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Dark Hero

●夜行戦隊
「アークレッド!」
「アークブラック!」
「アークグリーン!」
「アークピンク!」
「アークイエロー!」

「「「「「夜行戦隊アークレンジャー!!」」」」」


 カラフルな全身スーツを着、ポーズを取っての決め台詞に会場から一際大きな歓声が上がった。
 数十人はいる子供のうち、一部は立ってヒーロー達に声援を送り、一部の子供は手を叩いて登場を喜ぶ。それを周囲にいる大人達は微笑ましく見守っていた。
 それらの声援に後押しされるかのごとく、五人のヒーロー達は壇上にいる怪人達を次々と叩きのめす。ヒーローショーで最も盛り上がるシーンである。
 程なくしてボコボコにされた怪人達は、捨て台詞を残して舞台袖へと逃げて行った。ヒーロー達の勝利である。
「みんなの応援のお陰で勝利出来た!」
 アークレッドはヒーロー達のリーダーらしく、舞台中央に立ってガッツポーズを決めてみせた。会場からは「アークレッドー!」などという声が上がる。
 そして、ここで女性のアナウンスが流れた。
『今からアークレンジャー達と握手をしたり写真を撮影したりする事が出来ます。ご希望の方は舞台上までお越しください』
 これを目当てに来ている子供も多い。またもや歓声を上げて、我先にと舞台へ駆け寄っていく。もちろんその保護者である親たちも、カメラを持って我が子の可愛らしい姿を写さんと、のそのそ舞台に近付いていった。
「アークレッド、握手してー」
「アークピンク、一緒に写真撮って!」
 そんな声に応え、ヒーロー達は足元に絡みつく子供たちへと手を伸ばし――

 そして、子供たちの喉からは一斉に血が飛沫いた。

 五人のヒーロー達の足元でくずおれる子供たち、何が起こったのか分からず呆然とする周囲の子供、そして親達。

「き、きゃああああああ!!!」

 一瞬遅れて悲鳴と怒号が発せられるも、その時には既にヒーロー達は次の行動を起こしていた。
 近くにいた子供たちの頭を撥ね、親たちの首を絞める。
 先ほどまでは笑顔の溢れていた会場は、恐怖が支配する阿鼻叫喚の空間となった。


●Dark Hero
「夜行戦隊アークレンジャーって知ってる? 私は興味ないんだけど」
 集まったリベリスタ達を前に、『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)はそんな事を言った。何人かのリベリスタ達の顔に疑問符が浮かぶのを見て、イヴは言葉を足す。
「日曜日の朝にやってる戦隊ヒーロー物で、選ばれた五人の戦士たちが平和を脅かす怪人達をやっつける話なんだよ。私は興味ないんだけど」
 なるほど、と幾人かのリベリスタ達は頷いた。よくある子供向けのヒーロー番組という奴である。
 その反応を見たイヴは説明を続けた。
「今日の夕方、とある百貨店の屋上で、アークレンジャーのヒーローショーが開催されるの。内容は、会場に来た子供たちを人質にとった悪い怪人達を、現れたアークレンジャーが退治してくれるっていうストーリー。最後は五人が力を合わせた必殺技・アークトルネードでとどめを刺すんだよ。私は興味ないけど」
「はあ……それで?」
「……でも、そのアークレンジャー達、実はエリューションなの。ショーが終わって写真撮影会になって、子供たちが近付いてきた途端、片っ端から殺してしまうみたい。みんなには、それを止めて欲しいの」
 神妙に頷くリベリスタ。未来ある子供たちのためにも、そのような惨劇は何とかして阻止しないといけないだろう。
「車を手配しておいたから、みんなはそれに乗って百貨店に向かって。すぐに出発すれば、ギリギリショーの始まる頃に到着できると思う」
 ショーは大体十五分程度。ノーフェイス達はショーの終了時に惨殺を行うので、それまでに行動を起こせば止められるだろう、とイヴは言う。
「方法は任せるよ。警察を装って理由をつけてショーを中止させて、それからエリューションの対処をしてもいいし……もしくは……」
 そこまで口にしたイヴは、ちらりと自分の傍らに置いた紙袋へと視線をずらし、それからその紙袋を手にし、すすすとリベリスタ達の前に置いた。
「この中には、アークレンジャーの衣装があるの」
 絶句するリベリスタ達。イヴは常の無感情な、しかしどこか夢見るような口調で、
「みんなの中から五人、この衣装を着て、ショーの途中に乱入するのはどうかなって。『お前たちは偽者のアークレンジャーだ。俺たちこそ本物だ!』って言って出てったら、自然に乱入できそうじゃない? ノーフェイスとは言え、みんなのヒーロー、アークレンジャーを汚すなんて許せないもの。私は特にアークイエローが……」
 そんなことを語っていたイヴだが、周囲にいるリベリスタ達の唖然とした視線に気付き、一つ咳払いをした。
「まあ、私はアークレンジャーに興味ないから。さあ、早く出発して」
「興味ないって言う割には詳し……」
「早く出発して」
 そう、イヴはぴしゃりと言ったのだった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:水境  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2011年04月25日(月)22:51
水境です。
ワクワクドキドキヒーローショーを見に行きませんか。
衣装はアークレンジャーの他、警備員等のものも頼めば用意してくれるようです。


