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鋼鉄部隊の襲撃

●目覚めのとき
 港にある倉庫の中で、彼らは目覚めた。
 6体存在する鋼の人形は、不恰好な手足をそれぞれにコンテナから引き出す。
 いずれも人の形に似せてあったが、ずんぐりとしたその姿は決して見栄えがいいとはいえない。多くは2mほどの高さであったが、もっとも大きな1体は人間の2倍ほどもあった。
 ひときわ大きな1体が目を赤く輝かせる。
 それに呼応して、スムーズな動きで残る5体が周囲に集まってくる。
 大型のライフルらしきものを装備した1体が巨大な人形のそばに立ち、残る4体が四方を固める。
「――暴れろ」
 短い命令が発されて、人形たちが倉庫を飛び出す。
 そろそろ太陽はかたむき始める時間だったが、彼らにとってそんなことはどうでもいい。
 手近にあった重機へ接近すると、パイルバンカーを腕に装備した2体がまず突っ込んでいった。
 ライフルが火を吹いて壁を吹き飛ばし、火炎放射器が熱を撒き散らす。
「この世界を侵略するのだ。来るべき時のために!」
 巨大な1体が電子音を響かせると、人形たちの攻撃が苛烈さを増す。
 港で働いていた作業員たちが、我先にと逃げ出していった。

●ブリーフィング
 アークのブリーフィングルームでは、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)が待っていた。
「あまり時間がありませんので、手短に説明しますね」
 ディスプレイに日本地図が表示され、和泉はその一ヶ所を指さした。
「ここにある港で、エリューション・ゴーレムが出現します」
 ゴーレムの姿はまるでアニメにでも出てきそうなロボットの姿をしているらしい。いったい誰がそんな代物を作ったのかは、残念ながら不明なようだ。
「ですが、あくまで見た目だけです。エリューションになったから動いているだけで、工学的にはどう考えても動くはずのない代物なんです」
 出現するゴーレムは6体。港を破壊してどこかへ姿を消すらしい。
「人間の倍くらいあるゴーレムがいて、それが指揮役です。いちおう銃器らしきものも装備していますが、他のゴーレムを強化したり修理するのが主たる機能です」
 他の5体は、まず1体が狙撃役。大型のライフルを用いて、強力な射撃攻撃を行ってくる。
 また、パイルバンカーを装備した個体が2体と、火炎放射器を装備した個体が2体。
 パイルバンカーと火炎放射器を装備した敵は、指揮役と狙撃役への接近を阻む役目も担っているらしい。まずこの4体の妨害を潜り抜けなければ残る2体に接近するのは難しい。
「できるだけ早く出発してください。すぐに行けば、彼らが倉庫から出る直前にたどりつくはずです」
 和泉の言葉に、リベリスタたちは表情を引き締めた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:青葉桂都  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年09月21日(水)22:11
●マスターコメント
 こんにちは、青葉桂都(あおば・けいと)です。
 今回は人型ロボット(っぽい外見のゴーレム)と戦っていただきます。

●ゴーレム・指揮型
 ひときわ大きなサイズを持つゴーレムで、今回のボス格です。
 頭にはアンテナがくっついていて、それを使って『指揮』を行います。味方全体の命中と攻撃力を上昇させる付与能力です。
 味方を『修理』して近接単体のHPとBSを回復させることができます。
 消費が大きいので連発はしませんが『エネルギーウェーブ』を放って遠距離味方全体のHPとEPを大きく回復する機能もあります。
 銃器による遠距離物理攻撃も行うことができます。威力はそれなりです。また、BS怒りを無効化します。

●ゴーレム・狙撃型
 大型のライフルを装備したゴーレムです。中ボス格と考えてください。
 遠距離単体を『狙撃』して攻撃してきます。威力が非常に高い物理攻撃で、呪いのBSも発生します。
 また、『連射』による遠距離複数に対する物理攻撃も行うことができます。
『視覚情報分析』により、命中と物理攻撃力を上げることもできます。

●ゴーレム・近接型
 2体登場します。
 装備しているパイルバンカーによる攻撃の威力は高めであり、ブレイクの効果も発生します。
 また、『自己修復機能』を発動させて、自身にリジェネレートを付加することができます。

