● 「香水って、普段つける?」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、そうきり出した。 「今回は、アーティファクトの回収。ちゃんと持って帰ってきて。そこらへんに捨ててきたりしないでね」 やけに念を押す。 モニターに映し出されたのは、青いガラス細工の壜だった。 ギリシア彫刻っぽい感じで、題材は少年。 それぞれ手に花を持っている。 ポーズがくねくねしてて、なんかえろい。 「これ、香水ビン。中の香水の名前が『ヒュアキントス』」 画面をよく見ると、花の部分がふたになっている。 中には確かに液体が詰まっている。 「この香水と壜が両方ともアーティファクト。『ヒュアキントス』を男性がつけると、男をめろめろにして理性をなくさせ、ひどく悲観的にさせる。そして、香水壜を持っている人間はつけた人間をコントロールすることができる」 それって、どうなの。 「幸い、これ、女性がつけても周囲に影響はない。よっぽどたくさんつければ残り香が男性に移る可能性もあるけど、その心配はしなくていいレベル」 こわぁい。 「これ、とある香水コレクターが所有している。現在アークで回収のため、購入交渉中……だったんだけど」 イヴは言葉を切って、はあとため息をついた。 「とあるフィクサードに先に買われちゃった」 え~!? 「このフィクサード、『マダム・フラン』という通り名。特徴は……」 ごくり。 「耽美趣味」 はい? 「美少年同士が深刻な顔をして恋愛するのを見たり聞いたり読んだり書いたり描いたり語ったりするのが人生の喜び」 ああ、お腐れ様。 「ただし、昨今のBLはあまりにも屈託がなさ過ぎて嫌い。同姓を好きになった葛藤を掘り下げるのがポイント。ガチムチ系もだめ。美少年限定」 ああ、そうなの。 「話半分で聞かない方がいい。皆の身に降りかかることだから話している。ブリーフィング中にどうでもいいことは話さない」 え~、割とどうでもいいことも話してる気がするけど……ちょっと待てわが身に降りかかるって何だ。 「彼女は見目よい少年にこの香水をかけて、自分の思うままに耽美的シーンを繰り広げてもらうつもり。もちろん、複数ゲットの予定。一般人を犠牲にするわけにはいかない。マダムが少年を毒牙にかけようとしている場所は予測できた。そこにいち早く男子リベリスタを送り込む」 それはあれ? 耽美趣味に満ち溢れたお腐れ様のお人形さんになれってこと? 「もちろん」 もちろん? 「もちろん、みんなを犠牲にする気はない。相手の興味を引く話題を振ればいい」 つまり、腐れた話題を振り続けろってこと? 「その間は、アーティファクトを使用することはできない。まあ、その趣味がない人には精神攻撃に匹敵するけど、背に腹は代えられない」 イヴは、机の上に、びらんびらんの薄いブラウス着た吹けば飛ぶよな少年が見つめあったりして、刺繍読んだり、口に花びらくわえてたり、もつれるように走ったりしている表紙の本を山と積んだ。 「参考資料。健闘を祈る」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月26日(金)23:38 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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● 木陰にある東屋。 すぐ下の道を通りかかる少年達に目礼しながら微笑を浮かべる令夫人。 手に薄紫色の壜を携え、さりげなく蓋を開ける。 太陽神と風神に愛された少年の名を冠するその香り。 漂う花の香りを感じた彼らの心に浮かぶ言葉は一つ。 (((い、今からでもチェンジでっ!))) ここから先に起こることがわかって、胸が押しつぶされそうだよね。 でも、ごめんね。それ無理。 アーティファクト『ヒュアキントス』、華麗に発動。 ある意味、三つ巴な戦いが繰り広げられようとしていた。 ● 三高平の男子高校生制服夏仕様。 白を基調にしたシャツには、グレーの濃淡の肩章。同色のタイ。 ある意味、今回の依頼に採用するにはうってつけ。 着慣れてるから、新品のぎこちなさもないし。 『高校生イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)も、今日は黒髪さらさら、チャラ男色ゼロの眼鏡をかけた美少年。 はかなげ。あえて、漢字で「果敢無げ」としてみる。 普段、果敢に前のめりだから、まったくベクトル逆方向ってことだ! (これはアークの命運をかけた戦いだ。断じる。僕はノーマルだ。腐女子という名のフィクサードの悪行を止める) フィクサード「マダム・フラン」は、貴腐人ですよ? 腐女子って、誰のこと言ってるの? (僕の立ち位置は国語教師に憧れる少年。でもそれは本当は桐の気をひきたいだけで……) この季節、ホントはスカートのが涼しいよね。 雪白 桐(BNE000185)、今日は男子の制服。 つけられた柑橘系の香水が、動くたびにかすかに香る。 (私は服装趣味はどうあれノーマルです。今回の事は依頼の為に仕方なくです。本当ですよ?) そういう君がすきって言ってくれる女子がいないとは限らないので、ずっとそのままでいて下さい。 (カイ先生に憧れる生徒が初期の立ち位置。後は成り行きで) (戦場到着……初依頼……なんかミスったかの。最近の若いもんはよくわからぬが来てしまったもんは仕方ないのじゃ) 『砂嵐』砂原 嵐(BNE001538)、81歳のおじいちゃんだ。 (任務のためなら仕方ないの。十代の少年なんて何年前の話じゃろうか……ふむ。どろどろの四角関係をマダムにお届け。全力で、全力で演じる81歳なめんな) 闘志みなぎってます。めらめら。見た目に反映されてないけどね。 (わし……じゃない僕の力、見せてやるんだぜ!) そんなっ、口調まで変わって! (雪白桐が好きな少年。同じく桐が好きな御厨と、桐に好かれてるカイ(教師)を嫌悪……じゃな) この人、今はオレンジ色の髪をした素敵な美中年ですけど、ほんとは頭インコなんですよ~。 淡いグリーンのフリルシャツにファー付きジャケット、白のスラックスですけど、いつもは黄色い半ズボンなんですよ~? と、穴の中に叫びたくなる『ラテン系カラフル鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)、今回は愛される美中年国語教師の役。 リベリスタの視線も怖くない、超幻視です。文句なく革醒前のハンサムです。 (元妻とヨリを戻せるかもしれないって時ニ、なんて依頼を受けてしまったのダ!) 復縁前の試練とか思えばいいんじゃないかな。 (だがこれも大切な任務なのダ。心を開放しテ……少年たちを見れバ……バ……?) 漂う香りに、頭の中の配線が変えられていくような錯覚に陥る。 嗚呼、君のこと以外、もう何も考えられない。 ● (お兄ちゃんが女の子と話してるのを見ると、胸の奥がもやもやして……。家族愛が違うものに変わっていってる……。これが恋ってものなの?僕たち男同士なのに、兄弟なのに、おかしいよ……) 『三色カモマイル』鯨塚 モヨタ(BNE000872)、打ち合わせでできた設定を反芻中。 (なんでそういうの見て喜ぶのかよくわかんね……しかもケツを怪我するかもってマジで? どうしてそうなんの?) お母さんに聞いちゃだめだよ? (とにかく人の心を弄ぶような奴を放って置くわけにゃいかねぇぜ!) うん。そういう風に解釈してくれると、青少年の健全な育成的に助かる。 (拙者たちは何と戦っているのでござろうか……) 李 腕鍛(BNE002775)、自問中。 戦わなくちゃ。現実と! (モヨタ殿といちゃいちゃでござるな……まさか男とイチャイチャする時がくるとは思わなかったでござるが……あれ、モヨタがすっごく可愛く見えるでござるよ) そう。すでにひたひたと香水はモヨタの体に浸透しているのでございました。 