●殺人鬼の作法 ×××××氷×点×下の精神で殺す。 その日、その夜。哲学を持った殺人鬼の少女はHのナンバリングを冠される前に肉の全てを爛れさせて死んだ。 「すまんが時間がないんだ、代わってくれないか……だらしないな。この程度で死んでしまうとは」 哲学は哲学で上塗りされる。凍土の意志を持ってそれは落ち窪み、少女は彼女は聳え建つそれを見上げて微笑まなかった。 ×××××炎×天×下の肉体で殺す。 その日、その夜。哲学を持った殺人鬼の少女はIのナンバリングを冠される前に心の全てを割り砕かれて死んだ。 「悪いけど時間がないのよ、代わって頂戴ね……だらしないわ。これくらいで死んでしまうなんて」 哲学は哲学で上塗りされる。炎獄の膂力を持ってそれは成り上り、少女は彼女は降り伸びるそれを見下し微笑んだ。 ずるりと皮膚剥けたそれは星に逆らわず落ちてひしゃげてよくわからなくなった。 がかりと皮膚割れたそれは星に逆らわずそこに落とされてよくわからなくなった。 負けても、勝っても、お話は変わらない。生き残ったら、誰か死ぬ。誰か死んだら殺して回る。これが彼女達だ。吐き気も催す少女達だ。 さあ、六度目の殺人劇。せっかくだから、このキリが悪い数字で一旦記録を塗り替えよう。相も変わらず愛も換わらず理由なく意味もなく価値はなく論理でなく少なくともそうと決めつけられた大勢の中で殺人鬼を始めよう。 場所はここ、億度マンション。今宵この時たった今から世界一不幸なその場所で。止めたいなら来い。止められるなら来い。来いよ、来れば何かがどうにかなりそうなんだ。じゃないと皆殺しだぞ。いいのか、私達はそのつもりがあってさも当然のように殺して崩すぞ。 「何も感じずに殺すから私は殺人鬼」 「身を火照らせ殺すから私は殺人鬼」 二人の少女が笑う、二人の殺人鬼が笑う。 何も感じていなさそうに、火照る身にくねらせるように。 ●預言者の技法 「レベルEとランクF。ふたりの出現が予言できたの」 揃ったリベリスタ達を前に予知の少女は言う。 夏の頃。何もかも爛れて砕いた殺人鬼達のことである。かたや触れたものを沸騰させ、かたや触れたものを硬質へと変貌させた特異能力のフィクサード。顔が割れ、世間一般のそれに溶けこむことができなくなったはずの彼女達。しかし、ふたりを発見することはできないでいた。 「プランBの時と同じ、故意に見つかるようにしている感じだった。それと、わざわざ離れた所で行動している。そんな映像だったわ」 何か意図があるのだろうか。だが、この絶好を逃すわけにもいかないだろう。 「場所は、億度マンション。彼女らが殺人を始める前に貴方達を送り込めるわ。気をつけて。前よりも力を増しているはずだから」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:yakigote | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月18日(金)22:28 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●延長戦 二人でいる理由を、ぼんやりと考え始めて。結局、何ひとつ浮かばないという醜態を晒して辞めたことがある。理由はわからない。それが本当に意味の有ることなのかもわからない。それでも一緒にいる。手を繋いで、寄り添って。友達みたいに。恋人みたいに。姉妹みたいに。 夜。夜。夜中。最近になってようやっと、肌寒さを感じるようになってきたものだ。冬の訪れというものを感じることができる。寒空と呼んでいいだろう。その下で、明かりを消した鉄の塔。何よりも不幸の底々で、そうとも知らず彼等は眠る。眠る。人を殺める鬼のうたが聞こえるだろうか。聴こえるだろうか。上と下に吐き気を催すそれらを敷いて、彼等は明日を意識もしていない。これが信じるということなのだろう。 人の言葉を吐かずに沈むやもしれぬ。そうあれかしとしての彼女らを、そうあらんとする理不尽と共に終わらせよう。『シュレディンガーの羊』ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)はともすれば詩事とも覚えるそれらを口にする。殺人鬼。さつじんき。自由に人を殺して回る。でも、人じゃない。獣だから。潰し合おう。そしてお気に入りを口にする。不条理のもとで。 誰にも理解されない。誰にも理解出来ない。とても近いようで全く違う何かを、誰がどう理解すればいいというのか。虫のようなものだ。あるいは自分以外のようなものなのか。誰にとっても、誰かにとってでも。そうやって密度を増して、色濃さを織りまぜて。