● 今日、僕が蝶よ花よと育てた妹がお嫁に行きます。 というか現在進行中です、今披露宴の真っ最中ですから。 披露宴のスライドに写る幼い妹の写真の横には必ず僕が写っています。 中学生くらいの写真からは僕は写っていませんが、撮っているのが僕です。 高校すぎると僕が関与していない写真が増え、大学時代から先には、今妹の横で相好を崩している男が妹の横に写っています。 大事に育てた、かわいい妹よ。 一番後ろの親族席で、口元をハンカチで覆う母と涙をこらえている父を慮って笑顔を浮かべておりますが、この場で号泣したいのは僕の方です。 ずっと君の自慢の兄でいるため、僕は懸命に生きてきました。 君のオムツを替え、共に遊び、勉強を教え、逆上がりの練習にも付き合いました。 長じては文武両道に勤め、部活動と塾の傍ら、君の習い事の送り迎えをし、彼女からは『シスコン?』と疑われもしました。 そんなことも苦にならないくらい、君が大事でした。 『今までありがとう、お兄ちゃん』と涙を浮かべながら僕に言った君の言葉を、僕は生涯忘れません。 いつの間に、僕は君の王子様から脇役に降格してしまったのでしょう。 これから、夫の転勤についていく君の人生において僕は盆と正月に会うのも難しいモブになるのだと思うと、胸が張り裂けそうです。 ああ、でも、どうか。 君よ、できるかぎりずっとずっと幸せに。 ただそれだけを願っているのです。 ● 「……と、けなげに妹を送り出したお兄さんでコンプリート。その結婚式場にたまっていたお兄さん達の想念が凝縮凝固されたE・フォースが発生した」 いつか君がウェディングドレスを着る日も来るのだろーか。 そのときはラボにいる親父の助太刀に相手を一発殴ってやろうと思っているリベリスタも結構いると推察される『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)。 「識別名『イモコイシ(妹恋シ)』ということにした」 モニターに、参考イラスト。 「外見が、サツマイモ型小石が寄せ集まって巨大なサツマイモ型に形成されている」 どうしてそうなった。言霊ってこわぁい。 「出現場所は、ここ」 モニターに結婚式場を出す。 「ウェディングハウス。一戸建て貸切の結婚式場。ブライダルフェアやってるからそれに紛れ込んで、発生した場所に侵入し……」 倒すんですね。分かります。 「慰めて、なだめすかして、消滅させて」 なんですか、それ。わかりません。 「下手に攻撃すると意固地になって、しゃれにならない速度でエリューション特性のフェイズが上がる」 お姉さんを送り出した弟とか、お兄さんを送り出した妹とか、弟を送り出したお姉さんの想念も巻き込んでヤンになるんですね、大体分かってきました。 「ヤンになったら、それぞれの妹を奪った憎い男……妹の旦那とか、妹本人に危害を加える可能性がある。もしくは、この結婚式場のこれから結婚していく妹を襲おうとするかもしれない。人を呪わば穴二つ。イモコイシが悪さをすると、せっかく心の整理をしたお兄さん方に影響が出ないとも限らない」 そんなことになったら、誰も幸せになれない。 リベリスタとして、ほうっておけない状況だ。 「お兄さん達の一抹のさびしい気持ちの集まりだから、肯定し慰めるのが一番。共感したり、妹の立場で声をかけたり。日本的に言うと、祟る前に祭るに限るってこと。お供えはいらないけどね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月24日(月)23:33 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
