● それは、はじめはごく小規模な低気圧だった。 それが少しずつ気圧を下げていく。 動くこともせず、ずっと小規模のまま。 だが、どんどん気圧が下がっていく。 ごくごく小規模。 超局地的。 だが、確実に、その周辺は激しい風雨に襲われていた。 「だって。あの馬鹿、まだこないんだもん」 ● 「結論としては、昨今の男子の草食化がいけないと思う」 ほほう。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)さんは、肉食系男子がお好みですか。 「そういう話じゃなくて。この地点。ここに急速に発達したごくごく小規模ながら非常に勢力の強い低気圧のE・エレメントが居座っている。識別名『爆弾低気圧小町』」 模式図は、白い連獅子のような髪をした女の子の形をしたエネルギー体。 「ホントなら、この辺りで高気圧と接触して、とっくに消えているはずだったんだけど」 本来の天気図、モニターにドン。 「今年の高気圧は押しが弱くてこの地点になかなか到達できず、刻々と時間が過ぎていく中、どんどん機嫌が悪くなっていく低気圧小町。それに比例して勢力倍増しドン、ますます近づけない悪循環……識別名『ヘタレ高気圧少年』」 ひどいがわかりやすいネーミングありがとう。 なんか温厚そうだけど、ひよひよした陽だまり系男の子型エネルギー体。 「風雨を切り裂きながら進路を確保し、ヘタレを小町のとこまで連れてって。暴風に吹き飛ばされないようにね。雨粒もここまで威力があると銃撃並み。所により真空層が発生しているので、かまいたちに注意。当然雷も落ちる」 自然災害、マジ怖い。 「暴風雨ゾーンに高気圧を連れて行くことになるけど、高気圧を弱らせないようにね。ますますヘタレるから」 かばえとおっしゃいますか。 「接触したら、後はこっちのもの。二人でいちゃいちゃしながら、普通の秋雨前線になるから」 あれ、いちゃいちゃなのかよ。知りたくなかったな。 「発生場所は、市内。よって、人目を気にすることはない。周辺には避難指示発令済み。ガツンとね。ガツンと」 イヴさん、なんか語気荒くないですか? 「好かれてるくせに、男子が女の子を不安にするとかありえないから」 恋する女の子の味方の幼女、マジエンジェル。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月27日(火)21:54 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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● くるこないくるこない……。 待ち合わせはとっくに過ぎてしまった。 ちょっと早めに着いてしまって、そのせいでちょっとだけあたしはつよくなっちゃったけど、でもこんなに待たせることないじゃない? くるこないくるこないくるこない……。 今、目の前を飛んでった傘が八十四個目。 後、いくつ飛んでく傘を数えたら、あなたはここに来てくれるのかしら。 早く来ないと、温帯低気圧なんてパンチの抜けたおばちゃんになっちゃうんだからね!? ● 「やー。台風凄いな! ニュースで見とってもあちこち被害凄いし。そのうち大地震のE・エレメントとかも出るかもなー」 『ビートキャスター』桜咲・珠緒(BNE002928)は、素っ頓狂な声を出す。 ほんの1ブロック先は、暴風と雷の支配する領域だ。 先は見えないが、こちらの方にまで雨水が押し寄せ、恐るべき勢いで排水溝に流れ込んでいく。 このあたりは、まだかろうじて曇ってはいない。 晴れてるけれど、風は冷たい、日差しに気合がこもっていない陽気だ。 「にゃー!低気圧と高気圧って、実はこういう関係で。だから大暴れして台風になってたのにゃっ!? さりあ、今回一つ頭よくなったにゃっ!」 