●始まりは雑談から 訓練室。リベリスタ同士で模擬戦を行なう部屋である。 『菊に杯』九条・徹(nBNE000200)は模擬戦を一戦終えて、お茶を飲みながら休憩していた。 徹の武器である黒い棒を見ながら、とあるリベリスタが問いかける。 「そういえば九条さん。その棍に書いてある俳句ってなんなんです?」 「ああ、昔書いた俳句を刻んだだけだ。 月なんてものは何かに酔っている間に遠くに行っちまう、って事さ」 ふーん。よくわからない顔をするリベリスタに徹は問いかける。 「そういえば、お前の破界器もカッコイイじゃねぇか。どういう謂れがあるんだ?」 「良くぞ聞いてくれました。この武器は……」 ●気がつけば 始まりはまぁ、そんな感じだった。 気がつけば訓練室に多くのリベリスタが集まり、自分の武器のことを語り始める。 思えば破界器は自らの相棒。その思いは尽きないものだ。 長くなりそうな自慢話にお茶を用意するものもいる。 「皆いろいろな思いがあるんだねぇ」 不意に始まったトークに、九条は嬉しそうに腰を下ろした。 不意に始まった破界器の自慢話。あなたの相棒はどのようなものですか? |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年02月11日(土)23:37 |
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●過去1 愛する女の体に値段がついた。 善良なリベリスタ稼業ではとても支払えぬ額。 だから男は悪路(フィクサード)となった。 一本の棍を武器に、男は極道の世界を進む。 ●談話 「まずは行きつけに。素面では語れぬこともあろう」 ウラジミールが持っていたボトルから琥珀色の液体をコップに注ぐ。離れていても届くアルコールの臭い。徹はそれを受け取ると、一気に飲み干した。 「いい酒だねぇ」 「他のものもどうかね?」 ウラジミールにすすめられるままに、酒を飲むものもちらほら。 訓練室の机の上にはお酒のほかにも凪沙の持ってきた複数のお茶も運ばれ、和やかな空気が生まれる。 「今日の主役はアーティファクト。これは添え物だよ」 羊羹やスコーンを用意しながら、凪沙は言う。口にすると爽やかな気分になるものを用意しながら、皆の話し合いを見ていた。 そう。この場はアーティファクトを語る場所。自らのみを守り、あるいは敵を穿つ為の相棒。それを語る熱い場所になっていた。 ●MY ARMS 「私のアーティファクトはこのタクト。父の形見であり、ハリーハウゼン家に代々伝わるものだ」 オペラ歌手独特の渋い声でセッツァーがシルバータクトを取り出す。彼のの愛用する、銀の指揮棒。代々家に伝わるもので今はなき父より譲り受けた物だ。セッツァーはこのタクトを振るい、魂の限り歌う。 「代々私の家は声楽家であった。私もその道へ進むことは当然と思っていた」 しかし、何の因果かあるいは自らの正義の為か。彼の道はリベリスタという方向に向かっている。しかしそれを後悔するセッツァーではない。これからも戦場でタクトを振るうのだろう。 「わたくしの破界器で語るべき物といえば……想綴(アナタノマンネンヒツ)かしら、やはり」 万年筆を手にティアリアが語りだす。帰らぬ旦那を待ち続ける悲しい女性の持っていた遺品。その女性の気持ちはティアリアにも共感できた。この万年筆を受け取ったあの日、ティアリアは手紙を書いたという。 「あんな気持ちになったのは久しぶりだったわ」 ――あのとき、この万年筆を壊す選択肢もあった。むしろ破壊することがリベリスタとして好ましい状況だった。それをしなかったのはティアリアの心。その結果、この万年筆は彼女の手の中にある。 だからこそ、今ティアリアはこんなに優しい笑顔を浮かべることができるのだ。 「私の破界器ですか? この詩篇……【ありえない魔獣の詩】でしょうか」 アリスは持っていた詩篇を開く。名の無い英雄が、【ありえない魔獣】と呼ばれる怪物を倒す戦い等が記述されている詩篇だが……。 「でも、私もこれの事は、正直よく分からないんですよね。私達のお店に仕入れた絵本の中に紛れ込んでたものですし」 とのこと。この内容が創作なのか本当にあったことなのか、それすらも不明である。 しかしその本からは確実にまがまがしい魔力が感じられており、魔道書として強い力を持っていることには変わりない。 「でも、未熟な私を助けてくれる大切なものです」 「いいえ。アリスお嬢様はわたくしが守ります。そんな危ない魔道書等に頼らないで私を頼ってください」 と、横槍を入れたのはミルフィ。