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「一際明るい星がシリウスです。分かりますか?」
 紫月の隣で空を見上げていた夏栖斗は「あった!」と声を上げた。
「そこから右上。赤い星が見えますか」
「うんうん」
「それがオリオン座、ベテルギウスです」
 初々しい男女二人が寒空の下眺めていたのは冬の大三角。
「後は東に向かって三角形を作れそうな、明るい星を見付けるだけです」
「えっと、あれかな?」
 どれですか、と夏栖斗の指差す星を確認しようと紫月が身を寄せると、甘い匂いが夏栖斗の思考を染めた。
「正解です。……あの、どうかされました?」
「い、いや! なんでもない!」
 そうですか、と淡い微笑みを返した紫月は、星座講義を続ける。
「三つ目に見つけたあの星が、こいぬ座のプロキオンです」
「へー! こいぬ座って言うんだ」
「こいぬ座は、たった二つで出来た星座なんです」
 言って紫月はくすりと笑った。
「ん?」
「いえ、こいぬ座というのは、実は女神様の裸を覗き見してしまった狩人の、猟犬の星座なんです。
 それは偶然の事故だったんです。でも女神の怒りに触れた狩人は、鹿に姿を変えられてしまい、挙句、自らの猟犬に食べられてしまいました。
 こいぬ座は、今でも主人の帰りを待つその猟犬の星座なんです。
 ―――何だか、貴方らしい星座かなと思って」
「ぼ、僕は覗かないし!」
「私でも、ですか?」
 夏栖斗が硬直する。
 紫月の顔はただ微笑んでいた。
「冗談ですよ」
「……もう!」
 でも、と夏栖斗が続ける。
「僕も、星になってでも紫月を待つよ」
「……」
「やっぱり、今の無しで―――」
「駄目です」
 夏栖斗の溜め息が、冬空に染みた。
 
御厨・夏栖斗(BNE000004)
風宮 紫月(BNE003411)
 
担当VC:焼きバード
担当ST:いかるが