誰にでも出来る簡単なお仕事です。 「仕事としては、すごく簡単。だけど、多分すごくつらい」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、しばらく目を閉じていた。 これからリベリスタが受ける苦しみを、わずかでもわが身に受けようと天に祈るかのように。 これからリベリスタを過酷な現場に送り出す自分に罰を請うように。 やがて、ゆっくり目を開けると、ぺこりと頭を下げた。 「お願い。あなた達にしか頼めない」 苦しそうに訴える幼女、マジエンジェル。 だが、断る。なんて、言えるわけがなかった。 ●お仕事内容はアイスキャンディを食べることです。 「エリューションは、アイスキャンディ」 モニターにアイスキャンディが映し出される。 矢印がアイスキャンディの内部、ソース部分を差し、「ここがきけん」とイヴが手書きでキャプションをつける。 「エレメント。特殊能力は持ってないけど、エリューションである以上、一般人が食べると革醒現象を促すことになる」 なに、そのバイオテロ。 「ちなみに存在としては非常に弱い。リベリスタなら胃で消化できる」 うわー、リベリスタの胃液、すごーい。 「幸い、現在とある問屋さんの在庫の一部。たった今、全部買い占めてきた。みんなが独占できる。よかったね」 わーい、やったー。 「ちなみに、商品名は「千味バー」」 あー、それは頼む人すくなそーだよねー。 「キャッチコピーは、『食べたい味が必ず見つかる!』」 わー、それは楽しみだね。 「用途は、罰ゲームとかによく使われてるみたい」 わー、それは楽しみだねー。 「スキルは有効。口内粘膜も胃壁もバッドステータスも回復可能。だから、心配しないで」 どっちかというと、心のダメージが心配かなー。 「とにかく、普通の人が食べたら危険。エリューションを増やす訳には行かない。それと、少し気になることがある」 来るんじゃなかったと顔にありありと描いてあるリベリスタを叱咤するように、イヴがまじめなことを言い始めた。 「以前のカレーと違って、何か意図的な悪意のようなものを感じる。負担を減らそうと、試しにソースの周りの無害なシャーベットを取り除いてみたんだけど」 あ、一応考えてくれてるんだ。 「爆発した」 なんだってー!? 「調べてみたら、アイスの棒が魔法で何らかの加工がされてるみたい。おそらくアーティファクトによるものだろうけど、棒自体は現物ではないから対応できない」 なんだってー!? 「幸い、取り除いた研究員はリベリスタだったから大事には至らなかった。けど、どうやらズルはできない仕様。開けたら最後溶ける前に一気に食べるしかない」 エリューションの芽が小さいうちに積むのが肝要。 「場所はアークの食堂。大型冷凍庫の横。溶かしたのを飲めばいいんじゃないかとも思ったんだけど、やっぱり爆発した。幸いアークはお盆返上年中無休24時間営業。溶けるまでの時間稼ぎのため、ギンギンに冷房かけるから安心して」 それは、寒さに震えながらアイスキャンディー食べろってことですね。 冷房病になりそうです。 「大丈夫。食堂のあったかいお茶飲み放題」 ぶっちゃけ、1000本弱食べきるまでは帰れません。 逆に言えば、それ以上は絶対出来ないのがわかっているのだけが救いなのだ。 「戦闘にはならない。ばかばかしいと思うのもわかる。ストレスがたまると思う。でも大事な仕事」 イヴは、もう一度頭を下げた。 「お願い」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月22日(月)22:47 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● 「夏はやっぱり、涼しい所でアイスが最高っすよねー……で、誰が冷凍庫にアイス取りに行くっすか?」 『新米倉庫管理人』ジェスター・ラスール(BNE000355)、この後、嵐のじゃんけん大会。 「簡単な仕事も4度目。別の依頼で失敗した分、頑張って成功しないと。