●ゴーレム・範囲攻撃型
 こちらも2体登場します。
 火炎放射器を用いた、遠距離への範囲型神秘攻撃を行ってきます。火炎のBSが発生します。
 炎をまとって『突進』してくることもあります。近接単体への神秘攻撃で、こちらもやはり火炎のBSが発生します。ただの火炎放射よりも威力は高いです。

 それでは、ご参加いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
東雲 未明(BNE000340)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)
クロスイージス
アウラール・オーバル(BNE001406)
デュランダル
歪崎 行方(BNE001422)
覇界闘士
衛守 凪沙(BNE001545)
ホーリーメイガス
エリス・トワイニング(BNE002382)
デュランダル
越野・闇心(BNE002723)

●倉庫の戦い
 とある港町の倉庫に、リベリスタたちは急行する。
『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)の発見を受けて集まった皆が、暗い倉庫を覗き込んだそのとき。ちょうどエリューションたちが動き始めていた。
「生身で戦闘ロボに挑めるとは何たる僥倖」
 アクセス・ファンタズムよりデスサイズを引き抜いた、『紅翼』越野・闇心(BNE002723)が激戦の予感に眼を光らせる。
「あまりゆっくり準備している時間はなさそうだな」
「仕方あるまい。任務を開始する」
 紫の長髪をなびかせて、『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)が奥にいるライフルを構えたエリューションに意識を集中する。
 守りを固めたウラジミールは歴戦の兵であることをストイックな表情の奥にうかがわせていた。
 倉庫の入り口に向かおうとするロボットを押し戻すように、『薄明』東雲未明(BNE000340)が指輪型のアクセスファンタズムから取り出したバスタードソードを一閃した。
「侵略っていうか反乱よね、あんた達の場合」
 6体の機械人形たちにとって、人間が創造主のはずだ。
「アザーバイトみたいなこと言ってるけどエリューション・ゴーレムなのよね。尖兵っぽいこと言ってるのが気になるわ」
 対物ライフルを手にした『BlessOfFireArms』エナーシア・ガトリング(BNE000422)が、マウントしたライトで倉庫内を照らす。
 それぞれに武器を構えたリベリスタたちの中で、真っ先に飛び込んでいったのは『飛常識』歪崎行方(BNE001422)だ。
 小柄な少女が両手にぶら下げているのは2振りの肉切り包丁。
「可哀想なポンコツ達。なまじ自我を持ったばかりにどうしようもない夢を見て。人も機械も問わず不相応な夢は自らを滅ぼすのデスヨ」
 火炎放射器を構えたロボットに肉薄した彼女は、小柄な身体に不似合いな猛々しい闘気を吹き出す。
「ロボットと正面から殴りあうっての、案外浪漫かもねー」
 金色のツインテールがなびく。
 格闘戦を支援する二式『香車』を装備した『食堂の看板娘』衛守凪沙(BNE001545)は、握り締めた拳に炎を宿して、火炎放射器を持った人形に突進する。
「どこかの……アニメじゃないから……こんなことは……誰にも……歓迎されない」
 エリス・トワイニング(BNE002382)の細身の身体に魔力が蓄積されていく。
 ひときわ巨大な敵の頭部にある、一対のアンテナが明滅した。それに反応して、他の5体の眼が明滅する。指揮タイプが命令を下しているのだ。
 2体の人形が手にした火炎放射器の引き金を引く。
 行方と凪沙以外の全員が、炎に巻かれた。
 火炎に焼かれながらもリベリスタたちがひるむことはない。
「武運を祈っておこう、アウラール殿」
 アウラールが向かったのとは別の、パイルバンカー装備の敵へウラジミールが相対する。
「ああ、せいぜい頼りにしてくれよ」
 強気に応じて青年は十字の光を放つ。
 未明が跳躍し、行方と対峙している敵へと刃を一閃させた。
 そこに、紅翼を広げた闇心が低空をすべってさらに接近する。バランスを崩さない程度の高度だが、その分高さによる利もほぼない。
 エナーシアは火炎に巻き込まれない位置に移動しつつ、ライフルのスコープ越しに敵を観察する。
「やっぱり大きいのが一番頑丈ね。もろいのは、火炎放射機の奴よ」
「なるほど、予想通りというところだな」
 ウラジミールがAK-47改の刃でパイルバンカーを受け流す。高速で打ち出された杭は、壮年の男の肩口をかすめただけにおわった。
「誰が強いとか弱いとか、そんなのは細かい問題だ。こんなの、全身全霊、全面衝突以外に有り得ないだろう?」
 デスサイズに爆発的な気をまとわせて、どこか楽しげに闇心が言い放った。
 敵がライフルをアウラールに放つ。大口径の銃器が放つ音が倉庫内の空気を震わせた。

