燃えろ」
 この人に火の管理を任せてもいいのだろうか!
 火車が固形燃料に火を点けて、それを眺めて軽く危ない発言をしていた。燃える火は、明らか火力「強」。
「火車きゅん! 火の加減はしっかガッフゥ!」
「うるせえ! 黙って見てろ!」
 夏栖斗、指摘虚しく火車の腹パンをもらう。
 流石覇界闘士。夏栖斗の腹部から嫌な音がした。

「牧野おおおん! かわいいよおおおおお!」
 腐女子ってとこを除けば!竜一が歩いていた杏里を呼び止めた。
 すこぶるテンションの高さに驚いた杏里だったが、すぐに竜一の下へ。
「一緒に食べようぜえ!」
 断る理由なんてある訳無い。
「可愛いね、良かったら俺とあっちの暗いとこでイイことしなギャゥ!」
 近づいた杏里に、すかさず俊介がちょっかいを出す。だがそこへ羽音のラディカルエンジン。
「俊介、杏里に手出したら……わかるね?」
「すいませんでした」

 夏栖斗が服をたくし上げて、自慢の腹筋を晒した。
「やさしくしてね!」
「え? えと……?」
 思いがけない夏栖斗の行動に、杏里が顔を赤らめて、顔を背けつつちらちら。
「杏里さん、あそこにパンチしていいのよ」
 さり気無く朱子が杏里へ耳打ち。朱子は杏里へ腹パンの快感を覚えてもらうのも一つの目的。
 朱子は夏栖斗の後ろへまわり、彼をそのまま羽交い締め。さあ、スタンバイオッケー!
「では……失礼して!」
 ――ぽすん。
 フォーチュナも三百年生きると隕石を落とせるらしいが、杏里のその一撃はそれに匹敵する訳も無く。
 むしろ、恥ずかしさで杏里はもだもだしていた。 

 しばらくしてランディと羽音の手製の料理が出来上がる。
 それをニニギアは一番に美味しそうに食べていく。つまみぐいもしていたが、それとこれは完全に別腹。
「美味しいか? そうか」
 その姿を見てランディもつい微笑んだ。
「はい、ランディ、あーんして」
 ニニギアが差し出したものをランディは反射的にぱくり。
 回りが驚いた様な顔をしつつ、和みモード! それを瞬時にランディが勘づき。
(生暖かい視線を向けた奴は殺す!)
 キッと眼が狩る者の眼をした瞬間に、周辺の空気が凍る。
 だが、そんなのも意図せず立ち向かう若者も一人。
「ニニさーん! 撲にもあーんしアッフゥ!」
 ランディの強烈な腹パンは、夏栖斗の腹を直撃。そろそろ夏栖斗の内蔵が心配だ。

 物陰でロッテが肉を狙っていた。三毛猫を従え、いざ! 掛け声と共に猫は走り出す。
 肉を焼いていたランディの足元へ猫は行き……目標確認!
 突然猫が来たランディは勿論驚いた。そして猫はお皿を持っておねだりのポーズ。
 猫にそんな食べ物あげていいのか、猫の不自然な行動はまあ別として! ニニギアが猫のお皿に野菜や肉のついた串を乗せる。
 すると猫は主人の下へと帰っていった。
(これでわたしは、自分の手を煩わせること無く美味しいバーベキューを堪能なのですぅ!)
 めしがうまい!
 ふとロッテは杏里の存在に気付き、すぐ物陰から飛び出す。
「杏里様のとこついたぁ! あしょんで~!」
「勿論ですよ! おや、そのお肉は……」
「美味しいバーベキューありますよぉ! えへん!」
 その肉がすぐ近くで焼かれているものと似ていたのは、あえて突っ込まない杏里であった。

