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覚醒、リベレンジャー!!


 どごぉぉん! と轟音が鳴り響く。
 そこに居たのは黒い仮面を被ったスーツの男たち。男たちは手に手に剣や金棒や銃や爆弾を取り、町を破壊し始めたのだ!
「ハッハッハ、壊せ壊せェ! この世界をD・ホールで埋め尽くしてやるのだ!!」
 中心に居たのは、カニのような姿の化け物。手の爪はがりがりと地面を引っぺがし、投擲する怪力すら見せるのだ。
 恐ろしいことだ。彼らの好むのは破壊と混沌、D・ホールによって崩界をもたらす為にその力を無尽蔵に撒き散らす、悪の組織である!
 その悪の組織の名は『ディメンション・イーター』!!
 もはや人々はこの世界に絶望し、膝を屈することしか出来ないのか!?
 否!
 否だ!!
 我々にはまだ希望がある!!
 それは人々が幻としてきた存在、覚醒者達。フェイトという名の力と共に超人として目覚めた彼らは、その力でディメンション・イーター達と戦うことが出来るのだ!!
 そう、地球の平和を護る戦士達。その名は――
「ぬぅぅ、誰だ貴様らは!!」
 怪人が叫ぶ。
 戦士達が、高らかに名乗りを上げた!



「大変よ、リベレンジャー」
 真白イヴ(nBNE000001)が、ぜんぜん大変そうじゃなさそうな調子で言う。どや顔うさぎの耳をぐいーんのびーんと引っ張って、映像に見向きもしていない。
「リベレンジャーって何かって? ‥‥今説明するわ」
 もふもふぐにーん。よく見れば、今日のイヴはだぼだぼの白衣を着ていた。眼鏡もかけて、ちょっとした博士っぽい格好。
 ちょっとかわいい。
「えーと、非常に迷惑なアーティファクトが現れた」
 ぐにーんのびのびーん。危険、でも厄介、でもなく、迷惑だ。どういうことなのだろうか。
「アーティファクトの名前は、超愉快犯型舞台演出アーティファクト『ヒーロースクリプト』。効果は見ての通り」
 映像を指し示す。そこには、戦士達がモブ怪人達と戦っている映像が流れていた。
「特定時間に一定範囲をエリアとして発動するアーティファクト。つまり、その効果範囲内に踏み込んだら、その瞬間その人はヒーローっぽい寸劇をやらされるはめになる」
 といってもね、まふもふぐにーん。緊張感がない。
「劇が終わればアーティファクトは自動消滅するし、別に誰かが死ぬわけじゃない。でも、一般人にはどうしてもこれを解除することが出来ないの。理由は、見てわかるでしょ? 本当に、本物の、ヒーローアクションを要求されるのよ。それが果たせるのはリベリスタ達だけ」
 だから、貴方たちに行って欲しいのね、もふりぐにーん。今日は一環してうさぎをいじることで現実逃避をしているようだ。
「設定はお任せ。変身ポーズもお任せ。人数は何人でもいいし、敵役の人数も任せる。配役は自由、『ヒーロー番組』を30分やりきればそれでおしまい‥‥迷惑でしょ?」
 ただ迷惑とは言うが、解除されなければ一般人はずっとその中を逃げ回らざるを得ないのだ。微妙に厭なアーティファクトに、リベリスタ達が少し顔を顰めた。
 ヒーロー番組が好きな面子は、少し顔を輝かせていたのも事実だが‥‥。
「それじゃ、覚醒戦隊リベレンジャー。出動ー‥‥」
 まふもふぐにょーん。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:夕陽 紅  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2011年09月01日(木)21:59
●成功条件
『ヒーロードラマ』を街中で成立させること。
 場所はとある都市一帯。
 リベリスタ達がエリアに踏み入った時点で『主役』としてアーティファクトに認識される。人払いの結界を兼ねてある上に、内部の一般人の記憶は、アーティファクト停止と共に改竄される為に神秘漏洩の心配は必要ない。
 
