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●種族とジョブ●
  

●ジョブ

 キャラクターはそれぞれ戦う為の力を修めています。
 神秘の力を戦いに生かす為の術をここでは『ジョブ』と呼び、各キャラクターを役割や傾向ごとに分類します。
 プレイヤーはキャラクターを作成する際、以下の中から好きなジョブを選択する事が出来ます。(ゲームの進行と共に増えます)


・デュランダル

 デュランダルは物理破壊力を極めた近接型のパワーファイターです。
 全職中最高級とも言える、非常に強靭で危険なスキルを揃えたダメージディーラーです
 ただ一つの目標を完膚無きまでに破壊するという一点において、デュランダルに勝る者は居ないでしょう。

初期保有スキル:

【オーララッシュ】

輝くオーラを纏って連続で斬り付けます。
威力はそれなりですが、扱いやすいスキルです。

【メガクラッシュ】
全身のエネルギーを武器に集中させ一閃します。
デュランダルらしい強力な破壊力を持っています。
※イメージシーン『戦神の槌』

 ざわざわと風が夜の木立を揺らしていた。
 人気の無い公園、切れかけた外灯の下に佇むのは異形なる巨人。
 その両手は異常な程に長く進化しており――ぶら下げて動く様は何処か愛嬌のある類人猿を思わせた。
 だが、悲しいかな。目前の悪魔の顔は捩れた顔の一つ目だ。そんなに可愛気のある生き物では無かった。
「……失敗したな、お前」
 化け物に向かい合うように立つ少年が言った。
 まだ幾らかあどけなさが残る整った顔立ちの中で、一際人目を引くのは色素の薄い髪の毛と――ルビーのように赤い双眸。
「一つ目は、ここに在るのが間違いだ」
 呟いた少年は右手に軽々と――大剣をぶら下げたまま走り出した。
 常人が見れば一目で正気を失ってしまうであろう悪鬼目掛けて、まるで頓着する事も無く。
「二つ目は――」
 自身の言葉に応えるように少年の全身に素晴らしいまでの『力』が駆け巡る。
 そして、その全てのエネルギーはまさに次の瞬間、彼が振るう得物のみに集中した。
「――俺を、怒らせた事だ!」
 裂帛の気合と共に繰り出された大剣が閃光を放ち、爆発的な気を開放した。
 一撃は単に斬撃と呼んでは余りに手緩い奔流だ。破壊の光の激流だ。
 強靭なる肉体を喰らい、裂き、引き千切り、敵の断末魔さえ飲み込んだ。
 唯、圧倒的な殲滅。
 単純極まる破壊。
 結論を違える事は無い、それは力の論理そのもの。
「失敗だって――言っただろ?」
 夜月霧也は軽く笑ってうそぶいた。
 そう、彼の前に残されたのは上半身を失い崩れる巨人の姿――

・ソードミラージュ

 ソードミラージュは最高のスピードを持つ軽戦士です。
 速度を破壊力に変換するスキルを持つ為、高速度・高回避と破壊力を併せ持つ事が出来ます。
 技量の高いソードミラージュの戦い振りはまさに華麗の一語に尽きるでしょう。美しく、圧倒的に強いのです。

初期保有スキル

【ハイスピード】
発動する事で身体能力のギアを上げます。
自身に速度と回避力を付与します。

【幻影剣】
幻影で敵を翻弄し、鋭い斬撃を加えます。
技巧的なこの技は敵の弱点を的確に狙います。
※イメージシーン『疾風残影』

「任務、遂行します」
「っ、な――!?」
 始まりは無味乾燥とした女の言葉だった。
 何気無く発されたその一言と共に山崎の視界の中の玲香の姿がぶんとぼやけた。
 山崎がそれが圧倒的な速力による残像効果だと理解するのにゼロコンマ一秒、目でその影を追うのに更にゼロコンマ一秒の時間が掛かる。
 彼のその様を鈍重と責める事は出来まい。
 彼は何一つ間違えては居なかった。必要最低限のプロセスで状況を正しく理解していたのである。
 彼に咎が無いならば、それは即ち――
(……速過ぎる!)
 ――そう、即ち。目の前の女、白銀玲香が常識を超越しているという事実に他ならない。
 躍動する影に、重なり閃く銀の光。くぐもった悲鳴、そして静寂。
 神速と呼ぶに相応しい。この時既に。指示を出す暇も無く、彼の目前で彼の部下達は一様に崩れ落ちていたのだから。
「投降する事を勧めます」
 玲香は奢る事無く、油断をする事も無く淡々と告げた。
 奇しくもそれは山崎がつい先程、嘲り混ざりに彼女に告げた一言でもあった。
「馬鹿な……!」
 山崎は吠える。
(負ける筈は無い、負ける筈は無いんだ。俺は進化した、選ばれた存在なんだ――!)
 新たに得たその力を全身に漲らせ、コンクリートの床を蹴り割った。
 目標までは一息、女の頸をねじ切ろうとその右手が伸ばされる。
 だが、彼が掴んだのはまたしても――玲香の影と僅かな残り香。
「標的、殲滅します」
 声は非情の響きを秘めていた。
 幻と遊ぶ山崎の、がら空きの喉を玲香のナイフが今、切り裂いた。

