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おのれタンス!

●意外な敵
 ゴツン。家の中にある小さな角を通りがかかった所で、その物体は家主の前に現れ、そして絶妙な部位を攻撃した。
「カ~ッ!!」
 まただ。また小指だ。これで今月に入って10回目である。
 世界が終わってしまったかのような、青い顔をするのにも慣れてきてしまった。家主がそうなった原因も、この絶妙なタイミングで体の前に現れるタンスが悪いのだ。
 まるで呪いのように、足元を狙ってくるこの高級タンスは、前の家主が残したもので、かなりの価値があるものだというが、今となっては家主の恨みを受ける立場にある。なんたって足の指をぶつければ痛い。痛くて怨む。当たり前の話だ。
 かといって、タンスをいつまでも怨んでいても仕方ないので、家主は何度かタンスの位置を変えている。位置変えの時にも何度か足の指をぶつけたが、なんとか場所を変えてやりくりしていた。
 しかし、何度場所を変えても足の指をぶつける。最近では、小指を重点的に狙っているような気すらする。
 ……それもそのはずである。このタンスはエリューション・ゴーレムなのだ。
 エリューション化によって、微妙に動くことが可能となったこのエリューション・ゴーレムは、ひたすらに人の足だけを狙い続けているのである。まるで、そうすることが自分の役目だと主張するかのように。
 厄介なタンスである。
 そんな厄介さには、当然家主も嫌になる。だから、ここの住人は引っ越していく。
 町にあるアパートの一室で、そんなエリューション事件が起こっていた。地味だけど。

●地味だけど
 ブリーフィングルームに集められたリベリスタは、足の小指をむずむずさせながら、その様子を見ていた。見ていてあまり気持ちのいいものではない。……スプラッタな方向ではないだけ、マシなのかもしれないけど。
「今回は、部屋の中に侵入しなければいけないよ」
 ちょっと犯罪みたいだけど、と『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言う。家屋侵入は確かに犯罪だけど、この際は仕方ないような気もする。放っておいても後味が悪い。
「あと、部屋の中は狭い。だからあんまり暴れられないよ」
 とても安いアパートの一室らしい。キッチンとリビングとトイレしかないとか、そういうところだ。そこに不似合いな高級タンスがあるけど、それがエリューション・ゴーレムだというのだから、そういう不幸の星に生まれたのだろう、家主は。
 リベリスタたちもなんだかかわいそうな気分になってきたので、自分たちのやることを真白イヴに訪ねた。
「まずは部屋の中に侵入。その後、エリューション・ゴーレムをできるだけ静かに撃破。その後、後片付けをしながら代わりのタンスを部屋の中に運び込んで」
 意外とやることが多い。リベリスタたちはそれぞれメモを取りながら、どうやってこのタンスを片付けようかと考えていた。
 それにしても、とリベリスタを思う。
 小足にタンスをぶつけると、やっぱり痛いんだろうな……と。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:nozoki  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年10月21日(金)23:06
 お世話になっています、nozokiです。
 今回の事件の相手はタンスを元にしたエリューション・ゴーレムです。
 タンスって小指ぶつける以外にも、肩がぶつかったりします。痛いです。

●任務達成条件
 敵エリューション・ゴーレムの全滅。

●舞台
 夜のアパートの一室です。老朽化しているアパートであり、警備システムもありません。問題は鍵がかかっていることぐらいでしょう。
 万華鏡システムとイヴが指定した日は家主が出かけており、帰ってきません。その為、十分に戦えるでしょう。
 と言っても、人が住んでいるアパートの一室です。暴れ過ぎや声の出しすぎに注意しましょう。
 また、部屋は狭いです。同じ部屋に八人入ると、ぎゅうぎゅう詰めになってしまい、うまく動けないでしょう。

●エリューション・ゴーレム
 小さなローラーが足元に付いている以外は、姿はほとんど普通のタンスと変わりません。
 しかし、絶妙なタイミングで体をずらし足の小指に角をぶつけたり、親指の突き指を狙ったりしてくるいやらしいヤツです。
 フェーズは1。正面から戦おうとするとローラーによって加速し、体を直接小指や親指にぶつけてくる、ある意味での強敵です。
 元になったタンスが高級だったためか、固い体を持ち、リベリスタたちの攻撃もある程度耐えます。
 配下は存在しません。

