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遊園地に行こう!

●楽しませるための意志
 地域密着型遊園地『PUPUアイランド』。小さい敷地ながらも、工夫を凝らした様々なアトラクションを用意し、地元ではちょっとした一大スポットだ。その証拠に、土日には親子連れやカップルで賑わっている。
 “人を楽しませよう”を合言葉に作られたここは、その合言葉を胸に刻んだスタッフによってアトラクションが運用されている。
 かわいいけどちょっと奇妙なマスコットや、売店のどの層を狙っているのか分からない土産物など、玉にキズなところもあるけれど、その遊園地には確かに、人の笑顔、そして笑顔のための努力があったのだ。
 しかし、その強い意志はエリューション化という形を得てしまった。
 エリューション・ゴーレム。この遊園地に満ち溢れていた想いの結晶を元にした化物である。この化物は人を襲う。それは間違えようもなく悲劇だ。
 ただ、現れたのは“かわいいけども、ちょっと奇妙な形をしたマスコットのエリューション・ゴーレム”であったのは幸いであったのかもしれない。その数は三体で、それぞれ色違いである。
「くるっぽー」
 これがその化物の鳴き声。鳩のつもりらしい。見た目はひよこを意識しているのだけど。

●かわいいけども、ちょっと奇妙な邪魔者
 水上ボートの上で、初々しいカップルがお互いの距離を図りながら、視線を合わせ合うこともできず、池を見ていた。遠くからは子供のはしゃぐ声が聞こえていたが、カップルの内、男の方はそんなはしゃぎ声が聞こえないほどに緊張していた。
 ――今日こそは、キスをするのだ。
 そんな、よくある……。しかし強い思いが彼の思考を支配していたからだ。
「あれ? ねぇ、なにか変じゃない?」
「そ、そそそう」
 どもってしまい、彼女の言葉に対してまともに返事もできない。唇だけを見つめてしまう。
 ぷっくりとした柔らかそうな唇。吸い込まれそうな、淡いピンク色。
 よし、今だ。行くしかない。
「ねぇ、僕とキスを――」
 突如、強烈な水しぶき。
 派手に水を叩きつけて、カップルふたりの頭を見事に冷やした犯人は、この遊園地のマスコットキャラクターの、
「「PUPUちゃん」」
 きょとんとした、点になった目でふたりはハモった。
 普通のPUPUちゃんは確か桜色のはずだが、このPUPUちゃんはどうも色が青い。だからどうしたというのか。なぜこうなったのか、ふたりの頭は必死にフル回転していた。満足いく答えは見つかりそうにないけど。
 池の中から体を出し、堂々と仁王立ちする青いPUPUちゃん。その奇妙な形をしたエリューション・ゴーレムは頷くと、カップルを乗せたボートの淵を丸い手で器用に掴み、激しく揺らし始めた。
 これが、吊り橋効果となり、このカップルはお互いに幸せに――、
「き、気持ち悪い!」
「み、水が体に!?」
 なればよかったのにね。

●いざ往かん、喜びと楽しみの地へ
 モニターに映し出されたぬいぐるみのようなエリューション・ゴーレムを指しながら、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は表情を変えずに言った。
「これが具体的な被害。死者はないけど、健康面での被害がある」
 集められたリベリスタたちは脱力して倒れる。なんじゃそりゃ。
「他には――」
 リベリスタたちは身構える。ひょっとしたら、とんでもない被害が起きているのかもしれない。しかし、それ以上に……更に脱力するような相手かもしれないことが怖かった。
「射的場に出る黄色いPUPUちゃん。射的しようとする人の前の前に現れて、踊る。撃つと撃ち返してくる」
 がっくり、とリベリスタたちの肩が落ちる。やっぱり……。
 そんなリベリスタたちをまるで意に返さないように、真白イヴは続けた。
「メリーゴーランドに現れて、回るスピードを自動車並にする緑色のPUPUちゃん。これも、健康面に被害が出る」
「そんなところだと思っていたよ……」
 紹介した3体のPUPUちゃんはどれも、戦闘能力はほとんどなく、現れる場所から動こうとはしないらしい。なので、1体ずつ相手できるというのだ。つまり、少なくとも強くはない。フェーズも1だ。
「それと、渡すものがある」
 真白イヴはウサギ型のポシェットに小さな手を入れ、んしょ、とこれまた小さな声と共にチケットを出した。チケットには、遊園地の名前が書いてある。
「もし、時間が余ったら遊園地で遊んできてもいいよ」
 楽しそう。と、緑と赤のオッドアイにわずかな笑みを浮かべながら、真白イヴはリベリスタたちに言った。
 そんなわけで、リベリスタたちは遊園地へ向かうことになった。本当に楽しい遊園地を取り戻すため。それから、その遊園地で遊ぶため。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:nozoki  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年04月28日(木)22:41
 nozokiです。ひとり遊園地っていうのも楽しいですよね。
 さて、今回は遊園地に現れたエリューション・ゴーレムと戦うお話です。アトラクションもあるよ。
 敵は奇妙な奴らですが、放っておくともちろんまずいのでやっちゃってください。

