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↑邪悪ロリ(18)

●慟哭
 虐げられる事、幾星霜。
 満たされぬ時間は長き、永くに渡り。
 冬の凍気の如く冷たき『仕打ち』は我が心を唯只管に凍らせん。

 一体、何時から『それ』を求め始めたのだろうか。

 遍く生物が抱く『業』は何れも深い。
 唯、生物がそこに在るだけで生まれ得る『業』は生物の在り様を語る哲学とさえ言えようか。しかして、原始的、野生的、本能的にまず生存の欲求より枝分かれした筈のそれはこと生物が高等知能を有するに到り、その姿をより歪なものへと変質させてきたものだ。

 ――フフ。全く自嘲するばかりではないか!

 今、まさに我が抱く『業』は我が生存に何ら寄与せぬ。
 在るだけに飽いた私は『何者かを侵して、余禄に過ぎぬモノを貪ろうとしている』のだ! これを悪と呼ばずして何と称し得よう。
 私は理解しているのだ。元より知っているのだ。
 行為に正当性は無く、獣より進化を遂げた我はかような暴挙に出るべきでは無いと。何より理性が、良心が押し止めているのだ。それは間違っていると、諦めず、この世界に時に降り注ぐ福音を、奇跡を待つべきだと!

 ――否。断じて否! 暗闇に唯潜む、屈従の時は終わったのだ!
 此の世跋扈せし不条理と、魂の不遇に制裁を! 喝采に満ちた聖祭を、灰色の世に生彩を!
 聖戦。
 聖戦。
 聖戦。
 来たれり、来たれり、時は来たれり!

●大変だぁ
「……多分危険なアザーバイドがこの世界に出現した。
 皆にはこの面倒臭いアザーバイドへの対処に急行して欲しい」
「……多分? 面倒臭い?」
 その日、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)より発されたその台詞には、ブリーフィングでは少し聞き慣れない『珍しい』言葉が混ざっていた。
「……うん。何て言うかそういう他は無いというか。
 アザーバイド、識別名『執着ヤミー』。全身は光沢のある真っ黒の闇色。サイズは二メートル弱――大柄な男の人位でフォルムも同じ。
 白昼の駅前に出現した彼は『光あれ』とか書かれたタスキと鉢巻を締め、道行く通行人や野次馬にビーム攻撃を敢行するの。まさにテロ」
「……ッ!?」
 予想以上に危険な事態にリベリスタは息を呑む。
 色々疑問はあるが、一目を憚らぬ敵個体はそうでないモノより強力な事が殆どだ。つまり、それだけ大きな被害を撒くアザーバイドは当然……
「このビームに撃たれた人は……」
 イヴがそっと睫を伏せた。リベリスタは何と言葉を掛ければ良いか一瞬だけ悩んで……
「……邪悪ロリになる。老若男女委細構わず、外見年齢13~19程度のちょっと目つきの良くない女の子になる。性格もそんな感じに変わってしまう。ビームの効果は二十四時間程度だけどね」
 ……悩んで、それからもっと悩んだ。
「はぁ?」
「執着ヤミーは『光あれ!』とか『責任者出て来い!』とか『俺の嫁のルート削ったの誰だよ!』とか『第一、何時も嫁の扱いが悪いんじゃ!』とか意味不明な供述を続け、テロを続行してる。具体的な様子はこちら」
 背後の巨大モニターに大量の少女に囲まれた黒い変なのの姿が映る。
 汚物を見るかのような周囲(インスタントしょうじょたち)の視線に晒されている彼は何処と無く恍惚としながら演説を続けている。
「むしゃくしゃしてやったんだろうか」
「社会の歪みだね。ニッチな性癖は哀れだね。
 彼もマーケティングの被害者なのかも知れない……」
 イヴは可哀想な人を見る目でモニターの中の独演者を見やった。
「……これを排除するのが仕事?」
「うん。だけど、このアザーバイドは高階層からやって来た個体で実はかなり面倒。それより何より一番早い対処は『インスタントじゃない本物』が罵ってあげるか、甘やかしてあげるかだと思う」
「どっちでもいいのかよ……」
「それか適当にブン殴るか、相手してやる事」
 男でも、女でも。
「幸いにしてこの個体は自力で帰還ゲートを開く事が出来る。
 然したる悪意も無い存在だし、単にストレスが溜まりすぎて暴れ出しただけみたいだから……気が済んだら帰ると思うよ。馬鹿馬鹿しいだろうけど、いってらっしゃい」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 10人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2012年01月23日(月)00:27
 YAMIDEITEIです。
 アザーバイドの世界も色々ですね!
 一月分一本目、以下詳細。

●任務達成条件
 ・執着ヤミーがお家に帰る事(方法自由!)

