●Trick or try? その日、『相良に咲く乙女』相良 雪花(nBNE000019)は悩んでいた。前々から準備をしていたハロウィンパーティの日と、関東仁蝮組の人間が雪花の様子を見にやって来る日が重なってしまっていたことが判明したのだ。 「どうしましょうか……」 どちらも、今の雪花にとっては大事な行事だ。 組の者たちは雪花にとって家族同然であり、雪花という人間を構成する大切な要素だ。雪花を慕い、心配してくれる彼らをないがしろにするわけにもいかない。 しかし、この三高平市に来てからの仲間――アークのリベリスタと交流することができるせっかくのチャンスを逃したくはない。まだまだこのアークに慣れていないと感じている雪花にとって、このハロウィンパーティは非常に大切なもののようだ。 それに、ハロウィンパーティの告知は既にアークへ申請してしまっていた。 どちらも天秤にかける訳にはいかない。取捨選択という言葉もあるが、雪花はそれもできなかった。 だから、雪花は閃いた。 「両方同時にやればいいじゃないですか」 歳相応――14歳の笑みを浮かべてから、雪花は組に電話をかける。それを聞いた組の者たちは少し驚いたが、お嬢のやることだと納得し、準備を始めた。 「これで、完璧ですね」 こうして、世にも奇妙なハロウィンパーティが生まれたのである。 ●お嬢、これで大丈夫ですかね? 雪花が主催するハロウィンイベントの告知を受け取り、三高平市にある神社までやって来たリベリスタたちは、その異様な雰囲気を五感で感じ取っていた。 まず、ハロウィンらしくジャックランタンやフランケンシュタインの怪物の仮装をした人間が店を出していている。それはいい。少しリアルな傷を付けているフランケンシュタインの怪物だけど、それはまだいい。 「ラッシャイ!」 「ヤスイヨー!」 仮想をしている人間たちが売っているのはカラーひよこやたこ焼きで、出ているのは屋台だ。まるで縁日のような……いや、縁日そのものの光景が広がっていたのだ。遠くにはかぼちゃでデコレーションされた櫓と太鼓まで見える。さすがは関東仁蝮組の雪花、といったところなのだろうか。 「あ、皆さん。本日は私が主催するハロウィンパーティにようこそいらっしゃいました」 そして現れるのは、魔女の格好をして満足気な雪花だ。豊かな胸元が強調されるような格好で、いつもとは印象が違って見える。 「このパーティを行うために、組の皆に協力してもらいました。……組の皆がちょっとハロウィンを知らなかったので、自分たち流のおもてなしをするとのことです」 ちょっと……? と、リベリスタたちが首を傾げると、仮装をしたごつい人たちが気さくに手を振ってきた。 「でも、きっといい思い出が作れると思います。花火もやりますから、是非楽しんでいってくださいね」 何故かは分からないが、スキップをして去っていく雪花を見たらリベリスタたちは何も言えなかった。 だから、気を取りなおしてこの奇妙な催しに飛び込んでいく。雪花が楽しんでいるのは確かだから、自分たちも楽しめるはずだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月10日(木)22:52 |
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■メイン参加者 0人■ |