その両手には二振りの刀。 「わたくしの破界器は、この二振りの刀。牙兎と杵鈷羅ですわ。これらは、対エリューション用にわたくしのお仕えするお嬢様の御実家であるヴィクトリカ家で作られ、鍛えられた業物ですわ」 ミルフィが二本の刀を振るい、演舞を始める。牙兎は多様な剣技に対応した作りで取り回し易く、その銘の通り鋭い牙の如き斬撃は敵を確実に仕留める。また杵鈷羅は防御用の小太刀である。攻防共にこの二本の刀で行い、自らの主を守るのだ。 「伝説の武具、という訳でもありませんが生死を共にする愛刀といえますわ」 「んー。アンタレスを貰ったのは去年の今頃だったかなー」 大きな斧槍を手に、岬が指を顎に当てながら思い出す。中央に巨大な眼があり四方に炎のように揺らめく刃を伸ばした信じられないほど見た目の邪悪な黒いハルバード。その名はアンタレス。サソリの心臓、大火の名を冠するそのハルバードは、元は岬のものではなかったという。 「学校の帰りにさ、道に人が倒れてるのに皆素通りだったんだー。黒尽くめで血塗れって物凄く目立つ風体だったのにねー」 何その怪しい人。眉を顰めるリベリスタたち。そんなことにお構いなしに岬の説明は続く。 「取り敢えず助け起こしてみたけど、言葉通じないー。でも丘を指さしてるんで背負っていったんだ― その人はじっと西の方を見つめてた後、何処からともなくアンタレスを取り出してボクに渡してねー」 そのまま別れの言葉を告げると、黒い炎に包まれて肺も残らずに消えてしまったという。 それ呪われてるだろ!? 突っ込むリベリスタたちを何処吹く風とばかりに受け流し、ハルバードの赤い宝玉をなぞる。 「なんでボクもアンタレスについては何も知らないんだー。ただ、フェイトを削るような激しい戦いとかだと『目が動く」ことがあるんで普段は寝てんじゃないかなー?」 ずっと寝かしときなさい。それ。 「この霊刀『東雲』は私が日本に来てから入手したものだ」 クリスは霊刀を手に語りだす。名前の由来は『夜を切り裂き、夜明けをもたらした』ということからつけられたらしい。 「この刀には夜の力を操るE・フォースが封印されている。 私が東雲を持つときには『持ち手に相応しいか試練を行う』……なんて言って勝負を仕掛けられたものだ」 エリューション、の言葉にざわめくリベリスタ。安心しろ、という言葉を添えてからクリスは話を続ける。 「こちらの力量を示して認めさせれば奴は力を貸してくれる。戦場ではずいぶん助けられた。これからもこの相棒とは上手く付き合って行きたいな」 夜を操るものと、影を操るもの。相性がいいのかもしれない。 「えーっと、ナナの破界器は2本のSerpentだね。ショーテルとかショテルって呼ばれてる変な形した剣なの」 菜々那がもつ二対の剣は、確かに変な形をしていた。刀身が大きくSの字を描く剣は重心が普通の剣に比べてずれており、また鞘に収めることが難しいので運搬は抜き身でなければ有事には役に立たない。後者は幻想纏いに戻すことで解決できるので、リベリスタには問題にならないのだが。 「大きくて先っぽがYの形してるのがheadで、よく斬れるの。小さめで矢印みたいになってるのがtailで、投げたりできるの」 しかしこの形状は相手の盾を横から殴れるという利点もあり、使い慣れた人が扱えば重厚な防具に身を包んだ者すら打ち倒せる。 「え? 使い易いかって? ナナもよくわかんないけど使ってて面白いから使ってるの」 ……まぁ、面白いで扱えているのだから相性はいいのだろう。かぎ爪のような武器を振り回す菜々那を見ながら、リベリスタたちはそう結論付けた。 「わたくしはこの槍『Convictio』について語ろうかと」 ノエルが持ち出したのは白銀の槍。信念の名を冠した騎士槍。 「この槍には、使い手がその意志を貫き通す限りは、それに応え何物をも貫き得る力がある……と伝え聞きます。不確かなのは、実際に確かめたわけではないからですね」 何人かのリベリスタが物珍しさに槍を調べるが……。 「……普通のランス? 破界器には違いないけど……」 「はい。この槍が真正であるかどうかはわかりません。この槍は、わたくし自身の在り方なのです。 自身の想いに対し常に正直に、折れる事なく、公正であれと。それを体現するものであると思っていますから、今更真贋がどうのなど無粋な話です」 槍の力が重要なのではなく、槍の持つ意味が重要なのだ。その気高く折れぬ強さこそが、真に伝説を作っていくのだろう。 「代わりが効かない、傷つけたくないなら持ち出さない。モノでも、ヒトでも。そんな主義だ」 天斗はいって愛用の苦無を取り出す。