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うさぎのこうぶつ


「和夫のバカーッ!」
 夜の静寂に罵声が響き渡り……、真由美の頬を涙が伝う。
 元彼氏だった和夫との別れ話の帰り道、真由美の心は深く深く沈んでいた。
 別れの原因は和夫の浮気。けど100歩譲って其れは良い。ただ自分に男を見る目が無かった事を悔むばかりだ。
 だけど、
「お前の胸が小さいから浮気したんだって、なんなのよ……」
 問題は和夫が浮気の言い訳に放った一言だった。
 確かに真由美の胸は少し……いやかなり控えめで、ぶっちゃけて言ってしまえば薄い。もっと言えば貧乳、つまりは貧しい乳。
 けれどそんな事は自分が一番良く判っている。自分が一番気にしているのだ。
 何故、一寸胸が不自由なだけで自分が悪いみたいな話の流れになったのか。
 ……悔しい。

 ぐすりと、鼻涙管を通って鼻に溜まった涙(not鼻水)をすすったその時、真由美は眼前に不思議な物を発見する。それは……、
「うーさー」
 二本足で直立する大きく真っ白なウサギだった。それも一匹だけでは無く1、2、3、4、5匹。そしてそのうちの何匹かは手に大きな杵(餅を突く道具)を手にしている。
 真夜中に遭遇したメルヘンチックな光景に流していた涙も忘れて呆然とする真由美。
 勘の鋭い人間ならこの異様な光景に危機感を覚えたかもしれないが、残念ながら真由美は単なる一般人で、一寸ウサギが大好きだった。
 あれは『ぴょん太』、あっちは一寸捻くれてそうだから『うさいちはじめ』、あの子は耳がピンクがかって女の子っぽいから『ミミー』ね。それに『ぴこたん』に『ピーターカイゼル2世』。
 近寄ってくるウサギの一匹一匹に真由美は名前をつけていく。こんな光景に出くわしたなら、ダレだって同じ事をするだろう。だから真由美もそうしたのだ。……ネーミングセンスは無いが。
 まるで自分を慰めに現れたかの様なウサギ達に真由美の唇が綻ぶ。

 けれど……、そんな真由美に飛び掛ったウサギの一匹、『うさいちはじめ』は真由美の胸部、しかも器用に服と下着だけを其の前歯で一瞬のうちに切り裂いた。
「え……ちょっ」
 思わぬ不意打ちに胸を隠す事さえ忘れて上ずった声を上げる真由美。だがウサギ達はそんな真由美に構わず。
「ぺったんうさー」
 杵を振るう『ぴょん太』が真由美の胸を突く。
「何っ、やめてっ」
 痛みは無かった。だが痛みの無い事が寧ろ真由美にとっては驚きで……、
「こねるうさー」
 まるで突いた餅を捏ねるかのように、『ミミー』が僅かに湿った手で真由美の胸を揉む。
「やぁっ」
「ぺったんうさー」「こねるうさー」「もひとつぺったんうさー」「こーねこねこねうっさっさ」
 真由美の抗議にも耳を貸さず、ウサギ達が彼女の胸を弄び始めて暫く、真由美の胸に変化が現れ始める。
 薄く、硬かった筈の彼女の胸が、徐々に大きく、柔らかく、けれど表面は張りを保って膨らみ始めたのだ。
 驚く真由美を尻目に、ウサギ達は更に彼女の胸を育てて行く。
 長年のコンプレックスだった胸の変化に、抵抗する事も止めた真由美。
 何時しか彼女の胸は巨乳としか言いようの無いサイズにまで成長している。
 この胸だったら、あんな嫌な別れ方はしなくても済んだのに、もう和夫に未練は無いけれど、この胸なら自分をバカにした彼を見返す事だって出来るかも知れない。
 そんな考えがちらりと真由美の脳裏を過ぎる。

「できたうさー」
 真由美の胸をじっと見詰めていた『ピーターカイゼル2世』が言い放つ。
 そう、確かに完成だ。ウサギ達の手により真由美の胸は『男ならむしゃぶりつきたくなる』様なモノに成長している。
 ウサギ達には感謝しないといけないだろうか? でも明日皆に聞かれたらなんて説明しよう。其れより何より、真夜中に胸を放り出したこの姿は、まるで露出狂みたいじゃないか。
 喜び、羞恥、様々な感情、思考が駆け巡るが、とりあえずウサギにお礼を言おうと真由美が口を開きかけた、その時。
「じゃあそろそろたべるうさー」
 ……え?
 次の瞬間、押し倒された真由美の胸に一斉に群がる5匹のウサギ達。そして胸に走る激痛。悲鳴、否、絶叫。舞い散る血飛沫。