●任務達成条件
 ノーフェイス五体の殲滅

●戦場
 夕方六時、とある百貨店(七階建て)の屋上にある屋外会場です。
 子供たちが三十人くらい、付き添いの大人たちが二十人ほどパイプ椅子に座り、ヒーローショーを鑑賞しています。
 運営スタッフと警備のおじさんが五人ほど近くにいます。
 会場はそれら全員を収容してもまだ広いです。
 ただし、戦う際には周囲にいる人々に流れ弾が当たらないような対処は必要でしょう。

●ノーフェイス
 アークレンジャー(五人):全員フェイズ1

 アークレッド:五人のリーダー格。熱血。男性が変身している。武器は剣。全体的に能力が高い。
 アークブラック:レッドのライバル。クール。男性が変身している。武器は斧。力は一番強い。
 アークグリーン:ムードメーカー。お調子者。男性が変身している。武器はレイピア。素早さは最も高い。
 アークピンク:レッドに憧れている。お姉さん的存在。女性が変身している。武器は杖。力は弱いが、仲間のHPを回復させる力を持つ。後列。
 アークイエロー:戦いが好きではない。妹的存在。女性が変身している。武器は弓。遠距離より射撃、後列のリベリスタも攻撃される可能性がある。後列。


 プレイング次第でシリアスにもギャグにも成り得るでしょう。
 ご参加お待ちしております。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
デュランダル
神楽坂・斬乃(BNE000072)
覇界闘士
ティセ・パルミエ(BNE000151)
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
ソードミラージュ
仁科 孝平(BNE000933)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
ソードミラージュ
ホワン・リン(BNE001978)
■サポート参加者 2人■
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
ホーリーメイガス
襲 ティト(BNE001913)

