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始まったな。連中が何を考えているかは知らんが、まずは想定通りだ。やはり防衛戦より野戦を選んだバイデン共は広く戦力を分布している。情報を戦力と考えるならば、此方の優位は二点だ。まず我々は敵の動きを敵より効率的に察知する事が出来る。そして敵は我々が神の視点で戦術を組み立てる事が出来る事を『知らない』。堪えの効かない獣共を狙い撃つにはまさに御誂え向きという訳だ。 |
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バイデンに加減も何も必要ないし期待も出来ないからな。戦いは緒戦から激しいものになるだろう。連中の突破力を如何にいなし、連中の脆さを如何に突き続けるか。まずは状況上、ここまで敵の発動した全ての小細工に対して対処部隊を飛ばす事には成功してる。一方で迂回したうちの部隊は攻撃作戦を始めたようだ。まぁ、流石はクェーサーのお姫様か? |
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世辞は結構だ。兎に角、ここからが正念場だ。戦いが中長期に及べばボロを出すのはこちらだろう。可及的速やかに趨勢を傾け、攻めよりは守りに問題があるバイデンを押し切る他は無い。この世界は敵のホームだし、何より。『死をも恐れない戦い』という意味に於いては奴等は確かに見るべきがある。私としては大いに評価したい点だが、流石にアークに同じものを強いるのは不可能だろう。 |
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……意外だな。不満じゃないのか。 |
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私とて三高平で過ごしているのだ。多少はクェーサーにあらぬリベリスタの理解もする。無論、覚悟を持っている人間も多いだろうがバイデンのものは覚悟という次元では無いのだろう。殆ど自殺願望だ。クェーサーはそれを肯定していない。
……変な顔をするな。私はバイデンじゃない。バイデンならば『まずそれを理解しようとする発想自体が無い』のだろうが。 |
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成る程ね。それは―― |
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――司令本部に通信! 戦場に変化が発生しました! バイデン軍の一部が飛行部隊を編成し、アーク側の後方に降下作戦を展開しようとしている模様! |
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後方? まさか…… |
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フォーチュナだ。此方の動き方の質の変化に気付いたのか。戦闘への本能か、勘なのか。動きのない部隊にその正体を見出したのかも知れないな。 面白い。連中も阿呆のようで中々色々考えてくる―― |
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対応部隊は? |
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既に追加編成を要請しています! |
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さあ、戦争だ。これも連中が想定していたよりは早い察知に違いない。 見せてやれば良い。本当のリベリスタの戦い方を! |