● 「その空間では、ダメージに比例して、お召し物が消し飛びます」 厳かな口調で、『擬音電波ローデント』小館・シモン・四門(nBNE000248)はそう言った。 とたんに、勝手知ったるリベリスタはドアに殺到するが、ここは要塞ブリーフィングルーム。 かつて、あまたのリベリスタがこの扉をこじ開けようと死力を尽くしたが、開かなかった。 へこんだ。壊れた。修理代が危険手当から天引きされた。 開かないものは開かない。それが、底辺世界の法則である。 「とある工場跡に大量に廃棄された裁ちばさみがありまして」 リベリスタが、扉をたたいている最中も淡々と説明を続けるフォーチュナ。 「一度も使われることがなかったはさみは、いつか新鮮な布を切り裂いてやろうと決めていました。E・フォース的な観念で。これを放置すると――あ、ちょっと、やめて。それはこわい。わ、わ、おようふくが、おようふくがっ!」 遠いところを見ている四門が虚ろに言う。 「――通りすがりの女子高生が餌食になります。現実のお洋服に問題はありませんが、無数のはさみに着ている物を切り刻まれたという経験が消える訳ではありません。恐怖、無力感、羞恥――彼女達の心は傷つきます。神秘秘匿の観念から、妄想として処理されざるをえない。現実把握の相違から、カウンセリングにも時間がかかるでしょう」 扉にへばりついているリベリスタに、フォーチュナの視線が注がれる。 「これによってすぐ崩界すると言う事態ではありませんが、何人かの女の子の日常は確実に崩壊します」 四門がいつになくシリアスなのは、リベリスタがどんな目にあうかわかっているからだ。 「大丈夫。現実の装備には傷はつかないから」 それと。と、フォーチュナはさらに遠い目をした。 「どっかの高位存在が介入してくれるっぽい。あまりにも切り刻まれて社会的フェイトに損傷が入る前に白くてふかふかなバスローブがみんなを優しく包んでくれるでしょう」 愛ね。と、つぶやくフォーチュナ。 どこまでも白い空気がブリーフィングルームを埋め尽くした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2015年02月03日(火)22:28 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「ダメージを受ければ服が破ける……一体どんな空間なんだ!?」 ベオウルフ・ハイウインド(BNE004938)の疑問は、もっともだった。 しかし、これだけは言える。 皮膚が裂け、血が飛び散り、肉が裂けるよりは遥かにましであろうと! 「日本では、物にも魂や心が宿ると言われていますね。すべき事が出来ず、悔しい思いをされたのでしょうか」 『茨の涙』リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)は、心と思考に奥行きと幅ができた。日本の学校に入学してよかったのかもしれない。 おそらく、来日した直後なら、物品に魂など芽生えません。観察するものの気の迷いです。と一蹴しただろう。 少なくとも、そのっこころを慮ったりはしなかったはずだ。 「包丁か剪定鋏なら、まだ使ってやれたんだが……そこは言ってもしゃーなしだな」 『赤き雷光』カルラ・シュトロゼック(BNE003655)は、ソーイングに縁がなかった。うん、知ってる。 「説得してくれる人がうまくやってくれればいいが……まぁ、厳しいだろな」 「こういうのは、ダメモトだよ」 『息抜きの合間に人生を』文珠四郎 寿々貴(BNE003936)は、へらりと笑った。 可愛い目なネルシャツの重ね着とオーバーオール。 寒い外ではフード付のダッフルコートを加えてぬくぬくだ。 ぜひともイヤーマフを追加したいいでたちである。 古着屋で安物を集めた感じ――そういえば襟だの袖口に着古し感があふれている。 「路上生活の頃を思えば、比べ物にならない生活レベルの向上だよ」 革醒してよかったね。いや、ほんとに。 「ちゃぁんと本職デザイナーさんに頼んで春物のデザイン画を起こしてきてもらったし、十分な量の生地も用意したよ」 なぜ冬物ではないのか。春物なのか。 (うまくいけば、経費で一品ものが手に入る) そんな寿々貴さんは、この空間があくまで作られた閉鎖空間だということを忘れている。 しかし、この場にいるリベリスタは天然か、今ここで寿々貴さんのやる気スイッチを切るのはよくないと思える空気が読める人か、そうでなければ、面白いから黙っていよう精神の人であるので、寿々貴さんは現時点では幸せである。 「とはいえ、俺達リベリスタならともかく、一般人がそんな目に合うのを放置したおくわけにはいかん。