● 「イエス・アリス、ノー・ロリータ。僕らの大事な女の子に色気など必要ない。もちろん、ノータッチであることは、わざわざ言及するまでもない」 男は、穏やかな笑みを浮かべた。 「人生の内でほんのわずかの時間。それは、はかない幻想。異性を意識しない、純真無垢な理性と子供らしい残酷さが共存する至高の輝き」 男の笑みが陶酔に満ちたものに代わる。 「僕は、女の子同士がお話したり、お茶を飲んだりして、甘い時間を過ごしているのを眺めていたいんだ。ただそれだけが望みなんだ」 ● 「香水って、普段つける?」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、そうきり出した。 「今回は、アーティファクトの回収。ちゃんと持って帰ってきて。そこらへんに捨ててきたりしないでね」 やけに念を押す。 モニターに映し出されたのは、赤いガラス細工の壜だった。 ギリシア彫刻っぽい感じで、題材は少女。 手に花を持っている。 楚々とした感じで、触れていいのか、ちと迷う。 「これ、香水ビン。中の香水の名前が『サフォー』……察しついてると思うけど、『ヒュアキントス』というアーティファクトと作者が一緒」 画面をよく見ると、花の部分がふたになっている。 中には確かに液体が詰まっている。 「この香水と壜が両方ともアーティファクト。『サフォー』を少女がつけると、かいだ少女をほわほわさせる。そして、香水壜を持っている人間はつけた人間をコントロールすることができる」 それって、どうなの。 「幸い、これ、少女以外がつけても周囲に影響はない。よっぽどたくさんつければ残り香が移る可能性もあるけど、その心配はしなくていいレベル」 こわぁい。 「これ、とある香水コレクターが所有している。現在アークで回収のため、購入交渉中……だったんだけど」 イヴは言葉を切って、はあとため息をついた。 「とあるフィクサードに先に買われちゃった」 え~!? またぁ~!? 「このフィクサード、名を由利守。特徴は……」 ごくり。 「LKK団異端派」 はい? 「美少女同士がほわほわといちゃいちゃするのを見たり聞いたり読んだり書いたり描いたり語ったりするのが人生の喜び」 そういうのってなんていうの? 「ぶっちゃけ、百合好き」 ああ、そうなの。 「話半分で聞かない方がいい。皆の身に降りかかることだから話している。ブリーフィング中にどうでもいいことは話さない」 え~、割とどうでもいいことも話してる気がするけど……ちょっと待てわが身に降りかかるって何だ。 「彼は見目よい少女にこの香水をかけて、自分の思うままにほわほわシーンを繰り広げてもらうつもり。もちろん、複数ゲットの予定。一般人を犠牲にするわけにはいかない。由利が少女を毒牙にかけようとしている場所は予測できた。そこにいち早く女子リベリスタを送り込む」 それはあれ? 欲望に満ち溢れたLKK団のお人形さんになれってこと? 「もちろん」 もちろん? 「もちろん、みんなを犠牲にする気はない。相手の興味を引く話題を振ればいい」 つまり、百合百合な萌え話を振り続けろってこと? 「その間は、アーティファクトを使用することはできない。まあ、その趣味がない人には精神攻撃に匹敵するけど、背に腹は代えられない」 イヴは、机の上に、セェラァ服におさげの少女が見つめあったり、刺繍したり、花占いしたり、ひざまくらしてたりする表紙の本を山と積んだ。 「参考資料。健闘を祈る」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月04日(金)23:24 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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● 気がついたら、野郎ばかりだった。 囮の娘さん+1が「姫百合」と呼ばれたのに対し、「庭師」と呼ばれた面々。 ぶっちゃけ、対ボス戦仕様のものごつさである。 始めはこんなんじゃなかった。 ブリーフィングルームには、お嬢さん方がたくさんいたのだ。 