● 白黒まだら。 ふさふさのしっぽ。 かわいい鼻面。 つぶらな瞳。 もふもふ、もふもふ。 おしりぴょこん。おしっぽふりふり。 ● 「スカンクの警告行動。来る。すごい臭いが」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)、倒置法である。 「ちなみに、普通のスカンクでも半径1~2キロメートルまで届き、体についたら取れない。服も廃棄するしかない。ちなみに分泌液が目に入ったら、一時的に失明」 何、そのひどい動物。 「ちなみにアザーバイド。識別名「フィリング」大きさは、普通のスカンクと同じくらい。大体50センチくらい」 モニターに出るスカンクもどきは、ふかふかもふもふ。 抱っこしたら、至高の抱きごこちっぽい。 「今回の任務は、懐柔。このスカンク、好物は煮りんご。アップルパイの中身。どっちかというと素朴なカントリーメイドの方が好みみたい」 ハイカーの食べ残しを失敬したらしい。 ああ、りんごと砂糖とバターの焦げた香り。 運命の出会い。 「すごく大食漢。一口がりんご一個。煮りんごはこっちでも用意できるけど、自分達で用意してくれてもかまわない」 「みんなには、D・ホールを発見し、現地で煮りんごをこしらえて、フィリングをおびき寄せ、煮りんごで餌付け。仲良くなって、抱っこして、D・ホールにポーン! と、してきて。大丈夫。普段は全然におわない」 うわ~。なんか簡単に聞こえる。 「警告行動されたら即逃げて。もし、万が一のことがあったら……」 気の毒そうに言う。 すっごく臭くなるんだ。そんで取れなくなるんだ。 イヴは何にも言わないけれど、言いたいことはよく分かる気がする。 「しばらく、三高平に帰ってこないほうが良いかも。変なあだなつけられるかもしれないし……」 そのときは、有給つけとく。と、イヴは言った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月28日(金)23:25 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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● 秋深し。 紅葉で赤くなった山の中。 「見た目がかわいいのはいいですよねぇ、撫でたいなぁ、仲良くなったら、絶対撫でさせてくださいね~」 神谷 小夜(BNE001462)は、 素直な、簡単なお仕事、というのを真に受けるタイプである。 「だってほら、簡単なんですよね?」 『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)の頬に緊張が走った。 アークには『簡単なお仕事』と呼ばれるツライ仕事があるのだ。 それがトラウマ化している智夫の顔色が眼に見えて悪くなる。 「今回は簡単なお仕事じゃないし、もふもふするだけだし、意外に簡単かも? そう思っていた時期が僕にもありました」 ぶつぶつ呟きだす智夫の様子に、周囲に緊張が走る。 「拙者……、社会的に死にたくないでござるっ」 智夫、フィリングの放つ五日殺しの悪臭を恐れ逃亡。 (エンガチョとか嫌過ぎる。アークの職員に見つからずに逃げ切る事が目的……っ!) しかしアークの職員からは逃げられない。 拙者言った時点で、経験則で捕獲モードに入ってたし。 送迎用のワゴン車の影で説得中です。少々お待ち下さい。 はいはい智夫君落ち着いてね。何か飲む?お姉さんの顔をよく見てね……。 ……。 「えへへっ、市民は幸福ですっ」 そうですね、智夫君。三高平市民は幸福です。 「目的は、フィリングさんをDホールに送り返す事ですよねー。頑張ります、りゅんりゅん♪」 期待してますよ。 「……簡単なんですよね?」 