●家主
 二十代前半の若い男です。巨乳好きで、えっちな本の隠し場所はタンスの中です。

●後片付け
 改めて言いますが、今回の舞台はアパートの一室です。ちゃんとエリューションを倒したら後片付けしましょう。
 エリューション・ゴーレムを倒すと中身が飛び散ってしまいます。タンスの中身には服とえっちな本、他には雑多に詰め込んでありますので、それなりに時間がかかります。
 代わりのタンスはアークが用意しますが、それを入れるのはリベリスタの仕事です。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
プロアデプト
リスキー・ブラウン(BNE000746)
覇界闘士
宮藤・玲(BNE001008)
覇界闘士
衛守 凪沙(BNE001545)
クロスイージス
★MVP
内薙・智夫(BNE001581)
スターサジタリー
杉原・友哉(BNE002761)
ナイトクリーク
七院 凍(BNE003030)
クロスイージス
女木島 アキツヅ(BNE003054)
覇界闘士
四辻 迷子(BNE003063)

●タンス語り
 近所の人々に怪しまれないよう、アパートの近くでこっそりと合流したリベリスタたちは、用意されたすり替え用のタンスを見て何とも奇妙な任務だと思っていた。
(日本人の仇敵、タンスの角で小指打ちつけ。ほんっと痛くてたまんないんだよね。もちろんあたしも何回かぶつけたことがあるよ。革醒した後でも痛さ変わらないし!)
 豊満な胸を強調させるように腕を組みながら、『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)はそんな自分の考えに向けて何度も頷いていた。深く頷いているので、動くたびに金のツインテールは派手に揺れて金色の軌跡を残している。
「ローラーよりもクッションをつけてよー」
 そして心の底から文句を言う。実際タンスにはローラーがつくことがあっても、クッションがつくことは滅多にない。たぶん、スペースを取ってしまうからだろう。
「小指ぶつけると痛いよね。内出血すると、一週間くらい爪が青くなっちゃうし……。絶対にそうならないよう頑張る」
 これから戦う敵の攻撃を思い、ぶるぶると震えているのは、幻視で運送業者の格好を身に纏った『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)だ。
 智夫にはそれとは別に心配ごともある。もち肌で小柄な智夫は、自分が女性に見られるかもしれない、と心配している。特に運送業者の格好は、男女共有のものだし……。
「なんとかなる……よね?」
 首を傾げて、指を軽く咥える智夫だった。
「タンスの角……思い浮かべるだけで痛みが……」
 いててて、と足の小指の辺りを手で揉みほぐしながら、『正義のジャーナリスト(自称)』リスキー・ブラウン(BNE000746)は心の痛みと対峙している。どんな立派な人間だろうと、この痛みからは逃れられないだろう、そう思う。
「生き物の体というものは生きるのに必要ない部位は自然に無くなるのが普通なのじゃが……。足の小指に限っては無くても全く問題ないらしいのう」
 そんな凪沙・リスキー・智夫に向かって豆知識を披露するのは『紫煙白影』四辻 迷子(BNE003063)である。和ロリに身を包み、煙管を指で叩いている迷子は、どこか余裕そうである。その実、ただゆるいだけなのだが。
 ちなみにリスキーと同じく迷子も煙草好きなのだが、今回は匂いが付くのを恐れて封印している。だから、時々指と唇が寂しそうに動いていた。
「タンスが敵とは……めんどうな。足の小指当たったら痛いんだろうなぁ……。まぁ一回くらいいいか? 痛がるのもめんどいような……まぁいいか」
 あー、と空を見上げながら『日常の中の非日常』杉原・友哉(BNE002761)はだるそうにしていた。眼鏡の奥のオッドアイは青い空と流れる雲をだら~っと見ている。
「考えるのもめんどうだ……」
 地上に視線を戻して、一息付く友哉。その表情は非常にだるそうだ。
「地獄の日々だな、3次元は」
 そんなリベリスタたちの輪から少し離れたところで、ぼそりと言葉を漏らすのは『最弱者』七院 凍(BNE003030)である。今日も強烈なまま出掛けてきた寝ぐせを手で押さえつつ、凍はタンスのことを思う。
(呪いのタンスにえっちな本を入れる家主。情けないけど、男として気持ちはわかるよ。まあ、ボクは二次元限定だけど)
 うん……。と、一人納得する凍に、式神のシノはクエスチョンマークを浮かべていた。
「伊達も酔狂も通さないで喧嘩したって、旨味も妙味も無いもんさ」
 クロスイージスとして、この戦いは楽勝だろうと高を括っている『羊の皮を被った狼老年』女木島 アキツヅ(BNE003054)は、皆に事前にやっておいた調査の結果やルート検索の結果を渡しつつ、素足でも行けると考えていた。その挑戦が後にどんな結果を生むのか……。それは後のお楽しみ。
「さあ、行こう!」
 尻尾と耳と一緒に元気よく跳ねた『天翔る幼き蒼狼』宮藤・玲(BNE001008)は、お姫様のような可愛らしい笑顔を振りまきながら、皆に声をかけつつ先行した。
 こうして、経験したことあるような、ないような、微妙に覚えがありそうな戦いが始まった。