・ナイトクリーク

 ナイトクリークは必殺に特化した変則的な戦士です。
 攻撃力以上の殺傷力を発揮する局面が多く、調子に乗った時の威力は極めて危険な領域に達します。
 連続で放たれるクリティカル攻撃は『至高の暗殺者』の技に相応しい威力を持っています。

初期保有スキル:

【ギャロッププレイ】
全身から放つ気糸で敵を締め付けます。
敵を縛り上げ麻痺を与える攻撃です。

【ブラックジャック】
敵の頭部目掛けて致命的な一撃を加えます。
この特殊な一撃を受けた敵は危機に陥るでしょう。
※イメージシーン『今、訪れる破滅』

「ほうほう、それで?」
 堅牢なる目前のゴーレムを目にしても丸井あるなは余裕の風を崩さなかった。
 リベリスタをしても、そう――例えばデュランダルの破壊力をもってしても容易く崩すには到らない鉄壁の防御力。
 生半可な攻撃は通用しない、それを彼女は既に良く知っていたのにである。
 咆哮を上げたゴーレムがその巨大な腕を振りたくる。ゴーレムの一撃を受けた自動車がコンクリートの塀に叩き付けられ破壊音を立てる。
 荒れ狂う暴力の塊と立ち向かう少女を比べるのは余りに酷だ。
 事実、あるなの攻撃はここまで通用してはいない。
 とは言え、これがあるなで無かったとしてもそう結論は変わらないだろう。
 ゴーレムは強い。満場一致の化け物と可憐な少女の対比は、大凡対決の風では無いのだが――
「じゃ、そろそろ本気出すとしますか」
 小さくステップを踏んだ少女――黒猫の影が鈍重なゴーレムを翻弄した。
 あるなが狙うのは一瞬の隙。
 攻撃が通じないならば、通じさせればいい。隙が無いなら、作ればいい。
 勝利への戦闘論理はまさに必殺を旨とするナイトクリークにこそ相応しい。
 紙一重の攻防が続く。敵の一挙手一投足があるなの感覚を研ぎ澄ませていく。
「――今!」
 そして、あるなは高く跳んだ。
 まさに腕を振り下ろし姿勢を前に傾けたゴーレムの顔がその小さな体の目の前にある。
「あるなさんは、あまくねーっ!」
 繰り出された円月の刃の一撃は動きを失ったゴーレムの頭をバターのように縦に割る。
 鉄壁とて最早無意味。ナイトクリークの必殺は――どんな敵をも逃さない。

・クロスイージス

 クロスイージスは防御能力に優れ支援も得意とするバランスの良い戦士です。
 味方をも護るその強固な防御能力を攻撃力に変換することで、敵の強化を破壊する能力も併せ持っています。
 堅牢なる盾は簡単に破られる事はありません。クロスイージスは悪夢の要塞の如く敵の前に立ち塞がるのです。

初期保有スキル:

【ヘビースマッシュ】
全身の膂力を爆発させ、一撃を叩きつけます。
燃費の良い基本的な攻撃スキルになります。

【ブレイクフィアー】
神々しい光を放ち味方を苛む危険を打ち払います。
味方全体の状態異常を頼もしく回復します。
※イメージシーン『ジャスティス!』

 咆哮と共に閃光が迸った。
 彼我の僅かな距離を灼くのは破滅の光。
 目前の大口の吐き出した一撃は固いアスファルトをグズグズに溶かして薙ぎ払い、一瞬の後には焔藤鉄平の姿を飲み込んだ。
 響く悲鳴。気のせいかにたりと笑んだ化け物を目の前に、腰が抜けたままの少女がぎゅっと目を閉じる。
 だが、しかし――
「……勝った心算か、化け物め……!」
 禍々しき光の奔流の去った後には影が一つ。
 言わずと知れた鉄平の姿に涙目の少女の顔がかすかに綻んだ。
「待ってな、お兄ちゃんがアイツぶっ倒してやっからな」
 微笑みかけた鉄平に少女はこくこくと首肯した。
 その円らな瞳に映る鉄平は焼け焦げ、負傷し、消耗している。
 それでも彼の全身から陽炎のように立ち上るオーラは見る間にその傷さえ塞ぎ、彼に戦いの為の活力を与えていた。
「さあ来い、化け物!」
 走り出した鉄平を今一度、大口の吐き出した光の波が迎え撃つ。
 鉄平は怯まない。膂力を爆発させ、加速し、一直線に正面から――光そのものに肉薄する。
「鋼鉄の拳で悪を討つッ! はあぁぁぁぁっ!」
 裂帛の気合が拳に乗る。正義の勇気の重さを乗せたその拳はその一撃さえ切り裂いた。
 潜り込んだ鉄平の拳が向かうのは更にその先、もっと先。

 おおおおおおおお……!

