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【Deadry Arena】Blood Red Party

●Call of The Dead Line
 今宵は三日月の哂う夜。時刻は黒洞々たる夜の帳が降りた先。
 街の一角の吹き溜まりの中には荒涼とした風がただ、吹いていた。
 しかし、その荒涼とした風に交じるのは白銀の冷気を纏う風。
 故が知れるということも無く、そこにただ有るのは戦場の不文律ただひとつである。
 ふと視点を見あげれば、そこには三日月を追って立つ影が一つ。

 何故、その存在はそこに立つのか。
 何故、彼はただひたすらに死と生の境界線を求め続けるのか。
 答えはただ、戦場の中に有るだけである。

 未来を移す万華の鏡には、ほぼすべての事象が映し出される。
 しかし此度の異端、映し出された差し迫る現実の事象を示せば、
 それが異常を告げるものであることに異論を挟む者はないだろう。
 否、「差し挟む余地が存在しない」と言うのがふさわしいのかもしれない。

●Bottom Dust
 大腿骨の折れる鈍い音、内出血を示す痣の発露。
 診断は胸骨を瞬間的に圧搾されたことによる全骨折。複数の骨折音。
 全身凍結による筋肉の収縮。そこから更に打ち込まれる氷柱による貫通の一撃。
 広がる鮮血。上げる事すら許されぬ断末魔。
 次の瞬間に転がっているのは、もはや人の原型すら留めぬ存在のみ。

 これらは全て「贄」だった。
 死地を求めて戦いを望む者としての、戦いを呼ぶ「撒き餌」。
 冷酷なる凍結術を修めし忍びの男は、表情を一切変えるということすらせずに。
 ただ、一心不乱に目に付く存在全てに死を与えていったのだった。
 そこには、笑気も、怒気も、また憐憫も、存在することはない。
 介在の余地も、また存在しないのだった。

●Engage
「この忙しい最中コレ、ねぇ……。」

 不機嫌な巫女の表情は硬い。無理もない話だ。
 ディスプレイの先に投影される未来は防がれなくてはならない。
 しかし、相手もまた相手であったことが不機嫌と不幸の始まりでもあった。 
 巫女の表情が思わず曇る。つくづく厄介な敵である事はゆうに知れているが故に。
 集められたリベリスタ一同と面した状態になるようワークチェアを回して向き直り、
 巫女は淡々と未来についてただ、告げた。

「……さて、また仕事になるわ。今回の相手はアザーバイド。
 といっても、「異世界の英雄」ね。フィクサードと見てほぼ相違ないわ。
 作戦目標、『凍結忍者』フローズン・ダイヤモンド。

 強さの基準で言えば実力は上位に入るわ。
 忍者らしくはないと思うけど、戦闘スタイルは凍結の力を持った格闘術士。
 異常回復や回復の数が重要になると思う。

 ……あと、はっきり言って殺害は難しい。撃退を目的にして。
 今のあなた方では、命を捨てるだけになりかねないから。
 幸運を、祈ってる。」

 巫女のオッドアイの瞳が揺れる。
 不安を隠し切れないのか、それとも告げられざる未来がそこにあるのか。
 その不安をかき消すように、リベリスタ達は戦地へと歩みを進み始めた。
 その先が、戦場であることを承知の上で。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:Draconian  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年09月11日(日)21:27
■STコメント
地震が落ち着いてきました。やったねたえちゃん!(死亡フラグ
ドラコニアンです。今回も戦闘シナリオを出すのです。

■作戦目標
『凍結忍者』フローズン・ダイヤモンドの撃退/撃破

■Warning!
Queen of Chromatic Dragon 『Tiamat』.

……ええ、ティアマット宣言です。
判定基準が通常ノーマルより厳しくなります。御覚悟の程を。

■戦地
夜の三高平市の公園。
広い面積を持った円形の公園で戦闘に支障はありません。

■『凍結忍者』フローズン・ダイヤモンド
※警告:今回のEXはかなり危険です。
    フェイトの大量減少を孕んでいますのでご注意下さい。

・異界の闘士:P:覇界闘士中級までの全スキルを習得済み
・冷気の体:P:通常攻撃を含む全ての攻撃に凍結の異常が付く
・フローズン・コンボ:A:近単:必中、低い物防無
・アイシクル・ウェーブ:A:遠単:氷結・石化
・氷塊粉砕:A:近単:致命・流血
・EX:究極神拳:A:近単:致命・必殺・?

