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リベリスタなら、片手間の簡単なお仕事です。

●誰にでも出来る簡単なお仕事です。
「仕事としては、すごく簡単。だけど、多分すごくつらい」
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、しばらく目を閉じていた。
 これからリベリスタが受ける苦しみを、わずかでもわが身に受けようと天に祈るかのように。
 これからリベリスタを過酷な現場に送り出す自分に罰を請うように。
 やがて、ゆっくり目を開けると、ぺこりと頭を下げた。
「お願い。あなた達にしか頼めない」
 苦しそうに訴える幼女、マジエンジェル。 
 だが、断る。なんて、言えるわけがなかった。

●お仕事は農作業です。
「先日、とあるアザーバイド、識別名アッシド・メイデン討伐案件があって、それは何の支障もなく成功したのだけど……」
 モニターに、美人の姿に変形するスライムが、田んぼを埋め尽くしてリベリスタと交戦中の様子が映し出される。
「映像を見てもらえれば分かるとおり、この辺りの植生が非常に大きな被害を受けた。ここは農地だし、なるたけ早い回復が望まれる」
 それで。と、イヴは言い、モニターに二枚の映像を映し出す。
「これ、今年の七月にアザーバイド・ヒツジアリに荒らされた地点。みんなの仲間に協力してもらって、土壌改良剤をまいた。左がやられた直後。右が現在」
 左、荒地。右、緑もさもさ。
「効力も確認できたし、今回も土壌改良剤を撒くことにしたんだけど」
 モニターに中継の文字。
 ガスマスクをつけたアークの一般職員がガスマスクをつけている。
 カメラに向かって大きなバツ。
「酸の濃度がきつすぎて、リベリスタ以外には無理な環境。改良剤撒きに行ってほしい。ああ、リアカーは使えるから」
 うわ~。ついにこっちが主目的。
「このまま放置できない。すでに周囲の植生に影響が出ている。リベリスタのご家族とか協力者さんの大事な田んぼ。なるべく早く復旧させてあげたい」
 そのためのあなた達と、イヴは言う。 
「天気予報では、これから数日間は快晴。紫外線情報、非常に強い。不快指数は低い。農作業日和」
 熱中症警報どマックスといわれるよりましですけどね。
「ついでに、田んぼ中で異世界の酸が絶賛蒸発中。じきに無害になるみたいだけど、タオルとかで口をふさいでいった方がいいかも」
 ぶっちゃけ、楽しい農作業。見渡す限りの田んぼ全体に土壌改良剤をまき終わるまで帰れません。
 逆に言えば、それさえ済ませてしまえば、万事めでたしめでたしなのだ。
「戦闘にはならない。ばかばかしいと思うのもわかる。ストレスがたまると思う。でも大事な仕事」
 イヴは、もう一度頭を下げた。
「お願い」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:田奈アガサ  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2011年10月06日(木)22:22
 田奈です。
 アフターフォローは大事だね!
 さわやかな秋空と充満するガスの中、アーク特製土壌改良剤蒔いて歩くお仕事です。
 EASYです。つまり「自重しないぜ、ヒャッハー!」です。
『こんな農作業はいやだ』祭りで、かつ『もうこんな仕事いやだー! ここから出せー、俺を番号で呼ぶなー!』祭りです。
 リベリスタさんには、リアカー引っ張ったり、スコップ振り回したり、どろまみれになったり、気持ち悪くなったり、励ましあったり、妄言はいたりしていただきたいと思います。  
 もちろん泥んこレスリングや怪しいガスを「われわれの業界ではご褒美です!」と楽しんでいただいても結構です。
 三高平市内なので一般人の目はありません。
 アークの機密漏えいの心配なし。安心ですね。
 スコップや作業着、麦藁帽子などの装備はアークから支給されています。
 適当にでっち上げてください。
 出来うる限り、拾います。

場所:荒廃した田んぼ
 *荒廃した田んぼです。
 *アッシド・メイデンが残した未知の酸が蒸発して、ガスが発生しています。
  吸い込んだらどうなるか分かりません。ダメージは受けないようです。
 *足元はどろです。どろどろです。

