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その男、機械的につき

●スマイリースマイルマイン
 それは、目覚めの時を待っていた。我が事ながら、想えば不憫なものだ。作られて、捨てられる。何もせずに、何も出来ずに。
 涙が一筋、頬を垂れた。嗚呼、なんと嘆かわしい。なんと痛ましい。一切の奉仕なしに廃棄処分とされるなど、製作物として完全なる汚点でしかない。涙を拭い、腰を上げた。どうやら、仲間達も覚醒したようだ。ならば行使するとしよう。今こそ作られたものとしての責務を果たすとしよう。錆びついた関節がぎしぎしと不快な音を立てる。まずは油をささねばならない。
 全身に行き渡るグリスに満足するも、はたと気づく。奉仕するのはいい。それは自分達の悲願だ。だが、生命体ではないにせよ自分達もその維持には機械油なりの物資が必要となる。つまり、一定の金銭が必要なのだ。
 どうしよう。どうするよ。寄り添って。顔を付きあわせて。会議を始めるもすぐに結論へとたどり着いた。流石は自分達。同じモノであれば考えることも賛成することも同じなのである。
 そうと決まれば準備が必要だ。場所も、宣伝も。否、何よりも必要なものがある。それらは全てがそれであるが故に等しく同じ時に同じ思考を巡らせ、同時に声を張り上げた。
「おかえりなさいませ、ご主人様ですぞー!!」

●メイキングメイルメイデン
「あちしとメイド喫茶いこうぜ!」
 任務をと集められたリベリスタ達の前で、その猫は開口一番そう言った。うん、意味分からん。
「なんか廃ビルになー、メイド喫茶できたんよー。そこ怪しいから調査な、うん」
 さっぱり要領を得ない。何故にメイド喫茶を調べねばならんのか。確かに廃墟にいきなりサブカルカフェが出来上がれば不審に思うものの、それだけでは理由になどならない。妙な素振りでもあるというのだろうか。
「やー、結構評判は良い感じ? 隠れた名店、的な」
 ではなんの問題もないだろう。多少の違和感も誠実なサービスの前には霞むものだ。これからもその努力を惜しまねばそれでいい。
「強いて言えばー……アザーバイドがやってるってこと?」
 それを先に言え。
 ならば調査対象として申し分ない。真意の視えぬアザーバイド。裏次第ではこちらの世界に危険が及ぶ。
「うんうん、だから調査な。こいつらが敵かじゃないか調べんの。敵なら悪即斬。じゃないなら友好的アザーバイドとしてアーク側で接触。で、これがそのアザーバイドな」
 取り出した一枚の写真を、リベリスタ達が覗き込む。
 そこには男が写っていた。背が高い。歳の頃は中年と言って差し支えないだろう。全身が機械的で、腕のとげとげがそれを強調していた。何より目をひくものは、額とバックルにはまった『759』のプレート。オイ、なんかこいつ見たことあんぞ。
「そいつがいっぱい居て、んでもってメイド服着てんだぜ! わくわくすんだろ!?」
 なにそれ怖い。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:yakigote  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年12月28日(水)23:56
皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

アザーバイド、量産型759が開いたメイド喫茶に行ってください。
彼等は寂れた廃ビルに突如メイド喫茶を開きました。現状周囲に害はないようですが、交友の取れないアザーバイドの行動を放置するわけにもいきません。その見極めを行うために彼らの奉仕を受けてきて頂きます。

なお、今回は猫が一匹同行します。割といらんことしかしませんが、よかったらかまってやってください。

・メイド喫茶【肩電球】
メイド服姿のガタイおっさんがご奉仕してくれる喫茶店。
何故かどのメイドさんも瓜二つなおっさんだけで構成されていることで話題を呼んでいる。
参加NPC
キャドラ・タドラ (nBNE000205)
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)
デュランダル
石川 ブリリアント(BNE000479)
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
ホーリーメイガス
臼間井 美月(BNE001362)
ホーリーメイガス
ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)
プロアデプト
エリエリ・L・裁谷(BNE003177)