 此方は野菜だけ綺麗に残して、肉だけを食べる竜一。
「ユーヌたん、はい、あーん! うーふーふー」
「む?」
 そんな中でも竜一は隣のユーヌへ肉を一口運ぶ。
 このグループはカップルが多く……いや、ほとんどカップル。その雰囲気に当てられたユーヌ自身も砂糖に浸る。
「やれやれ。まあこういう雰囲気も嫌いでは無いが。ほら、竜一もあーん」
 ユーヌが呟きながらも竜一へお返し。
「まきのんも、はい、あーん! うーへーへー」
 彼女の目の前でそれはセーフなのか竜一。
 反射的に杏里はそれをパクリ。少し不安気にユーヌを見たが、ユーヌは至ってマイペース。
「可愛い! でもユーヌたんが一番だけど! あ、俺杏里たんとユーヌたんに踏まれたい!」
 すると竜一は地面へ勢いよくスライディング。
 本当の目的は踏まれる事ではない。杏里のセーラー服の中の神秘をローアングルから覗いて……!
「うるせえ! 食事の時ぐらい静かにしてろ!!」
「ギァア!」
 そんな竜一にランディの腹パンが飛んだことは言うまでもなく。

「お肉、うまー♪」
「うんうん、美味いな!」
 それを横目に俊介と羽音は二人の世界。
 美味しそうに食べる俊介の横で、羽音はお肉だけを頂く。
(う……野菜は苦手)
 どうしてデュランダルさんは肉に飢えてるの!
 羽音は自分のお皿の上の野菜を、彼のお皿へとさり気無く移動させていく。
「はい、羽音! あーん!」
「……えっ」
 それに気付いたか気づいて無いか。俊介が差し出したのは野菜だった。
 食べるよね?

「ほれ朱子。たんと食っとけ? いざって時に力でねーからな?」
「……うん。ありがとう」
 此方も平和。
 火車が朱子のお皿へお肉や野菜を綺麗に乗せた。
 どことなくぎこちないが、初々しい愛の形。
 それに朱子は頬を少しピンク色に染め、火車の言われた通りに素直に食べる。
「火車くんも、食べてね」
「お、おう、」
 それを返すように朱子も肉を盛り付けて火車へ渡す。それを美味しそうに火車は食べた。
 でも平和って長く続くものでも無く。
「ん? 火力が強すぎるな」
 火を見ている火車が火の中から燃えている炭を一つ、トングで持つ。
「夏栖斗、俊介。寒そうだなぁ? 寒い時はコレで暖まるぜぇ……」
 杏里にちょっかいを出して遊んでいた二人に燃えている炭を投げつけて遊ぶ火車。
「ははは、よく燃えるわ」←^□^
「火車きゅううううん!!!」
「くわっしゃぁぁあああ!」
 朱子がそれを見ながら、充実しているなぁと感じていた。


「あっちは何馬鹿やってんだ?」
 呆れ顔の創太、その一部始終を見ていた。
 創太は皿におかれた肉や野菜をすぐに口の中へと運んでいった。
「あ、まだ焼いてるんだから先に食べちゃ駄目だよ~!?」
 これから焼いていくものや、焼いてたものを皿に置いていたエアウだが、それが……無い。
「あ!? 皿に置いてるなら食べろって言ってるようなもんだろ?」
「もう~ほとんど食べちゃってどうするの!? 創太くんの馬鹿ぁ~」
 というのも持ってきた野菜や肉を、ほとんど創太が入れ食い状態で食べてしまっていた。
 これでは自分の食べる分も無く、それに話ながらゆっくり食べたかった!
 エアウの目には涙が浮かび、今にも泣きそう。
 それには創太も驚いた。頭の血がさーっと引き、これでは行動しない訳にはいかない。
「わかった、わかったからちょっと待ってろ!?」
 立ち上がった創太が何処からか食料分けてもらえないか歩き出す。
 それを見たエアウも一緒に歩き出す。
 二人ともしばらくリベリスタとして動いていなかったが、そろそろ皆と一緒に歩き出す決意をしていた。
「ま、少しづつ頑張るとすっかね。な?」
「うん、少しずつだけど頑張ろう。これからもよろしくね」