やけに明るくなった智夫の姿に、小夜はぽつんと念を押した。 ● リベリスタ達は、大鍋小鍋を抱えて、即席のかまどを作り、りんごの皮むきを始めた。 ちょっと変わったりんご愛好会。 何しろ、半数以上が古式ゆかしいヴィクトリアン様式のメイド服に執事服時村邸仕様。 『箱庭のクローバー』月杜・とら(BNE002285)が借りてきたのだ。 ちなみに、スカンク型アザーバイド・識別名フィリングに、メイド服萌え属性はない。 よって、着る必然性も必要性もない。 リベリスタの趣味だ。 繰り返すが、リベリスタが自発的に決めたことだ。 一般人が入ってこない辺鄙なポイントでなければ、好奇の視線の的だったろう。 (仕方ないじゃないか。ボクには似合わないが、みなが同じだという。ボクは空気がよめるのだ) くるくるまわってスカートをひろげつつ、『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)、何かに向かって弁明中。 上品かつ清楚な膝下丈のスカートに白いレースがまぶしい。 (執事服……、袖が余るな) とりあえず、メイド服と執事服両方着てみた雪白 桐(BNE000185) は、たらんとたれた袖を見た。 ええい、時村さんちは執事に身長制限があるというのか……ありそうだな。 で、メイド服。 着替えないという選択肢はない。 「わー、ひらひらしててかわいいー」 智夫 、迷いなくメイド服。 最近女装に抵抗感がなくなってきた晩秋。 中学校のとき離れ離れになった君、いかがお過ごしですか。 僕は、君が僕に勧めた女装に励んでます。 いや、可愛いから、本人がいいならいいんだけどね。 「は、メイド服?」 『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)、眼鏡を正しい位置に戻した。 (ぶ、文化祭前にコスプレ企画とは……) 現在脳内審議中です。しばらくお待ち下さい。 「いいわよ。やるわよ」 女は度胸。 というか、ここでいつものセーラー服だと、そっちの方がコスプレに見える。 数の暴力、ばんざ~い。 (それにしても、依頼に行く度にコスプレしてる気がするんだが……依頼って、大体こうなのか?) 『紅乃月夜』夏月 神夜(BNE003029) は、既にメイド服を着込んでいる。 ポニテグラサンメイド服男の娘、27歳。 萌え属性混ぜすぎ、危険。 (まぁ、何はともあれ……覚悟は出来てるぜ?) そのいきやよし。 覚悟決まりすぎて、荷物搬入中の別働班に、臭いを周りに漏らさない為の防護服を借してくれるよう交渉中。 「今日の私は、『癒し系』だぜ? ……見た目だけだけどな!」 未だ回復スキル使ったことがない。 それでいいのか、ホーリーメイガス。 「三高平の平和の為にも…貸してくれるよな?」 ガスマスクはあるけど、周囲一キロ以上に散布されるやばい臭いから完全に逃れるの不可能。 その台詞、臭くなっても三高平に強行帰還する覚悟完了ってこと? 一応、置いてってはくれたけどね。 別働班は、念のため、五キロくらい離れたところで待機するんだぜ。 作戦終了したら、迎えに来るから電話くれよなの置き去りパターンだよ。いつものことだよ。 「もふもふ尻尾のアザーバイドか! 煮りんごが好きなのか! 甘酸っぱいのがすきなのか。 あの歯ごたえかなぁ? がんばって作るぞ!」 『素兎』天月・光(BNE000490)は、お料理上手だ。 相方の桐が、用意されたコンロに自前のものを追加する。 「光さんが煮林檎を数種作られるみたいですから私は他の物を」 一体何種類になるんだ、それ。 最初にやるのは、りんご剥きだ。 メイドさんが車座になって、ダンボールからりんごをつかみ出し、むき始めれば井戸端会議になるのは当たり前なのだ。 「もふもふ。でも、最後っぺは臭い! 怖い! でも、もふもふ……悩ましいな!」 