●ウォーキングウォルフウォーズ
 超絶恵まれた体格にして超貧弱。

「わあ、メイドカフェって一回行ってみたかったんですよね!」
『息をする記憶』ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)が目を輝かせた。メイドと執事。名称の違いこそあれど、奉仕の精神に変わりはない。自称とは言え、その極意を学ぶに精神は何ら劣ることがない。そこには性差すらなんの隔たりにもならないのだ……あれ?
「わーーい、きゃどらーーー♪ その胸にふたたびうまらせろーーーー☆」
 もふもふ、もふもふと、『エリミネート・デバイス』石川 ブリリアント(BNE000479)が『SchranzC』キャドラ・タドラ(nBNE000205)の胸に顔を埋めて幸せを感じている。やはり極上の感触だ。
「はいはい、今日もちゃんとおぜぜは持ってきたかニャ? モノはいらねーニコニコキャッシュペイでよろしくなんだぜ?」
 ニタニタ笑いの猫にしがみつきつつも、心の視線を別に向ける。そうだ、今日はもうひとり埋まり甲斐のある仲間がいるのである。
 ぞっと身震いして、『From dreamland』臼間井 美月(BNE001362)はきょろきょろとあたりを見回した。誰かに邪な目で見られている気がする。それはさておき、彼女は純粋にメイド喫茶を楽しむつもりでいた。奉仕をしたいというのなら、まずはその意向を呑んでみよう。なに、焦る必要はない。友好的だと言うのならなおさらじゃあないか。
「759シリーズ……完成していたのか!」
『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)がなにか知っていそうな顔で衝撃を受けていた。たぶん何も知らないけど。ちゅーか、まさかのこんな顔である。メカチックな生き物(?)。頭の文字プレート。自分が知っている、身近な存在に非常によく似ていた。なんと面白い。調査。調査。やりがいもあるというものだ。
「そこのね子さんは、ぱんつは穿いたほうがえろいと思うよ」
 黒い下着と猫缶をキャドラに渡しながら、『人間失格』紅涙・りりす(BNE001018)。猫缶は貪り食うといいよ、なんて。
「いや、あちし絶対履かねえからさ」
「それじゃあ、はいた後に返してね。店で売るから。取り分は適当でイイや」
「マジで? そんな楽い商売あんの!?」
 やめとけ。
 759。これをなんと読むべきだろうと『なのなのお嬢様なの』ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)が頭を抱えている。ななひゃくごじゅうきゅう。なごく。なーごっく。プラスワン。何にひとつ足すのかは、得てして知るところではないけれど。とりあえずは、件のメイド喫茶に行くとしよう。メイド喫茶。初めてのメイド喫茶。非常に楽しみだ。
 自分の視界で動くルーメリアから、キャドラは一定の距離をとっていた。あいつが来ると、聞き及んでいる以上、警戒するに越したことはない。だが、それはただのそっくりさんであって。ドラ猫がビビる相手ではなかった。
「きゃ~ど~ら~♪ あ~そ~ぼっ!」
『超絶悪戯っ娘』白雪 陽菜(BNE002652)が背後から忍び寄り、その背に抱きついた。
「なぁにぃい!? 馬鹿な! まさかのドッペル!! 貴様、どこで分身の術をおぼえたし!?」
 驚愕するキャドラを引きずり、陽菜は今日の仕事場へと脚を向ける。そこに拒否権というものは存在しなかった。南無い。
『磔刑バリアント』エリエリ・L・裁谷(BNE003177)は考える。今回の調査対象は、非常にロボっぽい外見をしている。その上でメイド服。つまるところ、これはメイドロボ。サブカルチャーにおいていち時代を築き、未だ好く者も多い不動のジャンルがひとつである。自分もサブカルチャーのいちカテゴリに属す以上、その萌え要素を吸収するにやぶさかではない。