● そのウェディングハウスの親族控え室は、晴れがましい席を待つにふさわしい、明るく格調高く、どこかアットホームな雰囲気の部屋だった。 手入れされたバラと芝生を望むように大きく切られた窓の横。 長椅子の中央に、E・フォース「イモコイシ」は座っていた。 というか、転がっていた。 小さなサツマイモ的紡錘体が集まってできた見事に太ったサツマイモ的三次元フォルム。 発声器官などないはずなのに、ぼそりと呟く。 「イモウトコイシイ……」 小石が動いて湾曲する。 わかる。 何故だか、今うなだれているのだと分かる! 『カボパン王子』結城 竜一(BNE000210) は、イモコイシの横に座って、その肩と思しきちょっぴりごつごつしたところに手をかけた。 「気持ちはよく分かる」 「ちわー、アーク工務店ッス! 親族控え室の内装工事に来ましたー。工事中は、誰も中に入れちゃダメッスよ?」 「そうでしたっけ……?」 「そうッスよ」 「そう、そうでしたね」 『宿曜師』九曜 計都(BNE003026)は、どやどやと立ち入り禁止区域に入ってくる一団に気づいて駆け寄ってくる係員に『この部屋は改装中』と刷り込みをした。 『Star Raven』ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)は、コンクリート打ちっぱなしの壁や足場の幻想を用意した。 これで、万一ドアを開けられても、イモコイシが人目にふれる危険は少なくなる。 『From dreamland』臼間井 美月(BNE001362)、李 腕鍛(BNE002775)、『第3話:かぼちゃ』 宮部・香夏子(BNE003035)は 、『悪貨』九段下 八郎(BNE003012)がいかにもそれっぽい「改装中」という張り紙を張ったのを見届けると、せっせと念には念を入れてドアの目張りを始めた。 「あ」 八郎、うっかり表から目張り。 (いっけねぇ、部屋に入れねえじゃねえかよ。窓から入るか……飛べるしな……窓、あったかな?) とてちて館内を移動しても、温かい目で見守られる幼女態。 庭に出ても、退屈になった子供が遊んでるようにしか見えないので、オールスルー。 ドールな衣装でちっこい翼でよろめきながら根性で飛ぶフライエンジェ、マジエンジェル。 庭に回ると、中にはぽつぽつと何かを語る竜一と、それにいちいち頷くイモコイシの姿が。 何、この情景。 ちょっとした悪夢。 (窓のカーテンも閉めとくか。見えないように。あと結界とかそんな感じのアレもやっとけやっとけ) こそこそっと部屋に入ると、そそくさとカーテンを閉めた。 『下衆㌧』オー ク(BNE002740)は、今の内と、スキットルからウィスキーをあおった。 (ここから先は素面じゃやりづれぇから、ちょいと失礼するぜ) げ~ふと、一息。 (例え動作で感情を表現し解りあえても、言霊いうのは大事な事だぜ) 次元を超えた言語能力を手に入れた脇豚は、柄でもないことを言う覚悟を決めた。 ● 「昔、僕は妹に嫌われていました」 ヴィンセント、思わず君に肩ぽんだ。 「僕の妹はファザコンで。父は家にほとんど帰ることがなくて、父の助手としていつも側にいた僕にやきもちを焼いたんでしょうね」 命がなくなる三秒前な嫌がらせから、妹の態度はエスカレート。 「『あの人のことよく知らないし』、『絡みづらいからほっといていいわよ』 三高平に来て妹から聞いた言葉はこの二つです。後はずっと無視でした」 泣いていい。泣いていいよ、ヴィンセント。 イモコイシの小石の一部が激しく君を慰めようとしているよ。 「お兄ちゃんの洗濯物、あたしのと一緒にしないで!」と言われてた兄の小石だ。 「先日僕が大怪我をした時、その妹が訪ねてきました。『お見舞い』と言って、飴をくれました」 飴? 果物詰め合わせとかでなく? 「正直驚きました。妹が僕に食べ物をくれるなんて、今まで絶対にありえないことでしたから」 ………。 辺りに立ち込める、なんと言うか、君どれだけ虐げられてきたの。 「距離が離れていても、言葉を交わさなくても、血は繋がっていなくても、兄妹は兄妹なんですね。その時の妹の笑顔だけで、今までのことは気にならなくなりました。