「破ッ」 裂帛の気合と共に刃が翻り、男を狙った高圧の水流が切り裂かれる。 だが攻撃を防がれた蛇神に動揺は無い。先の攻撃は決まれば儲け物。 そして決まらねば……、放たれた水流、それ自体を目隠しに、蛇神の本当の狙い、彼の僕の水姫達が男の背後に水中から回り込んで現れる。 昔々、ある山の麓に村があった。 そして村の傍を流れる川の上流、山にある湖には大きな大きな蛇が住み、度々水を操り川を氾濫させて村人達を大層苦しめた。 村人達は其の大蛇を祟り神と恐れ、生贄を捧げて機嫌を伺いながら暮らしておった。 ある時、一人の男が村を訪れた。男は生贄にされる娘に同情し、祟り神を鎮める為に山へと入った。 其れから川は真っ黒に染まって荒れ狂い、村人達は男が祟り神を怒らせてしまったのだと大層恐れ戦いた。 だが数日後、何事も無かったの様に川は静まり、山から降りてきた男は村人達にこう言うた。 「祟り神は申し出に応じた。もう生贄は必要ない。この約束は私と、私の子孫達がこの地に在る限り破られない」 ……と。 そして男は生贄になる筈だった娘を娶り、山の麓に祟り神を蛇神として祭る神社を建てた。 以来、かの地で川が荒れる事は無く蛇神と人間達の約束は今も続いていると言う……。 それがこの地に伝わる昔話。 斬。 閃光が走り、男を狙った水姫達が切り裂かれて水へと還る。 後に光しか残さぬ神速の剣技。 必殺を予感していた蛇神は想定外の事態に思わず硬直し、そして其の隙を見逃さなかった男は水面を走り抜け……、一気に蛇神の首を切り落とす。 「鎮まれ蛇神。我等明鏡(あかがみ)は今もこの地に在る」 ● 「昔話には少しだけ嘘があるわ。蛇神は神様じゃなくてエリューション、E・エレメント。そして男はリベリスタ」 昔話を終えた『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)は、リベリスタ達を見回して頷く。 「勿論、リベリスタはエリューションに話し合いを求めたのではなく退治したわ。でもその湖は毎年増水期に力を蓄えてこの時期に同質のエリューションを生み出す特殊な性質を持ってたの」 故に、そのリベリスタは問題の地に住み着き、子孫に渡って毎年現れるエリューションを退治し続ける事を選択した。 それが昔話では伏せられていた真実。 「でも今年は一つ問題があって、そのリベリスタの一族……明鏡の現当主が腰痛で寝込んでしまっているの。そして本来なら替わりを努めるべき跡取りはまだ13歳で実力不足」 加えて今年は記録的な大雨等も重なって現れるエリューションの力も大きな物になる事が予想される。 「そこで明鏡の当主は今年の神鎮めの儀……簡単に言えばエリューションの退治をアークに依頼したわ」 資料 1:蛇神 巨大な蛇の姿をしたE・エレメント。フェーズは2。今年のサイズは体調10mを越えるとの予想。 水中を自在に動き、水を操る(攻撃手段としては水流砲等、水面を荒らす事も出来ます)。 また耐久度と近接戦闘性能にも優れているらしい。 2:水姫 過去に生贄に捧げられた娘達の姿を模したE・エレメント。蛇神の僕として現れる。フェーズは1~2。過去に現れた最大数は5。 今年はフェーズ2が3体以上現れると予想される。 水中を自在に動き、水を操り(水の剣、水の弾丸)、尚且つ湖の上なら飛行が可能。大抵の場合は湖面を低空飛行しているらしい。 同じフェーズ2だが、性能は蛇神に比べると劣る。特に耐久度は蛇神に比べて低い。 「……一応言っておくと、これはカレイドスコープが捉えた情報じゃなくて、明鏡から提供されたもの」 つまりは経験則による予想で確実な物ではない。今回の事件はカレイドスコープが感知した物ではないのだ。 