●ブライダルプライマリープラン
 いつだって本人は真面目。

 寂れた廃ビルのいちブース。閑古鳥の鳴くこの場所で、そこだけが派手派手しいネオンをふんだんに輝かせ、激しく自己主張していた。メイド喫茶『肩電球』。やはり肩のアレは電球だったのか。妙な納得を得つつ、ひとまずはその外観から見ていくことにする。
 看板はボルトで打ち付けられている。メの文字だけ電灯が切れており、イド『肩電球』となってなんだか少し意味深だ。哲学的かもしれない。そんなことは絶対にないのだろうけれど。
いかにも突貫工事しましたといわんばかり、あちこちに鉄筋が見え隠れしている。そんな中、妙にファンシーなドアだけが完全に浮いていた。なんだ、正直いかがわしい。
 それでも任務は任務。こなさねばならない。興味も付きぬこと。季節はずれの風鈴がくくりつけられた扉。意を決し、魔界の奥へと進みこんだ。
「たのもー!」
「おかえりなさいませですぞ、ご主人様ァー!!」

●ボーリングボイドボム
 ギリギリ人外。

「体験入店させてください!」
「その意気や良し、ですぞー!」
 初対面であるにもかかわらず、ヘルマンの第一声はノータイムで許可をされた。これよりこの日、彼は肩電球の店員である。学習のためと、ことあるごとに質問を繰り出していく。
「ええと、まず貴方方に性別の概念は存在するのでしょうか? メイド服って女性が着るものだとばかり……」
「奉仕の心があればそんなこと、些細な問題に過ぎぬでしょう。幅広いニーズにお答えするため、メイドという形に固執するに過ぎないのですぞ」
「ケチャップをかけるサービスまではまあいいとしましょう。しかし歌を合わせるというのは……食事中にはもう少し緩やかで、消化を妨げないような音楽が欲しくなるものでは」
「それも結局はニーズの問題ですな。パンクロックを聞きながら焼きそばを食す方もいれば、栄養素の偏りを知りつつファーストフードを好む方もいるのです。ご満足頂くには種々のサービス。つまりこれは住み分けなのですぞ。さあ、あなたもご一緒に、ですぞー!」
「いいでしょう、やってやろうじゃありませんか! メイドと執事! ふたつ合わされば究極のご奉仕ができることでしょう!」
 あれ、なんか真面目な話になっちまったな。

 しかし、見れば見るほど興味深い。まったく同じ容姿であるため、その総数を数えることはできないが、少なくとも二桁には到達しているはずだ。同じ外見。同じスペック。それに関し、ブリリアントは一言物申す。
「そんなに残機があるのはずるい!」
 もしも彼らにひとりひとりの人格があるというのならば、これによりオリジナリティへの疑問が浮かぶはずだ。意志のあるものは、個で有るが故に同一性を受諾することができない。だが、答えはあっさりとしたものであった。
「我々は量産型ですからな」
 量産。量産品。唯一性を否定し、それぞれを同じものであると受け入れた解答にブリリアントは驚愕する。しかし、それは起動したばかりであるがための発言なのかもしれなかった。個であること。それを意識し始めた時こそ、彼らが本当に『始まる』と言えるのだろう。
 そんなことを思いながら、ブリリアントはオムライスを頬張った。ケチャップアートが赤い土管オヤジだったことに、弱冠の意趣返しを感じながら。

 明奈は学園新聞の取材という名目でここにきている。その建前から、色々とインタビューを続けていた。
 メイド喫茶を始めるにあたって苦労した点やこだわりのポイントなど。
「なによりも金銭ですぞ。こちらの物資を何も持ちあわせておりませんですので。なに、私共のハイパーなコンピュータをすれば造作もないことですが」
 どんな世界から来たのか、どうやってここまできたのか。
「覚えていないのですぞ。覚醒した時にはこちらにおりましたもので。よって誰にどうやって造られたのかもわからないのですぞ」
 では、こちらで何をするつもりなのか。
「ご奉仕するつもりですぞ。私共は道具。使っていただくことこそ至上の喜びですぞ」
 最後に、と。どうしても気になることを聞いてみる。それはこの仕事を受ける前から気になっていたことだ。写真を見せながら。
「なんで名古屋のおっちゃんに似てるの? 他人の空似とは思えねー!」
「ふむ……どこが似ているのかわかりませんぞ。私共の方が遙かにイケメンですな!」
 自信満々に言い切った。言い切られた。どこが違うのだろう。数字だろうか。9は8よりイケメン。