・水上歩行
・面接着

それでは、戦場でまた。See You Next.
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
メアリ・ラングストン(BNE000075)
ホーリーメイガス
七布施・三千(BNE000346)
プロアデプト
オーウェン・ロザイク(BNE000638)
プロアデプト
ヴァルテッラ・ドニ・ヴォルテール(BNE001139)
ソードミラージュ
神城・涼(BNE001343)
スターサジタリー
ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)
クロスイージス
姫宮・心(BNE002595)
デュランダル
結城・宗一(BNE002873)

●Fight it Out
 戦いの香に誘われるのは戦人の運命なのだろうか。
 それとも、戦いそのものがヒトを寄せ付ける何かを持つのだろうか。
 ヒトはいずれ過ちを犯す運命。ならば、双方正しく間違うのは合理となるのかもしれない。
 定めに導かれ、英雄たちは公園へと集う。そこは、今宵の闇を持ってコロッセオとなる。
 そこに、忍びの男もまた、存在していたのだ。今宵の戦いの幕を開くべく。
 練りこまれた気は金剛陣に相応するレベルのそれである。
 真の戦いの構え。それは、男なりの来賓への礼だったのかもしれない。

 双方の戦地入りと同時。リベリスタによる結界が張られる。
 展開された結界の中はもはや外界からは隔絶され、そこはひとつの幻想の舞台に他ならない。
 それとほぼ同時。役目を求めし乙女――七布施・三千(BNE000346)は 感情操作を走らせた。
 しかし、それは背筋を凍らせる感覚しか残さない。感情が介在しない存在と言う事実。
 知ってはいても、心理を読むことが叶わない相手。
 殺気、執着、欲望、衝動。人ならば当然介在すべきそれすらない。
 前衛達が戦陣を組むべくかけ出すのを受けながら改めて、乙女は思う。
  何故、男は戦いを求め、この地を踏み続くのであろうかと。
 双方の戦陣が組まれるのはそう遅い話ではない。

 ★★
 カリカリカリ……カチリ。
 ★★

 運命の糸車が狂う音を聞く者は居ただろうか。
 運命の糸車が狂う時。それは戦いの発生と終結のプロセス以外にほかならない。
 男は構え、運命を友とする英雄達は戦陣を組む。
 それは、戦闘とは酷薄なる現実の積み重ねでしか無く、また戦いの本質それこそが定命(モータル)の存在のある種の遊戯であることを知っているのかもしれない。
 此度の戦法の指揮をとる『Dr.Tricks』オーウェン・ロザイク(BNE000638)もまた、それを無意の下では知っている。
 指揮術を持ち得ぬこの男。
 しかし彼もまた、論理と直感、そして運命の力で戦う論理戦闘者の端くれなのだ。
 故にそれは、痛いほどに知っている。否、知っていた。
 一の矢であるピンポイントが乱撃として放たれる。希望への階は、遠く、長く。

 殺人機械と呼ばれただろうか。構わない。
 忍びは心のなかに黒い唾を吐く。所詮は戦いに身を捨てた存在なのであると。
 死は安息。戦いは快楽にしかならない。凍結の術を極めた地点でそれは、定められていた。
 ――殺人機械など、何を今更。今はただ、殺すだけ。

 金の髪を最高速度に任せ、音速の世界へ添うようにひたすらに、ただ、ひたすらに。
 ――今宵の悪夢を滅するべく、騎兵の速度で男は駆ける。
 ひたすらに駆け抜ける男の名は『冥滅騎』神城・涼(BNE001343)。
 凄まじいまでの加速度を得る手に握られた斬魔刀の怪しい光。
 それは、悪夢を断ち切り、凶行を止める紅銀の刃となる。
 しかし、亜音速の刃が忍びの男を切り裂いた刹那のことだっただろうか。

 それは、まるで意思を持つかのように。

 瞬間的に放たれた凍気に男は否応なく囚われた。
 ヒットアンドアウェイ。攻撃後高速で場を抜けようとした時のことだ。
 冷気の投射が体を止める。口筋が冷え切り声が出ない。
 その間にも肉体が収縮、全身の熱が奪われ、一瞬で動きが止まる。