 視線が交錯、次の瞬間――鉄平の拳は立ち尽くした化け物の口の中を貫いていた。
「ジャスティス!」

・覇界闘士

 覇界闘士は格闘武器の扱いに特化した武道家です。
 攻防命中回避全てにそつがなく、同時に高い継戦能力を備えます。
 達人ともなればその動きを捉えるのは容易ではありません。神域の技量は敵を苦も無く屠るのです。

初期保有スキル:

【業炎撃】
炎を纏った拳で一撃を加えます。
命中が高い上に火炎を与えるスキルですが、格闘属性を持つ武器以外を装備した場合、使用出来なくなる事に注意して下さい。

【斬風脚】
鋭い蹴撃でかまいたちを放ちます。
遠距離攻撃も可能な強力なスキルです。格闘属性を持つ武器以外を装備した場合、使用出来なくなる事に注意して下さい。
※イメージシーン『武技乱舞』

 達人の戦いはまるで舞踏のようであると云う。
 まだまだ未熟と自認する李美楼であったが、なかなかどうして。その動きは風に揺れる柳の如くしなやかだった。
「死ね――!」
 繰り出された槍を紙一重で避ける。
 更にもう一方から突き出された刃を脚で払い、続いて突き出された剣の腹を掌打で弾く。
 手甲をつけただけの無手とは思えぬその余裕。多対一にも関わらず、刃を持った大男達に囲まれているにも関わらず、小柄な少女は圧倒的にこの場を支配していた。
 息を切らせる男達に対して、美楼は全く呼吸を乱していない。
「アイヤー、クンフーが足りなかったアル」
 しかし、彼女の口を突くのは反省の弁である。成る程、彼女の視線の先を追えば、チャイナドレスの裾が軽く切れていた。
「また爺ちゃんに怒られるアル」
 武の道は一日にして成らず、唯只管に修練あるのみ――それは美楼が大陸に居た頃、日々言い聞かせられた言葉である。
 努力の為に努力をするのはどうかと思う事もあったのだが、彼女はそんな直線的な師父の心が嫌いでは無い。
「くそ、馬鹿にしやがって!」
「アイヤー!?」
 相手にされて居ないと感じたのか、怒号と共に男達は美楼の下へ殺到した。
 そして続いた攻防の何と美しい事か。
 流れる水の動きで美楼は幾重の斬撃を受け流す。
 前のめりに乱れた男の体勢に合わせるように掌打を当て、気をもって吹き飛ばす。
 ドレスのスリットから覗いた細い足は浮き足立つ男の槍の穂先を斬り飛ばす。
 更に火炎を帯びた鉄拳は懲りない男の眼前で寸止めされた。
「……こ、降参する……」
「――明鏡止水の勝利アル」
 大立ち回りにも美楼は余裕たっぷりに笑んだまま。

・スターサジタリー

 スターサジタリーは素晴らしい遠距離攻撃性能を誇るシューターです。
 装備の影響から回避力は犠牲になりますが補って余りある破壊力と命中力が頼もしい存在です。
 何人もスターサジタリーの狙いから逃れる事は出来ません。彼等の狙いは違う事無くその敵を射抜くのですから。

初期保有スキル:

【1$シュート】
射程から1$硬貨さえ撃ち抜く精密射撃です。
部位狙いをしても命中が低下しなくなります。
射撃属性を持つ武器以外を装備した場合、使用出来なくなる事に注意して下さい。


【スターライトシュート】
光弾を複数同時に放ちます。
複数の敵を対象に攻撃出来るスキルです。
射撃属性を持つ武器以外を装備した場合、使用出来なくなる事に注意して下さい。
※イメージシーン『魔弾の射手』

 貴方は妖精を見た事があるだろうか。
 いや、何も本物でなくてもいい。漫画やアニメ、絵でも何でも構わない。
 小さくて可憐な、虫の羽の生えた妖精だ。
 犬塚耕太郎の視界の先にはまさに今、そんなファンシーな存在がケタケタと笑っていた。
「……ちっくしょー、性格悪いな、コイツ」
 だが、ケタケタと笑う嫌らしい妖精の声と恨みがましい耕太郎の表情を見ればその『ファンシー』の性質は知れる。
 可憐な見た目にはそぐわない、邪悪なる異世界住人。それは確かにこの世界にとっての敵だった。
「コロシチャオッカナ?」
 小さな女の子のような声で、片言の言葉を話す妖精。
 彼女の動きはまさに疾風のような素早さだった。
 体躯から考えれば耐久力がある筈も無いのだが、ここまで多くのリベリスタの攻撃をいとも容易く避けている。
 手にしたミニチュアのナイフは威力こそ小さいが、嬲り殺しにしてやろうというその持ち主の心を示す程度には鋭利であった。
「こっちの台詞だよ、まったく」
 耕太郎は手にした弓を引き絞る。
 彼我の距離は二十メートル。動き回る小さな妖精を正確に狙うにはそれだけでも難しい距離だ。
 増してや、敵は――常識を超えた速力を持っているのだ。
「キメタ、コロシチャオウ」
 馬鹿にするようにケタケタ笑った妖精はナイフを手にしたまま、ふと風になる。
 まさに目にも留まらぬ猛スピードである。この状態で狙って攻撃を当てる等、ましてや弓矢で射抜く等、冗談にしても笑えない。
 だが、妖精にとっての最大の不運は――耕太郎がスターサジタリーであった事であった。
 弓の弦がびんと鳴る。
 風切り音が間合いを引き裂く。
「キャハハハハハ――ッ……!?」
 笑う妖精は死の直前まで気が付かなかった。
 目の前の少年が自身さえ捉える魔弾の射手である事を――


