● 明るい青空、一面の野原。 明るい音楽。特設舞台。ピエロの大道芸。 ゆらりゆらり。 数え切れない数の風船を持ったピエロ。 「風船をさしあげましょう」 赤い風船、白い風船。 「空まで飛んでいける風船を差し上げましょう」 赤い風船、白い風船。 「風船だけ飛んでいってしまわないように」 糸はしっかり手にくくってくれる、優しいお人形のピエロ。 「空の果てまで飛んでいける風船を差し上げましょう」 子供の体がふわりと浮いて。 パパとママの顔が青ざめる。 くくりつけられた糸は、消して手から離れない。 はさみも、ペンチも、何も受け付けない。 風船は空へ。空へ空へ空へ! 「イトガキレナイナラ、ウデヲキッチャエ!」 小人のお人形がやってきて、腕をチョッキン! パパの悲鳴、ママの悲鳴、子供の悲鳴の三重唱。 ただ抱きとめているしか手立てはなくて。 なす術もなく肩から先が、風船と一緒に飛んでいく。 何本も何本も。 ああ、あの子の腕は無事。 五体丸ごと飛んでった。 赤い風船、白い風船。 プリントは、大きな丸い赤い月。 ● 「……という事態を回避しなくちゃならない」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、モニターに地図を映し出した。 「場所はここ。山の中の高原で大道芸のフェスティバルがあるの。それ自体は全うなもの。その中にエリューションが紛れ込んでいる」 無表情の中、わずかに不快感がのぞく。 「ここで配られる風船がアーティファクト『力持ちバルーン』。普通の風船の大きさで子供くらいなら、空の果てまでは無理だけど、20メートルは持ち上げる」 大体、6階建てビルの高さ。 「一般人にとってはしゃれにならない高さ。さっきも言ったけど現場は高原。周囲に建物はないから、とりあえず天井のある所で対応することも出来ない」 ピエロの写真。 だぶだぶの衣装を着けた、ずんぐりむっくりの大男。 白塗りメイク、大きな赤い鼻。まったく笑っていない瞳孔。 小人の写真。 白塗りに三日月の口。星のペイントの仮面。 ピエロとそろいの衣装に、手に大きな身の丈ほどもあるはさみを持っている。 「これ、ピエロが一体。小人が四体。自動人形」 側によれば、キリキリと作動音がする。 「ピエロに糸をくくられたら、普通の刃物では糸は切れない。対神秘装備がいる。迅速な対応が要求される」 風船を配るピエロを取り押さえて、腕を切っていく小人を取り押さえて、風船をくくられた子供の手の糸を切って、飛んでった子供がいたら、どうにかしなくちゃならない。 「今からいけば、まだ配り始めに間に合う。みんなが持っている武器なら糸を切るのに不足はない。急いで」 互いに見交わし、ブリーフィングルームを出て行こうとするリベリスタ。 「それから、この件、この間のお菓子工場の件と似た気配がする。出来れば、何か手がかりを。でも、それ以上に子供の無事を。飛んでいっちゃうのも怖いけれど、もたもたしていたら増殖性革醒現象が始まる」 イヴは、繰り返した。 「急いで」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月15日(土)23:15 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● 赤い風船、白い風船。 ゆらりゆらりと高原に現れる、オレンジ色の道化服。 機械仕掛けのピエロと赤白黄色青の帽子をかぶった機械仕掛けの小人。 「風船はいかが?」 むらがって来る子供の波が、別のところに流れていく。 大急ぎ、大急ぎ。大急ぎで用意したの。 子供達、こちらへいらっしゃい。 もっと素敵な、もっと楽しいことがこっちに待っているのよ。 だから、お願い。 ピエロのところへ、行かないで。 ● 「鈴宮紅茶館でーす。試作品無料配布を行っておりまーす」 『フィーリングベル』鈴宮・慧架(BNE000666)は、お店の制服。 バスケットの中には手に提げた紙ナプキンに包まれたケーキと、お盆の上には小さな紙コップのお茶。 いい匂い。 高原の空気はひんやりと冷たくて、きっとあたたかい紅茶はおいしい。 「あら、おいしそうなケーキね。まだまだ時間掛かりそうだし、皆さんもいかが?」 『嗜虐の殺戮天使』ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064) が、周囲にも勧める。 実は辛党なので、ケーキのことはよく分からない。 ちいちゃい子はどっちもいけるが、今はそれどころではない。 (一般人を大量に巻き込んでの凶行、許しては置けませんわ。