●Let's go!
 イヴの手配した車は小さめのバスだった。その中で、今回依頼を受けたリベリスタ達は額を突き合わせていた。
 議題は一つ。
「……どうする?」
『イケメンヴァンパイア』御厨・夏栖斗(BNE000004)はイヴから手渡された紙袋を顎でしゃくる。中には夜行戦隊アークレンジャーの衣装。これを着てショーに出て、ノーフェイスを倒して欲しい。イヴは遠まわしながらもそう言っていたのだ。
 夏栖斗の言葉にも応じることなく、仲間達は黙り込んでいた。しばらく車のエンジン音だけが響く沈黙の中、やがてそれを破ったのは『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)だった。
「子供たちの夢、希望、未来。やっぱり奪うなんて許せないよ」
 それは、遠回しに『アークレンジャーの衣装を着てショーに出よう』という事。その言葉に背中を押されたかのように、『宵闇に紛れる狩人』仁科 孝平(BNE000933)は唇を引き結んで頷いた。
「そうですね……。ヒーローは、いつの時代であっても子供たちの憧れ。子供たちの笑顔や夢を守るのは、僕らの行動次第なのではないでしょうか」
 孝平の言葉を継ぐ形で『ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)も瞼を伏せ、口を開く。
「ヒーロー……ちょっと、懐かしい。子供たちのためにも、きっちり、やりたい、ね」
「そうだよ、戦隊モノは子供たちに夢を与えるためにあるんだもんね。今日はあたし達がアークレンジャーになってあげようよ!」
 天乃の言葉にこくこくと頷く『神斬りゼノサイド』神楽坂・斬乃(BNE000072)。それぞれ意気込みを語る仲間達の中で、『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)と『精霊に導かれし者』ホワン・リン(BNE001978)も頷き合った。
「アタシは正義とかそういうのは興味ないけれど、一人の人間として……この悲劇を止めたいわ」
「悪霊倒す。これ密林の常識」
 周囲の仲間達の様子を見てから、『人間失格』紅涙・りりす(BNE001018)は肩をすくめる。
「まあ……、僕はヒーローなんて興味はないけど、年長者だしね。皆がそうするって言うのなら、責務を果たすだけさ」
 元からリベリスタ達の気持ちは一つだった。それを確認した夏栖斗は周囲に視線を走らせ、仲間達の意思を確認した後、しっかりと頷く。
「そうだよな……。よし、それじゃあみんな――」
 夏栖斗はすっと拳を上げる。

「変身だ!」

●バスの中で着替えること=変身
 ショーは終盤へと差し掛かっていた。
「くっ……覚えていろよ、アークレンジャー!」
 アークレンジャーにフルボッコにされた怪人は、台本通りの捨て台詞を残して舞台袖へと去って行く。会場から一際大きな声援が上がった。
 それらの声に応えるかのように、アークレッドは舞台中央に立ち、拳を握り締めて決め台詞を吐こうとした、まさにその時――
「待て!」
 男の声がかかった。会場が一瞬静まり返り、また舞台上のアークレンジャー達も何が起こったか分からないという風に身体を硬直させる。
 その声は客席の裏側から響いてきた。その場にいた全員が振り返ると、そこには……
「そいつらはニセモノだ! ちびっこのみんな、騙されちゃいけない!」
 なんと舞台上のアークレンジャーと全く同じ、全身スーツを纏った五人組!
 その姿はまさしくアークレンジャーそのもの。ざわつく会場。
 しかし、その中央に立つアークレッド(夏栖斗)は格好よくポーズを決めてみせる。
「俺こそが本物だ……! アークレッド!」
「偽者ども……たとえ姿は似せようとも、正義の心は似せられない。アークブラック!」
 と、胸にさらしを巻いて何とかブラックスーツを着た斬乃。
「な、泣いてる子供も笑わせる! アークグリーン!」
 こちらはイヴに決め台詞を教わった孝平だ。少しどもりながらもポーズを決める。
「偽者……さっさと、消えなさい。アーク、ピンク」
 さりげなくレッド(夏栖斗)に寄り添いつつ天乃が、
「良い子のみんなを守ります! アークイエロー!」
 ティセが可愛らしく決め台詞とポーズを取る。
 そろそろショーが終わるものと思っていた観客たちは、当然動揺し騒ぎ出した。舞台上に立つアークレンジャー達も混乱したように動かずにいたが、やがて気を取り直したのか、リベリスタ達に指を突きつけた。
「な、何だ、君達は……!? 私達が偽者とはどういう事だ!」
 ノーフェイス化していても俳優魂までは忘れていないようだ。アドリブでも役になりきっている。その言葉に応え、ブラック(斬乃)が一歩、進み出る。
「ふん、お前達偽者の魂胆などお見通しだ……! 怪人共を追っ払った後、この会場の子供たちを葬り去ろうとしているのだろう」
 その言葉に、あからさまに舞台上のアークレンジャー達は動揺した。彼らはこの後、握手会にて確かに子供たちを殺害しようとしていたのだ。その計画が、突然現れた、本物を名乗るアークレンジャーに知られていれば、さすがに慌てるのだろう。
 舞台上で驚愕し硬直するアークレンジャーを見た観客たちは、こちらも少し驚いたようにざわついた。その隙を逃さぬよう、レッド(夏栖斗)はぐっと拳を握った。
「行くぞ、皆! 正義を見せ付けてやるんだ!」
「おうっ!」
 仲間達の声が呼応し答える。そして五人は舞台上へと駆け寄った。慌てふためきつつも敵レンジャー達はそれを迎え撃つ。
 ブラック(斬乃)は眼前に迫ったアークブラックの前に躍り出ながら、チェーンソーを握り直した。
「見せてやる、修行の成果と新しい力を……行くぞ!」

