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「お、雪だ。どうりで寒いわけだ……」 風斗の手の上で、雪が溶けて水になる。 今日は夕方から大忙しだった。 縁の場所に顔を出し、仕事をこなし、共通の友人と散々はしゃいだ帰り道。 すでに夜半を越えている。 特に話すこともなく、二人並んで帰路につく。 さっきまでの脳みそがでんぐり返るようなテンションが嘘のようだ。 イルミネーションが消された住宅街も同じことで、さっきまで流れていたクリスマスソングの残響が耳の奥に響く。 二人で黙っていることに、満足している。 この柔らかな沈黙を共に守っているのだという感触さえあった。 「積もりますかね」 「どうだろな」 空を見上げる。 暗い空から落ちてくる羽根のような白いもの。 それは触れれば融ける儚いものだ。 「綺麗なもんだな」 「冷たいですけどね。後、マツゲにくっつくとなかなかつらい」 「おまえは、目を見開きすぎなんだよ」 「これが地顔なんですよ」 たあいもない言葉の応酬。 それはちらちらと降る雪にも似ていた。 「積もるかな」 「どうでしょね」 雪が積もるにしろ、積もらないにしろ、今日の思い出は二人の間に降り積もるのだ。 融けることなく。 |
楠神 L☆S 風斗(BNE001434) 犬束・うさぎ(BNE000189) |
担当VC:市街 担当ST:田奈アガサ |