●勝利条件
 エリューション・ゴーレムの全滅

●舞台
 エリューション・ゴーレムの影響で閑古鳥になってしまった、人のいない遊園地です。
 その為、結界を使えば人目も問題ないでしょう。
 また、敵のエリューション・ゴーレムは持ち場を離れないため、それぞれのアトラクションに挑まなければなりません。

●エリューション・ゴーレム
 フェーズ1の、戦闘能力が高くない敵が三体存在します。元はマスコットの着ぐるみです。
 それぞれの能力と行動、持ち場は以下の通りです。

青PUPUちゃん:ボート乗り場に居ます。攻撃方法は水しぶきを飛ばすことです。ボートに乗りながら戦うことになりますが、こいつは激しくボートを揺らしてきます。
黄PUPUちゃん:射的場に居ます。当たると痛いボールを撃ち出す銃で撃ってきます。また、射撃をしようとすると踊り始めて、集中力を乱してきます。
緑PUPUちゃん:メリーゴーランドに居ます。メリーゴーランドを超高速回転させながら、その流れに乗って体当たりを仕掛けてきます。

●戦闘終了後
 戦いが終わったら、平和になった遊園地で遊ぶことができます。

 少し気が抜けている感じのお話です。偶にはこんな戦いも、いかがですか?
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
鈴懸 躑躅子(BNE000133)
スターサジタリー
東雲 聖(BNE000826)
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
ソードミラージュ
★MVP
レイライン・エレアニック(BNE002137)
デュランダル
千早 那美(BNE002169)
スターサジタリー
雑賀 木蓮(BNE002229)

●入場
 チケットを使ってゲートを越えた者に、PUPUアイランドへの歓迎を告げる音楽が鳴り響く。といっても、ここへやって来たリベリスタたちは遊ぶためだけに来たわけではない。
「遊園地……はぢめての遊園地……。い、いかん、ここへは依頼で来ておるんじゃからな、気を引き締めて……。ああもう辛抱たまらぬ! さっさと終わらせて遊ぶのじゃー!」
 レイライン・エレアニック(BNE002137)が言う、ここでの依頼。それは……エリューション化により、人々に健康被害を与えるようになったPUPUちゃんを倒しに来たのだ。
 しかし、レイラインは横に流したポニーテールと特徴的なゴスロリ、それに大きな胸を揺らしながら飛び跳ねていた。始めての遊園地ということもあり、この楽しむための場所への期待をその大きな胸いっぱいに溜めてきたのだろう。
「おっきい被害は今のトコないっても、地味に迷惑なエリューションだなぁ。ま、迷惑ってコトは十分な理由だし、キモチよく遊ぶためにも全力でやっつけるぞ!」
 こちらの『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)も、そちらのほうが楽しみで仕方ないという様子である。真独楽は少女のような可愛らしい顔を、貰ってきたパンフレットのPUPUちゃんに向けながら、これから始まる戦いに気を引き締めた。
「遊びに来て健康被害にあっちゃかわいそうだよなぁ。告白目当てでデートに来たカップルもいるだろうに。街の平和を守るぜー」
 でもって仕事が終わったら遊びまくる! と、キラキラとした目をあちこちに向けながら『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)は言った。アトラクションはどれも楽しそうで、遊園地は宝石箱の山のようにも思える。……ただ、お化け屋敷からは目をそらすけど。苦手だから。
「遊園地ってテンション上がるよね。ひゃっほうー!」
 次に、ホップステップと入場ゲートを通り抜け、ハイテンションにジャンプを決めて飛び出したのは『断罪の神翼』東雲 聖(BNE000826)だ。彼女自身がお洒落な服に身を包んでいる美人だけに、何事かと入場ゲートの係員がぎょっとした目で彼女を見ていた。彼女は残念な美人なのだ。
「これってPUPUちゃんと戯れる依頼だよね?」
 デジカメを構えて聖は周囲を見渡す。大中小、視界には色々なPUPUちゃんの姿が見える。
「間違ってはいないけどな……。流石に、ここには動いている奴はいねぇか」
 そう、今回は動き出したPUPUちゃんを倒さなければならないのだ。そう言った『まっちろじか』草臥 木蓮(BNE002229)であるが、眼鏡の縁を指で弄りながら、聖と同じようにきょろきょろと辺りを見渡している。やっぱり、かわいいものは気になるから。
「遊園地は久しぶりなので楽しみですけれど、やはり目の前の仕事をおろそかにしてはいけませんね。気を引き締めていきましょう。遊園地は楽しみですけれど」
 大切なことなので、『錆びない心《ステンレス》』鈴懸 躑躅子(BNE000133)は二回言った。
 皆が自分たちの任務は忘れておらず、戦いの準備や対策をしっかりとしてきていることを躑躅子は知っている。だから、自分を引き締めるための言葉と共に、ひと房だけ白く見えるストレートの髪を指で流しながら気合を入れ直す。柔和な表情から、一変して仕事モードにチェンジだ。
「やっぱり、この格好は目立つよな……」
 焦燥院 フツ(BNE001054)もまた仕事モードであった。ただ、彼の仕事着は坊主らしく袈裟であったため、入場ゲートで係員に驚かれていた。その為、他のメンバーと比べて少しだけ遅れている。
「とはいえ、お仕事だ。……南無阿弥陀仏」
 静かに祈り、強結界を遊園地に張り巡らせる。これで、この遊園地でこれから起こるはずのシュールな戦いは認知されずに済むだろう。
「“楽しませよう”という強過ぎる想い、私達なら受け止められそうね。いいわ、“楽しませてもらおう”じゃない。――さあ、行くわよ」
 朝食を抜いて先に遊園地まで来ていた『威風凛然』千早 那美(BNE002169)が、七人のリベリスタたちを誘導するように、遊園地のアトラクションへと歩を進める。
(大丈夫、イメージトレーニングは完璧だわ)
 たぷん。
 大きな胸を張って。制服姿に自信を重ねる。凛とした表情は、まるで戦いに赴く武士であった。
 そんな風に力を込めている那美の姿を見て、リベリスタたちも力が湧いてくる。那美も遊園地を楽しみにしていたのだな、と分かるから。