そういうものであるのだとすれば。同じ思想でふたつならんだとして。後ろの正面は、それこそ全員ではないのかと。『素兎』天月・光(BNE000490)はかごめいた。 殺人鬼。殺人鬼。痛くて痛い殺人鬼。彼女らの与えてくれる痛みで身を捩り、呻いてのた打ち絶叫したい。彼女らの何もかもを奪って充実と、虚無を抱き哀しみながら悦びたい。反する快楽の感情に酔いしれる。壊したり、壊されたり。なんて夜なんだろう。殺死愛ましょうと、『ディレイポイズン』倶利伽羅 おろち(BNE000382)は口ずさんだ。 哲学で人を殺す。人を殺して、人を殺す。そこにどんな理由があろうと。否、どんな理由がなかろうと。それを許す訳にはいかない。殺戮を甘受する訳にはいかない。必ずここで止めるのだと、『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)は食いしばる。救うべきを救い、あるともなしの哲学を掬ってやろう。 ふたりで殺人鬼。ふたりとも殺人鬼。少女達。彼女ら。どうやら、以前にも一度リベリスタの前に姿を現したらしい。その時は逃げざるを得なかった相手。今度こそ打ち倒さねばならぬだろう。『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)が得物を確かめる。どんな敵であれ、全ての力をぶつけよう。唯、撃ちぬく覚悟を。 殺人とは、言うに一線だ。越えれば帰ってくることのできない境目だ。それを鼻歌も交えずに、それをそうと知りながら気づかぬふりもせず歩み抜ける人殺し。理解出来ない。その感覚は解らないと『捻くれ巫女』土森 美峰(BNE002404)は巡らせる。まあなに解りたくもないと結論づけ、思考を切り替えた。殺人鬼を倒しに行くとしよう。それでいい。 殺人鬼だろうとなんだろうと、『酔いどれ獣戦車』ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)には関係のないことだ。そんなことは知らない、敵を叩き斬るのみであるのだと。背後関係。調査。心情。哲学。相互。そんな細かいことは他のやつに任せて、自分は敵を倒すことにだけ注力しよう。出来ることはそれくらいだ。 エクス キャリー(BNE003146)が結界を張った。何も知らず寝静まった不幸者らには効かないが、こうしておけば誰かが無闇に近づいてくることもないだろう。仮に目を覚ましたとして、余計な邪魔になりもしないはずだ。敵は無差別殺人鬼。この配慮に間違いはない。 夜の静寂が耳に痛い。吐いた息の白さに新鮮さを覚えながらも、心は戦場に傾いていく。対殺人鬼。二戦目。命を代価に、もう一度それを始めよう。 ●延長線 嗜虐に喜ぶ趣味はなく、なかなかどうしてこの才能が疎ましかった。痛い。痛い。それ自体に殺人性など皆無だ。享楽で人殺しをしているのではない以上、無意味に痛いこの才能に必要性を感じたことはない。それでも、あるものを使わないわけではないし、人を殺すという行為に無力なわけでもなかった。殺人の理由を、今更に尋ねるわけでもないのだし。 「久しぶりだ」 「お久しぶりね」 その二人は、申し合わせたわけでもないのに。ましてや同じ場所に居るわけでもないのに同時の同時でそれを口にした。地上と屋上。離れている。お互いの顔が見えないくらいには。剣戟が聞こえてこないくらいには。正しく言えば、ここに居る誰一人として彼女らに面識はない。それでも関係がない。久しいのは誰彼個人にではなく、リベリスタというカテゴリであるのだから。 殺人の鋒を変えて、矛先を戻して、彼女らは歩き出す。悠然と。悠然と。怨敵を誅するではなく、退却に注するでもなく。それは日常と何ら変わりなく、ただただ殺してしまおうと。そういう歩みだった。 ●延長千 疑問点。 人体の奏でてはいけない音がした。ぼことぼこと、白い肌が泡を立てては弾けていく。皮膚は爛れ、肉が露呈した。攻撃を受けた味方が下がると、その追撃におろちが割り込んだのだ。腕を抑えてうずくまる。痛い、嗚呼痛いと。泣きすするような声をあげて。内心は舌を出す。痛みは感じていない。自分のダメージは理解している。だが、遮断した痛覚は脳へと悲鳴を届けない。悠然と自分の肩をつかむレベルE。その腕にナイフを突き立てた。ほくそ笑む。成功したと、思った時には天井が見えた。 倒れたのだと理解する。痛みはなくとも、身体への蝕みが失われるわけではない。顔を掴まれる。嫌な臭がした。これだ、これなのだ。自分を略奪し、凌辱していくこれを。これを掠めとって自分の色に染めさせたいのだ。遠のく意識に、未来を支払って揺さぶりをかける。まだ寝るな。これだ、これを理解しろ。 「無駄だ。