手入れされているのかその鋭さは歴戦の果てでも鋭さを保っている。 「苦無は支給品そのまんま使いにくいんでイジってるけど。 炙って、叩いて、冷やして、研いで。仕事で投げすぎた時は、一日中。炙って! 叩いて! 冷やして! 研いで!」 説明の後に、天斗は自問する。どちらかというと鍛冶屋だな、俺は。 「わたしはこの術手袋について語りましょう。材質は聖別された絹です」 螢衣は日本の神の名を持つ手袋を取り出した。 「刺繍も同様に染めた絹糸で縫い込んでいます。刺繍は魔術的な記号を多く含んでいます。製造過程で必要な儀式も挟んでいます」 この製造法はとある墳墓から出土した術手袋を10年以上かけて研究し得られた技術を利用している。螢衣も父と共にこの研究に関わっており、リベリスタとして依頼をこなす毎にそのデータをフィードバックしている。まさに、螢衣と共に成長しているのだ。 ●過去2 男はどんな仕事でもした。暴力、盗み、必要なら殺人さえも。 お金の為に何でもした。すこしずつ溜まっていくお金。 そして少しずつ闇に染まっていく男。悪に、落ちていく。 それでも心に貴女がいれば戻れると、強く信じていた。 ●MY ARMS 「じゃあ、オレも語らせてもらうか。この剣、『デュランダル』について」 風斗は赤いラインの走る白銀のバスタードソードを持ち出した。風斗がナイトメアダウンで九死に一生を得たとき、彼を護るように突き刺さってたのだ。 「それで縁を感じてこいつを使いこなせるようにと思って、ガキの頃から剣の鍛錬に打ち込んできたわけだ」 その修練の結果、彼はオーラを操る術を得る。そしてそのオーラこそ、この剣の特徴でもあった。 「こいつの特徴はオレのオーラに反応して活性化するってとこか。使い始めた頃は赤い部分がちょっと光る程度だったんだが、オレのオーラが強くなってきた最近だと、刀身全部を押しのけるんじゃないかってくらい光ってるな」 当時を回顧しているのか、しみじみと語る風斗。 「名前はオレが付けた。オレの心と共に決して折れないように、と願ってな」 「ふむ……え? ……あ、えっ?」 風斗の話を聞いていたうさぎは、呼ばれて我に帰ったかのように驚きの声を上げる。 「あ、私の番ですか!? いえ、ちょっとボーっとしてました。 私の武器はこの『11人の鬼』です。面白い形してるでしょ?」 半円のヘッドレスタンブリンの様な形状をした刃武器を手に、うさぎは説明を開始する。 第一印象は『持ちにくそう』だろうか。角度がずれている11枚の刃は、切り裂いた傷口を広げるような設計になっている。 「変わり者の刀鍛治さんが趣味で作った一品物で刃一枚毎、余った1枚を合わせて12の感情を現してるそうです。曰く『情の行き過ぎた人間は鬼に成り果てるゆえに』……1人2人と数え、『其々が違う感情ゆえに』並びも不揃いなのだ、と」 その意図は芸術作品のようでもあり、そして祭具のようでもある。その形状ゆえに、扱うには苦労したがその分愛着もあるようだ。 「これも新入りであるので、このような機会はありがたい。諸氏の話を聴くばかりなのも悪いのでこれも語りたく思う」 惟が幻想纏いから取り出したのは黒銀の片手剣だ。 「冥界の女王、ペルセフォネだ。ダークナイトの魔剣としては一般的だな」 その剣の名は死と再生を連想させる者だ。産みの親より受け継がれ、育ての親に名づけられた剣。そしてそれを収めるための鞘が一つ。 「剣には鞘が必要だった、物理的にも魔力的にもだ。そこで作られたのがフォレース、ラテン語で門を意味する鞘だ」 観音開きに展開する鞘。抜剣後の鞘は盾としても使用できるという。内向きに剣の魔力を抑制し、外向きに盾として機能するとか。 「自分自身の事は、ほとんど思い出せないのに、このナイフと本来の持ち主の事だけは、少しだけど思い出せたのよね」 自分に関する記憶のない翠華は投擲用ナイフを回転させながら頭の中で喋る内容をまとめる。お茶を飲み、嚥下する。湿った喉から、思ったよりもスムーズに声がでた。 「名前の由来は、詳しくは聞いてないけど……強くなりたいって、意思が込められてるのよ」 神風招来。その銘をリベリスタたちに見せる。記憶を失う前から持っていたナイフ。そして自らの革醒の原因であるナイフ使いの女性のこと。 「私自身も、それなりには使えるけど……あの人は、もっと凄い技が使えたのよ」 気がつけば話はナイフ使いの女性のことになっていた。その言葉からその女性への敬意を感じる。いつか追いつく背中として。恩を返す為。様々な感情が込められていた。 「……また、会えたら良いんだけどね?」 