●侵入! お宅のタンス!
 まず立ち塞がったのは、部屋の鍵である。
「はいはーい! おにーさんの出番だね!」
 しかし、鍵の問題は張り切ったリスキーのピッキングマンによって素早く解決した。張り切っている理由はひとつ女性陣にいいところを見せたいからだ。
「さすがです!」
 反応したのは智夫であった。ちなみに、ここまで来る途中で案の定近所の人から女性に間違えられて、顔を赤くしていた。
「ちがう、そうじゃない」
「?」
 自分のあご鬚を撫でながら、とりあえず手帳とカメラ、スリッパを取り出して装備するリスキー。
「侵入の形跡は残さない。戦えばちょっとは散らかっちゃうからね。戦闘前の状況を復元する。それがプロってもんさ。あ、おにーさんはドロボーとかじゃないよ?」
 そのまま手際よく侵入しつつ、中の様子を念写やデジカメの撮影、手帳などを使って記録していった。見た目は明らかに怪しいが、これは任務のために必要なことなのだ。そうなのだ。
「お邪魔しまーす」
 対して、その横からひょっこりと侵入し、瞬間記憶によって部屋の様子を記憶しているのは凪沙だ。きちんと対策用のスニーカーに履き替えてる。
「う、上履き忘れちゃった……。あたしってほんとバカ」
 強結界を張りつつ、靴を脱いで入った智夫はそこで自分が忘れ物をしていたことに気付いた。顔面も割と蒼白である。
「おじゃましまーす」
 同じく素足な玲は、脱いだ靴をきちんと整えていた。元気のよい小狼である玲は、素足のほうが都合がいいのだ。本当はいやだけど。
「じゃあ、戦うか……。めんどうだけど……」
 友哉のだるそうな声を合図に、アパートの一室で奇妙な戦いは始まった。