●テントにて
「暖かそうだから行かないか?」
「是非ご一緒させて下さい!」
 ジースが外を歩いていた杏里を呼ぶ。
 公園の一角で、大きめのパイプテントが組み立てられていた。その中で数人のリベリスタが持参した料理等を楽しんでいた。
「カルナと豚汁作ってきたんだ!」
「ま、まあ……私は具材を切ったりしかしていませんが」
 それでも立派な共同作業だ! 大きな鍋に入った豚汁を温め始める悠里とカルナ。
「こちらも作ってきたので、温めるだけですね」
 エイミーも味噌おでんを持参してきた。中身は大根から牛すじまで!
 おでんを温めつつ、エイミーは横目にアウラールを見る。彼も楽しそうな顔をしていたのがエイミーにはこれ以上無く幸せで、嬉しくて、来て良かったと心から思えた。
「儂も料理は少しできるのじゃ。パンをこれから焼くから楽しみにしておれ」
 咲夜は作ってきた生地を枝に絡めて焼き始めた。

「杏里のお陰で楽しんでるよ、食べて暖まっていくといい」
 杏里を見つけたアラウが話しかける。それを杏里は少し照れながらお礼を言った。
「寒いからわかる暖かさもあるよな。皆にとっても今日はそんな暖かさを感じる一日だろう。ありがとうな、杏里」
「私こそ楽しませて頂いています。お礼を言うのは私もですねっ!」
 アウラールは料理を皿に盛りつけ、それを杏里に渡す。
 思い出の残る一日になればと始めたバーベキューだったが、そうなっている様で杏里はそれだけで満足だ。
 その頃に悠里の頭上に豆電球が光る。何か思いついた!
 カルナは咄嗟にそれを認識。
 呆れたように息を吐き、何があっても回復はしないと心に誓う。
「はい、ラウ。あーん!」
 悠里は皿の中の大根を一つ、箸でつまんでアウラールの口へと。
「……何の真似だ? 悠里」
「ぎゃあああ!」
 アウラールがキッと悠里に視線を向けて殺気を放つ。
 が、それよりも早くエイミーの1$シュートが額を射抜いていた(CT200%HIT)。
 エイミーがアウラールにあーんをしてあげようと思っていた最中だった。その間の悠里の行動はエイミーのリミッターを全て外した様だ。
「うう、助けてカルナ……杏里ちゃん」
 悠里、回復と癒やしを求める。
「ふふ、このパン美味しいですね咲夜さん」
「そう言ってくれるとは嬉しいのじゃ! あ、火傷には気をつけるのじゃぞ。豚汁もなかなかの一品なのじゃ!」
 カルナ、全力スルー。むしろ咲夜とうちとけ、平和なひとコマができあがっていた。
 その頃杏里はジースと話をしていた。

 気を取り直して、エイミーはアウラールのためにおでんをつつく。
 アウラールは知る。エイミーの料理はこの上なく美味しい事。そして親友がこの上なくドMである事を。踏んであげて!
 その後、悠里は復活し、カルナにあーんと豚汁をつつく。
 だが、カルナはそれに応じる訳ではなく、にっこり笑って見せるだけで食べない。
「アウラールさんにしようとした後で私にというのはどうなのでしょう……」
 何より恥ずかしさもある。
 それにギクリと身体を揺らした悠里。恐る恐るカルナの顔を覗き込み。
「カルナさん、ひょっとして怒ってます?」
 それもあるけどちょっと違う? 乙女心はデリケートで難しい。
「ふむ」
 咲夜はそれを見てふと。
(にしても此処はカップルとやらが多いのう)

 他愛のない話をしていたジースと杏里。だがネタも尽きたか、静かになる。
(うおー、今だ、今しか無いだろ! コンチクショウ!)
「あ、杏里! ……これ。貰ってくれないか?」
「!? いいんですか?」
 紙袋から取り出されたのはApricot Parfait。
 少し頬を赤らめたジースは頬を掻きつつ、それを杏里に手渡した。
「もうすぐバレンタインだしな、ちょっと早いけど杏里にプレゼントだ」
「わ、わぁっ、凄い! ありがとうございます!」
 リベリスタからプレゼントなんて、どんなに嬉しい事か。
 杏里は満面の笑みで喜んだ。その顔を見て、ジースも一緒に笑った。