「今年だけが例外って事も考えにくいから、別に過度に慎重になる必要は無いけど……、でも油断だけはしないで」 追加資料 1:水蜘蛛草履 明鏡家からリベリスタ達に人数分『貸し出される』予定のアーティファクト。見た目は普通の草履。 水面に立って行動する事が出来る。ただしこけたら普通に沈む。 2:明鏡・煉夜 明鏡家の跡取り。13歳。 ステータス的にはソードミラージュlv1。リベリスタ達が希望すれば同行する。 家の使命を頭では判っているが、本音では東京等の都会に出て行く事に憧れている。 使命も、世界の崩壊が~……とかは考えた事も無く、地元に人が住めなくならないようには必要かな程度。正直皆で引っ越せたらそれが一番だと考えている。 3:神鎮めの儀 期間は1週間設けられており、其の間は明鏡以外の周囲に住む人間は山や川に近寄らない。 儀式の期間が過ぎれば地元の祭りが開催される。 4:蛇神の湖 山にある湖。蛇神や水姫は基本的に湖から出てこない。湖に踏み込めば襲ってくる。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月24日(土)23:34 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 唸りを上げ、『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)の九七式自動砲から大量の弾丸が吐き出されていく。 スタンスを広く取って咄嗟の移動よりも攻撃を重視した姿勢をとる彼女は、小さな身体にも拘らず巨大な重火器の反動を見事に殺しきっており、一個の砲台として機能している。 モニカの冗談じみた威力の砲撃に併せる様に、『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)と『捻くれ巫女』土森 美峰(BNE002404)の二人が、練り上げた呪力を解放して氷の雨を喚ぶ。 「爬虫類らしく、大人しく冬眠してろ」 Sっ気たっぷりに毒舌を吐くユーヌ。 放たれる前は敵が水で出来ている事もあって効果の程が心配された陰陽・氷雨だが、2重に放たれた氷雨は其の効果を何ら減じる事無く、蛇神に、水姫達に確実にダメージを積み重ね、中でも特に大きく効果の出た水姫の一人はその体表の水が凍りつき、その動きを封じられてしまう。 そして其の凍りついた水姫を、借り受けたアーティファクトの力によって水面を駆けた前衛の一人、戊 シンゲン(BNE002848)のへビースマッシュが粉々に打ち砕く。 「これから行うのは非情な殺し合い、でもあなたは見るだけ。その目に焼き付けなさい、世界の真実を」 明鏡・煉夜の脳裏に『億千万の棘茨荊』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)の言葉が蘇る。 戦いを見守る煉夜にとって其の言葉と光景は、自分を縛る価値観を打ち砕く威力を秘めていた。 無論明鏡の家にも先ずは水姫を討てと伝えられている。だが数の不利故にそうせざる得ない明鏡と、数を活かした連携で各個撃破を図るリベリスタ達とでは其の意味合いは大きく異なる。 こんな戦いが在るのなら、こんな戦いを出来る人達が居るのなら、明鏡に、そして自分の存在に、果たして意味はあるのだろうか。 噂で聞いた限りでは、リベリスタ達がやって来た三高平市には、彼等と同じ能力者が何百人と居ると言うのに。 神事等と取り繕ってはみても、彼等に言わせれば何時もと同じ、非情な殺し合いに過ぎないのだから。 煉夜が目を奪われたのは、世界の真実や戦いの本質等では無く、発露する力だ。 其処に混じっていれば、リベリスタ達の力の出所が安易な物ではない事に、抱えた想いに、触れる事が出来たかも知れない。 だが眼前で起きる戦いはまるで迫力のありすぎる映画の様で……多感な影響され易い少年の価値観を津波の様に押し流していく。 ● 「後継問題、ですか」 身動きの取れぬ当主との話し合いを終え、『蛇巫の血統』三輪 大和(BNE002273)は暮れ掛かる田舎の夕陽を眺めて呟く。 神事としての作法を守る為にと、話し合いを申し出た大和に対し、当主は様々な事を話してくれた。 同じく蛇神を祭る家の者であると言う親近感や、蛇神を討つ事に対して当然持つであろう複雑な感情を抑えて協力してくれる事に対しての好感が、当主の口の滑りを良くしたのだろう。 其の当主の話の中で彼女が引っ掛かりを覚えたのは、跡取である煉夜に関しての事柄だった。 古い家、大きな家ならば当然の様に後継問題は持ち上がる。そして当主である事の条件がリベリスタである事が付け加わるなら、それは猶更だろう。 跡取である煉夜は実は次男だ。恥ずかしながら、と当主が明かすには、煉夜には一人の兄が居た。 優しく、鍛錬にも真面目で、どんな事でもこなして、弟からも慕われていた長男は、しかし、革醒を果たす事だけは出来なかった。 代わりに力を得る事となったのは、弟である煉夜。煉夜が跡取と決まった夜に、長男は其の行方を晦ませてしまう。 これが煉夜が未だ若すぎる理由、そして家の使命に対しての態度に揺らぎを持つ理由でもあるのだろう。 だが此れは未だ幸運な事例である筈なのだ。何故なら、この手の家で、革醒をしてもフェイトを得れなかった者の処断が当主の役割で無い筈がないのだから……。 ● ちらりと大和はこの戦いを見守る煉夜に視線を走らせ、迫り来る水姫の水剣を体を捻って回避し、 「鎮まれ蛇神。我等は……」 当主より教えられた、代理が立てられた際の神事の文言を口にしながら大和は黒いオーラを放って水姫を討ちぬく。 大和にこの戦いを見守る煉夜の胸中を察する術は無く、また其の胸中がどうであれ口を出す心算もない。ただこの戦いを見て何かを感じてくれればそれで良い。 全体攻撃を主軸に比較的優勢に戦いを進めたリベリスタ達ではあったが、勿論蛇神側もただ黙ってやられる程に脆くは無い。 今回現れた水姫の数は想定を少し上回る4匹。既に一匹はリベリスタ達の手によって落とされたとは言え、其処に蛇神を加われば敵の戦力はまだまだ大きく、更に借り受けたアーティファクトの力で水面を移動する事が可能になっているとは言え、慣れぬ足場の不安は思い切った動きをどうしても躊躇させてしまう。 そして、 「かはっ……」 敵からの攻撃を引き受ける為に最前線に出ていたシンゲンが水姫達からの集中攻撃に拠って体力を削られ、足を鈍らせたところを蛇神の水流砲をまともに受けて湖中へと沈む。 慌ててユーヌが回収に向かい、空からシンゲンを引っ張り上げようとするが、大きなダメージで意識を失って水没してしまった人間を宙から引き上げる事は意外に難事だ。 手間取るユーヌに出来た隙を、当然蛇神達が見逃す事はなかったが、仲間達のフォローにと両手持ちの大盾を構えた『通りすがりの女子大生』レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)が前に躍り出、防御に専念する事で窮地が通り過ぎる時間を稼ぐ。 打ち込まれる水姫達の水の弾丸は正面から盾で受け止め弾き、水剣に対しては傾けた盾の縁で巧みに逸らす事で相手の体勢をも崩す熟練の盾捌き。打ち込まれた水流砲はレナーテの盾の防御を突破したが、それでも事前に使用していたハイディフェンサーや、ユーヌからの援護である守護結界で高められた防御力が被害を最小限に留めている。無論最小限とは言えどもまともに受けた場合との比較の話で、実際にはそれなりのダメージを受けているが、それもこれ以上のダメージを受けさえしなければ、いずれはオートキュアーで付与された回復力が癒し切ってくれるだろう。 