●アーティファクト
超愉快犯型舞台演出アーティファクト『ヒーロースクリプト』
形式もストーリーも問わない。とにかく「ヒーローらしい話」を完遂するまで動き続ける極悪アーティファクト。

●配役
最低限必要なのが

○ヒーロー
○悪役

の二つ。
これ以外は自由。味方5人の敵3人でも、敵幹部2人とボス級1人でも、形式は問わない。
「ヒーローらしい」ストーリーであれば何でもよい。

●サポート
一般人や戦闘員役として参入可能ですが、描写は本参加に比べ少なくなることをご了承下さい。


●STより
たまにはこんな息抜きシナリオも良いんじゃないかな、と思った次第です。
おはようございます、夕陽 紅です。
お約束ダイスキな方ならば是非に。お約束を裏切りたい方も是非に。
タノシク宜しくお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
デュランダル
真雁 光(BNE002532)
クリミナルスタア
古賀・源一郎(BNE002735)
ホーリーメイガス
モニカ・グラスパー(BNE002769)
デュランダル
石上 桜花(BNE002838)
ホーリーメイガス
雛月 雪菜(BNE002865)
デュランダル
結城・宗一(BNE002873)
■サポート参加者 4人■

神城・涼(BNE001343)
覇界闘士
龍音寺・陽子(BNE001870)
デュランダル
緋袴 雅(BNE001966)
ソードミラージュ
桜田 国子(BNE002102)

●襲撃、ディメンジョン・イーター!!
 轟音が街に鳴り響く。
 突然の出来事に悲鳴を上げる人々、その目線の先に居たのは異形の集団だった。
 先頭に立つのは軍服姿の酷薄げな女傑。『普通の少女』ユーヌ・プロメース(ID:BNE001086)こと、悪の女幹部ジェーン・ドゥだ。ばっと手を前に差し伸べると、凛とした声で命令を下す。
「さぁ行け。戦闘員ども、迂闊に出歩く馬鹿を捕縛してこい!」
 言うなり、守護結界を戦闘員(後ろに控える皆にも)にめぐらせた。万が一があってはいけないというさりげない心遣いを劇としてのこの場に廻らせつつ、戦闘員が一般人達を蹴散らす!
 『冥滅騎』神城・涼(ID:BNE001343)と『戦うアイドル女優』龍音寺・陽子(ID:BNE001870)が揃いの衣装で一般人達を(怪我しない程度に)投げたり殴る真似をするのだが、面白いように受身を取ってくれるのはアーティファクトの恩恵だろう。
「何、この全身黒タイツの集団!? 襲われるーっ!!」
 一般人役の『さくらさくら』桜田 国子(ID:BNE002102)も迫真の演技だ。もみくちゃになるついでに、変なとこ触んないでよ、とぼそっと釘を刺すのも忘れない。
「おやめなさい!」
 と、群集を掻き分けて現れたのは、『シャーマニックプリンセス』緋袴 雅(ID:BNE001966)こと巫女姫ミヤビだ。周囲からは明らかに浮いた格好だが、特撮ではよくあること。
「見つけましたわ、巫女姫!!」
 ばしっと鞭を引っ張って居丈高に叫ぶのは、『泥被り』モニカ・グラスパー(ID:BNE002769)だ。ボンテージスーツにピンクの髪と、これまた特撮では間々あるちょっと露出の多い幹部の格好。
「多少痛めつけてもかまいませんわね。やってしまいなさい!」
 びしっと鞭を叩くと、戦闘員達はこくっと頷き、なんとモニカをびっしばっしと叩きだした。
「あぁ、もっとぉ……じゃなかった、襲うのは向こうですわよ向こう!」
 鞭でびしっと戦闘員を叩いて叱咤すると、再び向かっていた。……少し嬉しそうだったのは見なかったことにしよう。
「……頃合いだ、あの姫を連れ去り、ヒーロー共を誘き寄せろ。それ以上の事等求めん、さっさと行け豚めが」
 そうやってしばらく遊んでいたモニカに、『我道邁進』古賀・源一郎(ID:BNE002735)こと『飢狼』一厳が低い低い声を唸るように叩き付ける。とたんにびくりと背筋が伸びる。
「は、はいィィ……」
 怯えるような顔をしながらも、嬉しそ……うに見えた。ともあれ、戦闘員とモニカに引っ立てられ、ミヤビが3人の幹部の前に立たされた。
「フン……容易いな。ともあれ、これで餌は揃ったか」
 指でミヤビの顎をつつ、となぞり、ジェーン・ドゥが薄く笑う。悪の手に落ちた少ね……少女を前に、民衆は為す術がない。