・マグメイガス

 マグメイガスは極めて高い神秘攻撃力を持つ魔術師です。
 破壊力、状態異常を与える能力共に高く一流ですが燃費の悪さもそれ相応です。
 まさに後衛の花形です。多種多様に渡る魔術の奥義は魔道の真髄を見せ付けるものになるでしょう。

初期保有スキル:

【マジックミサイル】
詠唱で魔方陣を展開し魔力弾を放ちます。
基本的な攻撃スキルですが威力が高く燃費が悪めです。


【フレアバースト】
定点に魔炎を召還し炸裂させます。
範囲攻撃を行なえるスキルで威力が高く火炎を伴います。
※イメージシーン『我、汝に訴える!』

「あー、もうっ! このバカ人形っ! ムカつくのよっ!」
 閉鎖された遊園地の中を闊歩する玩具の兵隊を前に梅子・エインズワースはついに癇癪を起こしていた。
 たかが玩具と笑う勿れ。エリューション化の影響を受けて力を得たそれがどんな存在なのだかは彼女の生傷が教えている。
「ちまちまちまちまちまちまちまちま……」
 倒した数は既に数十体。それだというのに人形達は後から後から沸いて出てくる。
 元々気の長い方では無い梅子にとって、丹念に虱潰しに敵を消していくという作業はとてつもなく不向きな仕事なのだった。
「姉さん、落ち着いて……」
「うっさい!」
 桃子の制止にも梅子は最早止まらない。
 目の前の人形達はそんな彼女を馬鹿にしたように頭を左右に揺らしている。
 玩具の鉄砲から弾を飛ばし、剣で桃子を斬りつけ、梅子に噛み付く。
「ああ、もう! 全部燃やす!」
 梅子の宣言は最早必然だった。
 この上なくハッキリキッパリと宣言した彼女は据わった目で低く呪文を唱え出した。
 いざ本気になれば彼女は魔術師。一級一流の魔術師なのだ。
「力あるマナよ! 我エインズワースの声に応え、今ここに力を示せっ!」
 朗々とした一声を呼び水に辺りの空気がむわっと強烈な熱を発する。
「来たれ、業火っ!」
 力ある言葉が響き渡る。
 発動より一秒に満たない時間が過ぎれば、梅子に指し示された先――目の前の光景は灼熱の赤に染められた。
 空気中の酸素が魔力で燃焼を始め、一瞬で周囲を火の海へと変えたのだ。
「プラムちゃんにたてついた報いを受けるがいい! よっし、燃えろ、燃え尽きろ――っ!」
(……今更だけど、姉さんがマグメイガスは危険だわ……)
 大勝利。だが桃子は姉に見つからないように極々小さな溜息を吐いた。

・ホーリーメイガス

 ホーリーメイガスは戦闘力の低さ故に直接戦闘には不向きですが、パーティを組んでの戦闘では最高の存在感を発揮する神聖術師です。
 回復・支援系のスキルを全職中最も多彩に取り揃え、その有効性は折り紙つきです。
 聖なる力でパーティ全体の戦線維持を一手に担うその存在はまさに欠かす事の出来ない扇の要となるでしょう。

初期保有スキル:

【マジックアロー】
詠唱で魔方陣を展開し小さな魔力の矢を放ちます。
基本的な攻撃スキルで、燃費が良いです。

【天使の息】
癒しの微風を生み、味方単体を回復します。
燃費の良い基本的な回復スキルです。
※イメージシーン『我、汝に訴えます』

 戦いは熾烈を極めていた。
 荒れ狂う雷撃が地面を舐める。
 雷竜の放った一撃は広範囲に及びリベリスタ達を例外なく傷付けていた。
「……っ、姉さん、大丈夫……?」
 眉を顰めた桃子・エインズワースの視線の先には傷付いた姉が居る。
「誰に、言ってんのよ……あと、大丈夫な筈ないでしょうが!」
「どっちよ……」
 空元気の強がりなのだろう。梅子のあんまりな言い様に桃子は小さく苦笑した。
 大丈夫か大丈夫ではないかで言えば、生きているかという問いならば大丈夫だが、余裕があるかという問いならば大丈夫ではない、が正解である。
 そしてそれは桃子や梅子に限らない。今日、この場で戦うリベリスタ達全てが――圧倒的な強敵である雷竜の猛威の前に傷付き、消耗させられていた。
「……トドメを刺す気ね!」
 一声咆哮し、更に攻めかかってこようとする雷竜を見やって梅子が呟いた。
 これだけの死闘、中々お目にかかれるものではない。まさに命のやり取りとなった現場に心なしか彼女の表情までもが固い。
 確かにこの状態であと一撃同じモノを喰らえば、誰も無事では済まないだろう――
「姉さんは、絶対にやらせませんから」
 ――しかし、桃子の言葉はそんな未来を真っ向から否定した。
「私が居ます」
 短く言った彼女は返事を待たずに詠唱を始めていた。
 厚曇りの空の下、稲妻の咆哮を上げる雷竜に構わない。
「清かなる者よ。我エインズワーズの声に応え、歌を奏でよ。今ここに至上の福音を為せ――」
 柔らかなる歌声が響く。
「――聖なる、奇跡を!」
 天上の音色は傷んだ仲間達を例外なく癒し、失われた体力を取り戻させた。
 絶体絶命の窮地を救われ、意気が上がる。
 仲間達は得物を握り直し空の敵を睨み付け、桃子はそんな姿に頷いた。
「さあ、しっかり! 勝負はこれから、ですよ」

