午後の光溢れたケーキショップのイートインコーナー。 ホイップクリームを添えたへビィなガトー・ショコラはちょっとひんやりして美味しい。
(わー、なんかすっごいおもしろいいきもの見つけちゃったわ) 糾華さんの周りには、美少女が集まる。 類は友を呼ぶの具体例みたいな状態だが、本人のレーダーも一役買っている。 ミニスカサンタの糾華さんは、ミニスカトナカイの良子――ソウルネーム・フレイアと差し向かいでケーキを食べているのだが。 ケーキ指したままのフォーク振り回しつつ、厨二病な内容の妄想を滔々と語る自称「黄昏の魔女」(いずれ訪れるであろう世界の終焉を食い止めるため降臨した女神の生まれ変わり)は、見ていてあきない。 「――という訳だ。いまだ幼き人の子の貴様にわからぬのも道理だがな」 とか高飛車な台詞をはきつつ、ちらちらと上目遣いで糾華が怒り出さないか気にしている。 怒るわけがない。面白がっているのだから。 「ねえ」 糾華さんの視線は、フォークの先で乾燥しかけているベリータルトに集中している。 「それ、食べないなら、くれない?」
良子――ソウルネーム・フレイアは、へ?
と女神の生まれ変わりらしからぬ素っ頓狂な声を出した。
|