そこに、『悪夢の残滓』ランディ・益母(BNE001403)、酔った勢いで乱入。 姫百合たち、一斉退去。 後には、逃げ遅れた百合と、勘違いした百合と、ガチ百合と、下心ありの百合モドキと、さまざまな思惑を持った野郎ばかりが。 とはいえ。 依頼の詳細を聞いて、プロアルバイターはやる気に燃えた。 「大体女の心を操って同性愛させるとか不埒、悪趣味極まりねぇ! その仕事受けようじゃねぇか」と予想外に燃えた。 それが、混沌の始まりだった。 ● 四人の少女。 皆ローティーンに見える。 「学校の帰り、紅葉の綺麗な公園で放課後の寄り道」という設定である。 アークが用意した囮、「姫百合」である。 「このスイーツ、新作だったんだよ、お姉ちゃん! 早く食べよー! あ、先輩って言わなくちゃ」 明るい笑顔の下には、恐怖心が見え隠れ。 (……覚悟完了はしたけど、こわい) 『中身はアレな』羽柴 壱也(BNE002639)は、勘違いした姫百合。 (ヒュアキントスだと思ったら、違ったぁぁあああ) 男子を意のままに耽美空間に引きずり込む恐ろしい香水「ヒュアキントス」。 お腐れ様の壱也は、ずっと私物化を夢見ている。 (次はわたしが魅了される側なんて! ぐぬぬ……) 震える姿を楽しそうに見ているのは、『臆病強靭』設楽 悠里(BNE001610)。 (普段、人を掛け算に放り込む壱也ちゃんが、掛け算に放り込まれる無様な姿を笑いにきたのさ) 弱気で善良な悠里がここまでの行動に至るまで、どれほど掛け算されたのか。 推し量らないのが親切な気もする。 おびえる壱也に鷹揚に頷いてみせる『右手に聖書、左手に剣』マイスター・バーゼル・ツヴィングリ(BNE001979)は、ガチ百合。 (道具の力は真性では無く類似性のもの。ルイス・ドワイト牧師が報告した仮性同性愛に過ぎません。ヘテロを間違った力で無理矢理ほわほわさせるだなんて!) ふるふるふる。 (……背徳感がたまりません♪) 先程まで、「お手柔らかに……!」とガチ百合の恐怖に震える姉妹(設定上)のために、爪を短く整える音が辺りに響いていたのだ。 さながら、鬼婆の包丁研ぎのごとく。 「ふふ。外でも『お姉ちゃん』 って呼んでいいんですよ」 ガチ百合と知っていなければ、安らげる微笑なのにっ! 『悪貨』九段下 八郎(BNE003012)は、下心ありありの百合もどきである。 (見た目を生かして少女のふりをし、キャッキャウフフする。ぜってーボロは出ねえ! 俺はオンナノコとイチャイチャするんだ! ヒャッホウ役得!) まさしくアニキによって叩き込まれた少女的振る舞いの数々の真価が問われるときが来た! 由利は叫んだ。 「チェンジ!! 人選のやりなおしを要求する!」 うん。それ、無理。 ● 「百合の花が咲き誇る様は可憐だ、それは認めよう」 『カボパン王子』結城 竜一(BNE000210)は、残念な中身をフォローせよという神の粋な取り計らいによって美形である。 (いかなる性癖をも許容する度量こそが、俺が紳士と呼ばれる所以) それっぽい台詞をはくと無駄に説得力があるのが、美形様の強みである。 「だが咲き誇る花は、野に咲く花か、造花であるかで美しさは変わる。それを理解して、なお、その瓶を手にするのか。己が欲に塗れた凡俗め、紳士の名にかけて、貴様の存在を許しはしない!」 キリッ。 (うむ、まじ俺イケメン) しかし、由利も、百合の園に踏み入れてなお美しい美形様だった。 「たしかに。造花はいけない。問おう。造花とはなんだ。そこにいる女のような存在ではないのか!?」 その女、姫百合、ダウト! てな感じで、マイスターをどびしっと指差す。 一同、首をかしげる。ただ一人を除いて。 (14歳の美少女だよ~? 実は18歳女子大生の壱也よりよっぽど……) プロフィール検索。データ読み読み。 ブリーフィングルームでも、ガチ百合様であることに気をとられ、誰も、本人すらもまったく気にしてなかったけど。 御年70歳の古希。 LKK団の天敵、ロリババア様でございますよ? しかも、革醒若返り派。 永遠の幼女というなら若干譲歩してくれる派閥もあるやも知れぬが、心は、確実に少女ではない時期を経ているのでございますよ? 