●忘れられた山 都市部からかなりの距離を置いたところにある、とある大きな山。 かつては石炭が取れるということで、大きな炭鉱として炭鉱街を作るに至った母なる山だ。 しかし、石炭が掘れなくなってきたことに加えて、石炭の価値の下降によって、時代からとり残されことが、この母なる山の運命を変えた。 様々な要因によって街は廃れ、炭鉱は廃坑となってしまった。時の流れというものは、時としてそういうものを作り出す。 だから、そこに新たなエリューションが現れたのに誰も気付かなかった。無理もない、今は誰も寄り付かない場所なのだから。 現れたのは、エリューション・エレメント。土しかなくなった炭鉱から生まれたそれの体を構成するのは、もちろん土の塊である。 生まれたばかりのエリューション・エレメントは誰もいない炭鉱を歩き回り、やがて知った。ここには何の気配もない。ここにあるのは、発展の残滓だけ。 ……ここに何もないと悟ったエリューション・エレメントは身を揺らし、声を張り上げた。言葉にならない、叫びのような声を。 言葉ではない。だから、その正確な気持を知ることはできない。だけれども、声を張り上げる理由は推し量ることはできる。 自分は、ここにいるぞ。 自分を、見つけてくれ。 ――これはあくまで、推測だけれども。この忘れられた山の化身は、そう言っているのではないだろうかと思える。 忘れられた山が、震えていた。 ●土の巨人 アーク本部。ブリーフィングルームに集まったリベリスタたちは、その様子をモニターで見ていた。震えている山……。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)も、それを見て震えていた。彼女の小さなな体、小さな指がその振動によって不安をリベリスタたちに伝える。 「これが、今回の敵」 しかし、真白イヴは何事もないかのように操作パネルをタッチし、モニターの画面を変える。そこにあるのは、不安だろうか。 そこに映されたのは、土の塊が4mほどの人形になったもの。土のエリューション・エレメントだ。巨体に大きな腕と足……どこからどう見てもパワー系だ、とそれを見たリベリスタたちは思う。 「気をつけて。土と言っても硬い」 どのくらい硬いのかといえば、今のリベリスタたちの集中攻撃を立て続けに受けても立っているぐらい、と真白イヴは補足する。 「その硬い体を叩きつける攻撃をしてくる。スピードは遅いけど、侮れない」 どうやら、見た目通り動きは遅いようだ。とはいえ、真白イヴの言うとおり侮れない相手であることは間違いないだろう。 「硬くて強くて遅いって、ところだな」 ひとりのリベリスタが総括する。まるで山そのものようだ、とリベリスタたちの頭にそのイメージが思い浮かぶ。 「それに加えて、このエリューション・エレメントはこの炭鉱から出ようとしない。戦いは、この炭鉱の中で行われる」 うへぇ、とリベリスタのひとりが漏らす。忘れられた炭鉱の中である、その環境が劣悪であることは、容易に想像できた。ただの平原や街とは、また違った戦いとなるだろう。 「炭鉱の中は狭い。戦闘に支障が出るはず」 続いてモニターに映し出されたのは炭鉱内の様子。人が8人通れるほどの幅はあるものの、上下左右の余裕はない。敵の攻撃を回避するのも一苦労だろう。それは敵も同じだろうが、相手の硬さを考えると……。 「相手が得意とする地形で戦わなければならないってことだな」 その言葉に真白イヴは頷く。未来を演算する『万華鏡』システムが示した最適な戦いのシチュエーションも、この炭鉱内での戦いのようだ。エリューション・エレメントをおびき寄せるといったことはできまい。 「そういえばよ……」 ふと、ひとりのリベリスタが気付いた。この山から出られないエリューション・エレメントはそれほど危険でもないのでは? その気持ちを読み取ったかのように、真白イヴは首を振って補足する。 