 しばらくして、カルナは悠里と咲夜を連れてテントを後に。
 杏里もジースを連れ出してテントを後にした。
 残されたアウラールとエイミー。
 二人で食べ物を口に運びつつ、一緒に話をする。それはつかの間だったが、それでも楽しい時間。
(ふふ、皆で過ごす時間はなんでこんなに楽しいのでしょう)
 いつも依頼で戦火にさらされるリベリスタ。だが
 ――明日の為に今日がある。今はゆっくり過ごしましょ。

●コーポの皆とまきのんと
「おいでおいで~!」
 公園にツァインの声が響いた。すぐに気付いた杏里は、はーい!と応えつつ近づく。
「ハイコレ! いっぱい食べて大きくなるんだぞ~、コレも、ハイ次っ!」
「えっ!」
 最初の一つが手渡された瞬間、ツァインはどんどん杏里の手の中に焼けた肉を渡す。
「アハハ、冗談冗談! まぁ、冗談じゃなくそのペースで食べてるのが隣にいるけどなっ!」
 ツァインは苦笑混じりに、後ろを指差す。すると
「どんどん来い!! 足らんぞ、どんどんだ!」
 もはや入れ食い状態のイセリア!
 それに杏里は驚き、リベリスタなら有り得る!とまた違った知識をひとつ習得した。
「どっちが沢山食えるか、勝負だイセリア! いくぜエルヴィンッ!」
 そう言いつつ、ツァインは杏里の手の中の盛られた肉を食べていく。
「大食いか! やってやろーじゃねぇか!」
 そこにエルヴィンも参戦。勝てる気は全くしないが、やれるとこまでやる!
「食い過ぎんなよー」
 と翔太が横から言ってみたものの、これは言っても無駄だなと顔を振った。
「……皆とのこういう時間も、嫌いではない」
 それに苦笑しつつ、優希はゆっくりと肉を口に運んでいく。だが。
「肉! 足りないぞ肉!!」
「フ、やるな。だが俺の敵ではないな!」
 イセリアの食べっぷりについ、強がった優希も大食いに挑戦。小食者よ、大義だ。
「やっぱ盛り上がらないとな、こういう時は」
 祥子以外の皆が大食い勝負を始めたのを見て翔太は苦笑。
 そのうちに優希が持参した激辛スパイスを肉にかけ食べ始め、それでこそ優希だと感心した。

 横で祥子が肉を丁寧に焼いているものの、そのペースと食べられていくペースが不合致。
「焼き手が足りない? まきのん手伝ってー!」
「はいっ!」
 杏里も焼くのを手伝い、大食い競争を助ける。
「祥子さんは大食いやらないのですか?」
「あたしはもうお腹いっぱいだから、参加はしないわよ」
 杏里が祥子の顔を覗き込み聞いてみた。祥子は回復役であり肉焼く役。このメンバーでは欠かせない存在であった。
 故郷の味付き肉をじーっと見つつ、やはりお腹は減る。
「久々に食べたくなったわ」

 長く続いた大食い対決だが、一番早く優希がリタイアし、それに続いてどんどん脱落者が出ていった。
「さすが『剣姫』、俺の剣の腕もまだまだという事か……で、これなんの勝負だっけ」
 そして最後まで粘ったツァインが倒れ、勝者はイセリアとなった。
「ちょ、なんで野菜ねーの……?」
「野菜なんぞ観賞用だ!」
 イセリア節が凄い! 野菜ならまだ腹に入る気がしたエルヴィン。
「こーゆー機会を作ってくれてサンキュな。思いっきり楽しませてもらってるぜ」
「はい! こちらこそ混ぜていただいてありがとうございました!」
 エルヴィンは膨れた腹を撫でつつ、杏里と他愛もない話をした。
「開けた場での料理は格別だな。また遊びに来よう」
「ええ、楽しいわ。また誘ってね?」
 優希もやっとこさ起き上がり、祥子に話かける。
「翔太と知り合って、もう半年だな。依頼での縁が、ここまで続くことになるとは思わなかった。
 コーポで絡んだり、同じ依頼に挑戦したり、こうして遊びに出たり」
「仲良くなれるっと思って声をかけて良かったと俺は本気で思ってるぜ。
 もちろん、これからも色々とやっていこうぜ! 遊びに行ったり、依頼に挑戦したり……沢山のことをさ!」
 優希は翔太との仲は硬く結ばれているようだ。男の友情的なものを見れた杏里は満足そうに笑った。
 すると
「肉はまだか!!」
「「「まだ食うのかよ!!」」」
 イセリアに全員でツッコミ。皆仲良いなぁと杏里はその場を後にした。