 過酷な状況については、お任せします。
 適当にでっち上げてください。
 可能な限り拾います。
 戦闘? なにそれ。
 最低四人、「土壌改良剤を全部まく」と書いてくれれば問題なしです。 

 毎度のことですが、
 心を折らないように、方策を相談しておくのがいいです。
 修羅場を体験すると、人間、連帯感を増すといいます。
 チームの皆さんと仲良くして下さいね。

 サポートさんは諸般の事情で途中で挫折します。
 適当に理由をでっち上げてください。
 要するに、リタイヤ組の役です。
 印象的に落伍すると、本参加者さんの頑張りが引き立ちます。 
 
 はっちゃけ大歓迎ですが、小さなお友達も読んでいい全年齢対象ゲームですので、田奈の「そういうのいけないと思います」カウンターに抵触した場合、マスタリング対象になります。
 
 それでは、楽しい農作業を。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
クロスイージス
キャプテン・ガガーリン(BNE002315)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クリミナルスタア
祠堂 嚆矢(BNE002835)
インヤンマスター
朝霧 楔(BNE002914)
クリミナルスタア
宮代・久嶺(BNE002940)
マグメイガス
白刃 悟(BNE003017)
■サポート参加者 4人■
ホーリーメイガス
シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
クロスイージス
アウラール・オーバル(BNE001406)
スターサジタリー
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)


「……ふふ、待っていたぞ、この時を」
『黒い幽霊』祠堂 嚆矢(BNE002835、アーク本部前に軽トラで乗り付けて。

「片手間っていうから事務仕事かと思ったら、めっちゃ肉体労働じゃない……!」
『雇われ遊撃少女』宮代・久嶺(BNE002940) 、スコップの使い方を説明されて。


 秋晴れのよいお天気。
 リベリスタ達は、アーク本部前に集合していた。
「クーラーボックスに冷たい飲み物。魔法瓶にホットコーヒー☆ お菓子もいっぱい持ってきたよ!」
『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)は、この仕事のために購入された嚆矢のピカピカ新車である軽トラに荷物を積み込んだ。
『剣華人形』リンシード・フラックス(BNE002684)も、もって来た荷物のチェックに余念はない。
「あとあと……オフトン……」 
『中身はアレな』羽柴 壱也(BNE002639)がお布団六点セットを積み込もうとして、汚れると止められた。