●祭りの始まり 目の前に迫るそれを前にして、夏栖斗は思わず一言。 「うっす可愛い魔女さん! 胸すごっ!!」 相手は雪花で、もちろん目線はまろび出そうな胸固定。それを見つつ、夏栖斗は何とかアークには慣れたかと話かけている。 「ええ、こうして皆さんと楽しめることができて幸せです」 「早速やっているな、相棒」 やってきたのは塗り壁の仮装をした快と恵梨香だ。二人で店を巡ってきたようで、雪花に渡すための一品を持ってきている。 恵梨香は快の後ろに控えながら、雪花に向かってぺこりとお辞儀をしていた。 「そうそう、雪花さんに紹介したい人がいるんだ。雪花さんは直接の面識がないかもしれないけど……」 快はそう言って、恵梨香の背中を軽く叩いて雪花の前に出す。恵梨香はそのまま簡単な自己紹介をして、淡々と話を続ける。 「いろいろあったけれど、これからはアークの同盟者として宜しく頼むわ。戦力や裏社会の情報収集で役に立ってくれると期待してるわね」 「こちらこそよろしくおねがいします。……あ、この声」 「ええ、一度」 思い出し、顔を綻ばせた雪花を見て、恵梨香は素っ気なく答えながら何故だか顔を逸らしたくなった。 「俺の可愛い後輩で、大事な戦友だよ」 ぽん、と頭の上に乗せられた快の手を感じながら、雪花に対して妙な羨ましさを覚える恵梨香だった。 「どっちの屋台ショー! 恵梨香に選んでもらった今回の俺が勝つ!」 「ちょっとまてよ! 僕が差し入れたたこ焼きのが旨いって!」 そして始まる快と夏栖斗のゲームバトル。この結果は小早川秀秋級だった。つまり、どっちもよかったとか。 何か起こってからでは遅い。なので、リーゼロットは仮装して自主的に見回っていた。 そんな彼女の表情は箱の中で鳴くカラフルひよこを見つけた瞬間に溶けていく。 「ハッ……こ、これはひよこですか。す、すごいカラフルなのですが」 気を抜けばうきうきとしそうな体の動きを抑えつつ、リーゼロットは思考を巡らせる。 (愛いです、しかし安易な気持ちで生き物に手を出しては……、もし自分に何か有った時に面倒をみてくれる人も居ないでしょう。我慢、ここは我慢です) 「狐娘の嬢ちゃん、ひとつ買うかい?」 「……ふぅ。……あ、い、いえ。自分は大丈夫です。それでは」 名残惜しそうに、そこから離れるリーゼロットだった。 河童の仮装をしながら、かき氷を崩すように食べているのはブリリアントだ。舌を真っ赤にしながら、満足そうな笑顔を浮かべている。 「この肌寒い時期に敢えてのかき氷! てんしゅ、きさま……かぶいているなっ!?」 びしっ、と向けられた指は見事に決まったが、出てきた店主の顔を見ている内にブリリアントは表情を崩していく。怖い。それだけではなく、寒気も……、 「は、は、はっくしゅん! えっきし! っちくしょぉーい!!」 出店をきょろきょろと見渡しながら瞑はうきうきを隠せないでいた。 「ふん、ヤクザ集団だと?私みたいなかわいい少女が歩いていたら即襲われてしまうな」 舞い上がってそんなことまで言ってしまう。 「まあ、とにかく、なんだ、食いまくる」 正気を取り戻してから、瞑は目についた焼きそば屋台に向かう。すると、そこには夜見がいる。 (俺は今日はただのモブでバイト、ただここに居るだけ) バイトである。単純にお金がないからだ。 「なんだ?」 「焼きそばひとつ!」 「待ってろ」 という会話を経てから、差し出されるは焼きそばひとつ。 「縁日と言えばやっぱり食べ歩き! 綿飴、リンゴ飴、チョコバナナ、焼きそばに焼きとうもろこし! ということで、焼きそばください!」 そこに現れたのは、水着の上にマントと帽子というきわどい仮装をしたきなこだ。縁日ハロウィンが気に入ったらしい彼女はテンションが高く目指せ全店舗制覇と目標を抱えている。 「待ってろ」 きなこはきつい胸元にスティックキャンディを挟んだセクシーウィッチだ。しかし、夜見はそれを見事にスルーしつつ、焼きそばを作って渡す。 それほど量はない焼きそばなので、瞑ときなこはあっという間に食べ終わり、次へと向かうのだった。 「思いっきり楽しまないとですね!」 「……」 それを特に見送りもせず、夜見はバイトを続ける。