●駅前
 事件の現場。周囲の通行人、野次馬がのべつまくなし色んな邪悪ロリに姿を変えた凄まじい光景です。閉じない穴の影響怖いですね!
 白昼堂々と凶行に及んだアザーバイドですが、周囲の人は皆邪悪ロリと化しているので泰然と哀れな生物を見下しています。
 適当に交通整理して帰るように促せばどうでもいいので帰る事でしょう。
 邪悪ロリ化している間の事は大体覚えてないようなのでほっといていいです。ほんの若干激しく狭い範囲で個人の人生に影響が出る程度です。

●執着ヤミー
 恐るべきアザーバイド。闇色の人型。タスキと鉢巻を装備した聖戦士。
 アザーバイド界の求道者。イケてる! 絶賛お嫁受付中!
 このゲームはフィクションです。実在の人物とは全く関係ありません!!!
 高階層の住人らしく強力な個体だそうです。
 受けたもの全てを二十四時間の間、精神から姿まで『目つきが悪くて何処と無く性悪な美少女』に変えてしまう驚異的な能力を誇ります。但しそれ以外は概ね無害です。
 彼の主張は『現世における性悪少女の扱いの悪さに物申す』事です。啓蒙です。

●備考
 ビームを受けるとどんな風に変わるかプレイングをかけておくと参考にされます。
 書いてない場合は結果次第で勝手に判定されます。
 如何なイケメンであろうとクールでニヒルであろうと受けたら変わるのは避けられ得ません。じーさんばーさんおばちゃんおっさんでも心優しい少女でも同じ事です。
 但し「あれ、この子変える必要なくね?」みたいな少女はそのままです。
 具体的にはそのままでも罵ってくれそうな子はそのままです。

●桃子・エインズワース
 最強の助っ人。
 基本的に自由に生きています。
 自家発電は虚しいので放っておくと何時にも増して役に立ちません。


 コメディです。
 別に罵られたい訳ではありません。甘やかしてもいいのよ!
 以上、宜しければ御参加下さいませませ。
参加NPC
桃子・エインズワース (nBNE000014)
 


■メイン参加者 10人■
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
デュランダル
神楽坂・斬乃(BNE000072)
ソードミラージュ
司馬 鷲祐(BNE000288)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
ソードミラージュ
エレオノーラ・カムィシンスキー(BNE002203)
ホーリーメイガス
月杜・とら(BNE002285)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
プロアデプト
アーリィ・フラン・ベルジュ(BNE003082)
■サポート参加者 4人■
マグメイガス
高原 恵梨香(BNE000234)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
プロアデプト
彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)
マグメイガス
宵咲 氷璃(BNE002401)