「………………」
 集まったリベリスタ達を前に、けれども『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)は口を開かない。
 気まずい空気の漂う中、配布された資料には今回の事件のあらましが簡単に説明されていた。



 資料
 1:概要
 女性の胸を食すアザーバイド、ムーンラビットが5匹来襲。女性の胸を特殊能力で大きくして食べようとしている。
 体長は80cm程。

 2:アザーバイド
 ムーンラビットと名付けられたアザーバイド。女性の胸が大好物。女性の胸に関する特殊能力や非常に鋭利な前歯等を持つ。
 この世界に比較的良く出没するアザーバイドらしく、言葉は通じます。
 全個体共通の能力としては、胸を食べられ始めたら抵抗がほぼ不可能になると言うのがあります。

 ムーンラビット1:『ぴょん太』
 杵を持つムーンラビット。戦闘時は杵をぶん回したり噛み付いたりする。
 杵で女性の胸を突く事でサイズを大きくする力を持つ。(突かれる度に胸のサイズが1段階上がる。別に服の上からでも構わない)

 ムーンラビット2:『うさいちはじめ』
 鋭利な前歯が自慢のニヒルなウサギ。前歯での攻撃は相手の防御力を無視した上で、『必殺』、『致命』『出血』等も乗っかっている。
 まともに喰らえば、首は飛ばないけど半ばまでは断たれると思われる威力。

 ムーンラビット3:『ミミー』
 性別はメス。だけどやっぱり胸は食べる。むしろ、一晩で100個のおっぱいを食べたら伝説の『ぷりんせす☆かぐや』になれると固く信じてるので一番胸に執着するのはミミー。
 女性の胸を揉む事で柔らかくも張りのある瑞々しい胸へと変化させる能力を持つ。(別に服の上からでも構わない)

 ムーンラビット4:『ぴこたん』
 杵で胸を大きくする能力と揉んで胸を柔らかくする2つの能力を兼ね備えた料理人のムーンラビット。
 戦闘能力は他個体より少し劣る。

 ムーンラビット5:『ピーターカイゼル2世』
 今回現れたムーンラビットのリーダー格。
 能力は詳しくは判らないが、兎に角一番偉くて一番強い。態度もでかい。
 基本的には『うさいちはじめ』の上位版。

 3:被害者
 水森真由美。ごくごく普通の可愛い一般人女性21歳。胸が小さい事を気にする小柄な女子大生。ただしネーミングセンスには欠ける。



「………………この事件はまだ起きていないから、急げばまだ真由美は助けられる筈。お願いするね」
 現場へ向かおうとするリベリスタ達の背中に、イヴの言葉が投げられる。





■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:らると  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年10月14日(金)23:17
 胸を大きくする能力や、柔らかくする能力は1日で効果が消えます。が、食われたら知りません。
 一般人女性は胸を食べられたら死にますが、リベリスタなら重傷になる程度で死にはしないでしょう。
 基本的に女性は胸を大きくしてから胸を食べます。巨乳以上の胸の人は最初から食べに来ます。巨乳だけど硬い胸は柔らかくしてから食べます。どっちも無理ならそのまま食べます。
 男性に対しては前歯で首チョンパをしようとして来ます。高スピード高威力高命中と超やばいです。首チョンパわからない人はわかる人に聞いてください。きっと居る筈。

 簡単に言うと、女性は胸が巨乳になって胸を食べ始められると重傷になる。男は最初から全力で殺りに来られる。って感じです。
 男の娘とか御婆ちゃんとかは、その時になってみないと判りません。

 ウサギ達とは言葉は通じますが、話が通じるかどうかは皆さん次第です。


 参加に当たっての超重要な事ですが、参加する女性は胸のサイズ書いてくださいね。
 無乳、貧乳、普乳、巨乳、それ以上、等です。
 書いてなかったら、BUとかステシとかで判断しますが、書いていただけると助かります。


 黒歌鳥さんがほのぼのとしつつも殺伐としたOP考えてっていうから頑張って考えてみました。
 出来てるかどうかは判りません。これが精一杯です。
 もし御気が向かれましたらどうぞ。