これぞモブ。 「ジークエンパイア!」 そんな焼きそば屋台の隣には、何やら叫んでいる達哉の屋台。売っているのは黄金のお菓子。 黄金の菓子とはたい焼きのことである。それを5個買えばオマケが付いてくるという宣伝をして、縁日の客に売っている。もちろん、瞑ときなこはそれも食べた。 「極道組織の縁日稼業、俗に言うテキ屋というやつじゃな。昨今はあれこれ風辺りが強いが、こうした催しで真っ当に世間へ貢献できるのは良い事と思うぞ」 もぐもぐと、式鬼もそれを食べながら感想を言う。食べ歩きをしながら静かに楽しんでいるようだ。 「おや、雪花じゃな。瓜二つという程ではないが、式鬼と似通った要素が多いのう」 そんな式鬼は暇そうに歩いて来た雪花に向けてそう漏らしながら、髪の毛を弄ってみる。似ている……はずだ。 電子タバコを咥えながら、小男は一番の盛況になっている自分の店を眺める。隣の大男は無邪気にはしゃぐだけで戦力にはならなそうだ。 「元気してたか? 大男も楽しんでるか? 二人とも仲良くやってるかー? いい加減名前教えろよー呼びにくいっての!」 そんな二人の前に、元気に飛び出てきたのは静だ。二人と戦ったことがある静は、心配になって駆けつけたのである。 「お、お……げんき! げんき! アニキ、名前なんだった!」 「何でもいいじゃねぇか。ほら、ひとつサービスするから遊んでけ」 大男と小男はそれぞれの反応を返しながら、射的の銃を持つように促す。 「うーん。じゃあ、例えばジャイガと、ミゼットとか。……あ、オレは桜小路静って言うんだぜ。ヨロシクな!」 笑顔を浮かべてから、静はサービスの射的をする。カッコつけて撃ったものの、収穫は小さなキーホルダーひとつ。 「林檎飴どこかな、林檎飴っと」 林檎飴を探して移動中、終はたまたま振り向いた先に射的の景品を見た。そこにあるのは、モルのぬいぐるみ。 「何あれ、モルじゃん! でかい、何あれ超欲しい」 横にいる大男並みにでかい。絶対取ると気合を入れて、終は小男に声をかけていく。 「おっちゃーん、射的一回いくら~?」 こうして、負けられない戦い。果てしない粘りの戦いが始まった。 「雪花さん。楽しそうですね」 仮装ではないが、フォーマルな格好をした螢衣は仁蝮組の者たちに話しかけている。話題は雪花のかわいらしさや世間話など。 「本当に最近は危険になりましたね。わたしも夜の一人歩きは怖いです」 螢衣は話を終えながら、自分も楽しもうと射的を始める。 「ええと……能力使うのは禁止ですよね」 小さなぬいぐるみを狙い、それを見事に仕留める。 「関東仁蝮組よ、景品の貯蔵は十分か! ……え、禁止?」 エネミースキャンとバウンティショットの用意をしていたエーデルワイスは驚きつつも、まあいいかとそのまま射的を続行した。 「みずがめ座の私は今宵とっても飢えてるのです。アアハッハハハハハハハ」 エーデルワイスは高笑いを浮かべつつ、次々に景品を取っていく。とった景品は近くの子供にあげちゃうので、問題ないという顔だった。 櫓の上、立派な太鼓の前には龍の仮想に身を包んだ御龍がいる。 「江戸っ子は祭りが命ぃ。ちょいと太鼓打たせておくれよぉ、お兄さん」 と、言って打たせてもらいに来たのだ。 「いいのかい。それじゃ……!」 ドーン、と空に景気の良い音が響く。彼女の心意気がそのまま表れているかのようだ。 お祭りは、続く。 ●ふたりで 仮装したヤクザな人たちに見られておどおどしているあひるは雷音に抱きつくようにしていた。 「わあ……厳つい顔の人、いっぱい……。あ、あひるが、守ってあげるからね……!」 「怖い顔のテキ屋さんだらけなのだ。本場のテキ屋さんなのだ」 対して雷音はそれを気にもせず、せっかくのデートなのだからと逆にしっかりとしている。 