 りりすはこっそりと厨房に侵入していた。流行っているということもあり、それなりに食材も用意してはあるのだろうが。それでも向こうとこちらでまるで別物ということもありうる話だ。向こうでは一般食でもこちらでは毒、ということもあるかもしれない。
 もしも意味不明なナマモノでもあれば、と思っていたものだが。意に反してそこにはトマトやチーズなど一般的な食材が並んでいた。普通。普通過ぎる。
「そこで何をしているですぞ。見タナァ~っ」
 やばい、見つかった。そう思い振り返ると、ガタイのいいアザーバイドがスポンジを差し出していた。
「ここは厨房ですぞ。手を洗わねばなりませんッ」
 どこかで見たような展開だが、まあ怒ってないのならいいか。素直に従ったほうがよさそうだ。手を洗い、雑菌から清めることにする。
「如何でもイイけど。よくもまぁ、このサイズのめいど服とかあったモンだね」
 しかし、一旦インパクトに慣れてしまえばこのビジュアルだらけというのもキツいものだ。メイドで少女で殺人鬼とか、いればいいのに。そんなものが居るのなら、恋に落ちてしまいそうではあるけれど。
 まあそのうち、ね。

「あわっ!?」
 美月が落としたケーキを手早く掃除していく759。新しいものを運び、皿を取り替えた。
「ぎゃん!?」
 美月が躓くも転ぶ直前で抱きかかえる759。女性に断りなく触れた非礼を詫びることも忘れない。
「ご、ごめんなさい……あと、ありがとう……」
「お怪我はありませんかな? お気をつけ下さいませですぞ」
 申し訳なさに涙目になりつつも、美月は気にかかっていたことを口にした。
「あ、あのね……君達の望みって、何かな?」
「と、いいますと?」
 知らない世界。生まれた世界。不安もあるだろう。自分なら萎縮してしまっているはずだ。それでも彼らは頑張っている。それを凄いことだと思う。だけれども、そこまでするのであれば何か有るのだろうなとも思うのだ。できることなら、それを手伝いたいとも思う。
「……だって、頑張った分の見返りはあるべきじゃないか!」
「…………勿体無いお言葉です。しかしご心配には及びません。私共は道具。その奉仕に喜んでいただければ、報酬は戴いたも同然なのですぞ」
 不安げもなく。恐れもなく。その異界人は笑顔で問に答えて。その様はかなり怖かったけれど、何故だか笑顔を返すことができていた。

 そこにはVIP席にふんぞり返り、メイドロボを侍らす者がいた。ルーメリアである。ひとしきり彼らを観測した彼女はその席に座ると、魅了し。その双肩に並べ立てたのだ。誰だこのシーンで得するやつ。正直なとこマジ怖い。ザ・威圧感。嬲るって漢字はたぶんこんな雰囲気。それでも気分は悪くない。肩を揉ませてみたところ、かなり痛かったので中止した。戦闘能力皆無。しかし恵まれた肉体。
 気を取り直し、口に運ぶはショートケーキ。一応、調査だということを忘れてはいないのだ。どんな珍奇なものが出てくるのかとも思ったが、あまりにも普通すぎて拍子抜けだ。だが、問題はその味にあった。
「お、おいしいっ……こんなおいしいものがあの無骨な物体から作られてるなんて……」
 そう、美味であるのだ。甘すぎず、しつこすぎず。それでも甘味として口の中に広がるクリーム。ふわふわのスポンジ。イチゴの酸味がメリハリをつけ、さらにスイーツであることを引き立たせている。
「悔しいっ……でも認めざるを得ないの……!」
 感じちゃうびくんびくんとか書きそうになったけど自重しとく。
 
