● 「うーん?」 『未来日記』牧野 杏里(nBNE000211)は悩んでいた。 広げている新聞を見てみれば、小さな小さな記事に目を向けている。 その内容はとある線路上で原因不明のボヤ火事が頻繁に起きているという記事。 「この場所って確か……」 思い立った杏里がとある世界の訪問者の下へと足を進めた。 ● ひとつ摘み、ふたつ摘み、切り取っては母のため。 みっつ摘み、よっつ摘み、千切取っては父のため。 「命は大切にしろって優弥が言った」 積まれた骸は山となり、命の炎は消えていく。 此処は戦いが絶えません。 「此処は平和だ、ずっと此処に居たい」 どこに、どこに消えた。 煉獄に生を受けたその身で、安静など失笑。 「何を言う」 ほら、煉獄の炎がオマエを探しているではないか。 「戻りたくない、もう戻りたくないんだ」 「……う、うわあああああ!!」 飛び上がるように眠りから覚めた黒野 煉。全身にびっしょりと汗をかき、鼓動が平常より激しい。 彼女は煉獄という世界からの来訪者であると共に、この世界に受け入れられた存在。 見た夢は何処か懐かしい煉獄の香りがした。 しかし、それよりも畏怖の念の方が強く、その小さな身体が震える。 「……来た」 それは直感であり、予感。同胞の気配を、同胞のいない世界で悟る。なれば答えはひとつ。 何かに脅えるように肩を抱き、布団の中にくるまった。だがすぐに思い立ったかのように布団から脱出。そして大きく深呼吸してから、一言。 「こういうとき、どうすればいいんだ」 煉は頭を斜めに傾けて悩んだ。 戦い以外考えた事の無かったその頭。一人で生きることしか考えなかったその頭。 最下層に落ちてきて、教えられ、気づき、覚えた感情は『助けて欲しい』という思い。 偶然であれ、杏里が煉の下を訪ねた。 「煉さーん、お元気ですか? あのですねー最近、煉さんの出現地帯近辺でボヤ的な火事があって……?」 「おお、杏里! 依頼だ、依頼するぞ!」 目を輝かせて杏里に飛びついた煉だが、杏里はにっこり笑いながら頭にハテナのマークが浮かんでいた。 ● 「皆さんこんにちは! 今回は煉獄からの訪問者だそうです」 とはいっても、杏里が万華鏡の力で未来を見た訳では無い。 「煉獄、という上位世界からやってきたアザーバイドが、フェイトを得ているのですが……その子が落ちてきた穴から、また違う煉獄の何かが出てきてしまったようです」 と、いうのも、もうすでにこの世界に来てしまっているようだ。 その証拠が黒野 煉の出現地帯である線路近辺で頻繁に起きる火事。 それと、煉獄のアザーバイドである黒野 煉の同胞の感知だ。 ブリーフィングルームに居た煉が口を開く。 「来たのは、恐らく煉獄の兵器だ。炎で構成されていて、炎で攻撃し、炎を受け付けない」 まさに炎で戦う煉獄での最終兵器。 「すまない、私を探しているようだ。私がそこへ行けば姿を表すはずだ。私を連れ戻すために」 だが煉は煉獄へは戻りたくない。 この世界に受け入れられている限り、この世界に居たい。何より好きな人のために。 きっと煉獄では今でも戦争が起きているだろう。仲間の血が流れているだろう。 そんなことは分かっている。自分だけ幸せになりたいだなんて贅沢なのも承知している。 けれど、けれど。 「助けてくれ。もし、駄目なら私は恩を返すために煉獄へと帰るから……」 覚悟はもう、できている。 最後に杏里がこう付け足す。 「D・ホールの位置は特定できていますので、最終的にはそれ、壊しちゃってくださいね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月11日(金)22:43 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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