●波瀾の後のBBQ
「はいどうぞー。焼き網と炭はこちらにありますので押さずに並んで下さいねー」
 ユーキは公園の入口で杏里の手伝い兼、会場設営等裏方の仕事をしてくれていた。
「いなくなる人間をゼロにする、というのは難しいですが。出来るだけ、長くやっていきたいですね。努力しなければ」
「そうですね、考えたくはありませんが、大変なお仕事ですね……」
 しみじみ。そうしている間に裏方作業は終わる。
「……王様が賑やかにやっていらっしゃる。ちょっとあっちに紛れて参りますね。それでは!」
「はい! いってらっしゃいませ!」

 ばっべっきゅ~ば~べっきゅ~♪
 そんなミーノの歌声が響く此処にも沢山の人が集まっていた。
「お嬢様、力仕事の方はわたくしにお任せを! ふんぬっ!」
 そう言いつつミルフィは調理道具や材料を担いで運ぶ。
「えっと、、下準備はこれでOK、かな♪ ありがとう、ミルフィ。重かったでしょう?」
「いえ! 勿体無きお言葉っ!」
 そうしている間に手際よくアリスは食材を串に刺し終える。
「私はあまり料理をした事が無いが、こうか?」
「ああっ、違いますよっ! それは切らないと!」
 マリーはピーマンを持ってきていた。それをそのまま串に刺し、ピーマンの串刺しが完成!。
 それではダメだと、すぐにアリスがマリーの横に立ち、教える。
「ふむ、料理とは難しいな」
「大丈夫ですよ、、♪ すぐにできますっ!」

 しばらくすると、馬に肉を積んで刃紅郎がやってきた。王なら白馬だが、彼には黒馬とシュールという言葉が似合う。
 だがその姿は王に似合わず、ボロボロの傷だらけ。
 彼曰く、山に入って熊や猪の大物を仕留め、捌いてきた所だと言う。
「ああ、誰かとりあえず回復してくれぬか?」
 すかさずクリスが王様へ天使の歌を送った。
(王様、またすごいことになってんなー)
 プレインフェザーが刃紅郎を見つつ、肉を焼く。刃紅郎の行動にはいつも驚かされてばかりである。
 するとイーゼリットが来る。
「王様ー、まーぜーてー」
 くすくすと妖しく笑いつつ、王様の隣へ。
「イーゼリットか。外で会うのも珍しい」
「そうだね……あ、けっこうはじめましての人も居そうね。イーゼリットよ。あらためてよろしく」
 イーゼリットは少し身体を前に倒して一礼する。
 彼女はあまり外を歩かないが、たまの休日に出歩くのも悪くないと来ていた。
「あら、いいにおい。玉ねぎ焼いて欲しいな。弱火でじっくりと……」
 イーゼリットは調理をしている場所へ行き、玉ねぎを手に持ち、言う。
 それをアリスは快く引き受けた。
「はい♪ わかりました! ちょっとまっててくださいね!」

 火に晒されている肉達は、どれも美味しそうな香りがしてきた。
「ほわ~いいにおいなの~これもおいしそうなの~」
 ミーノの空腹は最高潮。だが、目の前の肉達はまだ生焼けで食べられない。
 それに混じり、なんだか焦げ臭い様な気がしないでも無い。
「もう少しだ、頑張れ。おや、何故網が焦げている?」
 アルトリアがその横で料理の手伝いをしていた。
 誘われたので、何か手伝いができればと立ったものの……黒こげの網をトングで持ち、不服そうにそれを見つめる。
(むう、やはり大人しくできたものを頂くべきか)