光は怖がったり、目を輝かせたり、忙しい。 「相変わらず素直にもふらせてくれないわね、アーク……!」 アンナが、腹の底から吐き出すように唸りながら、AFからレシピサイトを閲覧中。 アークが素直でない訳ではない。 エリューションやアザーバイドが一筋縄ではいかない存在なだけだ。 「モフリストたるもの悪臭なぞ恐るるに足ら……」 ず。と断言できない、80歳ふりふりひらひら天使のごときおじいちゃま。 『蒙昧主義のケファ』エレオノーラ・カムィシンスキー(BNE002203)、白黒メイド服の中で、ピンクのふわふわを着ている様は一輪の秋薔薇のようだ。 「機嫌よくお帰り頂きましょう。あともふもふしたい」 エレオノーラ様の仰せのままに。敬老精神大事。マジ大事。 「甘くておいしい煮りんごをつくろう。愛情を込めたらこういうのはおいしくできるのだ。秋の実りの形の煮リンゴ。それが大好きだというフィリングはセンスがいいのだ」 雷音さん。それは、基本的にお料理できる人の台詞。 アンナの表情に、微妙な影が差した。 ● 気難しいフィリングをD・ホールまで円滑に連れて行くため、道の整備に当たる者達もいた。 獲物を狙う鷲の目で、神夜はD・ホールを探す。 「この依頼が終わる頃…誕生日を迎えるんだ。」 そう呟いた。 こんなとこで旗立てるなんて、無茶しやがって。 28歳、無事に迎えられますように。 どう計算しても押しも押されもせぬアラサーだ。 メイド服だけど。 執事服も無駄にはなっていない。 『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は、植物に変なものはないかと聞きながら歩いている。 はら、はらと、紅葉が落下し、草の上に目印を作る。 程なく、D・ホールが見つかった。 メイド服よりは巫女装束の本業巫女さんの小夜は、りんごを煮ている拠点からその位置までを念入りにメモにとっていた。 ぞうりですり足して、転ぶような場所がないか確認し、警戒ポイントのお知らせフリップ製作に余念がない。 「フィリングさんとリンゴを楽しみながら青空の下でピクニック。素敵じゃないですか! ちゃんと準備さえしてれば!」 ですよね!? と、念を押す小夜は涙目である。 ひたひたと危険を感じ取り始めたらしい。社会的抹殺の方向で。 (やっぱり匂い怖いですし。ほら、花も恥じらう乙女としては……ね?) あっ、そーか。巫女さんだもんね。 ……ヴァンサンカン越しても、常乙女かぁ。 智夫も結界を張ると、変に張り出した枝を、ロープで括って張り出さないように修整。 ついでに、蜂の巣がないか念入りに周囲を捜索した。 新女王が誕生する蜂は、今が一番気が荒い。 そして。甘い香りに誘われて、蜂さん登場。 すわ、蜂との大抗争。 血清はないが、ブレイクフィアーはある! なんとか頑張って巣をルート上から除去っ! ……、となる前に、フツの動物会話での交渉により、迂回することで手打ち。 その代わり、蜂によるアクシデントは無事に回避された。 危ない段差や地面の状態など、ラリー・ナビゲーターもびっくりの素敵マップの完成にこぎつけたのだ。 ● 「はぁ~ ナマもいいけどウマイのはぁ~♪ ここぞっとばかりの焼きりんごぉ♪」 と、機嫌よくコブシを回しているとらが作っているのは、煮りんごである。 サツマイモ入りは、バターとシナモンで重厚に。 レーズン入りには、香ばしい焦げ目の上からヨーグルトを。 食感はさくさくの焼きりんごから、とろぉりとに崩れる寸前のジャムテクスチャア。 甘味も、こってりからさっぱりコンポートまで。 光と桐が作ったフィリングが、移動に先立ちタッパーに詰められていく。 雷音も、味見のスプーンを口に含み、満面の笑みを浮かべた。 まだ少女だが、喫茶店の運営を任されているプロだ。 「うむ、おいしいな。