この道の先に、彼女はいるのだろうか? わからない。だけど歩いていこう。このナイフと共に。 ●談話 お酒が入ったせいか、場は盛り上がる。徹の周りにも幾人か人が集まっていた。 「『所有者』という程には、長く使ってはいないのだよね。今の得物は」 「ああ、ジャックのときの戦いで得た得物か」 りりすはジャックナイフと銘無き刀を取り出す。共に三ッ池公園での戦いの時に手に入れたものだ。人づてに聞いていた徹は興味深そうに観察する。 「元の所有者にしても、この二刀にしても、騙る事はできても、語ることは、僕にゃできそうもないしねぇ。かわりに僕にとって、破界器は何かってのを騙るとさ」 二刀を幻想纏いにしまって、りりすは口を開いた。そこには鮫のビーストハーフの特徴であるサメの歯が並ぶ。 「0にいくら1を足した所で、0の価値は0のままさ。そしてモノの価値ってのは、大抵の場合において時間とともにに劣化する。例外なんてものは、何処にでもあるけどね」 『人』いうには足りないモノが多すぎて『獣』というには余計なモノが多すぎる『人間失格』は、咥えタバコを揺らしながら、言葉を付ける。 「そして語るとするならば、想い出かな。僕は大切な事ほどすぐに忘れてしまうから。形があれば残しておける。だから、僕は破界器を狩り続けるのさ」 「欠けた月にも価値はあるぜ。もっとも、見る人の心次第だけどな」 徹は静かに告げて、酒の入った猪口を傾けた。 「私は少々破界器が扱えるだけの一般人なので、仕事の上では破界器に頼り切ることになるからなるべく知っておきたいのよね」 エナーシアは皆の話を聞きながら、お茶を配っていた。時折見せられる実物に主観をかけて解析しそうになるのも愛嬌だろう。 「私自体は破界器で語ることと言ったら重工で対物ライフルを仕立てて貰ったくらいだわ」 「いや、それは相応に大したことだろう」 エナーシア自体は神秘の力を強く前面に出して攻撃しない。唯、銃を撃つ。自らを一般人と称するエナーシアは、語るべきことはあまりないとばかりにお茶の配膳に戻る。またお話を聞きながら、お茶を薦められないように立ち居地を変えていく。 「語りを聞く、猫舌を隠す、両方やらなければならないのが辛いところなのです」 覚悟はいいか? オレはできている。そんな声が聞こえたか聞こえなかったか。 「うーっす、九条! 元気?」 「おう、酒の回りも含めて絶好調だ」 トンファーを打ち鳴らしながら夏栖斗がやってくる。炎の紋様が入ったABSOLUTE FIREと呼ばれる格闘武器。 「こいつとの付き合いも結構ながいんだよな。なんだかんだで革醒してからずっと持ってるのがこいつだからな。 なんかさ、この傷一つ一つが今までの戦いの結果なんだとおもうと懐かしくなるね。どんだけ傷ついてもこいつはずっと僕の相棒だとは思うよ」 傷の一つ一つに触りながら、夏栖斗は語る。長くリベリスタとして闘ってきて、そしてこれからもこのトンファーと闘うのだろう。その未来を想い、徹は顔をほころばせた。 「この傷、砂蛇のときにできたやつだな。 あんときほんとサンキュな。九条がきてくれなかったらどうなってたことか」 「あの時は目的がほぼ一致していたしな。むしろ俺を釈放する流れに持っていったのはお前たちだ。そういう意味ではこっちも感謝するぜ」 「はは。ギリギリだったからな、あの時は」 辛い戦いを笑って語り合えるのは、時がすぎたせいかそれとも成長したせいか。 「ふむ、破界器でござるかー。それだったらこれでござるな!」 「お、鬼蔭の」 虎鐵が微笑みながらやってくる。徹は虎鐵の戦いを直で見ている。乱戦の中ではあったがあの気迫は背中を預けてもいいと思えるほどの刀捌きだった。徹の視線は自然と腰の得物に―― 「アークが開発したアーク印強襲型ジャージでござる!」 胸をバン、とたたいてドヤ顔する虎鐵に、露骨に「え、そっち!?」という顔をする徹。 「戦闘時の動きやすさを追及。熱さ、寒さの調整がうまく行く設計でござるから春夏秋冬着れて着心地もいいでござる!」 「いや、それって強襲とか関係なくね?」 「ちょっと難なのが、日常生活では支障がないのでござるが戦闘になると戦闘機能を重視した分防御機能が若干落ちてるでござるな。 どうでござるか? 九条も着たくなってきたでござるか? ござるか?」 「いや、ジャージはなぁ。マラソンするときぐらいなら着てもいいかもしれねぇが……」 ジャージをものすごく自信を持って進める虎鐵。それを困った顔で流そうとする徹であった。 「……ふむ、そうさなあ。俺は別段自分の武器だとかに来歴やら、由来もねえし。ぶっちゃけ、拳だしな」 猛は茶菓子をつまみながら、拳を握ったり開いたりしていた。