そんなあなたは、香水の虜。 『モヨタ……俺はモヨタの前では自慢の兄としてふるわなければ。でもこの思いはどうすれば……』 モノローグですよ。発声してますが、内面的心理描写ですよ。 みんな聞いてますけど、あくまで心の叫びですよ。 マダムも、楽しそう。 「ほほほ。基本ですわ。同性、兄弟、ショタ受の三段盛り、おいしゅうございます」 腐ってるー! 話には聞いていたけど腐ってるー! 「……モヨタ、腕鍛お兄ちゃんのお隣に座りなさい。大事な話が……いや、やっぱなんでもない……俺の事どう思ってる?かなんて……」 ああっ、無駄に深刻っぽい。苦悩してる。苦悩してるよ! 胸元かきむしったりしてるよ。 弟の無垢な瞳に自分の穢れた欲望を見せ付けるなんてできないんだよね、兄として!? 「どう思ってるかなんて……聞かなくたってわかるでしょ」 ヤドカリ見つけたーのモヨタ君とは思えない憂いに満ちたまなざし。 言動はマダムの仕業ですよ。モヨタ君には責任はありませんよ。 『2次元インワンダーランド』羽柴 壱也(BNE002639)の手元は忙しい。 (鞄に仕込んだビデオカメラ。見えにくい所にもう一台。ルアに渡した一眼レフ。改造して腰のベルトに仕込んだデジカメ。そして唸れマイ一眼レフ!) さすが、生BL目当てに男子校に不法侵入してつまみ出された黒歴史を持つ女。 (瞬間! 行間! 吐息! 葛藤! 眉間のしわ! これこそがBL!) そんな壱也をみる『ぴゅあわんこ』悠木 そあら(BNE000020)さんの目が生暖かい。 (そあらさん、腐女子な展開はあまり興味ないのです。一回り位年上の俺様なお兄さんがしょたっこを権力で抑えつけようとしてる展開とか全然萌えないのです) いわゆる一つの黄金パターンですが、なんでそんなこと知ってるんですか。どんなんだったら萌えるんですか。 「BLはずいぶん変わりましたが、ジャンルとして広がり世間にBLを浸透させました。それは認めるべきこと。 時代に変わりあれどその根底たる愛は同じものなのだから」 『ミス・パーフェクト』立花・英美(BNE002207)、朝もやの向こうから華麗に推参。 言っとくけど、その「愛」腐ってるから! 「ですけれど、何の疑問も持たずに、男子に手を出す輩の屈託のなさにはなじめませんわ。ええ、もちろん、男子が男子に惹かれるのを止める気はありませんのよ? ですけれど、もうワンクッションほしいのですわ。あなた、お分かりになりまして!?」 何者だとか、リベリスタだとか、そういうの一切超越したよ、マダム。 お腐れ様はお腐れ様がわかるんだね、においか。においなのか。 英美は、厳かに頷いた。 「舞台はミッション系男子校。物静かで儚い美少年A。孤立を受け入れながら孤独を耐え切れず誰かを求める日々」 事前に打ち合わせていたシチュエーション。 「よろしいですわね」 マダムが食いついた。 「ムードメーカーの少年B。明るく振舞いながらも周りとの異質感を拭えず本当の自分を受け入れてくれる誰かを渇望するというのはいかがでしょう」 「悪くないですわ」 食いつき、よろし。 目を向ければ、すでに四人模様は香水効果でにえにえだった。 ● 『夏栖斗君、君がいけないんだ。そんな思わせぶりな目で僕を見るから。浅黒いキメの整った肌……つい触れたくなってしまうよ』 カイ先生のモノローグ。以下同文。 「寒くないかい? これを羽織ると良い。」 カイ先生、ジャケットを肩にかけると見せかけて、そっと抱き寄せ、うなじに唇を……。 うおおおおおと、地面を揺らす勢いでうめくお腐れ様。 「そんな、二人がそんな関係だったなんて!」 小さく悲鳴を上げ、よろめくように走る桐。 耽美時代の美少年は、足をもつれさせるようにして走りすぐ転ぶよう、運命が調律されています。 『私の片思いは独りよがりだったのでしょうか。カイ先生のあの眼差し、言葉、力強い腕。私の事を思ってくれてると思ったのに!』 「なるほど。教師を挟んだ三角関係と見せかけて、少年Bの片思い。すれ違う二人の心。