妹を嫌いになれる兄なんていないんですよね。結局」 いいのか、それで。いいんだ、それで。 妹の笑顔一つで、飴一粒で。 恩讐も全て水に流してしまえる。 それが、妹を想う兄の愛。 「そういうわけで、あなたの気持ちが分かるとは言いませんが、こんな僕でもそうなのですから、あなたの気持ちはお察しします」 イモコイシに腕があったなら、抱きしめ、賛辞せずにはいられなかっただろう。 君の今の話で、全イモコイシが泣いた。 更に畳み掛けるぜ、腕鍛が言葉を引き継ぐ。 「拙者にも妹がいて、拙者は妹が食いぶち減らしのために嫁に出される所を、自分が修行のために流派に入る事でそれを止めたのでござるよ」 何、その前時代的展開。 嫉妬で殺されかけるくらい極めた流派に入った理由がそれか! (妹思いの、いや、家族思いの人の思念が凝り固まったものでござるか。そこまで人を思えるとはすごいでござるな。いや、拙者も人の事あまり言えないのでござるがな) 「それはまぁ、拙者にとってすごく迷ったことでもござった、妹にも会えなくなるし、修行はとびっきり辛いものでござったしな、でも妹が護れたし、拙者は満足してるでござる」 『父さん母さんの言うこと聞くンだぞ』 『待って~。お兄ちゃん、行かないで~』 なぜか、回想シーンをみんなで共有した気分になってくる。 「にはははは。同じ兄として。否っ! 家族を愛する仲間として泣きたいなら拙者の胸をどーんと貸すのでござる。泣いてすっきりするでござるよ!」 お兄さん、あなたの胸で泣かせて! どーん! 人間大の小石の集合体は結構重いんだぜ。 (よくよく考えたらすごい体積だからものっそい重いかもとか気にしたら負けでござるな) そこは、精神力とリベリスタの底力で持ちこたえていただきたい。 「あんたは立派だ。そして、これからも立派なお兄ちゃんで居られるはずさ」 竜一が更に更に畳み掛ける。 「俺にも大事な可愛い妹が一人居る。最近は、いつのまにかチェーンソーとか血文字の婚姻届とか持ってたりするが。それでも、大事な、可愛い妹だ」 真夏の奇跡の代償は、猟奇的な妹だった。 それでも、妹を愛している! 「妹を愛さぬ兄などいねええええええええええええええ! だからこそ、イモコイシの思いは俺にはわかる!」 ああ、妹よ。 そりゃもう大事でかわいい妹よ。 「できることなら妹をぺろぺろし続けたかった! そういうことだろう!? 気持ちは分かる! 分かるぞ! 俺もペロペロしたい!」 いや、ペロペロはどうかな。 それはどうなのかな。 兄というか、人として。 イモコイシ、審議中。 ● 美月は、椅子の正面に来ると絨毯の上に座った。イモコイシの人体における膝に抱きついて見上げた。「急にごめんね。こう言うの憧れでさ。僕、一人っ子だったから……兄って言うのに憧れてて……妹さんが羨ましいよ」 恥ずかしい。 絶対今日の夜、今やってることを思い出して恥ずかしさのあまり布団の中でバタ足する羽目になること確定のこっぱずかしさ。 しかし、やってもらわなければ困る。 『俺がいなくちゃ朝も起きられないし、俺が乗せてやらなきゃ通学バスも乗り間違うし、俺がいなけりゃ……』 というお兄ちゃんたちの保護欲を掻きたてることもさることながら、 『こいつをいじめていいのは俺だけだあ!』 的、兄のゆがんだ独占欲まで刺激する素敵秘密兵器だから。 アークは出来る限り最適のチーム編成を心がけています。 「優しくて、構ってくれて、何時でも見ていてくれて、落ち込んでたら慰めてくれたり、悪い事したら叱ってくれたり。親よりも一つ近い所から自分を見守ってくれてる。近い目線で、何時だって味方で居てくれる。そういう存在が居たら、物凄く心強くて、幸せだろうって。そう思うんだ」 イモコイシ、プルプルしている。 まさしく。そういう存在でいたかったんだよ! 「だから、君みたいな存在は、僕にとっては正に理想の兄で……えと……今だけで良いから、兄……お、お兄ちゃん……って呼ばせて?」 報われた! 