怨敵だ。 御敵だ! 「しかしあの乱暴な口調で一見粗野に見えるものの、きゃっきゃうふふがよく似合う少女はなお良し……由利殿もそう思うで御座ろう?」 『ニューエイジニンジャ』黒部 幸成(BNE002032)、有頂天の状態から一気に奈落の底へ落とすべく、八郎を倍プッシュ。 頃合を見て、真実を教える算段。 (自分、嘘をつきっぱなしではいられぬピュアで優しい忍者ゆえ……) 汚いな、さすが忍者汚い。 「ふざけるな。あれも偽物。造花の類!」 「な、なぜそれを!」 アークの資料でも性別不詳なのにな! 「LKK団に名を連ねる者、宿敵を識別するためのリーディングは必須!」 畜生、そこには派閥の壁ないのかよ!? 「そもそも、足首見れば一目瞭然だ!」 そんな深遠の奥義、全然わかんな~い。 一気にドン引きのリベリスタなどお構いなし。 「『こんなに可愛い子が女の子の訳がない』などと破門された者共と一緒にしないでもらおう。更に言うなら、年齢までも詐称の生物が私の愛しい姫百合たちにまとわりつこうなど、許されるものではない!」 五十歩百歩じゃね? 「わたしは本物の姫百合があるべき姿が見たいだけだ。活け花。花を活かすのだ。花の美しいほんのわずかな時間。幼い彼女らが意識していない真の美しさ。それを体現し、この目に焼き付け、胸に大事に抱えてたいだけだ。指一本触れない。それが、我々の矜持」 舞台俳優的モーション付きで語る由利。 んでもさ、放置できないよね。 たとえ幼女や少女がいいって言っても、日本の刑法では十三歳以下は同意をとっても強制罪成立するんだから。 幼女、少女を守るのは、良識ある年長者の仕事です。 論破できないなら、心を折っちゃえばいいじゃない。 てぐすね引いてやる気満々のいぢめっ子が出番を待っていた。 「まあ、霧島の話聞けや!!」 返事もない内から、輝く笑顔を浮かべ、大音声でぶちかます。 「おっぱいて、エロいよな、あと他にも脚もエロいよな!」 『狡猾リコリス』霧島 俊介(BNE000082)本人曰く、「陰湿ないじめ」 エロ話大嫌いという資料を見て、「大嫌い? 弱点ですね、分かります」的解釈、まじどうなの。 「あえぎ声って素敵だよな超かわいいよなどう思う? ところで男の体でエロいとこてどこ? なあ教えろよー」 怒涛のセクハラ。 幼女、あえいだりしないから。 紳士の体にエロいとこなんてありませんよ!? 聞いてると耳が穢れそう。 涙ぐんでるよ、由利さん。 「あともうロリコン、やめようか? ほら、現実は厳しいけど目は背けちゃ駄目だ」 年上の彼女とリア充生活うふふ~んの余裕。 別に幼女に彼女になってもらおうとか思ってないもん。 幼女に時々手を振ってもらったりするのが好きなだけだもん! ぶっつ~ん。 いろいろぶちきれた、由利。 散布される、姫百合の香り。 あびちゃったのは、壱也だった。 悠里が喝采したのは、いうまでもない。 ● 「あはは……うふふ……」 『白雪姫』ロッテ・バックハウス(BNE002454)は、王子様を求める正しいお姫様である。 しかし、今、サフォーを浴びた壱也をほわほわフィルター越しに見るロッテは、「お姉ちゃん大好き~!!」娘になってしまった。 さっきまでの「お姉ちゃん大好き~!」が路傍の石に向けてとするならば、今の「大好き~!!」は、バランス感覚に定評がある、どっかの手練と兄弟じゃねえかと三高平で噂のフィクサードに向けられるものと大差ない。ペロペロ。 「あ、そうだ、この間買った服、写メしてきたの。見て」 壱也、由利により、口調、仕草、笑顔、お嬢様風味に修整済み。 「んん、このワンピースには、もっとお胸が大きい方が似合うと思うんですぅ! わたしが大きくしてあげる~! きゃは☆」 ほわほわフィルターはそんな壱也を見るロッテの脳に怪しく作用。 (なんだかテンション上がってきたのです! 揉んでやるのですぅ!!) ちなみに、ロッテの行動はあくまで自由意志。 「や、やだぁー! やめてよ~! は、恥ずかしい……っ」 テーブルの周りぐるぐる回ったり、木の周りをくるくる。 「うふふ、つかまえてごらんなさ~い」 上品に揺れるスカートのすそ。 あくまで優雅に抱き合う二人。