●沙織の依頼 「世の中は往々にして不条理に満ちている。 とある困難な状況を解決する時、非常なる手段を必要とする事もあるだろう。 背に腹は変えられぬと言うが、つまる所――選択肢が残っている内は幸福という事だ」 『戦略司令室長』時村 沙織 (nBNE000500) の難解かつ遠回しな言葉にリベリスタは首を傾げた。彼がブリーフィングにリベリスタを呼び出す時、そこには大抵の場合難しい問題が転がっている。それは分かっているのだが、それにしても沙織の調子は普段と違う。 「俺の仕事は厳密にはこの世界を守る事じゃない。 だが、このアークが世界を守らんとしているのは当然の事実だ。俺も、お前達もこれまでそれに到る為の全ての努力を惜しまなかった筈だ。時にどんな犠牲を払っても危険(リスク)や代償(コスト)を払っても、な。 ……ま、そもそもがアーク自体が時村が背負った業なんだから当然だが」 「……何が言いたいんだ、お前は」 リベリスタは極めて歯切れの悪い沙織の調子から或る気配を感じ取っていた。 経験則上、彼が話題に酷い煙幕を張る時はそう―― 「何を企んでる」 ――非常に『くだらない』事情を抱えている事が多いのだ。 「企んでるとは心外だな。俺の頼み事はアークに関わる重大事だぞ。 事の発端は去年の夏。お前達は『親衛隊』との戦いと…… ……後、あのキースが三高平に来た頃の事を覚えているだろ?」 予想外に大きな話にリベリスタは頷いた。『鉄十字猟犬』リヒャルト・ユルゲン・アウフシュナイターは非常に厄介な敵だった。キース・ソロモンは『魔神王』の異名を持つバロックナイツきっての武闘派である。彼の宣戦布告が当時のアーク――そして一年の時を経た現在のアークに与えた影響は小さいものではない。 「『親衛隊』との戦闘を控えていた当時、アークは大変難しい舵取りを迫られていた。逆凪をはじめとした国内主流七派は『親衛隊』と連携し、アークの隙を伺っていたし、その戦力は過大なものだった。更に続くキースとの交戦は当時のアークに致命的な状況をもたらす可能性が高かったと言える。 そこで俺は七派のリーダー格である逆凪に交渉を持ちかけ、キースの宣戦布告を逆手に取る事でその動きを止めにかかった訳だが……」 ※詳しくはBNEのあらすじを参照にしてね! 「……キースの脅威と時村の利権を黒覇にちらつかせて手を引かせたんだっけ?」 「そうだ。まぁ、それで今回重要になるのはそのちらつかせた利権の方なんだが。 要するにこれは俺達の表のビジネスの話だ。神秘界隈に関係しない時村財閥と逆凪カンパニーの問題なんだが、このエネルギー共同開発事業に意見と見解の相違が出てな。まぁ、要するにどちらが主導権を握るかが中々ややこしい」 「そりゃそうだろうけど」 リベリスタが知る黒覇と沙織の人物像はその状況を想像に易くする。 元々時村と逆凪はライバルでリベリスタとフィクサードでは呉越同舟である。 「お前達には、その解決を頼もうと思ってる」 沙織の唐突な話にリベリスタは苦笑した。 リベリスタの大半は荒事を解決するのは得意だが、ビジネスがどうこうというのは門外漢だ。敢えてここに居るメンバーに話を持ちかけた沙織の意図が読めない。 故にリベリスタは明敏だった。 「……だから何を頼みたいんだって」 そう問う彼等の顔は何とも訝しいものに違いなかった。 ここで沙織が戦闘を提案するならば、こういう切り出し方はするまい。 「野球の試合」 「ほら、な」 「逆凪黒覇と取り決めた妥協案だ。 喧嘩別れは話がまずい、殺し合いじゃ元も子もない。 せめても平和に勝った方が主導を取る――相手が相手じゃお前達以外には頼めないだろう?」 涼しい顔の沙織はそれを『社会人野球』と称した。 だが、リベリスタvsフィクサードではアレな漫画も真っ青か。 「ま、宜しく頼んだ。『時村アークス』!」 酷い顔をしたリベリスタ一同に沙織は「優勝したしな」と良く分からない一言を付け足した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2014年10月16日(木)22:03 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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