 あと豆知識。泣いた時に鼻水出るのは、目の内側と鼻が管で繋がっててそこに涙が流れ込むからです。
 だからあれは一応涙なんですよ。ばっちいと思うか思わないかはお任せしますが。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
アリステア・ショーゼット(BNE000313)
ナイトクリーク
倶利伽羅 おろち(BNE000382)
ナイトクリーク
金原・文(BNE000833)
ソードミラージュ
神城・涼(BNE001343)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
マグメイガス
来栖 奏音(BNE002598)
デュランダル
ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)
クリミナルスタア
幸村・真歩路(BNE002821)


「和夫のバ……むぐぅ!?」
 高ぶる感情のままに、元彼氏への罵声を張り上げようとした真由美の襟首が強い力で後ろに引かれる。
 突然の不意打ちに息を詰まらせ、目を白黒させた真由美の視界に飛び込んできたのは巨乳。
「……暫し下がっておるが良い。なぁに、お主の様な慎ましやかな胸が好みじゃという殿方も沢山おる。……というか胸おっきくったって彼氏出来るとは限らんわー!」
 厳しい瞳で前方を警戒しながらも、慰める振りして心の内をぶちまけてぶるぶると揺れる巨乳。名前とかどうでも良いけど『エア肉食系』レイライン・エレアニック(BNE002137)が真由美を庇うように一歩前に進み出る。
「な、なんなの貴女?」
 まあ当然と言えば当然だが、事情を知らぬ真由美から見れば行き成り出て来たコスプレの様な格好をした女、レイラインは不審者以外の何者でもない。
 特に彼女が手に填める『猫の爪みたいな』武器は、真由美から見れば玩具にしか見えていないが、それでも何処か危険を感じさせるのか、真由美の左手が鞄を探り中から携帯を取り出す。
 彼女が助けを求めるのは官憲か、家族か友人か、それとも別れたばかりの彼氏だろうか?
 けれど彼女が誰に助けを求めるのかを確認する機会は無い。
 動揺する真由美の後ろから静かに迫り、彼女の細い顎に手をかけた『ディレイポイズン』倶利伽羅 おろち(BNE000382)が、
「ん……、ちゅっ」
 振り向かせると同時に、情熱的に其の唇を奪ったからだ。ちろちろと唇を割って這い回る少し先の割れた細い舌。抱きすくめられた真由美の胸に当たる、悔しくなる程の質量を持った大きな胸と、其れを通して伝わる鼓動。
 突然のおろちの行為は混乱する真由美の心を更に動揺させるには充分で……、驚愕に見開いた真由美の瞳を、おろちの魔眼が覗き込む。
「良い? 暫くの間はこっちきちゃだめよん」
 瞳から色を失い素直に頷く真由美に、おろちは満足げに笑み、細い舌で自らの唇を舐める。
「……恐ろしい」
 そんな光景に小さく呟いたのは果たして誰か。


 それはさて置き、一般人である真由美を早期に確保、避難せしめた事はリベリスタ達にこの後の戦いにおけるアドバンテージを与えた。
「うさー!? おまえらなにうさー!」
 やって来るアザーバイド、ムーンラビット達に対し、リベリスタ達は万全の体制で待ちうけ、尚且つ先手を取って攻撃する事を可能としたからだ。
 ぴょん太の誰何の声を無視し、うさいちはじめに狙いを定めて一斉に襲い掛かるリベリスタ達。
 しかし狙われた当の本人であるうさいちに動揺は無い。何故なら、うさいちは自分がニヒルでクール系キャラである事に陶酔するタイプだからだ。つまり、
「ふっ、このピンチを乗り切れるうさーは最高に格好良いうさー!」
 この子ちょっと痛い子である。
 鋭く呼気を吐き、『酔いどれ獣戦車』ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)が振り回したバスタードソードと、激しく飛び跳ねるうさいちの前歯がぶつかり火花を散らす。
 第三者から見ての、ディートリッヒとうさいち、双方の攻防はほぼ互角。互いに技をぶつけ合い、相殺しあった痛み分け。
 けれどディートリッヒの背中を冷たい汗が伝う。集中を重ねた一撃を防がれた事が衝撃なのではない。その程度の事なら、多対1の状況を作り出せている今なら問題なく押し込める。だがディートリッヒが本当に脅威を感じたのは、うさいちの前歯とぶつけ合ったバスタードソードが、ただの一合のやり取りでその刀身を大きく歯で削り取られていた事だ。
 もしあの前歯を直接受ける事になれば……。
 脳裏を過ぎる嫌な想像。でもそれでも、後には引けない。
「男って奴は、か弱い女の子を守ってなんぼだろう?」
 口から漏れたのは強がりにして誓い。

