● 「――――――!」 どう、と音を立てて、最後のリベリスタが地に伏した。 向かった数はおよそ四、五人。圧倒とは言わずとも、それらを連携と言う最大の武器によって次々と倒していった彼ら――フィクサード達は、敗北者たちを見てコロコロと笑う。 「ねえ、ジュンヤ君。この人たち簡単に倒せちゃったわ。リベリスタってこんなに弱いのかしら?」 「それは違うよ、アケミ。彼らは決して弱くない。ただ、君の美しさに彼らが見とれていたから、本来の実力を出せなかったんだ」 「それを言うなら、ジュンヤ君の格好よさに見とれて、じゃない?」 「君の美しさには敵わないよ」 「でも……」 戦闘直後、倒れた敵の真ん前でイチャつく二人。抱きしめたり耳元で愛の言葉をささやき合ったり。時には頬にちゅーとかしたり。 「帰ってやれよ」と言う言葉を吐く者が残らず打ち倒されたこの戦場に於いて、最早バカップル共を止める術は無く。 結局その後、およそ五分間にわたって愛の劇場を繰り広げた挙句去っていった彼らに、どうにか意識の残っているリベリスタの一人が、小さく悔恨の言葉を漏らした。 「……俺にだって、出会いが有ればなァ……っ!」 ● 「えーと……そんなわけで、お仕事です」 たはは、と苦笑いしつつ頬を掻く『運命オペレータ』天原・和泉(nBNE000024)の言葉を、リベリスタ達は聞いていたかどうか。 大抵、こうした連中の相手をする輩の反応は大別して二種である。即ち怒りに血の涙を流すか、思い切りどっ白けるか。 この度の依頼に志願した彼らがどちらの側に属するかはまあ後の話として。そんな微妙な環境下に置かれた彼女こそ最大の被害者と言える気がしないでもない。 さておき。 「対象となるフィクサード……クロスイージスのジュンヤと、デュランダルのアケミ――ジュンヤさんの方は、多少、後衛職スキルも所持しているようですが――の二人。今回の依頼は、彼らの討伐、若しくは拘束です。 基本的に彼らは神秘に関する知識こそは私たちと同程度に持ってはいますが、実力に関してはまあ、微妙なところですね」 「……個人の観点によって脅威の度合いが違う、と」 「そう言う事です」 どうにか『復帰』したリベリスタの言葉に、生真面目に頷く和泉。 「基本的なスペックとしては、そう強くはありません。……無いんですが、彼らは一定時間ごとに互いに愛の言葉を囁き合うんですね。 それによって、両者の体力がほんの僅かに回復するだけでなく……一定確率で、戦場全体に居る人たちの中で、恋人の居ない人は怒り状態になる可能性が有ります。敵味方問わず」 「恋人がいる場合は?」 「『後学のために、もっと観察したい』と思うらしく、それを邪魔する人間……まあ、要はお仲間に攻撃することになるかと」 ――死んでも御免被る。特に後者。 怨念じみた執念を身に纏うリベリスタ達を見ないふりするフォーチュナさんである。 「それと、このフィクサード二人はあるアーティファクトを所持しています。『繋命の赤い糸』と言うのですが……これを結び合った対象二人は、互いの生命力を共有することが出来ます。要は、片方を倒して連携を崩す、と言うことが出来ません」 「……割と面倒じゃないか? それ」 「そうでもないんです。何故と言って、先の映像を見ていただけた通り、今の彼らは複数名のリベリスタと戦闘を終えた直後の状態に在りますので、回復を図る余裕がなかったんですよ。今のうちに、更に先ほどより多くの数で叩けば、倒せる可能性は低くは無いかと」 ――感情に身を任せなければ。 言いかけた言葉を和泉が呑み込んだのは、仮にも『プロ』であるリベリスタ達に対して失礼な言動であると思ってのことだろう。 気遣いは有り難いが、このアーク、存外彼女が思っているほどまともな人間が居はしない。 「詳細については資料にまとめてお送りしますから、確認しておいてください。……あ、それと」 解説の終わり。ブリーフィングルームを退室するリベリスタらに、茶髪のフォーチュナはこれ以上ないくらい優しい笑顔で言った。 