えい、えい、おー……不安だなあ」 『ロンサムブラッド』アリシア・ガーランド(BNE000595)、冷凍庫でがたがた震えながら。 ● 室温17℃。湿度50%。 大体、夜桜見物くらいの気温だね。アイス、食べるにはつらいね。 冷気がもれないように、食堂の自動ドアの電源止めてるけど、心配しないでね。 食堂のあったかいお茶は飲み放題! それぞれがたっぷり霜が付着した紙製10本入りパックを手に取り、何味かも判然とせぬまま、口に運んだ。 それぞれ、フルーツパックとかスタミナパックとかバラエティパックとか、それなりの分類はされてるが、このアイス、何味にあたるかは食べてみなくてはわからないというのがウリなのだ。 白っぽい控えめな甘さのシャーベットの向こうに見え隠れするソース部分が魅力であり、脅威である。 がぶり。 「ぐはっ」 「うええ」 「ぎゃにゃー!」 「う、ぐ!? ゲヘ、ガハっ! カッ、あぐぐぐ、ぐ、うぐ!?」 順に、『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)、アリシア、『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)、『臆病強靭』設楽 悠里(BNE001610)。 アウラールの前歯は、うっすら黒茶色に染まっている。 (何この黒いの……炭化した焼肉味……? まっずー! 無駄に高い日本の技術力の集大成だな、これ) 強烈に鼻腔に抜ける焼肉のタレが炭化した味。じゃりじゃりした氷の感触が無駄に炭に似ている。 かつて地獄カレーのルーだけをパクパク食べていたアウラールをしてまずいと言わしめる。 (ていうか俺もバカだ……なんでわざわざ麻痺無効とかしてるし。これじゃ冷たさで味なんてわかんねーって状況すら期待出来ない) 味覚、明確間違いなしだね。 「うええ」 アリシアが手に取ったのは、フルーツパック。 オレンジ、アップル。おいしいのも入っていたが。 一転、口の中に広がる甘い香りと、たまねぎの腐敗臭。 味はうまいが、臭いがひどい。 あまりの臭さに飲み込めないが、口からだしたら爆発する。 アリシアは、涙目になりながら決死の覚悟で飲み込んだ。 「…………っ!!」 いつも愛嬌たっぷりの静が、喉もと抑えてのた打ち回っている。 赤いソースは、わかりやすく激辛唐辛子味。 さっきまで甘いアイスを立て続けに咀嚼し、 「余裕! 簡単!」 とか言っていたのが記憶に新しい。 がんばれ、静。 君はまだ、ファミリーパック一箱の三分の一も消化していない。 (えーっと、このアイスは……抹茶コーヒー味? 帰りたいっス) 「カクテルパック」に挑戦中。悠里。 1箱目の最後のアイスを食べ終えた瞬間、激しく咳き込んで胸を掻き毟り顔を真っ青にして倒れ伏す。 食べ合わせ悪かったの? こんにちは! 重傷さんの顔なじみアーク医療班でっす! ニコニコしながら、悠里を担架に乗せた。 笑顔がすごく画一的なんですけど、悠里はほんとに無事に帰ってくるのぉ!? ● 「あたしがリベリスタになったのはエリューション料理を食べたからだよ。だからもう問題ないよ、うん」 『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)、新しい味覚を求めて。 「あたりとハズレがあってドキドキするし、けっこう楽しいよ。でも、このアイスを企画したひとは片足を堀に突っ込んで泥だらけになれば良いと思うよ」 『オブラートってなんですか?』紫野崎・結名(BNE002720)、笑顔で。一箱食べ終えた直後。 ● (ふ~ん、赤と白が重なってるアイスか……) 凪沙は、『限定スペシャルパック』をおもむろにしゃくしゃく食べ始めた。 (赤い方は……わざわざマグロを粉砕してから固めてアイスにしてるよ。白い方は酢飯だね、ちょっと酢が利きすぎだし完全に餅になってるよ) がりがりがりがり。 冷凍マグロシャーベットとしょっぱすっぱい餅を完食した後、更に快進撃が続く。 「うわ、醤油を固めた氷とガリのアイスまでついてるよ! ぎゃあっ、わさびだよ!! 鼻が、あたしの鼻がー?!」 うん、ごめん。