湖面が陽光に煌めく快晴の中、リベリスタとエリューションの戦いは続く。 再び吹き荒れるモニカのハニーコムガトリングに、美峰の放つ氷雨。 最初に落とせた水姫は、恐らく一番成長度合いの低い個体だったのだろう。残った水姫達は積み重なるダメージにも存外に粘っている。 けれども、ユーヌが傷癒術を用いて薬箱、もとい回復役にまわる事で、其の身体を盾に前線を支え続けるレナーテをフォローし、其の合間を縫う様に烏頭森のバウンティショットが特に損害の大きい水姫一体を集中して狙っていく。 味方の損害が大きければ美峰も傷癒術を用いて回復にまわれる事を考えれば、リベリスタ達にはまだ比較的余裕があると言えるだろう。 複数対複数と言う息切れし易い状況において、リベリスタ達が消耗を気にせず戦い続ける事が可能なのには理由がある。 集ったリベリスタ達の中で唯一の男性、『生還者』酒呑 雷慈慟(BNE002371)の存在がその理由だ。 とは言え、彼の働きはあまり目立ってはいない。時折ピンポイントでの攻撃を混ぜているとは言え、彼が真価を発揮したのは仲間達の精神力の回復、意識を同調する事で自らの力を仲間へと注ぎ込むインスタントチャージだからだ。 ハーレム状態の中で女の子と意識を同調させて其の力を十全に発揮させる……。まるでギャルゲーの主人公の様な立ち位置だが、彼が居る限り彼女達は歯車としてまわり続ける事が可能なのだ。 一見すれば互角にも見えた戦況。 だが消耗し続ける一方のエリューション達と、乾電池の乗っかった回復手段を所持するリベリスタ達とでは、我慢比べでどちらが先に根を上げるかは火を見るよりも明らかだ。 やがて、また一つ水姫が墜ちる。 烏頭森のバウンティショット、大和のブラックジャックによる集中攻撃が、水姫の頭部を打ち砕き水へと返す。 そして戦況は新たな局面を迎える。 水姫達の後ろに構えて水流砲を放つだけだった蛇神が水中に潜行し、縦横無尽にリベリスタ達に近接攻撃を加え始めたのだ。 けれど敵戦力の減少で動き始めようとしていたのはリベリスタ達も同様である。残った2匹の水姫の抑えに雷慈慟が走り、ピンポイントを用いて其の注意を自分に集め、他の仲間達が蛇神に集中出来る様にと数の上でも不利な戦いに身を投じた。 ● 水姫達と切り離されたとは言え、近接戦闘にシフトした蛇神の厄介さは筆舌に尽くしがたい。 特殊な能力等使わずとも、その10mを越える巨体が暴れるだけで湖面は荒れ、大きく揺らぐ。 そして其の巨体が生み出す破壊力は、推して知るべしだ。体当たりを食らう程度なら未だ良いが、牙や絡み付きを受けてしまえばただの一度の攻撃が致命傷となりかねない。 更なる不安要素としては、雷慈慟が水姫の攻撃に耐えている間に蛇神を倒し切らねばならないと言う時間制限も付いている。本来ならば水姫の抑えは雷慈慟一人では無くシンゲンと共に行う予定だったのだが……、不確定要素の多くなる戦闘において、全てが予定通りに運ぶ訳もないし、代わりの抑えを戦闘中に決める事も難しい。 けれどリベリスタ達は迷いを見せず、襲い掛かる巨体を相手に苦戦しながらも渡り合う。 迷えば、悩めば、躊躇えば、其の分だけ戦局は悪化し、仲間を危険に晒す事を今までの経験で身を持って知っているからだ。 水中から伸びた蛇神の鎌首を、必死に盾で逸らすレナーテ。正面から受け止める愚は冒さないが、それでも其の威力は彼女の腕を軋ませる。 レナーテを逸れた蛇神の鎌首は、彼女の脇の湖面に突っ込み、水面を大きく揺るがせた。 うねる蛇神の背中に、湖面ごと薙ぎ払わんとばかりにモニカのハニーコムガトリングが叩き込まれていく。 レナーテの負ったダメージはユーヌに代わって回復役となった美峰の傷癒術が素早く癒したが、それでもレナーテの表情は厳しいままだ。 