●Hero Show
 グリーン(孝平)は敵グリーンとレイピアで体力を削り合っていた。ハイスピードで自身の速度を上げた後、目にも止まらぬ速さで攻撃を繰り出していたのだ。
「ちっちっちっ、その速さでは本物の僕には敵わないぜ!」
 そんなグリーンらしい軽口を叩く程度の余裕もある。だが、敵も負けてはいない。グリーン(孝平)の隙を突いて技を繰り出し、致命傷とはならずとも、ちくちくと彼の腕や足に傷を負わせてくる。
 傷口を庇いつつ、彼は周囲に視線を走らせる。少し先の舞台上では、ブラック(斬乃)と敵ブラックがチェーンソーと斧を交錯させ、双方一歩も引かぬ戦いを続けている。
(他の皆は大丈夫でしょうか)
 グリーン(孝平)は相手の隙を伺いつつ周囲を見渡した。

 敵イエローを引き付けるために攻撃を繰り返すイエロー(ティセ)だったが、敵イエローもなかなか上手くその攻撃を避け、イエロー(ティセ)を矢で射抜いてくる。
「くっ……!」
 イエロー(ティセ)は傷口を子供たちには見せないようにして立ち上がり、弓を構える敵イエローへと向き直る。
 そして、手にした玩具の弓を天高く放り投げ、驚く敵イエローに対し、叫ぶ。
「直接伝えないといけないこともあるって気付いたの!」
 言いながら、拳に纏った力を思い切り敵イエローに叩き付けた。
「燃えちゃえ!」
 鈍い音がして、敵イエローの腹にめり込んだイエロー(ティセ)の拳は、イエローらしくない近接攻撃に会場をどよめかせた。

「新必殺技……金縛り。えいっ」
 ピンク(天乃)がギャロッププレイを放つが、敵ピンクはそれを的確にガードすると、お返しとばかりピンク(天乃)に杖を叩きつけてきた。そのダメージに彼女は思わずがくっと膝を付き、それでも首を緩く振って立ち上がる。
「まだまだ…こんな程度じゃ、倒れ、ない」
「ピンク、がんばれー!」
 ピンチになっているピンク(天乃)に向かって、会場から子供の声が飛んだ。その声援に元気付けられるかのように、ピンク(天乃)は再度駆け出す。が、不意に前方に視線を走らせ、彼女は目を見開いた。