ここは体を張るしかあるまい……」 この場合の体を張るというのは、裸体をさらすとニアリーイコールである。 「そうだよね、回復ってたぶん治癒力を高めるだけなんだろね。 服にそんなもの無いもんね。納得だよ」 『NonStarter』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)は、乾いた笑いと共にそう言った。 モノトーンのゴシック・ロリータコスチュームは、数々の修羅場を共に乗り越えた戦装束だ。 現実世界に影響はしないとはいえ、ヴァーチャルだから大丈夫というのは逃げのような気がする 寒い冬もコートはひらひらを阻害しない薄手。 暑い夏も、袖を捲り上げたりしないし生足ではなく、透けないタイツ着用。 肉体の生々しさを極限まで削る。それがゴシック。メメント・モリ! 「20歳になったあだるときなこさんの久々のお仕事です。はりきっていきますよー!」 『鉄壁の艶乙女』大石・きなこ(BNE001812)がパワーアップしてきた。年齢的な意味で。 禁欲的なプレートメイルに全身を覆う黒のボディスーツ。 透けない。ガチである。 「ボクはいつもの学ランですが、現実にはダメージがなくても切られるのは避けたいです」 『番拳』伊呂波 壱和(BNE003773)の長ランは、すそがぼろぼろだ。昭和の香りがする。 「お下がりですが、番長さんからもらった大事な服です」 歴戦の跡が神々しいばかりだ。 それが、受け継がれるバンカラゲン。 決して、地面についちゃってすれてる訳ではない。ないんだったら。 「何度も繕ったりしてますから、直すなら自信あります」 いや、それは割りと後ろ向きな決意。 「――直してる暇あんのか――?」 カルラのツッコミは、華麗にスルーされた。 「戦闘の前に説得を……以前の私には無かった選択肢、ですね」 リリは、そうできる自分が前よりいいと思う。 ● 『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)は、たちばさみと相対した瞬間にわかった。 (あ、荒ぶってる。ヤンヤンだ) いうなれば、今までトラウマスイッチを踏まれまくり、NGワードを言われまくり、鬱憤がたまっているのだ。 相手の言うことに耳を傾けようという前向きさが一切ない。 しかし、ここであきらめては、アイドルの名が廃る。 「あいや待たれい、裁ちばさみの諸君!」 アイドルグループの後ろがアルファベットで人数が少ない方よろしく、見得を切りつつ、まずは言上。 「道具として生まれた以上、その道を全うしたいという思いに賛同しよう!」 肯定してあげるのが第一って、偉い人が言ってた。 「芸能稼業はファッションが命!」 フリル付きチェックスカートにカラフルなジャケット。 凝った装飾、多い布地。 見えそで見えない。それが、アイドル。 (更に黒いストッキングで布地を増やす!) だけど、脚線美は見せ付ける! 「予算が無かったら自分で衣装を自作するのもまた是なり! 協力してくれればワタシの手で、今後裁ちばさみとしての道具生を末永く約束しよう!」 問おう。あなたが私のシザースか。 否。タチバサミのハートはやさぐれている。 びしびしに干からびている。 ではどうなるか。 じゃきゃきゃきゃきゃきゃ! 刃のかみ合う音が空間に響いた。 「――と言った所で収まるなら暴れてねえよな」 明奈のジャケットがノースリーブになった。 はらはらと舞い散る布片。 狼藉を許すのも、また鎮めの儀。 「この服、切り裂きたければ切り裂け! ワタシは不屈のアイドル、ドラマティックなスーパーガール」 三高平市の日曜午前中、君が一番視聴率をとっている! 「どんなに破けても、ギリギリ30%、放送できる範囲で留めてみせるぜ!」 その男前っぷりに、若干のはさみが浄化した。 「ちょっとまったぁ!」 明奈ネキに全てを任せるわけには行かない。 「女子高生が被害に遭うのを止めようとしてんのに、アーク内の女性陣を真っ先に切らせるとかありえねーって!」 MA-1を脱ぎ捨てて、Tシャツにカーゴパンツに軍用ブーツのカルラが先陣を仕る。 (頑丈さがウリの品ばかりだし、鋏が切りたがるタイプではないかも) ちらりとよぎるが、はさみの輝きが只者ではないことにカルラは気がついている。 刀を鍛造する様にはさみを作る職人魂。 それゆえ、この不遇を嘆く道具の恨みは恐ろしい。 しゃきーん、しゃきーん。 本来ならば、持ち主の手癖がつけられ、あなた色に染まっていくはさみのあまりにもニュートラルな噛み合わせ。 『リア充爆発しろ』 の慟哭にもさも似たり。 「カルラさん――攻撃は、待ってください!」 壱和は、大声を上げた。 「あの、まずは説得を……」 声は尻すぼみになるが、壱和の決意は変わらない。 