神秘の隠匿には心が折れるというのに!) まったくこの後のフェスティバルのフォローも考えると今頃別働班の担当も胃を悪くしているのは想像に硬くない。 『紫煙白影』四辻 迷子(BNE003063)が、見せびらかすように食べながら子供達の間を縫って歩く。 「まま~」 「けーきぃ」 人が慧架の方に流れ出す。 「はぁ~い、こっちにもあるから、ピエロさんに集まりすぎないでね~?」 『ナイトビジョン』秋月・瞳(BNE001876)は、少なすぎる布地のコスチュームに身を包み、風船配りのコンパニオンさん。 馥郁たる香りは、パパと坊やのハートわしづかみ。 (……仕事とはいえ、色々きついなこれは) 人あしらいもクールな瞳にとって、愛想を振りまくのはかなりの精神的負担が掛かっていた。 しかし、子供の命が掛かっている。最善を尽くすほかない。 にこやかな笑顔を浮かべながら、風船を配る視線の先にピエロ。 (悪趣味な……裏があるとしてこんなことをして何の意味があるんだ? 胸糞悪い) ぱすっ、ぱすっ、気の抜けた音がする。 『猟奇的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216) の二丁拳銃。 マズルファイアもサイレンサーに隠されている。 (風船にピエロ……か。風船は置き去り屋の時にランディが見てたね。今回の事を指してたのかなー?) 品物に刻まれた途切れ途切れの記憶。 赤い風船、白い風船。 (なんとなくサーカスっぽい雰囲気だったみたいだし……今回も何か手がかりがあればいいけれど、まずはしっかりと止めなきゃね) 『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)も少し離れた所から、ピエロの風船を破裂させていく。 子供を拡散させ、風船の数を減らし、ピエロに接近して抑える。 ● いきなり、犬が吠え出した。 子供に飛び掛ったりはしないが、その場に居合わせた犬がいっせいに吠え出し、ぐるぐる辺りを走り始めた。 空を埋め尽くすように飛んでくる鳥。 あまりの異様さに、泣き出す子供達がいる。 困惑した親達が、子供を抱き上げて、その場を離れる。 『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は、近隣にいた小動物に働きかけ、怪我をさせないよう気をつけながら、子供達の側を飛ばせたり、辺りを走り回らせていた。 「ぬわー動物の暴走だぁぁ派手な格好、具体的に言えばピエロの様な格好したりしてると危険!」 『終極粉砕機構』富永・喜平(BNE000939)が、混乱に乗じて吹聴する。 割れていく風船。 「風船はいかが?」 それもお構いなしに、同じ文句を繰り返すピエロ。 リベリスタが張った結界が、健全な親子連れに居心地の悪さを感じさせる。 神秘の気配が、本能的な危機感を掻き立てる。 それでもピエロに近づく子供の足元から、『Dr.Faker』オーウェン・ロザイク(BNE000638) が現れ、肩車をしてその行く手を阻む。 「うっかり転んで、踏まれちゃいましてね、はは」 知らない人が見れば、礼儀正しい外国人のお兄さんだ。 そっと地面に降ろすと、矢継ぎ早にフェスティバルや天気について、日本語を話せるのが楽しくて仕方がないといった風情でフレンドリーに周囲に話しかける。 その様子に外国人に本能的に恐れをなす平均的な日本人が、あいまいな笑みを浮かべながらじりじり下がり始めたのは、思わぬ副産物だった。 『鋼鉄の砦』ゲルト・フォン・ハルトマン(BNE001883)が、黒髪黒目の一見日本人を装い。 「ニュースキャスター襲撃事件の重要参考人、ジャック! 警察だ! お前を逮捕する!」 誰でも知っている血も凍る事件。 犯人は逃走中。 この人ごみの中に、ジャック? 逃げなくては! 幸いにも、神秘の風船が握られていなかった子供の親はわが子を連れて、その場を離れられた。 外国人の青年が大仰に手を振り回したとたん、いっせいにピエロの手にあった風船が空に吸い込まれていく。 オーウェンが幻視によって一般人には見えなくなったナイフで、ピエロの風船の糸を横なぎにしたのだ。 「皆、こっちだよ~! 慌てず迅速に逃げるもる~!」 モルぐるみがスクーターに乗って、現れた。 ぽんぽん跳ねたり、ちょっと大げさな身振りで、親子連れを誘導する。 『箱庭のクローバー』月杜・とら(BNE002285)は、至極まじめにモルぐるみを選んだ。 ひょっとしたら、突発イベントかもしれない。 本当に殺人鬼が出たわけではなく、ヒーローショーなのかも。 