●リベリスタの消火活動
 エナーシアの体はまだ燃えていた。
 ただ、2度目の火炎が彼女に飛んでくることはなかった。エナーシアかエリス、どちらかしか巻き込めない範囲攻撃より、敵は目の前の相手に突撃することを選んだのだ。
 残念ながら遮蔽を取るところまでは難しかったが、距離を取った甲斐はあったようだ。
 集中力を高め、精神を研ぎ澄ます。
 行方の肉切り包丁や未明のバスタードソードが破壊的な威力をともなって装甲を削り取る。
「あはは、頑丈だなお前! 絶対打ち砕いてやる」
 闇心のデスサイズが敵を切り裂いていた。
 後衛にいた指揮役が、傷ついた配下に接近する。マニュピレータが幾重にも分解し、瞬時に破砕痕を修復していくと、高速で後方に下がった。
「対物ライフルで物を撃つ、ごく当たり前なお仕事だわ」
 だがその機を逃すエナーシアではない。
 素早く引き金を引く。銃弾が明滅するアンテナを捕らえ、打ち砕く。
「あんなに狙いやすい場所につけてちゃダメよね」
 一射撃った後、エナーシアは流れるようにライフルの銃口が火炎放射持ちへと向けた。
 行方の虚ろな瞳は、意外なことにしっかりと敵の姿をとらえている。
「どうしマシタ? アハハ、まさか親玉の指示がないとなにもできないデクノボウではないデショウ?」
 敵の懐に踏み込んで、二刀を強烈に薙ぎ払う。
 指揮を失ったロボットは、まるでまごついているように見えた。
 けれど、そのまま敵を粉砕するわけには行かなかった。巨体のロボットから光が広がる。エネルギーウェーブが人形を包み込むと、壊れたはずのパーツがまた動き出す。
 それは大回復を行う敵の切り札だった。とはいえ、それをもう使わせるだけのダメージを与えたということでもある。
 未明が空中から敵を切り裂く。
 横から闇心の大鎌が連続して敵を切り裂く。オーラをまとった刃の連撃が直撃し、動きの一瞬止まったところにさらなる攻撃。
 そして、アウラールのライフルが敵をうがち、エナーシアの早撃ちが脚部の関節を狙った。
 瞬く間に、回復したはずの敵は再び傷だらけになっていた。炎をまとった突進も行方の服に焼け焦げを作っただけに終わる。
「さあさあブリキのポンコツ達。叩いて潰して現実にぶち当たるといいデス」
 世界を侵略とは大きく出たものだが、理想だけでは小集団すら制圧できない。包丁で切られて吹き飛んだ頭部に、そのことを悟る時間があったのかは行方にもわからなかった。
 1体が削れても、残る5体に動揺は見られない。彼らはあくまで心のない人形なのだ。
 凪沙は火炎放射機を持ったロボットの1体と対峙している。
 できるだけ離れた位置にいる敵を選んだつもりだったが、さすがに同じ前衛同士で範囲攻撃の対象から逃れるほどの距離は取れなかった。
 もっとも、仲間を巻き込んでまで火炎放射を放ってくることは、今のところはなかったが。
 代わりに火炎を吹き出しつつ凪沙に向かって突進してくる。
 目の前の敵には指揮の影響がまだ残っているらしい。業炎が凪沙を包み込む。
 少女の耳に福音が聞こえてきた。エリスの生み出した音だ。
 それを頼りに凪沙は炎の拳を再び敵に叩き込む。
 パイルバンカーの敵と対峙する2人を見れば、ウラジミールはまだまだ余裕がありそうだ。アウラールにしても、エリスの助けがあってこそだが2体からの攻撃を耐えている。
「次は凪沙さんの前の敵を狙って」
 エナーシアが告げた。彼女のように敵の情報を得る手段があれば弱点も調べられたのだろうか。
 未明がひと跳びに敵を切り裂き、闇心や行方も攻撃に加わる。
 無論、指示したエナーシアも銃弾を放っていた。
 火炎放射器を構える腕をかいくぐって、凪沙は敵の懐に飛び込む。
「殴り勝ってこそ、浪漫だよね!」
 拳にまとった炎が装甲板を打ち砕く。炎を叩き込まれて、ロボットが内部から爆発した。
 火炎放射器を持った2体は倒れた。ただ、リベリスタのうち何人かはまだ炎に巻かれている。
 アウラールはエリスの様子を確認する。彼女の手が開きそうかどうか確認したのだ。
(無理か。まあ回復してもらってるのは俺が一番多いしな)
 福音を響かせ、微風を放ち、ダメージを受けた仲間を彼女はひたすら回復し続けていた。
 狙撃型のライフルが再び火を吹いた。
 光のオーラに包まれた腕をアウラールはとっさに突き出した。
 銃弾が光によってそれ、青年のやや色黒な頬をかすめる。赤い血が一筋、飛沫いた。ウラジミールがときおり支援射撃を行ってくれていたが、クロスイージスの技で引きつけた狙撃型の注意は外れない。
「今回は前のめりに行くつもりでね。もっと撃って来いよ」
 不敵に笑い、アウラールは全身から輝きを放つ。
 光は仲間たちをおおっていた炎を一瞬のうちに消し去っていた。