●踊るPUPUちゃん
 射的場に出現する黄色のPUPUちゃん。
 彼(?)は今、踊っていた。着ぐるみらしい、大きく丸っこい手を左右に振ってから、腰を前後に一生懸命動かして踊っている。色んな意味で集中力が途切れる踊りだ。しかも無言で、射的をしようとしている真独楽を見つめながらやっているからまたシュール。
「……噂どおり、超気散るぞ、この踊り」
 ぱたぱた。元がひよこ(?)であることを覚えているのか、両手を使ってパタパタしている。攻撃ではないけど、暑苦しい。ちなみに聖も一緒に踊り、パタパタとやっているが、美人がやってもやはり暑苦しい。
「っし、本気で狙ってやる!」
 遠慮なく、木蓮のアーリースナイプが後方から飛ぶ。踊りで集中力が散っているが、動きはそんなに早くない。
 風を切ったショートボウの矢が、PUPUちゃんの腹を貫通する。矢ガモならぬ矢PUPUちゃんだ。
 しかし、矢PUPUちゃんとなった黄色いPUPUちゃんは、刺さりながらもすばやく銃を手に持ち、反撃のゴム弾を連射し始めた。
「わぁっ!? 何コレ、ほんと痛ぁい!」
 その弾の殆どを受けてしまった真独楽は吹き飛ぶような衝撃を身に受けて、地面に倒れた。ふざけた外見と動きではあるが、人に害を与えるエリューション・ゴーレムであることには間違いないらしい。
 真独楽は弾が当たったお腹をさする。ダメージはそれほど致命傷には至らなかったが、確かに痛い。だから、
「もぉムカついたっ、みんな、やっちゃえーっ!」
 跳び跳ねるように立ち上がり、その勢いで矢PUPUちゃんに指を向けてから突撃する。その指先、その突撃に合わせるように、待機していた那美が動く。
「トリッキーな動きに惑わされてはいけないわね。……じっと待ち構えて、狙うは一撃必殺よ」
 那美はブラックコードを強く張らせ、ピンと鳴らす。そして、真独楽が攻撃したのを確認して、跳躍。
 一閃。
 PUPUちゃんは倒れて、動かなくなる。那美の長い黒髪と巨乳が、一瞬の間に行われた動きに遅れて追随した。
「……ま、こんなところね。この感覚、嫌いじゃないわ」
 那美が放ったメガクラッシュがトドメとなったのだ。なので、この戦いはこれで終わり。