 改良剤まき終えたら、迎えに来るから連絡ください。と、言い置いて、マイクロバスは帰っていく。
 すでに、酸は土壌に吸収され、田んぼは泥田に逆戻り。
 怪しげなガスが、しゅうしゅうと田んぼのあちこちから吹いている。
 一部のリベリスタが既視感を覚える殺伐とした情景です。
「というか……ぶくぶく……泡が出てる……ん……だけど……」
 『暗い日曜日』朝霧 楔(BNE002914)さんったら、それは言わない約束よ。
 土壌改良剤ぶち込めば止まるから。
 うん、多分、きっと。
「これ、夏だったらいくらリベリスタでも死人が出るわよ」
 超猛暑の折、山道踏破100キロウォーク付きで土壌改良剤散布したチームがいたけど、みんな帰ってきたよ。
 大丈夫。死なない。
「最近涼しくなってきたし、ちゃっちゃと終わらせるわよ!」
 久嶺ちゃん、ちょっと待ちなさい。
 リンシードちゃんも、待ちなさい。
 次のお誕生日で合法ロリの仲間入りの『猟奇的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)さんも待ちなさい。
「どうせ汚れるなら。スクール水着しかないけど」
「えぇっと、ちなみに、白スク水です……」
「雨や泥対策に水着。アレな格好だけど気にしちゃダメ」
 えっと。
 今回そういうので鼻血吹いたり、写真撮ったりする不埒な輩はいないみたいだから、安心して作業に当たって下さい。
「あと、念のためガスマスク。これつけただけで見た目の残念感がマッハね。アタシの可憐なお顔が見れなくて残念ね!」
 虚空に向かって言い放つ、久嶺ちゃん。
「紫外線対策にマントとほっかむり、ガス対策にガスマスクで完璧」
 虎美に死角はない。
 ガスマスクスク水。
 新ジャンル?
 ちなみに、ハイティーンに限って色気がないのが世の常。
(わたしがんばっちゃうよ! がんがん……農作業……? ……あれ? 食べるんじゃないんだ……)
『中身はアレな』羽柴 壱也(BNE002639)さんが、『簡単な仕事』を「大食い依頼」と勘違いしていた節があるのは、年頃のお嬢さんだという点も考慮してオフレコでお願いします。
「うおー! 来たれ農作業! 唸れ! わたしの両手えええええ! 農作業、この日のためにご飯とかいっぱい食べてきたんだからー!」
 ついでにジュースとお菓子いっぱい持ち込んでます。
 長靴、作業服、マスク。
 完璧です。なにか問題でも?
「でも……マスクで……大丈夫かしら」
 多めに用意してきたマスク片手に、楔も思案顔。
 だってね。ガスマスクスク水はさておき、自前で持ってきてる人半分以上いるんだよ。
 アークの貸し出し品には、スコップ、シャベル、長靴の中に当たり前のようにガスマスクも混じってる。
 あれなの? スタンダードなの? 流行ってるの? ガスマスク。
 借りるべき? ガスマスク!?
「青い空、光る汗、麦藁帽子……そしてガスマスク☆ まさに農作業って感じだね」
 終、ガスマスク越しに満面の笑み。
 いや、やっぱり。
 それ、なんか違う気がする……。 
「風上に休憩所も設置したよ~♪ シート広げてクーラーボックスと酸素ボンベ☆ いざ! 戦場へ!」
 田んぼのあぜ道を土壌改良剤乗せたリアカー引いて、スコップで撒いて歩くぞ!


「悲劇だ。地球が不純なる物に汚染されている。ワタシは哀しい、このようなことに地球がなっていることが。地球(テラ)の苦痛はワタシが取り除く」
『地球・ビューティフル』キャプテン・ガガーリン(BNE002315) 、自らの道を再認識しつつ。