「レッドすぺしゃるトンファーきっく!」
 レッド(夏栖斗)は叫んで斬風脚を放つが、しかし敵レッドはそれをガードしダメージを最小限に抑える。そしてカウンター気味に放たれた剣によって、レッド(夏栖斗)は肩口を貫かれる、数歩後退った。
 さすがに敵レッドはリーダーだけあって強い。彼が後退った隙を突いて武器を振り上げた敵レッドは、彼の首を分かとうと振り下ろし――
「……危な、い」
 咄嗟に壁走りでレッド(夏栖斗)の元へ走り寄ったピンク(天乃)がそれを庇った。彼を押しのけ、ピンク(天乃)の背中が袈裟懸けに切り付けられる。
「ピンク!」
 驚き、フェイスマスクの奥で目を見開くレッド(夏栖斗)。仲間達も二人の異変を察知し、戦闘を切り上げて駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか、ピンク」
 グリーン(孝平)の言葉に頷き、彼の手を借りて立ち上がるピンク(天乃)。イエロー(ティセ)はレッド(夏栖斗)に近付く。
「大丈夫?」
「あ、ああ……。俺は平気。それよりピンクを……」
 その言葉にイエロー(ティセ)は唇をかみ締め、そして耐えかねたように言う。
「ピンクのことばっかり気にしちゃ嫌だよ。だって、あたしだって、本当はレッドお兄ちゃんのこと……好きなんだもん」
 その言葉に硬直するレッド(夏栖斗)。あわやヒーロー同士の三角関係勃発か? と言ったその時――

「偽者なんかに苦戦していてどうする、アークレンジャー!」

 会場に凛とした声が響き渡る。もはやこの乱入劇に多少のことでは驚かなくなった観客が、声の方、舞台袖を見、やはり驚く。
 一人は大胆に胸や太ももを晒すデザインの軍服を着た女性。
 もう一人は手斧を両手に持ち、セクシーな服装を着た女性。
 巨乳で悪の大幹部ちっくな女性が現れ、舞台上の二組のアークレンジャー達を睨み付けているのだ。敵レンジャー達はもはや声すら出せず、彼女たちの視線を受け止めている。
 軍服姿の杏は再度声を張り上げた。
「真のアークレンジャーは私たちの敵だ! 偽者なんかに倒されてたまるか!」
「あははは、偽者共め! この悪の組織フィックサーの大幹部『森の魔将』ホワーンが相手だ!」
 その言葉に彼女たちが悪の大幹部だとわかった観客たちは、我を取り戻した。我を取り戻した観客たちの中には――具体的には保護者のお父さんたち――、カメラのフラッシュを炊く姿も見られたが、ホワンが投げキッスで悩殺する。
「お、お前達……フィックサー! なぜここに……!?」
 ブラック(斬乃)の言葉ににやりと笑う杏。そして「言っただろう?」と言わんばかりに敵アークレンジャーを睨み据えた。
「偽者に本物のお前たちが倒されるのが嫌なだけだ……行くぞっ、ホワーン!」
「分かった!」
 そう言って、二人で敵アークレンジャーをバックアタック。眼前のアークレンジャー(リベリスタ)達に集中していた敵レンジャーは不意を突かれる形になった。
「えっ? き、きゃあああああ!!」
 まず杏とホワンが狙ったのは後衛の敵ピンクだ。杏が楽器を構え直し、チェインライトニングを放つ。
「さあ、覚悟しろ――偽レンジャー!」
 瞬く閃光。放たれた光は真っ直ぐに敵ピンクへと向かい、杖を構えたままの彼女を打ち抜く。
「ピンク!」
 仲間の敵レンジャー達が駆け寄ろうとするが、
「おっと。お前らの相手は俺たちだ!」
 レッド(夏栖斗)、ブラック(斬乃)、イエロー(ティセ)、グリーン(孝平)、ピンク(天乃)がその前に立ちはだかった。
「ああっ、本物のアークレンジャーと悪の幹部が手を結んだわ!」
 展開を読み、司会のお姉さんとして待機していた『ライアーディーヴァ』襲 ティト(BNE001913)が声を張り上げる。
「悪霊、死すべし!」
 杏に負けじとホワンもハンドアクスを握り締め、敵ピンクに向かって駆けた。よろめく敵ピンクを助けようと、敵イエローが弓を放った。
 しかし、その矢はホワンを通り過ぎ、客席へと向かう。しまった、とリベリスタ達が目を見開いたその時、
「はあっ!」
 突然、客席に座っていた子供の一人が立ち上がる。驚く観客、そして二組のアークレンジャー。帽子を脱ぎ、その下から現れたのはりりすその人だった。
 りりすは飛んできた矢を腕で受け止め、観客を庇う。と、すぐにその目をふっと伏せ、怒りをこらえた口調で言った。
「戦う術を持たない者に力を振るうか。誇りを忘れた暴力を許す訳にはいかないな。何よりも夜行戦隊を倒すのは、この僕なのだから」
 言いながら矢を引き抜き、ゆっくりと舞台へ向かったりりすは、そこで誰に口を挟ませることなく飛び上がった!
「変身!」
 彼女のアクセスファンタズムが彼女の身体を輝かせ、包み込み、そして赤と黒を基調にした戦闘服を纏わせる。この一瞬の変身劇に観客は大ウケだ。「すごい!」「どうやったの?」「CG?」そんな声が聞こえてくる。
 しかしりりすは気にする事無く眼前に立ち尽くす敵ピンクを幻影剣を放つ。杏からの攻撃を受けていた敵ピンクは、悲鳴を上げてその場に倒れ伏せた。
「くっ……えっ!?」
「精霊十字斬り!」
 敵ピンクに気を取られていた敵イエローは、傍らから接近していたホワンに気付いていなかった。二つのハンドアクスで深手を負わされ、そこをグリーン(孝平)の幻影剣が襲う。杏は手にした楽器を弾き鳴らし、レッド(夏栖斗)と共に敵レッドを打ち砕く。
「私が使うのが六弦だけだと思ったら大間違いだ! 八八弦の調べを聞くが良い!」
「やるな、悪の幹部アン=ズ!」
「僕らのヒーロー アークレンジャー 行け行けアークレンジャー♪」
 天使の歌を『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)が戦隊物主題歌っぽく歌い、その眼前ではピンク(天乃)とイエロー(ティセ)が共闘する。
「たまには、私だって、前に、出る」
「怪我してるんだから無理しないでね、ピンクお姉ちゃん!」
 そして、ブラック(斬乃)のギガクラッシュと、りりすの幻影剣が敵の最後の一人を地へと伏せさせた。
「アーククラッシュ!!」