・インヤンマスター

 多彩な支援能力と変則的なスキル、高い命中回避を持つ後衛術士です。
 パーティ全体を強化する支援スキルを持ち、全体攻撃も得手とします。
 東洋で独自の進化を遂げたその技は変則的であり敵を見事に幻惑します。抜群の対応力がある事も強みです。

初期保有スキル:

【式符・鴉】

符術で鴉を作り出し敵を射抜きます。
基本的な性能はそこそこですが、敵を毒と怒りで翻弄します。

【守護結界】
印を結び、瞬時に周囲に防御結界を展開します。
味方全体の防御力を上昇させます。
※イメージシーン『漆黒調伏』

 放たれた呪符が鴉へと変化する。
 鉄をも貫く式神の嘴を正面から受けても、その獣は止まらない。
「ほう、これは中々」
 恐るべき巨獣の圧力にシャーク韮崎は小さな感嘆の声を上げていた。
 跳び退いた彼が先程まで居た場所は土がめくれ上がり小さなクレーターが出来ている。
 一目見れば分かる破壊の爪痕は、敵の持つ圧倒的な膂力を何より如実に示していた。
「力比べでは些か分が悪いかのう」
 シャークはそう言いながらもむしろ楽しそうに口元をにっと歪めた。
 その名の示す通り鮫のような獰猛な笑みである。強敵を目の前にしても彼は一歩も退く気はない。

 おおおおおおお……!

 闇色のオーラを放つ獣はざわざわとその造形を変えつつあった。
 元よりまともに此の世にあっていい代物ではない。だが妖怪変化の類等、彼にとっては見慣れたモノだ。
 何の獣とも似ても似つかない姿になったそれは訳の分からない叫びを上げながら一直線にシャークを襲う――

 ――いや。襲いかけて、その体がぴたりと硬直していた。
「生憎とな。儂も暇では無い身でな」
 歯を剥き出したシャークの額には青筋が浮いていた。
 印を結んだその腕の筋肉は隆々と盛り上がり、まるで何かと力比べをしているかのようである。
 見れば変化の黒獣の周囲には幾重にも呪印の封が舞っている。
「呪印封縛、馬鹿力だけで破れるものかよ!」
 繰り出された符鴉は今度は狙いを間違えない。動けぬ黒獣の目玉を至近距離から抉り出す――

・プロアデプト

 後衛職ながら前衛に立って戦う事も、支援も可能な特殊タイプです。
 最高級の命中力を持ち、相手に一切の自由を許さない事もしばしば。強力な状態異常を与え、強化を解除する能力も持っています。
 プロアデプトは完全なる戦闘論理者です。彼等は敵の動きを予測し、計算を立て、詰め将棋のように追い込んでいく狩猟者なのです。

初期保有スキル:

【コンセントレーション
意識と脳処理を極限の集中状態に高めます。
使用者の命中力が大きく向上します。

【ピンポイント】
気糸で精密に敵の弱い部分を撃ち抜きます。
部位狙いで命中が低下しない上、クリティカルが発生しやすく、更に怒りを与える効果もあります。
※イメージシーン『92.3%』

「後、三手で私は勝利しますよ。残念ながらゲームは終わった」
 竜牙狩生がそう言ったのは突然の出来事だった。
「は……?」
「方程式は完成した――君の動きは把握した、と言ったのです」
 言ってしまえば脈絡の無い、傲慢な宣言である。
 これまで狩生と互角の戦いを続けていたフィクサード・黒野は唇を歪めて嘲り笑う。
「馬鹿が。やれるもんならやってみやがれ」
 荒っぽいフィクサードが敵の戯言を聞く筈は無い。
 微かな怒気を纏い動き出した黒野の動きはそれまでよりも鋭く、速い。
 繰り出されたナイフが狩生の頬を掠め、迸った血が間合いに鮮血の華を散らした。
「どうした、さっきの勢いは!」
「右から攻めるのは癖ですね。フェイントのタイミングは0・03秒、想定内です。
 ……まぁ、3ミリ程修正が必要だったのは、流石フィクサード黒野猛……といった所ですか」
「ほざけっ!」
 更なる一撃が閃くよりも早く、狩生は大きく後ろへ跳ぶ。
 それと同時に狩生の指先から放たれた輝く光糸が黒野の周囲を舞っていた。
「――!?」
 黒野は手にしたナイフで咄嗟に光糸を切り払う。
 しかし実体を持たない糸は次の瞬間にはナイフを素通りして寄り集まり、黒野の両手両足を絡め取る。
 罠の籠に獲物を捕らえた気糸は黒野の体に潜り込む。
「がは……っ!」
 同時に起きた体調の異常な激変に黒野は大きく咳き込んだ。
「一手、トラップネスト。
 君の膂力と反射神経を総合的に計算して、このタイミングでは避けられない。冷静さを欠いていたなら尚更だ」
 挑発も戯言も計算の内。
 爪先からトン、と着地した狩生は眼鏡をくいっと持ち上げて呟いた。
「後二手ですね。計算では君がその毒と、二手の攻撃で倒れる可能性は92・3%。
 まぁ、7・7%程別の可能性もありますが……ご愛嬌でしょう。
 さて、黒野君。本題ですが、これから試す勇気はありますか――?」