フィリングにもたべさせるのだ」 (丸ごと1個なら串で穴を開けてシナモンシュガーや蜂蜜を入れてみてもよさそう) エレオノーラも、つやつやの煮りんごを大量にこしらえあがったところ。 料理も出来るのね、おじいちゃん。 そんな中、アンナ、科学の実験中。 (素人が料理で大きく外さないコツはね。レシピをちゃんと守る事よ。あと、ちゃんと味を見ながら調味料いれることね) 間違ってはいない。ちゃんとレシピどおりに作っている。 丁寧に、慎重に。厳密に調量され、調味され、調理されている。 指差し確認を忘れない。 したがって、時間がかかる。 料理上手達は、一声ついでに手を出したい衝動に駆られて、指をわきわきさせているが、そこは武士の情けだ。ノーコメント、ノータッチ。 (基本をしっかりやらないうちにあちこち弄るから変なものが出来上がるの。というわけで今回は色気出さずに完成させる事に集中。味に変化つけたかったら別のレシピを使えばいいのよ。調べれば結構出てくるしね。) 素人は、余計なことしない! 素を以って尊しと為す。 (……ええそうよ普段料理してないから理屈ばっかりよ! 何か文句ある!?) 顔を上げても、誰とも目が合わない。 アンナさん、なんで涙目なの。 ちゃんと、おいしく出来てるよ。味見しながら作ったもん。大丈夫だってば! フィリング、食べてくれるって! おそるおそる料理する委員長、ギャップ萌え! ● ルート開拓班が戻ってきて、煮りんごの準備が整った頃。 ガサリと音を立てて、茂みから白黒ストライプのにくい奴が現れた。 羽飾りのようにホワンホワンの尻尾。 ちょんとそろえられた前足。 つやつやの鼻先。 濡れ濡れの黒い瞳。 「ふぃりんっ!!」 雷音が両手で自分の口を押さえ、くるりと向きを変えると大鍋の影にしゃがみこんでしまった。 まぶたの裏に焼きついた、愛らしいもふもふの姿。 (ああ、いや気にしないでほしい。感極まったのだ。ボクは少女だから、可愛い物には弱いのだ。だがそれを回りに識られるのは些か心外なのだ) 羽根をパタパタさせつつ、何者かに弁明中。 (ボクのクールなイメージが壊れてしまう) アークで『雷音がクールだと思う人~!?』って問いにイエスと答える人、少ないと思うんだけどなぁ。 こういうとき、最初に接触を試みるのは天衣無縫タイプと相場が決まっている。 『美味しい煮りんごがあるんだけどどうかな?』 光は、動物会話でとりあえずスカンク語。 (フィリングちゃんのために皆で早起きして作ったんだよ☆) とらはマイナスイオンにテレパスで話しかける。 残念ながら、見た目はこのチャンネル産生物に近くても、アザーバイドはアザーバイドで言語的意思疎通ならず。 テレパスで送った思考波をどう感じているのか、ノーリアクション。 しきりに鼻をうごめかせている。 後れて出来上がったアンナ、現在タッパーに詰め詰め真っ只中。 スプーンの上に山盛り金色煮りんご。 それをよこせと、フィリングさんが目で語っています。 語っています。 語っています。 周囲を見回すアンナ。 みんな、神妙な顔をして頷く。 もしも、もしものときは、誰かをかばったり、かばわなかったり、盾にしたり、ダッシュで逃げたり。 それぞれの脳裏に、それぞれの思惑がよぎる。 とらにいたっては、臭くなったら、その間学校休めるぞ。ゲーム機持ってきてもらおうなんてことまで考えていた。 (なんで、最初に自分のとこにィィィ) おそるおそる差し出されたアンナの煮りんごをばくりと大口開けて口に入れ、ごっくん。 数瞬が、すごく長く感じられた。 スプーン、ぺろぺろなめている。 目が合った。 てしてしとスプーン前足で叩く。 おかわり。 鍋の陰から凝視していた雷音、くらくら。 (ななななんと食べる姿も愛らしい。どうして、ここの世界の住人ではないのであろう) いや、そもそもスカンク、煮りんご食べないよ? というか、食べさせちゃだめだよ? 