●女子力(女性とは言ってない) 女性向け週刊誌型E・ゴーレム。 別にそれの姿をイマイチ想像できないとか言うわけではないのだがないのだがないのだが、その詳細を描写することはなんとなく憚られたので割愛することにする。 それと相対するのはリベリスタ。前後描写とかふっとばすとなんていうかそうあれだ苦戦してた。ピンチ。大ピンチ。 「くっそぅどうして男からの攻撃は通らないんだー(棒読み」 「いいや通るやつもいるぞなんでだそうだ関係ないけどあいつは料理と裁縫ができたきがするー(棒読み」 「そういえば女でもおしゃれとか上品さに欠けているやつの攻撃は通じてないな関係ないだろうけどー(棒読み」 「うーんどうやったらこいつに対抗できるんだー(棒読み」 思わぬ強敵。あわや、彼らの冒険はここで終わってしまうのか。 そこにさっそうと現れるのが君たちだ。 君たちは事前にこれの情報を聞いていたので今日のために準備を行ってきた。 つまり女子力バッチリだ。バッチリのはずだ。 ところで力ってつければなんか新語になる風潮はなんとかならないのか。 正しい日本語は一体どこに行ってしまったのか。 そもそもこれ書いてる日本語がまず正しいのか。 女子力って言うととても同性目線なのに男子力って口にしてみるとなんだか異性目線なのはどういうわけなのか。 そろそろよくわからなくなってきたので始めてもいいだろうか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:yakigote | ||||
■難易度:EASY | ■ リクエストシナリオ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2015年02月08日(日)22:12 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●女子力(基準が曖昧) 女性らしいってなんだろう。どの視点からだろう。性別的なものであるのは確かだが、それは出産という身体構造に起因するのか、一般的な価値観に寄せられたものなのか。それとも風土であるのか。極論を言えば蟷螂の雌は出産後に番いを食らうのだが、それも女子力なのだろうか。 戦って死にたいと、とある武人が言った。戦いの中で生まれ、戦いの中で育ち、戦いの中で完成していく。人生の終焉とは死だ。ならばその終焉まで、戦いの中でいたいのだと。しかし、注文というのは事細かに伝えるべきだと思う。それがどんな相手で、どんな場面で、どんな経緯で。その辺りを曖昧にすると中途半端な目に合うのだ。 例えばの話。誰だって、週刊誌に女子力無いからって理由で負けたくはないだろう。 「巷で言われている女子力って生活力の事でそこに少し女性っぽい彩や艶がある事ですよね? 私に女子力とか求められても困るんですけどね、別に普通に生活してるだけですし」 と、男子力がぶっちぎりで足りてない雪白 桐(BNE000185)が申しております。モノクロ系にワンポイントの赤でキメた桐が申しております。意図せずともにじみ出る女子力のオーラ。性別的に社会的に問題あることこの上ないが、今回の依頼に限りは万事オーケーである。 「かわいいですか? 私には普通なんですが」 だからだよ。 「女子力ですか? そういうのはちょっと……強いて言えば、『彼』と会うときはきちんとしていかないと、とは思ってますけど」 『局地戦支援用狐巫女型ドジっ娘』神谷 小夜(BNE001462)の言う彼というのがどんなものなのかは知らないが、碌でもないものだというのは予想がつく。っていうかぶっちぎりで異色系の筆者に横の連携とか求めてはいけない。なんにせよ、言葉の曖昧さとは便利なものである。やはり、視点を明確にすることは大事なのだ。 「あー……」 『龍の巫女』フィティ・フローリー(BNE004826)は仲間を見回して何かを察したようだ。女子力が必要と言われてもよくわからない。そんな時、手元のセルで検索できるのだから、便利な世の中になったものだ。 「春のヘアカラー? 隠れ家系スイーツ? もてカワ系コーディネート?」 そっとブラウザを閉じる。本当に、その場のノリで作った日本語を広めてくと碌な事はない。しかし、今回に限り必修スキルであるのも間違いない。聞きかじり、付け焼き刃でしかないが、それらしいことをしてみよう。 「私は前衛なので、ええと、リンパ腺マッサージで張りのある身体を作ってストレスに備える……?」 「何故、あたしはここに……あ、雪白さんのせいか、例によって。いやまあ、いいけど、もう慣れたから」 藤代 レイカ(BNE004942)はひとり、納得する。いいのだろうか。いいのだろうな。依頼内容。必修科目。女子力。普段からカオス極まるエリューションではあるが、ここまでいくともう現代社会ごと敵にすら見える。 「普段の仕事がこう、特に仲が良くない相手とは女子力で殴り合うチキンレースみたいな側面があるから まさかリベリスタの仕事でまで、こんなことになるとは……」 女性の職場は大変だ。 ●女子力(さじ加減) そもそも日本語で考えるからダメなのではなかろうか。時代はグローバル。ちょっと国境を越えてみよう。この国の国境は軒並み海上にあるのでわかりづらいが。無理やり英語にしてみるのはどうだろう。ガールパワー。アメコミか。 女子力がなければ戦闘は極めて困難である。参加時のブリーフィング。その際に渡された資料にはそのように記載されていた。 判定基準は曖昧で、確かなパラメータは存在せず、作戦が通るのかどうかすら微妙である。しかし、よくよく考えると普段の任務からそんなものではなかろうか。 敵の資料は完璧ではなく、予測と予想は不可欠であり、万全を期し、それでもなお不安が残る。 そう考えればこれも同じようなものではないかと思えてきた。 ようは女子力。それがあればいいのである。 よって君達の前で威嚇的な行動をとっている週刊誌型のエリューションも通常の粋をでない。戦い、護り、勝利するのだ。 よくわかんなくなってきたけど。 ●女子力(葛藤) 逆から考えてみよう。男性らしさの反対を女性らしさとするのなら。男性的行動の反対こそが女子力の成分であるはずだ。つまり、筋肉がなく、なよなよしていて、暗く、頼りがいがない。甲斐性に恵まれず、女性にやさしくない。そんな要素を集めて、女子力と。言わねえな。 女性向け週刊誌がエリューションになりました。 「冬コーデとか食べ物特集とか温泉特集とかデートコース特集とか載ってるんですかね?」 そんな発想が出てくる時点で桐はもうかなり危うい。いや、今回は心強い。 「食べ物といえばこの間おいしいパンケーキのお店見つけたんですよね。食事系もデザート系も揃ってるお店で、私が食べたのはデザート系ですけどね。生地がふわふわですけどゆるい事もなく甘すぎないけど主張がないわけでもなく、上に乗ったベリー系フルーツにジャムとかとあいまってほんとにおいしかったんですよ。カロリーも低めで、私は太らない体質なのであんまし関係ないんですけどね。食事といえば今日の夕食はどうしましょうか。面子いますしこの後鍋パーティとかしてもいいかもですね。食材・器具は家に揃っていますし、女性陣多数ですから生姜鍋とかいいですかね。あったまりますし美容にもいいですし」 原文ママである。だって弄くる要素がなかったのだ。これもう性別欄変えといていいんじゃないかな。 小夜にとって、女子力とは普段からの心がけである。 服装に乱れはなく、こすぎない程度に化粧を施し、動作のひとつひとつに気を配っていく。 「必要なときに女子力を高く見せる、っていうのも判らなくはないんですけど」 やはり、日常の染み付いた動作があてこその本番である。付け焼き刃や一夜漬けは身につかないのだ。 であるからして、小夜の服装はとりわけ気合のいれたものではない。可愛さと季節感を重視した普段着のものである。髪にもきちんと櫛を通している。戦闘で動き回る以上、乱れてしまうのは仕方のない事だが、行き届いた手入れはエリューションに効果抜群である。 「女子力はそれぞれが個性にあわせて見つけるもので、ブームにするものじゃないと思いますよ?」 ところで。 「あの人がこの場に居なくて良かったとは思いますけど」 自分の身内のことを思い出しながら、戦いのさなかにポツリと呟いた。 「だって居たら、こう。雪白さんの貞操が危険ですし」 「―――アタシの名前はセレスティア。心に傷を負ったリベリスタ……あれ、傷を負うようなこと何かしたっけ。まぁいいや。グリーン・ノアで回復体質の電池代わりガール♪」 『ツンデレフュリエ』セレスティア・ナウシズ(BNE004651)の言うそれは、一昔前に流行った小説体のそれである。そういえば、アバウトな女性観念が周知され始めたのもあのあたりからか。電池代わりガールが女子力アップに繋がるかは甚だ疑問だが。 「友達がいてもやっぱりアークの座学はタイクツ。今日も桐さんをちょっとしたことで弄っちゃった。 女の子同士だとこんなこともあるからストレス溜まるよね☆ 溜まらないけど☆ そんな時アタシは一人で三高平を歩くことにしている」 上の文面にひとつ間違いがあります。お分かりですね、弄ることとストレス溜まることが繋がっていません。 「がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出ともいうかな! ちなみにアークからのお給料の115%ぐらいは自分へのご褒美に消えてます! ちょっと多い分はリボ払いとかゴニョゴニョな副業とかそんな感じ。リベリスタも辛いよね!」 いずれカード破産が見えております。 「あー今日はどんな服を桐さんに着せよう……そんなことを呟きながら桐さんの反論を軽くあしらう。チラッとお店の中を見た。店はエロコスプレショップだった。全部まとめ買いした。桐さんに着せた。『ここの表現が最大特徴なので検閲します』誰かに止められた」 あまいものかっこわらい。 フィティ自身が思うに、どうにも自分の知識では女子力とやらを身につけて戦うことは困難なようだ。 