 勿論ムーンラビット達もリベリスタ達の猛攻に甘んじはしない。
 動揺し、押し込まれて戦線の乱れた同胞達。逆に敵は役割分担の確り取れた配置を行い、こちらの各個撃破を狙って来ている。これでは胸を大きくする余裕もない。
 戦場を見回し、戦況を判断したピーターカイゼル2世がこの不利な状況を打開する為に口を開く。
「飛ぶうさ。台になるうさー」
 カイゼルの指示に、足を上に向けて地面に寝転んだのはカイゼルの忠実な料理人であるぴこたん。
 発射台となったぴこたんの足の上に、足を合わせる様に乗ったカイゼルの起死回生の一手。
「これぞうさーの特技、うさきっくはりけーん!」
 互いの脚力を合わせ、砲弾の様な勢いで宙を飛ぶカイゼル。その勢いはリベリスタ達の前衛に動く暇を与えず、
「ふぇ? えええええ!?」
 後衛から、大好きなパピヨン耳の『臆病ワンコ』金原・文(BNE000833)の支援砲撃に魔曲・四重奏を放とうとしていた来栖 奏音(BNE002598)が気付いた時には、カイゼルは既に目前に迫っており、奏音が思わず腕で顔と首を庇った次の瞬間、カイゼルの前歯が煌めき斬撃を放つ。
 ……結論から言えば奏音の首が宙を飛ぶ事はなかった。ただし、代わりにまるで花吹雪の様に辺りを切り裂かれた布キレが舞う。そう、切り裂かれて布切れと化した奏音の身に着けていた、下着を含めた衣装(包帯以外)の全てが風に吹かれて飛んでいく。


 一方前衛を担うリベリスタの一人、レイラインと、彼女の巨乳もまた危機に陥っていた。
 リベリスタ達の集中攻撃によって気を失って倒れたうさいち。だが彼も置き土産に、レイラインの胸を覆う服や下着を切り裂いてから散っていったのだ。
 そして後衛に切り込んだカイゼルの対処におろちと文が前線を抜けた為に、美味しそうな胸を前にしたミミーを遮る者が減る。更に動揺していたぴょん太もカイゼルの行動に我に返り、ぴこたんと共に杵を振り回して、レイラインのおっぱいをガン見して隙だらけの『冥滅騎』神城・涼(BNE001343)に殴りかかった。有罪です。真っ黒です
 レイラインも自分が巨乳である自覚があり、ミミーが自分に襲い掛かってくる事は予測していた。だから成るべくミミーからは離れて戦う様にしていたのだが……。
 ミミーを振り切ろうとするレイラインの動きが鈍い。集まったリベリスタの中ではTOPの、そう、まさしく桁の一つ違う速度を誇る彼女が、何時もより明らかに遅いのだ。
 片手では押さえ切れない、隠しきれない大きな胸。完全に抑えようと、隠そうとするならば武器を手放さなければならず、戦うことは不可能だ。
 かといって胸を放り出したままで動こうとすれば、その双丘はレイラインの本気の動きについて来れない。と言うか、ぶっちゃけ本気で走ると大きく胸が動きすぎて痛い。千切れそう。寧ろ死ぬ。
 そしてそんな鈍った動きではミミーの執拗な追撃を避け切る事など出来よう筈も無く……、
「にゃぎゃー!? ちょ、一寸待つのじゃ。駄目、ちょっと、本当に駄目じゃって! ……ぎゃーーー!!」
 ミミーにしがみ付かれ、地面に押し倒されたレイラインは暫くの間ミミーに胸を揉まれながらも必死の抵抗を続けていたが、速度自慢ではあっても腕力自慢ではない彼女に最早逃れる術も無く、ミミーの前歯がレイラインの双丘の先端の桜色に齧り付く。