            回避が、できない。

 次の瞬間、視界に写ったのは肉体からはみ出た氷柱だった。
 滴る真紅は神経に火を灯す。冷感は過ぎればそれは熱となり。
 その氷柱を打ち砕いて、男は後方へと飛んだ。ここで死ぬ訳にはいかない。
 そして、ここで死ぬ運命でもない。死に場所くらいは自分で決める。

 その数瞬の中で。その跳躍を支援するべく恒星の一射が援護射撃として撃ち込まれた。
 魔弾の射手は『Star Raven』ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)。
 ソードオフカスタムによって短身となった天使のためのその銃が、悪魔の咆哮を上げる時。
 ショットガンスラグによって拡散すべき弾の起動は一つに撚り合わさり、一本の精密射撃のための糸となる。

 射手は思う。何故戦いを男は望むのか。
 それは、この戦列に並ぶ者たちが押しなべて抱く問いであり、感情であった。
 その問は、未だに晴れることはない。
 ただ、一つわかりきっていた事。それは、相手に感情などもはや存在し得ないということ。
 今はこの災厄の星(ディザスター)を打ち崩すことだけ。それだけを、思念に入れる。

 その撚り合わされた糸が一条の光として敵を穿つその時。
 オーウェンのピンポイントもまた、相手を捉えたのだ。
 しかし、それは時として、残酷なる音色の中に組み込まれて消えてしまう。
 階をつかむには、まだ遠い。

 混迷を極める戦場。
 しかし、その中に青と紅のコントラストがいくつも織りなされ、戦いの中に華を添えている。
 その紅は戦場の鮮血が一つであり、もうひとつの華は若き一人の英雄によるものであった。
 その英雄の名は、結城・宗一(BNE002873)。英雄の体は戦気のそれによって紅を纏う。
 そして、その肉体はただひたすらに戦場を駆ける一筋の刃となった。
 男もまた、デュランダルだ。体は鋼で出来ている。魂は、すでに刃となっている。

「おら…くらえっ!」

 熱闘の中で、男はただひたすらに刃に極鋼の一撃を載せて舞う。
 数瞬数瞬の積み重ね。回復の余裕すら与えぬ極鋼の斬撃が空を切っては踊る。
 その幾つかを忍びに食い込ませるその中で、それが空を切った時――。
 それは、一瞬の隙、だったのだろうか。男が地に触れた、と理解した時。
 ――体は一瞬にして、音と悲鳴を上げた。

 ゴガァッ。バギバギゴギリ、グギリ。骨の折れる音が、未だに耳に残る。

 ――大雪崩落。
 その技は、忍びによって真の魂を吹き込まれ、一瞬で英雄の意識をそぎ落とす。
 凍てつく冷気が肉体を灼く感覚と共に走る、むち打ちの如きショック。
 骨折に伴う内臓からの突き刺すような痛み。
 その痛みと意識の交錯する中。戦列の中で立ち上がり、鈍くも体が忍びを追う。
 肉体は確かにボロボロだ。しかし、まだ魂は、折れない。
 後衛の治癒術式が肉体の異常と凍傷を癒す。意識の軽くなる中で、男は吠えた。
 ――戦列は、まだ熱闘を呈している。未来は、果たして残るのか。

 その混迷の中をメアリ・ラングストン(BNE000075)の天使の息が駆け抜ける。
 不浄なる治癒技師。そう呼べば不遜に当たるであろう彼女は、息吹の力で戦列を支え。 
 その肉体を癒す息吹に戦列の仲間の気が軽くなる中で、治癒技師は吠えた。

「ヒャッハ-。モヒカン(もう引かん)の精神で戦うのじゃー」

 ヒャッハー。それは古から伝わる精神性であり、略奪すら正と化す法である。
 その精神性を礎に据えた治癒技師の魔術は、戦略の礎となっていく。
 戦列の仲間たちも仲間の血を浴びながら、戦列を推し上げようと必死だ。
 階は、間違いなく近づいている。ココで、戦線を引かせる訳にはいかない。
 それは、自分のポリシーにもつながるから。