今、報われた! ぽろっと小石が涙の粒のように転げて、宙に溶けるように消えた。 イモコイシを構成する小石は、お兄さん達の小さな胸のつかえが形をとったものだから。 今、転げていったのは献身した割に妹からのリアクションが少なかった兄達の胸のつかえ。 ファインプレイの美月だが、赤面。汗ダラダラ。 オーのじっとりねったりした視線がうっひゃーである。 ものすごく恥ずかしいことを言っている自覚はあるのだ。 「彼氏? そんなのいないよ。もー、おにいちゃんのいじわる!」 計都、イモコイシのちょうど裏、背もたれをはさんだ向こう側の絨毯に座る。 「だって……、おにいちゃんがあたしの理想だから……、他の男の人なんて、つまんないんだもん……」 目を閉じれば、まだ妹に彼氏が出来る前の穏やかな日々。 いや、イモコイシに目はないけど。 「もー、おにいちゃんが、あたしのこと甘やかしすぎるからだよ! 責任とって、ずーっと一緒にいてよね、おにーちゃん♪」 在りし日の妹の笑顔が胸に去来する。 いや、イモコイシに胸はないけど。 香夏子、無言で竜一の膝にえっちらおっちらよじ登る。 (香夏子の一欠けらもあるかどうか不明の癒し要素爆発です。あ……爆発して無くなってしまいましたが多分大丈夫でしょう) 癒し要素は不死身だ。何度でもよみがえるさ。 (竜一さんに撫でられたりして昔をおもいだしてもらう雰囲気アピールです) さあ、なでろと差し出された頭に、竜一、思わず在りし日の妹プレイバック。 ぺふんと頭に手が乗ると、ぽつぽつと香夏子は話し出す。 「アウトローで一匹狼の香夏子はずっと一人で生きてきました……でも香夏子は竜一さんたちに出会い、お兄さんの大切さを知りました」 竜一と香夏子の姿に、イモコイシの脳裏に在りし日の自分達プレイバック。 いや、イモコイシに脳はないけど。 「香夏子には出来ない沢山の事をしてくれ……そして教えてくれたお兄さん。その思い出は決してなくならない筈です。そしてこれからも思い出は沢山増やせることを忘れないで欲しいです」 ああ、そうだ。 僕らと妹たちは、妹が結婚したからって切れるもんじゃない。 さびしいけれど。 悲しくはない。 「お兄ちゃんはさ。妹には、唯一無二なんだ。僕が保障する」 美月が羞恥心をかなぐり捨てて言葉を重ねる。 「だって他に居ないよ? 生まれた時から傍に居て、何だって分かってくれてる。喧嘩もする、合わない意見だってある。けど、お兄ちゃんはお兄ちゃんだ。それは、変わらないんだよ。一生。永遠に。だって今もこれからもずっと、妹が困ってたら、お兄ちゃんは助けてくれるだろ?」 (本音だけに超恥ずかしい。死にそう。でも耐える) ああ、そうとも、妹よ。 何かあったら、助けにいくとも。 海を越えて、陸を越えて、地球のどこにだっていくとも。 「これだけは忘れるな。妹にとっての兄という存在は、他の誰にも代われない存在なんだ」 竜一、香夏子を膝に乗っけて頭なでなで。 ペロペロは、八郎に羽交い絞めにされ、口押さえつけられて止められた。 だって、さっき審議してたし! この期に及んで、NG発動とかありえないから! 「あんたの妹は、兄の幸せを願わないような子じゃないだろう?」 当たり前だ、俺の、俺達の育てた妹達だぞ。 そんな性根の悪い子なんて一人もいねえ! 「だったら、あんたも幸せになってみせないとな」 ぽろぽろと昼下がりの暖かな光に包まれてイモコイシたちが少しずつ宙に消えていく。 「イモコイシ、イモウトコイシ、イモコイシ」 オーが「イモコイシ語」で話し始めた。 何を言うかばれたらこっぱずかしいから、あえて皆には分からない言語を使った。 (あっしは泣く子も黙る戦火のダークヒーロー。こんな人情臭さなんか、ガラじゃねぇンだからよ) 『俺もこの人生、沢山の兄妹や親子の絆を見てきた。人が人を想う心ってのはいつだって綺麗なもんさ そりゃもう大興奮……じゃなかった、とにかくいいもンだ』 打ち震えるイモコイシにうんうんと頷くオー。 