「このエリューション・エレメントは未だ成長を続けている。このままだと、山そのものと融合してしまう」 それこそ、圧倒的なスケールだ。止めるのにも一苦労だろう。 「……そんな悲しい山にさせない為にも、お願いする」 真白イヴはその言葉と共に視線によって、リベリスタたちに伝える。悲しい巨人を止められるのは、キミたちしかいないと。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年04月22日(金)23:24 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●鳴動する存在 かつて栄華を誇り、町を作り出した山と鉱山。今は廃坑となったそこで待ち受けるというエリューション・エレメント――山の化身とも言うべき敵を倒すため、リベリスタたちはその山の前に集合した。その手には地図。 実際に山を見たリベリスタたちは、山が震えているようにも錯覚した。それは、中で山の化身が動いているからか。それとも、この山自身が悲しんでいるからか。 「炭鉱の中で静かにしていれば別に……なんて思ったけれど。山と融合して大きくなる、となれば放っておけないわ」 すいかな胸元に手を添えながら、『サイバー団地妻』深町・由利子(BNE000103)は鳴動する山をゆっくりと見上げる。炭鉱として使われていただけあって、あちこちに人の手が加えられた、おもちゃ箱のような山になっている。 「寂しい、のかしら」 手を頬に持って行きながら、由利子は思う。この無意識の色気をばら蒔いている属性:団地妻はこの地に現れた土を属性とするエリューション・エレメントを心配しているのだ。敵だと言っても、確かにこんな寂しいところに1体で何かを待っている相手。……その心情を察せずには居られなかった。 「色々な意味でやりにくい相手よね。成長さえしてなければ放っておいてやりたい相手なんだけど……。炭鉱に拘るのは人の想いの残滓、だったりして、ね」 同じように、その心情を察するのは来栖・小夜香(BNE000038)だ。長い黒髪を触って、坑道付近の空気を感じる。少し重い、この空気の中。彼女は深い情を込めた祈りの言葉を心で呟く。世話がやけるわね、と。 「忘れられると言う事はとても悲しい事。ならば、俺だけは忘れないでおいてやる!」 山を忘れぬようにと、山の上を跳びまわって花や野菜などを探しながら『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)は決意する。山の恵、美しい山さえあれば再びこの地が忘れられることはないだろう、という観測である。 そう。彼らはこれから戦う相手に対して同情に似た、しかし異なる感情を抱いていた。それはきっと、できるならば敵を救いたかったという深い情け。その情け故に、きっちりと倒して記憶の中に留めておいてやろう。という強い意志を持っている。 「うん、山ばわしはすいとーけん、人を傷つける事ばあったら悲しか。そげんなる前に止めてやらなかならんばい」 のほほんと、しかし同時にその意志を感じさせる言葉は神音・武雷(BNE002221)のものだったが、それは彼らリベリスタたちの心情を表わしているかのようであった。 「忘れられた故の孤独と言う奴か? 何にせよ、デカくなられる前に始末をつけるか」 ところでよ……、と『悪夢の忘れ物』ランディ・益母(BNE001403)はそんな決意の言葉にひとつ付け足す。地図上に書かれているのは、炭鉱を大まかに移動する為の、トロッコと線路。どうすんの、と表情で仲間に尋ねる。 「探索の助けになるわよね。使えるものは使っていきましょう」 幸いにも、その機能は生きていた。……かつての栄光の残滓であろうとも、それは確かにリベリスタたちの役に立つだろう。 ●慎重に、かつ大胆に トロッコへ乗り込み、探索を始めたリベリスタたちは予定よりも早く地図のチェックを進めていた。この地に残されていたトロッコの威力は高く、リベリスタたちはスピードに乗りながら冒険気分で山を攻略できた。 「迷宮、怪物……。とくれば財宝に続くべきだと……。無いですか、そうですか。ならば、世界の明日の為にがーんばーるぞー」 走っているトロッコから身を乗り出し、ゆるゆると山の化身とは別に財宝がないかと見回っていたのは『終極粉砕/レイジングギア』富永・喜平(BNE000939)である。もちろん、遊んでいるだけではない、眼帯に覆われていない目は不審な物音や影に細心の注意を払っている。 どうやら、地図によればこのトロッコを使うルートが最短のようだ。様々な目印を炭鉱内に付けて行きながら、トロッコは洞窟のような炭鉱を進む。 「レールが古くなっているみたいだね。足元に気をつけないとね」 地図に書き込みながら、『臆病強靭』設楽 悠里(BNE001610)は顔を乗り出してレールを確認する。軋んだローラーの音はまるでお化けのような、この世ならざる者の声のような気がして、お化けが怖い悠里にとっては、気が気ではない。 「き、きっとなんとかなるよ……ね?」 大丈夫、敵を倒せばすぐに帰れる。ここは灯りがあるけどちょっと怖いから、早く帰ろう。そう思って弱気になり、それとは対照的な引き締まった体をトロッコの中に引っ込める悠里だった。 「さて、この辺りで降りよう。ここから先は歩きだ」 トロッコを降りて、退路や土の状況を確認しつつ、『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)は寝ぐせ髪を手で押さえる。地図を確認したところ、この辺りが戦うのに都合のいい。依頼時に言われていた、八人通れるような通路だ。 皆で生き残る、その一点のために神経を尖らせ、仲間の身を心配する彼の緊張感が仲間たちにも伝染していく。 「死にたくないんだな。やっぱり」 頭をかいていた手を止めて、快はダブルシールドを構える。仲間を守るため、ここから先は自らの危険を晒さなければならない。彼なりの思いが、その盾に表れていた。 その時だ、隠し切れない巨大な気配が通路の奥から感じ取れたのは。リベリスタたちは頷き合い、確認していく。武器よし、照明よし、退路よし、……覚悟よし。 「さぁて……とんでもない展開になってきました」 ニヤリと口元を歪ませながら、喜平はポジティブに状況を見る。 これから始まるのはとんでもないバトル。ならば……。 ●土塊の王 初見で驚いたのは、やはりその大きさだ。 だいたいの大きさについてはある程度予想を立てていたリベリスタたちであったが、狭い空間でそれと相対することになった彼らは、予想以上に大きいと感じたのも無理はないだろう。 「……」 土塊でできた巨体に顔はない。だが、その体はしっかりとリベリスタたちに向け、狭い空間で器用に体を動かし始めている。 「――ッ! なんて硬さだよ、てめぇはよ!」 山の化身が動き出す少し前、ランディは気付かれる前の先制攻撃にと、力任せに振り下ろした鉄槌によるメガクラッシュを足元に叩きつけた。しかし、それによって足元を崩すどころかバランスも変えられなかったことに戦慄し、バックステップで距離を取った。まともに殴り合えば、こちらの身が持たないのは確かだろう。 となれば、仲間との連携が必須となる。 「こうなりゃ……頼んだぜ! 魅せてみな!」 ランディは自らの力を高める爆砕戦気の準備をしながら、自分の背中を追い越し、巨大な土塊に飛び込んでいく仲間たちを見送る。へっ、と野蛮な顔に笑みを浮かべ、親指を立ててやる。 「山巨人めーっけ! ってことで……柔よく剛を制す! 我が二刀の牙をその身に味わえ!」 最初に突っ込んだのは、打刀とブロードソードという少し奇妙な二刀流を構えた竜一である。