蛇神が暴れ、揺れる湖面は踏ん張りが利かず、水中から不意に出てくる蛇神を捉える事も難しい。 其の巨体故に体が完全に水中に隠れてしまう事が少ないので攻撃する分には問題ないが、一旦防御に回れば何処から出て来るのか判らないというのは、特に盾役にとっては大きなプレッシャーとなっている。 だが必死に時を稼ぐ彼女の背後で、2つの牙が研ぎ続けられていた。ユーヌと大和、集中に拠り研ぎ澄まされていく状態異常付与攻撃と言う名の牙が。 「女性の前で恥はかきたく無いものだ……」 苦々しげに吐き捨て、雷慈慟は崩れ落ちそうになった膝を支えて踏み止まった。 倒れ掛けた事を恥と称する事から判断すれば、彼は自尊心の高いタイプなのだろう。燃え上がる様な熱情を込めた瞳で水姫達を睨みつける雷慈慟。だが彼一人でフェーズ2を2匹引き付け続けることが困難である事実に変りはない。元々どちらかと言えば雷慈慟の適正は後衛寄りなのだ。 今回は運命を、フェイトを対価とする事で踏み止まれたが、2度目はないだろう。 けれど、それでも、防御の構えを取る彼は諦めない。 蛇神が倒れるまでの時間を稼ぎ、そして生きて帰る。其れが『生還者』たる彼の役割なのだから。 ● 放たれたのは、研ぎ澄まされた2つの牙。ユーヌの呪印封縛と大和のギャロッププレイ。 元々蛇神は巨体に見合った耐久力を誇るが、回避能力は然程高くは無い。蛇神が鈍いと言う訳ではないのだが、動きは素早くとも其の巨体故に攻撃を避け切るだけの大きな動きには時間が掛かる。 全身に絡み付いた気の糸が蛇神の動きを縛り、幾重にも展開された呪印が更に激しく蛇神を呪縛する。 「お似合いだな? へばり付いてるのが」 会心の手応えに唇を歪ませ、ユーヌの毒舌が飛ぶ。流れず、留まれば水とてやがては腐る。 「鬱陶しい腐臭をまき散らすな」 ユーヌの言葉が向けられたのは、毎年しつこく現れ続ける蛇神に対してか、それとも因習に囚われた明鏡に対してか。 千載一遇の好機に、回復役であった美峰さえもが攻撃に回る。陰陽・刀儀、道力を纏った剣の刀儀陣により命中力を高められた式符・鴉が、水で出来た蛇神の身体を貫く。 更に烏頭森が怒りに開いた蛇神のその口を狙い、 「狙うは一点……シュート!」 フィンガーバレットよりバウンティショットを叩き込む。 そして湖面に反射した陽光がぎらりとモニカが構えた九七式自動砲の黒い銃身をぎらつかせ、……湖に、山に、川に、蛇神の声なき断末魔が響き渡る。 ● 右手に綿飴、左手にりんご飴を持ち、どちらの手で釣銭を受け取るべきかを表情を変えずに悩んでいるモニカ。 銀髪のメイド姿は田舎の祭りでは大層目立つが、明鏡の招いた客人と言う事で納得はされているようだ。 賑やかな囃子の音に、祭りを愉しむ人々の表情は活気に溢れている。 行き交う彼等は当然神事の真相など知る由も無い。けれど、リベリスタ達が守りえた物、勝ち得た物。神秘に脅かされぬ穏やかなひと時。 根本的な解決が可能ならばと考えたリベリスタも居たが、重傷者が二人、……雷慈慟は見事に蛇神が倒れるまで耐え抜いた物の、積み重なったダメージに敵の消滅を見届けてから倒れてしまったのだ。 当主が言うには確かに伝承には山中を巡る洞窟が湖の下にまで繋がっていると言うのだが、重傷者2人が出た為に、探索は無謀だろうと中止になった。 解き明かせなかった謎。戦闘を見た後から様子のおかしい明鏡・煉夜。 心残りは多々あるが、それでも傷付いた身を起こしてシンゲンが伝えた、 「不安であれば我らを呼べ、守るべきものがあらばいつでも参ろう」 其の言葉だけは煉夜の心に残ったと信じて。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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