「あとくじけないと言う心。大事だね!」
 壱也、スコップに振り回されながら。


「なんということだ……!!」
 汚染された土地を前にしてはらはらと涙を流す、宇宙服の男。
 やつの噂で、三高平は持ちきりさ。
 キャプテンは、防毒機能(ガスマスク)、酸素供給機能(酸素ボンベ)で不明瞭となった音声の陰でむせび泣いている。
「地球が泣いている。このような悲劇が存在してはならない……」
 おっちゃんが泣いている。子供はどうしたらいいのかわからない……。
 声かけていいものなの? ほっておいた方が親切なの?
「ワタシは常に最前線で作業を行う。体力のある者が中心となり、改良剤を撒き、耕して混ぜていこう。
体力に劣る者は改良剤の輸送や飲食の補給等を頼もう」
 キャプテンは、率先してスコップを手にした。
 一つ撒いては、地球のため。二つ撒いては地球のため。
 キャプテンのモチベーションは『地球への愛』。
 地球と書いて、テラと読む!
(空飛んで土壌改良剤を撒いてみようかしら)
 久嶺が改良剤の袋を抱えて、空に飛び上がろうとしている。
 が、袋は結構重い。
 久嶺の体重とおんなじくらい重い。
 よたよたっと浮かび上がる。
(下にいる人達にかからないように注意しないと……)
 よろよろっと改良剤が田んぼに撒かれる。
 あ、ぼちゃって中身が塊で落ちた。
「飛ぶの疲れてきたわ……アタシも降りてスコップで混ぜるの手伝おうっと!」
 飛ぶのはともかく、量を調整するの大変だよね。
(僕は知ってる。農家の皆さんが頑張って作物を作ってくれてるってこと。だから守るよ。この田んぼを!)
『気紛れな暴風』白刃 悟(BNE003017)は、前回の簡単な仕事で ちみっと成長した。
 リアカーに土壌改良剤を積んで、麦藁帽子を被り、「これで勝てる!」ガスマスクを装備して、スコップで改良剤を撒いていく。
 ひょろりと背が高く中世的な悟の動きは腰が入ってなくて、微妙にきざっぽい。
 そんな悟をじと目で見ている壱也。
(どろんこまみれた男子、男子、もつれてこけてくんないかなぁ。背中おしてやろーか? ……お、怒られそうだ)
 妄想がガソリンです。
 でっかいスコップ持ってよっこらよっこら動いている壱也の方がもつれてこけそうだが。
 力みすぎて、改良剤ぽーいってどっかいっちゃったー!
「わー!」
 一方その頃。
(そう、ですか…今日は、剣…振れないんですね。いえ、任務と、あれば……しっかり、こなしますよ……)
 今回はどんな強敵が……と、期待で胸を膨らませていたリンシード、表情一つ変えずに、黙々と小さなシャベルで改良剤を田んぼに投げ込んでいく。
 泥まみれになっても、黙々……。
(あぁ……めんどくさくなってきました……戦いたい、剣振り回したい……)
 ……戦闘民族。心の中にはごりマッチョが住んでいる。
(…………せい、やぁ、はぁー)
 スコップを剣のように振り回し、泥ぶちまけびちゃびちゃ。
(………ふふ)
 幼女に夢持つ人には見せられない笑みを浮かべるリンシードの頭に降ってくる泥の雨。
「わー!」
 壱也の悲鳴。
「かかった人ごめんなさーい!」
 じゃぶじゃぶ泥を蹴立てて、謝りに。
 今、どろの上に片栗粉みたいな土壌改良剤撒いて、ぶくぶく化学反応してるとこでね。
 よーするに、足元どろっどろな訳でね。
「う、わわわっ!!ぎゃっ! うぎゃー! 泥んこになったー!!」
 ずってんべったん、どばっちゃん。
 ハニーコムガトリング的に辺りに飛び散る泥。
 リンシード、巻き添え。
「う……身体痛い……苦しい……こんなの……簡単じゃない」
 楔、うめいてます。
「マスク……じゃ効果ない……つらい……わ」
 毒性はないようです。リベリスタなら、生きていけます。
「皆……凄いわ。余裕あるみたい……」
 楔の視線の彼方。
(仕事で得た汗は非常に気持ちが良い、さあ今回も最期までやり遂げるぞ……くくく……)
 嚆矢が会心の笑みを浮かべ、作業に励んでいた。
 ねえ、「最期」ってなに? 「最後」の間違いだよね。そうだと言って!?
「土壌改良剤を撒くのは任せておけ、あぁ……面白くなって来た……」
 また、この人、頭の中に変な汁出てる!
 ラッセル車みたいな勢いで、ざばざばリアカーの中の改良剤を田んぼに撒いていく。
(この仕事、一日で終わらせてやるさ……)
 ワーカホリック、ここに極まれり。
(倒れてしまう? 問題ない、逆に考えるんだ。一度までなら俺達は運命を手繰り寄せ、この仕事の完遂に向かい、修羅の如く戦えるのだという事を!)
 だめだ、この人早く何とかしないと。
「十二時だぞー。お昼休憩だぞー」
 人間時計、『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)がご飯の時間をお知らせします。


「早く休憩が来ないかな。今回こそは沢山オヤツを持ってきたんだよ。でも僕はツンだからさ。『このお菓子食べてよ』なんて簡単には言い出せないよね」
 悟、お昼休憩移動中、自然なきっかけを模索しつつ。