●分断作戦
 残る敵は4体だった。リベリスタたちは、着実に1体ずつ敵を倒していく。
 指揮タイプがエネルギーウェーブを放って回復するが、連発できない以上また削るのみだ。
 未明はウラジミールの前にいる敵へ向かって攻撃をしかける。
「変形とか合体とかしないのかしら。そういうのが無いと、なんだかロボットっていうより全身鎧のエリューション相手にしてるみたいな気になちゃうわね」
 どちらにしても倒すのみだ。
 パイルバンカーの攻撃を幾度か受けているようだったが、軍人に消耗した様子はない。逆に、大上段から振り下ろすAK-47改の一撃は確実に敵の体力を削っていた。
 無論、その余裕はあくまで回復があってのものだが、メンバーの中で最大を誇る体力に裏打ちされているのは間違いない。
 飛び回って攻撃するうちに、だいぶ消耗している。未明はパイルバンカーを装備した敵の首筋に食らいつく。吸い上げたそれは、機械油の類か。それでも、生物の血を吸ったのと同じように、彼女の体内で力となる。
 数を減らすごとに苛烈になるリベリスタたちの集中攻撃。
 AK-47改による斬撃がパイルバンカーごと敵を半ばまで断つと、流れるようにアウラールの前にいる最後の敵へと対象を移行する。
 けれど、最後の一体は意地を見せた。
 カウンター気味に放たれた凪沙の拳が、パイルバンカーと交差する。少女の拳は装甲板をうがっていたが、しかし倒れたのは彼女のほうだった。
 だが所詮はさいごのあがきだ。
 アウラールが渾身の力でライフルを叩きつけた。
 未明は床を蹴り、真上からバスタードソードを振り下ろす。デュランダルの一撃は、敵を完全に両断していた。
「ようやくこっから本番よ。その鋼の体、ベッコベコにしてやるわ」
 着地した彼女の体から、爆発的な気が噴出した。
 エリスは、倒れた凪沙に視線を向けた。
 今回の回復役は彼女1人しかいない。回復しきれないのは必然だが、仕方ないとはやはり言えなかった。
 ライフル装備の敵の様子が変わったことに気づく。
 主にアウラールに向いていた銃口が、別の目標を狙うべく動いたのだ。
 赤く光る敵の目からは全員が見えるはずだ。人間の動きを超えた連射で、全員が一気に狙われる。
 エリス自身の小さな体にも銃弾が食い込む。
「ロボットの反乱なんて……いまどき……流行らない……」
 どこかから受信している電波に、エリスは呼びかける。電波の主は涼しげな音を響かせ、仲間たちを癒していった。
 前衛4体を倒したところで、リベリスタの前衛たちは後衛の2体へと突撃する。
 修理のために前に出気味の指揮型と、後方で射撃に徹していた狙撃型の間にはスペースがある。
 闇心は紅翼をはばたかせ、ライフルを持つロボットへ接近する。
 13歳にしてはやや低めな身長の彼女が、もし地上にいれば敵は見上げるほどの身長差があっただろう。だが、低空を飛ぶ彼女にとっては眼下にいる敵に過ぎない。
 先刻の銃弾は彼女も貫いていたが、その一打はむしろ闇心をふるい立たせた。
 デスサイズを一閃。
 だが、かすめただけだ。狙撃役ゆえにか、それとも単に前衛より強力なせいか、動きがいい。
 攻撃を当てるために彼女は敵の動きに集中する。
 修理のため近寄ってきた指揮型が、割って入る隙を探しあぐねているうちに行方に吹き飛ばされた。
 ライフルの銃口が上がる。ウラジミールが銃剣を叩き付けて衝撃を与えたが、機械ならではの精密な射撃はその程度では揺らがない。
 身体を貫いた銃弾に、闇心がバランスを崩す。
 落ちる。
(――もっと戦いたい)
 そう思った瞬間、片手で強く地面を叩いていた。高速で薙ぎ払ったデスサイズが真空の刃を生む。
 刃は傷ついた敵の首を吹き飛ばし、ライフルが人形の手から落ちたのを闇心は転がりながら確認した。
 残ったのは1体だけだった。
 ウラジミールが振り向くと2mを超す指揮型の巨体が、後退しつつ射撃してくる。
 逃がしはしない。
 仲間たちが敵に肉薄した。全力で走ったウラジミールは、敵の背後を取る。
 隆々たる体格の彼と比べて倍ほどもある敵だが、押しのけて突破するほどパワーがあるわけではない。
「貴殿らにはガラクタになってもらう」
 爆発的な気を吹き出しつつ、未明と行方、闇心が襲いかかる。
 アウラールの渾身の一撃を追って、エリスの魔法の矢とエナーシアのライフル弾が突き刺さる。
 巨体にふさわしい頑丈さを敵は備えていたが、攻勢側に打撃を与える当てのない防衛戦に、勝ち目などあるはずがない。
 高々と振り上げた銃剣がアンテナの砕けた頭部を粉砕するまで、さして時間はかからなかった。