メガクラッシュによる力押しの一撃であり、体にダメージを蓄積させていく。のだが、やはり山の化身のバランスが崩れることはなく、逆に竜一が後ろに飛び、衝撃を殺さねばならなかった。 「くっ! こんな時に……!」 右手の包帯を抑えようとしたが、両手が武器で塞がっていたので熱視線を送りながら隠された自分の力が解放されないかな、と思う竜一だった。実際の所はただの右手であり、隠された能力などない。 「あらまぁ……思春期の少年らしいわね」 それを微笑ましい思いで眺めているのは38歳団地妻の由利子である。彼女は柔和な表情を崩さず、前衛の仲間たちにオートキュアをかけていく。安心感を与えるその顔と、力の回復まで面倒みていく様は、正に戦場のお母さんである。 「君に罪はないけど、倒させてもらうよ! でも、竜一くんも柔よく剛を制すとは言ったものの、これはキツそうだなぁ……」 弱気を整った顔に張り付けながら、流水の構えを悠里は行う。彼の中には確かに不安な気持ちはあるものの、困っている仲間を助け、しっかりと技を重ねる。スピードと威力を高めた炎の一撃――業炎撃だ。 「でも、さっすが竜一くん。すっごい攻撃だね。ボクも負けないよ!」 土塊に食い込んだガントレットが燃え、山の化身が燃える。だが、すぐに火を消してしまった。燃えている個所に、さらに土を重ねて無理矢理消してしまったのだ。 「デタラメだね。流石、ってところかい?」 喜平はずっと着こんでいたスーツを崩さずにその瞬間に飛び込み、土と土の隙間にショットガンを撃ち込んでいく。アビリティのない、普通の攻撃であったが……その攻撃は確かに効果的であった。 なぜならば、次に放たれた山の化身の一撃に若干の遅れが生じたからだ。体の中に溜まった銃弾は巨人の散漫な動きをさらに遅くすることに成功したのだ。 とはいっても、そこは通路を埋め尽くすほどの巨体。パンチとキックを同時に繰り出しただけで、前衛とその後ろでサポートしていたリベリスタたちが一気になぎ払われるかのような巨大な一撃となった。坑内を埋め尽くすほどの土煙が上がり、山が揺れるほどの一撃だ。 その一撃から仲間を守るべく盾となったのは、先ほどから防御に身を固めていた快と武雷のふたりだ。それぞれに、パンチが飛ぶ。 「ふう……。いい攻撃だったぜ」 土煙が晴れてきて、快の姿がゆっくりと電灯の光に照らされて現れる。ハイディフェンサー、そして地面にしっかりと固定した両手の盾によって固められたその体は……まったくの無傷だ! 「さみしかったとね、悲しかったとねぇ。あんたん気持ちばわしらが受けられるだけ受け止めてやるけん、全部ぶつけっとよか」 そして武雷はマッチョな筋肉を揺らし、気合いの声と共にラージシールドを突き出し、土煙と攻撃を弾き飛ばす。牛の顔から、蒸気のような吐息が漏れる。こちらもかなりダメージを防いだ! 「ふふっ……。さあ、いらっしゃい!」 そして由利子も武雷とはまた違った理由で豊満な体を揺らしながら、その攻撃を耐えに前へと進み出た。巨大なキックがその身に迫る! 「んっ……。潰れ……ないわ……よぉっ!」 だが、喉から声を張り上げて、ラージシールドで潰されてしまいそうな体を支える。 「大丈夫由利子さん? 無理しないでね?」 悠里が思わず声を出して心配してしまうほど、ボロボロであったが、見栄を切った彼女はにこやかな顔を返した。まだ、がんばれるということだろう。 「彼の者に祝福を……悪いけどもう少しがんばってね」 天使の息を由利子にかけながら、ひたすら回復に専念しているのは小夜香である。彼女が後ろに控えているからこそ、リベリスタたちは全力を出して相手の巨体と戦うことができるのである。 「はい、治療完了だね」 戦場のお母さんを大きな翼で包み込むその姿は、戦場の天使と言ったところだろうか。薄暗い、薄汚れた坑道の中で、彼女の白い翼は見たものに威圧と安らぎを与えていく。 