かつては喧嘩ばかりしていた拳だが、リベリスタになってからは無意味な喧嘩はやめている。そんな拳を。 「何言ってるかね。その拳だってかなりの歴史を持ってるんだろうが。そいつを語ってみろよ」 「たいしたことはねぇよ。言葉にするなら、てめえの意地を乗せて貫く為に振りかざす最終手段、ってとこか。 そういや、九条の旦那は何か語る事はねえのか? 良かったら、聞かせてくれよ」 「俺か?」 突然振られた話にたいしたことねぇよと言葉を返そうとして、注目している人が多い事に気付く。徹の持つ黒い棍。『月見で一杯』と銘打たれた鉄の棒。 「まぁ、酒の肴にはちょうどいいかもな。駆け出しフィクサードのお話だ」 ●過去3 お金が溜まれば溜まるほど、自分は穢れて行く。 鮮やかで純粋な女。その手を掴むには、男の手は汚れすぎていた。 暴力と血で荒れた世界から見上げる光は、とてもまぶしかった。 ●MY ARMS 「俺の相棒は、この布かな。この、右腕に巻かれた包帯。 原初の混沌が封じられし、この包帯を外す時、この世界が終わる。ぐっ!右手が疼く……! 俺に近づくなっ!」 竜一は右手につけてある『幾星霜ノ星辰ヲ越エシ輝キヲ以ッシテ原初ノ混沌ヲ内に封ジ留メシ骸布』を見せ、暴走する右手を押さえる。肥大化する原初の混沌を封じきる事が難しくなった為、骸布と掛け合わせ疑似的なカオスを生み出し、混沌と重ねることで封じる、という術式である。 ――そんな脳内設定。 「ふぅ……あぶないあぶない」 「なるほど。それは恐ろしい包帯ですね。あ、喉乾きません? お茶どうぞ」 「あ、どうも」 凛子のお茶を受け取り、竜一がそれを飲む。あー、落ち着いた。 「私はこの手袋を」 凛子は医者が手術の時にする薄い手袋を取り出す。薄く見えるがこれでも破界器。頑丈さは折り紙つきである。 「基本的には手術手袋は衛生面から使い捨てなのですが、神秘の力で作られたこれはそういう必要が無く戦場でも重宝したものです」 戦場では物資が足りないことなど当たり前である。そういう時でも衛生面を怠れば、そこから感染症を起こし死に至るケースもある。術中術後の消毒が確立してから、死亡率は飛躍的に減少したのだ。 「私が共に戦場を駆ける愛銃はこれ、リボルバーマスケットよ」 ミュゼーヌが持ち出したのは、一昔のマスケットにリボルバーがついた銃である。人差し指を伸ばし、トリガーに指をかけずに説明を続ける。 「最大の特徴はその名の通り、祖先が用いていたマスケット銃を模した形状ね。お世話になっている大御堂重工での特注品よ」 中折れ式のマスケット銃。レトロな外観はむしろ美術品を思わせるものだ。何故なの形なのかを誰かが問えば、 「それを模す事になんの意味があるかって? 『私の血筋の誇りであり、私の精神の象徴である事』よ」 型から羽織ったナポレオンコート。日仏ハーフの彼女の家系をさかのぼると、フランスの銃士隊で名を成した名家にぶつかる。ミュゼーヌはそこに倣ったのだろう。 「私の魔力を撃ち出す事も出来るけど……魔力には少々乏しくてね、誰にでも得手不得手という物があるのよ」 肩をすくめて、吐露した。 「大事な大事な鋏だよ。鋏っつーても今はもうこっちのナイフは錆びきって、使い物にはならないけどね」 葬識は歪で禍々しい大きな鋏を持ち出す。錆びきったナイフと称するそれは彼にとっての思い出のナイフ。忘れてはいけないという意味で、大事なナイフ。 「ナイトメアダウンのとき、唯一といっていい親族を殺したナイフだからね。 熾喜多の血の殺人衝動に初めて駆られて初めて狩ったイノチが染み込んでるんだよねー」 その発言にどよめくリベリスタ。そんな空気の中、陽気に葬識は語り続ける。 「運命なんていい加減だよね。ノーフェイスと運命をもつものの違いなってほんの些細な違いなのにね。 俺は得た、あの人は得なかった。それだけだったんだよね」 その言葉でリベリスタは事情を察する。そしてそれはリベリスタである以上、常に思わなければならない事なのだ。 「<相模の蝮>事件の頃、色々やらかしたフィクサードに『黄咬・砂蛇』てのがいてさ」 当時を思い出しながら、快は蛇の刻印のついた一本のナイフを取り出す。 「何とか砂蛇を倒して、その時、偶然拾ったナイフ。 元の持ち主の手にあるうちは、きっとコイツは殺しの刃だった。けれど今、オレの手にある以上、コイツは護り刀だ」 武器自体に貴賎も善悪もない。ただその使い手が殺し屋なら殺人の道具となり、守り手なら盾となる。このナイフも然り。アークのクロスイージスとして名高い快が持てば、その鋭さも安堵に変わる。 