 強烈な痛みと胸に齧りつかれた衝撃に泡を吹いて気を失ったレイライン。
 しかしミミーが彼女の胸を貪り食う事はまだ叶わない。レイラインの胸に齧りついたミミーを弾き飛ばしたのは、
「ばかっ! そんな傷だらけで頑張らなくても、女の子はいつだってプリンセスなのよ!」
 2人の速度に離され、漸く追いついた『現役受験生』幸村・真歩路(BNE002821)の放つ無頼の拳、ならぬ無頼のビンタだ。
 噛み付いている所をビンタされた為に色々食い千切ってしまった気がしなくも無いが、当然の様に食事を邪魔されたミミーは怒る。
「なんだうさー。やんのかてめうさー。てめーもくったるうさー!」
 しゅっしゅっとシャドーボクシングの様に腕を突き出すミミーは、伝説のプリンセスを目指すにしては非常に柄が悪い。だがミミーの胸への執着はそれ程に強いのだ。
 けれど真歩路はそんなミミーの剣幕にも怯む様子を見せず、
「巨乳未満のお胸で妥協したら、並プリンセスにしかなれないわよ?」
 自分が普乳だと強調する様に、胸を張ってミミーのウィークポイントを突く。
 その一言は確実に心を捉え、ミミーの動きを止めさせた。
「…………うーさー」
 真歩路を見詰めながら、唸り、首を捻るミミー。苦悩している訳ではなく、至極不思議そうに。
 そしてミミーの出した結論は、
「んー、充分にあると思ううさよ?」
 真歩路の胸はOKラインだと言う物だった。
「え、ありが……あれ?」
 うん、充分豊かに実ってると思います。
「じゃあ、改めてイタダキマスうさー!」
 傲慢である事に比べれば謙虚である事は美徳だが、謙虚さも時には誤算を招く。


 戦場は既に敵味方入り混じっての、前衛も後衛も無い乱戦の様相を呈している。
「わー、やだやだやだやだやだーっ! やめてったらーっ!」
 悲鳴を上げ、胸を庇って逃げる文の胸は既に幾度か杵で突かれており、服を内側から持ち上げてぱっつんぱっつんになって、……あ、弾けた。
 激しく動いた為に内側より弾かれる様に文の服が破れ、豊かにされてしまった胸がまろび出る。
 そんな文の胸を羨ましそうに見詰める、『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BNE000313)。
 乱戦となってはいても成るべく敵から距離を取り、仲間達を回復で支え続けるアリステアではあるが、本心を言えば逃げずにあの杵を胸に受けてみたい。『大きい胸なんか羨ましくないもん!』とか言ってみたりもするけれど、本当は当然羨ましい。寧ろ泣きたくなるほどに、膨らんで来ない胸が哀しい。
 年の近い友人達からはそろそろブラジャーをどうしよう等と言う話も聞こえて来る。自分にはまだまだ縁が遠そうな話。まだまだ未来はあるからとは自らに言い聞かせても居るけれど!
 でも、だからと言って回復役は成るべく攻撃を受けずに仲間を支え続けなければならないと言う役割へを果たそうとする心根が彼女の欲求と戦い邪魔をする。
 ……が、そんな心の迷いに漬け込む様に、或いは迷いから救い出すかの様に、
「おっらうさー!」
 迷いで視界の狭くなっていたアリステアに向かい、こっそり近付いて来ていたぴょん太が杵を振るう。
 杵が胸に、痛みも無くめり込んで行く。そして杵が引き抜かれる時、まるで杵に吸い付いてでも居るかの如く胸が引っ張られ、一連の動作が終った後は、とても貧しかったアリステアの胸は、ワンサイズ大きさがアップしていた。
 杵にそう言う効果があるのは知っていたけれど、実際に仲間の胸が大きくなるところも見たけれど、自分の身に起こってみればやはりその衝撃は大きい。
 呆然と自分の胸に手を当てて揉みしだくアリステアは、胸から伝わってくるその感覚にビクリと体を震わせる。
 本当に自分の胸だと言う感動と、杵の効果か敏感になった胸の感覚が綯い交ぜになってアリステアを襲う……が、勿論そんな事はお構いなく、
「もいっちょうさー」
 ぴょん太の杵は彼女の胸を突いていく。


 長引く戦いにも終わりの時は迫り来る。
「一秒でも長くおにゃのこの! 巨乳を! 俺は見る!」
 誤解でも何でも無く、完全アウトの台詞を叫びながら、殴り斃された筈の涼が立ち上がる。
 胸を大きくする、其れは良い。寧ろ俺得とばかりに見逃そう。けれど、噛むのは駄目だ。女の子が、まあ見られても泣くだろうけど、噛まれて泣くのばかりは見過ごせない。
 そんな想いが一度は崩れた涼の膝を再び走らせ、ガチガチと前歯を鳴らしながら逃げる文の胸を襲わんとするぴこたん目掛け、澱みなき連続攻撃技、ソニックエッジが放たれる。
 ぴこたんの背に涼の愛刀、斬魔刀・紅魔は2度、十字に煌めく。