中に人が一人入るくらいの隙間を作るのがポイント。 由利、うっとり見ている。 「二人の姉妹が、にゃんごろにゃ~ん」 竜一が無粋な茶々入れるが。 「ロッテさん、もうちょ~っといっちーの胸元のボタンを緩めてあげるといいかな」 由利の眉間にしわがよったぞ。 「ついでに、いっちーのスカートもうちょっとめくっちゃえ」 「いらんことゆうな、アークの変態!」 語尾くい気味に、竜一の演技指導にツッコミ。 「そういう破廉恥な要素は必要ないっ!」 けっへっへっといじめっ子の姫百合の園破壊工作は続く。 もちろん、マイスターだって壱也にうふふっ。 そのために、まずしなければならないことがあった。 「この公園にはハレー彗星人クダンゲインが出る噂があるので注意しましょう」 その視線、永遠の氷雪力波。八郎は死ぬ。 「そんな、お姉さま! ひどいっ」 完璧を期すため、グラサンはずして挑む八郎、無駄に可憐だ。 日頃のアニキの調教具合がしのばれる。 立ちふさがるマイスター。 ガチ百合として、ナンチャッテ百合を許すわけに行かない。というか、誰が獲物を譲るかっていうか。 「壱也姉さまは、あたしのものよっ」 八郎の自制心が弱い・ゆるい・残念の三下スピリッツ炸裂。 鶏の低空飛行。 きゃっきゃうふふ空間内の壱也にタックルアンドキャッチアンドテイクオフ! (女の子とイチャイチャ、女の子とイチャイチャー!!) 「やれやれ」 悠里が、最小限の力と動作で足を振りぬく。 (八郎さんが飛んだら斬風脚で落とす) はじめから、決めてました。 風の刃は、ノー容赦。 確実に、百合モドキを地面に落とす。 壱也は無事、八郎の腹の上に着地して、無傷。 八郎、ヒップドロップ食らってダウン! 「しっかりしろ、大丈夫か」 竜一、八郎を抱き起こした。 ぺろぺろ。 八郎可愛いから、問題ない。 邪魔者はいなくなったと、マイスター、姫百合ちゃんたちにつつつっと近づいた。 「……ところで壱也。ロッテ。結婚しましょう!」 ありえないくらいの満面の笑みで、マイスター、まさかのダブルプロポーズ。 場に電流走る。 「姉の願いは、妹を踏む事と、花嫁姿を見る事と、妹より行き遅れない事。自然です」 えらい勢いで無茶を言う。 きゃっきゃうふふ空間危うし! というか、幼女に結婚という言葉は「大きくなったらパパと結婚するの」しか許されておりません! 「うわ~!! だいなしだ~! 滅び去れ、ロリババア~!!」 由利の悲鳴が響いた。 ● 幸成の撮影を阻むことは出来ない。 壱也の彼氏からと指令を受けている。 木の枝からブラ~んと吊り下がり、全体像を余すことなく激写。 時々、「可憐な壱也スマイル」をアップで撮ることも忘れぬ辺り、忍者のクリティカルヒット。 もちろん、背景として見切れていることが条件。 由利を油断させ、四人以上で囲んで降伏させねばならないのだから。 (同じ背景でもやたらと暑苦しく、せっかくのきゃっきゃうふふな雰囲気を損ないそうな、ランディ殿や新城殿との違いを見せてつけてやるで御座るよ!) そう。きゃっきゃうふふな精神的攻防戦から距離にして15メートル。 ランディの健康と矜持を賭けた戦いが終結を迎えようとしていた。 「サフォーなど、俺が破壊す……え? 破壊したら匂いがやばい? え、えーと、じゃあ飲んで消化な! この俺のRストマックで!」 「いや、だから不味いですって! 身体的にも、任務的にも!」 「新城、俺の邪魔をするつもりか……良いだろう! 俺を超えてみろ!」 と、姫百合そっちのけで、庭師二人はガチバトルに突入していたのだ。 拓真が短い時間に二度繰り出す技をまともに受けながら、それを凌駕する重たい一撃を急所に叩き込むランディの緻密さ。 無尽蔵に思われた互いの強靭な肉体を破壊しあって、それぞれの「正義」を貫こうとしている。 それもまた、リベリスタとして避けては通れない戦いであった。 のだろうか、審議中。 「遠慮はしません、全力で──! 俺はあなたを超える!」 ランディの間合いに飛び込み、有巧打を浴びせて闘気を霧散させたあと、返す刀で零距離で放たれる真空の刃がランディに出血を強いる。 