 助けられるのは、彼らのみ。


「こんなことをして何になるのです!」
 がちゃがちゃとミヤビが、縛られた手首を鳴らして暴れる。ここはとある工事現場。大きな砂山の上に立てられた柱に姫を磔にし、3幹部が立っていた。せめてもの抵抗のように叫ぶその顎を手でがっと掴むと、底冷えする声でジェーン・ドゥが囁いた。
「犬のように吠えるな。人類の言葉で喋ったらどうだ?」
「あぁっ、犬だなんてそんなっ!」
「貴様ではない」
 うねうねと身悶えるモニカに、はき捨てるように一厳が相手をする。
「狙いは貴様ではない。拳が疼く、血が滾る戦い……それを為せるのは……」
「お待ちなさい!!」
 その時、まるでタイミングを計っていたかのように、3人の戦士が崖下から現れた。
「それ以上の悪行……許すわけには参りません」
 口火を切ったのは『優しき青』雛月 雪菜(ID:BNE002865)だ。優しげな白い顔に強い決意をあらわにし、睨みつける。前に踏み出そうとするその肩を、掴むのは一人の男だ。結城・宗一(ID:BNE002873)
「待て、これは奴らの罠だ!」
「そうは言っても、あいつらの好きにさせるわけにはいかないわよ」
 そんな彼を制したのは、『希望の桜吹雪』石上 桜花(ID:BNE002838)だ。仕方ない、と頭を振ると、向き直る。
「来たな、貴様ら……レッドはどうした」
「あなた達には関係ありません」
「ふん、駄犬共がことごとく邪魔をして」
「うるさいわね。あんたに犬呼ばわりされる筋合いはないわ」
「あぁっ、来た来た……罵って!!」
「相変わらず気色の悪い……行くぞ、みんな!」
「「リベチェンジ!!」」
 ヒーロー達が、一斉に各々のアクセス・ファンタズムを取り出す。駆け出しながらそれを掲げると、3色のスーツを身に纏った戦士達が現れる!
 雪菜ことリベブルーが弓からマジックアローを打ち出し、戦闘員を撃ち抜いた。そこに出来た隙を縫って宗一ことブラックが突撃し、剣を豪快に振り回して戦闘員を薙ぎ倒す。桜花ことピンクは銃剣
を振り回し、突き刺すと撃つというアクションで次々にばたばたと敵を撃破していく。
「ふふ、さあヒーロー! このわたくしめをギッタンギッタンのボコボコにしてくださいませ!」
 そこに、モニカが進み出てきた。鞭をびしんびしんとやりながら敵対する、その姿に攻撃を叩き込む。が、モニカは嬉しそ……うん、もう見ないようにしよう。
「あぁ、もっともっと!!」
「やっぱり、攻撃が効かない!!」
「いいえ、効いているのに……」
「喜んでる……」
 嬉しそうなモニカに、ヒーロー達の手が思わず止まってしまう。勢いが止まったその絶妙のタイミングで、ジェーン・ドゥが抵抗できないか弱い姫の顎に拳銃(もちろんおもちゃ)を突きつけた。
「お楽しみの所悪いな、男の娘崇拝者集団。抵抗するとどうなるか分かるな?」
「くっ、卑怯な……姫を離しなさい!」
「そうは行くか」
 リベブルーが悔しげに手を握り締めながら訴える。余談だがこの時、彼女は演技ではない「す」の部分で、(男の娘崇拝集団、というのはツッコまない方がいいのでしょうか)、と考えていたのだが、そんなことはおくびにも出さない。
「ジェーンめ、人質を盾に取ったか……ふん、余計な事を」
 一厳がすっと進み出る。勢いづいていたヒーロー達が、その一歩だけで気圧されたように後ずさった。
「ふん。まぁ、利用させてもらおう……この一撃、耐えて見せるのだな。覇ァァァッ!!!」
 3人の中でもとりわけ別格の雰囲気を漂わせた一厳は、力を溜めると視認すら難しいほどの高速で移動する。もはや光の帯にしか見えないその動きで、ヒーロー達を次々と攻撃する。ばしんばしんばしぃん!! と火花が散った。その攻撃に、変身すら解除され膝を付くヒーロー達。ざりざりと、砂利を踏みしめながら三怪人が満身創痍のリベレンジャーに近付く。
「とどめだ……」
 3人が、一斉に武器を振り上げた。