「ふわふわで、うれしいな、あひる」 「うれしいね、雷音。あまあま、ふわふわ……幸せ」 買ってきたわたあめを二人で食べて、その後は少し場に慣れたあひるの提案でたこ焼きとイカ焼きを分け合った。 「おそろいのお面も買おう!」 「……うん。きっと、雷音がお面付けてる姿、かわいい……わ……」 一緒に写真を撮りましょう。そう笑いかけて、大切な友人と思い出ができたことを嬉しく思うあひるだった。 雪女に仮装した光とシーサーに仮装した桐はお互いにポーズをとっている。 「雪兎だぞ!」 「寒暖コンビですよ?」 ぴょんと跳ねる光と、がうがうと可愛らしく吠える桐。 そうしてから、買い食いタイムだ。 「たこ焼きをかっておくれよ!」 「たこ焼きですか? はいはい」 桐は財布の中身を心配する。仕事はしたから多分大丈夫。 「りんご飴もいいな!」 「やっぱりりんご飴ですか? はいはい……」 そんな桐の腕を引っ張って、光は更に進んでいく。 猛の提案で、猛とカルナはわたあめを食べながら祭りの中を歩いていた。 「食べ歩きは少しはしたないですが…なかなか楽しいものですね」 甘いものに誘って貰ったことを内心で喜びつつ、カルナは緑色の着物に手を置く。胸は不思議と温かい。 「お、あいつは……」 祭りの中で猛が見つけたのは、天使をモチーフにしたぬいぐるみ。 「よっしゃ……絶対貰って帰っから覚悟しろよ、的屋の親父……!」 そう言った猛は、何度も失敗を繰り返しながらもそのぬいぐるみをゲットした。 「……ってことで、プレゼントだ」 「ふふ、大切にしますね」 猛さんは可愛らしい物が好きなんだな、とカルナは思っていたので不意打ちで顔は赤くなる。 「何時もありがとうございます。これからも仲良くして頂けると、その……嬉しいです」 ぎゅ、とぬいぐるみを抱えながら、カルナは笑った。 「あっ疾風さん!! あれあれ! 射的やりたいですぅ! やったことないからやりたぁい!」 今にも飛び回ってはしゃぎそうな愛華を連れて、疾風は二人分の射的の代金を払う。 「うぅぅ疾風さんやってみて下さいよぉ!」 慣れていないだけに、愛華の射的は惨敗。 「やってみようか……。当たれ! 倒れろ!」 代わりに、ということで挑戦した疾風の一発で、見事ぬいぐるみは落とされる。 「わぁっ!! 当たりましたよぉ♪ すごぉい!! すごい! はぁ、疾風さんは何をやってもかっこいいですねぇ」 「デートの神様が味方してくれたのかな」 恋をするって幸せなことだと、愛華は実感しながら、疾風の手をぎゅっと強く握ってみた。 「羽音! あれ! あれ食べたいんだぜ!」 「ん、お好み焼き……? いいよ、行こ行こー……」 だけど、羽音はそこに幸せを感じる。沢山の屋台が並んでいて、どれも魅力的だけど、こうしてはしゃぐ俊介が一番魅力的だから。 「ほい、あーん!」 「……んー?」 ついつい俊介に見とれてしまって、目の前にお好み焼きが来たことにようやく気付く羽音。梟のように首を傾げる。 「ほい、あーん!!」 もう一回。 「あーん……ん、美味しいっ。ありがとー……♪」 俊介の笑顔をおかずにお好み焼きを口に含む羽音。ちょっと照れるけど、最高の瞬間だと感じる。 ハロウィンだけど縁日という不思議な光景に、アリスは困惑したけれど、ミルフィの楽しければどちらでも宜しいではありませんか、という言葉を聞いて精一杯楽しむことにする。 「雪花さん、トリックオアトリートです♪ 少し休息して、私達と一緒に回りませんか……?」 ということで、アリスとミルフィは雪花を見つけて、三人で屋台を回った。 「あ、りんご飴です♪ わた飴、焼きそば、いか焼きも美味しそうですよ♪」 ひとつ、ふたつ、みっつ。楽しい言葉を転がして、ひとつずつ見回るアリス。 