あえて自らの底上げをすることなく、攻撃に手数を注いだ拓真の覚悟がごくわずかランディを先に崩すことに成功した。 「俺が、俺が負けてたまるか!」 しかし、ランディは諦めない。 負けることを自らに禁じた男は、運命の恩寵を支えに再び立ち上がる。 彼には、不埒な存在を完全に滅する使命があるのだから。 闘気を喚起する間も惜しい。 拓真の肩をがっちりつかみ、そのまま重量を以って断ち割る刃をその肩口に叩きつけた。 刀身に刻まれた由利の紋様が拓真の血で赤く染まる。 「ランディさん……」 「こいつ……! まだ立つと言うのか……!」 「ストップ…! 状況がとんでもなくカオスになってます……!」 正確に言うと、刺さる視線が痛いっていうか。 「壱也は好きな人を守れる人。ロッテは幸せを掴める人。というわけで、子作りしませんか♪」 「姫百合は子作りとかいわねえええ!!!」 マイスター、暴言乱発。 ロッテは壱也にペロペロ。 幸成は、映像記録に集中して木から降りてこない。 八郎は竜一のペロペロの跡も生々しく伸びてる。 もう由利は涙目絶叫。 自分の世界に篭城して、壱也をお嬢様に仕立て続けてる。 竜一と俊介は、由利の右と左からステレオ効果でエロ話を続けてる。 じゃ、誰の視線なの。悠里じゃないよ。生温かく壱也を見守ってるから。 それは。 お嬢様的きゃっきゃうふふを強制されまくって、ほわほわフィルター撒き散らしている壱也の瞳の底から発せられる熱い熱い刺さりそうな視線でございます。 そろそろバトルフィールドから帰ってこい。 掛け算するぞ。 ● 一時休戦。 戦闘の興奮冷めやらぬ、聞いただけで殺されそうな「めっ」の後。 サフォーから解き放たれた壱也は叫んだ。 「香水うおおお!! 飲んじゃだめーー!! 持ち逃げもだめーー!!」 可憐さグッバイ。 それをヒュアキントスのときも叫んでもらいたい。by別働班。 「邪魔する奴らは皆殺しだ!」 「めっ」の面子にあえて加わらず、一同のささやかな隙をついて、ランディ、サフォー確保! 「こんな物はあっちゃならねぇんだ!」 ごきゅごきゅごきゅごきゅ。 やめて、ランディさん! いくらRストマックだからって、サフォー一気飲みなんて! 「命は投げ捨てるものだよ!」 一声叫んで、昏倒。 やり遂げた男の顔だ! 体力減り減り状況で、そんなことしたら倒れるって。 衛生兵~! 「投げ捨てられた命はすぐ拾う!」 「貴方にプロト時代から、アークがかけた時間と手間プライスレス!」 「まだまだ働いてもらうけんのぅ!」 口々に叫びながら、別働班、ランディと心折れた由利を回収。 ころんと転がるサフォーの壜。 地べたをはいずってくる小さな手。 「百合喫茶を開業してアガリでボロ儲け……うへへ」 不埒だ、八郎。 由利にも入れた竜一のグーパン。八郎にも一発。 「だって、コントロールされた子にぺろぺろとかしてもつまんないし。造花には造花の良さもあるだろうが、自然な花が俺は好きなのさ」 お仕置きは、更なるボコボコがいい? ペロペロがいい? (やはり自分が回収しておくと致すか。やれやれにござぁ) 気配を絶ったまま、幸成、サフォーの壜回収。 ちゃぷちゃぷ。 はて、面妖な。中に香水が湧いてきてるでござるよ。 「って……ぎゃぉぉぉ!」 由利のおけつぺんぺんしていたロッテが、奇声を上げる。 「誰だカメラ回していたのはぁ!! うふふ~ころちゅ!」 姫様、瞳孔拡散気味です! 「ゆっきいいいい!!」 壱也も剣に手を掛けるが、幸成、彼氏からの依頼書を広げる。 「え、先輩が……!? えっえー! どうしよう!」 彼の望みもむげにできない乙女心! 「で、でも、やだぁ!! メガクラッシュ!」 忍者が無事に依頼を貫徹できたかどうか、アークの正式記録には残っていない。 「なんだか…普通の任務よりどっと疲れた気がする…」 (何でこうなった) ランディの強行というか凶行を止め切れなかった拓真は自問する。 強くなれ。 強くなるのだ、いろいろな意味で!! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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