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濃紺の中に、深緑の樅の木が光をまとって立っているのだ。 「ちょっと寒い」 リセリアは首をすくめた。 「だな」 リセリアは、セーターにストール。 猛にいたっては、ジャケットにシャツ。 マフラーがなければ見ている方がすくみ上がるいでたちだ。 いかに温暖な静岡南部とはいえ、若干薄着が過ぎる。 でも、恋人達には寄り添って歩く理由が必要なのだ。対外的に。 「これが今年一番いいなと俺が思った奴」 なるほど、大きさも装飾も多分市内で有数だろう。 三高平市のショッピングセンターのディスプレイ担当は、しゃれている。 クリスマスツリーにはヤドリギがぶら下がっているのだ。 ヤドリギの下でのキスは拒んではいけない。 「宿木の下でキスすると、幸せになれるんですよ?」 「そういうのは関係なく、したいけど」 好きだから。 色々考えてここに来て、自分でお膳立てをひっくり返す猛だが。 リセリアの頬は、ばら色に染まった。 その頬を包んで、おまじないに頼らないキスをした。 |
葛木 猛(BNE002455) リセリア・フォルン(BNE002511) |
担当VC:やむむ 担当ST:田奈アガサ |