●走るPUPUちゃん
 メリーゴーランド。普段ならば日常から切り離された存在で、夢見る乙女や恋多き少女たちの希望を集める場所である。
 しかし今、そこは超高速で回転している近寄り難い難所と化していた。なぜかと言えば、普通のメリーゴーランドは超高速回転しないから。
 そこに乗り込んだ静をロックオンし、走っている奇妙な物体がひとつ。リズミカルに足を前後させている、珍妙な物体こと緑色のPUPUちゃん。
「こっちにおいで、ってことだ!」
 静はそんな緑色が後ろに迫ってきていることを認識しながら、こちらも高速の流れに沿って走っていた。そんな静の目の前に白馬のお尻が迫る。
「おおっと!」
 跳び箱の要領で白馬を飛び越し、更に走る。
 彼は囮だ。真っ先にメリーゴーランドへ乗り込み、自分を狙わせることで緑色のPUPUちゃんを誘導したのである。
 しかし、PUPUちゃんもただ誘導されるだけではない。ここは自分の領域だと主張するように、静に体当たりを仕掛けてきた。十分に速度が乗ったその体当たりは、それなりの攻撃力を生み出す。
「受ける側に回ってみると……、こ、こわいんじゃねぇのこれ!?」
 事前に使用してもらっていたフツの守護結界の力もあり、ダメージは抑えられ、吹き飛ぶ寸前で踏ん張ることに成功した。ここで踏ん張らなければ、メリーゴーランドから弾き出されてしまっていただろう。
「おっと、お前さんの相手はこっちにも居るんだぜ?」
 符の力で作られた鴉が高速回転に合わせて速度を整え、体当たりをしていたPUPUちゃんの背中へと飛び込んでいく。フツの式符・鴉だ。鴉はPUPUちゃんの体をついばみ、動きを止めてみせた。
「さあ、今だぜ」
 フツの号令によって、潜んでいた仲間たちのアビリティによる攻撃がPUPUちゃんへと集められる。この集中攻撃によって、PUPUちゃんは速度を落とし、転んでしまう。
「これで、最後だ!」
 攻撃の間に、体勢を整え直した静が、アトラクションに当てぬようジャンプしてからハルバードを大きく振り回す。疾風居合い斬りだ。
 疾風となった刃がPUPUちゃんを切り捨てる。
 それから、そのPUPUちゃんは動かなくなった。きっと、魔法が切れたのだろう。

●水のPUPUちゃん
 池のボート。恋人たちの憩いの場所に、女同士のボートがひとつ。躑躅子とレイライン、そして聖だ。その周囲には、仲間たちが用意したボートがいくつか浮かべられている。足場が必要だろうと考えたからである。
「まさしく、若い者の遊び。……じゃな♪」
 機嫌良く、頭の上に音符が浮かびそうなぐらいの満面の笑みを浮かべているレイライン。囮とはいえ、楽しまなきゃ損と、この状況を楽しんでいる。
「でも……。女性同士でボートというのは、少し寂しいものがありますね」
「そこはそれ、じゃ。……おっ? 来たようじゃぞ」
 くすり、と躑躅子は柔和な笑みを浮かべてから武器と防具を構える。ボートと波が揺れて、敵の出現が感じられたからだ。
「PUPUちゃんくるの!?」
 レイラインと聖、周りに待機している仲間たちも同様に武器を構える。
 水しぶきを派手に上げて、池から敵は出現した。飛び出すように、池の水を飛び散らせるように。
「くるっぽー」
「PUPUちゃんデタ―!」
 相変わらず、気の抜けた外見と声の敵だけれども、油断はできない。今だって、ボートに乗っていた三人が頭から水を被ってしまった。恐ろしい先制攻撃である。
「……水も滴るなんとやらです」
 躑躅子はそう自分を納得させて、味方やレイラインに攻撃が届かないよう、前に出て攻撃を受け止める体勢を取る。相手が攻撃をしてきても、これ以上は自分だけ……自分だけが、水を被ればいい。そんな覚悟で、立ち塞がる。
「さあ、PUPUちゃん! 戯れの時間なのだよ!」
 聖はハイテンションにわきわきと動く翼で飛行し、アーリースナイプをPUPUちゃんに放つ。銃口から放たれた弾丸もまたハイテンションに跳ねて、PUPUちゃんに吸い込まれていく。
 PUPUちゃんはもちろんダメージを受ける。だが、ボートを揺らそうとする意志は固いらしく、表面が弾痕だらけになりながらもボートの縁を掴みだした。このままでは池に落とされる! ピンチ!
「おっとぉ! わらわがそうはさせぬ!」
 味方が並べてくれたボートを見て、この位置ならやれるとレイラインはボートの先端に立つ。そして、十分に足を踏み込んでからのソードエアリアル。跳躍と共に放たれたその一撃は、必殺となり……すれ違いざま、青色のPUPUちゃんを両断する。
 両断されたPUPUちゃんは池の中に沈んでいき、そのまま浮かび上がることはなかった。
「これなら足場の悪さも気にならぬな!」
 ネコ科の動物めいた、器用な着地でボートの上に立ち、決めポーズをとる。レイピアは水を切り、レイラインの華奢な姿を水しぶきで飾り立てた。