●書いてて己が性癖を再確認。
 高度な知的生命体としてその民度と文化を成熟させてきた今日の私達。
 人が人なる身で歩む進歩は亀の歩みのようではあったが……
 私達は長い時を経て理性と良識の衣を纏う『社会性』を円熟をさせてきたのである。
 これはまさしく全く信じ難い程の大快挙なのである!
「うわぁひどい」
「……ふざけた、相手」
 でも、性癖は無理なんです。
 筆者渾身の言い訳を木っ端微塵に吹っ飛ばしたのは『蒙昧主義のケファ』エレオノーラ・カムィシンスキー(BNE002203)と『ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)の実に率直な一言だった。
「邪悪ロリってなんだろ~?」
「……さ、あ? 結局……なんだろう……?」
 小首を傾げた『白詰草の花冠』月杜・とら(BNE002285)に天乃が首を捻った。
「検索してもニッチすぎて要領を得ないし……」
「……むぅ」
「むしろ、このブリーフィングルームが六番目に来てた。なんなの」
 僕が検索したら四番目でしたよ!
「とにかく、満足して帰ってもらわないと、ね」
 見映えのする白いリボンとツーテールが印象的な少女は金色の双眸で凡そ『神秘』に相応しくない真昼に現れた漆黒の人型を見詰めていた。
「これは酷い、ですね……」
 線の細い可憐な美貌を引き攣らせた『剣華人形』リンシード・フラックス(BNE002684)が嫌気に言う。
「特に何が酷いかって……あそこの中心にいる……あの、変なの……」
「やった、ロリ来た! ロリ勝つる!!!」
 黒いヤツ。
「見下げられて恍惚とした表情を浮かべてます……信じられません……」
 心底厭うリンシードの鼓膜を太い男の声が激しく揺らす。
「なんて羨ましい能力なのでござろうか!!!
 拙者だってそういう技がつかいとうござる! ロリは総じて! 愛でる! 存在でござる!!」
「ブルータス、お前もか、です」
 はちまきとたすきの黒い人型が、拳を握って吠えるように騒ぐ『自称・雷音の夫』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)の主張は、常人には理解し得まい。
 されど、そこには熱がある。熱だけは分かってしまう。
「なんだかとても業が深い存在ね……深淵を覗いている気分だわ」
 エレオノーラの脳裏を過ぎった言葉は哲学の巨人が残した金言である。
 騒ぐ深淵共を冷たく眺める少女達は不自然だ。彼女等の悉くは見事に何れも『目つきが悪くて何処と無く性悪な美少女』ばかりだったのである。
「オウ、こりゃすげぇな!」
『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)が壮観な眺めに声を上げる。
 あっちを見ても邪悪ロリ。
 こっちを見ても邪悪ロリ。
 そっちを見ても、どっちを見ても邪悪ロリ。邪悪ロリ。邪悪ロリ。
 全く有り得ん光景である。
「やった! ユートピア! ひゃふー!」
「少女の甘い匂いがするでござる! 何だか拙者達、友達になれそうな気がするでござるよ!」
 黒いのと、虎鐵が何てかスゲェやかましい。
 虎鐵にいたっては彼が堂々と懸想する天使の如き愛娘に見られたならば、一緒に洗濯物を洗ってくれなくなる光景かもしんない。
「想像したら死にたくなったでござる!!!」
 ……虎苛めはともかく! 光景は異常である。
 ニッチな属性は何処までも超然と泰然と。叫び声を上げる『変な生き物(ロリコンども)』を観察しているのだ。奇妙な程に冷静に。
「……すごい光景になったものだね。ちょっと引くものがあるよ!」
 ギャラクティカおっぱいさ……『神斬りゼノサイド』神楽坂・斬乃(BNE000072)の仰る通り。
 普通の人はドン引いて、俺は御機嫌でトゥギャザーなこの光景!
 下手人はアザーバイド識別名『執着ヤミー』。能力は『全ての対象を邪悪ロリに変えるビームを放つ事』。自由に駅前で暴れた彼は歓喜の園で雄叫びを上げている。
「邪悪ビーム……誰でも邪悪になるんだよね……」
 ロリっす。
「わたし当たったらどうなっちゃうんだろうね……