 しばらくして料理も出来上がる。
 それぞれのコップに飲み物を注ぎつつ、さあ楽しもう!
「皆、お疲れさまでした。苦しい戦いが続いたけど、何とか勝ちを収めることができて本当に良かった」
 快が片手にビールを持ちつつ、乾杯の合図。
 それに合わせて、皆で一斉に乾杯!と飲み物を高く掲げた。
「あ~、ノンアルコールビールが美味しゅうございますわあ♪」
 ミルフィは腰に手をあてつつ、ビールを一気に飲み干す。おやじ臭く、素が出ていないか!
 ノンアルコールなのは、アリスの護衛を日夜欠かさない配慮なのだろう。
「バーベキューでもこれは忘れずにな。ウム、みんな揃って、いただきます!」
 その後すぐに、フツが礼儀に習って手を合わせる。食べ物には感謝の気持ちを忘れずに。
 \ンマイッ/
 バーベキューソースをたっぷり着けたお肉をミーノはハイペースで口に運んでいく。お供の飲み物はオレンジジュース!
 どれもこれも美味しい! そして皆も居て、楽しい。
「お。こっちのはもう焼けているな」
 クリスは火から焼けた肉の串を取り出す。
 それを綺麗にお皿に盛り、刃紅郎へと渡しに行こうとした。だがそれをフツがクリスの前に立って止める。
「なんでも今回、歪曲使って頑張ったみてーじゃねぇか! その分、食わなきゃな!」
 そっとクリスを座らせ、野菜等バランス良く盛られた皿がクリスの目の前に。
 今日だけはその好意に甘えても良いかもしれない。
「杏里さんもこちらでご一緒に如何ですか? スペアリブ、ホイル焼きも焼けてますよ、パエリアももうすぐできますから♪」
「わぁ、凄いレパートリーですね! 是非ご一緒させて下さい!」
 アリスが丁度近くに寄った杏里を捕まえ、料理の数々を疲労した。
「杏里はあまり我等と触れ合う機会が無いのだな。よかろう、特別に我が馬に乗せてやる」
「ふぇ?」
 すると刃紅郎が杏里の身体を軽々持ち上げ、馬に乗せる。自らも馬に跨り、巧みに鞭打ち、爆走!
 遠くの方で杏里のひゃー!という叫び声が聞こえた気がしなくもない。
 そんな一部始終を見ながらイーゼリットは静かに焼けた玉ねぎを口に運ぶ。
(ずっとこんな風に時が流れていけばいいなと思うの)
 最近嫌な事件や、大きな仕事が増えているからこそのつかの間の休息。そんな日が続けばいいのにとイーゼリットは思う。
「てゆーか!少し……いえ、ずいぶん肌寒いけど!」
 時期は冬真っただ中。そりゃ寒い!
 そんな中での突然のバーベキューだったが、それは杏里らしいとイーゼリットは苦笑した。

「肉と野菜はちゃんとバランスよく食べなくちゃね。どっかのフィクサードの台詞じゃないけどさ」
「ああ、すまんな。だが肉美味いぞ」
 マリーは肉ばかりを口に運んでいる。それを見かねた快が、野菜を綺麗に盛り付けた皿をマリーに渡した。
「ニッタ。ワインを大量に持ってきた。飲むが良い」
「ありがとう、助かるよ。俺もクーラーボックスに沢山飲み物いれてきたから良かったら」
 ゼルマは普段はこのようなレクリエーションには顔を出さないが、今日は大事の事件が終わった後ということもでもあり、顔を出していた。
 快のグラスにワインを注ぎつつ、他愛もない話が続く。
「杏里さん大丈夫かい?」
「だ、大丈夫です……っ」
 そこへ車酔いならぬ、馬酔いした杏里がふらふらとやってくる。刃紅郎の操る馬は、さぞ荒ぶっていたのだろう。
「良かったら、飲み物でも」
「あ、ありがとう、ございます……」
 新田酒造とかかれたクーラーボックスの中には、沢山のソフトドリンクからアルコール類が詰め込まれていた。
 その中のソフトドリンクを杏里は受け取った。
「はしゃぎおって。だが、まあ、研究ばかりではなく、こういうのもいいものじゃの」
 杏里の姿を見て、ゼルマは大きく息を吐いたが、すぐに苦笑する。
 そして後ろで座って黙々と食べる彼女にも労いの言葉をかけようと動く。
「他人に注ぐなんぞ滅多にしない行為じゃ。有難く思えよ」
「クリスさんもっと食べないと!」
「ああ、すまない、ありがとう」
 ゼルマと快はクリスの下へ。
 お疲れ様の意味を込め、ゼルマが持ってきたワインを空のグラスに注いでいくが、それストーップ!
「おっと、クリスは未成年だったな」