「布を切りたいのは本分でしょうが、それだけが本当に貴方の役割ですか?」 飢えた者に、美味を味わうのが食事。と説いても、耳には入らない。 まずは、飢えを満たさねば。 カルラのTシャツが大きく切り裂かれた。 サングラス越し、カルラの顔色が変わるが、歯を食いしばった。 (全裸にさえならなければ……今ならなんとか我慢できる!) 臓器密売の被害にあったトラウマで、かつては腹部の露出を恐怖していた。 目もくらむ手術用のライト。空気にさらされる腹、冷たく湿ったヨードチンキ。冷たくてしっとりとした空気。こすれる金属音。 「俺が受けるって啖呵切った以上、覚悟も完了してんぜ!」 「縫い直します……!!」 縫い糸が粉砕されて糸くずになっていく。 戦闘中に服を縫い合わせることが出来るかと聞かれたら、即答せざるをえない。それは無理。 「人手が足りない分は影人を――!」 ちょきんちょっきんちょっきんな。 影人は、紙製ですしおすし。 壱和涙目だが、泣かない。 「その気持のまま切り刻んで、それで満足できるなら、貴方はただのハサミです」 ただのはさみでさえいられなかった。 ここで、朽ちるだけの刃だった。 凶暴なはさみの怒りを鎮めねば。 「俺も協力するつもりだぞ」 二人なら、はさみの手間も倍になる。 ベオウルフの闇に月の着流しに桜の帯。 切り刻むには骨が折れよう。 片肌脱いだ背にも腕にも無数の傷。 符より召還された白虎が、寄りそうようにベオウルフに力を授ける。 男衆に、ならば。と、女衆は神妙な顔をしてうなずいた。 「カルラさん達の服があるうちに、頑張りましょう!」 ちなみに、六尺ふんどし一丁も、裸ブーツも、意外と需要あるからな。 「まぁ、しかたないね」 寿々貴さんは、微笑んだ。 説得という道を選び、それに合わせて準備をしていたが。 デザインがどうとか、布地に不満とかそういう段階ではなかったぜ。 「みんながいろいろ切り裂かれるところも大いに見てみたいけど、回復専門家としてのお仕事はきちんとするよ」 みんなのHP減少率ニアリーイコール衣服の破れ具合なので気合入れやがってください。 (他の方の状態はばっちり瞬間記憶……ふふ、我ながら隙の無い布陣) 記憶媒体がだめなら、自前の脳みそがあるじゃない。人の可能性は無限大だ。 はじけるデニム生地。吹っ飛ぶコットンチェック(起毛)。 「褌だけは。褌だけは……!!」 死守!! である。 (見た目おっさんの下着姿というだけで大ダメージものだというのに、全裸とか一体どんな罰ゲームなんだ) ベオウルフは、ティーン(死語)であるのだが、革醒及び深化のため、年齢経過が進んでしまっているのだ。 とりあえず、色々薄く、そしてフォルムがまぁるくなったりはしてなくて、せめてよかった探しをしてみたり。 とにかく、自分が全裸のおっさんになるのだけは。 (それだけは絶対に防がなければ!!) 最悪の場合、お札で前張りという最終手段を使わざるを得なくなる! 「うん、大丈夫。君の褌は今マックスだよ」 言葉の意味は大体わかるが、誤解されやすい言い回しだ! ● メイのゴスロリ服にはさみが入る。 「いやああああああっ!」 破れただけでも涙ぐむと思っていたが、完全粉砕だ。これが叫ばずにいられようか。 「見えない! 絶対振り返らないから安心しろ!」 前衛で抑えられるはさみには限度がある。 そもそも、この空間そのものがはさみの領域だ。 守りきれる訳もない。 同行男性陣は、変態という冠のつかない紳士である。若干柄は悪いが。 すりっぷだ。 かっぷもついてないすりっぷだ。 というか、かっぷはぷかってなるから、かえって邪魔なイカばら体型だ。 そして、ぱんつは、ぱんつであった。変換忘れではない。 正しく「おぱんつ」である。 コットン百パーセント。ショーツですらない。何しろ体型にフィットしていない。かといってドロワーズでもない。 サイズ表示がS/M/Lとか号数とかじゃなく、身長で区分されている、ちょっとキャッチーな郊外型子供服量販店でも売ってない、あえて言うなら大型スーパーのプライベートブランドで取り扱っている、あれだ! しかし、メイが死守しているのはそこではなかった。 頭隠して尻隠さず。いや、リボン隠して尻隠さず。 なぜならば、リボンこそアイデンティティだから。 パンツ一丁とリボン一丁なら、リボン一丁をとる! 間違いない。リボンがなければ即死する! 魂的な意味で! ● 刃に身をさらすのは、男衆だけではない。 「この程度しか破れないなんて、切れ味の悪いはさみですねぇ」 挑発して攻撃を自分に向けるきなこは、いつだって最前線で身をさらしてきたのだ。いろいろな意味で。 「この重装備、剥がせるものなら剥がしてみなさい!」 物理防御点的にも、物理的にも、プレートアーマーをはさみで切り裂くのは至難の業である。