● 「和夫のバカーッ!」 夜の静寂に罵声が響き渡り……、真由美の頬を涙が伝う。 元彼氏だった和夫との別れ話の帰り道、真由美の心は深く深く沈んでいた。 別れの原因は和夫の浮気。けど100歩譲って其れは良い。ただ自分に男を見る目が無かった事を悔むばかりだ。 だけど、 「お前の胸が小さいから浮気したんだって、なんなのよ……」 問題は和夫が浮気の言い訳に放った一言だった。 確かに真由美の胸は少し……いやかなり控えめで、ぶっちゃけて言ってしまえば薄い。もっと言えば貧乳、つまりは貧しい乳。 けれどそんな事は自分が一番良く判っている。自分が一番気にしているのだ。 何故、一寸胸が不自由なだけで自分が悪いみたいな話の流れになったのか。 ……悔しい。 ぐすりと、鼻涙管を通って鼻に溜まった涙(not鼻水)をすすったその時、真由美は眼前に不思議な物を発見する。それは……、 「うーさー」 二本足で直立する大きく真っ白なウサギだった。それも一匹だけでは無く1、2、3、4、5匹。そしてそのうちの何匹かは手に大きな杵(餅を突く道具)を手にしている。 真夜中に遭遇したメルヘンチックな光景に流していた涙も忘れて呆然とする真由美。 勘の鋭い人間ならこの異様な光景に危機感を覚えたかもしれないが、残念ながら真由美は単なる一般人で、一寸ウサギが大好きだった。 あれは『ぴょん太』、あっちは一寸捻くれてそうだから『うさいちはじめ』、あの子は耳がピンクがかって女の子っぽいから『ミミー』ね。それに『ぴこたん』に『ピーターカイゼル2世』。 近寄ってくるウサギの一匹一匹に真由美は名前をつけていく。こんな光景に出くわしたなら、ダレだって同じ事をするだろう。だから真由美もそうしたのだ。……ネーミングセンスは無いが。 まるで自分を慰めに現れたかの様なウサギ達に真由美の唇が綻ぶ。 けれど……、そんな真由美に飛び掛ったウサギの一匹、『うさいちはじめ』は真由美の胸部、しかも器用に服と下着だけを其の前歯で一瞬のうちに切り裂いた。 「え……ちょっ」 思わぬ不意打ちに胸を隠す事さえ忘れて上ずった声を上げる真由美。だがウサギ達はそんな真由美に構わず。 「ぺったんうさー」 杵を振るう『ぴょん太』が真由美の胸を突く。 「何っ、やめてっ」 痛みは無かった。だが痛みの無い事が寧ろ真由美にとっては驚きで……、 「こねるうさー」 まるで突いた餅を捏ねるかのように、『ミミー』が僅かに湿った手で真由美の胸を揉む。 「やぁっ」 「ぺったんうさー」「こねるうさー」「もひとつぺったんうさー」「こーねこねこねうっさっさ」 真由美の抗議にも耳を貸さず、ウサギ達が彼女の胸を弄び始めて暫く、真由美の胸に変化が現れ始める。 薄く、硬かった筈の彼女の胸が、徐々に大きく、柔らかく、けれど表面は張りを保って膨らみ始めたのだ。 驚く真由美を尻目に、ウサギ達は更に彼女の胸を育てて行く。 長年のコンプレックスだった胸の変化に、抵抗する事も止めた真由美。 何時しか彼女の胸は巨乳としか言いようの無いサイズにまで成長している。 この胸だったら、あんな嫌な別れ方はしなくても済んだのに、もう和夫に未練は無いけれど、この胸なら自分をバカにした彼を見返す事だって出来るかも知れない。 そんな考えがちらりと真由美の脳裏を過ぎる。 「できたうさー」 真由美の胸をじっと見詰めていた『ピーターカイゼル2世』が言い放つ。 そう、確かに完成だ。ウサギ達の手により真由美の胸は『男ならむしゃぶりつきたくなる』様なモノに成長している。 ウサギ達には感謝しないといけないだろうか? でも明日皆に聞かれたらなんて説明しよう。其れより何より、真夜中に胸を放り出したこの姿は、まるで露出狂みたいじゃないか。 喜び、羞恥、様々な感情、思考が駆け巡るが、とりあえずウサギにお礼を言おうと真由美が口を開きかけた、その時。 「じゃあそろそろたべるうさー」 ……え? 次の瞬間、押し倒された真由美の胸に一斉に群がる5匹のウサギ達。そして胸に走る激痛。悲鳴、否、絶叫。舞い散る血飛沫。 ● 「………………」 集まったリベリスタ達を前に、けれども『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)は口を開かない。 気まずい空気の漂う中、配布された資料には今回の事件のあらましが簡単に説明されていた。 資料 1:概要 女性の胸を食すアザーバイド、ムーンラビットが5匹来襲。女性の胸を特殊能力で大きくして食べようとしている。 体長は80cm程。 2:アザーバイド ムーンラビットと名付けられたアザーバイド。女性の胸が大好物。女性の胸に関する特殊能力や非常に鋭利な前歯等を持つ。 この世界に比較的良く出没するアザーバイドらしく、言葉は通じます。 全個体共通の能力としては、胸を食べられ始めたら抵抗がほぼ不可能になると言うのがあります。 ムーンラビット1:『ぴょん太』 杵を持つムーンラビット。戦闘時は杵をぶん回したり噛み付いたりする。 杵で女性の胸を突く事でサイズを大きくする力を持つ。(突かれる度に胸のサイズが1段階上がる。別に服の上からでも構わない) ムーンラビット2:『うさいちはじめ』 鋭利な前歯が自慢のニヒルなウサギ。前歯での攻撃は相手の防御力を無視した上で、『必殺』、『致命』『出血』等も乗っかっている。 まともに喰らえば、首は飛ばないけど半ばまでは断たれると思われる威力。 ムーンラビット3:『ミミー』 性別はメス。だけどやっぱり胸は食べる。むしろ、一晩で100個のおっぱいを食べたら伝説の『ぷりんせす☆かぐや』になれると固く信じてるので一番胸に執着するのはミミー。 女性の胸を揉む事で柔らかくも張りのある瑞々しい胸へと変化させる能力を持つ。(別に服の上からでも構わない) ムーンラビット4:『ぴこたん』 杵で胸を大きくする能力と揉んで胸を柔らかくする2つの能力を兼ね備えた料理人のムーンラビット。 戦闘能力は他個体より少し劣る。 ムーンラビット5:『ピーターカイゼル2世』 今回現れたムーンラビットのリーダー格。 能力は詳しくは判らないが、兎に角一番偉くて一番強い。態度もでかい。 基本的には『うさいちはじめ』の上位版。 3:被害者 水森真由美。ごくごく普通の可愛い一般人女性21歳。胸が小さい事を気にする小柄な女子大生。ただしネーミングセンスには欠ける。 「………………この事件はまだ起きていないから、急げばまだ真由美は助けられる筈。お願いするね」 現場へ向かおうとするリベリスタ達の背中に、イヴの言葉が投げられる。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月14日(金)23:17 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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