『シューティングスター』加奈氏・さりあ(BNE001388)は、また一つ世界の成り立ちについて学んでしまった。 世界は神秘に満ちている。 そういうケースもあるということだ。 「というわけで、三高平の町に被害を出さない為にも、皆と協力して小町を幸せにするにゃーっ!」 えいえいおーと拳を上げる。 「E・エレメントでも女の子は女の子ですね~。早く想いエレメントを送り届けて安心させてあげるですよ~」 荒れ狂う暴風雨に、知事に乱れる女心を見出したのか、ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)も拳をあげた。 「なかなか…アグレッシブな女の子だね。まあ、この被害はアグレッシブで済まない感じだけど」 『為虎添翼』藍坂 久遠(BNE000269)は、暴風の余波にまくれ上がるパーカーのフードを押さえながら言った。 「わたしたちはエリューションの恋のための踏み台になるのですね、わかります。いえ、それはいいんです。台風を放置すれば大きな被害が出ますから精々励むとしましょう」 『下策士』門真 螢衣(BNE001036)は、レインコートとレインブーツの完全防備。 呪符も強化済みという気合の入れようだ。 「碌に恋愛経験のないわたくしが言うのも何ですけれど。両方に問題があるような気がしてなりませんわ」 『高嶺の鋼鉄令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)は、一刀両断。 「彼女の方への言及はあとにするとして、目下の彼の方は……草食系、というかただのヘタレなんじゃ? 状況は悪化の一途と解ってながら行動を起こさないのは問題ですわ」 しゅーんとヘタレる少年型E・エレメント。 識別名『ヘタレ高気圧少年』の様子に、彩花はきっぱりと言った。 「貴方の身はわたくし達が責任を持って守りますから全力で突き進みなさい! 自分から求めなければ、彼女にどんどん突き離される一方ですわよ?」 彩花が北風なら、『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(BNE001581)はお日様のぬるさである。 「低気圧小町ちゃんの元に連れて行ってあげるね。僕達が壁になるから頑張って」 にこっと笑いかける。 テルテルボーズみたいなレインコートとゴーグルの下のにっこり笑顔。 キュートだろう? 男なんだぜ、こいつ。 「ま、思う所はあれど最後まできっちり送り届けてやらねーとな」 『蒼き炎』葛木 猛(BNE002455)も智夫と同じような格好だ。 「……なあ、お前。これから、会いに行く奴の事どう思ってんだ?」 ただし、突くところは核心一直線だ。 「それ、私も聞きたいと思ってました。小町さんをどう思っているんです?彼女はあなたを待っているんですよ。あなたは会いたいと思っているんですか?」 『錆びない心《ステンレス》』鈴懸 躑躅子(BNE000133)も、話に加わった。 にこやかながらダンコとして少年に質問。 (他の人の恋愛沙汰はどうしてこう楽しいんでしょうね。応援したくなります。うふふ) 「もしも、はっきり答えられない様なら……正直、会わせたくねぇんだよ。解るだろ? 半端な気持ちでぶつかっちゃ相手が可哀想だ」 このまま会わないなら、これから一昼夜荒れ狂ったあと、識別名『爆弾低気圧小町』は消滅する。 そのことを知らない猛ではない。 「……けどよ、はっきり言葉を出せるなら応援してやる。踏ん張れよ? 男だろうが」 それが猛なりの激励の仕方だった。 高気圧少年が語った内容はあまりにもエレメント的概念が多すぎて、人間にはちんぷんかんぷんな内容だったが、とにかくその心意気は猛と躑躅子に伝わった。 (どっちつかずの返答をしようものなら、嵐の中を進みながら説教と思っていたのですが、及第点というところでしょうか。