●対決! ローラータンス!
 エリューション化したとは言え、見た目は完全にタンスであった。しかし、そんなタンスの体から明確な敵意を感じる。……この敵意が足の小指に向けられているのだからたまったものではない。
 狭い室内なので、リベリスタたちは三人ずつ入る、というローテーションで戦うことにした。実際戦うならその程度の広さしかない。
「タンスは説得できない……よね」
 まずは凪沙、アキツヅ、智夫の三人だ。
「心を空にして水みたいになるんだよ。水はどんな形にもなれるし。激しく打つこともできるんだよ」
 小さくつぶやきながら、凪沙は流水の構えをとる。水のようになれば、恐らくどんな痛みでも受け流せるはずだ。
「なるべく音がしないように……小指をぶつけても、絶対に泣かないし、声も出さないよう我慢……」
 智夫も自分に言い聞かせるようにつぶやいている。靴下だけの足元はちょっと震えていたが、この呪文のようなつぶやきによって少しはマシになった。
「鉄壁クロスイージスが小指アタックを恐れて何とする!」
 対して素足で挑むのはアキツヅだ。ハイディフェンサーやオートキュアも使って準備万全の構えを取っている彼の顔には、自信があった。ドヤ顔もあった。
「それじゃあ、行くよ」
 そして、今にも動き出しそうなタンスに向けて、三人はそれぞれ攻撃を始める。アキツヅと智夫はヘビースマッシュをタンスの上部を連打するようにしているし、凪沙はソフトに踏み込んでからの土砕掌を使った。
 その攻撃は確かにダメージを与え、タンスを凹ませた。が、逆に言えば凹ませる程度のダメージしか与えられなかったのである。見た目ただのタンスなのに、異様に硬い。
「……動いた!」
 タンスとはいえ、それでもエリューション・ゴーレム。攻撃を受けたのなら、当然反撃をする。ローラーをギャリギャリと鳴らし、一気に加速して――ゴスッ、という非常に鈍い音を立てた。
「~~~~~~ッ!!!!!」
 食らったのはアキツヅだ。いくら鉄壁になろうとも、痛みだけはどうしようもない。世界が止まり、灰色になっていくのをアキツヅは感じる。感じたまま、痛みに悶えて動けない!
 その間に、タンスは器用にローラーを動かして、続いての智夫の小指を角にぶつけた!
「あひぃ、ひぎぃ、ぐぬぬっ……」
 しかも連続でぶつけてきたので、智夫はたまらず涙目になる。あまりの痛さに目は飛び出て、涙はボロボロと出ていく。
「みんな、大丈夫? わたしがここを押さえておくから、下がるんだよ」
 水の心。こんな死屍累々の状況でも凪沙は冷静に前に出て、ふたりを下がらせようとする。
「っっっっっっっツ痛ァァァアアアア!!!!!」
 時が動き出して声を出しちゃったアキツヅと、もう号泣気味の智夫は下がっていく。
「小指をぶつけるのがあそこまで痛いのは油断しきっておるからじゃ」
「どういうこと?」
 入れ替わってやって来たのは、草履を履いて準備完了の迷子と変わらぬ笑顔を浮かべている玲だ。
「故に最も有効な対抗手段は……覚悟すること! 一瞬後にすごく痛い思いをすることを納得し受け入れながら……自らの意思で当てに行く!」
 という理屈で飛び込んだ迷子は、そのまま足を角に向けて、斬風脚を直接ぶつけた。当然自分から小指をぶつけに行くわけで……。
「わしが見せるのは死に様ではない……痛みを恐れず強大な敵に立ち向かったという生き様じゃ……!」
 そのままぴょんぴょんと跳ねて下がっていった。
「後は任せたぞ……未来を生きる若者たちよ……」
 その目頭には大粒の涙が、唇には世を呪うようなうめき声が浮かんでいたという。
「何だか分からないけど、すごいね!」
 一瞬クエスチョンマークを浮かべたけど、玲はすぐに尻尾をバタバタと動かしてすごいと称賛した。だから、自分も負けてられないと突っ込んでの土砕掌。タンスはリズミカルに音を立てて凹んでいく。
 しかし、すでに動いているタンスの反撃は、この狭い室内では避け辛い……。
「……っ……つぅ……」
 やっぱり涙目になってしまった玲は、それでも元気な顔を無理矢理作っていた。流石のお姫様である。
「みんな、大丈夫? わたしがここを押さえておくから、下がるんだよ」
 水の心。凪沙の声がかけると、交代の要員がやって来た。
「タンスという物体が的なのに、動くのは面倒だなぁ……」
「後衛で行くよ。痛いのいやだからね」
 ということで、次にやってきたのは友哉とリスキーだ。二人とも凪沙の後ろに入り、1$シュートやピンポイントで攻撃を与えていく。特にリスキーはタンスの中身を記録するために、引っ掛けるように撃っている。
「壊れてくれないかなぁ……」
 だるそうに友哉は言うが、壊れない。もう少しで壊れそうな気はするのだが、タフなボディはまだまだ足を狙うつもりのようだ。
 無論、タンスは動き出す。そして、今度は前衛で残っていた凪沙を狙うのだが、これはリスキーが前に出て凪沙をかばった。
「綺麗な足に傷をつけるなんて許しがたい……」
 ということで、リスキーは全力でかばったわけなのだが、その一撃は予想以上に重かった。クリーンヒットしたそれの痛みで、リスキーは天を仰ぐ。神や運命を呪う。
「お、おにーさん一度戻るね……。ぜんぜん痛くないからね……」
 そして、リスキーはスリッパをへこへこと鳴らしながら下がっていった。
 破竹の勢いは止まらない。タンスは次のターゲットに狙いを定めて、動き始める。
「避けるのもめんどうだなぁ……」
 逆撃のタンスは友哉の足にぶつかって、その足に直撃。これまで同様、見事な角のぶつけ方なのだが……。
「なぁ、タンスにぶつけると痛いもんなんだよな?」
 友哉は痛がるのもめんどうそうにしている。自分が痛いのかどうかも分からず、それは錯覚じゃないのかと悩み始めていた。
「みんな、大丈夫? わたしがここを押さえておくから、下がるんだよ」
 水の心。かばって貰ったことに感謝しつつ、凪沙は後衛だったふたりに声をかけていく。
「うん、まぁとにかくぶつけたんだから後ろと入れ替わろうか」
「……うん。やっぱり地獄の日々だな、3次元は」
 ということで、最後にやってきたのは凍だ。これまでの時間で集中していた凍は、ウィップを器用に回してタンスを絡め縛っていく。
「これでおしまい。3次元に興味はないけど、密かに萌えれれば、後は……」
 と、凍が戦いが終わった後の算段をしながら頭をかいていると、ローラーを急回転させたタンスがウィップの拘束を打ち破って突撃してきた。これに凍も慌てて避けようとしたが、狭い室内では避けられずに直撃。
(お、おのれ、おのれタンス! 覚えてろよ! ぎ、擬人化して後で萌えてやるからな!)
 体の芯から湧き上がる痛みと戦いながら、心の中で叫びつつ逃げ出した。その目には大粒の涙。
「みんな、大丈夫? わたしがここを押さえて……あれ?」
 凪沙が周りを見れば、誰もいない。
「仕方ないなぁ」
 なので、仕方なく土砕掌を放つ。すると、今まで溜まっていたダメージで既に瀕死になっていたのか、タンスのエリューション・ゴーレムはあっけなく破壊された。中身をぶちまけながら。
「……終わっちゃった」
 自分だけ無事なことを確かめつつ、外で足をふーふーとしている仲間たちを見る凪沙。なんとも言えない光景だった。