なかなかやりますね、マダム」 「基本ですわ」 みんな近距離で噴霧されちゃったので、思いのベクトルがごっちゃになってるよ。まあ、人物相関図がごっちゃだから、結果オーライ! 先生の腕から逃れ、桐を追う夏栖斗(足もつれ気味) 「そうね、こんなにかっこよくて力強くていい人ですから。カイ先生も惹かれて当然ですよね」 追ってくる夏栖斗に笑顔を浮かべる桐。 口調が往年の耽美小説美少年口調になっているのは、マダムの趣味です。桐に責任は以下同文! 「桐! ……本当は、本当は僕は君のことが! 少しでも桐の気を引きたかったんだ。でも、不器用で上手く言えなくて…」 夏栖斗は顔を背けた。 『僕達男同士でダメだっておもってたけど。気持ちは募るばかりで』 「変だよね、気持ち悪いよね。でも、この気持は嘘にしたくない。だから、桐。受け入れてもらえなくてもいい。伝えたかったんだ!」 熱い言葉が振り絞られた。 「よろしいですわね。最近のBLは煮詰まると、すぐに事に及ぼうとして困ります。指一本触れられない期間が長いほど、後が盛り上がるのです」 マダム受け、上々。 「その先は言わないで」 桐は、夏栖斗の唇に指をあてた。 外野から、声のない喜びに満ちた悲鳴が。 何を言ってるかわからないと思うが、お腐れ様はそういう声を出せる。 涙に潤んだ瞳が夏栖斗を見てる。 「それって……桐……いいの? 本当に……」 「この先の展開が気になりますわね」 「もちろんぬかりはございません」 木陰から昏い瞳で二人の様子を見つめる少年Cこと、嵐。 「む、桐君は先生が好き……なのか? なあ、僕じゃ駄目かな? ねえ僕のコト見てよ。ねえ僕のことどう思ってる? 僕等まだ出会って間もないけど、その、なんか運命の糸……そういうの信じる方? あ、やだ、僕を見てよ、先生や夏栖斗じゃなくて……。僕を見てくれなきゃ、その綺麗な身体……拘束して僕しか見れなくして……ふふ、嘘だよ?」 「ヤミっぷりがぬるいっ!!」 英美さん、お静まり遊ばして? 「そこで嘘などと逃げてどうする! 自分の魂の叫びを貫かなくては!」 英美さん、クールダウン。 「嵐君、恋愛に歳は関係ないよ。何が重要かって? ハートさ。透視で僕を見てご覧。僕の気持ちがわかるはずだよ」 嵐の背後に忍び寄り、肩に手を置くカイ先生、愛の狩人!? 「はぁ、高揚しますわ。素晴らしいですわ」 「一緒に盛り上がり、時にぶつかりあい……一人より皆がいいんです。BLで世界は一つになれる。私はそう……信じています」 説得のためとはいえ、話がでかくなっております。 「貴女に必要なのは香水じゃない。大好きを分かち合える…仲間です!」 ビシィ! 「美少年達の甘い囁き合いを聞きたい。切ない葛藤を見たい。狂おしいほどの愛憎を見たい。それを分かち合える仲間が居るという事はなんて素晴らしいの! さあ、貴女も私達の仲間よ!」 『雪風と共に舞う花』ルア・ホワイト(BNE001372)が、両手を広げて歓迎する。 ああ、仲間ってなんて素晴らしいの。 私、もうこんなアーティファクトに頼らなくてもいいんだわ。 感・涙☆ マダムは、香水を東屋のテーブルに置いた。 香りは瞬く間に効力を失い、男子リベリスタはショックにのた打ち回る間もなく、新たな敵との戦いに、きびすを返した。 ● (アーティファクトは腐ってる女性には渡したくないのじゃ。なんとしてでもアークに渡さねば……アークの男が危ないのぅ) さおりんとか虜になってるの、見たいような見たくないような……。 餌……男子の動きはすばやかった。 すばやく腐女子をブロックし、アーティファクトが彼女らの手に渡らないようにする。 「マダム。その香水壜、持っていってもいいかい?」 生涯の友を手にしたマダムは、カイの手に『ヒュアキントス』をゆだねようとした。 つるっ。 カイが手を滑らせた。 そのとき、乙女は横っ飛びでテーブルの上から香水壜を強奪した。。 恐るべきは、腐女子の執念。 すばやく作ってきた綿袋に香水壜をしまいこむと、英美は矢に結び付けてつがえる。 