でも、女心についてのレクチャーは必要ですね。進みながらしてあげましょう) 「……同じ男として、デートに遅刻して気まずい気持ちはわからなくもねぇしな」 そこだ。 『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)は、高気圧少年が引っかかっていた部分をぴたりと言い当てた。 輪郭のはっきりしない、ぽやぽやとした色彩のエネルギー体が顔を上げる。 エルヴィンは、イタズラっぽく笑い軽くウインクすると、気さくに肩をぽんっと叩いた。 ふにっとした、頼りない手ごたえ。 かろうじて実体化しているらしい。 「ま、色々悩む気持ちはわかるが、結局やることっつったら1つだろ? 行こうぜ王子さま……ご立腹のお姫さまをキスで黙らせちまえ」 ●ただいま最短攻略中。残り450メートル。 それぞれが自己を高める呪文や動きに精を出す。 いち早く自己のギアを切り替えて、「様子見てきます」と、止める間もなくユーフォリアは嵐の中に翼を広げて飛び込んでいった。 雨の弾丸をまともに浴び、暴風に吹っ飛ばされ、きりもみしながら地面にたたきつけられた。 「くるくるです~」 様式美は先に済ませておきましたと冗談を言うのはともかく、暴風雨の威力はしゃれにならない。 レインコートの下、体の内部を痛めたどす黒いうっ血が体のあちこちに浮かんでいる。 「今ので、ある程度雨と風がやばいときの音は覚えた。あんたの犠牲は無駄にはせぇへん」 絶対音感を持つ玉緒が言った。 『いけるところまでは、最短で突っ切る』 事前の打ち合わせでの方針通り、それぞれ用意した懐中電灯を転倒させると嵐の中に踏み込んでいった。 「そんなら、いくで」 いつでも手の届く誰かをかばえるように。 ごく近くを離れないように歩く。 暴風域に入ったとたん、高気圧少年はびくりと体を震わせたが、すぐに気合を入れなおしたのが気配でわかった。 叩きつけられる雨の弾丸。 まともに暴風と正対する代償は、リベリスタたちの体に刻まれる。 体力の少ないさりあと玉緒の二人は特に消耗が激しく、それぞれが定めていた分水嶺を越えてしまう。 「あかん、迂回して。回復頼むわ」 「回復お願いにゃー!」 エルヴィンの福音召喚の詠唱で、二人とも一息つく。 振り返れば、晴れの領域はまだすぐそこだ。 風の流れを読み、比較的楽そうなルートを模索する。 「ひにゃ~っ」 着慣れない重装甲。さりあの身のこなしはいつもより鈍い。 しかし、その装甲の厚さがさりあを守っている。 「守護結界を張りました。先ほどまでは楽になるはずです」 足を止め、螢衣がさりあに癒しの符を貼る。 「さ、前を追いかけましょう」 ●ただいま迂回中。残り800m。 先程までに比べれば、雨の当たりは豆鉄砲のようだ。 痛くないとはいわないが、続けられている福音で全員がほぼ万全な状態まで回復した。 「いいですか? 女の子というのは好きな男の子の言葉を待っているんです。心の中で想っていたとしても、行動や言葉がないと不安なんですよ」 比較的息もつきやすい中、躑躅子の『レクチャー』が続けられている。 そーだそーだと女子の追随。 エルヴィンはフォローしてやりてえなと思っているのだが、傷ついている仲間がまだいる以上、福音召喚の詠唱をやめるわけにもいかない。 「私たちはあなたを小町さんのところまで送り届けます。彼女に会ったらちゃんとあなたの思いをはっきり! しっかり! 言葉や態度にして伝えてあげてください。わかりましたか?」 口を開けると、雨粒が飛んで来て弱りそうなので、高気圧少年はこくこくと大きく頷いてみせる。 「おまたせ。最短ルートに戻るよ。一気にあのビルの陰まで突っ切る」 前方をライトで照らし、一気に突破するルートを確認してきた智夫と久遠が戻ってきた。 