「あのうさぎさんのぬいぐるみですわね? ……お任せを♪」 そして最後はミルフィが射的を行って、ぬいぐるみをゲット。 「……カップル人気がすごいんだな」 小男はそんな光景を見て、小さくつぶやいた。 そんな小男の頭に、コツンと当たる射的の弾。 「手が勝手に動くんですすいません」 セシウムは謝りながらも、次弾を込めてもう一発小男の頭に撃つ。 「ミッションを開始します」 続いて、マリスの放った弾が跳ねて小男のお尻に何度も当たる。偶然ではない。これはセシウムが提案した遊びなのだ。 「……はぁ」 小男は呆れながらも、何かを言おうと二人に近寄る。 「十分遊びました。それでは」 マリスはお金を置いて、セシウムと共に逃げ出していく。小男はそれを眺めながら、頬を指でボリボリとかいた。 ●みんなと まず、壱也が飛び込んで行く。壱也と競争するように、ジースが走って追い越す。 「行くよ! いっちー組!! 狙うは射的!! 射的の景品総取りしてやるわ!」 「おうさ! 全部狙い打ちだぜ!!!」 そして、ジースが叩きつけるようにお金を置いていく。もちろん、射的をするためだ。 「今日は射的のスペシャリストが一緒だもーーん! ね、りゅーちゃん!」 「射的か、懐かしい。たまにはこういうのも悪くはないな」 「ほう、りゅーちゃんを呼んでいたのか、それは頼もしい!」 ということで、ジースと壱也は龍治に教えてもらいながら射的を始める。 「ほら、きちんと狙うんだ。……何だか保護者の様な気分になってきたぞ」 結局、内心うきうきしていた龍治が射的に参戦し、二人の欲しい物を取っていった。 「くぅ……俺も落としたかった!」 「ありがと~! ハロウィンだから飴あげる~」 二人にぬいぐるみを渡しながら、龍治はこういうのも悪くないと思う。 執事服の成銀が、眼鏡を光らせながら野望に燃えていた。紅椿組のためだ。 「仁義なき縁に……ハロウィン抗争勃発でございます。こちらも勝手に店を出して仁蝮組の利益を掠め取る簡単なお仕事でございます」 と、いうことで執事服の成銀は型抜き屋をやっていた。 「仁蝮組に払う義理も縁も特には無ェが、縁に……ハロウィンに仁義を欠くたァ俺の男が黙っちゃいねェ!」 そこにまず突撃してきたのは、わたあめ片手に持った狄龍だ。全身からお祭りを楽しんでいるオーラが出ている。 「抜きの腕前なら三高平無双と謳われたっぽいこの俺が、抜いて抜いて抜きまくったらぁー!!」 型抜きを相手に張り切る狄龍だが……、 「あっ」 勢い虚しく折れる。 「はい、残念」 「張り合わなくても普通に許可取ればよかったのに。シマ争いには関わらないつもりだけど一応型抜きしておきましょう」 そこに、彩歌がやって来てコンセントレイトとピンポイントを使って見事に釣り上げる。 「で、景品これ? どうにかならなかったのかな。隠し撮りっぽいし」 型抜き屋の商品を受け取って、彩歌は首を捻る。商品は色々な格好をした椿の生写真だ。 「じゃ、私はわたあめ買いに行くから」 そう言って去った彩歌と入れ違いに、守夜と三千が型抜きをしにやって来た。既にあちこち回ってきて、遊んできている感じだ。 「普通のハロウィンよりこっちの方がしっくり来るぜ」 「成銀さん、よろしくお願いしますね」 さて、二人の型抜きは地味なものだった。とはいえ、三千が地味な作業好きだったこともあり、少しずつ型抜きは進んでいく。 守夜が目を向けると、三千の足下に大量の型抜きの山。 「テキヤの事はわからないけど、食客だし一応働かないとねー。と、雪花」 そこに、ちょうど見回りに来た雪花が見つかったので、法被・サラシ・股引・雪駄を装備した夏海が客引きする。 「14歳か……乳でけーな」 「胸なら、私も……。それに、私の方が若いし……見た目は老けてるけど」 誘いながらも自分のすいかな胸に手を当てて、ちょっと張り合う夏海だった。 