「甘いたまご焼き……とか。一緒に食べれる……ようなの、私も……作ってきた。……食べて」
 楔、お弁当箱を差し出しながら。意を決した悟の出鼻をくじくタイミングで。


 お昼休憩。
 みんなの心はアウラールの「マグロ缶おにぎり」で一つになっていた。
 具は、マグロフレーク。
 あまじょっぱい佃煮。
 昭和のかほりたっぷりの海苔おむすびをほおばりながら、風上なのでさわやかな秋風。
「わーい! ありがとー! あ、お返しにお菓子あげるよ~」
「おにぎり……美味しいわ。こういう作業には……よく合うのね」
 楔も和む昼下がり。
 風下では、まだ白煙が上がっているのだが~……。
 休憩中だもんね。
 気持ちの切り替えがリフレッシュを生むよね!
 シュコー……。
 終、酸素吸入中。
「ワタシもお弁当を……効率良く摂取できるエネルギー食品だよ」
 なにやら誇らしげに出されたキャプテンの『お弁当』。
 チューブだ。
 パッキング食品もあるけど、いまや伝説のチューブ食品がある。
 どうしたらいいの。これ、もらって食べていいの!?
「あ、かわいー!!」
 女の子のかわいいレーダーはおそろしい。
 悟の手作りもる型和三盆を目ざとく見つけた女子は群がった。
 配らなきゃと気負っていたのがまったく無駄。
 かわいくてかじれなーい、かじっちゃったー、おいしー、ごちそーさまー。これ、あげる~。
 お嬢さん方ガールズトークとおばちゃん入ってるアウラールと終の嵐に巻き込まれ、ああ、うん、ああ、うん言ってるうちに。
 気が付いたら、完食御礼。
 悟の目の前には、お地蔵さんのお供えよろしくいろんなおかずやお菓子が置かれ、手にはお茶が握らされていた。


「休憩もしたことですし……ちょっと、本気出しましょうか……」
 リンシード、高機動モード。

「いくぞ! 必殺!! ローリングシャワー!!」
 終、急速回転で田んぼに大穴を開け、みんなに叱られる五秒前。


 人間、ある程度作業に慣れると、創意工夫を始める。
「気分をかえて音楽でも聴きながら。てい☆」
 田んぼに流れるダンサブル・ミュージック。
 きれいに散布されているんだが、無駄にリズミカル。
 というか、疲れないか、その撒き方。
「ソニック土壌改良剤撒きー」
 無表情の娘が、空気を切り裂きつつ土壌改良剤を撒く。
「幻影土壌改良剤撒きー」
 複数のリンシードが土壌改良剤撒いているように見える。
「これがリベリスタ流スタイリッシュ農作業です……」
 秋分を越えた空はやがて暮れなずむ。
 時刻はまさに逢う魔が時。
 リベリスタの体にも疲れがたまり、心にも隙間が出来る時間帯である。
「ふぅ、良い汗をかきました」
『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)、休憩中。
マスクを外して、汗を拭いて一息。
心地よい秋の空気を深呼吸……。
「ふぐぉっ!?」
 げっふんげっふん咳き込んだあと、急に黙り込み、ふっと顔を上げた舞姫。
 14歳にあるまじき、慈愛に満ちた穏やかな笑顔。
「可愛い子。可愛い子。さあ、一つになりましょう」
 辺りに漂うアザーバイド・アッシドメイデンの残留思念にとり憑かれた~!
 泥まみれのでろんでろんになりながら、恍惚と慈愛の表情で、仲間を抱擁。
 これって、一種の阿鼻叫喚。
 ここまでとり憑かれやすいのって才能かもしれないよ。
 その筋の修行してみちゃどうだろう。
「コラ、そこ踏むな?俺のにゃんこがいるんだから!」
 アウラール、あなた疲れてるのよ。
 今朝、危険だからって本体も預けたじゃない。
 猫なんていない。いないのよ。
「あっ、逃げた! ぬこ逃げた! ぬこの足がどろどろに……」
 エアキャットとおっかけっこ。ほほほ、捕まえてごらんなさ~い。
「アレ……お兄ちゃん? ダメ、お兄ちゃん。そいつは悪い魔女なんだよ!」
 虎美は、そりゃもう快調に改良剤を撒いていた。
 しかし、楽しい泥遊びにハイテンション。
 回りが気がついたときには遅かった。
 お兄ちゃんは、ここにはいない。いないのよ。
 現場しっちゃかめっちゃかにする三人はとりあえず強制送還。
「ああ、なんと言うことでしょう。かくなる上は私が皆さんの分まで……大丈夫、ふぃじかるの低さはめんたるでカバーします」
『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)は、涙を流しながら更なる勤労意欲に燃える。
 その両脇を、お迎えががしっとつかんだ。
 にっこり笑顔で、シエルの鼻先に突きつける勤務実績。
 もう72時間勤務状態じゃないですか。
 リベリスタは、体が資本。そんなに働いちゃ、ダメだゾ!
 EP枯れちゃうゾ!
「私はまだ…まだ働けます…本人が言ってるんですから……間違いありません……せめて定時まで働かせ……」
 は~い、どんどん休ませちゃうからね。
 その様子に、まだ勤務時間二十四時間以内のワーカホリックはにやっと笑った。