「ボク達が手伝うから、君も前に進む勇気を持って」 久遠がそう言って、高気圧少年に笑って見せた。 今回のチームは、男子の方が比較的癒し系だ。 基本的に女子は女子の味方なので仕方がないとも言える。 「いくよー。前、壁になるからね」 せーの! と、智夫の掛け声で一同は足元を流れる濁流を蹴立てて走った。 風がまともに体に当たる。 エルヴィンが流木にぶつかりバランスを崩して、泥水沈みかけるのを間一髪猛が手を伸ばす。 「気合だ、気合ぃっ!!」 抜群の平衡感覚を生かして、二人分の体重を支えて安定した足場に押し上げる。 「あかん、なんか飛んでくるわ!」 「玉緒さん、しゃがんで下さいな!」 彩花は、玉緒の前に立ち、飛んできた看板を叩き落した。 「まだ余裕ですわよ。このまま、距離を稼ぎましょう」 ●ただいま最短攻略中。残り204m。 風の吹き溜まりだ。 あちこちからの飛来物が、ビルの壁に当たって道路に積み上げられて天然のバリケードを形成している。 玉緒が持参の大きなスコップで足元を掻き、障害物を路肩に寄せた。 金気のものめがけて雷。 辺りに白い閃光。 一瞬ホワイトアウトしたリベリスタたちの思考回路。 それでも、高気圧少年をかばうことは忘れなかった。 「つらくなってきたけど……その分近づいてるって証でもあるしね。もうひと踏ん張りだよ」 久遠はそう言い、終始高気圧少年や周りの仲間をかばい続けて満身創痍の彩花に符を貼り付けようとする。 「私は大丈夫です。自分でどうとでも」 覇界闘士独特の呼吸法で自らを鼓舞する綾香の様子に頷き、久遠は同じくらい傷だらけの智夫に符を貼った。 「あと少しだから頑張って」 智夫は、がくがくとおこりのように震えが止まらない仲間の感電を癒すべく、柔らかな光を放つ。 「ったく、邪魔だっつの、こっちは急いでるってのによ…!」 猛は、飛来物を燃え上がる炎の拳で叩き落した。 ビルとビルの狭間。 まだごくわずかではあるが、雲の切れ間がちらりと見えるようになっていた。 あの下。 あの下で、小町は少年を待っている。 ●ただいま最短攻略中。残り100m。 「そんじゃ、行って来るにゃっ!!」 気合十分、HP満タン。 倒れても起き上がってガッツり進む覚悟の出来ている。 重装甲を盾にしつつ、さりあは嵐の中に突貫した。 足元は濁流と化し、自転車、吹き飛んだ看板、訳のわからないものまで流れてくる。 目玉をえぐる勢いで吹き付ける雨粒。 雷が落ちて前に進むことも出来なくなることだけが怖かった。 いつもの自分とは進める距離がまったく違う、それでも進んだ100メートル。 激しい気圧の変化に出来た真空層にバックリと背中を切り飛ばされて、泥の流れに沈んでも。 さりあは、運命の恩寵を杖にして、前に進むことをやめなかった。 凪。 そこは、無風状態。 上空にはぽっかりと青空。 白いたてがみが美しい少女形エネルギー体。 識別名『爆弾低気圧小町』が、交通標識の上に頬杖をついて座っていた。 待っていたものではなく、人間が現れたことでいらいらっとしているのが手に取るようにわかった。 「高気圧少年はもうそこまできてるにゃっ! 残り100mで会えるにゃっ!」 さりあは、拡声器片手に嵐の中を指差した。 肩越しに、じりじりと進んでくる仲間の姿が見える。 それに守られて、高気圧少年の姿がちらちらと垣間見えていた。 その姿を見るため、小町はぴょこぴょこと飛んだり、首を左右に振ったり、忙しない。 はっと気がついて、振り乱していたたてがみを手ぐしで整え始めたりもしている。 「だから……」 さりあの言うことは耳に入っていないらしい。 そわそわしている。さっきまでぶすったれて座っていたのに。 「少し落ち着くのにゃーっ!」 さりあの拡声器越しの怒鳴り声は、嵐の向こうの仲間にまで届いた。 ●ただいま最短攻略中。残り38m 傷は癒されても、流された血が戻るわけではない。 