「ってコラふじょしーず香水返せぇ!」 モヨタのかまいたちが英美に迫る。 「身内が最大の敵になるなんて!」 「アイツら絶対に悪用しか考えていない。カオスを三高平に振りまくつもりだ!」 嘆く桐。追いすがる夏栖斗。 「悪用? 有用だ!」 英美が一喝する。 ろくでもないこと企んでる奴に限ってそう言うんだ。 きりきり引き絞った弦から放たれるアーティファクト。 「これは腐民の宝……父の弓、その全てはこの一瞬の為に!」 英美ちゃん。パパ、泣いちゃうんじゃないかな……。 矢は壱也に一直線。 突進する腕鍛。 それを体を張って食い止める壱也。 「ここからはいかせない!! 何がなんでも絶対にだ!」 覇界闘士相手に無手のデュランダルが立ちはだかっても、勝ち目などない。 それでも、そうしなくてはならない理由があった。 「ルア! それは、わたし達の明日の希望よ!」 守らなければならないものがあるのだ、魂かけて! 「よかろう、ならば戦争じゃ。殺してでも…じゃなくて、痛めつけても奪い取る!」 嵐は、泣く泣く弓を引いた。 先人の託された希望を握り締め、ルアは期待にこたえて全力疾走! 「ジーニアス最速にゃめんなー!」 うっぎゃー。何、この速度。 伏兵だ。腐女子軍団の隠し玉だー! しかし、人の心は時として数値を超える。 (ああっ、背後に。背後にっ! 追いつかれ……っ!!) 男子は今後の人生かかってるから死に物狂いだし。 「絶対運命黙示録! じゃなくって歪曲運命黙示録! 歪め! 運命! 世界を、僕はアークを守るんだ!」 夏栖斗クン。まだ、そのときではない。 だがしかし、君の覚悟が世界を動かすことはないかもしれないけど、前を走るお嬢さんの動揺を誘うことはできる! (私って戦闘以外ではよくこけるのよね……) ルアちゃん。そういうこと言ってると……呼ぶよ? 「きゃっ?!」 すてぺん。 朝もやの高原では、草が朝露に濡れているから注意しなくてはね。 (転んでも香水は死守よ!) それでもルアは前に進むのをやめませんでした。 しかし、この作戦は、待ち伏せにはすこぶる弱いのだ。 ルアちゃんの前には、お手手をつないだアーク別働班がニコニコしながら通せんぼしていた。 ちなみに、ブリーフィングルームの相談は、戦術向上の目的により録音・録画されています。 ニコニコと笑顔を浮かべる、一般人で構成された別働班。 彼らは信じている。リベリスタの良心を。 それが実力行使であっても、アーティファクトの使用であっても、彼らが一般人に害することはないと。 そして、リベリスタの履歴に冗談でも『アーティファクト持って逃走』などと書き込ませるわけには行かないと決めたのだ。 リベリスタとして、その心を裏切ることはできるか? 否。 まっとうなリベリスタが、ここで立ち止まらない訳がない。 「届けてくれたんだね。作戦、お疲れ様」 ルアは、優しく差し出された手に『ヒュアキントス』を乗せた。 それを見てしまった英美さん。ばたっ。 きれいな顔してるでしょう? 緊張の糸がぶち切れて気絶してるんですよ、これ。 壱也さん、がっくり。 「データ……。お、お好きにどうぞ……」 こうして、三高平総BL化の危機は回避された。 やり遂げた漢達の記憶は永遠に……え、消すの? ほんとに消すの? 見つけたものに関しては、すべて徹底的に破棄された。 「微妙な場所に息を吹きかけることにならなくてよかったですよ」 そうですね、そあらさん。 「報告書には、尾ヒレたっぷりつけて記録しておくです」 そうですか。 そういう訳で、尾ヒレがいっぱいついた報告書ですよ~。ついてますよ~。ほんとですよ~。 だから。 だから。 男子リベリスタのことは、しばらくの間、できるだけ、そっとしておいてあげて、ね? |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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