「こじり、どこがいい?」 クリスマスデートのことだ。 「ツリー? 夜景? お食事?
ダンスパーティー?!」 こじりは、あら。と言った。 「全部だめよ」 「え?」 「予定があるから。あなたは、今日はおうちにいなさい」 なにそのハウスっていうのり。出掛けんなってこと? 「いいわね?」 なんなのその放置プレイこじりさーん!? 夏栖斗の泣き言でどうにかなってくれるこじりではない。
夜半。 背中に傷心を背負った夏栖斗の自室のゴミ箱は、今日は涙で湿ったティッシュペーパーでいっぱいだ。 靴下はぶら下げられることなくベッドの上に脱ぎ捨てられ、一人ぼっちの聖夜を噛み締めている。 窓を叩く音。 カーテンを開けると、妄想が実体を伴って現れた。 窓から、こじりさんが、マイクロミニでサンタですよ!? デートはダメで、予定があって、おうちにいろって、こういうこと!? 「御厨君――」 「こじりぃ」 もうこじりすごくすきだいすき。 こみ上げてくる喜びに、一緒に入ってきた雪の結晶がキラキラスパンコールみたい。 「ゴミ出しておいてくれる?」 「よ、よろこんでぇ!」 翌朝。喜びとともにクリスマスのごみをゴミ捨て場に出す夏栖斗がご近所で確認された。
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