・クリミナルスタア

 クリミナルスタアは格闘と射撃をこなす複合型ジョブです。
 癖のあるスキルが多く、クリティカル値やドラマ値を底上げしつつ殺傷力の極めて高いスキルで攻撃するというトリッキーな特徴を持ちます。
 前衛でも後衛でも十分な力を発揮する様は戦場や状況を選ばない優秀さを持っていると言えるでしょう。
初期保有スキル:

【無頼の拳】
唯一頼るべき己が拳で敵を倒す格闘属性のスキルです。
威力が高めに設定されており燃費に優れています。

【バウンティショット】
凄まじい早撃ちで対象の急所を精密に撃ち抜きます。
部位狙いで命中力が低下しない特徴を持ち、クリティカルに優れます。
※イメージシーン『仁義華』

「要するに、だ。ごちゃごちゃと細けぇ事はいいんだよ」
 紫煙を燻らせた蝮原咬兵は居並ぶ『敵』のそれぞれに順番に視線を投げた。異名の通り毒蛇を想起させるその眼光は鋭く危険なものだ。さりとて圧倒的優位に立つ――フィクサードのリーダーは薄笑いと共にその台詞を嘲った。
「同感だな。こっちも細かい話はどうでもいいんだ。
 重要なのはテメェがこれから死ぬって話だ。違うか、『相模の蝮』」
「まぁ、それ位シンプルな方が都合がいい。
 橘平さんも、お前等にはいい加減愛想が尽きたって言ってんだ」
 鍛え上げられた二十代の身体に隆々とした体躯に相良橘平から貰ったコートを羽織る咬兵は指先で咥えた煙草ごと赤い炎を床に弾いた。黒い皮靴があっさりと火種を踏み消した。寒々とした埠頭の倉庫には彼等だけの気配がある。丁度、やり合うにはいい夜だった。
「台詞はそのまま返すぜ。テメェ等、間違いなく一人残らず始末つけてこいって言われて来たんだ。ガキの使いと思うなよ?」
 咬兵の全身から噴き出す圧倒的な存在感に――僅かにリーダーの顔が歪んだ。数の差を考えれば優位は間違いない。しかし……
「忘れんな」
 しかし……相良橘平は鉄砲玉を使う男か。
 そして、『相模の蝮』はそんなに甘い存在であったか?
「真っ直ぐいってブッ飛ばす。
 お寒い浮世に仁義の花が咲かなけりゃ、無残なりしは地獄変――
 分かったら、念仏でも何でも唱え始めな。ドチンピラ」
 見得を切った影が黒い弾丸のようにコンクリートを踏み壊した。
 まるで、一幕はドラマのよう――



・ダークナイト

 ダークナイトは物理と神秘の属性をバランス良く扱う闇の騎士です。
 防御能力も高く、バッドステータスを与える力にも優れます。又、体力を犠牲にする事で殺傷力を高めたスキルも扱います。
 特に呪殺を得手とするダークナイトは味方との連携で真価を発揮します。育成次第では非常に危険なダメージディーラーの一人となれるでしょう。
初期保有スキル:

【魔閃光】
黒き閃光を操り敵を撃ちます。
敵に弱体効果を与える事も出来る便利な遠距離技です。

【暗黒剣】
体力を犠牲に高い威力の遠距離複数攻撃を達成します。
不吉を与えられるのも有効です。
※イメージシーン『闇さえ喰らわば』

 力のベクトルには正負様々な種類がある。
 誰かを癒し、守る為の力、逆に傷付ける為の力。
 神秘なる秘密に触れ、何事も無き人の生より幾らか踏み外した異能者ならば一度は己が力の意味と性質について思いを馳せた事もあるだろう。
「ですけれどもね」
 華やかな気配を口元に浮かべ、何処か楽しそうに呟いたクラリス・ラ・ファイエットは迫る敵影を前にしても余裕の風を崩してはいなかった。
「私は、どちらでも良かったのですわ」
 影を従え、現れた漆黒の武具で敵の攻め手を受け止めて。断固と揺るがぬ結論を告げるその姿は年若い少女でありながら、素晴らしいまでの矜持を示すものである。
「この身を不遇と思う心算さえ無いのですわあ。
 守る為の力も、倒す為の力も使い方次第……そうは思いませんこと?」
 慌てた気配を発した敵に嗜虐的な猫のような視線を送る。勢いを弾かれ、態勢を乱した敵の胸元に呪いを帯びた魔槍が閃く。
 肉を裂き、突き破る感触は何度味わっても良いものではない。クラリスはそれに慣れる心算は毛頭無かったけれど。
「たかが『力』に溺れるならば、この痛みも忘れましょう。
 いいこと。ラ・ファイエットの娘は、清く正しく美しく!
 どんな時も、自身を見誤ろうとはしませんのよ」
 例え、自身が得た力がどれ程までに血塗れたものであろうとも。此の世の痛みを体現せんとする呪われたものであろうとも。宿主たるクラリス自身の心身さえ喰らおうと牙を剥く――漆黒の領主が深淵より覗き込んでいようとも!
 その光は、漆黒さえも捻じ伏せよう。
 ダークナイトは騎士である。誇り高く――或いは誇り等知らずとも、自身の宿命を知る強き者達の呼び名なのだから。