わさびソースのとこだけ、なぜか半生タイプなんだ。 鼻を押さえて、床をごろごろ転がる姿は世間様に見せられません。 「って、これ寿司のつもり?!寿司にしちゃでかすぎだよこれ!!」 突込みどころ、そこかよ、つうか、ちっちゃければいいの、凪沙さん!? 「材料を素直に寿司にすれば良いのに誰得なんだよこれはー!? 謝れ! 農家の人に謝れ! 漁師の人に謝れ! マグロに謝れ!!」 背後にトラクターやら漁船やらが波乗りしている大波濤を召喚しながら、凪沙、絶叫。 ざっぱーんっ!! みんなでまずいものを食べた思い出、プライスレス。 ……って感じで、限定販売です。てへぺろ。 「からあげ味に馬刺し味……アイスにする意味がわかんねぇよ!」 『BlackBlackFist』付喪 モノマ(BNE001658)、怒りの冷凍庫前。 『ご当地名物パック・九州編』に当たったらしい。 後、長崎ちゃんぽん味とか入ってるんだけど、今は伝えない方が幸せかもしんない。 「これは、はちみつレモンだー、すっぱ甘いー。この緑は……にがーい! でもお残しはいけないんだよね、もったいないお化けがでちゃうよ。この茶色っぽいのはコーラだと思ったら……醤油おせんべいっぽい……?」 むぅーと、鼻先にしわを寄せて、結名は微妙な顔をしながらがんばってちょっとずつ舐めていく。 それ、かなり当たりの部類だって。食べられる物の方が多いんだから。 『序の口パック』って書いてあるし。 「これイチゴかなぁ……?イチゴだ!お口直しー♪」 そう。おいしい味はおいしく食べられる。そんな幸せな時代もありました。 ● 「戦いとは、天の利、地の利、人の利、を揃えるべき」 竜一、スタイリッシュイケメンの実力を見せ付けつつ。 ● 気温17℃。 空調の設定がありえない。 確かにアイスは溶けにくくはあるが。 寒いです。顔の下半分がしびれてます。 みんな顔色は青白く、手で腕とか足とかこすってる状態。 頭がんがんするし、心なしか体中がバキバキ言ってきだしたんですが、これは……。 冷房病です。本当にありがとうございました。 定期的に、アウラールが光ってるんだけどね。 やっぱり、常時BS攻撃状態だしね。 寝袋を持ってきたジェスターは幸いである。 リノリウムの床が氷のようだが。 スキーウェアにカイロは箱いっぱい。お布団まで持ち込んでるアリシアも幸いである。 しかし……。 AFの表示を見て、同じような装備をしてきたはずの静君は顔が凍る。 お布団なんて、どこにもありませんよ? いや、懐中時計を二度見しても三度見しても出てこないから。 普段なら、「もう、静君のうっかりやさん」ですむのに。 装備抜けは、こんなところで生死を分けるんだぜ。 「にゃぎゃーっ!!」 わんこなのに、猫みたいな悲鳴が冷たくひえひえの食堂にこだました。 「おしくらまんじゅう、してみよっか」 誰ともなく始まる、おしくらまんじゅう。 「おされて、なーくなー」 「なーくな」 ぷぎゅ。ぷぎゅ。 (小学校とか幼稚園以来だが、まぁ、こういうのも悪くねぇ。参加させてもらうぜ) モノマさん、思わず和んだりして。 日本のことよくわからない外国人一号二号も普通に混じってる。 三高平の国際交流は、順調に進んでいるみたいだね。 そんな中。 男女混合むっくらむっくら。 スキーウェアだったり、布団体に巻いたままだったりするが、温もりは女子由来だぜ、イエー。 この状況を心待ちにしていた男がいた。 アークが誇る「最も躊躇しない男」竜一君である。 (すなわち、天という寒さの利を利用して、おしくらまんじゅう。人の利とは、素敵な女性陣。ならば地の利をえるべくポジショニングだけだ!) 妹さん! おたくのお兄さんが不埒なこと考えてますよ! (故に!気配遮断により能力を発揮し、さりげなく、ごく、さりげなぁ~く、おしくらまんじゅう作戦で女子陣に囲まれるポジショニングへ潜り込もうとするぜ!) とってもいい考えっぽいね。 でもね。 君、ちと世間に性癖知られすぎだよ、ポロリ何とか。 「気配遮断」で遮断されるのは「気配」であり、透明になるわけではないのだ。 