●さあ、遊ぶぞ!
 平日ということもあるが、PUPUちゃんの騒ぎでこの遊園地は今、ほとんど貸し切りの状態であった。そんなこともあり、リベリスタたちはこの日何でも乗り放題なのである。
 ということで、リベリスタたちは戦いの報酬にと、好き勝手にアトラクションを乗りまくっている。たぶん、PUPUちゃんからの贈り物だから。

 先にPUPUちゃんが倒されたボート乗り場。青系統の動きやすい格好に着替えたフツが、同じく青系統の格好に着替えた木蓮と共に乗っていた。
「さっきまで戦ってた場所でこうしてのんびりしてると、守ったって感じがしていいもんだな」
「確かに守れたって感じがすげぇするよなぁ……。いいもんだぜ」
 ジャスミン柄のコインペンダントを握りながら、木蓮はタイミングを窺っていた。たぶん、勇気を出す時は今だと思うから。
「な、なあ、いつも名字呼びだろ? よかったらそろそろ、な…名前呼びとか出来ねぇかな?」
 フツは銀のプレートネックレスを指で弄って答える。
 ――ここから先は、ふたりの物語。

 場所は変わって、園内にあるジェットコースター。ただし、子供向け。
 濡れていた服を着替えたレイライン、それに静と真独楽は園内制覇! と意気込んでいたが、身長制限に引っ掛かったために何度も何度もこのコースターに乗り込んでいた。
 でもまぁ、これはこれで雰囲気があって楽しい。
「GOGO!! うひゃあぁぁ!」
「こ、こういうのもはぢめてじゃぁぁぁっ!」
「よぉし!! ここで、ばんざぁぁぁい!!」
 絶叫できるものはできるし。

 皆と遊び回る合間、那美はお土産売り場に立ち寄っていた。
「お土産、何がいいかしら」
 学生をしながら、アークとして戦う、忙しい日々。そんな日々を癒してくれた遊園地。その気持ち少しでも持って帰ろうと、お土産屋で物色していたのである。
 ちなみにお土産屋のオススメはPUPUちゃんストラップ。……任務が任務だけに、これがお土産でいいのだろうかと那美は首を捻る。
「いえあー! 遊園地楽しいー!」
 恋人の名を付けたネコ科の動物ストラップを揺らしながら、やっぱりハイテンションなのは聖だ。デジカメを持って、お土産屋の周りできぐるみを探して回っている。
「あ! PUPUちゃんみっけ! 写真撮ってもいいですよねー!」
 きっと、この日は大切な思い出になるから。この思い出を写真に撮って、持って帰ろう。

 お昼過ぎ。遊び疲れてクタクタになるまで遊び倒すぞ、と張り切っていた仲間たちの帰りを躑躅子はひとり待っていた。ファミリー用の机と椅子を確保して、机の上に用意してあったお弁当を広げている。「よろしければみんなで食べませんか?」と、先に言っておいたので、彼らはもうすぐお弁当を食べにやってくるだろう。
「お弁当が終わったら、私も遊びに行きましょう」
 騒がしい気配を感じたので、待機中に読んでいた愛読書に栞を挟み、視界を上げる。仲間たちの、本当に楽しそうな姿が見えてきた。
「ここは本当に、“楽しませるための場所”。……なのですね」
 これからも、この場所は人々を楽しませるのだろう。
 胸の中に、その場所を守ったという誇りが生まれる。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 楽しい楽しい遊園地。それをリベリスタたちにも与えたくて、PUPUちゃんはあえてエリューション・ゴーレムとして現れた……のかどうかはさておき、遊園地でした。
 プレイヤーの皆様の「遊ぶぞ!」という強い想いが感じられる気合の入ったプレイングばかりで、こちらも楽しく書くことができました。
 やっぱり遊園地は楽しく! そして幸せな場所です!

 ひとり遊園地が好きなnozokiでした。