二さじ目もまくまく食べだした。 おいしいものに言葉は要らない。 かわるがわる差し出されるスプーンに、フィリングは満足げに口を寄せた。 ● ふと気がつく。 「……おなかいっぱいになったら、まずいんじゃ……」 有効手段は、餌付けしかないのだ。 餌付けできなくなったら、危険度が上がる。 それでなくとも、飽きっぽいって予想されてたし。 パクパク機嫌よく食べるので、あれもこれもと差し出していた煮りんご班の手がぴたりと止まった。 「デレたかな……。モフっていいですカ?」 最初に抱っこを試みたのは、とらだった。 手でゆりかごのように体重を支える。 フィリング、すんすんと鼻を鳴らし、でれでれのリベリスタ達をきょろきょろ見る。 「可愛いですね~」 脅かさないように離れて、桐はふやんと表情をほころばせて写真を撮る。 触るより、表情や仕草を愛でたいタイプなのだ。 「し、しっぽにさわらせてほしいのだ……」 嫌がられないようにおずおず様子を見つつ、雷音テイルタッチ成功。 (ふわっふわなのだっ!) 感動に打ち震えつつ、ちっちゃいスプーンで煮りんごあ~ん。 大丈夫そうなので、移動開始。 「市民は皆を誘導しますっ」 智夫、先導役をかって出る。 先に立って、ちょっとづつ進む。 抱っこの周りに、あ~ん係に、煮りんご運搬係に、写真係。結構大所帯だしっ! 更に、フィリングがそっちに行きたくないとか思ったら困るから、先に立って煮りんごの匂いを団扇でパタパタ係とか。 いろんな種類作っててよかった。 時折、おろしてとするので、そのときは地面でゆっくりおやつタイム。 リベリスタも抱っこ係を無理なく交換できて、幸せ。 「……あー、条件付きとは言え、これは癒される……これでアザーバイドでさえなければねえ」 アンナ、いろいろプレッシャーから開放されて、脳みそからアルファ波。 「こんなに可愛いのにアザーバイドだなんて…ちょっと寂しいわ」 エレオノーラも抱っこ係に加わり、フィリングを丁重に扱った。 「この心地よさ……市民は幸せです!」 智夫、フィリングのもふもふで幸せになった。 「あまりケチりすぎてイライラさせてもアレだし、逆にあげすぎて途中で満腹になっても困るし……難しいですねぇ」 喉の下とか軽く撫でてあげつつ、小夜、あ~ん係中。 光はボールや猫じゃらしで、フィリングの気を引き続けた。 楽しい道行も必ず終る。 ぽかりと開いたD・ホールがフィリングを待っていた。 最後にようやく抱っこ係が回ってきた雷音は、泣いている。 「また、きたら、りんご、あげるのだ」 しゃくりあげながら、切れ切れになりそうな言葉をつむぐ。 とらは、巾着袋に煮りんごを入れた。 口はゆるくして、フィリングが頭を突っ込んで食べられるようにした。 それをフィリングの首にかける。 そっとホールに放されたフィリングは、キューキュー声を出しながら虚空の彼方に消えていった。 「なんて言ってるのか、きになるぜ……」 動物会話を試みて、きょとんとされてしまったフツは呟いた。 「D・ホールを閉じるのだ。ここまでが依頼だ」 目を真っ赤にした雷音が、声を絞り出した。 桐、光、エレオノーラが応じる。 何事もなく閉じられたあと、リベリスタの幾人かはその場に座り込んだ。 強烈なEXの恐怖から開放されたの半分、フィリングとのさよならのショック半分。 「み、みんな、状態異常? ブレイクフィアー、いる?」 加護の準備を始めようとする智夫に、座り込んだ全員が首を横に振る。 秋晴れの紅葉の山の中。 もう少し、ふかふかの毛皮と煮りんごの香りの余韻にひたっていたかった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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