 忍びの男とて生体である。完全に信念がないわけではない。
 ただ、その目的を無意識下にまで落とし込み、感情を完全に捨て切っているのだ。
 戦いは目的に過ぎず、手段にもまた拘泥するという事はない。
 そのことを示すのが、無動作から放たれる凍結波の一撃だった。
 その波は精密にオーウェンを捉え、完全な氷のオブジェへと変貌させる。
 それに対応するべく戦列が一瞬、揺らいだ。
 揺らぎは時として波となり、戦の女神さえ凍りつかせる。
 しかし、その揺らぎを抑えるべく、身を張る者たちもまた、いたのだ。

「この先は行かせんよ!」

 宰相の影がどこか滲むその背中は、頼もしく見えたのが気のせいだろうか。
 彼の者は『鉄血』ヴァルテッラ・ドニ・ヴォルテール(BNE001139)。
 重装甲と手に持つ唸る刃を武器に、戦列の揺らぎを抑えるべく彼は立つ。
 しかし、その重装の鎧は時として、災いとしてその身に降り掛かった。

 忍びが一瞬で踏み込み、盾をすり抜けて装甲に軽く手を触れる。
 ただ、それだけあれば十分なのだ。拳術を放つには。

「ガハッ……!」

 装甲に傷は一切ついていない。しかし、その衝撃は時として装甲すら抜き去る。
 土砕掌。内破の衝撃波がヴァルテッラを打ち抜いたのは数瞬の出来事だ。
 内角深いボディブローのような強烈な衝撃波が内部から肉体を破壊する。
 その重い肉体が、ぐらりと揺らいだ。その揺らぎを抑え、戦線を引かせぬために。

「ココは行かせないのデス!」

 装甲を纏いし力天使(パワー)は肉体を前へと張ったのだ。ここを死守せんがために。
 力天使の名は『超守る守護者』姫宮・心(BNE002595)。
 中衛の身でありながらも装甲をまとう彼女の体は要塞として機能するには十分である。
 そのか弱き肉体を補って余りある装甲で敵を抑えながらも、恐怖と彼女は戦い続けた。
 恐怖を破壊すべき術式は、異常を癒すには十分なそれで。
 氷塊と化したオーウェンの肉体が癒され、元の柔らかな四股を取り戻す。
 階への道は、より近く。しかし、その道はいまだ遠く。

 苛烈を極める戦闘の最中。忍びの男の動きに違和感を感じたのは七布施だった。
 攻撃の手が緩んでいる。苛烈だった攻撃が緩み始めているのがわかるのだ。

(これは一体……?)

 七布施が怪訝な視線を投げるのもまた道理だ。通常の戦いの中ではまず有り得ない。
 そして、その視線のその答えは、ヴァルテッラの声が示していた。
 ヴァルテッラの視線に、映るそれは。折しも、七布施の声と重なって。

「みなさん、気をつけてくださいっ! 何か様子が変ですよ!」
「来るぞ! 構えろッ!」

 明らかなる危機。最大限警戒すべき恐怖の一撃だった。
 瞬間的な凍気の放射がヴァルテッラを襲う。
 半機半人といえども、やはり半分はヒトなのだ。冷気を受ければ筋肉は収縮、収斂する。
 しかし、その最中といえども相手の攻撃の動きを止めねば戦況は傾くだろう。
 ギリギリの攻防戦。相手の手を少しでも止めるべく、反射的に左手の盾を突き出す。
 全力での護身。自らの身を守ろうとする生存本能に似たそれが動き出す。

「片腕一本。それで済むのなら、安いものだ!」
「……愚かな。」

 男がこの戦いで唯一、初めて発した言葉。
 しかし、その行動の間髪すらも、忍にとっては機会でしか無かった。
 盾をつきだした際に生じた下の余白に体が滑りこむ。
 突き出された腕の伸びきった関節に的確に衝撃を加えれば――。

 べギリ。 ガンッ。

 義手の腕が粉砕されるにそう時間は要しない。神経回路から痛みが伝わる。
 更にそこから、重量のバランスが一瞬崩れた体に叩き込まれるコンボ。
 超重装甲服の隙間に貫手が差し込まれ、鮮血の花が咲く。
 その状態から臓腑の一部を粉砕する凍気が更に差し込まれた。
 深部体温が奪われ、意識が混濁する。貫手が抜かれた。揺らぐ視線、跳躍する姿――。
 空中で首が掴まれた。忍びの男の体がツイストする。

 ――ゴギリ。

 地面に伏せる体は、首が90度以上に曲がっていた。
 脊髄骨折と神経系の狭窄。脊椎はすでに粉砕されているのが目に見えるようだ。
 コレほどの一撃を食らっているということは、常識に照らしあわせれば、死んでいるのだろう。
 しかし、運命は死を許さない。いまだ、この地で死ぬことを許されているわけでは、無いのだ。
 ――息は、残っていた。それにまだ忍びの男、周囲のリベリスタは気がついていない。
 否。気がついていなかった。

●Be Silent....