 な……なんかいつもの依頼より凄く怖いし……後ろの方で大人しくしてるね……」
 フヒヒ。可憐な少女が――『ゲーマー人生』アーリィ・フラン・ベルジュ(BNE003082)が露骨な程に引いている。
「ああ……」
 こみ上げる頭痛を押さえられず『コンスタント(49)→』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)が溜息を吐く。
 現場に集まった邪悪ロリ達を、
「こんな人に付合ってる暇なんてあるのです? 家に帰って時間を有意義に使うといいです」
『ぴゅあわんこ』悠木 そあら(BNE000020)が整理し始めている。
「何て事を!!!」
「邪悪ロリ邪悪ロリうっせーのです。囲まれてきゃっきゃ喜ぶなです」
 何時に無く不機嫌全開で可愛い口をへの字に曲げたそあらが犬歯を僅かに見せて威嚇する。
「あたし、さおりん一筋ですけれどこの人何だかイラっとするのです」
 人じゃないけど。
「大体、即席で作った邪悪ロリなんて偽物のブランドバッグを露店売りしてるようなものなのです。
 さおりんじゃないですからどうでもいいですけど、何だかイライラするのです」
 乙女心は複雑だ。そあらさん、兎に角、イライラするらしい。
「甘やかして欲しいのでしたらさおりんよりもっと素敵な俺様になることなのです」
 駆けつけさおりん、邪悪ドリン。
「フッ、要は割と無害で強力な存在か……」
 何時如何なる時も『斬盾』司馬 鷲祐(BNE000288)はSIBA(24)のまま。
「邪悪だかなんだか知らんが俺は俺だ。
 ロリになろうが巨乳好きは変わらん。例えその姿だろうと神父に出くわすなら、全速で打ち掛かるのみだ」
 俺の中に?が飛んだ!
 何処から『神父』に到ったのかそれは彼にしか分からない。
 他人や空気に迎合する機能をいの一番に切り捨てた――孤高の青い堕天使(ルシフェル)は緩みまくった駄空気の中でも無闇にスタイリッシュにガイアが輝きを囁く角度を研究しながら決めるポーズをとっていた。
「正月もマッハで駆け抜けた、旋律の青い閃光――Syusuke Siba 2012……」
 酔っ払う鷲祐は置いといて、執着ヤミーに小首を傾げたとらが言う。
「ヤミーさん?あのね、とらはお膝に座りたいの。
 わかるでしょう? ヤミーさんのお膝に座りたいのよ。だから、そこに座って」
 冷たいコンクリートの上で正座しろとかとらさん酷い。
「さってと……そのビームを受けてやろう。堂々と真正面から!」
 チェーンソーの動力をぐるるんと咆哮させ、斬乃が強く言い放つ。
 彼女がちらりと確認した視界の隅には――
「ここのクレープが美味しいってネットに書いてあったんですよ!」
「桃子さん、仕事をするのです><」
 ><。
 神秘に委細目もくれず、『BlessOfFireArms』エナーシア・ガトリング(BNE000422)を引っ張り回す『清廉漆黒』桃子・エインズワース (nBNE000014)の姿があった。
(教会育ちで人を罵った事等ない私は性格反転状態になりそうだわ……)
 教会育ちで純粋な好意を向けられる事に慣れないエナーシアを嬉々として困らせている桃子である。
 敵の完全無視を決め込む桃子に対してエナーシナは当然か仕事の方に意識はあるのだが、執着ヤミーより手を引く漆黒天使が手強いか。
「ふふっ、罵られて喜ぶ相手を罵ってもつまらないもの」
 サディストが――『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)が冷静で的確過ぎるコメントを静かに添える。
 まー、何て言うか? 個人的に氷璃ちゃんは言う程、サディストに思ってないし? 瑞々しいし? 意外と女の子で可愛い所あると思うけどね。
 あんまりこう、個人的見解を添えると彼女のクールビューティーな都合に差し支……
「煩い。黙りなさい、駄犬」
 はーい♪
「……」
 黙り込む斬乃。
 彼女が今日、ふざけた敵に立ち向かう大きな理由は――
(今までさんざ弄られた恨みが! 復讐が!)
 ――クレープを頬張るかの大魔王に一矢報いんが為、である。
(でも、どうしてかな。涙が出そう)
 おっぱいさんかわいいよおっぱいさん! ヒョー!