・レイザータクト

 レイザータクトは味方を支援し敵を妨害する、戦術戦闘を得手とする重要な司令塔です。
 多彩な支援スキルで味方を強化し、トリッキーなスキルで敵を翻弄する事が出来れば勝利は自ずと近付く事でしょう。
 レイザータクトがパーティに存在する事で取り得る戦術は実に多彩に広がります。彼等の存在感は戦場に加えられる一つのインパクトとなり、戦いを優位に進める為の武器となるのです。
初期保有スキル:

【ボールドコンバット】
大胆な攻勢を仕掛け敵の弱味を強かに打ちます。
燃費が良く、弱点属性を持っている為に使いやすいスキルです

【タクティクスアイ】
レイザータクトの自己付与スキル。超広範囲の戦術眼です。
消費が大きいですが、極めて実戦的な能力上昇が見込める為、強力です。
※イメージシーン『戦闘官僚クェーサー』

 各状況に優れ続ける一手を用意し、単一個のみならぬ戦場を鮮やかなまでに牛耳る。レイザータクトの技術にとって敵は状況を構築するパーツに過ぎず、味方も又自身に与えられた材料に過ぎない。
「餓鬼が……殺してやる! 殺してやる!」
「……全く、無様な事この上ない」
 まるで虫けらか何かを見るような冷淡な視線で地に伏せ悪態を吐く男に溜息を吐いた深春・クェーサーはその幼い美貌に確かな失望の色を張り付けていた。
「テメェの力でも無ぇ癖に……」
「面白い言い訳だな」
 男の言葉に深春は小さく肩を竦めた。
 深春の年齢は中学生に満たない程度である。些か眼光は鋭すぎるのだが、華奢で可憐な彼女は確かに戦うに優れているようには見えない。
「どうするんだい、お姫様。始末、つけとくか?」
 深春にとって駒であり、手足となった『傭兵』のフォックストロットが――こちらは幾らか男の方に同情した風ながら――そんな風に切り出した。男は神秘を悪用するもの。クェーサーの家訓はこれ、即ち悪性の神秘を全て撃滅せん、である。フェイトを持つフィクサードの男は必ずしも絶対殲滅対象には含まれていないのだが――
「構わん」
 ――深春は短くそう応えた。肩を竦めたフォックストロットの意識が自身から離れるのと同時に男は飛び起きて、深春に向けて襲い掛かる。彼は状況を待っていたのだ。
 しかし――
「――な!?」
 ――そんな奇襲さえ全ては戦闘官僚の掌の上。
「『指揮官』を気取るだけと思ったか。
 クェーサーを舐めるなよ。父祖が編み出し、連綿と受け継いだこの力は当家の誇りそのものなのだ。それを、三下が――」
 大胆不敵、愉快痛快。
 抜群の身のこなしを見せた深春の脚が空気を切り裂く。
 頭上より振り下ろされた踵は唯もう一度男を地面に叩き伏せた。
「――計れるものと、図に乗るな」



・ミステラン
アザーバイドフィアキィを通じ、世界に存在する実体を持たない存在に働きかけ奇跡を行使する者です。
元々は外界の住人であるフュリエの持つ力でしたが、彼女等が仲間に加わった事でリベリスタの習得も可能になりました。(フィアキィもリベリスタ には助力してくれます)
本来戦いを知らない彼女達はある種皮肉な事に攻守に実戦向けな対応力を持っていたのです。
※フィアキィはスキル使用時のみ一瞬現れます。(フュリエ以外の種族はイラスト描写不可になりますので御注意下さい。)

初期保有スキル:

【エル・レイ】
小さな光球を作り出し、対象一体を攻撃します。

【援護射撃】
素早く連続して射撃を行う事で複数対象に隙を作り出します。
※イメージシーン『戦いを知ること』

 人間は成長しなければならない。
 良きにつけ、悪きにつけ、それは必然で必定だ。
 此の世に生まれ落ちたその時には等しく小さな猿のような赤子だった誰しもが、やがて強い自我を持ち、意思を持ち、世界と運命という名の荒波に向かっていく……
 故に。恐らくは『人間の形』をした彼女にその時が訪れたのは当然の帰結であったと呼べるのだろう。
「はぁ、はぁ、は――」
 荒い呼吸をして肩を揺らすエウリス・ファーレの前髪は汗で張り付いていた。
 彼女の目の前には獰猛な黒い獣。『完全世界(ラ・ル・カーナ)』と称された異世界(こきょう)では異変前には大凡御目に掛かる事も無かった『攻撃的な』生物だ。
 一瞬毎に高まる緊張感を以前の彼女は知らなかった。
 一瞬毎に訪れる命を危険を、仲間と共に振り絞る勇気を彼女は今まで知らなかった。
 しかし――
「私だって……戦える……っ!」
 ――獣の咆哮に身を竦ませながらも、エウリスはその場を逃げ出す事をしない。
 少女の付近を浮遊する精霊『フィアキィ』がその輝きを増せば、辺りには力が満ちる。
「私だって、皆の為に――」
 少女の弓が敵を示せば『二人』が作り出した光の玉が黒い影に飛翔した。
 今の彼女は『完全』ではない。永遠に失われた完全(フュリエ)が元に戻る事は無いだろう。
 だが、人間は『完全』ではないから成長するものだ。
 少女のなりで生まれ落ちた彼女達の長い赤ん坊の時間は――既に終わりを告げている。
「――やったね、フィアキィ!」