ていうか、無理。 「服への換算がどれほどのものかは知りませんが、ポロリ慣れしているきなこさんの敵じゃありませんよー」 捨て身の姿勢。 しかし、鎧には、留めベルトというものがあるのだ。 幾百のはさみの妄執が一点に集中したとき、弾性を失ったゴムのようにそれはぷっちんと爆ぜたのだ。 すなわち――キャストオフ! 金属音が響く。 「「断じて振り返りはしない!」」 この空間には、紳士しかいない。 更なる攻撃でインナースーツが破かれても、きなこの仁王立ちは微動だにしない。 「下着が破れた程度では怯まないのです!」 最後の砦、絆創膏(汗・水に強く、お肌に優しいタイプ)はすでに装着済みなのだ。 きなこさんの配慮は、全年齢に優しい。 「神は言っておられます。右の頬をぶたれたら、左の頬を差し出せ」 マフラー、ストール、マント、ベール。 思いつく限りの各種布地を修道服の上に着込めるだけ着込み、十二単もかくやのリリ。 そんな装備で大丈夫か。 「修道服自体も布は多いですし、守る為の新たな力だって得ました。これだけあれば大丈夫です」 問題ない! 「布は沢山あります。気が済むまで、無念を晴らして下さい!」 じょきんじょきんじょきんじょきん。 その献身に、はさみは浄化する。 (暴力は最後の手段に。出来るだけ優しい『お祈り』がしたいのです) 禁欲的な修道服にはなぞの気や施工化が付与されているのだ。 ちょっとびっくりぼりゅうむがもにりん。 背中の十字架は、一生背負っていく。 その意味合いは、自分で変えていくのだ。 神の武器ではない、何かへ。 ● 「この光は!」 「御存知なんですか、寿々貴さん!?」 「『謎の発光装置』から発しそうな光です! ちなみに別の温泉回に使おうとしたら間に合わなくて、今回も回復に忙しくて使えません!」 「そんなことより、前出てくんなっ! 隠すとこ隠せ!」 「隠してますよ。絆創膏で――」 「もっと大きく面積隠せ!」 「放送できる面積の目安は30%だぞっ」 「現役アイドルのぎりぎりセクシー!」 「見てない、振り返らない!」 「尻尾、尻尾が届かない……」 「だから前に出るなよ!」 「バスローブが降ってくるー!」 「ギリギリまでノーサンキュー」 「ギリギリです! か、神様。早くお慈悲を……!」 「褌は、褌だけは……!」 「バスローブ、何でこっちに降ってこないんだよっ!」 「前に進むと決めたんです。矢先にこれで挫けそうですが、負けないです」 「壱和ー!!」 「リボンだけは死守します!」 「道具を愛せなくて何がアイドルか!」 ● 気がつくと、破れた服などはなく。 元の姿のまま、リベリスタ達は廃工場の中に立っていたのだ。 一丁だけ残ったはさみが、宙に浮いている。 「満足するまで暴れたか?」 明奈は、やり遂げたアイドルの顔をしていた。 たちばさみは、ゆっくりと高度を下げていく。 そのハンドルに指を突っ込んで、明奈は飛び切りのスマイルを浮かべた。 「なあ、一緒にトップアイドル目指してみない?」 ふわりと、何かがどこかに消えるのをその場にいたリベリスタ全てが感じた。 「……しっかり働いてもらうぜ! 例えひん曲がってようと持ち帰って修理して使うからな、覚悟しろ!」 たちばさみは、もう動かない。 E・フォースは、浄化されたので。 今度は百年使われて目覚める付喪神を目指すことになる。 ● 「えっと。女。女です。女でした」 決して振り返らなかったカルラ。 だから、壱和の肌を見たわけではなかったが、言わずにはいられなかった。 「――おー」 (どっちなのか気にならないわけじゃないが、聞いて欲しい時に言ってくれるだろと思ってたが、今がそのときか) ちょっと感慨深い。 「こういう格好で、今まで黙ってたのは、違う自分になりたかったからで――ボクは多分、今はボクのままだと思います」 カルラは黙って聞いている。 「これから、どうなるか分からないですが、カルラさんのことは変わらず好きですから」 カルラは口を挟まない。 何を考えているのか、壱和にはわからない。 だが、伝えるべきことは伝えなければ。 「ボクがどっちでも、嫌じゃなかったら、一緒に居て欲しいです」 言葉が二人の胸に落ちて、しみこむまでのわずかな時間。 壱和には、とても長く感じられた。 「思ってたとおりだ」 「はい?」 「おまえは、無茶言うやつじゃない。うまいことやっていけるさ」 今のとこは。と、カルラは付け加えた。 「なにかが変わっちまうようなら、今後どう付き合えばいいか尋ねればいい――お互いにな」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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