●俺は罵られるのも嫌いじゃないが罵る少女を返り討ちにしたいのだと。
 かくて、戦いは始まった。
「任務なら粛々と果たすまで。
 そもそも性悪少女の扱いの悪さと言うけれど……
 性悪なのだから非難されて当然。少女だから許すなんて風潮が甘過ぎる」
 相も変わらず『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)の主張には一切何ら澱みが無い。
「責任者探すなら別の場所行きなさいよ愚か者。
 三回回ってスパイダーベイビー決めたらこれからどうすればいいか教えてあげるわ犬」
「とりあえずうっとうしいからさっさと帰るといいのです。
 しつこく居着くならあたしがいちご爆弾ぶっ放してやるです。
 邪悪ロリ共に殴られるなら本望に違いないのです」
 ビームを受けて溜まりに溜まった鬱憤を晴らしているのは彩歌である。
 本日、ビームを浴びるまでもないそあらさんがトバしている。
 少女達に槍玉に挙げられるのが余程楽しいのか……
 まさに己が魂と尊厳を賭してボトム・チャンネルに降り立った黒いのは乾坤一擲の野望を秘めてこの戦場を暴れ狂っていた。
「お兄さん……(?)どこから、来たんですか……
 成る程、そんな、高貴そうな所から……」
 まさにぽつりぽつりと吐き捨てるように、と呼ぶのが相応しい。
「……出身が泣いてますね。
 ……あ、いえ、なんでもないですよ、続けて下さい」
 リンシードの冷たい視線に背筋を震わせ、それは更なる演説をぶつ。
「お嫁募集中だか、なんだか知りませんが……早く、お家に帰りましょうね……?」
 黒いのの頬に優しく触れ、慈愛に満ちた微笑を浮かべたリンシードはそのまま彼の頭をギリギリとアイアンクローで締め付けた。
 まさにそれは甘い少女と黒の万力!
「やだ! 少女と遊げぶ!?」
「……帰りましょうね」
 ショートレンジで繰り出されるのは鋭い腹パン。
「話は、終わり? それじゃ、帰って」
 ごろごろとのたうつ黒いのが口を利けなくなった所に状況に構わない天乃の冷淡な言葉が降る。
 ビームが彼女を撃ち抜いた。
「罵倒されて、喜ぶとか……この、変態。
 ロリコン、の時点で変態だけど……そんな変態、は踏んであげる。
 踏まれて喜ぶとか、どうしようもない変態、だね。縛られて、罵られて、踏まれる気分、はどう?
 ……見たい? ダメ。そこで、悶えてるといい――」
 膝上何センチですかというミニスカートに『敢えてはかない』天乃のそれは絶対領域。汚物見るかのような視線で見下ろし、彼女が踏むならばそれは愉快なボーナス・ステージ。
 執着ヤミーのフェイトが萌える。彼のコスモが空を衝く。
「邪悪ロリだろうが天使ロリだろうがどっちでも愛でる対象には違いないでござる……!」
「それはエゴだよ!」
 虎鐵と、天乃のお陰で復活した黒いのが激しく主張を戦わせ、
「ヤミーさん! ももこちゃんを見ちゃらめぇー☆
 ももこちゃんは、とらの魔法少女なんだからぁ!」
「折れるから!」
「それより、とらねぇ。悪いヤツの首が欲しいな。
 ヤミーさんにとっては、狂ったお兄さんをバットで殴り倒して……おうちに帰って。ハンバーグ食べるような簡単なものでしょう?」
「折れるから!」
 そこはかとない狂気、極まる首。
 イノセント系の邪悪さが板についてきたとらが腕を回した黒いのの首を曲げてはいけない方向に曲げている。
「な、なんか皆やる気満々で殴りに行ってる……?」
 何気に予想外だったのか乾いた声で呟くのはアーリィ。
 戦闘は壮絶を極める事となっていた。
「……何しやがんだてめぇ!
 こんな、かよわい少女にビーム撃つとかどういう腹だ!
 そもそも罵られたいとかアホかてめぇ! そんなくだらねー理由でビーム撃ってんじゃねぇよ!
 ビームって言うのはもっとこう……あれだ! 救いが無いと駄目なんだ。たかが邪悪ロリ位で普段使わねービームか!
 よーし、パパビーム撃っちゃうぞってか! おめでてぇな!」
 まず彼女がね、殴る蹴る暴行、ビームで撃たれれば烈火のようだ。
「全国、全世界、全次元のビーマーに謝れ!」
 ばきどかげすぼきどか。
 場外乱闘は場外乱闘で激しさを増す。
「そしてあたしの敵は……桃子、あなたよ!」
 ぐったりしたえなちゃんを引き摺り、口元の生クリームをピンク色の舌でぺろりと舐め取った桃子を指差した斬乃が凛と宣言する。
「邪悪ロリになったあたしは13歳くらいに身長も小さくなるわ。
 冷たく蔑むような目線と苛立っているような表情でサドくなる感じね!」
 説明的な台詞と共にビームでメタモルした斬乃はその直後にある事実に気付く。
「どうして胸はそのままなの!」
 だって言及が無かったし……
「いいわ。そんな事より、桃子?
 最強の助っ人(笑)怖くないですし(笑)自家発電してればいいですし(笑)余裕ですし(笑)
 もう↑邪悪ロリ(18) じゃなくて←邪悪ロリ(18) の時代ですし(笑)ですし(笑)おすし(笑)
 あ、あれ? え? ちょ、その、え? あ――っ!」