 ヒーロー達は、このまま負けてしまうのか……
 その時。
「ダークネススラッシャァーーー!!」
 まさに振り下ろされかけたその武器を、横合いから飛んできた真空の刃が弾き飛ばしたのだ。火花を撒き散らしながら後ずさる怪人達。その攻撃の出所である高台から現れたのは、黒と金の鎧のようなスーツを身に纏った謎の男! マントを翻しながら、すたっと降り立った。
「情けない姿だな、リベレンジャー。それでも俺のライバルかっ!」
「貴方は……」
 ピンクが見上げる。かつて幾度も戦い、その鎬を削ってきた。自分達とも違う、ディメンジョン・イーターとも違う謎の存在。
「光ある所に影はあり。地獄仮面、ダークム-ン。参上!!」
 ぎん! とポーズを取ると、悪役たちがたじろいだ。
「邪魔をしないでくださいましっ!!」
 ぎゅん! とモニカの鞭が縦横に唸る。屈み、回転し、華麗に避けるダークムーンは、仕舞いには素手で止めてしまった。
「貴様こそ邪魔だ。ダークネス・‏フルブラストォ!」
 だだだん!! と片手に持った剣が一瞬で何発もの光条を描き、いくつもの火花を撒き散らした。
「きゃあっ! ああぅ、でも気持ちいいぃ……」
 盛大に巻き起こる爆発と共に、モニカは死んだ(ように見えるように退場した)。その壮絶さは本気さながらというか、半ば本気で死に掛けていたのは言うまでも無いだろう。
「く。事ここに至っては貴様はもはや不要!!」
 予期せぬ助太刀に、不安要素を叩き潰そうと思ったジェーン・ドゥは流石だ。掌を姫に向けると、リベレンジャー達の顔が絶望に染まった。
「6文銭分の鉛球はくれてやる!!」
 放たれた式神の弾丸。直撃するかと思われたその時、凶弾の前に飛び込んだ影がその全てを弾き落とした!
「姫は助けさせて貰ったよ! お前らが彼女から離れる、このタイミングを待っていたんだ!」
「貴様は……まさか!」
「そう、想像の通り。だが、貴様達に名乗る名は無いっ!」
 一厳が唸る。それに答えるように不敵に笑うと、ひゅんっと飛び上がった。リベレンジャーの横に降り立った、その姿は。
「……! 来てくれたんですね、レッド!」
 雪菜が目を輝かせた。
「これで、全力が出せるわね」
 桜花がぐっと拳を握った。
「ふん、遅いぞレッド。一気にカタをつけるぞ!」
 宗一が笑う。
 さらわれた姫。彼女を救う為にリベレンジャーが取ったのは、全員で敵の意識を引き付けることだった。
 そして、まさに今。
 『勇者を目指す少女』真雁 光(ID:BNE002532)。リベレッドがその姿を衆目の下に晒したのだ!
「ごめん、皆、遅くなって。それに、ダークムーン……」
「……何だ」
 敵対しあった2人。幾度となく本気で刃を交えた2人が、相対する。
「ありがとう」
「はやく片を付けて来い。お前達を倒すのは、この俺だ」
「うん。みんな、行くですよ!!」
 4人が並び立つ。ばっとアクセス・ファンタズムを取り出すと、それを翳す。展開されたスーツが装着され
「勇気の炎、リベレッド!!」
「優しき青、リベブルー!!」
「強き大地、リベブラック!!」
「希望の桜吹雪、リベピンク!!」
 名乗り上げると共に各々ポーズを取る! 堂々と雄雄しく、その姿に先程の傷の影響は見られなかった。
「ちっ。やはり上手くいかないか、男の娘大好き集団どもめ。だが、多少の戦力ぐらいは削らせて貰おうか」
 ジェーン・ドゥは言うなり手の平を向けると氷雨を激しくばら撒いた。当たればかなりのダメージを与える攻撃を、あえて突っ込むことで回避する4人。援護に入ろうとする一厳はダークムーンが押さえ込もうとするも、空を飛びながら縦横無尽に氷弾を打ち降らせるジェーン・ドゥと強力な一厳の攻撃に、次第に5人は押されていく。
「まずはジェーン・ドゥからだ!」
 叫ぶなり、氷の雨を躱し重戦車のように突撃するリベブラック。下まで潜り込むと、全力のメダクラッシュを捻り上げるように振り上げる!