・アークリベリオン
アークの入手したアーティファクト(『渇望の書』の欠片)が生み出した全く新しい技術系統です。
基本的なステイタスは突破力を重視した前衛ですが、或る意味で現状のアークが求め望んだ様々な力を内包している為、その能力は多岐に渡り、ジョブ傾向は混沌のスープと呼べるでしょう。
物理能力を基調とした支援能力を含め、アークだけが持つ力は必ず大きな助けになる筈です。

初期保有スキル:

【アクセルバスター】
全力移動後の行使が可能な機動突撃です。
高精度の命中とノックバック能力は戦線を切り開くに好都合です。

【アクセルクラッシュ】
全力移動後の行使が可能な機動突撃です。
態勢系バッドステータスとブレイクは敵の妨害・補助にも適しています。
※イメージシーン『アークの女騎士』

「何だ……」
 フィクサードの乾いた声が間合いに響く。
「何だ、何なんだよ。お前達はよ……!」
 人間は未知を畏れるものだ。不明に怯えるものだ。
 神秘の世界に生きる革醒者は確かに多くの異能に触れている。しかし、人間の知性によって体系化され、知識の共有によって広まった『力の常識』は各々に『当然の想定』を齎した事だろう。
 彼等が未知に触れる機会はさして多くは無く、特別な個人を除けば通常の枠外に到る者は少ない。
 故に例外なのだ。
 故に、衝撃なのだ。
 それは――
「クソが……何でもありかよ、お前等は――!」
 吐き捨てた彼が目の当たりにした光景は余りに特殊であると言えた。
 見た事も無い力を行使する者が居る。想像もつかぬ異能が一夜にして構築され、新たに体系化された技術を『敵の構成員が組織立って用いている』。個では無い全が新たな力を紡ぐのは衝撃以外の何者でもない。
「不測の事態で驚いて貰っても困るっす」
「……く!」
「自分にだけ都合がいい都合がいいならそりゃ現実じゃない――夢ってモンすからね」
 フィクサードの前に立ち塞がる逢川・アイカ(BNE004941)の表情には敵への蔑みにも、憐れみにも似た複雑な色が浮かんでいた。何かを失いたくないならば戦う他は無い。真理だ。ならば、彼等は選べた筈なのだ。『何かを失いたくないならば、奪おうとしなければ良かった』のは!
「何れにせよ、手加減は無用っす」
「く――」
 急加速から間合いを奪い去ったアイカの動きにフィクサードは身体を硬直させた。
 これまでの常識を覆す衝撃的な高速戦闘はやはり彼の『想定』の外である。
「良く、覚えておくといいっすよ!」
 繰り出された一撃にフィクサードの身体がくの字に折れた。
 猛烈な突進からの強烈な一撃はアークの送る名刺代わりの挨拶だ。
 これより現れる全ての悪に立ち塞がる、矜持と宣戦布告に他ならない。
「アタシ達は守る者。運命が助けてくれないなら、その代わりに救う者――それがアークリベリオン!」


※アークリベリオンのジョブキャラクター絵(イメージシーン)は、『全身図を持ち、LV30を達成した最も早いPC』だった逢川・アイカ(BNE004941)のものが採用されました。

●NPC専用ジョブ

 プレイヤーはジョブの中で唯一フォーチュナを選ぶ事は出来ません。
 フォーチュナはその役割からストーリーテラー専用ジョブとなっております。


・フォーチュナ

 フォーチュナは強力な探査系超能力者で当作においてはゲームシナリオを発信する役を担っています。
 フォーチュナには基本的に戦闘力はありません。
※イメージシーン『カレイド・システム』

 アーク地下本部に存在する――万華鏡(カレイド・システム)。その中心部に位置する制御部はまるで棺のようである。
 神ならぬ人が、神ならず世界を視(み)る。
 おこがましくも神の目とすら称されたその力は、日本全国に蠢く神秘なる危険を――逃すまいと探すのだ。
 万華鏡から伸びた光の糸がが少女――真白イヴの全身に絡んでいた。
 限界を超えて酷使された能力に頭が痛む。脳神経を漂白するような圧倒的な情報量の中から必要不可欠なモノを拾い上げる。
「……っ……」
 小さな声がコンソールに触れた少女の薄い唇から零れ落ちた。
 大きく頭を振った彼女の姿勢がやや前のめりに倒れかけた。だが、それまでだった。
 狭い棺のような制御部の扉が開く。
 現れたイヴの無表情は彼女が今この瞬間に為した『重労働』を思わせない。
 ややふらつく足元で、しかししっかりとした声色で――居並ぶリベリスタに役目を告げた。
「集まってるわね。……今日、貴方達に頼みたいのは――」