これで、また戦える。能力以外にも、誰かを守るということに全力を出す彼女の存在は、どこかそう思わせる力があった。 ●大地に帰る 天使の歌が、傷ついたリベリスタたちに響き渡る。 「あんまり歌って得意じゃないんだけどな……」 小夜香はそう言うが、効果は確かなもので、リベリスタたちは体力を戦う力を再び補給し、巨人へと向かっていく。戦いは長期戦の様子を呈していた。 部位を狙った攻撃は功を奏し、攻撃によってヒビを作ることに成功した。そして、そこに攻撃を加えれば敵はバランスを崩し、攻撃が鈍くなる。 「よっと。こんなところ……だね!」 だからこそ、回避能力をシャドウサーヴァントで強化した喜平は巨大なパンチを見切ることに成功し、その上、殴りかかってきた腕に乗ってみせたではないか。まるで曲芸だ。しかし、彼は曲芸に留まらない。そこから勢いを利用した幻影剣を叩き込む。 その一撃受けた山の化身は、蓄積したダメージもあって体にヒビを増やしていく。決着の時は近い。敵の攻撃を耐え凌ぎ、攻撃を続けたことによって、光明は見えてきたのだ。 武雷のヘビースマッシュが、悠里の吸血が、快のヘビースマッシュが、竜一のメガクラッシュが、由利子のジャスティスキャノンが、それぞれの技の威力が土塊を削り、穿ち、揺らめかせていく。 頼もしい仲間が作った傷と、大きな隙。 最初の借りを、最初の一撃の借りを返す時がランディにやって来た。 「水滴石を穿つって言うだろ? ……生憎俺は水滴ほど優しく無ぇがな! どっせぇぇぇぇいっ!!」 限界まで溜めた力を開放し、弧を描いて振りかぶった鉄槌が凄まじいスピードで振り下ろされる。このメガクラッシュは山の化身の巨体に刻まれていたすべてのヒビを突き抜け、土塊でできた巨体をバラバラに打ち砕く。それどころか突き抜けた一撃は地面を響かせ、山を大げさに揺らすほどであったのだ。 「……っと、やり過ぎちまったみてぇだな」 ゴゴゴゴゴ……。 山が響き、泣くように震えて……戦いは決着する。 ●大地色々 行動を後にしたリベリスタたちを、青い空と大地が出迎えた。快晴であり、その日差しは山を照らしていた。まるで、まだ希望はあると諭すかのようだ。 「んっ……。やっぱり外の空気は最高♪」 腕を伸ばして、実っているすいかを突き出した由利子に代表されるように、リベリスタたちはここに来て真の勝利を確信する。恐らくだけど、たぶん、この山は救われたのだ。 「忘れられた山だっていうなら、俺が覚えていてやるよ」 「山の幸だ~、山の幸~」 宴会のように、山を肴に酒を嗜む快。この山の幸を持ち帰り、自らの元で育てようとする竜一。 「栄枯盛衰、だったか? 何とも殺風景で哀しいな」 気持ちを汲み取ろうとするランディ。 「うん、よかったばい、あいつが誰も傷つけんですんで。……わしらはちぃっとばかし、すすだらけになっとっとばってん」 すっかり黒くなった自分たちの姿を見て、恥ずかしそうに笑う武雷。 「……」 ひとり黙祷を捧げる小夜香。 「大丈夫、だったみたいだね……」 落盤を心配して、入り口をそっと覗く喜平。 表情も、行動も違う彼らは、それでも皆でひとつのことを想っている。山の化身と戦い、その強さ、そして孤独が身に染みたから。――この地を忘れない。もう二度と、悲しい巨人を産まないように。 「さぁみんな帰ろうか!」 確かに心に刻んだ彼らは、悠里の一声にそれぞれの言葉を返してから帰っていく。戦い、そして山の記憶を胸に。 ふと、リベリスタたちは振り返る。……山は静かで、微笑んでいるように見えたのは錯覚だろうか。 山はいつでも、そこにある。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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