 刃紅郎もクリスの隣に座り、今までに無い程の笑顔でクリスの頭を撫でる。
「支払うには決して安い対価ではなかった。だが、お前の覚悟があったからこそ、皆が今、こうして笑いあう事が出来る」
 一つの奇跡の代償は生半可なものでは無い。
 それを乗り越え、運命の寵愛を受けた彼女は、頭の上の大きなぬくもりを感じて照れながら笑った。
 陳腐な恋愛感情では無い。けれど、それに相当する。もしかしたらそれ以上の信頼。
 ――クリス……お前は我の誇りだ。戦友よ、今は暫しその翼を休めよ。

(みんな強くてすげーけど、だからって怖い連中ってワケじゃねえんだな)
 プレインフェザーは三高平に来て間もないが、そんな名のある彼等の輪に入りながらしみじみ感じていた。
 賑やかな回りを見て、もっと緊張感のある所かと思いきや、そうでもない。
「それ欲しい!」
「ああ、もちろん」
 プレインフェザーが差し入れで持ってきたチョコレートを見て、ミーノの尻尾を耳が敏感に動く。
 それに苦笑しながら、チョコレートや、その他のお菓子も彼女にあげた。
「一緒に挟んで食うとうめえんだよな。食ってみ?」
(主催の降魔という男。中々やる、王というのも頷けよう)
 アルトリアは刃紅郎を見つめた。
 正義は物差しでは測れない。そして個々の正義はきっと不可侵なのだろう。それがリベリスタであれ、フィクサードであれ、そしてノーフェイスであれ。
(覇道か……正義を為すに際しあるほうが便利ではあるが。しかし、不要だな。私は地道に正義を貫く)
 考えながらも、アルトリアは肉を次々に口の中へ運んでいく。これでもフードファイター顔負けの大食いなのだ。
「……む? 肉がなくなったな。食べ過ぎたか?」
 やはり肉はハイペースで無くなっていくようだ。だがまだ刃紅郎が狩ってきた肉は余っている。
「大丈夫さ、まだあるよ」
 アルトリアの言葉に、すぐに快が動く。
「フヒヒ、ちょっと炭多過ぎたかね?」
「大丈夫じゃないかな。あ、でもちょっと抜くか……」
 快とフツで火の番をしている。これが、二人とも経験からか熱感知があるからなのか、絶妙な火加減で肉を焼く。
 こんな落ち着いた日があるからこそ、また明日も頑張れる。
 今はこの時を大切にしようとマリーは肉を飲み込んだ。

●食後のデザートは如何?
 此方はなんだか甘い香りのする場所。
 静と達哉がデザートを作っていた。やはり杏里も女の子。その香りには釣られて来てしまった。
「杏里さーん! 楽しんでるか?」
「はい、楽しんでますよ!」
 見かけた静が杏里に声をかける。達哉はミニケーキを黙々と延々に作っていた。それも色とりどりであり、見た目からも美味しいものだった。
 それからマカロンや、フルーツにクリームを添えたものを静は杏里に手渡した。
 杏里は感動しつつ、それを食べて天に昇りそうな気分。次に達哉のケーキを食べ、これもまたいくつでも食べれそうな美味しさで、杏里はにこにこ笑った。
「はうう、どれもこれも至高です!」
「まだ見ぬ至高……料理と音楽の神に君臨するために、と言った所か。牧野も自分のやりたいことが見つかったら全力で理想を追い求めろ」
「はい! わかりました!」
 それが達哉のアドバイス。杏里はしかと心に刻んだだろう。
 その後、杏里は静からマカロンの詰め合わせの紙袋を手渡された。
 いつも健気に頑張る杏里に、静からの少しの甘いプレゼント。
「これお土産だぜっ。今日は一日お疲れ様だぞぅ!」
「お菓子作り上手って素晴らしいです! ありがとうございます!」