殺人性の理解なく、お前は私に成れやしない」 異臭が強さを増した。まだだ、まだ覚えていない。これを自分のものにしていない。無痛の中で、それでも死が鎌首を擡げる中で。まだまだ続く夜を舞台に、おろちの意識は沼へと沈んだ。 ウェスティアは焦っていた。一撃の重い殺人鬼のそれを、仲間は庇い合うことで痛打の分散を行なっている。極力均等に分けられた彼等の傷を、歌い、喉を枯らすまで歌い癒すこと。それが自分の役目であった。 しかし、それが上手くいっていない。傷を回復しきれていない。あの少女が奮う忌々しい高温化の能力が、皮膚を爛れさせ肉を泡立たせる沸騰の悪辣が、自分のそれを阻害するのだ。肉が弾ける度に痛覚を抉り、なおも気泡共が治癒の声を妨げる。致命のボイル。氷点下の殺人性に拒否された奇跡のそれは、行き場を失い夜の風に流されていく。苛みから解き放たれた味方へは届くものの、それまで殺人鬼が待ってくれるわけでもない。 焦っている。焦っている。それでもやめるわけにはいかない。気泡として削り取られた傷への諦念。そんなものに身を委ねていい筈がないのだ。 「こんばんは、素敵な夜ね。今日は人を殺すにはいい日? 来たよ、呼んだでしょ? 理不尽を不条理を」 冷たい風を切って、ルカルカが走る。着弾する流星のように、鉄槌を振り下ろした。捉えきれずコンクリートにぶつかって、砕ける音がする。返し、迫り伸ばされる腕。顔を狙っているのだと直感した時には地を蹴り、鉄筋に植わった得物を柱に反転した。ひとりぶんの距離が、彼女と彼女の間にできる。 「ね、殺し合いよ、どっちが殺せるか、どっちが死ぬか。血が流れるのは生きてる証左。痛いのもそう。貴方も、そうでしょ」 「わからないわ。何時だって誰だって恋焦してしまいそうな程身体が熱いの。ただそれだけなのよ」 話しているのに。話し合っているのに。まるで届かない。噛み合わない。理解されない。しあえない。自分に向かうそれ。死が巣食っているのを感じて、身体を生存に傾ける。どれが、ではなく。ぜんぶ。始めから、全部。その両手には死が笑っている。 これが殺人性。相手の命を掻き消すことに躊躇も狂気も持ち合わせない哲学。我輩は少女である。不殺はまだない。これからもない。 「未来を削っても、いまもっとあなたと戦いたい」 心が一瞬、空白になった。何か作戦への助力となればと踏み込んだ情緒への感知。それを試みた刹那、星龍は押しつぶされそうになった。空白。そう空白だ。なにもない。なにもないしかない。感じるという人間の所作において虚無しかない。人を人と思いながらそれ以上だと感じていない。殺人を殺人だと知りながらそれ以下だと感じていない。空虚に飲み込まれている。それを自覚して、心を覚ました時には。彼女がそこに迫っていた。 横合いから少女に身を挟んだ仲間が、縺れ合って視界の枠端に転がっていく。冷や汗が流れた。それを無視して向き直り、狙いをつけて銃弾に命令する。命中に安堵しながらも、次弾を構える動作に迷いはない。ああしてくれなければ自分は倒れていただろう。それに報いる為、自分にできることをこなさねばならない。銃火が叫ぶ。大きな一撃になると信じて。 痛い。人体が沸騰するという経験のない痛み。皮膚が膨れ上がり、気泡となって弾ける度に激痛が走る。叫びだしたくなるそれを、奥歯を磨り減らして耐えることにした。少女と縺れ合って、転がり込んで。すぐさま飛び起きる。次を持ち堪えることはできないだろう。距離を取らねば。 ウェスティアの歌が聞こえてはいるものの、痛みが和らぐ様子はない。やはり、これに阻害されているようだ。自分の代わりに前へと飛び出したディートリッヒに心中で感謝しながら、精神を統一する。敵に、得物に、自分に。とん、とん、とん。心音に合わせてリズムを刻む。痛みを忘れろ。一歩を踏み出せ。 緊張がピークに達し、距離を詰める。渾身の一撃。剣圧に吹き飛ぶ殺人鬼へと確かな手応えを感じつつ、もう一度同じ所作を繰り返し。繰り返し。異音も異臭も、いつの間にか気にならなくなっていた。 治癒の符を引いて、すぐさま美峰は仲間とも距離を離した。ランクFの射程でもたもたしているわけにはいかない。一撃の重さは元より、出血を伴う殺人鬼の攻撃に対して自分は戦線維持の生命線だ。その故意を自分が受けることになれば、こちら側は一気に瓦解するだろう。回復役。癒し系の自分には適任だ、などと心で冗句を漏らしながら戦況に意識を潜らせる。 血肉を砕き減らす殺人鬼の病疫。治癒に心骨を注がねばならぬ自分を省けば、正面きって戦闘に当たっている者はふたりしかいない。元より、総出で当たらねばならぬ相手だ。味方は倒すつもりでいるようだが、自分達だけでそれを看過することは不可能だろう。