「先ほどの戦闘映像に出てきた彼らは、依頼の報酬とは別に暫く給料をばっさりカットしました。 今回皆さんが失敗すれば、どうなるかはお分かりですよね?」 少女の背後に、死神が見えた。 一応彼女としても、此度の敵に多少の怒りは抱いていたらしい。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田辺正彦 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年09月01日(木)21:59 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「見て、ジュンヤ君。此処からの景色、とっても綺麗……」 「そうだね。まるで……僕たちの愛の輝きを示しているかのように見えるよ」 「やだ、ジュンヤ君ったら……」 「ふふ。照れているのかい? アケミ……」 そろそろこの報告書読んでる方が飽きそうなので此処で止めとく。 まあ、そんなこんなで。舞台は夜。 夜景が見える小高い丘にて、フィクサード二人組は仲睦まじく……つーか半ばちちくりあっていた。 肩に手回したり、指を絡めたり、ついと顎を上げたり。割とやりたい放題。 「んー熱々のカップル。いいねぇ羨ましいねぇ」 それを、若干遠くより見守る男が居る。 『正義のジャーナリスト(自称)』リスキー・ブラウン(BNE000746)である。何処か人懐こく、見る者を和ませるような笑顔でバカップル共を見る姿は、流石に年長者の余裕の発露と言ったところか。 「羨ましすぎて涙が出てくるねぇ。――何としてもぶち壊す」 ごめん。訂正。割と殺気に満ちてた。 と言うか「爆発せい。それ以上に必要かえ……?」とぶすくれてる『エア肉食系』レイライン・エレアニック(BNE002137)さんとか、「私、宵月の大吸血鬼だけど、バカップル見てるとイライラするわね」とこめかみがピキピキ言ってる『宵月の大吸血鬼』フローレッテ・アリシュ(BNE002302)さんとかの濃密な殺気が流れている現場に於いても全く気付きやしないフィクサードってどうだよ。 これで不意打ちしかけようと思ったらESPで無効化されるんだから理不尽極まりない。 「イチャイチャすんな~、あーかったりぃ」 『箱庭のクローバー』月杜・とら(BNE002285)さんの口調までもが何時もと違うし。 と言うか拘束用のワイヤーまで肩に掛けちゃってる辺り、何かもう色々とマジっぽさが漂ってきてる。 「まあ、何と言うかな……そういうことは家の中でやれ」 何時もと変わらぬ風体で、忘とフィクサード共を見やる『燻る灰』御津代 鉅(BNE001657)の表情にも、普段のそれと比べると精彩がない。 (……別にそういう相手が欲しい訳でもないから怒りはしないが、涼しいのとは別の寒気が背筋を襲ってかなわん) 心中お察しします。 因みに、此処までギスギスした雰囲気に在りながらも、自身を見失わず穏々と光景を見つめている者も居ないわけではない。 (欲や見栄だけで繋がった関係を愛と言わない。『赤い糸』の求める愛が単なる、軽薄な言葉と行為だけの見せかけの愛なら、壊れる) 『一人鳥人間コンテスト』鳳 天斗(BNE000789)が、そうだ。彼の視線は空を見つめるかのように静かで、それ即ち虚ろである。 愛は個人の主観によってクルクルと姿を変える。身体だけの関係、金と縁を融かした関係、時には力で他方を屈服させることすら、人によっては愛とも成りうる。 彼らにとっての愛は何か。それを問う、その為に企てた此度の作戦。 で、その一端を担う、残りの参加者お二方はと言うと。 「ブヒヒッ。フィクサードなんて悪いことはいけねぇなあ。特にアケミの方はこのあっしが念入りに尋問してやらねえと……」 「二人の愛は本物ですね!ボクは誰がなんというおうと二人の味方ですよ! ラブリーエンジェル、恋のキューピッドとお呼びください!」 この有様ですよ奥さん。 