「あまり同意はしたくないんだが」
 涼の復活の叫びを聞き、苦笑いを零してディートリッヒも歯を食い縛り立ち上がる。
 男として気持ちは判らぬでもないが、涼程開き直って馬鹿が出来る程若くも無い。だが一つ、うさぎにやられて女の子を守れなかったなんてことには絶対したくない。これだけは涼と共有出来る志だ。
 体を引き絞り、全身の力を武器に伝えて放たれる一撃、メガクラッシュは、アリステアに向かって飛びかかろうとしたぴょん太の身体を剣の腹で捉え、まるで野球のライナーの如き勢いでぴょん太の体をブロック塀に叩きつける。

 丁度その頃、
「クッ、まさにお前は強敵(とも)、いやプリンセスだったうさー」
 真歩路に耳を掴んでぶら下げられ、喉元をナイアガラバックスタブで切り裂かれたミミーが積み重なったダメージに意識を手放し脱力する。
 台詞の意味は良く判らないが、一対一のタイマンはミミーの胸に、そして真歩路の胸にも何かを刻んだ。
 当然真歩路の負ったダメージも軽くは無い。可愛らしい服もぼろぼろに切り裂かれている。けれど、真歩路の胸を占めるのは全力を出しきった爽快感と喜びだ。
 心地良い疲労感を感じながらも、倒れた仲間、レイラインの元へ真歩路は向かう。

 そして……、
「強いわ。イケないうさぎさん。でも残念ね、今日喰われるのはアナタ達なのよん。ウフフ……」
 大きな傷を負いながらもカイゼルの相手を一身に引き受けたおろちが嗤う。服も既にボロボロの彼女は、凄絶な色気を漂わせながらカイゼルに、回避されるのを承知でハイアンドロウ、オーラで作った市の爆弾を放つ。
 戦況は、此処以外は概ねリベリスタ達の優勢に進んでいる。引き付け続ければ、何れ仲間達が駆け付ける筈。
 勿論それは言うほどに容易い事ではない。が、彼女は恐らく其れを成し遂げるだろう。例え自分の胸をカイゼルに食わせてでも、おろちは、蛇は、カイゼルを絡めとる。


「これは、……うさー達の、負けうさー」
 戦いの終わりは不意に、そして予想外の形で訪れた。
 おろちの攻撃を避けたカイゼルが、はっきりと自分達の負けを宣言したのだ。
 うさいち、ミミーは意識を失い、ぴこたんとぴょん太の負った傷も深い。勿論リベリスタ達のダメージも軽くは無いのだが、カイゼルは勝利よりも同胞を無駄に失う事を避ける事を選択した。
 ムーンラビット達の体の下に、カイゼルの開くリンクチャンネルが現れ、彼等を飲み込んでいく。
 リベリスタ達が其れを邪魔する事は、勿論可能だった。だがその場合、カイゼルは死に物狂いでリベリスタ達に挑んで来るだろう。手負いの獣ほど恐ろしい存在は無い。
「けれどこれは始まりに過ぎんうさー。ぶっちゃけ悔しいうさー! うさきんぐに言いつけるうさー。この屈辱は……ごぼごぼごぼ」
 どぷん、と水に沈む様にカイゼルの姿がリンクチャンネルに飲まれ、そしてリンクチャンネルも閉じて消えていく。

 薄氷を踏むかのようなギリギリの勝利。もし仮に、彼等が胸を大きくする事に拘っていなければ、戦いの結果は判らなかっただろう。
 だが、それでも勝利は勝利ある。それにリベリスタ達にとってはもっと重要な事があるのだ。

「うおおおおお、ありがたやー、ありがたやー」
「やだやだやだ、こっち見ないでーーっ!」
「誰かカメラ持ってない!? 記念に残しときたい!」
 涼が拝み、文が逃げ、そんな文を捕まえたアリステアが記念撮影を求めてはしゃぐ。
 そんな年下の仲間達の様子に溜息を零したディートリッヒが、それでも求めに応じてデジカメを構える。
 レイラインに肩を貸す真歩路に、奏音を背負ったおろちもがフレームに納まり、……戦闘後の興奮が過ぎ去れば蘇った羞恥心に苛まれそうな、それでもこの瞬間だけは楽しい、一枚の写真のシャッターが切られる。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 えーっと、カイゼルを最後に残す判断だったので敵は撤退です。
 と言う訳で、続きます。続きは黒歌鳥さんが担当してくれる事になってるので、一寸お待ち下さいね。

 おっぱいおっぱい。
 大セクハラ大会ですが、如何でしょうか?
 お気に召したら幸いです。