理解できなかろうと、肯定する。 『しかし、溜まった感情はどこかに供養しなきゃいけねぇ。あっしは気の利いた事は言えねぇからな。一発ここで突き抜けちまえよ。この超柔軟な腹でお前の感情、受け止めてやるからよ!』 ちょうどいい感じに小さくなったイモコイシは、さながら最後の最後まで言い出せなかった『妹を連れて行くなら、てめえを一発殴らせろ!』のための拳骨大で。 ふらっと浮かび上がると、力をためるようにわずかに後退し、椅子の背にめり込んだ。 どすっ。 次の瞬間、イモコイシはロケットパンチよろしく、オーのどてっぱらにめりこんでいた。 「ブヒィッ!」 オーは、といい泣き声をあげ、蹲りつつ笑顔でサムズアップしてみせた。 「い……いい一撃だったぜ」 最後に残った執着も、はらはらと崩れ、小さな喉の奥につかえていたものが、完全に消え去ろうとしている。 おにいちゃんたちの愛した妹たちは、ずっとずっと思い出の中に。 「おにーちゃん、大好きだよ……」 計都、小声でヴィンセントにアピール。 (ほら、ヴィ兄さん! ここ萌えるところだから、もっとデレて! めろめろきゅんになっていいのよ! くっはー、あたしマジエンジェル!) うん、自分で言わなきゃ、更にエンジェル倍率ドンだ! それは本当に掛け替えの無い事。最高に嬉しくて幸せな事。 だから、ね。 「「「どうか、お兄ちゃんも幸せに」」」 妹よ。 どうか、君も幸せに。 「イモウト、イトシイ……」 そう言って、イモコイシは、光の中に溶けていった。 ● バリバリとガムテープをはがし、部屋の体裁を整えて、リベリスタ達はウェディングハウスを後にした。 「さて、式場のケーキとか見てたら腹がすいてきたな。帰りにあっしが皆に食事でも奢ってあげよう。店の予約はしてあるからな」 「香夏子ご飯食べさせてくれるならホイホイついて行く派なので、喜んで行きます」 「あ? 性別不明だよ! 差別すんなやオラー! んだコラー!」 八郎の声がこだまする。 「あ、ヴィ兄さん、なんか豚のおっさんが奢ってくれるらしいので、手羽先食べに行かないッスか?」 じっとヴィンセントの羽根を凝視する計都。 ヴィンセントのは、食べられないよ!? ( ……肉食系(物理的に)女子も萌えるでござるな。ここはナンパをするべきか……いや、なんか食い殺される気がするし……いやいや、肉食系男子の拙者でござるからここで諦めたら肉食系の名がすたるでござるね。うん。覚悟を決めて、ナンパをっ) いや、腕鍛、君には彼女いるだろ。 とんかつだー、チャーシューだー、ミミガーだーと、豚を食べる期満々でお店に入っていくお嬢さん方を見てほくそ笑むオー。 もちろん、オーはダークヒーローであるので、下心があるに決まっている。 (女性陣の飲み物にこの薬を……ブヒヒッ!) お店の人とは共謀済みなのだ。 肩ポン! 「あれ? アークの職員? 何?」 すっげー笑顔。 「変なお薬持ってるの、みーちゃったっ」 両脇抱えられ、さあさあこっちに来てね。送っていくからね。払いはちゃんとオーさんの口座から引き落とされるようにしてあるから心配しないでね。などと言いながら、アークの人はどんどんオーを車に乗せていく。 「ブヒーーッ! またこのオチかい!」 大丈夫! アーク、オーさんの悪い癖が抜けるまで、絶対諦めないからね! 店のオーの席には豚の縫いぐるみが置いてあった。 それをナムナム拝みつつ、リベリスタ達は、おいしく、好き放題、飽食させてもらいましたとさ。 竜一は、祝賀会は遠慮した。 (帰りにヤキイモを買って帰ろう、我が家へ) 妹をぺろぺろしに。 普通はしないかもしれないが、それが竜一の愛情表現なので仕方ない。 妹も笑って許してくれるだろう。 きっと、どこまでも鮮やかな青い空が広がっているはず。 俺たちの戦いはこれからだ! 人生の荒波的意味で。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|