ばかげた格好にフェスティバルのスタッフと認識されたり、あえて逆方向に逃げたり、とにかくピエロの周囲から人が消える。 「皆さん、こちらです! こちらに逃げて!」 人ごみの中なら悲鳴が上がる。 糸が手に絡んで泣きじゃくる子供とその親。 ああ、風船が空に向かって飛んでいく。 ● 「大丈夫ですから、ここはわたくし達にお任せください」 ティアリアの手には幻視で身分証に偽装した手帳。 空に浮かびかけている子供を必死で抱きすくめる。 ならば、腕を落としてやろうと小人が駆けつける前に。 「腕の鳴る的だねー。劉、虎美は左上の赤いの撃つから、下の白いのお願い。三秒後に横風1メートル勘定に入れて」 ポン! ポン! 音を立てて、風船が割れる。 ずしりと手の中で重量感を増す子供をぎゅっと抱きとめると、その頬に流れる涙をぬぐった。 「ほら、泣かないの。パパとママが待ってるわよ。さあ、いきましょう?」 「風船は全部割るよ」 「その後にピエロと小人」 狙撃手達は、凶行の種を根絶やしにし始めた。 「どんなタイプか調べるのですよ♪」 来栖 奏音(BNE002598)は、声を弾ませ、小人達を凝視する。 「赤いあなたは力持ちさんですね♪」 人ごみの中に混じり、「逃げるのじゃ、逃げるのじゃ!」と、先導した迷子も戻ってくる。 ピエロのだぶだぶの衣装の下で、ボンと何かがはちきれるような音がした。 その足元に滑り込んでくる小柄な影。 慧架はこの混乱の中、ピエロを地面に叩きつけることに集中していた。 「貴方もこのスキル使うと思うから先手に使わせていただきます」 小柄な体がピエロを押し倒し、地面にめり込ませた。 ● リベリスタは最善を尽くしたが、それでもピエロの風船を握った子供が宙に向かってふわりと浮いた。 (神秘の秘匿は他のメンバーと別働班に丸投げになってしまうが、背に腹は変えられん) 瞳は、浮かび上がった子供の背に小さな羽根を生やさせた。 落ちたくないという思いは、せめて落下速度の軽減につながるだろう。 「ぬぬ~またお前達か、悪いピエロとその手下め! 子供達! 今助けるもる、とうっ☆」 モルぐるみの背中のスリットから白い羽根。 そらは、ピエロや小人の射程距離外で待ち構え、ぎゅっと抱きしめた。 すかさず銃声。 風船の呪縛から解き放たれる子供。 「飛んで……るの?」 「モルヒーローである事がばれると、平和を守るお仕事が出来なくなるから今日の事はボクと君たちだけの秘密にしてもる?」 こくんと、子供は訳も分からず、うなずいた。 更に響く銃声。 すかさずダイビングキャッチ。 喜平は問題ないと手を上げる。 片手で足りぬ数の子供達がリベリスタによって救われた。 結界の外に出る頃には、背中の羽根も消えるだろう。 「種も仕掛けも残念ながら本当に無いマジックだ、それから今日のことは出来れば忘れてくれ」 ● 「青い子は、よける子ですね~♪」 奏音の敵戦力分析は続く。 「勘だけど、白の子が命中特化!」 とらが叫ぶ。 二人の腕から血が滴り落ちた。 小人達がジャキジャキとはさみをガチャつかせながら、リベリスタの間を走り回る。 そのたびリベリスタの体から血しぶきが吹き上がった。 瞳が召喚する福音が割れた傷口を端からふさいでいく。 「一気に行くよー!」 虎美の二丁拳銃が火を噴いた。 蜂の巣になる小人共。 小人をかばえなかったピエロは、機械仕掛けの唸り声を上げて、至近距離の慧架の腹に慧架の胴より太いひざを食い込ませ、地面に埋め込もうとする。 ゲルトが慧架の前に飛び込み、代わりにその技を食らった。 ぎしぎしと捧げ持った大盾がきしむ。 「お前たちは俺が守る。存分に戦え」 「立て、ゲルちゃん! 血も止めるよ、みんな!」 モルヒーローから、麻痺や出血を振り払う光が放たれる。 仲間の壁に護られながら、手足を振るうのが覇界闘士の華。 慧架は、優先目標である白帽子の小人に風の刃を放つ蹴りを叩き込んだ。 後を追って、迷子も同じ小人にダメ押しの蹴り。 「子供を守る『教授』としての顔はここまで。これより先は、残忍な『道化』としての顔を出させてもらおう」 オーウェンは言葉に違わない笑みを口に上らせる。 動くことを禁ずる呪印が右手に浮かびあがる。 有無を言わさぬ顔面パンチによるプリント。 相手に傷を負わせぬ技ながら、ごすっと結構いい音がした。 ● リベリスタ達の動きは明快だった。 事前にどれから倒していくかを示し合わせていた。 それに精密な攻撃を重ね、確実に屠っていく。 どうにか呪印を跳ね除けたピエロがいかに巨体を差し出そうと、護れる数は二体だけ。 更にピエロを翻弄するのを楽しむかのように、オーウェンがその行動を揶揄する。 