「俺はタコヤキ屋台だ!」 雪花は客引きされるままに、ねじり鉢巻・腹巻・ももひき・はっぴを装備したフランケンなソウルのやっているたこ焼き屋台まで来て、その迫力のある挨拶を受ける。 「雪花。銀の字に代わって筋は通させてもらうぜ。うちの組長とも仲良くしてやってくれや。ほら、タコヤキサービスしとくからよ! またよろしくな!」 威勢のよさに押されて、雪花は苦笑するのだった。 「おぉ、雪花さん居った! ハロウィンパーティーありがとなぁ! ……いや、うちより若いのに仁蝮組の組長とか、ほんま大変やなぁ。学業との両立大変やろけど、頑張るんやよー」 そんな所にやってきたのは、ちょうど噂されていた椿だ。普通に感心をしながら、笑って雪花の肩を叩く。こちらも気のいい感じである。 「さて、型抜きって、ちょい待ち、その景品群はどういうことなん?」 そして、発見するのは生写真と盗撮魔。 「まぁ、なんや……覚悟はできとるんやろなっ!!」 ドスの利いた声の後、成銀は何も覚えていなかった。 三高平団地のメンバーは示し合わせて集まり、大人数で一緒に店を回っていた。 「おお、これで全員ビーストハーフじゃのぅ。お揃いなのじゃ♪」 レイラインの弾んだ声の通り、 のメンバーは真独楽や火車がオススメするお面を被っていた。 「あら、皆様もとてもお似合いですわね」 ペンギンの仮面を被って、静かにテンションを高めているアティカの感想だ。 「あ、ユーリ! ユーリはこれだ! クマ!! そっくりだぞ!」 「じゃあ、レンはこれだね」 レンは小熊、悠里は熊。親子のような二人は、お互いにはしゃぎ合っていた。久しぶりの楽しみ、ということで悠里の手にはビールもある。 「アインス、ツヴァイ……ドライ、プロースト」 それに対してアティカはグリーンティ。それを使って、団地の皆と乾杯をしていた。 「いろいろお店を回ろうか~」 うさぎのお面を被って、少し嬉しそうにしている花子の先導のもと、色々な店を回っていく。中には過激な罰ゲームもあったが、概ね楽しいものとして、皆の記憶に残った。もちろん、花子の記憶にも。 「ミーノは食べ物屋さん全せいはをめざすの~」 「わた飴にりんご飴に……食べたいものいっぱい。みんなはナニ食べてるの? 一口ずつとっかえっこしよ!」 無邪気にピンク色の髪を揺らしながら、ミーノと真独楽は跳ねるようにして食べ歩いている。これも美味しい、あれも美味しいと食べあるき。 「お小遣い足りなくならないのかしら? 足りなかったら私が少し出してあげるわ、その代わり私にも一口ちょうだい?」 そんな二人にお金を出すのは、女子高生に仮装をした由利子だ。マイアサウラのお面を被って、保護者役になっている。 「右手にお好み焼き、左手にりんご飴の二刀流じゃ! さ、どっちが食べたいかのぅ?」 そして、ミーノと真独楽に出されるレイラインからの難問。これに二人は頭を抱える。 「うひひひっ、みんな可愛いよおおお!」 そんな風にじゃれ合うところを、えっちっちのお面を付けた竜一が激写。自称縁日の申し子らしい竜一も食べ歩きに参加して、団地の皆は賑やかにお祭りを過ごしていく。 「お、花火だ。これこそお祭りって感じだな!」 竜一はミーノ、悠里はレン、火車は真独楽を肩車して、打ち上げられた花火を眺める。反応は多種多様だが、みんな楽しんでいた。 「でかいの来るぜ? 皆でせーのっ……!」 火車の号令で、皆の声がひとつになる。これも、お祭りの醍醐味だ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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