もう一枚、符を取り出して前へ。味方が来るまで、この場を凌がねばならないのだから。 前線を維持できなくなっている。その危機意識が、ディートリッヒの脳内で多数派を占めつつあった。既にひとりが倒れ、傷を癒すにもタイムラグが生じるこの状況。おいそれと後ろに下がるわけにもいかなくなってきている。 味方に向かった矛先に身体を捩じ込ませた。絶叫する。何度これを身に受けても、けして慣れることはないであろう激痛。高熱に全員が硬直し、小さく膨らんでは弾けていく自分に耳鳴りがする。身動ぎが痛い。静止が痛い。アラートを鳴らし続けるのは右肩から首にかけてか。確認したくもない。わかっている。ごっそりと抉れているのだろう。知ってるよ。途切れ、二度と帰って来まいとする己に叱咤する。未来でも何でもくれてやる。だから今を寄越せ。運命に愛されているというのなら、この場でそれを証明してみせろ。踏ん張って、ぐらついたそれを支えてやった。脂汗を大きな呼気で誤魔化して、前を観る。睨む。剣を握る手に血を通わせ、全身全霊を込めて振り下ろした。おそらくこれが、最後の一撃になると知りながら。 「僕だけを見て!」 光の声が、冷たい風に流されていく。どういうものであるのだろう。そういうものであるのだろう。そんな夢を見て、愛するように語って。フラれてしまったのならば、そんな寓話はここまでのものだ。 近い。白兵と呼ぶのならば、それこそこれであろうという程に近い距離で。ランクFの指先を自分の頬に掠めながら剣を突き出してやる。鼻先で伸びきった刀身。それに未練を持たず、返しの腕を捕るために得物を手放した。頬に違和感を感じている、きっと硬化したのだろう。それを確かめることはしない。そんな余裕はない。 両腕を掴まれた。皮膚は硝子のそれとなり、砕けて肉に突き刺さる。肉も同じくそれとなり、強いては内腑を返すだろう。だがこの距離で、この位置で。これを逃さない。この愛おしい瞬間を掴んで離すものか。 少女の顎に頭突きをいれる。反撃があるとは思わなかったのだろう。面食らった様子で、二、三歩後ろへたたらを踏んだ。見るのもおぞましい、自分の皮が自分の肉に突き立っている様。想像だに出来なかった痛みと現実。嗚呼、これを認めない。認めてなるものか。まだもう少し、自分は踊れるのだ。今があるならば、失ったのは未来だろう。 「ツキヨニクルフ」 この先を消費してでも今この場に立っている。これ以上を続けることも叶わぬだろうと知りながらそれでも立ち上がっている。さあ、どちらがまともだ。どちらがイカれている。 ●再試合 ひとりとはどういう意味だろう。 屋上で戦闘中の美峰から連絡が入った。光が倒れ、これ以上の維持は不可能であろうと。その報告を受けるのと、ディートリッヒが硬い床に伏したのは同じであった。 「退くぞッ」 誰から言い出したのか。それを後で思い起こそうにも不可能だろう。もしかしたら、自分であったかもしれない。エクスの豪打が、殺人鬼を後ろに下がらせた。追いすがるようなことはしない。倒れた仲間を抱え、外へと走りだす。耳横を、気味悪く泡立った瓦礫が通り過ぎた。投擲したのだろう。死ぬ。追いつかれれば首を掴まれるであろう結末に、脚が疲労を忘れていた。忘れてもらうしかなかった。 どれくらい走ったか。振り返っても追いかけてきている気配はない。息を吐く。疲労と痛みが押し寄せてきた。安堵と不安を交えながら、片班へと通信を飛ばす。どうやら向こうも無事に逃げ延びたようだ。 合流を打合せて、アークへも連絡を取る。唇を噛んだ。強く、強く。血が出るほど噛んだそれよりも、戦って受けた傷よりも、痛いものが心にのしかかった。 「逃げられた」 「逃げられたわね」 上と下。耳に当てた端末からお互いに声は聞こえている。それでも、ここに傍らはいない。これもそれも、電子化された音のデータに過ぎない。そう想えば、無性に会いたくなった。なった、気がする。 「どうする?」 「どうしましょう?」 「そうだなとりあえずはだ―――」 人殺しは終わらない。この夜だけで何十、何百人死んだとしてもまだ人殺しは終わらない。殺人鬼だから、殺人を犯すのだ。それは人間が、殺人鬼を打倒するまで終わらない。 億度マンション。そういう場所。そう呼ばれてもいなかった場所。平常には誰として意識しなかった名前。次に朝日が登って笑い、誰かがそこに踏み入れて。それはそれは、地獄であったに違いない。 「殺人鬼の本分を、果たすとしよう」 了。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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