 人を探すのにも一苦労だ。と思っていた新城だが、すぐに探していたの人物を発見。リベリスタに紛れる杏里だ。
「やあ、楽しそうだな。元気にしていただろうか」
「こんにちは、新城さん。杏里はいつでも元気ですよっ! よろしければケーキどうですか?」
 新城は手をあげながら杏里へと近づいた。すぐに気付いた彼女はいつもの笑顔で答える。
 それから今しがた獲得したミニケーキを新城に手渡した。
 ブリーフィングルームで顔を合わせたのが最後だっただろうか。本当にフォーチュナと接する機会が限られていると新城は感じていた。
 もらったケーキを食べながら、言葉を交わす。
「今回のバーベキューは大成功、かな。……また機会があれば、その時は宜しくな」
「はい! それはもう是非! また新城さんの道場にも行きますね!」
 新城が足を運んでくれた事を杏里は嬉しく思った。

 今度は付喪に首根っこを掴まれて杏里は捕獲され、付喪に言われるままに杏里は正座。
「あんた土足で踏まれてもニヤニヤできるくらい、リベリスタが好きらしいね?
 駄目だよ、そこは怒らないと。親しき中にも礼儀有りってやつだよ」
「はぅ……正直、怒られているのも凄く好きです」←重傷
 すかさず付喪がキッと目線を杏里に向け、杏里はなんでもないですと付け足す。
「まあ、物の例えなのは分かるんだけどね。もう少し自分の身を大事にだね……こら、何笑ってるんだい」
「リベリスタさん達にも身体を大事にと言いたい所ですが。
 誰一人聞こうとしないので、杏里も及ばずながら反逆です!! うがーっ!」←末期
 呆れた様に付喪は息を吐いたが、杏里は付喪の胴にぎゅっと抱き着いた。
 付喪は怒っているんだと杏里の額を叩いたが、杏里はえへへと笑うばかり。
 マリアに土産話ができた。

 寒い中で熱い肉その他を食べて交流。それがアークの流儀。たぶん!
 葬識がふと杏里を発見。
「ちょりーっす、寒い中でのバーベーキューなんて、俺様ちゃん初めて!」
 杏里はこんにちはと笑顔で応える。
「っていうかこういうの初めてなんだけどねー、牧野ちゃんも?」
「アークでやるのは初めてですかねーって、遊び自体も初めてですか?!」
 肉や野菜の串を両手にそえて葬識は陽気しゃべるが、杏里は思わずつっこむ。
 ふと。
「牧野ちゃんも食べる?」
 手渡された肉の串。杏里はすぐに受け取って横で一緒に食べ始めた。
「アークのリベリスタって陽気だよねぇ、リベリスタすきなんだっけ?
 俺様ちゃんは後腐れなく殺せるフィクサードのが好きだけどね(食べ物的な意味で)」
「はい! もちろんそんな葬識さんも杏里は好きですよ!」

 またふらふらと杏里は歩き始める。
「なんでリベリスタのファンなんだ?」
 ふと疾風に話しかけられた。疾風の横にちょこんと杏里は座り、その質問に答えた。
「杏里は一度、フィクサードに捕まっていまして、それを助けていただいたのです」
 つまりその日から無類のリベリスタ好きであり、ときめくキーワードは正義の味方。
「杏里はフォーチュナで戦闘能力は無いので、戦える皆さんは素晴らしいと思うのです」
「なるほどなぁ」
 疾風は火から一つ、肉と野菜の刺さった串を取り出す。
「たくさん食べて満腹だよ。またこういう機会があるといいな。後は片づけか」
「ふふ、そうですね」
 宴もそろそろ終わりを迎えるか。
 残りは少々面倒な後片付けが残っているものの、思い出になる一日になっただろう。

 また来年も、命が欠ける事無く揃う事を願って――。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼お疲れ様でした!お待たせしました!
なんだろう、ほとんどの方が杏里に構ってくれていた……だとう!
わー!ありがとうございました!
楽しくかかせて頂きました!そちらもありがとうございます!
それではまた違う依頼でお会いしましょう!