●壊れればガラクタ
 倒れた凪沙をエリスが手当てする横で、動きを止めた機械人形たちを行方がバラバラにしていく。
「塵は塵に、灰は灰に。鉄屑はジャンクに。バラけて転がるがお似合いデス」
 四肢を切り取られ、五体を分解されたロボットたちは正しくジャンクでしかない。
「この人形、テーマパークの展示物にでもなる予定だったのかな」
 今のところ、この人形たちが動き出した背景は謎のままだ。
「本人達は、何をするでもなくただ立ってるだけの日々はごめんだったのかもしれないけど。仕様を違えれば、それは不遜でしかない」
 アウラールの想像したとおり、平和的な目的で作られた人形が製作者の妄想によって動き出しただけなのかもしれない。
 ただ、そうでない可能性をエナーシアは危惧していた。
「この1小隊で終わりなのかしらね。他のコンテナに入ってるのはなさそうだけど……」
 尖兵のようなことを言っていたのが気になっていたのだ。
 しかし、製作者についての情報などはどこにも見つからなかった。
「現状でこれ以上調べられることもあるまい。任務完了だ」
 分解したゴーレムは片付けきれそうもなかった。
 ウラジミールはアークに後片付けを依頼して、そう告げる。
 倉庫を出て行くリベリスタたち。
「……本当に……手がかりがない……まるで隠してるみたい……」
 観察力に優れたエリスが呟いた言葉に、エナーシアは悪い予感を覚えた……。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 お疲れ様でした。
 皆さんの活躍で、無事ロボット兵団はジャンクの山に変わりました。
 後続部隊は……あるかもしれませんし、ないかもしれません。せっかくなので含みを持たせた終わり方にしてみました。
 もしも、後続部隊が登場することがあれば、またよろしくお願いします。