「ヴァルテッラ!」
「ヴァルテッラさん!」

 その場にいたリベリスタの全てが絶叫する。
 ほぼ、死んでいるように見えるのだ。まず助かるまいという感覚が場を支配した。
 仮初とは言えど、仲間の死。
 無駄にせぬために、リベリスタは車掛りの戦法を堅持、的確な戦略によって敵を追う。

「テメェにこれ以上殺らせるわけには行かないんでな!」
「無論だ。語るまでもあるまい。」
「ヴァルテッラの仇ッ! ブッ殺すッ!」

 オーウェンの怒りを噛み殺した冷徹な声が怒気をはらんだ二者の声に筋を通す。
 英雄と騎兵の激昂の追撃は忍びの男を駆り立てるには、十分なそれだ。
 そして、地に伏した尖兵もまた、機を伺っていた。

(そろそろ、頃合いか)

 コキリ。首が曲がる音がした。
 視界にはすでに乱戦を呈した戦場が映っている。好機だ。

 一本の気の糸が、忍びの肘を貫く。

 がくりと付かれた膝、鈍る敵の動き。
 戦場に佇む魔弾の射手も、この好機を逃す存在ではない。
 そして、この場に居た全てのリベリスタがこの時を逃すことはしなかった。
 銃口から放たれたのはよりディープで、かつイノセントな一射。
 ――ピアッシングシュート。

 それに呼応するように、亜音速の一撃とオーララッシュが撃ち込まれた。
 その身に4つの軌道を刻んだ忍びの男は、すでに限界を迎えている。
 これ以上深入りする男でもまた、無かった。

「……」

 表情には無念さ、いや、諦念が浮かんでいる。しかし、それ以上何を語るということもなく。
 男はその場で跳躍、公園の木を足場に一瞬で姿を消す。
 リベリスタ達により、忍びの男が打ち払われた瞬間だった。

●Eternal Kombat
 忍びの男が払われ、静寂が戻った公園の中。
 そこには、ヴァルテッラの事を心配する仲間の輪が出来ていた。
 運命の力で死を免れたヴァルテッラは、心配する声が数多い中で、笑う。

「心配をおかけしたのだね。こちらは大丈夫だ。怪我はひどいが、命に別状もない。」

 そんなことを、笑顔で言いながら。
 体は確かにボロボロだった。仲間もまた満身創痍と呼ぶのが相応しい状況下だろう。
 逃亡先を確認すべく先を見る力天使も、姿の確認が叶わず戻ってくる。
 そんな中で。

「全く見当たらないのデス。 汚いさすが忍者きなたいデス!
 七布施さん、連絡お願いしていいデスか?」
「ええ、分かりました。」

 アクセスファンタズムを通じ、七布施から詳細の幾つかが告げられる。
 忍びの男の怪我の位置、状況の次第などが。
 これは、次の戦いにつながるものになるのだろう。
 そんな中、治癒技師の女がポツリと呟いた。どこか呆れた様相すら見せながら。

「ま、こちらも殺すまでの実力はないでの。やむなしといったところかのう。
 でも、なんだかんだ言いながらみんな生きとるし……。じゃ、帰るかのぅ。」

 女もまた、治癒術の使い手。仕事は山ほど残っている。
 そんなことを、考えたりしながら。帰り道の足を進めながらの、帰投だった。

 Fin

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
■STコメント
激戦でした。殺害は出来ませんでしたが、かなり良いところまで来てました。
次があるかと思いますので、リベンジマッチをお待ちいただければと思います。
この度はご参加ありがとうございました。

Result:
※敬称略、重症、戦闘不能含む。
重傷者:オーウェン、ヴァルテッラ、神城、結城
戦闘不能者:メアリ、七布施、ヴィンセント、姫宮