クリスマスで、女三人で、揚げ鶏のファーストフードショップで女子会。 知らない人が聞いたら、切なさ大爆発の状況だが、互いが互いを大事に思っているからそんなのは関係ないのだ。 積み上げられる骨。たのしいおしゃべり。 「これって共食い?」 と、手羽元を握り締めたシルフィアがいう。 全員、フライエンジェ。腰の辺りに似たようなものを持つ身である。 「ビスハじゃないから、セーフ」 のぞみはさらりと言う。 獣因子ではなく、「翼」が顕現したフライエンジェは、鶏ではないという主張。 ちなみにビスハだったら、三人の手の中にあるのは二の腕辺りだ。 ちょっとリアル。 脳裏に、鶏ビスハがフライドチキンを前に冷や汗をかいている情景がかすめて消える。
シザンサスは、ちょっぴりグロねたの二人に苦笑せざるを得ない。 「――ところで」 のぞみは、笑顔で言った。 「お二人共、恋人とかいる?」 うぐぅっと、淑女にあるまじき嗚咽を漏らす二人。 25歳、シザンサス。23歳、シルフィア。 お付き合い期間なんかも考えると、そろそろ捕まえないと、あれがあれであれだよ。 お家存続の観点からも重要事項ですよね、当主様。 「そ、そういうのぞみは」 「シザンサスさんは可憐だなって思ってるし、シルフィアは大事よ」 女の子が大好きな倒錯した方にそういわれて戦慄しない女子がいるだろうか。 捕食対象? いや、よく見ろ。のぞみも青ざめている。ダメージを受けているのだ。 いれば、ここでお互いが特別のカレード姉妹とフライドチキン噛み締めたりしていない。
「捨て身ね」 「ええ、まあ」 暗黒微笑渦巻くイートインコーナー。
知らない人が見たら、切なさ大爆発の状況だが、互いが互いを大事に思っているからそんなのは関係ないのだ。
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