「庇うのは結構だが、牽制を目的にした攻撃にはどう相対する?」 まさしく。 強烈な弾幕からは、かばわざるをえない。 しかし、その後、喜平が飛び込んでくる。 速度を威力に上乗せして叩きつけられる強大な散弾銃が小人の鋼の体をひしゃげさせる。 機械仕掛けのピエロに心があれば叫びだしたくなっただろう。 精密に打ち込まれる気糸で、本来なら一糸乱れぬ動きをする小人達がてんで勝手に行動し始める。 精密な機械ほど、わずかな誤差に弱い。 「たとえ動かなくする事は出来ずとも、軌道を逸らす位は、な」 オーウェンを排除しようにも、ゲルトがその前に立ちピエロの一撃を阻むのだ。 滅びるべくして、滅びていく。 白帽子の小人が、機械油を撒き散らしながら、火花を散らすのをとめることは出来なかった。 「次は赤帽子!」 「その後、黄。最後が青!」 跳ね回る小人から極細ピアノ線が発射され動きを止められても、とらとフツのどちらかから放たれる光が拘束を解いた。 爆裂する爆弾の痛みは、瞳の福音にティアリアの施す微風が重ねられた。 「今助けます。神秘の力よ、彼の者の傷を癒したまえ」 もはや、残るはピエロのみ。 「子供達にあんな酷い目にあわせようとするなんて許しませんっ」 慧架が再びピエロのだぶだぶの衣装をつかみ、地面に叩きつける。 後はお前だけだ。と、次から次へリベリスタ達は精密にピエロの仮初の命を削っていく。 「出来れば、生け捕りにしたいのだがな。やはり生の情報の方が得るところも大きいだろう」 瞳が呟いたとたん。 ブンチャカチャ、ブンチャカチャ、ブンチャカチャ、チャ、チャ! 場違いな明るい音楽が流れた。 びよん。 両腕がはじけ、万国旗が飛び出した。 両足はねじれねじれねじれ、きゅぽんと抜けて、地面にばたり。まるで魔女の杖のよう。 ごろりと丸々太った胴体が地面に転がる。 そして。 「ふうせんふうせんふうせんはいかがそらのむこうまでいけるふうせんはいかがかっかっかっかー!!」 しゅっぽーんと音がして、ピエロの首が空に飛んだ。 飛んで飛んで飛んで見えなくなるまで飛んで、派アンとはじける音だけがした。 四肢と首を失い、転がる胴体。 オレンジ色に機械油のしましま。 そのずんぐりとしたフォルムは、ハロウィンのかぼちゃを思わせた。 ● リベリスタ達は、気を取り直してピエロと小人との残骸に近づいた。 「笑えない上に物騒な道化ね」 「ああ、悪趣味だ」 喜平の呟きに、瞳も相槌を打つ。 「今回といい、お遊びで行なっているような印象を受けるな」 ゲルトも子供じみた気配に眉根を寄せる。 虎美は周囲を見回した。 (誰か観察してるんじゃないかなー) しかし虎美の勘と超望遠視覚をもってしても、怪しい人影は見当たらなかった。 「フツ君、情報収集お願いね!」 物品からの情報収集のため、フツは残骸に手を触れる。 その様子を見守りながら、モルヒーローぐるみを脱いだそらは、高原のひんやりした空気にほっと一息ついた。 「ゲルちゃん、せっかく高原だし、牛乳かソフトクリーム買ってきてぇ~」 無邪気な物言いに、みなの緊張が解けかけたそのとき。 「ぐっ!?」 フツが口元を押さえ、奇妙にねじれた声を出し、ひざを突いた。 「どうした!?」 「だいじょうぶ!?」 リベリスタ達があらん限りの癒しを施す中、フツは呟き、大きく息を着いて、目を閉じた。 「パレードが……来る……」 ● 赤い風船、白い風船。 真っ黒な空に赤い月。 吸い込まれるように飛んでいく。 パレード。 地面から起き上がり、わさわさ衣のすそを翻し。 「よくしてくれなくちゃ、悪戯するぞ」 巨大なかぼちゃ。 かぼちゃ? オレンジ色に赤のしましま。 ……へたが赤い。 かぼちゃには、へたが五つあるか? いや、ない。 「お馬鹿なピエロ。いまさら怖気つくなんて、大人はだめね。すぐ夢から覚めようとして」 「おかげで急場しのぎの機械仕掛けだ。子供を早く寝かしてやろうって気はないのか。大人の癖に」 口々に巨大などてかぼちゃをののしる子供の声。 ざくり、ざくり。 かぼちゃにつきたてられる万国旗。 パレード。 おかしなねじくれた杖を掲げて、旗を掲げて。 調子はずれのアコーディオン、ぶかぶか吹き鳴らされるゆがんだラッパ、でたらめに打ち鳴らされる太鼓。 パレード。 「よくしてくれなきゃ、悪戯するぞ」 さあ行くぞ。お前らの街に。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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