つまり、君が何かやらかそうとした瞬間、事前から君の行動を想定し、監視していた者達は即行動をとる手はずになっていたのだよ。 アウラールは、鼻の下伸ばしながら女子ゾーンの隙間にもぐりこもうとした竜一をブロックした。 クロスイージスだし。 鉄壁具合はアークでも指折りなんだよ。 モノマはすばやく、AFに仕込んでいたお布団6点セットの内の一つを引きずり出し、流れる動きで竜一をぐるぐる巻きにした。 覇界闘士だし。 応用力の高さはアークでも指折りなんだよ。 竜一君も、刀持たせればアークでも指折りだけどね。 「簀巻き?え?ぎゃあああああーー!」 「ワイヤーできっちり縛り上げてやるからな~」 アイスの棒じゃ、間合い狭すぎだ。残念! 「ううう……俺は何も悪い事してないのに……。あわよくばペロペロしたいだけなのにー……。誰か俺に幸せを下さい……」 「えーいっ!」 言った瞬間、背骨をきしませる結名のふらいんぐひっぷくらっしゅからのまうんと攻撃。 幼女との肉体言語的接触だよ。竜一君、幸せ? 「攻撃だー」 ごい~ん。 食堂の業務用片手なべは六層構造だぜ。 「んゆ? 悪者退治ごっこだと思ったの」 概ね合ってる。 「さ~あ、アイスだぞ~」 竜一の口の中に、アイスバーがぼっ。 「む、この味は!? ハンバーガー!?」 口の中に広がるパンと肉とナツメグとたまねぎの風味が、アイスキャンディーと素敵なミスマッチ。 「む、この味は……!? フィッシュアンドチップス!?」 揚げ油と白身魚とすっぱじょっぱいテイストが、アイスキャンディと以下同文。 「え? なんでこんなジャンクなフードで攻めてくるん?」 『ジャンクフードパック』だからじゃないかな。 「むがっ! お、男に無理やりに口にアイス突っ込まれるなんて~……! って、誰得だ。俺にその趣味はないっ!」 そう? 静君は目をキラキラさせてるよ。 「だって面白いものを目の当たりにしたら心躍るじゃないか」 ● 「この俺の心の炎はアイス如きじゃ消せねぇぜぇっ!」 モノマ、気合の入ったやせ我慢。森羅行行使中。 「あ、お腹痛くなってきたっす……はい、トイレ休憩行っていいっすか!? あー、外の暑さが気持ちいい……って、そんな事言ってる場合じゃなかった、まずはトイレっす!!」 ジェスター、アーク男性職員に申告。恥じらいで言い出せない女子の憎しみの視線で焼かれる二秒前。 ● 上がった体温も、アイスキャンディー一本であっという間に下がっていく。 しばらくしょきしょきというアイスキャンディーを噛み砕く音だけが響く。 「モノマ先輩! 頑張りましょうっ!」 『2次元インワンダーランド』羽柴 壱也(BNE002639)は、モノマの前にクーラーボックスセットOK。 「生姜味? 普通。ナポリタン? え? オムライス? なにそれこわい。ジンギスカン? うそだろ」 『町の洋食屋さんパック』を食べているうちにどんどん表情が暗くなる。 だれか。このお嬢さんにテンション上がるBL系の薄い本を! 「締めはチョコ! 好き!」 自分でテンションあげてくれた。 ここで即座に出たら、誰が有明に行って来たのかアークに疑惑の衝撃が走るとこだった。 「モノマ先輩……食べたら眠くなりました……寝てもいいですk……ぐう」 まだ持ってるお布団六点セットに壱夜を寝かせると、上から自分の上着もかける。 (ほら、ちょっとでも暖かくしとかないと心配じゃないか) 誰もツッコんでないよ。 モノマは、壱也の頭にぽんと手を置いた。 「よく食ったな。風邪とか引くんじゃないぞ。あとは任せとけ。」 『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)は、まじめだった。 (日々是修行、事前にアイス大食いの特訓をしてきました! パワーアップした女子力で、ぜーんぶ食べつくしてみせますよー♪) 一箱完全制覇。 そこで、彼女は下腹を押さえた。 (……ぁぅ、もうダメ、おなかいたい……) 特訓でアイスを食べ過ぎたせいで、舞姫のぽんぽんの耐久力はもうレッドゾーンよ。 (ふおお……、これ以上の作戦継続は、女の子として大切なものを失うとゆーか、人としての尊厳に関わりま……、おおぅ……) 何か鳴動音がする? 舞姫さんの名誉的に聞こえないことに決定してます。 かなり涙目。 周囲を見回したりして。 そして、絡み合う視線と視線。 涙目のアリシア。同じような切実さで周囲を見回していた。 (溶けたアイスって、水分……お茶も……うう、トイレにいきたい。あ、あの、トイレって、食堂の外、です、か?) と、聞くに聞けない乙女心。男子いっぱいいるし。 でも、限界ってあるよね。 一人じゃだめでも二人なら。 一致団結。 二人で、アーク女性職員さんにこそこそ耳打ちして裏口から連れてってもらいましたとさ。めでたしめでたし。 女子の友情の第一歩。 トイレ友達。 ● 『隠密銃型―ヒドゥントリガー―』賀上・縁(BNE002721)は、おしくらまんじゅうに混ざれないお年頃だった。 体温維持にルームランナー。 走りつつアイスを消化。 (何これ、のど飴?) 喉にさわやかな感じのアイスが、振動で。 あ。落ちた。 「いや、リベリスタはこれくらいでは、って、爆発で脚、滑、その箱、まだ入っ……」 後に確認されたアークの録音記録には、切れ切れの縁の声が残っている。 そして、その後。 どっか~ん。 幸い、誘爆したアイスは一本強分。 しかし、今まで爆発させちゃいけないと張り詰めていたリベリスタの心のたがを吹っ飛ばすには十分な威力だった。 「もう嫌だこの冷凍庫から出せぇぇぇぇ」 ご乱心! 静君、ご乱心! 「こうなったら扉にアイス爆弾を仕掛けて逃走する! 爆発!」 と、1箱分袋を一気に開け扉の前に設置をしだす。 やめてえ! 爆発したら、明日のアーク職員のお昼はみんな外に食べに行かなくちゃいけなくなって、近隣の飲食店さんがパニックになっちゃうぅ! 「みんな、冷蔵庫からはなれろぉ!」 泣きながら内袋を破く静に、諸手刈り。流れる動きで巴投げ。 そんな素敵覇界闘士モノマ、イエスだね! ごこん! 後頭部ぶつけてるけど、大丈夫かな。 「はっ……出来心が惨劇を引き起こす所だったぜ!」 「静ぁ!」 「モノマぁ!」 がしっ! ……壱也ちゃん、寝てていいのよ。 「爆発する前に全部食べなきゃはむはむふにゃぁ!」 泣きながら一気に全部頬ばる静。 なんでワンコなのに、悲鳴がにゃんこっぽいのかな。 ● 「千の味でせんみばーってなんのひねりもないよね?」 「チョコレートの香りのするトムヤンクン味!? 責任者出てきやがれぇ!」 「こ、こっちはミラクルフルーツ……ああ、全部甘く感じて逆になんか辛い!」 「砂糖と塩を間違えたコーヒー味? うぐっ……!」 「らっきょ……どうしてこうなったんすかね。うん、まずいっす!」 「この味の再現に要する時間と努力を、もっと他の有用な事に費やせなかったのか!?」 「企画した人はくたばればいいのにね?」 「無理無理! もう食べれないよ!」 「トマト味? 塩振って食べるって言ってたっけ」 「うう、自分の自己再生が憎い……」 「もぐもぐぺろぺろ……って、お前ら、マズイのばっか俺に処理させようとしてんだろ!? そんな非道な輩に俺は負けない!」 「さっきから結構食べてると思うんすけど、後、一体何箱残ってるんすか……?」 「竜一さん辺りは吸ってもいいんじゃないかな。きっと」 「塩くださ~い」 「無様な姿など見せはしない!!」 「アリシア! 吸血はだめだぁ!」 「逃げろ、竜一、簀巻きで逃げられない? なんでうきうきしてんだよ!」 「アウラール。下唇からアイス垂れ下がってんぞ?」 「あれ? あまり冷えてないよ。あ、棒が抜けち」 どっか~ん。 ● でも、その程度の爆発でどうにかなるリベリスタじゃない。 ちゃんと、アイスを食べきったのだ。 終ったとたん、みんなダッシュでトイレに行ったけど。 ありがとう、リベリスタ、さすがだ、リベリスタ。 またこんな仕事があったら、よろしく頼むね! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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