そこで、友人に助けを求めることにする。本来の用途として使用される機会は圧倒的に減った気もするが、セルは大前提として電話である。 アドレスブックから友人のフォンナンバーをショートカット。きっと彼女ならば、からかったり嘘をついたりはすまい。それに、自分よりも詳しいはずだ。 帰ってきた答えはこうだった。 『パジャマパーティーでもしときなさい、いつものアレ持ってるんでしょ?』 流石に、パジャマで戦えと言われたのはフィティも初めてのことである。なお、筆者は水着で北海道に行けと言ったことはあるが。 「あ、でも少し前に雪白さんのせい(誤った認識)で水着で色々させられたりしたから、その親戚なのかな」 衣装としても噴飯モノだろうに。 少し恥ずかしい気もするが、友人がそういうのだ。間違いではあるまい。パジャマでペンギン抱えておじゃましよう。 「……槍で殴るのって女子力とは違う気がするけど、これはもう、リベリスタだから仕方ないよね」 大丈夫、全部間違っている。 「で、週刊誌というからには何か情報ないの? 個人的には仕事仲間とランチよりもディナーを一緒にすることが多いから、いいお店知りたいんだけど」 そんな余裕が戦っている最中にあるのかどうかは疑問である。 しかし、レイカの職場では元々、そういった関連は一般常識として覚えておかねばならないものらしい。案内をするわけでもあるまいし、なかなか装備の厳しい業界である。 レイカにとって、女子力とはTPOをわきまえた行動を取れることであり、着飾りや嗜好を言った女の子らしさではない。 その為に動きやすくて汚れてもいい、かつ移動時間も考慮してひと目についても何ら違和感のない格好、を選択している。ジーンズにシャツとパーカー。思想に沿った行動は流石といえるだろう。 「仕事きちんとできない子が女子力なんて言ってもバカな小娘にしか見えないし、そんなの煽ってる週刊誌も女子力なんて皆無よね」 容赦無い言葉を目前の敵に叩きつけてみる。ああ、エリューションがアイデンティティに悩んでいる。アタックチャンスだ。 「女子力、女子力……うーん悩むわね」 京凪 音穏(BNE005121)は女子力という言葉にいまいちピンとこない。 「あーそうそうこの前、ウィンドウショッピングしてきたのよね。ほら、この街来たばっかりだし。色々見てみないとと言う事でさ」 そうそうその調子。 「ライダージャケット+ジーンズと言ういつもの恰好で。色気なんぞ知らん。でまあ機械のジャンクセールとかバイクのパーツ探しとかしつつスイーツを食べて来たよん」 うん。うん。まだ、まだセーフだから。 「羊羹とかくずきりとか豆かんとか食べて渋いお茶をズズーって飲んで、そんで口直しにたくあんボーリボーリと。美味しかったわ」 うんうん。うん? 「え? 誰かと一緒だったのって? そりゃあもちろん―――ひとりでしたが」 アウトである。 「……あ、そうだ料理はほら、カップラーメン作るの得意!! お湯入れるの得意!!」 アウトである。 「え? なんか違う? じゃあなに、とりあえず脱げばいいの!? 違う!?」 アウトである。 「じゃあその辺に置いてあるコスプレ衣装着てみればいいの? セーラー服を着たりメイド服を着て「ずっと前から、好きでした」とか誰かに告白したり「旦那様、お茶の用意が出来ました」と言ってお茶を盛大にこぼしたりって感じ?」 最早ジャンルが違う。 「あーもう女子力なんてわかんないってーのー!! こんな私の攻撃が通るなら攻撃したるわー!!! やけだコンチクショー!! タマぁ取ったらぁー!!」 うん、通るわけねえだろ。 ●女子力(社会性) 変に字面から意味の通らない言葉にするからわかりにくいのではなかろうか。つまるところ、自身の置かれた環境における流動的概念としての女性らしさに対する適応力を言うのだろうし。え? うん。なんかそれらしい言葉を使ってわかった風で〆る気満々ですよ? そういえば戦闘らしいシーン描写を一切やらなかった気がするが、勝った。リベリスタの勝利、世界の平和は今日も守られたのである。 攻撃の通じたもの、通じなかったもの。その結果は敢えて言うまい。言うまでもなさそうだし。各々、胸中に自信ないし悔恨を抱えて今後に活かしていただければ幸いだ。 さて、返り血を浴びねばならぬような相手ではなかった。それは幸いである。動きまわることで汗や砂埃が付着するのは仕方のない事だが、血液なんてものが付着するとせっかく早くに終わった仕事も、寄り道はなしということになる。 「皆さん、この後一緒にご飯でもたべませんか?」 振り向いて、皆に声をかける。了承の声。任務達成はとうに報告している。書類的な行程に関しては後回しにして、ひとまずは疲れを癒してもいいだろう。 まあ何を食べるのかで、もう一度女子力が試されることになるのだが。 了。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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