「アークの戦闘訓練では盾しか使ったことがなかったから使える自信は無かったけど、なんとかモノになってきてる。 どうやら最近元の持ち主が賢者の石の力で復活するらしい、って話を聞いてね。実際、復活したそいつの仲間とも戦った。薄氷の勝利だったけど」 このナイフで復活した本人と闘うときがくるのだろうか? そんなことを快は思った。フォーチュナならざる彼にはその未来があるかどうかは分からない。 「ねえ、聞いてよ。沢山あるでしょ」 イーゼリットの装備欄……もとい、幻想纏いからでてきた大量のこしょう。そのこしょうについて語りだす。 「実はこれね、購買部に発注したとき、よくわからなくって、何度も購入してしまったものなの。 最近気づいたんだけどカップラーメンに入れると、けっこうイケるの。体の内側から温まるっていうかけっこうお気に入りなの。 でもね、一杯が結構多くって、苦しいんだけどそれでね、薬局で小さいカップラーメンが売ってることに気づいて。 薬局ってすごいのね、飲み物から、食べ物から、洗剤やタオルまで何でも揃うもの。 アークの購買部ってすごいわよね――」 このあと5分ほどイーゼリットは喋り続け、やんわりと舞台から下ろされた。 「小さい頃に、何度も読んだ本なのです。全三巻なのです」 イーリスが持ってきたのは『カバ王伝説』と書かれた本だった。 「カバ王はすごいのです。サバンナの勇敢な王様なのです! 背中で語る、おとこのなかのおとこなのです。なにごとにも、どうじぬすがたが、かっこいいのです」 イーリスの語りから内容は推測できないが、彼女がとてもカバ王を尊敬しているのはわかる。熱く語るその様子は、子供の頃に架空の英雄に憧れた様子を思い出させる。イーリスの場合、そのままなのだろうが。 「わたしは、カバ王みたいに、つよくなるのです」 力強く語るイーリス。最後にカバ王は悲しい結末を迎えてしまうのだが、彼女はクレヨンでハッピーエンドを追加したという。見せてくれないけど。悲劇を回避するリベリスタらしい……のか? 「しかも! なんと! これをもっていると、なぜか命中が上がるのです」 メタなこといわない。 ●過去4 いつからか喧嘩が楽しいと思うようになった。 お金の為ではなく、自分の為の拳を振るう機会も増えた。 いつの間にか拳を握る目的は、彼女の為ではなく男の嗜好によるものになっていた。 喧嘩好きのフィクサードの、誕生である。 幾多の喧嘩の末、その手は人の手を掴むには硬くなりすぎていた。 男はそれに気付きながら、しかし後戻りしなかった。 それでも、心の中から彼女が消えることはなかった。 ●MY ARMS 「今回語るのは、この鎧。鎧ッスよ? 誰ッスか? バケツとか言った人は、ぶつッスよ?」 本気でぶっ飛ばす気迫で拳を握り、イーシェは語りだす。細かい細工と意匠を施された全身鎧。頭部を覆う部位は、確かにまぁバケツに見えなくもない。 「まー、鎧ッス。銘は『Armor of grace』。 元はイギリスの実家の納屋にあったプレートアーマだったんスけれど、アタシの初陣に合わせてじっさまが頑張って打ちなおしたり改良してくれたんスよ」 打ち直してくれたその老人はもう故人である。今思えば優秀なアーティファクト鍛冶師だったのかもしれない。 「一緒に極東までやってきたんス。最早アタシには欠かせない相棒ッスね」 恩寵の鎧と称されるこの鎧は、イーシェと共に歩んできた存在。共に戦場を渡り歩いてきた存在なのだ。 「だからバケツって炒った日とは誰ッスか? アタシの拳は限界突破して全力で殴るととんでもねぇ事になるッスよ?」 だからまぁ、バカにされると本気で怒ってしまうのだ。 カタカタカタカタタタタタタタタタタタ……。 高速でキーボードを叩く音。締めとばかりにエンターキーを押して、綺沙羅は説明を始める。 「破界器名:綺沙羅ボード。武器分類:楽器。形状:キーボード」 それはPCで文字入力に使うキーボードだった。彼女の名前を与えるほどの愛着があるそれは、かなり使われているのだろう。所々文字が欠けていた。 「キサの手にしっくり馴染むし、デザインもスマート。叩き心地も滑らかだし、タイプ音は芸術的クラスの小気味良さなのに……何故か理解されない」 カタカタカタカタカタカタ……。 再び打ち込まれるキーボード。綺沙羅の感性を理解できないものは、なんとコメントしていいのかわからない顔をして綺沙羅のタイピングを見ていた。 「わっしの破界器、パンツァーテュランやね。元は『暴君戦車』ガンヒルト・グンマが使っちょった銃ぜよ」 仁太が持ち出したのは、禍々しい銃。とあるノーフェイスが持っていた銃。 