「って何か足が重いよリアカー沈んでない?」
「しかし、俺はあえてぶっ倒れるまで行く」
「美味しい……ご飯を守るため……にも」
「ちょっとこの泥何とかしてよ燃やす燃やすよフレアバーストするよ!?」
「あれ、なんであんなところにお姉さまが……」
「フィーバー!」
「限界など、自分で決める事ではない……」
「蘇ってくれ、地球(テラ)よ……」
「そうしないと……身体……壊しそうだし」
「ふふ……暑い……咽が乾いた……」
「ああもう暑いし! ガスマスクなんてやってられっかぁははははは!!」
「あぁ、お姉さま、今そちらに向かいますわ! あはは、うふふ……」
「またあの青く美しい姿を見せておくれ。ワタシに、皆に、そして未来の子供達に」
「え、仕事を放棄するな? ならばすぐにでも仕事を終えてまいりますわ! 待ってて、お姉さま!」
「例え地べたを這いずり、次の朝日を拝もうと……土壌改良剤を全部まく……まききってみせる……!!」
「頑張ってください……膝枕いりますか……?」
「あ、おまわりさん呼ばないで」
「しかし……それがどうした……! 俺の脚は、指は、まだ動くぞ、リアカァァァァァァ!」
「土壌改良剤を全部まくまでがんばります……」
「地球が美しくあるためならば」
「ああもう暑いよ。仕事が終わったらプールに飛び込むぞ!」
「団扇で扇ぎますね。お水飲みますか……?」
「そもそも、一般人ここ近寄るといろんな意味で危ないから」
「ついに脱落しない時が……! わたしがんばっちゃうよ!」
「ワタシの命運などいくらでも支払って構わないのだ」
「俺の肉体が例え折れたとしても、俺の心が折れるまではこの戦いに、敗北は無い…!」
「もうこんな過酷な仕事はご褒美です!」


 日付が変わる前に、リベリスタ達は本当に改良剤を予定の田んぼ全てに撒き終えた。
「うふふ、お姉さまー。アタシがんばったわよー……あはっ」
 久嶺はあぜでうつろな笑いを浮かべていた。
 田んぼには、嚆矢があおむけに浮いていた。
 プールと言い張り、悟が田んぼで泳ぐと称してのた打ち回っている。
 動いているのはそんなもので、あとはピクリとも動かない。
 アークに迎えを頼む電話を入れたリンシードは、静かに言った。
「お疲れ様でした……」

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 リベリスタの皆さん、お疲れ様でした。
 何、このワーカホリックの群れ。
 なんでみんな一日で済ませようって考えたの。
 無茶な作業の挙句に、いろいろ削られている方もいますが。
 運命の恩寵の使用は計画的に。
 このご時勢、いつ必要になるかわかんないからね。
 こんなところで削ってちゃダメだよ。

 とにかく、これで来年の三高平の田植えに支障はなくなりました。
 ゆっくり休んで、超過勤務しないように、次のお仕事頑張ってくださいね。