「傍から見ると高気圧少年がたくさんの女の子といる様に見える気がするけど……大丈夫だよね?」 顔の半分を赤く染めたまま、ふと周りを見回した智夫が言い出し、チームの空気がいったん凍る。 今更そんなこと言われても。 もう、みえてるし。てことは、向こうからも見えてるし。 「……?」 高気圧少年は小首を傾げて、存在根源が違うのでまったく問題にならないというようなことをすごくわかりにくい言い回しで言った。 言葉は通じても意味まで伝わるのは難しい。とりあえず大丈夫だということだけはわかった。 そして。 凪の境界線。 リベリスタが高気圧少年をかばってやれるのは、ここまでだ。 張り詰めた空気。 とりあえず、小町は遅刻に関しては怒ってもいい。 「あんまり追い詰めないであげて。行く気だけはあるみたいだから」 螢衣はさりあの背中に癒しの符を貼るついでに、拡声器を借りて叫んだ。 「そうやってガッついてるから男性も引いてしまうんです! お転婆も程々にして素直になったら如何ですか!?」 ぽんっ! 彩花の言葉に、なにやら薄桃色の何かが小町から飛び出したように見えた気がした。 行った彩花もなんだかテレ気味だ。 (……何故か言っていてわたくし自身の耳も痛い気がします。ええ、ただの気のせいですともっ。) 「女の子に恥をかかせたらだめでしょ」 螢衣はそう言って、高気圧少年の肩を叩いた。 「映像でも見たが可愛いな」 ここまででほとんどの魔力を回復に当て、ほぼ詠唱をとぎれさせることはなかったエルヴィンの喉はかれている。 「お~い、小町! 俺に乗り換えねぇか?」 がらがら声で、交通標識の上の小町に手を振って見せた。 高気圧少年から慌てふためいている気配がする。 先程けろっとしてまったく問題にならないといったくせに、血相を変えてエルヴィンにそんなことを言うなんて 人の感性としてありえないとか何とか意味不明なことをまくし立てた。 エルヴィンにとっては、ちょっとした悪ふざけ。 楽しみなのは少女より少年の言葉だ。 現に、小町は高気圧少年のそんな様子を見て、嬉しいやら恥ずかしいやらでもそんなとこにいるよりすることあるんじゃないの的もやもやを発している。 「……だとよ?」 と、エルヴィンはにやりと笑みを浮かべた。 躑躅子は、お邪魔にならないようにと、少年がちゃんとするかどうか見守っている。 高気圧少年は、小町に向かって走っていく。 小町は交通標識から飛び降りた。 それをどうにか受け止めることに成功した高気圧少年がよろけた。 びくっと目に見えて方を跳ねさせる躑躅子。 それでもどうにか体勢を立て直し、二つのエネルギー体は額を付き合わせ、ようやく互いを抱きしめあった。 「これからは自力で頑張るようにするんだよ」 安堵交じりの久遠の言葉は、ラブラブの二体に届いただろうか。 「ったく、やる時はやるじゃねぇかよ」 リベリスタの見守る中、エネルギー体は交じり合い、互いに影響を及ぼし、別のエネルギー体に姿を変え、上空に消えていった。 風が、変わった。 嵐が、止まった。 吹きすさんでいた風がやみ、ぽっかり開いていた青空が徐々に薄い雲に覆われていく。 そして、薄日が差す中、優しい雨が、全てを洗い流していく。 「水も滴るいい女といい男が揃っちゃいました~」 ユーフォリアが笑う。 確かに皆ずぶぬれだし、レインコートはかまいたちでざぎざぎで、雷で焼き焦げ、体は雨粒のせいでところどころ青あざだらけだ。 薄曇のち暴風雨のち天気雨。 雨合羽を着たキューピッド達は、キラキラした陽光を浴び、痛む体を互いに癒しあいながら、もと来た道を戻っていった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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