言動からして既に下衆の『悪豚』オー ク(BNE002740)に、恐ろしいほどハイテンションの『『世界h』』小坂 紫安(BNE002818)。理由を問うまでもなく色々やばい。主に前者。 戦闘開始前どころか敵に近づくより前。最早ある種の阿鼻叫喚すら呼びかかっている状況で、取りあえず戦闘開始の合図となったのは、半ば目が虚ろな鉅の「……そろそろ行くぞ」と言う投げやりな音頭であった。 ● 「ねえ、そこの男。アークに来ない?女はいらないでしょ?男の方だけ居ればいいわよ」 先ず二人に近づいたのは、フローレッテと始めとする三人の女性陣。因みに男性陣は一応気付かれないような場所で待機中である。 対するフィクサード二人組。流石にこの突発的な申し出に対し、不快そうな表情を隠せない。 「いきなり何なんだ君たちは。僕にはアケミという生涯の伴侶が居るんだ。君たちの誘いに乗る気はないよ」 「ああん、ジュンヤったら、生涯の伴侶だなんて」 「本気だよ、アケミ。僕は君を」 この二人は気付いているだろうか。先刻からフローレッテさんが妖艶な笑顔をそのままに威風をなびかせまくっていることを。 ああ、そうじゃない。閑話休題。 「あら、これを見てもそう言えるかしら……?」 くすりと笑う、吸血鬼。 他の二人も同様である。着ている衣服を緩慢とも言える動作でゆっくりと脱ぎ捨てていき、その下に隠れる艶やかな肌色を徐々に徐々にと晒していく。 「!? き、君たちは何を……」 「んん? おぬしのアケミへの愛が本物なら、このような姿に惑わされるはずが無かろう?」 若干挑発的に言うレイライン。 そうして、ほんの僅かな時間が過ぎ――上から着ていた衣服を脱ぎ捨てた女性陣の姿は、水着姿のフローレッテととら。レイラインも水着でこそないものの、胸元を大きく開いて強調したドシックドレス姿は、年頃の男性の目を惹くには十分に過ぎる。 「ほほう。これは中々……」 因みにその姿を暗視カメラで取っている自称ジャーナリストが物陰にいたりする。 気付いているかリスキー。フローレッテの威風がたった今風向きを変えたことを。 かと、言って。流石に冷静に撮影までするのはどうかと思うが、此に目をそらすのは恋人持ちでも存外難しいのではないのだろうか。 緩やかな微風が揺らすフリルの可愛らしさと、豊満な肉体を飾り立てるアンバランス故の美しいドレスと言い、天真爛漫な表情に似合わぬ黒ビキニと、所々にクラッシュが入ったショートパンツ姿。視線が行かない方がどうかしている。 この上、 「…おやぁ? どこを見ておるのじゃ? ……ふふ♪ 触りたいのかの? このえっちめ(はぁと)」 「良かったら――とらと遊ばない?」 等と言われれば、割とトドメである。 予想だにしない攻撃に思わず膝を着くジュンヤ。それを見てあからさまに狼狽えるアケミ。 「そんな……ジュンヤ! あんな身体だけの女達に私が劣るって言いたいの!?」 誰が身体だけか。 ツッコミたくてもツッコめない、実は純情なレイラインちゃん。59歳。 ともあれ、結構効果はあったようである。傍目にしてもヒビが入りつつある二人の関係。これによって少しは、彼らのアーティファクト、『繋命の赤い糸』が効果を減じてくれれば、と思うのだが…… 「……いや」 ゆらり。そんな擬音を立てて立ち上がるジュンヤ。 その瞳に宿る愛という名の炎は、未だリベリスタらに吹き消されては居なかった。 「僕は起伏のない女性やロリババアは対象の範疇じゃない! だから、アケミ……!」 「ホラホラ。見てみなさいよアケミさん。君の彼氏他の女と腕組んでる」 「ジュ、ジュンヤ……まさか……!」 「アケミぃー!?」 ジュンヤが必死になって誘惑を突破した時、既に捏造写真でアケミを騙しているリスキーであった。 因みに先のジュンヤの言葉が暴力のカタチを以て後々彼の身に降りかかってくる事となるのは、本編では関係ない話である。 「ち、違う! 僕がアケミ以外の女と肩なんか組むわけないじゃないか! それはきっと捏ぞ」 「おいおい見ろよアケミさん。