「ガンヒルトの腕ぶっ飛ばした際に落ちたんを拾ったんや。ちとやりすぎた感もあったけんどそうでもせんとやられる相手やった」 そのノーフェイスは、仁太にとって強い思いのある女性だった。 「ああ、今はもうこの世にはおらへん。……ちょっと好きやったんやけどな。 戦うときはホンマ気持ちいいくらい楽しそうに戦うんや。そんなあいつが好きやった」 三ッ池公園でのあの戦い。3度にわたる邂逅は、相手の死を以って決された。互いが手を取り合う未来はなかったけど。 『決着つけよっか――来いや、リベリスタァアアアアアアアッ!!!』 あの声は、あの戦いは。後悔のないものだった。これでよかったと、そう思える戦いだった。 銃に触れる仁太の顔に浮かぶ微笑みが、それを証明していた。 「religieuse(ルリジューズ)。本来は『修道女』という意味です」 修道服を模した、耳当て付きキャスケットに作業用エプロン、腕部を覆うガントレット。それら全てを取り出して、ロズベールは語りだす。 「修道服にはながい歴史があり、それ自体に神秘的な意味があります。ロズはそれに似せて、概念をちょっぴりつかわせてもらっているのです。お陰で、見た目よりがんじょうなんですよ」 信仰深いロズベールだが、その教会自体はフィクサード組織が隠れ蓑にしていたものである。彼自身は悪事に染まっているわけではないが、ちゃんとした教会ではなかったらしい。 「ロザリオもポーラータイだし、ちゃんとした聖職者さんにはおこられるかも知れません。 でも、ロズはロズなりの信仰心をもって着ているのです」 祈りのポーズ。神は教会にあるものではなく、心の中にあるものなのか。ロズベールの祈りを見たものは、そう思った。 「あたしの、ですか? 語るほどの物はありませんけど……ああ、どうしてか、この糸だけはずっとありますね」 夢乃は手の小指の先、気糸に似た赤い糸をみる。その先には誰がいるのかというと……。 「昔はたどってみようとも思いましたが、道に迷うばかりで」 困ったように笑う夢乃。そのまま表情をやわらげた。 「あたしたちをこの世界につなぐ運命というものがあるのなら、この糸の先の人もまた、運命なのでしょうね。自分の想う人くらい、自分で決めたいものですけれど……はい? くるみ割り器?」 指差されて夢乃は持っていた胡桃割り器を取り出す。『すべてのだんせいにおくるけっせんへいき』と命名されたそれは、丸いものをつぶすのに適していた。男性の、丸いもの。 「やだなあ、これ、使ったことなんか無いですよ?」 何に使う気ですか、夢乃さーん! ●過去5 女はお天道様の元に戻る。女を裏側に縛る経済的な鎖を、壊したからだ。 その後、女がどうなったか。男がそれを知ることはなかった。 女は何故闇から解放されたのかを知らない。出資者は当人の希望で秘せられたのだ。 そして金を出した男は、女に会うことを拒んだ。 何故会わないと問う声に、男は静かに一句読んだという。 『酔うほどに 月は遠くに なりにけり』 ●MY ARMS 「俺の握る武器は、何かの名前を冠する名剣でもなければ、特別に俺の為に誂えた剣でもない。一般のリベリスタであれば握る事が可能な長剣だ」 だがこの剣を握った時に誓った想いがある、と拓真は語る。 「武器とは、どれだけ言葉を取り繕おうとも他者を傷つける道具に他ならない。例え“用途”がどの様な物であったとしても、だ。 己はそれを握る事の意味を既に知っていた。この刃は、奪う刃になる」 何かを守るということは、守るもの以外のものを排除するという事である。如何に奇麗事を並べようとも、武器は傷つけるものなのだ。拓真の言葉に、反論するリベリスタはいない。 「そう、だから──自分は最後まで…剣(つみ)を置いて生きる事はすまい、と。俺にとって剣とは罪の象徴であり、正しき墓標だ」 拓真が二十歳に届かぬ年齢でこの考えに至ったのは、敬愛する祖父の影響だろうか? 答えは彼の心の中に。 「そして、他ならぬ俺自身でもある」 自らの胸に手を当て、言葉を染み入らせる。剣は常に我と共に在る。 「己の破界器を語るとは面白い趣向じゃのう。武器は命を預け生死を共に分かち合う相棒じゃ。尤も、儂の場合はまた別の意味になるかものう」 陣兵衛はキセルを揺らし、漆黒の刀身に炎を連想させる紅蓮の模様が描かれた、無骨な斬馬刀を持ち出す。 「儂の武器の名は羅生丸、此奴を作った人物から頂いた。刀鍛冶であり、儂の幼馴染でもあったその男は……運命に選ばれず命を落とした」 ノーフェイス。運命に選ばれなかった存在。リベリスタとして許してはならない存在。陣兵衛もまた、彼に刃を向けた。 