「やるな……さすがは僕のライバル、アークレンジャー」
 敵レンジャーが全員倒されたことを確認すると、りりすはそれだけ言って、ひらりと舞台裏へと姿を消す。ホワンと杏も後を追うように踵を返した。
「アークレンジャー共。今日は共闘したが、次は貴様らが相手よ! さらば、あはははは」
「次に会う時は敵だ! その首を洗って待っていろ!」
 そして、駆け去って行く悪の大幹部達。アークレンジャー(リベリスタ)は、その背をどこか名残惜しく見送ると、観客席に向かい、レッド(夏栖斗)が拳を握る。
「皆の応援のお陰で勝利出来た! これからもまだまだ戦いは続くだろう……またみんなで応援してくれよ!」
 すると、これまでの緊迫した戦闘に興奮していた観客たちがどっと沸いた。ここでスモーク。ティトとニニギアが炊いてくれたのだ。
 その隙を縫い、全員で舞台上に倒れる敵レンジャーの身体を引きずって舞台裏へと潜り込む。あっけに取られている運営スタッフを説得しているニニギアの横で、リベリスタ達は今回の舞台の成功にハイタッチを交わしたのだった。
「やったな!」

 その日、屋上の拍手と歓声は、なかなか止まなかったと言う。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
   提供

 特務機関アーク


この番組はご覧のスポンサーの提供でお送り致しました。



皆さんの素敵なプレイングを削りたくなくてひたすら書いていたら、最後に1000文字ほど削る羽目になりました。
少しでも楽しんで頂ける事を願いつつ、筆を置こうと思います。