 ~不適切な映像が流れます。音声だけでお楽しみ下さい~

「あ、あたしは……邪悪ロリだって……!」
「こんな事して、只じゃ済まさない……!」
「やめ、そこだめっ! や、や、や、やぁ――!」

 ~カメラ、再開します~

 ぐったりと動かない斬乃が倒れた。
「女の子に何て酷い事を、執着ヤミー!」
 心に正義の炎を燃やす桃子。何かを言いかけて腹パンを食う虎鐵。
「そ、それだけは……それだけは許してくれ、でござる……」
 彼が命を賭けて撮影したデータを握り締める桃子。
「皆の犠牲は決して無駄にはしません!」
 戦いは続く!
「あたし、回避が高いのよ。具体的に言うと158とかあるのよね」
 放たれるビームを華麗に避けて、エレオノーラが言う。
「喰らってしまったら仕方ないけど、確率的には高くない方だと思うわ」
 ひらひら。
「でもね」
 ひらひら。
「どうしてさっきから、あたしばかり狙うのよ!?」
「俺がエレオノーラ・カムィシンスキーのある事実に気付いたのは……
 冷たい雨が降る六月の日の出来事だった!」
 エレオノーラは息を呑む。主張の意味は分からないが兎に角凄い迫力だった。
「一目見た時から少女だと思っていたのに! 元ロシアの工作員でKGBか何かの出身、ビジュアルは天使とかまるで邪悪ロリだと思っていたのに!」
「は、はあ!?」
「男ってのはどーゆー了見だッ!」
「知らないわよ!」
 悲鳴めいた言葉、直撃するビーム。
「あたしは貴方の嗜好を否定しない。
 あなたは確かに最下層近辺の住人だけど、もっとおかしな病人はこの下層に大量に存在する
 でもね、どんな女の子でも『邪悪』だ『性悪』なんて言ってたらきっと傷付いちゃうわ。そんなのは駄目」
 フォローになっていないフォローをするエレオノーラ。ビジュアルは変わらないがその身体は夢の! 女の子になっている。おっぱい!
「あたし? いやよ同性愛とか非生産的な事」
「女の子じゃん」
「今はね」
「ずっと」←逃避
「えっ……」
「えっ……」
 佳境を迎えた決戦は自ずと決着の時間を望み始めていた。
「知性のない獣共は論外だが、貴様のような我欲の塊はその畜生にも劣る。
 力の行使はまだしも、聖戦の麗句を並べ己を正当化し他人を巻き込む等、笑止。くだらん詭弁だな」
 青い髪の高速ロリがひゅんひゅん無駄なスタイリッシュポーズとカメラ目線を決めながら己が主張を展開する。
 SIBA(24)だろうとSIBAKO(16)だろうと大して変わらん。
「桃子、お前も言ってやったらどうだ。ホーリーメイガスの本懐すら遂げず、ゆらゆら虚しく時間を無駄にする羽虫め」
「あーん。手が滑ったぁ★」
「アサルトライフルのヘッドショットより正確に繰り出されたパンチなのです><」
 正義の心を燃やす桃子のパンチに錐揉みしながら宙を舞うSIBAKO(16)。堅実な解説に定評のあるえなちゃん。
 最早着地点さえ見えぬ不毛な戦いは争いの無意味さを示していた。
「なんで貴方生きてるの? 万象なの? 森羅なの?」
 少し浅黒い肌に長い黒髪。
 声を発したのはオリエンタルな雰囲気を漂わせる少女、フツ子さん。
「現世に不満があるなら、心を変えていけばいいの。
 心ってのは宇宙なのよ。宇宙ってことは世界なんだから。
 辛い事もある。挫けてしまう事だってあるわ。でもね、負けちゃ駄目」
 心に染み入るその声に誰からともなく声を上げる。
「徳……」
「徳高ぇ……」
「邪悪ですらない……」
 エンジェル・ロリ。
「世界を渡ってくる前にすることがあるでしょう?
 あなたは性悪少女の地位向上を訴えている。新世界の神になりたいと言う。
 それなら変なビームで周りの人を邪悪ロリに変えるより、まず自分を邪悪ロリにする位の事してみなさいよ。
 自分を大切にできない人が、大切なものを大切にできると思う?」
 感動超大作!
 北風の戦いを今まさに太陽のような慈愛が癒そうとしていた。
(桃子によって)傷付いた者も(桃子による)不幸な犠牲も、今は遥か。
 暖かなフツ子さんに黒いのは「すまねぇ、すまねぇ」と涙に咽ぶ。
「うん。いいのよ、分かってくれたら。
 人は誰だって間違うわ。大切なのは、間違いを正して明日に向かう事。
 そんなあなたを私は応援したいの」
 おや?
「このツボ。あと天国の蓮の葉の指定券ね。持っていればきっと救われる。
 大丈夫。大丈夫よ、そこの『無明君』でちょっとね。借りてきてくれればいいから、ね」

 ――霊感商法どっとはらい。
 アザーバイドはその後帰りました! もうおわゆ!

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 YAMIDEITEIっす。

 ヤケクソになってやった。今も反省していない。
 YAMIDEITEIはやっぱりマゾよりサド寄りだと思うのです。
 まぁ、うっかりちょっと気持ちよかったのは確かですけど★
 愛が大事ですよね、愛が!

 カオスゲージ?
 いたいけなアザーバイドさん><
 アザーバイドさんかわいそう><。

 シナリオ、お疲れ様でした。