「ノーフェイスとなり、その命を断ったのは他でもない儂じゃ。それも……この刀でのう」 鞘から刀身を出す。手入れされた刀身が、物憂げな陣兵衛の顔を写した。 「彼奴が何故に鉄塊の如き刃を作ったか、その真意は分からぬがこうなる事を悟っていたのかも知れぬのう。 この羅生丸には彼奴の魂が宿っておる。じゃから儂は此奴と共に生き、あの男が望んだ世界を守っていく事を決めたのじゃ」 それは命を背負うということ。この刀と共に闘うことが、彼を生かすことだと信じて。納刀し、何かを期待するような目で見るリベリスタに告げた。 「ああ、因みに彼奴とは変な関係では無いぞ? 昔からの腐れ縁……それだけの事じゃ」 「私としては特に語るべきことは無いので。特に身の回りのものにあまり執着が無いもので……」 星龍は黒のソフト帽子を被りなおして、ため息をつく。あまり語るべきことはないのだがと思い、一丁のライフルを。千丁に一丁の割合で偶然製造されるという、異常に命中精度の高いライフル。『ワン・オブ・サウザンド』と呼ばれるライフルを。 「強いて言うなら、三ツ池公園の戦いで『魔弾の射手』大竹・リョウジを倒した際に入手した『ワン・オブ・サウザンド』。 出所来歴は不明ですが、狙撃手として彼が名銃を愛用していたのはその手入れの良さから良く分かりました」 スコープ越しに見たフィクサード。狙撃手として集中を重ね、引き寄せた好機。そしてそれを逃さず引いた引き金。そして今、彼の銃は星龍の手の中にある。 「名手の武器を引き継いだ以上、彼に恥じぬ技を。いずれは彼の称号を引き継げるようになりたいものです」 魔弾の射手。その名をいつか語れるのだろうか? いつかその称号を名乗ると誓い、デモンスリンガーは帽子を被りなおした。 瑠琵が持ち出したのは銃身に北斗七星の意匠が施された漆黒の拳銃だ。通常の拳銃よりも大きく、リボルバー型なのか、輪胴がある。 「さて、コレは見ての通りの大型拳銃――では無い。杖に仕込んだ銃ならぬ、銃に仕込んだ術具なのじゃ」 その名を『天元・七星公主』という。弾丸を憑代として式を打つ為の術具なのだ。 「名前の由来は装飾が示す通り北斗七星じゃが、この七星公主の真の意味は『天元』にこそあるのじゃ。 天元とは即ち碁盤の中心点。初手で天元に打つのはほぼ奇策であり悪手。至ってコレは打たぬ銃、故に天元を冠しておるのじゃ」 バランスの悪そうな銃を回転させる。口の端をゆがめて、ヴァンパイアの牙を露出させながら瑠琵は続けた。 「大体、術が使えなくなったら吸血で補給するからのぅ。コレを撃つような状況は他に手が無い時だけなのじゃ」 からからとわらいながら、瑠琵は『打たぬ銃』を懐にしまった。 ●酔うほどに 月は遠くに なりにけり 「マムシに会う前の話だ。 馬鹿な男が女の為に無茶して、別のものに浮気してしまった、て話だよ」 『酔うほどに月は遠くになりにけり』……徹の持つ相棒に刻まれた俳句だ。彼はどのような気持ちで破界器に句を刻んだのだろうか? 後悔か、諦念か、嫉妬か、苦渋か、悔恨か。あるいはそれ以外の感情か。その顔からは読み取ることはできなかった。 「おいおい、そんな顔するなよ。そんな人生もあるさ。お前たちは喧嘩に溺れて俺みたいになるなよ。 お前たちの手は何かを掴む為の手だ。武器と、そして人の手をな」 ●リベリスタと破界器 「……何時か、私もこの様にお話が出来る様になるのでしょうか……」 紫月はみんなにお茶を振舞いながら、話を聞いていた。 自分はまだまだ未熟だ。これから多くの努力を必要とするだろう。だからこそ、今は多くの人から学び、そして少しでも前に向って進むことが大切なのだ。 幻想纏いの『月標』を手にする。この護り刀が語り草になる日が来るのだろうか。今はただ無言で握り締める。 「ぼくはまだ、アークにきて間もないし、語れるものはなにもないの。でもね、何か思い入れのあるものに、いつか出会えると思うから」 皆の話を聞いてポルカは静かに言葉をつむぐ。お菓子を食べながら、話に耳を傾けていた。 「さて、ぼくもお仕事、頑張らないと、ね」 今日はいろいろな話が聞けて楽しかった。いつかポルカにも出会えるだろう。自らを飾る何かに。たったひとりの、たったひとつだけの物語に。 これからも激戦の中、命と運命を削るだろうリベリスタたち。 彼らと破界器に、よき絆が生まれんことを。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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