腕組んでる写真程度であんなに必死に否定って、彼氏、もっと疚しい事してンじゃないの?」 「ジュンヤぁ……!」 「其処の豚ァー!?」 半分涙目の彼女と、とにかく必死に弁解する彼氏。 本来は目視が不可能なはずの『赤い糸』も、うっすらとその姿をリベリスタらに見せ始めている辺り、最早この二人の関係も長くはない。 で、トドメはリスキーさんのとても爽やかな笑顔の一言だった。 「記者のカンではキミたちは長くないよ? 原因は彼の浮気」 「「……!!」」 怒りと、絶望。方向性は違えど絶句した二人の代わりに、キンキンと自己主張の音を鳴らすのは『繋命の赤い糸』。 キシン、と言う、糸が鳴らすには不釣り合いな硬質音と共に、二人の愛の証は塵と消えた。 「……案外、呆気ないものだったな」 策が上手くいかなければフォローに回ろうかと思っていた鉅の言葉が、ヤケにハッキリと戦場に響く。 が、この依頼は其処で終わりではない。 不意打ちが成功しないことは確定事項ではあるが……それでも、彼を始めとしたリベリスタ一同は、二人に気取られないよう武器を構える。 本番は、此処からである。 ● ちょっとこの作戦で惜しかったのは、紫安が考案した『引き剥がし作戦』である。 「ちょっとちょっと、アケミ様!こっそり聞いてください。リベリスタの奴らはあなた達に嫉妬しているんですよ。そこで二人の愛は本物と証明してやったらどうでしょう? 今ここにレターセットがあります、これでラブレターをジュンヤ様に書いてあげればきっと愛の証明となりますよ! さあさあ、向こうの机でちょっと書いてきましょうよ!」 本来はこういう風に誘いを掛けつつ、アケミをジュンヤから離れたところへと分断、距離が開いた段階で戦闘へと持ち込む……という流れだったのだが、これは如何せんタイミングに気をつける必要がある。 一応この二人、薄くはあるが自分たちが『ほんのちょっぴり行きすぎた関係』である程度の自覚は無いわけではない。 つまり自分たちの恋愛感情は他より群を抜いている事を理解しており、それはつまり『媒体』に頼らずとも自分たちの仲がどれだけのものかは見て解ろうというもの、という結論に至る。要は既に頭打ちの恋愛感情を更に助長する策を用いても、「そんなことは当然」で通されてしまうのだ。 かと言って。都合良く二人の仲が分断された状況でこの策を用いるのも、当然アウトだ。『繋命の赤い糸』は消失し、仮に復縁しても復活はしないとは言え、折角崩した連携が彼の言葉によって回復したら戦闘で苦境に陥る可能性が出てくる。 全体の流れに逆らうような方向の作戦を立てる以上、その微細な部分一つが崩れれば作戦そのものが失敗しかねないと言うのは、今回学ぶべき教訓の一つであろう。 まあ、でも、しかし。 「あー! アケミさんと赤い糸で結ばれてしまった――――! わりぃwwジュンヤwwお前の事、忘れないわ」 「えっ? えっ?」 「う、嘘だぁぁぁぁぁぁっ!?」 もう片方、紫安が講じた作戦の方は、この二人には思いっきりハマったわけだが。 スリもびっくりな手先の器用さで、適当に見繕った偽物の赤い糸をアケミに結びつけ、同様のものを自身に括った手を翳す紫安。 何だろう。二人の関係に対する怨嗟が無い分、彼の策が一番恐ろしい気がするよ。 「コンビネーションと言いつつ、敵の矢面に立たされる……哀れなものだな」 言いつつスローイングダガーを乱舞の如く振るう鉅に、アケミの涙腺は決壊寸前である。 状況は既に会話の段階を終えていた。リベリスタらの攻撃は基本、アケミに一点集中。ジュンヤもひたすら彼女のそばに立って守ろうとはするものの、当の本人が「要らないわよ! どうせ私を守るのもお情けなんでしょ!?」と庇護を固辞する始末でどうしようもない。 その上、とらが滅茶苦茶あからさまに「私の愛で痺れてー☆」とか言ってジュンヤに罠網叩き込んだり、フローレッテがアケミを尻目にくすりと笑いつつジュンヤに抱きついて吸血したりと、時折に挟む行動で二人の亀裂は一向に塞がる気配無いし。 