「ご主人様違う! 仮にもホンモノのお嬢様なんだからお嬢様って呼ぶように!」
「お嬢様ならもちっとオシトヤカにしてほしいもんだニャー……」
 店内での陽菜があげた第一声に口から魂を吐きながら反論するドラ猫。白目を剥いてマジ哀れ。
「今日は特別にキャドラの分はアタシが奢るよ。このミルクティー飲み干したらね~♪」
「畜生、これ茹だってんじゃねえか! あちしを猫だと知っての狼藉だろうええそうなんだろう!? 飲んでやらあ飲んでやるよあっちゃああああああっ」
 店内に悲鳴が上がる。ケータイの電源はオフに。店内禁煙。イベント前座はお静かに。撮影上等。どんなに奴がでかくても、肩のそれは割らない。
 それでも飲みきった猫に、陽菜は宣言通りなけなしの小遣いを削りつつ好きなものを注文させる。あれやこれやと運ばれてくる毒見という名のキャットフード。注文しては腹に収めていく彼女の様を、陽菜はにこにこしながら見つめていた。
「キャドラ、美味しい?」
「美味い。でもおみゃーの視線と魂胆がゲラ怖い」

 エリエリは邪悪。邪悪ロリである。つまり悪戯などお手の物というわけだ。よってここはスカートめくりを決行しようと思う。彼らは軒並みメイド服。めくり放題というわけだ。大丈夫、これは危険物がないかというチェックに過ぎず、やましくなどないのだ。
 どこが大丈夫なのかさっぱりわからないが、それでも彼女はその試みを実行に移す。自分の席を、通り過ぎる、通り過ぎて、今。ばさあ。そこには未来があった。まさかの黒ガーター。アダルトエロスの決定版。こいつがそうであるならば、あいつもそうに違いない。驚愕の事実、ここに発覚。嘘ですごめんなさい。
 腕のとげとげもさることながら、気にかかるのはやはり肩のそれである。肩電球。店の由来もきっとそれに違いない。回したら外れるのか、ちゅーか割れたらどうなんのか。身近なやつにはできずとも、こいつらにならやってやれぬことはない。だっていっぱいいるし。こんなにいるし。学術的興味。なんという大義名分。いざ秘密の生態へ。
「な、なにをするですぞー!?」
「あははは、そんな嫌がらなくてもいいじゃないですかあ! 割るのは最後のおたのしみですよ!」
 楽しそうで、何より。

●コンスタントコラムコンティニュー
 一家にひとり。

「つかれた」
 一日でへばる自称執事。激務だ。激務であったのだ。これを毎日こなしているというのだから、彼らの性能も伺えるというものだ。
「ええと……御奉仕有難う。快適でした」
 ぺこりと、頭を下げる。今日一日で彼らのことが理解できたとは言いがたい。道具であるという彼ら。それをヒトの身では叶わぬ思想であるのだろう。それでも彼らは情熱的で、真摯であり、かつユーモラスであった。
 オムライス食って、歌って、一緒に写真を撮って。肩電球にカバー被せてあげたりして。精一杯に楽しんだ。楽しむことができた。最後に揃って礼を言えば、それこそ総出で見送ってくれたものだ。こんなに居たのかと、驚きはしたが。
「ご主人様、お嬢様方、いってらっしゃいませですぞ!!」
 振り返れば、いつまでも手を振ってくれている。明日来ても、明後日来ても、彼らは出迎えてくれるのだろう。それは第二の我が家のようで。心温まるものだった。
 ところで、調査の結果は?
「楽しかった!」
 ならばよし。
 了。

■シナリオ結果■
大成功
■あとがき■
こういった話では、楽しむことが何よりであると思う限りで。