「ブラックラァッシュ!!」
 ばぎん! という音と共に吹き飛ばされるジェーン。追い撃つように、膝立ちに弓を構えたブルーの一撃が貫く。
「ブルースプラッシュ!!」
「小癪なっ!」
 地表近くで体勢を立て直そうとするジェーン・ドゥ。しかし、先回りしていたピンクが銃剣を打ち下ろし振り回す。何とか捌くも、その胴に銃剣を突きつけられ、全身から集めた力を銃口に込めて放たれた一発の砲撃が、ジェーン・ドゥを灼いた!
「ピンクストーム!!」
 轟音と共に絶叫を上げ後ろに下がる。がくがくと足を震わせて立ち上がるその姿にとどめを刺そうとする、その時。閃光が3人を襲った。
「ふん。所詮貴様等はこんなものか……」
 興が醒めたような顔で呟いたのは、一厳。3人がそちらに目を向けると、レッドとダークムーンは満身創痍であるのに対し、一厳は傷も付いていない。その状況で尚、リベレッドは剣劇を繰り広げる。振り下ろし、逆袈裟に振り上げ、一回転と共に一撃。それら全てを受け止め、一厳はその指を腹に突きつけるとフィンガーバレットを連射した。火花をスーツから飛び散らしながら後ろに派手に吹き飛ぶレッド。ふらふらのまま奇襲をかけるダークムーンも、敢え無く地に転がされる。
「死ね」
 無情な宣告。圧倒的な戦力差。このまま負けるのか。しかし、ここで予想だにしなかった出来事が起こる。
 振り下ろされようとする拳ごと、ダークムーンが彼を羽交い絞めにしたのだ。
「ちっ、俺も、ヤキが回ったもんだ……。レッド、俺ごとヤツを討て!」
「でも……」
「レッド、行け!」
「私達は、負けるわけには行かないのよ!」
 逡巡するレッドを、ブラックとピンクが後押しする。それは、ただ保身の為に他人の犠牲を良しとする声ではない。互いの使命を理解し、為すべき死に様を汚すまいという決死の決意だ。
「ぬぅぅ、貴様等ァ!!」
「思う存分に戦ってください。レッド!」
 ブルーが更に声をかける。ふっと目を閉じると、開く。レッドの目には、燃える勇気の炎が灯っていた!
 ブルーの術がレッドの背に不死鳥の羽を生やす。天高く飛び上がると、その肩に剣を担ぐ。
「煌け我が剣閃! 聖なる剣撃その身に刻め!」
「や、やめろぉ!!」
 一厳が必死にもがく。その度に傷つくダークムーンは、決して手を緩めない。
「必殺! S・フィニッシャァァァ!!」
 炎の尾を轢いて空中から急降下するリベレッドは、その勢いのままに一厳を二閃三閃、そして勢い良く飛び上がり、唐竹割りに振り下ろした。
 轟音、爆炎!
 強敵、一厳の最期(あくまで劇として)であった。
「くっ、状況不利か……貴様達の勝ちだ、男の娘フェチ集団。だが、次回は負けん。一時の平和を謳歌するが良いわ」
 その光景を見たジェーン・ドゥは、よたよたと逃走する。しぶとい敵だ。またいずれリベレンジャーの前に姿を現すだろう。だが、脅威は去ったのだ。
「ダークムーン……」
 リベピンクが寂しげにその名を呟く。業炎の中には、好敵手の鎧が垣間見えた。
「……いや、待て。まだ生きているぞ!」
 ブラックが気付く。スーツは無残に破壊されているものの、その胸は微かに上下している。マスクも割れ、その中に見えるのは――
「お、おにーちゃん!?」
 レッドが驚愕の声と共に走り寄る。
「大きく、なった、な、レッド……」
 その素顔は死んだはずの、リベレッド、いや、真雁 光の実の兄の顔だった。
「俺はいつでも……お前を……ぐはっ」
 大きく喀血する。リベブルーが治癒の術をかけるが、次第に体温が下がって行く。
 折角会えたその兄の惨状に、ぽたり、ぽたり、と涙を流す。その涙に触れた顔が、ぴくりと動いた。
「おにーちゃん……!」
 ぱっと顔を上げる。ブラックと、ピンクと、ブルーと。顔を見合わせて大きく頷いた。
 兄は生きていた。突然の事実に喜ぶレッド。しかし、なぜ彼は正体を隠しリベレンジャーの敵に回っていたのか。