「違うんだ、アケミ! だいたいその写真なんて傍目に見ても画質が粗いし! 彼女らの水着姿にも浮かれてなんかいない! もう一度、もう一度だけで良い! どうか僕を信じて」 「あ、信じない? じゃあトドメの三枚目。アケミさんどうぞ」 「おっと、コイツは元でも彼女さんに見せるもんじゃねえぜ。……ブ、ブヒヒ……こいつはすげぇな……」 「だから其処の中年と豚ァァァァァァア!?」 阿鼻叫喚、ここに極まれり。 二人の関係が崩れたためかは解らないが、愛の言葉による回復、バッドステータス効果も消失――とまではいかなくとも、かなり発動が減じられる上、本来守られるはずの攻撃主体が庇われることを拒否している以上、二人の敗北はそう遠い未来のことでは無かった。 「じゅ、ジュンヤの、嘘つき……」 ぱたん、と言う音と共に、遂にアケミが倒される。 「あと残るの自分の命をとるか、愛か。死ぬまで抗って愛に殉じてみせるか?」 一旦、武器を構える手を休め、声を掛けるのは天斗と、 「まあ今回は作戦上、ほんのちょっと仲を裂かせてもらったけどさ。二人とも怪我してるし、戦いで恋人を失うリスクを冒すよりも、こちらに寝返った方がいいんじゃない?」 誘いをかけてみるとらの二人である。 そもそも今回、リベリスタ側にとって割と疑問であった部分は、「何故この二人はフィクサードであるのか」だ。 確たる動機も無く、陽の目の見られない生活を選ぶ者など、余程極端な思想をしている者でもない限り居はしない。其処に何らかの理由が有って然るべきである。 で、それに対する二人の解答。 「アークだと!? 依頼一つにしたって僕たち二人の片方だけを入れて離ればなれにさせるなんて愚挙を起こす組織なんて、誰が入ってや」 「潰そう」 一部リベリスタ様方の瞳が殺気の色に染まった。 この依頼不足の昨今に何贅沢言ってやがるって顔になった。 ……ええと、うん。この後どうなったかは書くまでもないから、一旦省略することにする。 エンディングはいりまーす。 ● で、結果。 アークの別働隊が運ぶ中、とらの持ってきた拘束用ワイヤーでぐるぐる巻きにされたフィクサード二人は、念のためにそれぞれ別の車に乗せて運ぶことになった。 因みにこの際、戦闘前にも言っていた『念入りな尋問』に移ろうとアケミに近寄ったどなたかがフィクサード同様拘束されて一足先にアークに向かったのは秘密の話である。 「……愛って何だ?」 誰とも無く呟いた言葉。結局戦いの最中に答えを得ることは出来なかった天斗は、せめて吐き出すことで僅かな悔恨を無くそうとする。 聞きたかった反面、聞けなくて良かったとも思えた。彼の二人に聞いたら何時間どうでもいい話をされるか解らないし。 「日本は少子化だからねぇ。そーやって一生ベタベタしまくって、子や孫に見守られながら仲良く大往生しやがれですよ、まったく」 とらさん、それはいわゆる『祝ってやる』ってやつですか。 ぶーたれてるとらには目もくれず、一応破壊されたアーティファクトの痕跡が残っていないかと探すレイラインは、それが徒労に終わってため息をついた。 願わくば自分の想い人と……とか、ついでにアケミに恋人の作り方を聞いてみたり……とか考える、恋する少女なレイラインちゃん、59歳である。 「さて……おにーさんと赤い糸で結ばれてるのは誰かな?」 同様に、アーティファクトである赤い糸を探しつつも、ちらちらと周囲に視線を配り、何だか思わせぶりな言葉を吐くリスキーの肩に手が置かれる。 「……!」 喜色満面の笑顔で振り返るリスキーの視界に映ったのは、赤い爪を喉元に突きつけて笑うフローレッテであった。 ――因みに、その次の日。あるリベリスタが依頼で破損したカメラとメモリーの修理代金を経費で落とそうとして失敗したと言う話があったとか、無いとか。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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