●後片付けで
 後片付けは、リスキーの記録と凪沙の記憶と並行して進めることで、スムーズに進んでいた。
「わざわざ散らかるように整えるって不毛だよね……」
「めんどくさ……」
 めんどくさそうにしながらも、友哉はきちんと整えていく。凪沙も不思議な理不尽さを感じながらも、真面目に整えていっていた。
「……ふむ……今時の若者はこういうのが好みなのか……」
 足を抑えつつ跳ねながら、巨乳物ばかりのえっちな本を覗いている迷子。自分の貧相なそれに手を当てて、「むぅ」と唸ったりしていた。
「……」
 シンクロで仲間の真似をしつつ片づけている凍は、そんな女性の姿を見て判定を下そうかどうか迷っていた。果たしてこれは萌えるのだろうか、どうだろうか。
「ひゃー!」
 結局、えっちな本を見てウブな反応を見せたのは玲だった。すぐにその場から逃げて、自分の目を覆ったりしている。
 そんな玲はしばらくして回復すると、智夫と一緒に替えのタンスを運び始めた。
「エリューション・ゴーレムはもういないし、小指を打つ事はありえな……」
 智夫が油断していると、ゴツン、と大きな音がする。それがなにを示すかといえば、もちろん……ぶつけたのだ。
「ひ、ひぎぃっ」
 再び、涙目。この痛みだけはどうしても逃げ出せない宿命のようなものなのだろう。
「きゃっ」
「違う、そうじゃない」
 その頃、リスキーはアキツヅと手を重ねてしまっていた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 タンス、なんて恐ろしい相手だ。私から言えるのはそれだけです……。
 ということで、色々とお疲れさまでした。

 お送りしたのは、実際に強くぶつけてしまって、世界に絶望できそうになったnozokiでした。