『次回、覚醒戦隊リベレンジャー。5人目登場!!』

 その時、どこかから声が聞こえた。役に入りきっていたリベリスタ達がきょろきょろと周りを見渡す。気合こそ入っているものの、次回予告のサブタイトルを突然読んだその謎の声に困惑しっ放しだ。
 と同時に、空がぐにゃぐにゃと虹色に光り、ぱっと弾けた。間の抜けたファンファーレがぱっぱらぱーと響く。
 良く判らないが、これがクリアの証しなのだろう。改めて調べても、その一帯には悪の組織の影も形も無かった。

 ……振り返ってみると、このアーティファクトは一体何だったのだろう。そもそも、誰がどこで発動させたのか?
 気にはなったものの、全力で舞台を演じ終えたリベリスタ達にはそれを追及する余力はなかった。
 爽快感を感じた者も、徒労感を感じた者もいただろう。正義と悪などあやふやなこの世界で、明確に自分の正しさを自覚できる世界に片足を突っ込み、リベリスタ達が何を思ったのか。
 それは、本人たちのみ知り及ぶところである。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
おはようございます、夕陽 紅です。

皆様のプレイングがもう……ほんとうに、お約束を押さえまくってて……
全体の整合性を保つ為に抜粋したり他の人の流れを採用したりしたりするのが辛かったです。が、それだけにとても楽しかったです。
ヒーロー、悪役、第三者。それぞれに見所は作らせて頂きました。お楽しみいただけたのなら、幸いです。
きっと次回は追加戦士だな!とか思いました。次回が書けないのが残念です……っ

では、またご縁がありましたら宜しくお願い致します。